解説

WordPressプラグインの脆弱性で何をするか、JVN公表の3件と自動更新

2026年10月26日 公開10月26日 15時(日本時間)までの情報読む時間 約10分

この記事の答え

何が起きた
JVNは2026年、WordPress用プラグインの脆弱性を3件公表しました。Survey Maker、OpenStreetMap、Zoho Mail for WordPressです。
WordPressで会社のサイトを動かす会社への影響
入っていて版が古いと、見た人のブラウザで不正なスクリプトが動いたり、設定を書き換えられたりするおそれがあります。
確かめておくこと
管理画面でプラグインの名前と版を見て、影響を受ける版なら更新します。直せないものは停止し、使わないものは削除します。
次に見るところ
知らない管理者アカウントやファイルの変更がないかを確かめ、自動更新をどのプラグインでオンにするか決めます。
JVNのWordPress用プラグイン公表(2026年)3件JVNの一覧で題名に「WordPress」を含むもの。10月26日時点
プラグインの自動更新が動く回数1日2回WordPress.orgの説明。初期設定の場合
公式の修正がない脆弱性13,658件民間のPatchstackのデータベースの表示。10月26日確認、日々変わります

脆弱性の知らせはJVN・WordPress.org・開発元・民間のデータベースに出ます

公的な窓口はJVNとJVN iPediaです。あわせて、使っているプラグインのWordPress.orgのページと開発元のお知らせを見ます。

プラグインの脆弱性(ぜいじゃくせい=プログラムの弱いところ)の知らせは、1か所にまとまっていません。見るところを先に決めておくと、慌てずにすみます。

プラグインの脆弱性の知らせが出るところ
出どころ運営何がわかるか
JVNJPCERT/CCとIPAが共同で運営日本で使われるソフトの脆弱性と対策。影響を受ける版と対策が書かれます
JVN iPediaJVNのデータベースJVNの公表に加え、国内外の脆弱性対策情報を検索できます
WordPress.orgのプラグインのページWordPress.org閉鎖されると赤い表示が出ます。理由が「Security Issue」のこともあります
開発元のお知らせ・変更履歴各プラグインの開発者修正した版の番号や、直した中身が書かれることがあります
民間の脆弱性データベースPatchstackやWordfenceなどプラグインごとの脆弱性を集めた民間のデータベースです

出典:JVN「JVNについて」、JVN iPedia、WordPress.org「Alerts and Warnings」、Patchstack。2026年10月26日確認。

WordPress.orgの説明では、閉鎖されたプラグインには「ダウンロードできなくなった」という赤い表示が出ます。60日たつと、閉鎖の理由もあわせて表示されます。

理由が「Security Issue」のときは、安全上の問題が見つかったという意味です。ただし詳しい中身は、WordPress.orgのセキュリティチームの外には出さないとしています。

「直近の3つのメジャー版で試験されていません」という表示もあります。これは脆弱性の知らせではありません。ただ、手入れが止まっていないかを見る手がかりになります。

IPAの「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」も、JVN iPediaでの確認を案内しています。まず、使っているソフトを把握することからです。

2026年にJVNが公表したWordPress用プラグインの脆弱性は3件です

Survey Maker・OpenStreetMap・Zoho Mail for WordPressの3件です。JVNはどれも「最新版への更新」を対策にしています。

JVNの一覧で、2026年に題名へ「WordPress用プラグイン」と入った公表は3件です(10月26日時点)。3件とも、JVNは修正版の番号を名指ししていません。対策は「開発者の情報をもとに最新版へ更新」です。

JVNが2026年に公表したWordPress用プラグインの脆弱性
プラグインJVNの番号・公表日影響を受ける版おそれのあることCVSS v3.0
Survey Maker(開発:Ays Pro)JVN#20049394・2月20日5.1.7.7およびそれ以前見た人のブラウザで不正なスクリプトが動くおそれ(クロスサイトスクリプティング)6.1
OpenStreetMap(OSM – OpenStreetMap、開発:MiKa)JVN#48058823・3月27日6.1.15より前ページを作れる利用者が不正なスクリプトを埋め込むおそれ5.4
Zoho Mail for WordPress(開発:Zoho)JVN#24733221・6月3日1.6.2より前ログイン中の管理者が細工されたページを見ると、設定を書き換えられるおそれ(CSRF)4.3

出典:JVN#20049394、JVN#48058823、JVN#24733221(いずれも2026年)。CVEはそれぞれCVE-2026-26370、CVE-2026-33559、CVE-2026-8174。CVSS v4.0はいずれも5.1。

