建設資材の値上げ一覧2026、工事の費用がなぜ上がるのかを品目別に|養生テープ・断熱材・TOTO・LIXIL
養生テープ、シーリング材、塩ビ管、合板、断熱材、塗料用シンナー、TOTOやLIXILの住宅設備。2026年2月末からのイラン情勢で続いた値上げと品不足を、供給・工期・値上げの3つの見方で整理し、9月までの動きも加えました。本記事は5つの分野の要点と時系列・値上げの一覧だけを短くまとめ、詳しい内容は個別記事26本へご案内します。
- 建設資材の状況は、2026年3〜7月に3段階で変わりました。3〜4月は「モノが入らない」時期、5〜6月は値上げが一斉に始まった時期、6月下旬以降は「原料の相場は下がったのに国内の価格は戻らない」時期です。
- 住宅設備の品不足はほぼ解消し、TOTOは6月9日にユニットバスを含む全製品の受注を再開しました。一方で値上げは6月1日の30社に7月の10社が加わって40社超となり、LIXILとYKK APは10月、TOTOは12月1日受注分からの値上げを発表しています。
- 値上がりが大きいのは、養生テープ(国産で40%以上)、断熱材(40%前後)、塗料用シンナー(メーカー発表で75%)です。どれもナフサ(原油からつくる石油化学の原料)から枝分かれする4本の原料の流れにつながっているため、同じ時期にまとめて上がりました。
- 9月10日にはナフサが1トン871.17ドルとなり、7月16日の842ドルを上回りました。一方で7月31日の日米協調介入のあとは円高に振れ、国土交通省の9月の調査では生コンクリート・鋼材・木材などの主要資材の価格は「横ばい」でした。原料高と円高のどちらが強く効くかは、品目ごとに違います。
- 工期や入札への影響、発注者と話し合うときに使える制度、立場ごとに見るべき数字も短く整理しました。品目ごとの詳しい内容は、下の「このまとめの記事を探す」から個別記事で読めます。
こんな方へ ── まず読むところ
- 工務店・住宅会社の方:値上げの時期と率は第6章「値上げを発表した40社超の一覧」へ。7月下旬以降の新しい発表は第3章「2026年8月〜9月の動き」にあります
- 公共工事・土木・管工事の方:入札不調や単品スライド条項(資材の値上がり分を契約金額に反映できるしくみ)は第7章「工期・入札・原価への影響」へ
- 塗装・防水・内装の業者の方:シンナー・シーリング材・断熱材の要点は第5章「5つの分野の要点と詳しい記事」へ
- 家を建てる方・リフォームを考えている方:見積が高くなる理由と見るべき数字は第7章の「立場別に見る分野と数字」へ
- 養生テープや梱包用テープの仕入れにお困りの方:当社の中国製OPPテープ調達支援をご覧ください
いまはどんな局面か(7月時点と9月の変化)
建設資材をめぐる状況は、2026年3月から7月にかけて3段階で変わりました。第1段階は3〜4月の「モノが入らない」時期、第2段階は5〜6月の「値上げが一斉に始まる」時期、第3段階は6月下旬以降の「原料の相場は下がったのに国内の価格は戻らない」時期です。7月12日のホルムズ海峡の再閉鎖は、この「下がりにくさ」をさらに強める方向に働きました。
品不足がいちばんはっきり解消したのは住宅設備です。4月13日に受注を見合わせたTOTOは、6月9日にユニットバスを含む全製品の受注を全面再開して納期も通常に戻し、クリナップ・LIXILも正常化しました。一方で価格は下がっておらず、40社超の値上げに続いて、東リ・デンカアステック・LIXIL・旭ファイバーグラス・YKK APの改定が秋まで予定されていました。原料のナフサが6月下旬に衝突前の水準まで下がったときも、国内の建設資材の価格は下がりませんでした。
アジアのナフサ価格は6月25日に1トン627ドルと、衝突前の632ドルを下回りましたが、7月12日のホルムズ海峡再閉鎖を受けて7月16日には842ドルへ戻りました。約3週間で34%の上昇です。7月8日にはトランプ大統領が停戦合意の終了を表明し、6月14日のイスラマバード覚書(米国とイランの暫定合意)の履行は事実上止まりました。
その後の2か月で、この見方の前提は2つとも動きました。ナフサのスポット価格(その時々の取引価格)は2026年9月10日に871.17ドル/トンと7月16日の842ドルを上回り(前月比+17.22%)、為替は7月31日の日米協調介入のあと円高に振れています。くわしくは第3章にまとめました。
開戦から2026年9月までの時系列
建設資材の値上げは、中東情勢の節目からほぼ決まった時間差で起きています。2026年3〜7月には、大きな出来事から原料メーカーの値上げ発表までが2〜3週間、そこから建材メーカーの値上げ発表までがさらに3〜5週間でした。
2026年8月〜9月の動き
本記事のほかの章の多くは、2026年7月19日時点の内容です。その後、原料のナフサは再び上がり、円は高い方向へ振れました。原料と為替が逆の方向に動いているため、7月時点の読み方をそのまま当てはめると判断を誤るおそれがあります。本章は、2026年9月29日に当社が確認できた資料だけでまとめています。
原料(樹脂)と燃料で、効き方が分かれています
建設資材への影響の通り道は、第4章でまとめた4本の原料の流れを通る「樹脂系」と、重機や資材の輸送にかかる「燃料系」の2つです。2026年9月時点では、この2つがまったく違う動き方をしています。
| 経路 | 2026年9月の動き | 建設資材への意味 |
|---|---|---|
| 樹脂系 (4本の原料の流れ) |
ナフサのスポットが871.17ドル/トン。前月比+17.22%、前年比+55.26%(2026年9月10日) | 7月16日の842ドルを上回りました。次の値上げの圧力になりうる動きです |
| 燃料系 (重機・資材輸送) |
軽油の全国平均が159.3円から159.5円。2026年8月17日から9月7日までの3週間で0.2円 | 燃料油の価格抑制措置が効いており、現場の燃料費にはまだ表れていません |
| 為替 (輸入建材・原料) |
公示レートが163.16円から158.81円へ。4.35円の円高(当社計算) | 円建ての仕入コストを押し下げる方向です。上流の値上がりを一部打ち消します |
