2026年の調達ガイド / 物流資材

物流資材の値上げと品薄、なぜ起きてどう変わったか|パレット・ラップ・PPバンドの2026年まとめ読み

パレットやストレッチフィルム、PPバンド、テープなど、物流の現場で使う資材のほとんどは、原油からつくるナフサ由来の樹脂でできています。2026年2月28日にホルムズ海峡が事実上封鎖されてから、値段と納期は品目ごとに違う形で動きました。本記事は要点と時系列・一覧だけを短くまとめ、詳しい内容は個別記事42本へご案内します。

初版公開 最終更新 収録記事 42本 収録セグメント 13(分析11+直販1+掲示板1) 監視カテゴリ 次回更新目安 2026年10月中旬
3分でわかる要点
  • パレット・ストレッチフィルム(荷物をパレットごと巻いて固定するラップ)・PPPPポリプロピレンです。プラスチックパレット、折りたたみコンテナ、PPバンドの主な原料で、プロピレンを重合してつくります。再生PPは国内で回収した材料からつくられます。バンド・テープは、どれも原油からできるナフサナフサ原油を精製して得られる粗製ガソリンです。石油化学製品の出発原料で、日本のエチレン原料の95%以上を占めます。原油と違い、国家備蓄制度の対象外です。由来の樹脂が原料です。2026年2月28日のホルムズ海峡ホルムズ海峡ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海峡です。世界の海上原油輸送量の約20〜25%が通る経路で、通航の状況が原油とナフサの調達に直結します。封鎖で、その出発点が動きました。
  • 影響の出方は品目ごとに違います。差を生んだのは「樹脂の種類」「国内に成形設備があるか」「代わりの調達先があるか」の3つです。いちばん品薄になったのはストレッチフィルムとPPバンドで、割当供給が続きました。
  • 値上げは5月1日と6月1日に集中し、建設・物流・包装資材では30社超が価格を改定しました。7月にはマレーシア産フィルムが約18%値下がりし、PPバンドと緩衝材も当社の取引では値下げ傾向でした。
  • 8月はエチレン設備の稼働率が73.5%と半年ぶりに7割台へ戻り、樹脂の在庫も増えました(石油化学工業協会)。一方、9月10日のナフサのスポットは前月比+17.22%で、8月のプラスチック製品の価格は前年比+11.2%(日本銀行)です。
  • 対策は4つ(中国製の併用、再生材、使用量の削減、資材の置き換え)で、組み合わせて使います。品目ごとの詳しい内容は、下の「このまとめの記事を探す」から個別記事で読めます。

こんな方へ ── まず読むところ

38
収録記事本数
(専門版+やさしく解説版)
90%+
ストレッチフィルム
国内流通の海外生産品比率
30社+
建設・物流・包装資材
価格改定を発表した企業数
-18%
マレーシア産ストレッチフィルム
5月末→7月の価格変動

CHAPTER 01物流資材の値段は、なぜ中東の情勢で動くのか

プラスチックパレット、ストレッチフィルム(荷物をパレットごと巻いて固定するラップ)、PPバンド、OPPOPP二軸延伸ポリプロピレンです。縦と横の2方向に引き伸ばして強さと透明性を高めたフィルムで、梱包用OPPテープの基材に使われます。テープ、緩衝材、折りたたみコンテナは、どれも原油からつくるナフサを出発点とする樹脂が主な原料です。パレットとコンテナとPPバンドはポリプロピレン(PP)、ストレッチフィルムは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPELLDPE直鎖状低密度ポリエチレンです。ストレッチフィルムの主な原料で、よく伸びて破れにくい性質があります。薄いフィルムや多層品では、メタロセン触媒を使ったmLLDPEが使われます。、よく伸びるポリエチレン)、OPPテープは縦横に引き伸ばしたPPの基材に粘着剤を組み合わせたものです。そのため、2026年2月28日のホルムズ海峡の事実上の封鎖は、物流現場のあらゆる資材に同時に届きました。

ただし、届き方は品目ごとに違いました。差を生んだのは次の3つの組み合わせです。

  • 樹脂のグレード:汎用のPPと、薄膜フィルム用のメタロセン系LLDPE(mLLDPE)では、供給の余裕がまったく違いました
  • 国内の成形設備:ストレッチフィルムは日本市場の流通量の90%以上が海外生産品で(旭産業株式会社調査)、国内でナフサが確保できても、フィルムに成形する設備が少ない状態です
  • 代替の調達先:石炭からプラスチックの原料をつくる中国のルート(CTO/MTO)は原料の系統が違うため、中国製の資材が代わりの候補になりました

影響の範囲は広く、帝国データバンクが2026年4月17日に公表した調査では、全国4万6,741社(全製造業の約3割)がナフサ関連製品の調達リスクに直面する可能性があり、そのうち約9割の4万1,417社が資本金1億円未満でした。