3件の点数(CVSS v3.0)は、10点満点で4.3〜6.1です。それでも、問い合わせフォームや地図など、外から見える場所で使われるプラグインです。

当社の見方では、点数の高さより「自社のサイトに入っているか」を先に確かめるほうが大事です。

本体の脆弱性とは、確かめ方が少し違います

2026年7月22日、IPAはWordPress本体の脆弱性「wp2shell」について注意を呼びかけました。影響は6.9.0〜6.9.4と7.0.0〜7.0.1などで、修正版は6.9.5と7.0.2です。

IPAによると、WordPress.orgは対象の版に強制の自動更新を行いました。それでも環境によっては更新が失敗していることがあるとして、管理画面で版を確かめるよう求めています。

本体は自動で直ることがあります。一方でプラグインは、自動更新を自分で選んでいないと止まったままです。PHPそのものの脆弱性についてはphp2shellで何をするか、PHP修正版8.5.12〜8.2.35とエックスサーバー・コドモンが始めた対策で整理しています。

対応は版の確認、更新、直せないものの停止と削除の順に進めます

まず入っているかと版を確かめます。影響の版なら、バックアップを取ってから更新します。

知らせを見たら、次の順で進めます。最初の2つは数分で終わります。

  1. 入っているかを確かめます。管理画面の「プラグイン」で名前を探します。停止中のものも数えます。
  2. 版の番号を見ます。プラグイン名の下に版が出ます。JVNの「影響を受ける版」と比べます。
  3. 影響の版なら更新します。更新の前に、サイトのバックアップを取ります。
  4. 更新できないときは停止します。修正版が出ていない、閉鎖された、といった場合です。
  5. 使っていないなら削除します。IPAの20ヶ条も「不要になったアプリケーションも削除」としています。
  6. 表示と動きを確かめます。問い合わせフォームや地図など、そのプラグインの画面を開いて見ます。

IPAの20ヶ条は、修正が出たら適用するよう求めています。あわせて、更新で今の機能が動かなくなることがあるので、事前に試すよう書いています。

停止(無効化)しただけでは、プラグインのファイルはサーバーに残ります。使う予定がないなら、削除まで進めたほうが手入れの手間も減ります。

制作会社に任せている場合は、プラグインの一覧と版を出してもらうのが早道です。自社で管理画面に入れない状態は、それ自体を見直すきっかけになります。

更新のあとは、すでに入られていないかを別に確かめます

知らない管理者、ファイルの変更、ログの不審な接続、更新に使うパソコンの感染を見ます。

更新は、これから入られないための手当てです。すでに入られていないかは、別に確かめます。WordPress.orgとJPCERT/CCの資料から、見るところをまとめました。

乗っ取りの跡を見るところ
見るところ何を確かめるか出どころ
ユーザーの一覧知らない管理者、使っていない検証用・制作用のアカウントがないかIPA 20ヶ条(第11条)
公開しているページ不正なプログラムが入っていないか、書き換えられていないかJPCERT/CC(2013年)
主なファイル.htaccess・index.php・header.php・footer.phpなどに覚えのない変更がないかWordPress.org
FTP・SSHなどのログ見慣れない接続元や、ふだんと違う時刻の接続がないかJPCERT/CC(2013年)
更新に使うパソコンウイルスに感染していないか。委託先のパソコンも同じJPCERT/CC(2013年)

出典:IPA「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」、JPCERT/CC「Web サイト改ざんに関する注意喚起」(JPCERT-AT-2013-0027)、WordPress.org「My site was hacked」(ハッキング時のよくある質問)。

跡が見つかったときの順番は、WordPress.orgの「My site was hacked」が参考になります。まず症状と時刻を書き留め、ホスティング会社にも知らせます。

掃除を始める前に、その時点の状態をもう一度バックアップします。あとで原因を調べるための記録になるからです。

パスワードは全員分を変え、掃除が終わったあとにもう一度変えます。WordPress.orgは、この2回目を忘れないよう書いています。

IPAの20ヶ条は、改ざんを見つけたらJPCERT/CCへ届け出るよう案内しています。不正アクセスの相談先はIPAです。

自動更新はプラグインごとに選べ、初期設定で1日2回動きます

WordPress 5.5から選べます。オンにする前に、元に戻せる状態を用意しておきます。

WordPress.orgの説明では、5.5からプラグインごとに自動更新を選べます。「プラグイン」画面の「自動更新」の列で、1つずつ、またはまとめてオンにできます。

プラグインの自動更新のしくみ(WordPress.orgの説明)
項目内容
選べる単位プラグインごと。一括操作でまとめてもできます(テーマは1つずつ)
動く回数初期設定で1日2回
知らせ成功・失敗・一部失敗のときに管理者へメール
動くしくみWP-Cron(WordPressの予約実行)に頼っています
列が出ないとき5.5以上か確認。それでも出ないなら、ホスティング会社かプラグインが止めている可能性