出典は第10章に記載しました。ナフサはスポット価格で、国産ナフサ(四半期の通関実績)には9月の上昇はまだ含まれていません。公示レート(税関が輸入品の円換算に使うレート)は関税定率法にもとづき前々週の実勢平均で決まるため、実勢よりおよそ2週間遅れて動きます。なお世界銀行の月平均では、8月のブレント原油は90.9ドルでした。9月10日の109.09ドル(第2章)は日々の値で、種類の違う指標です。
第11章のよくある質問では、値下げが起きない理由の第2に円安(7月16日の1ドル162.28円)を挙げています。この点は2026年9月時点では逆向きになっており、輸入建材と輸入原料には円建てコストを押し下げる力が働いています。一方、第1の国内エチレン設備の稼働率と、第3のナフサの反発は変わっていません。値下げが起きにくいしくみはそのままで、為替の向きだけが変わったのが2026年9月の状態です。
円高の効き方は、前月比と前年比で逆になります
日本銀行の2026年8月の企業物価指数(企業どうしで売り買いするモノの値段の指数)では、輸入物価の前月比が円ベースで−3.0%、契約通貨ベース(ドルなど取引に使った通貨での値段)で−1.0%でした。差の2.0ポイントが、直近1か月の円高が押し下げた分です(当社計算)。ただし前年比では円ベース+24.8%・契約通貨ベース+16.7%で、差は+8.1ポイントと向きが逆になります。価格交渉で「為替が戻ったのだから下げられるはず」という話が出たときは、どの期間で比べているかを先にそろえる必要があります。
同じ8月の企業物価指数(9月11日公表)では、国内の「プラスチック製品」が前年比+11.2%・前月比+1.0%でした。「窯業・土石製品」は前年比+5.2%、化学製品は+13.9%、石油・石炭製品は+14.7%です。樹脂でできた製品の値段は、8月も前の月より上がっています。
国の調査では主要資材は「横ばい」、ただし樹脂系は対象外です
国土交通省の主要建設資材需給・価格動向調査(毎月1〜5日時点)では、8月(8月25日発表)は価格がH形鋼で「やや上昇」、そのほかは「横ばい」でした。9月(9月25日発表)は、全ての調査対象資材で価格が「横ばい」、需給は「均衡」、在庫は「普通」です。
ただし、この調査の対象は生コンクリート・鋼材・木材など7資材13品目です。本記事が主に扱う養生テープ・断熱材・シンナーなど石油化学系の資材の動きは、この調査からは読み取れません。同じ9月25日に発表された建設労働需給調査(8月分)では、全国の8職種で1.3%の人手不足でした。
7月下旬以降に確認できた、会社と国の動き
| 発表日 | 会社・機関 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年7月31日 | TOTO | 住宅設備機器の希望小売価格を12月1日受注分から改定。平均で衛生陶器13%・システムトイレ9%・ウォシュレット(一体形便器・シートタイプ)10%・水栓金具8%・ユニットバス・システムバス8%・洗面化粧台9%・その他商品9% |
| 2026年9月1日 | 城東テクノ | 一部製品の受注制限・受注停止を全面解除(第7報。7月31日の第6報で一部緩和) |
| 2026年9月11日 | 城東テクノ | 2027年2月1日出荷分からの価格改定を案内(改定率は公式ページの本文には書かれていません) |
| 2026年9月16日(報道) | 国土交通省(建設Gメン) | 6〜7月に建設業者172者を重点調査し、138者に改善指導。最も多かったのは見積もりの内訳明示や条件提示の不備で115者(66.9%) |
会社の発表は各社の公式ページで確認しました。建設Gメン(国土交通省の建設業法の調査担当)の結果は、日本工業経済新聞などの業界紙の報道によるもので、国土交通省の発表資料そのものは当社では確認できていません。
TOTOの値上げは「受注分」が基準のため、12月の工事でも11月30日までに受注が確定しているかどうかで価格が変わる可能性があります。城東テクノは、9月1日に受注制限を解除したあと、9月11日に価格改定を案内しました。
日本銀行の9月の企業物価指数(10月13日公表)
日本銀行が10月13日に公表した9月の速報では、プラスチック製品は前月比+1.1%、前年比+12.8%、化学製品は前月比+0.3%、前年比+13.3%でした。石油・石炭製品は前月比−2.2%、前年比+11.5%です。8月の値は同じ公表で、プラスチック製品が前年比+11.3%、化学製品が前年比+13.0%に改められています。
| 区分 | 2026年9月(速報) |
|---|---|
| プラスチック製品 | 前月比+1.1%、前年比+12.8% |
| 化学製品 | 前月比+0.3%、前年比+13.3% |
| 石油・石炭製品 | 前月比−2.2%、前年比+11.5% |
供給と運ぶコスト
国際エネルギー機関の2026年9月の石油市場報告によると、湾岸諸国の8月の石油輸出は日量約1,300万バレルで、情勢前のおよそ半分にとどまりました。運賃の面では、Breakwave Advisorsが2026年9月8日時点で、ホルムズ海峡を通る船の戦争リスク保険料(戦争による損害に備える保険料)を船体価格の7.5〜12.5%(1回あたり)としており、情勢前の約0.25%の30〜50倍です(当社計算)。
2026年8月・9月の石油化学系の建設資材そのものの実勢価格は、当社では一次資料で確認できていません。各社の追加の値上げは、TOTOと城東テクノの発表を公式ページで確認しましたが、ほかの会社の追加改定の有無は一次資料で確認できていません。本章で扱っているのは、主に原料・為替・供給という上流側の数字と、国の調査の結果です。第6章の値上げの一覧は2026年7月19日時点の内容で、その後の値上げは上の表の範囲でしか反映していません。
2026年9月時点のVLCC(大型の原油タンカー)の用船料と、建設工事費デフレーターの最新の値も、一次資料で確認できていません。国土交通省の中東情勢関連の通知一覧(建設産業分野・住宅生産課)には、7月下旬以降の新しい通知は掲載されていませんでした(9月29日に当社が確認)。
