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【2026年7月版】サッシと外装が年内2度上がる10月1日、YKK APの半年再改定とLIXILの二段構えが工期の長い案件に効く理由
Construction Material Report / Sash & Metal Exterior

【2026年7月版】サッシと外装が年内2度上がる10月1日、YKK APの半年再改定とLIXILの二段構えが工期の長い案件に効く理由

2026年の建設資材では、同じメーカーが年内に2度改定する事例が出ている。YKK APは5月の改定から半年で10月1日に再改定し、LIXILは8月3日の水回りと10月1日の建材・サッシ・外装で二段構えとなる。改定率と基準日を整理し、着工まで期間の長い案件で見積が改定を跨ぐ問題を扱う。専用部材の供給制限もあわせて確認する。

MONITORING 対象 サッシ・金属外装材 最終更新 次回更新目安 2026年8月中旬
TL;DR / 3行要約
  • YKK APは2026年5月に窓サッシを改定した後、10月1日に樹脂・アルミサッシを10〜15%再改定する。半年での2度目であり、同一メーカーの年内複数回改定にあたる。
  • LIXILは8月3日受注分で水回りを、10月1日(一部9月1日)受注分で建材・サッシ・外装を改定する。外壁・屋根平均13%、住宅サッシ・ドア平均13%、エクステリア平均15%である。
  • 金属外装材はアイジー工業が6月1日から18%以上、ニチハが7月1日出荷分から15%程度を実施済み。設計から引き渡しまでの期間が長い案件では、設計時点の見積が改定を2度跨ぐことになる。
Answer / この記事の結論

2026年10月1日にサッシ・外装の改定が集中する。YKK APは5月に続く2度目10〜15%、LIXILは8月3日の水回りに続く二段構えで平均13〜15%。金属外装材はアイジー工業18%以上、ニチハ15%程度。工期の長い案件は見積が改定を2度跨ぐ。

改定が集中する日
10/1
YKK AP・LIXIL・南海プライウッド
YKK APの改定間隔
6
ヶ月(2026年5月→10月)
金属外装材の改定率
18
%以上(アイジー工業)
年内2度改定するメーカー
2
社(YKK AP・LIXIL)
Chapter 01

2026年7月19日時点の現在地

サッシと外装材の改定は、他の建設資材より遅れて始まり、そして2026年10月1日に集中している。塗料やシーリング材が3月から4月、断熱材が4月から6月、内装下地が6月から7月であるのに対し、この分野の主要な改定日は10月1日である。改定の時期が遅いことは、猶予があることを意味しない。設計から引き渡しまでの期間が長いためである。

10月1日に3社の改定が重なる

2026年10月1日には、YKK APが樹脂・アルミサッシを10〜15%、LIXILが建材・サッシ・外装を平均13〜15%、南海プライウッドが家具収納材を一律10%改定する。このうちYKK APとLIXILは、いずれも2026年内で2度目の改定にあたる。

YKK APは2026年5月に窓サッシの改定を実施しており、10月1日はそこから半年での再改定である。LIXILは8月3日受注分でトイレ・浴室・キッチン・洗面・タイル・水栓金具を改定し、10月1日(一部9月1日)受注分で建材・サッシ・外装を改定する。前者が住宅設備、後者が建材という区分の違いはあるが、同一メーカーの製品が年内に2度上がる形になる。

2026年7月19日時点で押さえるべき3点

第1に、10月1日はサッシ・外装の改定が集中する日である。YKK AP・LIXIL・南海プライウッドの3社が同日に改定を予定しており、外装工事と建具工事の見積は10月を境に前提が変わる。

第2に、金属外装材はすでに改定が発効済みである。アイジー工業が6月1日から金属サイディング・金属屋根の全製品を18%以上、ニチハが7月1日出荷分から「センタールーフ」「センターサイディング」を15%程度引き上げた。10月1日を待つのではなく、すでに新価格が適用されている。

第3に、供給面では本体より専用部材に制限が出ている。アイジー工業の専用シーリング材が6月10日から受注制限、ニチハの透湿防水シートが7月1日から供給制限、ケイミューの屋根副資材が4月15日受注分から受注制限である。

上流は7月に再び上昇に転じた

金属外装材の断熱層や樹脂サッシの原料であるナフサは、2026年5月16日に1トン1,043ドルのピークをつけたのち、6月25日には627ドルまで下落し、衝突前水準の632ドルを一時下回った。しかし7月12日にイラン革命防衛隊がホルムズ海峡を再閉鎖したことを受けて反発し、7月16日時点では842ドルとなっている。6月25日比で34%の上昇である。同日の為替は1ドル162.28円、国産ナフサ価格指標は96,965円/キロリットルであった。