CHAPTER 02原油が資材になるまでの6段階と、2〜6ヶ月の時間差

原料の変化が資材の値段に表れるまでには、いくつもの段階と時間差があります。原油を調達してから製品が現場に届くまで、ふつう2〜6ヶ月かかります。

段階2026年に起きたこと
1. 原油の海上輸送ホルムズ海峡の通過タンカーは戦争開始1週間で97%減少(Windward)。ナフサは国家備蓄の対象外で、民間在庫は約20日分
2. 製油所でのナフサ生産日本のナフサ輸入の中東依存度は2020年の53.1%から2024年に73.6%へ上昇
3. ナフサクラッカーナフサクラッカーナフサを高温で分解し、エチレン・プロピレン・ブタジエン・芳香族を取り出す設備です。石油化学コンビナートの中心で、ここが減産すると下流の樹脂の供給が詰まります。(ナフサを分解する設備)国内12基のエチレンプラントのうち、2026年4月初旬に6基が減産、フル稼働は3基
4. 樹脂メーカー汎用品と高機能品で供給差が発生。DIC・三菱ケミカルが粘着剤系原料を値上げ
5. 成形・加工パレットの射出成形は国内能力が維持された一方、フィルム成形は縮小しており輸入依存が継続
6. 流通・納入割当供給、納期回答の停止、価格改定の適用基準日といった取引上の課題が発生

原料側の数字がよくなっても資材の値段がすぐに下がらないのは、この時間差のためです。逆に、原料側で新しい変化が起きたときも、資材の値段に表れるのは数ヶ月後になります。

CHAPTER 032月〜9月の出来事(時系列)

物流資材の供給と値段に直接関係した出来事だけを並べました。国際情勢そのものの詳しい流れは、上位のまとめ記事イラン情勢まとめ2026、なぜガソリンや食品の値段に響くのかを時系列で整理|米国・湾岸4カ国をご覧ください。

時期出来事物流資材への意味
2026-02-28 ホルムズ海峡が事実上封鎖 ナフサ調達環境が変化。樹脂原料の起点が変動
2026-03-06 シンガポールナフサ価格が776ドル/MTから1週間で1,000ドル/MT超へ 樹脂価格の改定圧力が発生
2026-03-24 DICがスチレン系原料の100円/kg以上の値上げを発表 ゴム系粘着剤のコスト上昇。テープ類へ波及
2026-03-27 同日時点で、マレーシア産ストレッチフィルムの供給変動と中国産への切替の進行を確認 流通シェア約7割の供給源が制約を受ける状況に
2026-04-01 三菱ケミカルがアクリル酸製品を40円/kg以上、オキソ製品を25円/kg以上値上げ/フォルモサ・プラスチックスが不可抗力を宣言 アクリル系粘着剤とPE系原料の双方でコスト上昇
2026-04上旬 国内エチレンプラント12基のうち6基が減産、フル稼働は3基 樹脂の国内生産量に制約
2026-04-17 帝国データバンクが調達リスク調査を公表 影響範囲が全製造業の約3割に及ぶことが判明(詳しくは第1章)
2026-04-18 同日時点で、ストレッチフィルム・PPバンドが割当供給の運用下にあることを確認 価格ではなく数量の確保が調達課題の中心に
2026-04-21 グンゼがOPPフィルムの価格改定を発表 包装用フィルム全般へ改定が拡大
2026-04-26 国産マスキングテープ主要3社の型番が広範に在庫切れ(モノタロウ実調査) 中国製が当日〜翌日出荷で調達可能な状況に
2026-04-30 経済産業省が5月のナフサ輸入量を平時比3倍(135万kL超)と発表 量的な確保は進むが、価格は封鎖前比で高い水準が継続
2026-05-01 建設・物流・包装資材30社超が出荷分から30〜80%の価格改定 物流資材の価格改定が同時期に集中
2026-05-20 食品トレー業界5社が20〜30%の価格改定 再生材活用の経済合理性が相対的に上昇
2026-05-26 同日時点で、PPヘビーバンドの供給制約に対しPETPETポリエチレンテレフタレートです。飲料ボトルの素材として知られていますが、結束用のPETバンドにも使われます。PPとは樹脂の系統が違うため、供給が詰まる経路も違います。バンドへの代替可能性を廃棄物・リサイクル現場で検証 結束材の代替候補が樹脂系統をまたいで拡大
2026-05-29 DICがポリスチレン・スチレン系製品の第2回価格改定を発表(6月1日納入分) 粘着剤系のコスト上昇が累積
2026-06-01 大倉工業・エフピコチューパ・東京インキ・東洋紡エムシーなど30品目で価格改定 包装資材から食品・建材まで改定が拡大
2026-06-03 同日時点で、ストレッチフィルムとPPバンドについて実際に入手できる調達経路を整理 割当供給下では単価より入手経路の確保が論点に
2026-06-17 イスラマバード覚書に署名 正常化への期待が生じるが、資材価格への反映には時間差
2026-07-07〜09 米イラン相互攻撃により覚書の履行が事実上停止 代替調達ルートの維持が引き続き必要な局面
2026-07-12 ホルムズ海峡が再閉鎖 上流の変動が資材段階へ届くまで数ヶ月の時間差
2026-07-14 同日時点で、ナフサが627ドル/MTの底値から反発する局面にあることを確認。あわせて国内で汎用樹脂の事業統合が始動 上流価格は下げ止まり。樹脂の供給元構成そのものが変わる局面へ
2026-05末→07 マレーシア産ストレッチフィルムが約18%の値下げ 下流資材で明確な値下げが確認された最初の品目に
2026-07-31 日米が協調介入を実施。8月3日のドル円は155.22円 円高方向へ。輸入資材の円建てコストを押し下げる材料
2026-09-10 ブレント原油が109.09ドル。同日のナフサのスポットは871.17ドル/トン(前月比+17.22%) 樹脂原料の起点が再び上昇。7月の底値反発から一段上へ
2026-09-11 日本銀行が2026年8月の企業物価指数を公表。化学製品は前年比+13.9% 樹脂を含む区分の上昇を統計で確認
2026-09-13週 税関長公示レートが158.81円。8月2日週の163.16円から4.35円の円高(当社計算) 輸入資材の仕入コストを押し下げ、原料高の一部を相殺
2026-09-17 石油化学工業協会が8月の実績を発表。エチレン生産設備の稼働率は73.5%(速報)で、2月以来の7割台 樹脂の在庫がLDPE・HDPE・PP・PSで増加。原料側の供給は持ち直し(第4章)
2026-09-27週 税関長公示レートが155.39円。9月13日週から3.42円の円高(当社計算) 輸入資材の仕入コストを押し下げる方向が継続