建設資材のもとになる4つの原料の流れ(パイプ)
建設資材がいっせいに値上がりしたのは、ナフサという1つの出発点から枝分かれする4本の原料の流れ(本記事では「パイプ」と呼びます)に、ほぼすべての石油化学系の建材がつながっているためです。どのパイプが詰まると何が止まるかを知っておくと、次の値上げがどの品目に来るかを読みやすくなります。
| パイプ | 中間原料 | 主な建設資材 | 2026年の代表的な改定 |
|---|---|---|---|
| パイプ1 オレフィン系 |
エチレン・プロピレン (PE・PP) |
養生テープ基材、OPPテープ基材、ポリエチレン管、断熱材、緩衝材 | 積水化学 ポリエチレン管10〜12%(6/1)、養生テープ国産+40%以上 |
| パイプ2 塩ビ系 |
塩化ビニルモノマー (PVC) |
塩ビ管・継手、樹脂サッシ、壁紙、ビニル床タイル、雨どい | 信越化学 塩ビ樹脂+30円/kg以上(3/16)、積水化学 塩ビ12%(6/1) |
| パイプ3 スチレン・アクリル系 |
スチレンモノマー、アクリル酸エステル、VAM | 粘着剤全般、接着剤、シーリング材、断熱材(EPS・XPS) | DIC スチレン系100円/kg以上(4/1納入分)、三菱ケミカル VAM+40円/kg(3/18出荷分) |
| パイプ4 芳香族系 |
トルエン・キシレン | 塗料用シンナー、溶剤系塗料、印刷インキ、防水材 | 日本ペイント シンナー75%(3/19発注分)、関西ペイント50% |
値下がりしにくい、上流の3つの事情
1つ目に、日本のナフサの中東依存度は2020年の53%から2024年には74%へ上がっていました。2つ目に、原油には254日分の国家備蓄がありますが、ナフサは国家備蓄の対象外で、民間の在庫は約20日分にとどまります。3つ目に、国内のエチレン設備(ナフサを分解して樹脂の原料をつくる設備)は、採算の分かれ目とされる90%稼働を44ヶ月連続で下回り、2026年4月の稼働率は67.3%でした。稼働率が採算の分かれ目を下回り続けているあいだは、原料が値下がりしても、その分は値下げではなく採算の回復に回されます。
ナフサの値段の推移と、国内価格が下がりにくいわけ
| 時点 | アジアナフサ | 局面 |
|---|---|---|
| 2026年3月6日 | 776ドル/トン | 攻撃直後、1週間で1,000ドル超へ |
| 2026年4月3日 | 1,190ドル/トン | 封鎖前比+92% |
| 2026年5月16日 | 1,043ドル/トン | ピーク圏で高止まり |
| 2026年6月3日 | 788ドル/トン | ADNOCのオマーン経由輸出再開報道 |
| 2026年6月25日 | 627ドル/トン | 衝突前水準632ドルを下回る |
| 2026年7月16日 | 842ドル/トン | 再閉鎖を受けて反発、6/25比+34% |
為替は7月16日時点で1ドル162.28円、国産ナフサ価格指標は96,965円/キロリットルでした。7月時点では、円建てで見ると相場の下落分が為替で打ち消される状態が続いていました。
上流の相場、円建ての実際の購入価格、国内メーカーの建値(メーカーが示す基準の価格)は、同じ速さでは動きません。第2章の時系列では、3月6日のナフサ急騰から信越化学の塩ビ樹脂改定(3月16日)・日本ペイントのシンナー改定(3月19日)までが約2週間、建材メーカーの値上げ発表が集中した4月下旬〜5月上旬まではさらに3〜5週間で、上流の変動が建値に届くまではおおむね1.5〜2ヶ月でした。
5つの分野の要点と詳しい記事
26本の記事を、原料の流れと工事の工程の両面から5つの分野に分けました。分野ごとの要点を短くまとめ、最後に該当する記事へのリンクを置いています。キーワードで探すときは、ページ上部の「このまとめの記事を探す」が便利です。
粘着・シール資材(テープ・接着剤・シーリング材)
いちばん早く、いちばん大きく動いた分野です。テープの基材と粘着剤の両方が石油由来のため、パイプ1とパイプ3の値上げが重なって乗ります。養生テープの実勢価格は、国産品が2025年中ごろの250〜300円から2026年7月には350〜450円へと40%以上、輸入のプライベートブランド品は60%以上上がりました。シーリング材(外壁のすき間を埋める材料)はカネカのMSポリマー120円/kg、信越化学のシリコーン30円/kg以上の値上げと、出荷量の割り当て(クォータ制)が続き、接着剤ではセメダインが全製品を20%以上引き上げました。
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躯体・屋根・配管・舗装資材(塩ビ管・合板・屋根防水材・アスファルト合材)
パイプ2とパイプ3の影響を直接受け、工期と公共工事の入札にいちばん強く響いた分野です。塩ビ管・ポリエチレン管は3〜7月に3段階で上がり、積水化学工業は5月7日出荷分から12〜20%、6月1日に塩ビ12%・ポリエチレン10%を追加で値上げしました。合板は接着剤と輸送費の上昇で住宅1棟分のコストが10〜20%程度上がる見込みとされ、屋根は屋根材・下葺材・野地板の三層すべてに値上げが及びました。
内装・住宅設備(断熱材・石膏ボード・サッシ・床材・水回り・エアコン)
品不足から値上げへ、いちばんはっきり局面が変わった分野です。住宅設備はTOTOが6月9日に全製品の受注を全面再開して正常に戻った一方、LIXILは8月3日受注分から浴室・水栓金具・タイルを、10月1日(一部9月1日)受注分から建材・サッシ・外装を改定するとしています。TOTOも7月31日に、12月1日受注分からの値上げを発表しました(第3章)。断熱材はパイプ1とパイプ3の両方に頼っており、カネカ・デュポン・スタイロ・JSP・アキレスが40%の値上げを行いました。
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塗料・溶剤(シンナー・建築用塗料)