建設資材全体の改定状況と情勢の推移は【建設資材・養生テープ完全まとめ】2026年イラン情勢下の建設資材調達で統括している。本記事ではサッシ・金属外装材に絞り、改定日程が工期に及ぼす影響を扱う。
Chapter 02

4月から10月までの時系列

サッシ・外装材の推移は、鋼材の改定から始まり、金属外装材、そしてサッシへと川下に向かって進んだ。10月1日に至るまで約半年を要しており、改定が到達する順序が明確に確認できる分野である。

2026-04-15
ケイミューが屋根副資材について受注制限を開始。7月時点でも継続している。外装まわりで最初に確認された供給制限である。
2026-05(契約分)
日鉄鋼板が建築用鋼材を10〜15%改定。東京製鉄もエネルギー価格の上昇を理由に鋼材を2〜5%改定した。金属外装材の素材側の改定である。
2026-05(時期詳細は未公表)
YKK APが窓サッシの価格改定を実施。10月1日の再改定はここから半年後にあたる。
2026-05-01
デュポンのタイベック製品が価格改定。タイベックソフト・タイベックハード原反が15%、タイベックシルバー原反が10%、その他製品が20%の引き上げとなった。中東情勢の影響による輸送費・原材料費・エネルギー費の上昇が要因とされる。同社の建築資材向け設計価格表は2026年5月13日付で更新されている。
2026-05-11
アイジー工業が、6月1日より金属サイディング・金属屋根の全製品を18%以上改定すると発表。金属外装材で最初に確認された改定であり、この後7月1日にニチハが15%程度の改定を実施している。
2026-05-18
LIXILが価格改定を発表。8月3日受注分から水回り、10月1日(一部9月1日)受注分から建材・サッシ・外装という二段構えの日程を示した。
2026-05-26
ケイミューが「シビルスケア」「グランスケア」ほかで減産・供給制限を開始。当面継続とされた。
2026-06-01
アイジー工業の金属サイディング・金属屋根18%以上が発効。同日、JFEロックファイバーがロックウールを20%以上・気密部材を40%以上(納入分)、三菱ケミカルインフラテックが樹脂波板「ヒシ波」・ポリカ平板「ヒシカーボ」を10%以上、三和サインワークスが取扱い全製品を20%以上(いずれも出荷分)改定した。
2026-06-10
アイジー工業が専用シーリング材の受注制限を実施。外装材の取合い部に使う専用部材に制約が及んだ。
2026-06-25
アジアナフサが1トン627ドルまで下落し、衝突前水準の632ドルを下回る。ただしサッシ・外装メーカーの改定撤回や下方修正の発表はなかった。
2026-07-01
ニチハが出荷分より、金属製屋根材「センタールーフ」および金属製外壁材「センターサイディング」(本体および付属部材)を15%程度改定。同時に透湿防水シートの供給制限を通知した。
2026-07-12〜16
イラン革命防衛隊がホルムズ海峡を再閉鎖。7月12日の通航確認は6隻と過去5週間で最少。7月16日のアジアナフサは842ドルとなり、6月25日比で34%上昇した。
2026-08-03
LIXILが受注分より水回りを改定する予定。トイレ平均13%、浴室平均13%、キッチン平均10%、洗面平均12%、タイル平均12%、水栓金具平均8%である。
2026-09-01
LIXILの建材・サッシ・外装の改定のうち、一部製品が先行して発効する予定。
2026-10-01
YKK APが樹脂・アルミサッシを10〜15%、LIXILが建材・サッシ・外装を平均13〜15%(内訳はChapter 03を参照)、南海プライウッドが家具収納材の全製品を一律10%改定する予定。3社の改定が同日に重なる。
Chapter 03

同一メーカーが年内2度改定する構造

2026年の建設資材で複数回の改定を行ったメーカーは他にもある。日本ペイントは2025年7月・2026年3月・2026年6月と約1年で3回、永大産業は2026年1月と7月1日の2回である。ただしサッシ・外装分野の2社は、意味合いが異なる。改定の間隔と対象範囲が、工期との関係で問題になるためである。