2月末から7月中旬までの約4ヶ月半で、市場は「値段が上がる」段階から「数量が確保できない」段階を経て、「代わりのルートを組み立てる」段階へ移りました。価格改定の発表が5月1日と6月1日に集中しているのは、価格を固定する契約の更新と、出荷日を基準にした改定の適用が重なったためです。8月以降の動きは第4章にまとめています。

CHAPTER 042026年8月〜9月の動き

7月12日の再閉鎖のあと、8月から9月28日までの動きを、2026年9月29日に当社が確認できた資料だけでまとめました。日々の相場・月の平均・統計の指数は種類の違う指標なので、1本の線として比べないようご注意ください。

原油とナフサは9月に再び上がり、円高が一部を打ち消しています

8月から9月にかけて、原油(ブレント)は7月23日以来の100ドル超えとなり、ナフサのスポット価格は前月比+17.22%になりました。一方で、7月31日の日米協調介入のあとは円高の方向に動いています。

指標直近の値比較
ブレント原油109.09ドル/バレル
(2026年9月10日)
9月8日97.92ドルから+11.4%(当社計算)
ナフサ(スポット)871.17ドル/トン
(2026年9月10日)
前月比+17.22%/前年比+55.26%
国産ナフサ(四半期)104,331円/kL
(2026年7月分速報)
4〜6月期118,900円/kLから低下。1〜3月期は65,700円/kL
税関長公示レート158.81円/ドル
(2026年9月13日週)
8月2日週163.16円から4.35円の円高(当社計算)
税関長公示レート(最新)155.39円/ドル
(2026年9月27日週)
9月13日週158.81円から3.42円の円高(当社計算)

表のブレントとナフサは Trading Economics の日々の表示値です。これとは別の指標で、世界銀行の月平均(Pink Sheet 9月号)では、8月のブレントは90.9ドル/バレルでした。

物流資材の原料には、燃料のような価格を抑える措置がありません。軽油の全国平均は2026年8月17日から9月7日までの3週間で0.2円しか動いていませんが、同じ時期にナフサは1か月で17.22%動きました。9月の上昇が資材の値段に表れるとすれば、第2章の時間差から年末から翌春にかけてです。

円高は、輸入資材の側で上昇の一部を打ち消しています。日本銀行の2026年8月の企業物価指数では、輸入物価の前月比が円ベースで−3.0%、契約通貨ベースで−1.0%で、差の2.0ポイントが直近1ヶ月の円高による押し下げ分です(当社計算)。ただし前年比では円ベース+24.8%・契約通貨ベース+16.7%で差は+8.1ポイントと逆向きになるため、見積を比べるときは前月比と前年比のどちらで話しているかを先にそろえる必要があります。

樹脂の生産:エチレン設備の稼働率は8月に73.5%まで戻りました

石油化学工業協会が9月17日に発表した8月の実績(速報)では、エチレン生産設備の稼働率は73.5%で、7月の69.8%から上がりました(前年同月は80.2%)。エチレンの生産量は389,400トンで、前月比+4.6%、前年同月比▲6.9%です。報道(共同通信)によると、稼働率が70%台に戻ったのは2月以来の半年ぶりで、中東以外からナフサを調達するルートの確保が進んだためです。同協会の会長は「国内の必要な事業には十分応えられるレベルだ」と述べています。

同じ発表では、樹脂の在庫はLDPE・HDPE・PP・PSのすべてで前月より増え、在庫の水準はLDPE・HDPEが「やや高め」、PP・PSが「適正近辺」とされています。8月の汎用樹脂の国内出荷は、夏休みで使う側の稼働日が減ったことを主な理由に、前月より大きく減りました。原料側の品薄は、春と比べてやわらいでいることが読み取れます。

値段の統計:プラスチック製品は8月も前年より11.2%高い水準です

日本銀行の国内企業物価指数(9月11日公表)では、国内のプラスチック製品の価格は8月に前月比+1.0%、前年比+11.2%でした。前月比の上がり方は7月の+2.4%より小さくなりましたが、まだ上がっています。