値上げ率がいちばん大きく、「在庫はあるのに現場に届かない」状態が起きた分野です。トルエン・キシレン(シンナーの原料)の国内在庫は平時の約85%を保っていましたが、流通側が出荷を平時の半分程度に絞りました。日本ペイントの建築用シンナーは公式には75%の値上げですが、2026年2月以前に1缶4,000円程度だったものが、出荷が絞られた中での実勢価格では15,000円超(3.75倍)に達しました。
価格・制度のまとめ(値上げ一覧・政府の対応)
個別の品目をまたいで、値上げの全体像と国の対応を追う分野です。6月1日発効の30社と7月追加分の10社で、合計40社超が値上げを実施または発表しました。政府は4月1日に予備費8,007億円の使用を閣議決定し、経済産業省は7月3日に、シンナーなどの溶剤の原料を平時の1.8倍の規模で確保する枠組みを発表しました。
値上げを発表した40社超の一覧
2026年3月から10月にかけて実施された、または予定されている主な値上げを、実施時期の順に並べました。改定率は各社の発表にもとづき、一覧は2026年7月19日時点の内容です。7月下旬以降に確認できた新しい発表(TOTO・城東テクノ)と、原料・為替の動きは第3章にまとめました。
実施済み(2026年3〜7月)
| 発効 | 企業 | 対象 | 改定率 |
|---|---|---|---|
| 3月16日 | 信越化学工業 | 塩化ビニル樹脂 | +30円/kg以上(約2割) |
| 3月18日出荷分 | 三菱ケミカル | VAM(酢酸ビニルモノマー) | +40円/kg |
| 3月19日発注分 | 日本ペイント | 建築用シンナー | 75% |
| 4月1日納入分 | DIC | ポリスチレン・スチレン系 | +100円/kg以上 |
| 4月1日出荷分 | ダイヤテックス | 養生テープ(パイオラン) | 20〜30%+アロケーション |
| 4月1日 | 三菱ケミカル | アクリル酸製品 | +40円/kg以上 |
| 4月20日出荷分 | シップス・ジャパン | 防蟻断熱材「パフォーム・ガード」シリーズ | 個別案内 |
| 4月24日 | LIXIL・YKK AP | サッシ・ドア全般 | 5〜15% |
| 4月24日 | カネカ | カネライトフォーム | 40% |
| 4月27日出荷分 | セメダイン | 接着剤全製品 | 20%以上 |
| 5月1日 | デュポン・スタイロ | スタイロフォーム | +40% |
| 5月1日出荷分 | アキレス | 硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード類) | 40%+出荷制限 |
| 5月1日 | 田島ルーフィング | 防水材 | +40〜50% |
| 5月1日出荷分 | 大倉工業 | ラミネート製品 | 30%以上 |
| 5月1日出荷分 | エフピコチューパ | OPP防曇フィルム | 35%以上 |
| 5月7日 | 旭化成建材 | ネオマフォーム | +20%+特別調整金約20% |
| 5月7日出荷分 | 積水化学工業 | 塩ビ管・ポリエチレン管 | 12〜20% |
| 5月11日出荷分 | エスケー化研 | シンナー・塗料 | 30%以上+出荷量制限 |
| 6月1日 | 日本ペイント | 塗料(第3波) | 溶剤系25〜35%・水性20〜30% |
| 6月1日出荷分 | JSP | ミラフォーム他(押出法ポリスチレン断熱材) | +40% |
| 6月1日 | パラマウント硝子工業 | グラスウール | +15% |
| 6月1日 | 積水化学工業 | 塩ビ管・ポリエチレン管(追加) | 塩ビ12%・PE10% |
| 6月1日納入分 | DIC | スチレン系(第2波) | 追加改定 |
| 6月9日 | ダイヤテックス | 養生テープ(追加) | 追加改定 |
| 6月出荷分 | 吉野石膏 | 石膏関連製品 | 20% |
| 6月22日 | グンゼ | OPPフィルム | 9%(正式発効) |
| 7月1日 | 永大産業 | 建材・設備/床材/室内ドア | 10〜15%/15%/10% |
| 7月1日 | ニチハ | 金属屋根材・サイディング | 15% |
| 7月1日 | チヨダウーテ | 石膏ボード | 20〜50% |
| 7月1日 | マグ・イゾベール | グラスウール | 25%以上 |
| 7月1日受注分 | サンゲツ | 壁紙・床材・カーテン | 20〜30% |
| 7月出荷分 | 旭ファイバーグラス | アスファルトシングル | 約30% |
7月下旬〜10月に予定されていた値上げ(7月19日時点)
| 予定 | 企業 | 対象 | 改定率 |
|---|---|---|---|
| 7月27日受注分 | 東リ | 床材・カーペット・壁装材・接着剤 | 20〜30% |
| 8月1日 | デンカアステック | ガルバリウム雨どい | 20%以上 |
| 8月3日受注分 | LIXIL | 浴室・水栓金具・タイル | 浴室13%・トイレ13%・キッチン10%・洗面12% |
| 9月1日 | 旭ファイバーグラス | グラスウール全製品 | 15%以上 |
| 10月1日 (一部9月1日)受注分 | LIXIL | 建材・サッシ・外装 | 外壁・屋根平均13%・住宅サッシ・ドア平均13%・エクステリア平均15% |
| 10月1日 | YKK AP | 窓サッシ | 10〜15% |
値上げの基準は「受注日」と「出荷日」の2種類が混ざっています。たとえばLIXILの水回りは8月3日受注分からの適用で、出荷が9月以降になる案件でも、8月2日までに受注が確定していれば旧価格でした。TOTOの値上げも12月1日「受注分」からです。見積の有効期限が短くなっているため、工程よりも受注の確定日を優先して調整したほうがよい場面があります。
本表は各社の公式発表と業界紙の報道にもとづきます。実際の適用価格は、製品の仕様・取引条件・出荷日・販売ルートによって異なります。個別メーカーの詳細は【7月更新】建設・物流・包装資材 値上げ40社超完全マップ 2026年6-7月をご覧ください。
工期・入札・原価への影響と立場別の見方