YKK APは半年での再改定

時期対象改定率備考
2026年5月窓サッシ公表資料上、率は確認できていない1度目
2026年10月1日樹脂・アルミサッシ10〜15%2度目。1度目から半年

YKK APの2026年5月の改定については、実施の事実は複数の資料で確認できるが、改定率と正確な実施日を特定できる公表資料に当社として遡及できていない。10月1日の10〜15%が5月の改定率に上乗せされるのか、別の建値に対する改定なのかについても、現時点では確認できていない。取引先へご確認いただきたい。

LIXILは対象を分けた二段構え

時期対象改定率基準
2026年8月3日 水回り(トイレ・浴室・キッチン・洗面・タイル・水栓金具) トイレ平均13%、浴室平均13%、キッチン平均10%、洗面平均12%、タイル平均12%、水栓金具平均8% 受注分
2026年10月1日
(一部9月1日)
建材・サッシ・外装 外壁・屋根平均13%、住宅サッシ・ドア平均13%、エクステリア平均15% 受注分

LIXILの場合、対象製品が水回りと建材で分かれているため、同一の製品が2度上がるわけではない。しかし新築住宅では両方を使うため、1棟の工事としては年内に2度の改定を受けることになる。8月3日までに水回りの受注を確定し、10月1日までにサッシ・外装の受注を確定するという、2つの締切を管理する必要がある。

他分野との違いは改定間隔ではなく工期

複数回の改定そのものは、2026年の建設資材では珍しくない。塗料用シンナーの日本ペイントは約1年で3回、内装建材のウッドワンは4月15日・6月22日受注分・8月18日受注分と3回である。

サッシ・外装が異なるのは、製品が使われる工程の位置である。塗料や内装材は工事の終盤で使われるため、発注から施工までの期間が比較的短い。一方、サッシは躯体工事の後、外装は中盤から終盤にかけて施工されるが、いずれも設計段階で仕様を決定する必要がある。設計時点で見積を作成し、着工を経て、実際の発注に至るまでの期間が長い。この間に改定が2度発生すると、当初見積との差が拡大する。

Chapter 04

メーカー別の改定マップ

2026年5月から10月にかけて発表されたサッシ・金属外装材および関連資材の改定を整理した。改定率は各社発表ベースである。この分野は発効済みと予定が混在しており、10月1日を境に前提が変わる。

窓・サッシ・建具

メーカー対象改定率基準日
YKK AP窓サッシ公表資料上、率は確認できていない2026年5月
YKK AP樹脂・アルミサッシ10〜15%2026年10月1日(予定)
LIXIL住宅サッシ・ドア平均13%2026年10月1日(一部9月1日)受注分(予定)

金属外装材・外壁材

メーカー対象改定率・措置基準日
アイジー工業金属サイディング・金属屋根 全製品18%以上2026年6月1日(5月11日発表)
ニチハ金属製外壁材「センターサイディング」・金属製屋根材「センタールーフ」(本体・付属部材)15%程度2026年7月1日 出荷分
ケイミュー「シビルスケア」「グランスケア」ほか減産・供給制限2026年5月26日〜当面
LIXIL外壁・屋根平均13%2026年10月1日(一部9月1日)受注分(予定)
日鉄鋼板建築用鋼材10〜15%2026年5月 契約分
東京製鉄鋼材2〜5%2026年(時期詳細は未公表)

エクステリア・採光材・サイン資材

メーカー対象改定率基準日
LIXILエクステリア平均15%2026年10月1日(一部9月1日)受注分(予定)
タキロンシーアイ住設建材製品全般(雨どい・デッキ材・エクステリア製品ほか)20%以上2026年6月1日 出荷分
三菱ケミカルインフラテック樹脂波板「ヒシ波」、ポリカ平板「ヒシカーボ」10%以上2026年6月1日 出荷分
三和サインワークス取扱い全製品20%以上2026年6月1日 出荷分
デンカアステックガルバリウム雨どい20%以上2026年8月1日(予定)
南海プライウッド家具収納材 全製品一律10%2026年10月1日 発送分(予定)

防水・気密・断熱部材

メーカー対象改定率基準日
デュポンタイベックソフト・タイベックハード原反(透湿防水シート)15%2026年5月1日
デュポンタイベックシルバー原反10%2026年5月1日
デュポンその他タイベック製品20%2026年5月1日
JFEロックファイバーロックウール20%以上2026年6月1日 納入分
JFEロックファイバー気密部材40%以上2026年6月1日 納入分