区分2026年7月2026年8月
プラスチック製品前月比+2.4%
前年比+10.1%
前月比+1.0%
前年比+11.2%
化学製品前年比+13.8%前月比0.0%
前年比+13.9%

10月13日に公表された9月の速報では、プラスチック製品は前月比+1.1%、前年比+12.8%でした。化学製品は前月比+0.3%、前年比+13.3%です。同じ公表で、8月の値はプラスチック製品が前月比+0.9%・前年比+11.3%、化学製品が前年比+13.0%に改められています(上の表は9月11日公表の値のままです)。

区分2026年9月(10月13日公表の速報)
プラスチック製品前月比+1.1%
前年比+12.8%
化学製品前月比+0.3%
前年比+13.3%

樹脂メーカーの発表

ポリエチレン・ポリプロピレンの国内大手であるプライムポリマーと日本ポリエチレンのニュース一覧には、2026年7〜9月の価格改定の発表は載っていません(9月29日に当社が確認)。両社の直近の価格改定の発表は、プライムポリマーが4月21日、日本ポリエチレンが6月8日です。プライムポリマーは7月1日に国内ポリオレフィン事業の統合を発表しています。

⚠ 確認できていないこと

2026年8月・9月のPE・PPの国内価格、およびストレッチフィルム・PPバンドの実勢価格は、当社では一次資料で確認できていません。本章で扱っているのは原料・為替・樹脂の生産と在庫、つまり原料側の数値です。資材そのものの値段は、第5章の一覧が7月時点の内容である点にご注意ください。

ストレッチフィルム・PPバンドのメーカーによる7〜9月の価格改定の発表は、当社が調べた範囲では見つかっていません。樹脂の在庫の増加が資材の値段や納期にどう表れるかを示す資料も、確認できていません。

2026年9月時点のVLCC(大型タンカー)の用船料についても、一次資料で確認できていません。

CHAPTER 05品目ごとの値段と入手のしやすさ

主な品目を、主な原料・国内の成形設備の有無・入手のしやすさ・確認できた価格改定の4つで比べました。一覧は2026年7月時点の内容で、8〜9月の動きは第4章にまとめています。

品目主原料国内成形設備入手のしやすさ(2026年前半)確認できた価格改定
プラスチックパレット PP/HDPE 維持されている 通常発注が可能。輸入パレットの流入量は変動 樹脂価格の改定を反映
中古パレット 回収品(PP/HDPE) 該当なし(洗浄・選別) 輸入貨物由来の供給源が変動し在庫構成に影響 需給に応じて変動
ストレッチフィルム LLDPE(mLLDPE含む) 縮小(流通の90%以上が海外生産品) 割当供給。薄膜・ナノ積層品で製造リードタイムが延伸 三菱ケミカル ダイアラップ 15%/マレーシア産は5月末→7月に約18%の値下げ
PPバンド PP(バージン/再生) 一部維持 割当供給。再生PP材は相対的に安定 各社が改定を実施
PETバンド PET(再生原料を含む) 維持されている PPヘビーバンドの代替候補として検証が進む段階 公表資料上、当社で確認できていません
OPPテープ OPP基材+ゴム系/アクリル系粘着剤 維持されている 調達継続が可能。前年比15〜30%の価格上昇 グンゼ OPPフィルム改定/スリーエム ジャパン 2次改定
養生テープ PE基材+粘着剤 維持されている 特定メーカー品で割当供給と在庫切れ 国産+40%以上/輸入PB品+60%以上、ダイヤテックス20〜30%、寺岡製作所+100円/巻、萩原工業20〜30%、日東電工約1割弱
マスキングテープ 和紙基材+粘着剤 維持されている 国産主要3社の型番が広範に在庫切れ(4月26日時点) 中国製は国産比30〜50%安い水準
緩衝材(発泡PE) LDPE/LLDPE 維持されている 原料の価格改定が直接波及 国内大手4社が4月1日出荷分から一斉改定
食品トレー ポリスチレン 維持されている 樹脂改定90〜100円/kgを反映 エフピコ20%以上、中央化学・デンカポリマー30%以上
再生プラスチック原料 国内回収材 該当なし(粉砕・ペレット化) 中東産ナフサから相対的に独立。回収率が供給上限 バージン樹脂相場に連動
⚠ 表の読み方について

「国内成形設備」の欄が「維持されている」品目は、原料さえ確保できれば供給が戻る見込みが立ちます。一方「縮小」の品目は、原料が確保できても成形の段階で詰まるため、戻るペースが違います。ストレッチフィルムの調達計画は、この違いを前提に立てる必要があります。

価格改定率は各社の公式発表にもとづく発表時点の数値で、その後の改定や適用範囲の変更を反映していない場合があります。ストレッチフィルムの欄の約18%の値下げは、マレーシア産を対象とした2026年5月末から7月にかけての動きで、国内メーカー品の価格改定とは別の動きです。発注の前に、必ず各社の最新の案内をご確認ください。各改定の発表時期は第3章の時系列の表にあります。

2026年7月時点の値段の方向(当社が取引で確認しているもの)