建設の仕事は工程が一列に並んでいるため、資材の値上がりは原価が増えるだけでなく、工期と入札にも響きます。通り道は次の3つです。
経路1:新築1棟あたりの原価
新築住宅1棟あたりのコスト増は56万円超とする試算が業界の専門メディアで示されており、4,000万円の住宅なら約1.4%にあたります。ただし当社では、この試算を公表した媒体名と計算の根拠までさかのぼれる資料を確認できておらず、参考値として扱ってください。リフォームでは、30坪前後の戸建住宅の外壁塗装で材料費が見積総額の約20〜30%を占め、材料費が15%以上上がったことで、総額の負担増は15〜25万円程度になります。
経路2:公共工事の入札不調
水道管の更新工事では、塩ビ管の3段階の値上げで、予定価格(発注者が決める上限の価格)の計算のもとになる単価が短い期間で古くなりました。設計した時点の単価と発注する時点の実勢価格の差が大きくなると、入札に参加する会社が集まらず、入札不調(落札者が決まらないこと)から工期の延期へとつながります。くわしくはイラン情勢×ナフサショックが直撃する水道管更新で扱っています。
経路3:納期の回答が読めない
2026年3〜5月の受注停止(TOTO、クボタケミックス、フクビ化学工業、田島ルーフィングなど)は、値段そのものよりも工程の管理に響き、着工日を決められない案件が出ました。6月以降は住宅設備を中心に納期の回答が通常に戻り、田島ルーフィングも7月1日付で新規受注を全面再開しましたが、7月時点では断熱材・防水材・内装材で数量の調整が続いている品目がありました。9月1日には城東テクノが一部製品の受注制限を全面解除しています(第3章)。
| 時期 | 主な制約 | 工程への影響 | 2026年7月時点の状況 |
|---|---|---|---|
| 2026年3〜4月 | 出荷停止・受注停止 | 着工日が確定できない | 住宅設備は解消 |
| 2026年5月 | アロケーション・数量調整 | 数量が読めず歩留まり調整が必要 | 粘着材・断熱材で継続 |
| 2026年6〜7月 | 価格改定が相次いで発効 | 見積有効期限の短縮 | 秋まで継続の見通し |
| 2026年8〜10月 | 改定予定分の発効 | 受注確定日の前倒し判断 | 東リ・LIXIL・旭ファイバーグラス |
発注者・元請と話し合うときに使える制度
公共工事では、工事請負契約書第26条第5項の単品スライド条項で、特定の資材の値上がりを契約金額に反映でき、塩ビ管・ポリエチレン管が主な対象になります。国土交通省は2026年4〜5月に、適正な請負代金・工期の確保や単品スライド条項の適用などについての通知を整理し、東京都建設局は「単品スライド条項運用マニュアル」を公開、東京都水道局は入札に申し込める件数を2件から4件へ増やしました。
民間工事と中小事業者向けには、中小企業庁が2026年3月23日に拡充した特別相談窓口と、公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」があります。どちらも、資材の値上がりを発注者・施主へ早めに伝えることが前提の制度です。9月には、見積もりの内訳の示し方の不備が多かったという建設Gメンの調査結果も報じられています(第3章)。
立場別に見る分野と数字
同じ資材の値上がりでも、立場によって見るべき数字と取るべき対応は違います。6つの立場ごとに整理しました(表は7月時点の内容です)。
| 立場 | 優先する分野 | 注視すべき数値 | 7月時点の対応の要点 |
|---|---|---|---|
| 工務店・住宅会社 | C(内装・住宅設備)/B(躯体) | LIXIL 8月3日受注分、新築1棟+56万円超 | 受注確定日を基準に見積を再構成。改定予定分の前倒し受注を検討 |
| 塗装・防水業者 | D(塗料・溶剤)/A(シーリング材) | シンナー公式75%・実勢15,000円超、外壁塗装+15〜25万円 | 材料費比率20〜30%を前提に見積根拠を施主へ明示 |
| 土木・管工事業者 | B(躯体・配管) | 積水化学 塩ビ12%・PE10%(6月1日)、入札不調 | 予定価格の積算時点と発注時点の乖離を発注者と事前協議 |
| 建材商社・販売店 | E(価格・制度)/全セグメント | 改定40社超、受注日基準と出荷日基準の混在 | 基準日の違いを整理した価格表を顧客へ提示 |
| 物流・倉庫事業者 | A(粘着資材) | OPPテープ前年比15〜30%、機械用長尺品の欠品 | 手貼り用への一部切替と複数調達先の確保 |
| 施主・一般家庭 | やさしく解説シリーズ | 養生テープ国産+40%以上、外壁塗装+15〜25万円 | 工事時期の判断材料として改定スケジュールを確認 |
これからの見方と、見ておきたい5つの指標
イスラマバード覚書が定めた60日間の交渉期間は8月中旬が期限でしたが、7月8日に米国側が停戦合意の終了を、イラン側も履行義務の停止を表明しており、覚書は期限の前に実質的な効力を失っていました。以下は2026年7月時点の見通しで、9月時点で分かった事実を短期の欄に書き加えました。新しい予測は加えていません。
短期(2026年8〜9月):7月時点では、第6章の予定表に挙げた値上げが7月下旬から10月にかけて順に実施される時期で、住宅設備の正常化は続く一方、断熱材・防水材では数量の調整が残る品目があると見ていました。9月時点では、国土交通省の9月の調査で主要資材の価格は「横ばい」・需給は「均衡」で、城東テクノが9月1日に受注制限を全面解除しました。一方、日本銀行の8月の企業物価指数ではプラスチック製品が前年比+11.2%で、TOTOは12月1日受注分からの値上げを発表しています(第3章)。
中期(2026年10月〜2027年3月):LIXILの建材・サッシ・外装(10月1日、一部9月1日受注分)とYKK APの窓サッシ(10月1日)の値上げで、秋以降の新しい案件では値上げ後の価格が前提になります。国内のエチレン設備の稼働率が44ヶ月連続で90%を下回る状態が続くかぎり、上流の相場が下がっても、その分は値下げではなく採算の回復に回る可能性が高いと見ています。