三和サインワークスは価格改定にあわせて、今後の状況次第では欠品や大幅な納期遅延が発生する可能性があると公表している。サイン・看板は店舗開業案件の最終工程にあたるため、開業日が確定している案件では納期の事前確認が必要となる。

Chapter 05

金属外装材の断面と原料の経路

金属サイディングは、名称から鋼板だけでできているように見えるが、実際は複数の層で構成される。断熱性能と施工性を担う層に樹脂が使われており、この部分がナフサの影響を受ける。鋼材価格の改定率が2〜15%であるのに対し、金属外装材が18%以上となった背景には、この層構造がある。

役割主な材料ナフサとの関係
化粧塗装 意匠と耐候性 塗料 直接的。樹脂と溶剤がナフサ由来
表面鋼板 強度と防水 ガルバリウム鋼板、カラー鋼板 間接的。製鉄のエネルギーコストを経由
接着層 鋼板と断熱材の一体化 接着剤 直接的。ナフサ由来
断熱層 断熱性能 発泡ウレタン、ポリスチレン 直接的。ナフサ由来
裏面材 防湿と補強 アルミ箔ラミネート等 間接的

各社の発表では改定率の内訳は示されておらず、上表は材料の性質を整理したものである。どの層が改定率のどの程度を占めるかを示すものではない。

樹脂サッシとアルミサッシで経路が異なる

サッシについても、樹脂とアルミで原料の経路が分かれる。樹脂サッシの主材料である塩化ビニル樹脂はナフサから分岐する石油化学製品であり、信越化学工業が2026年3月に塩化ビニル樹脂を30円/kg以上、約2割引き上げている。アルミサッシは地金の国際相場と、精錬に要する電力価格の影響を受ける。

YKK APが10月1日に樹脂・アルミサッシの双方を10〜15%の範囲で改定するのは、経路の異なる2種類の製品に共通のコスト圧力がかかっていることを示している。原料の経路は異なるが、樹脂とアルミのいずれを選んでも改定の影響から外れるわけではない。

石油化学製品ではない資材まで改定が及んだ構造については【2026年7月版】ナフサ由来でない石膏ボードが20〜50%上がった理由で扱っている。エネルギーと物流という共通経路の存在は、鋼材にも同様に当てはまる。
Chapter 06

工期の長い案件で見積が改定を跨ぐ

サッシ・外装分野の改定が実務で問題になるのは、率の大きさではない。同じ案件のなかで、見積を作成した時点と発注を確定する時点との間に改定が入るためである。工期が長いほど、この差は開く。

見積時点と発注時点のずれ

新築住宅の場合、設計段階でサッシと外装材の仕様を決め、見積を作成する。その後、確認申請・基礎工事・上棟を経て、サッシの取り付けに至る。見積の作成時点と発注の確定時点は同じではなく、その間隔は案件ごとに異なる。

2026年の状況に当てはめると、5月に作成した見積は、YKK APの5月改定を反映していても10月1日の再改定は織り込んでいない。6月に作成した見積は、LIXILの8月3日と10月1日の双方を織り込めていない可能性がある。改定が半年に2度発生すると、設計時点の見積と発注時点の実勢がずれる。

2026年のサッシ・外装で確認できること

改定率そのものは10〜18%程度であり、断熱材の40%や石膏ボードの20〜50%と比べて突出した水準ではない。実務上の問題は率ではなく改定の回数と時期にある。工期の長い工程で使われる資材が半年に2度改定されると、見積の有効期間が実質的に短くなる。この分野では、価格そのものより見積の期限管理が課題となる。

非住宅工事ではさらに期間が長い

店舗・事務所・工場などの非住宅工事では、対象となる資材の範囲がさらに広がる。サッシと外装に加えて、三和サインワークスのサイン資材が6月1日出荷分から20%以上、タキロンシーアイのエクステリア製品が6月1日出荷分から20%以上、三菱ケミカルインフラテックの採光材が6月1日出荷分から10%以上と、いずれも改定済みである。

三和サインワークスは価格改定と同時に、欠品や大幅な納期遅延が発生する可能性を公表している。開業日が先に決まっている店舗案件では、価格の確定と納期の確保を同時に管理する必要がある。サイン資材は工事の最終工程にあたるため、遅延が開業日に直結する。