次の表は公表資料ではなく、当社が2026年7月時点の取引で確認している方向を、当社の判断で整理したものです。見積の条件やロット、納入先によって差が出るため、傾向としてご覧ください。

品目2026年7月時点の方向当社の見方
プラスチックパレット(バージン材) 値上げが継続 原料樹脂の改定が順に反映される段階で、原料側の反発とも重なるため、下がる材料は乏しい状況です
プラスチックパレット(再生材) 価格改定なし。改定がある場合も小幅 国内で回収した材料が原料のため、中東産ナフサの影響を受けにくい性質が、値段にも表れています
PPバンド 値下げ傾向 割当供給がゆるんだ段階で、原料調達の改善が単価に反映されつつあります
ストレッチフィルム 値下げ傾向 第3章のマレーシア産の約18%値下げと同じ方向です。輸入に頼る割合が高いぶん、海外産の値動きが国内の建値に届きやすくなっています
緩衝材 値下げ傾向 LDPE・LLDPE系の原料が落ち着いたことを受け、2026年前半の値上げの時期から方向が変わっています
📌 バージン材と再生材で方向が分かれている点について

同じプラスチックパレットでも、バージン材(新しい樹脂)と再生材で値段の方向が逆になっています。これは第1章で見た「原料の系統の違い」が、値段の局面が変わったときに逆向きに働くためです。バージン材は樹脂の改定の反映が続く一方、再生材は国内で回収した材料が原料のため、改定の理由そのものが少なくなっています。

ただし、フィルム・バンド・緩衝材の値下げ傾向は、7月12日のホルムズ海峡再閉鎖より前の原料の状況を反映したものです。第2章の2〜6ヶ月の時間差を踏まえると、7月時点の方向がそのまま続くとは限りません。9月に原料が再び上がったことは第4章にまとめています。

CHAPTER 06品目ごとの要点と詳しい記事

品目ごとの要点を2〜3行にまとめ、詳しい内容は個別記事へご案内します。キーワードで探したいときは、ページ上部の「このまとめの記事を探す」が便利です。

分野A / パレット
プラスチックパレット(選定・切替)

射出成形の国内の生産能力が保たれているため、フィルム類ほどの品薄にはなりませんでした。樹脂の価格改定は続いており、必要な性能に対して仕様が過剰なパレットの見直しが現実的な対応です。

分野B / 中古パレット
中古パレット・木製代替・通い箱

新品の納期が読みにくい時期に、当面の供給を埋める手段です。輸入パレットの流入量の変動で中古市場の在庫の中身が変わり、木製からは再生プラスチックパレットへの切り替えの検討が進みました。

分野D / PPバンド
PPバンド・PETバンド・結束資材

フィルムと同じく割当供給が続きました。国内回収材を使う再生PPバンドは供給が比較的安定しており、PPヘビーバンドにはPETバンドへの置き換えが検証されています。採用できるかは自動梱包機との相性で決まります。

分野E / 粘着テープ
粘着テープ(OPP・養生・マスキング)
分野G / 再生樹脂
再生プラスチック原料

国内で回収した材料が原料のため、中東産ナフサの影響を比較的受けにくい資材です。ただし相場はバージン樹脂に連動し、供給量は回収率という上限で決まります。

分野H / 原料
上流市況(ナフサ・樹脂原料)
分野I / 価格改定
価格改定マップ
分野K / 削減
使用量削減

調達先を変えずに、包装機の延伸の仕組みや長尺化、荷姿の見直しで、必要な量そのものを減らす方法を品目別に扱います。

CHAPTER 07代わりの調達先、4つの選択肢と当社の取扱い

供給が詰まったときに取れる手段は4つあります。どれも万能ではなく、品目と用途で効き目が変わるため、組み合わせて使います。

選択肢中身有効な条件
1. 中国製の輸入ルートも使う石炭化学ルートを背景に持つ中国製は、原料の系統が違うぶん、影響を受ける経路も違います包装機・封緘機との適合(テンション・強度・巻き芯径)を事前に確認できる場合
2. 再生材・国内循環ルートへ切り替える国内回収材の再生PP・PEは、中東産ナフサの影響を比較的受けにくい材料です要求物性が再生材の範囲に収まる場合。回収率は約30%で、全量の切替ではなく一定比率の併用が現実的
3. 使用量そのものを削減するプリストレッチプリストレッチ包装機の中であらかじめフィルムを引き伸ばしてから荷物に巻く方式です。同じ荷姿を包むのに必要なフィルムの量を大きく減らせるため、供給が詰まったときの使用量削減策になります。包装機などで必要量を下げる(Lantech方式は延伸率3倍を公表)包装工程が標準化され、荷姿のばらつきが少ない場合。削減幅は自社の荷姿での実測が前提
4. 資材そのものを置き換える折りたたみコンテナ・通い箱への切替、過剰仕様のパレットの見直し、PPバンドからPETバンドへの置換納入先との間で容器の回収スキームを作れる場合。パレットの仕様変更は実機で確認

代わりの調達先を1つに集中させると、そこが詰まったときに同じ状況に戻ってしまいます。たとえばストレッチフィルムなら、包装機で使う量を減らしつつ、残りの必要量を国内品と中国製の2つのルートに分けて確保する組み立て方が考えられます。再生原料そのものを探す場合は、当社が運営する樹脂スクラップ売買掲示板も使えます。