長期(2027年4月以降):ナフサの中東依存度が2020年の53%から2024年に74%へ上がったことが今回の影響の大きさを決めており、調達のしくみそのものの見直しが論点になります。輸入先の分散と、国内の石油化学の製造基盤の維持は、別々に判断すべき2つの論点です。
見ておきたい5つの指標
| 指標 | 直近の値 | 確認先 | 意味 |
|---|---|---|---|
| アジアナフサ価格 | 842ドル/トン(7月16日) | 市況情報・商社公表値 | 約1.5〜2ヶ月後の建材価格に反映される先行指標 |
| 国産ナフサ価格指標 | 96,965円/kL(7月16日) | 石油化学工業協会・商社公表値 | 為替を含む実購入コスト。円安局面では下落分が相殺される |
| エチレン設備稼働率 | 67.3%(4月) | 石油化学工業協会 | 90%回復が国内価格の下方修正が始まる条件 |
| ホルムズ海峡の通航隻数 | 6隻(7月12日) | 船舶動静データ | 供給制約の再発を最も早く示す指標 |
| 建設工事費デフレーター | 133.3(2026年1月・建設総合) | 国土交通省(月次公表) | 公共工事のスライド条項の参照指数となる |
本章の見通しと表の値は、2026年7月19日時点で確認できた資料にもとづいています(短期の欄の9月時点の事実を除く)。建設工事費デフレーターの最新の値は、2026年9月29日時点で当社では確認できていません。次回の更新は2026年10月中旬を予定しています。
用語集
このまとめで使う主な用語を14項目にまとめました。
原油を蒸留して得られる粗製ガソリンです。エチレン・プロピレン・ベンゼンなど石油化学の基礎原料の出発点で、樹脂・粘着剤・溶剤のほぼすべてがここから枝分かれします。日本では国家備蓄の対象外で、民間の在庫は約20日分にとどまります。
ナフサを熱で分解してエチレン・プロピレンをつくる設備です。国内には12基あり、採算の分かれ目となる稼働率は90%とされます。2026年4月時点の稼働率は67.3%で、44ヶ月連続で採算の分かれ目を下回っています。
供給量が需要より少ないときに、メーカーが顧客ごとに出荷量を割り当てるやり方です。過去の出荷実績を基準にすることが多く、新しい顧客や増量の注文には応じてもらえなくなります。2026年は養生テープ・シーリング材で行われました。
酢酸ビニルモノマーです。接着剤・粘着剤・合板用の接着樹脂の原料で、2026年3月18日出荷分から三菱ケミカルが40円/kgの値上げを行い、欧州のスポット価格は前年比で300%超上がりました。
変成シリコーン系のシーリング材の原料です。上から塗装でき、雨風に強いため、外壁の目地に広く使われます。カネカが2026年に120円/kgの値上げを行いました。
ペルシャ湾の出口にあたる海峡で、中東産の原油・ナフサ・LNGの主な通り道です。2026年3月4日にイランが完全支配を宣言し、7月12日に再閉鎖されました。同日の通航確認は6隻でした。
2026年6月14日にパキスタンの仲介で米国とイランが合意した14項目の暫定の枠組みです。軍事作戦の停止、60日間の交渉期間、ホルムズ海峡の60日間の無料安全通航などを含みます。6月17日にG7で正式に署名され18日に発効しましたが、7月8日に米国側が終了を表明しました。
日本水道協会の規格認証です。水道用の管材は同協会の規格に合うことが求められるため、海外製品を短い期間で代わりに使うことが難しく、塩ビ管を輸入品で代替するときの実務上の壁になっています。
ふつうの値上げとは別枠で、原料の急騰分を一時的に上乗せするやり方です。旭化成建材がネオマフォームで+20%の値上げに約20%の特別調整金を加えた例があり、実質的な負担増は改定率を単純に足した値に近くなります。
運賃・保険料込みの輸入価格です。商品そのものの価格に、海上運賃と保険料が含まれます。合板のように輸入に頼る割合が高い品目では、燃料サーチャージと保険料率の上昇がそのままコストに乗ります。
国土交通省が毎月公表する、建設工事の費用の物価指数です。2015年度を100とし、2026年1月時点の建設総合は133.3(前年同月比+3.2%)でした。公共工事標準請負契約約款のスライド条項で参照されます。実際の取引価格そのものではない点にご注意ください。
工事請負契約書第26条第5項に定めるしくみで、特定の資材の値上がりを契約金額に反映できます。2026年は塩ビ管・ポリエチレン管が主な対象になりました。全体スライド・インフレスライドとは、使える条件と参照する資料が違います。
公共工事の入札で参加者が現れない、または予定価格を超えて落札者が決まらない状態です。設計時点の積算単価と発注時点の実勢価格の差が大きいときに起き、工期の延期につながります。
日本銀行が毎月公表する、企業どうしで売り買いするモノの値段の指数です。2026年8月速報(9月11日公表)では、国内のプラスチック製品が前年比+11.2%、化学製品が+13.9%でした。輸入物価には、円で見た値と契約通貨で見た値の2種類があります。
出典・エビデンス一覧50件(公的機関17・報道や企業33)
出典は、メーカーの公式発表で確認したもの、報道・業界媒体を経由して確認したもの、官庁・業界団体が公表したものの3つに分けて記載しています。
メーカーの一次情報
- 旭化成 工藤幸四郎社長 記者会見/2026年5月12日
- システムバスルームの受注に関する第2信・第3信/TOTO/2026年4月13日・4月15日
- ユニットバス等の受注再開に関する発表/TOTO/2026年6月9日
- 「システムバスルームの新規受注再開について」/クリナップ/2026年4月21日
- 価格改定に関する発表/LIXIL/2026年5月18日
- 塩化ビニル樹脂の価格改定に関する発表/信越化学工業/2026年3月
- 塩ビ管・ポリエチレン管の価格改定に関する発表/積水化学工業/2026年4月・6月
- ネオマフォームの価格改定に関する発表/旭化成建材/2026年5月
- 建材価格改定に関する発表/ウッドワン/2026年4月15日
報道・業界媒体
- 「日本の原油タンカー、全てホルムズ海峡通過 『再封鎖』で正常化不透明」/日本経済新聞/2026年7月13日