改定を跨いだ場合の契約上の扱い

公共工事では、工事請負契約書第26条第5項に定める単品スライド条項により、特定資材の価格変動を契約金額に反映できる。国土交通省は2026年4月から5月にかけて、中東情勢に伴う建設産業分野の対応として同条項の適用を含む通知を整理している。

民間工事では、公正取引委員会の価格交渉に関する指針が交渉の根拠となる。いずれの場合も、改定の事実を客観的な資料で示せることが前提となる。メーカーの改定通知を案件ごとに保管しておくことが、交渉の実務では有効である。

Chapter 07

専用部材の供給制限

サッシ・外装分野では、本体材料の受注停止は確認されていない。制限がかかっているのは、専用シーリング材・透湿防水シート・屋根副資材といった、本体に付随する部材である。本体が入手できても、これらが揃わなければ施工は完了しない。

制限が続いている3つの部材

メーカー部材措置開始時期
ケイミュー屋根副資材受注制限(7月時点も継続)2026年4月15日 受注分
アイジー工業専用シーリング材受注制限2026年6月10日
ニチハ透湿防水シート供給制限2026年7月1日
ケイミュー「シビルスケア」「グランスケア」ほか減産・供給制限2026年5月26日〜当面

専用シーリング材は代替が効きにくい

金属サイディングの目地には、メーカーが指定する専用シーリング材を使用する。外装材との相性、耐候性、色調が製品ごとに設計されているためである。アイジー工業が2026年6月10日から専用シーリング材の受注制限を実施したことは、本体材料が入手できても目地の処理ができない状況が生じうることを意味する。

シーリング材全般については、2026年3月から4月にかけてカネカ・信越化学工業・サンスター技研・シャープ化学工業が改定を実施し、セメダインが供給困難を表明、サンライズが出荷停止に至っている。専用品の制限は、この流れの延長にある。

透湿防水シートは外装改修に効く

ニチハが2026年7月1日から通知した透湿防水シートの供給制限は、外壁のカバー工法と外装改修に影響する。カバー工法では既存外壁の上に透湿防水シートを施工し、その上から新しい外装材を張るため、本体材料とシートの両方が必要になる。

同種の事例として、大建工業でも透湿防水シートR(GA2115-1)が受注一時停止となり、納期未確定の既注文分がキャンセル扱いとなった。透湿防水シートは複数のメーカーで供給に制約が生じている部材にあたる。

価格面では、デュポンが2026年5月1日にタイベック製品を改定している。タイベックソフト・タイベックハード原反が15%、タイベックシルバー原反が10%、その他製品が20%である。同社は改定の公表時点で製品供給への大きな影響はないとしたうえで、今後リードタイムの延長や供給制限が発生する可能性に言及している。透湿防水シートは、価格と供給の双方で7月以降も確認が必要な部材である。

屋根における下葺材と副資材の制約は【2026年7月版】雨仕舞い三層が同時に上がった屋根工事で扱っている。単価の小さい部材が工程を止めるという構造は、屋根と外装で共通している。
Chapter 08

コスト構造の見方

サッシ・外装工事1件あたりの負担増を示した試算は、2026年7月時点で公表資料上確認できていない。ここでは金額を推定せず、区分別の改定率から負担を組み立てる方法を示す。

数値の扱いについて

区分別の改定率からサッシ・外装工事全体の上昇額を逆算することは、原価に占める各区分の構成比が案件ごとに大きく異なるため適切ではありません。開口部の数と大きさ、外装材の種類、新築か改修かによって構成比は変わります。当社として2026年7月時点で確認できる範囲では、サッシ・外装工事1件あたりの負担増を示した公表資料は見当たりません。見積の根拠とされる場合は、自社の実際の使用数量と仕入価格から個別に算出することを推奨します。

区分別に確認できる改定率

区分改定率根拠
樹脂・アルミサッシ10〜15%YKK AP(2026年10月1日予定)
住宅サッシ・ドア平均13%LIXIL(2026年10月1日・一部9月1日受注分予定)
金属サイディング・金属屋根18%以上アイジー工業(2026年6月1日・発効済み)
金属外壁材・金属屋根材15%程度ニチハ(2026年7月1日出荷分・発効済み)
外壁・屋根平均13%LIXIL(2026年10月1日・一部9月1日受注分予定)
エクステリア平均15%/20%以上LIXIL平均15%(2026年10月1日予定)、タキロンシーアイ20%以上(2026年6月1日出荷分)
建築用鋼材2〜15%東京製鉄2〜5%、日鉄鋼板10〜15%(2026年5月契約分)
透湿防水シート10〜20%デュポン タイベック(2026年5月1日・原反の種別により異なる)
気密部材40%以上JFEロックファイバー(2026年6月1日納入分)
サイン資材20%以上三和サインワークス(2026年6月1日出荷分)