当社で扱っている調達ルート

選択肢1と選択肢4について、当社が実際に供給している品目のページと、当社が運営する売買掲示板をご紹介します。

分野L / 当社の取り扱い
当社取扱品目・直輸入ルート
分野M / 掲示板
中古パレット・樹脂スクラップ売買掲示板(当社運営・無料)

新品の調達先を増やす以外に、「余っている資材を出す」「他社が出した資材を引き取る」という道もあります。当社は、売り手と買い手が直接やりとりできる掲示板を運営しています。投稿・閲覧・お問い合わせはいずれも無料で、掲載料も成約手数料もかかりません。数量の下限はなく、1枚・1袋からでも投稿できます。投稿者名はニックネームで構わず、連絡先は公開されません。お問い合わせは投稿者へ直接届き、当社は取次をしません。

運営はプラスチックパレット株式会社(千葉県我孫子市・古物商許可 千葉県公安委員会 第441370000913号)です。スパム対策のため写真は掲載していませんので、現物の確認は当事者の間でお願いします。

CHAPTER 08発注で迷ったときの5つの判断軸

  • 割当通知への応答速度:割当供給の下では、通知から24〜48時間以内の確定発注が推奨されています。相見積もりをしている間に枠が埋まることがあります
  • 重要資材の在庫水準:欠品すると出荷ラインが止まるテープ・フィルム・PPバンドは、少なくとも1.5〜2ヶ月分の在庫の確保が推奨されています
  • 価格改定の適用基準日:2026年前半は「出荷日」基準の事例が多くなっています。見積書と注文請書に基準日が書かれているかを確かめます
  • 代替品の適合性を先に検証:供給が安定している時期に、包装機・封緘機・自動梱包機でサンプルでの評価を済ませておきます
  • 原料側の指標を見る:アジアのナフサスポット価格、国内エチレンプラントの稼働基数、樹脂メーカーの改定発表、マレーシア・中国からの納期回答、ホルムズ海峡の通航状況、石油化学工業協会の月次の稼働率と樹脂在庫(第4章)

適用基準日の考え方は価格改定の適用基準日と価格転嫁2026で詳しく書いています。当社では、品目別の在庫状況と代わりの候補についてのご相談を承っています。

用語集14語

このまとめで使う主な用語を14項目にまとめました。

ナフサ
原油を精製して得られる粗製ガソリンです。石油化学製品の出発原料で、日本のエチレン原料の95%以上を占めます。原油と違い、国家備蓄制度の対象外です。
ナフサクラッカー
ナフサを高温で分解し、エチレン・プロピレン・ブタジエン・芳香族を取り出す設備です。石油化学コンビナートの中心で、ここが減産すると下流の樹脂の供給が詰まります。
連産品
ひとつの原料を分解する過程で同時に生まれる複数の製品のことです。ナフサからはエチレンだけを選んで取り出せないため、特定の製品だけを増産することは難しくなっています。
LLDPE
直鎖状低密度ポリエチレンです。ストレッチフィルムの主な原料で、よく伸びて破れにくい性質があります。薄いフィルムや多層品では、メタロセン触媒を使ったmLLDPEが使われます。
PP
ポリプロピレンです。プラスチックパレット、折りたたみコンテナ、PPバンドの主な原料で、プロピレンを重合してつくります。再生PPは国内で回収した材料からつくられます。
PET
ポリエチレンテレフタレートです。飲料ボトルの素材として知られていますが、結束用のPETバンドにも使われます。PPとは樹脂の系統が違うため、供給が詰まる経路も違います。
OPP
二軸延伸ポリプロピレンです。縦と横の2方向に引き伸ばして強さと透明性を高めたフィルムで、梱包用OPPテープの基材に使われます。
アロケーション
割当供給のことです。供給量が需要を下回るとき、メーカーが既存の取引先の過去の実績に応じて出荷量を配分する運用で、新規の大口の注文は事実上受け付けられなくなります。
フォースマジュール
不可抗力のことです。当事者の責任ではない理由で契約を守れなくなったときに、供給の義務を免れると宣言するもので、樹脂メーカーが宣言すると、契約した数量の供給が保証されなくなります。
CTO / MTO
石炭からオレフィン(プラスチックの原料)をつくる経路(Coal to Olefins)と、メタノールを経由する経路(Methanol to Olefins)です。中国で広く使われ、ナフサとは別の系統の原料に頼っています。
プリストレッチ
包装機の中であらかじめフィルムを引き伸ばしてから荷物に巻く方式です。同じ荷姿を包むのに必要なフィルムの量を大きく減らせるため、供給が詰まったときの使用量削減策になります。
ダウンゲージング
フィルムを薄くして使う樹脂の量を減らすことです。コスト対策として行われますが、薄くするほど高い成形技術と原料のグレードが必要になり、いくらでも進められるものではありません。
容リパレット
容器包装リサイクル法にもとづいて回収された廃プラスチックを原料とするパレットです。国内で循環した原料を使うため、輸入樹脂の調達状況の影響を比較的受けにくくなっています。
ホルムズ海峡
ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海峡です。世界の海上原油輸送量の約20〜25%が通る経路で、通航の状況が原油とナフサの調達に直結します。
出典・エビデンス一覧35件