- ホルムズ海峡の情勢と今後の見通しに関する解説記事/global-scm.com/2026年7月8日・7月14日
- ナフサ価格推移表/大景化学/2026年7月16日時点
- 「日本ペイント、シンナー製品で75%値上げ」/日本経済新聞/2026年3月
- アジアナフサ価格に関する報道/ロイター/2026年6月3日
- アジアナフサ価格に関する報道/日本経済新聞/2026年6月25日
- ナフサ生産見通しに関する経済産業大臣発言/LOGISTICS TODAY/2026年7月
- 「建材資材の値上げと受注停止の影響」/テイガク/2026年7月14日更新
- 「リフォーム値上がりはいつまで?2026年8月の追加値上げ」/リフォーム補助金ナビ/2026年7月
官庁・制度・業界統計
- 「2026年3月期 石油化学工業統計速報」/経済産業省
- ナフサ輸入量および川下製品在庫に関する発表/経済産業省/2026年4月30日
- 国家備蓄原油の追加放出に関する発表/資源エネルギー庁/2026年5月
- 建設工事費デフレーター(2015年度基準・建設総合)/国土交通省/2026年1月分
- 中東情勢に伴う建設産業分野の対応に関する通知(単品スライド条項の適用等)/国土交通省/2026年4〜5月
- 「単品スライド条項運用マニュアル」/東京都建設局
- 入札申込み可能件数の拡大に関する制限内容改正/東京都水道局
- 「中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援について」/中小企業庁/2026年3月23日
- 「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」/公正取引委員会
- エチレン設備稼働率に関する公表資料/石油化学工業協会
- 調達リスクに関する調査/帝国データバンク/2026年4月17日
- 接着剤全製品の価格改定に関する通知/セメダイン/2026年4月
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- 「ナフサ・クライシス2026|緊急特集TOP20と反転局面」/プラスチックパレット株式会社/2026年7月4日更新
- 本記事が統括する建設資材関連26本(第5章に一覧を掲載)
2026年8月〜9月の動き(第3章)の出典
- 国際エネルギー機関「Oil Market Report」2026年9月版(湾岸諸国の8月石油輸出 日量約1,300万バレル、停止中の生産 日量1,000万バレル超)|当社が直接確認
- 米国エネルギー情報局「Short-Term Energy Outlook」2026年9月版(2026年下期のブレント想定平均 約90ドル)|二次ソース経由
- Breakwave Advisors(2026年9月8日/ホルムズ海峡通航の戦争リスク保険料 船体価格の7.5〜12.5%、情勢前 約0.25%)|当社が直接確認
- 日本銀行「企業物価指数」2026年8月速報・2026年9月11日公表(化学製品 前年比+13.9%、石油・石炭製品 +14.7%、輸入物価 前月比 円ベース−3.0%/契約通貨ベース−1.0%)|当社が直接確認
- Trading Economics(ブレント・WTI・ナフサのスポット価格)|当社が2026年9月10日〜12日に同ページで確認した表示値。同サイトは掲載する原油価格を公式のベンチマークではないCFD・OTCベースの価格と明記しており、統計表に日付列がない
- Al-Monitor(2026年9月10日/サウジアラビアの8月産油量 日量623.8万バレル、9月8日の石油施設攻撃)|当社が直接確認
- 税関 税関長公示レート(2026年8月2日週〜9月13日週)|当社が直接確認。関税定率法にもとづき前々週の実勢平均で決定される
- 新電力ネット(原データ:資源エネルギー庁)軽油の全国平均価格(2026年8月17日〜9月7日)|二次ソース経由
- ドル円の2026年8月3日 155.22円は当社既存記事の記録による
- TOTO「住宅設備機器商品の希望小売価格改定」(2026年7月31日、ニュースリリース全文PDF)|当社が直接確認
- 城東テクノ「【第7報】受注制限解除のお知らせ」(2026年9月1日)・「価格改定のご案内」(2026年9月11日)|当社が直接確認
- 国土交通省「主要建設資材需給・価格動向調査(8月1〜5日現在)」(2026年8月25日)・「同(9月1〜5日現在)」(2026年9月25日)|当社が直接確認
- 国土交通省「建設労働需給調査結果(令和8年8月分調査)」(2026年9月25日)|当社が直接確認
- 日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」の類別指数(プラスチック製品 前年比+11.2%・前月比+1.0%、窯業・土石製品 +5.2%)|当社が直接確認
- 日本工業経済新聞「【建設Gメン】中東情勢受け重点調査/138者に改善指導」(2026年9月16日。日刊建設工業新聞も同日に報道)|二次ソース経由
- 世界銀行「Commodity Price Data (The Pink Sheet)」2026年9月号(8月のブレント原油の月平均 90.9ドル)
- 国土交通省「中東情勢に伴う建設産業分野における対応状況について」・住宅局住宅生産課「中東情勢関連の通知・事務連絡」(2026年9月29日に当社が閲覧。7月下旬以降の新しい通知の掲載なし)
よくある質問
ナフサが6月に下がったのに、なぜ建設資材の価格は下がらないのですか
理由は3つあります。第1に、国内のエチレン設備が損益分岐となる90%稼働を44ヶ月連続で下回っており、原料下落分は値下げではなく採算回復に充てられる状態にあります。第2に、円安により円建ての実購入価格では下落分が相殺されています。7月16日の為替は1ドル162.28円でした。第3に、そもそも6月の下落は一時的で、7月12日の再閉鎖を受けてナフサは7月16日に842ドルまで反発しています。なお為替は、7月31日の日米協調介入のあと円高に振れており、2026年9月時点ではこの第2の理由は逆向きになっています(第3章)。