出典:WordPress.org「Plugins & Themes Auto-Updates」。2026年10月26日確認。

WordPress.orgは、自動更新をオンにする前に、元に戻せる状態か確かめるよう書いています。つまり、バックアップと戻し方を先に用意するということです。

自動更新が動いているかは「ツール」の「サイトヘルス」でも確かめられます。失敗のメールが届く宛先が、今も読まれているアドレスかも見ておきます。

当社の見方では、表に出る機能を受け持つプラグインほど自動更新に向いています。一方で、お金の計算など止まると困る機能は、手動で試してから上げる考え方もあります。

慌てたときにしないことを先に決めておきます

記録を消す、閉鎖されたものを入れ直す、パスワードの変更を1回で終える、の3つは避けます。

慌てたときほど、記録を消したり、別の穴をあけたりしがちです。避けたいことを先に決めておきます。

  • 閉鎖されたプラグインを、別の配布元から入れ直さない。WordPress.orgで配布が止まった理由は、外からは見えないことがあります(当社の見方)。
  • 停止しただけで終わりにしない。使わないものは削除します(IPAの20ヶ条)。
  • 調べる前にファイルを消さない。先に記録とバックアップを取ります(WordPress.org)。
  • パスワードの変更を1回で終わらせない。掃除のあとにもう一度変えます(WordPress.org)。
  • 検証用や制作用のアカウントを残さない。IPAの20ヶ条が、残りやすい例として挙げています。

Web担当の方へ

  • 入っているプラグインの名前と版を一覧にしました(停止中のものも)
  • JVNと、使っているプラグインのWordPress.orgのページを見る日を決めました
  • Survey Maker・OpenStreetMap・Zoho Mail for WordPressが入っていないか確かめました
  • 更新の前にバックアップを取り、戻し方を確かめました
  • ユーザーの一覧に、知らない管理者や不要なアカウントがないか見ました
  • 自動更新をどのプラグインでオンにするか決め、失敗メールの宛先を確かめました
  • 使っていないプラグインを削除しました

よくある質問

JVNに載っていないプラグインなら安全と考えてよいですか。

いいえ。JVNに載るのは届け出と調整を経たものです。WordPress.orgの閉鎖の表示や開発元のお知らせ、民間のデータベースにだけ出る脆弱性もあります。民間のPatchstackのデータベースには、公式の修正がないものが13,658件と表示されています(10月26日確認)。

自動更新をオンにすれば、版の確認はいらなくなりますか。

なくなりません。WordPress.orgによると、自動更新はWP-Cronに頼って動き、ホスティング会社などが機能を止めていることもあります。IPAもwp2shellのとき、強制の自動更新が失敗している場合があるとして、管理画面で版を確かめるよう求めました。

サイトを制作会社に任せている場合、何を頼めばよいですか。

聞いておくのは4つです。プラグインの名前と版の一覧、更新を誰がいつするか、バックアップの取り方と戻し方、管理者アカウントの持ち主です。IPAの20ヶ条は、制作や試験で使ったアカウントが残りやすいと書いています。

脆弱性の点数(CVSS)が低ければ、急がなくてもよいですか。

点数は目安の1つです。当社の見方では、問い合わせフォームなど誰でも触れる場所のものは、点数にかかわらず早めの更新が向いています。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。

当社もウェブサイトや業務クラウドを使う中小の会社として、同じ立場の会社や読者が確かめるときの手がかりになるよう、JVN・IPA・JPCERT/CCとWordPress.orgの資料をもとに整理しました。

言葉の意味8語
脆弱性
プログラムの弱いところ。悪用されると、情報を盗まれたりページを書き換えられたりするおそれがあります
JVN
JPCERT/CCとIPAが共同で運営する、脆弱性と対策の情報サイトです
JVN iPedia
JVNの公表に加え、国内外の脆弱性対策情報を集めたデータベースです
CVE
脆弱性ごとにつく世界共通の番号です
CVSS
脆弱性の重さを0〜10の点数で表すしくみです
クロスサイトスクリプティング
ページに不正なスクリプトを入れられ、見た人のブラウザで動いてしまう弱さです
CSRF
ログイン中の人に、本人の知らない操作をさせてしまう弱さです
WP-Cron
WordPressが決まった時刻に作業を動かすしくみです。自動更新もこれで動きます
出典・エビデンス一覧12件(公的機関8(JVN 5・IPA 2・JPCERT/CC 1)・WordPress.org 3・民間1)
  • ※数値と版の番号は2026年10月26日時点
  • ※JVNは3件とも修正版の番号を名指ししていません。修正版は各開発元の情報で確かめてください
  • ※攻撃の手順は悪用を防ぐため書いていません
  • ※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の判断を推奨するものではありません。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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