このまとめで使った主な情報源を、種類ごとに示します。

官公庁・公的機関

  • 経済産業省「中東情勢関連対策ワンストップポータル」およびナフサ輸入量に関する公表(2026年4月30日)
  • 内閣官房「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保及び重要物資の安定的な供給確保のための対応方針」関連資料
  • 石油化学工業協会 エチレン生産・原料構成に関する統計
  • 中小企業庁「中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援について」

調査機関・業界統計

  • 帝国データバンク「ナフサ関連製品サプライチェーン動向分析調査」2026年4月17日公表(全国4万6,741社、うち資本金1億円未満4万1,417社)
  • 旭産業株式会社 ストレッチフィルム国内流通に関する調査(海外生産品比率90%以上)
  • Windward ホルムズ海峡通過タンカー数の集計
  • モノタロウ 掲載在庫状況の実調査(2026年4月26日時点)

メーカー公式発表

  • DIC株式会社 スチレン系原料価格改定(2026年3月24日発表)およびポリスチレン・スチレン系製品の価格改定(2026年5月29日発表・6月1日納入分)
  • 三菱ケミカル株式会社 アクリル酸製品およびオキソ製品の価格改定(2026年4月1日出荷分)
  • グンゼ株式会社 OPPフィルムの価格改定(2026年4月21日)
  • スリーエム ジャパン株式会社 テープ・接着剤製品の価格改定通知
  • ダイヤテックス株式会社、株式会社寺岡製作所、萩原工業株式会社、日東電工株式会社 各社の価格改定発表
  • 大倉工業株式会社、エフピコチューパ株式会社、東京インキ株式会社、東洋紡エムシー株式会社 2026年6月1日出荷分の価格改定
  • 株式会社エフピコ、中央化学株式会社、デンカポリマー株式会社 食品トレーの価格改定および再生材活用に関する公表
  • フォルモサ・プラスチックス 不可抗力宣言(2026年4月1日)

2026年8月〜9月の追補分(9月前半の確認分)

  • 国際エネルギー機関「Oil Market Report」2026年9月版(湾岸諸国の8月石油輸出 日量約1,300万バレル、停止中の生産 日量1,000万バレル超)|当社が直接確認
  • 米国エネルギー情報局「Short-Term Energy Outlook」2026年9月版(2026年下期のブレント想定平均 約90ドル)|二次ソース経由
  • Breakwave Advisors(2026年9月8日/ホルムズ海峡通航の戦争リスク保険料 船体価格の7.5〜12.5%、情勢前 約0.25%)|当社が直接確認
  • 日本銀行「企業物価指数」2026年8月速報・2026年9月11日公表(化学製品 前年比+13.9%、輸入物価 前月比 円ベース−3.0%/契約通貨ベース−1.0%)|当社が直接確認
  • Trading Economics(ブレント・WTI・ナフサのスポット価格)|当社が2026年9月10日〜12日に同ページで確認した表示値。同サイトは掲載する原油価格を公式のベンチマークではないCFD・OTCベースの価格と明記しており、統計表に日付列がありません
  • Al-Monitor(2026年9月10日/サウジアラビアの8月産油量、9月8日の石油施設攻撃)|当社が直接確認
  • 税関 税関長公示レート(2026年8月2日週〜9月13日週)|当社が直接確認。関税定率法にもとづき前々週の実勢平均で決まります
  • 新電力ネット(原データ:資源エネルギー庁)軽油・レギュラーの全国平均価格(2026年8月17日〜9月7日)|二次ソース経由
  • 大景化学(原データ:財務省貿易統計)国産ナフサ価格の四半期推移|二次ソース経由
  • ドル円・ブレントの2026年7月23日の値、および2026年8月3日の155.22円は当社既存記事の記録によります

2026年8月〜9月の追補分(9月29日の確認分・第4章)

  • 石油化学工業協会「実績概要メモ」2026年8月・2026年9月17日発表(エチレン生産設備の稼働率73.5%、エチレン生産量389,400トン、樹脂の在庫と在庫水準)|当社が直接確認
  • 共同通信配信「エチレン稼働率7割に回復」2026年9月17日(稼働率が70%台に戻った理由、石化協会長の発言)|報道(二次ソース)
  • 日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」2026年9月11日公表(プラスチック製品・化学製品の前月比・前年比)|当社が直接確認
  • 株式会社プライムポリマー「2026年ニュース一覧」、日本ポリエチレン株式会社「ニュース」(2026年7〜9月の価格改定の発表の有無)|当社が2026年9月29日に閲覧
  • 税関「税関長公示レート」2026年9月27日〜10月3日(米ドル155.39円)|当社が直接確認
  • 世界銀行「Commodity Price Data (The Pink Sheet)」2026年9月号(2026年8月のブレント月平均90.9ドル/バレル)