いま発注すべきか、価格が落ち着くまで待つべきか、どう判断すればよいですか
品目によって判断が分かれます。改定日が決まっている品目は、その日までに受注を確定すると価格面で有利です。7月19日時点の一覧にあった東リ(7月27日受注分)、LIXILの水回り(8月3日受注分)、旭ファイバーグラス(9月1日)は改定日がすでに過ぎており、これからの予定としては、LIXILの建材・サッシ・外装(10月1日受注分)、YKK APの窓サッシ(10月1日)、TOTOの住宅設備(12月1日受注分)などがあります。一方、値上げの予定が公表されていない品目は、上流の相場が下がっても国内価格の引き下げには時間差があるため、待つことによる価格面の利益は限られると考えられます。なお、これは一般的な情報提供であり、個別の取引判断をおすすめするものではありません。
品不足はもう解消したと考えてよいですか
分野によって違います。住宅設備は解消しました。TOTOは2026年6月9日にユニットバスを含む全製品の受注を全面再開し、納期も通常に戻っています。クリナップ・LIXILも正常化し、城東テクノも9月1日に一部製品の受注制限を全面解除しました。7月時点では、断熱材・防水材・粘着材の一部で数量の調整や出荷量の割り当て(アロケーション)が続いていました。国土交通省の9月の調査(9月1〜5日時点)では、生コンクリート・鋼材・木材など調査対象の主要資材はすべて需給が「均衡」ですが、石油化学系の資材はこの調査からは読み取れません。また7月12日のホルムズ海峡再閉鎖では、同日の通航確認が6隻と5週間で最少となっており、上流側の不確実性は残っています。
建設資材のなかで、これからも値上げが続きそうな品目はどれですか
値上げの予定が公表されている範囲では、内装仕上材と住宅設備、断熱材の3分野です。7月19日時点では、東リが7月27日受注分から床材・カーペット・壁装材・接着剤を20〜30%、LIXILが8月3日受注分から浴室・水栓金具・タイルを、旭ファイバーグラスが9月1日からグラスウール全製品を15%以上引き上げる予定でした。さらにLIXILは10月1日(一部9月1日)受注分から建材・サッシ・外装を、YKK APは10月1日から窓サッシを10〜15%引き上げます。7月下旬以降は、TOTOが12月1日受注分からの住宅設備の値上げを、城東テクノが2027年2月1日出荷分からの価格改定を発表しました(第3章)。
TOTOやLIXILの水回り・住宅設備は、いつ値上がりしますか
発表済みの範囲では、LIXILが8月3日受注分から浴室・水栓金具・タイル(浴室13%・トイレ13%・キッチン10%・洗面12%)を、10月1日(一部9月1日)受注分から建材・サッシ・外装(外壁・屋根平均13%・住宅サッシ・ドア平均13%・エクステリア平均15%)を改定するとしています。TOTOは2026年7月31日に、12月1日受注分から衛生陶器で平均13%、システムトイレ9%、ウォシュレット(一体形便器・シートタイプ)10%、水栓金具8%、ユニットバス・システムバス8%、洗面化粧台9%の値上げを発表しました。どちらも受注日が基準のため、工事の時期よりも受注を確定する日が分かれ目になります。品不足のほうは、TOTOが6月9日に全製品の受注を全面再開しており、解消しています。
2026年9月に原油とナフサがまた上がりました。建設資材の価格はさらに上がりますか
上流の数値は再び上昇しています。ナフサのスポットは2026年9月10日に871.17ドル/トンとなり、本記事が基準としている7月16日の842ドルを上回りました(前月比+17.22%、前年比+55.26%)。ブレント原油も9月10日に109.09ドルと、7月23日以来の100ドル超えとなっています。ただし波及には時間差があり、第2章で整理したとおり、大きな出来事から建材メーカーの改定発表までは合計で5〜8週間程度を要してきました。一方で7月31日の日米協調介入以降は円高に振れており、輸入建材と輸入原料については円建てコストを押し下げる力が働いています。日本銀行の2026年8月の企業物価指数では輸入物価の前月比が円ベース−3.0%、契約通貨ベース−1.0%で、差の2.0ポイントが円高による押し下げ分です(当社計算)。国土交通省の9月の調査(9月1〜5日時点)では、生コンクリート・鋼材・木材などの主要資材の価格は「横ばい」でした。原料高と円高のどちらが強く出るかは品目の輸入比率によって変わるため、一律には判断できません。くわしくは第3章にまとめています。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
当社は千葉県我孫子市に本社を置き、プラスチックパレット・再生樹脂材料・PPバンド・ストレッチフィルム等の物流資材を全国のお客様にお届けする専門商社です。これらの資材はいずれもナフサを起点とする石油化学製品であり、建設資材と原料調達の構造を共有しています。日々の調達業務で確認している一次情報を、同じ構造の影響を受ける建設業のみなさまにも活用いただけるよう、記事として整理して公開しています。
この記事について・ほかのまとめ
本記事は、当社が2026年3月から7月にかけて公開した建設資材関連26本の記事をまとめたカテゴリマップです。個別の品目のくわしい内容は、第5章に掲載した各記事をご覧ください。各分野の要点は各記事の概要ですので、詳しい内容は各記事の本文でご確認ください。改定率は各社の発表にもとづいており、実際の適用価格は製品の仕様・取引条件・出荷日・販売ルートによって異なります。第3章と第8章の短期の欄は2026年9月29日に当社が確認した資料により、そのほかの章は主に2026年7月19日時点の内容です。
イラン情勢の影響は建設資材にとどまらず、日本の産業の広い範囲に及んでいます。テーマ別のまとめ記事(準備中を含む)は次のとおりです。
文:プラスチックパレット株式会社 編集部
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