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CHAPTER 11よくある質問

物流資材の価格と納期は、なぜイラン情勢と連動するのですか

プラスチックパレット・ストレッチフィルム・PPバンド・OPPテープは、いずれも原油から精製されるナフサを起点とするポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)を主原料としています。2026年2月28日のホルムズ海峡事実上封鎖により中東産原油・ナフサの調達環境が変化し、樹脂価格と供給量に影響が及びました。ナフサから樹脂、樹脂から成形品へと2〜6ヶ月かけて波及するため、上流の変動が資材価格に現れるまでには時間差があります。

ストレッチフィルムとPPバンドの入手が特に難しかったのはなぜですか

原料の制約に加えて、国内の成形設備が縮小していたことが重なったためです。ストレッチフィルムは日本市場の流通量の90%以上が海外生産品で(旭産業株式会社調査)、2000年代初頭に輸入品との価格競争で国内のフィルム成形設備が大幅に縮小・撤退しました。このため国内でナフサが確保できても成形段階が制約となり、輸入シェア約7割を占めるマレーシア産の供給変動がそのまま国内需給に直結する構造となっています。

2026年7月時点で、資材価格は下がる方向に向かっているのですか

品目によって方向が分かれています。上流のナフサは底値をつけたのち反発する局面にあり、マレーシア産ストレッチフィルムでは5月末から7月にかけて約18%の値下げが確認されています。一方で7月12日にホルムズ海峡が再閉鎖されており、この影響が資材段階へ届くには2〜6ヶ月の時間差があります。上流の改善と新たな変動が同時に進行している局面のため、単一の方向で判断せず品目ごとに確認する必要があります。8〜9月の動きは第4章にまとめています。

再生プラスチック原料はナフサ市況の影響を受けにくいのですか

再生原料は国内で回収されたプラスチックパレット・コンテナ・容器包装材を原料とするため、中東産ナフサの調達環境から相対的に独立しています。ただし再生材の相場はバージン樹脂価格と連動して動くため、価格面での影響は受けます。食品トレー業界ではエフピコの回収拠点11,000カ所、アークス向け再生原料比率76%といった到達点が示される一方、業界全体の回収率は約30%にとどまっており、供給量には上限があります。

2026年9月時点で、樹脂の生産や在庫はどうなっていますか

石油化学工業協会の発表(9月17日)では、2026年8月のエチレン生産設備の稼働率は73.5%(速報)で、前月の69.8%から上がりました。70%台に戻ったのは2月以来で、中東以外からのナフサの代わりの調達が進んだためと報じられています。樹脂の在庫は8月に前月よりLDPE・HDPE・PP・PSのすべてで増え、在庫の水準はLDPE・HDPEが「やや高め」、PP・PSが「適正近辺」とされています。一方、日本銀行の企業物価指数では、8月のプラスチック製品の価格は前年比+11.2%で、まだ上がっています。在庫の増加がストレッチフィルムやPPバンドの値段・納期にどう表れるかを示す資料は、当社では確認できていません。詳しくは第4章をご覧ください。

2026年9月に原油とナフサがまた上がりましたが、パレットやフィルムの価格はすぐ上がりますか

すぐには現れません。ナフサから樹脂、樹脂から成形品までの波及にはおよそ2〜6ヶ月かかるため、2026年9月の上昇が資材価格に反映されるとすれば年末から翌春にかけてと考えられます。ただし現時点の見積書に含まれていないことは、影響がないことを意味しません。また燃料には価格抑制措置が働いており軽油の全国平均は2026年8月17日から9月7日までの3週間で0.2円しか動いていませんが、樹脂原料の側に同様の措置はなく、ナフサのスポットは同時期に前月比+17.22%となっています。一方で7月31日以降の円高は輸入資材の円建てコストを押し下げる方向に働いており、日本銀行の8月の企業物価指数では輸入物価の前月比が円ベース−3.0%、契約通貨ベース−1.0%で、差の2.0ポイントが円高による押し下げ分です(当社計算)。詳しくは第4章をご覧ください。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社は千葉県我孫子市に本社を置く物流資材専門の商社で、プラスチックパレット・折りたたみコンテナ・PPバンド・ストレッチフィルム・再生プラスチック原料を全国のお客様へ供給しています。取り扱う資材のほぼすべてがナフサ由来の樹脂を原料とするため、原油・ナフサ市況と国際情勢は日々の調達判断そのものです。実務で確認した供給状況とメーカー各社の公式発表を、購買・調達のご担当者が判断に使える形で整理しています。

CHAPTER 12この記事について

本記事は、当社が制作している「2026年サプライチェーン完全ガイド」シリーズのうち、物流資材を担当するまとめ記事です。国際情勢そのものの全体像は上位のまとめ記事イラン情勢まとめ2026、なぜガソリンや食品の値段に響くのかを時系列で整理|米国・湾岸4カ国を、品目ごとの詳しい内容は第6章に掲載した各記事をご覧ください。各記事の紹介文は概要ですので、詳しい内容は各記事の本文をご覧ください。

第4章と、第3章の9月17日以降の行は、2026年9月29日に当社が確認した資料によります。第5章の一覧と値段の方向は2026年7月時点の内容です。市況や企業の動きはその後も変わるため、実務の判断に使うときは最新の情報をご確認ください。本記事は業界の動きを整理したもので、特定の調達や投資の判断をすすめるものではありません。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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