気密部材の40%以上という水準

本記事で扱う区分のうち、改定率が最も高いのはJFEロックファイバーの気密部材で40%以上である。同社はロックウールを20%以上引き上げているため、同一メーカーの製品でも気密部材は倍の改定率にあたる。

気密部材は省エネ基準への適合に用いられる部材である。断熱等性能等級の要求を満たすために必要となるため、コスト調整のために仕様を落とすことが難しい区分にあたる。数量比では小さくとも、改定率が高いことから影響を受けやすい。

建材全体との関係

新築住宅1棟あたりのコスト増を建材全体で56万円超とする試算が業界専門メディアにより示されており、4,000万円の住宅であれば約1.4%にあたる。ただし当社として2026年7月時点で確認できる範囲では、この試算を公表した媒体名と算定根拠まで遡及できる資料が見当たらない。サッシ・外装に限定した数値でもないため、参考値として扱われたい。

Chapter 09

10月1日改定前の発注設計

2026年7月19日時点で、この分野には3つの改定日が確定している。8月1日のデンカアステック、8月3日のLIXIL水回り、そして10月1日のYKK AP・LIXIL・南海プライウッドである。順に整理する。

確定している改定日程

日付メーカー対象改定率基準
2026年8月1日デンカアステックガルバリウム雨どい20%以上出荷分
2026年8月3日LIXIL水回り平均8〜13%受注分
2026年9月1日LIXIL建材・サッシ・外装の一部平均13〜15%受注分
2026年10月1日YKK AP樹脂・アルミサッシ10〜15%公表資料上、基準の種別は確認できていない
2026年10月1日LIXIL建材・サッシ・外装平均13〜15%受注分
2026年10月1日南海プライウッド家具収納材 全製品一律10%発送分

受注分基準は猶予が長い

LIXILの改定はいずれも受注分基準である。受注が確定していれば、出荷や納品が改定日以降になっても旧価格が適用される。着工が先の案件であっても、10月1日より前に受注を確定できれば改定前の価格を確保できる。

一方、南海プライウッドは発送分基準である。受注が済んでいても発送が10月1日以降になれば新価格となるため、猶予は受注分基準より短い。YKK APについては、10月1日の改定における基準の種別を特定できる公表資料に当社として遡及できていない。受注分か出荷分かで対応が変わるため、取引先への確認が必要である。

7月から9月にかけて確認すべき4点

第1に、10月1日以降に受注確定が見込まれるサッシ・外装の案件を洗い出し、9月末までに受注を確定できるかを検討する。受注分基準であれば、この作業が直接コストに効く。第2に、LIXILについては8月3日の水回りと10月1日の建材・サッシ・外装で締切が2つあるため、案件ごとにどちらが該当するかを整理する。

第3に、供給制限が続いているケイミューの屋根副資材、アイジー工業の専用シーリング材、ニチハの透湿防水シートについて、価格だけでなく数量回答を事前に確認する。第4に、設計段階で作成した見積の基準時点を洗い直す。5月から6月に作成した見積は、10月1日の改定を織り込んでいない可能性が高い。

見積の有効期間について

改定が半年に2度発生する状況では、見積の有効期間を長く設定することが難しくなる。発注者・施主に対しては、有効期間を明示したうえで、期間を超えた場合の取り扱いを事前に合意しておく方法が考えられる。公共工事では単品スライド条項、民間工事では公正取引委員会の指針が根拠となるが、いずれも事後の交渉である。事前の合意があれば、交渉の負担は軽くなる。

情報の変化について

本記事は2026年7月19日時点で確認できるエビデンスに基づいている。ホルムズ海峡の情勢と各社の改定発表は数日単位で動くため、8月中旬のイスラマバード覚書の交渉期限前後には内容が変わる可能性がある。7月16日にアジアナフサが842ドルへ反発したことを踏まえると、10月1日の改定内容が変更される可能性も残る。次回更新は2026年8月中旬を予定している。

Chapter 10

用語集

金属サイディング

金属板を表面材とし、裏側に断熱材を一体化した外壁材。化粧塗装・表面鋼板・接着層・断熱層・裏面材の層構造をとる。軽量で施工性が高く、カバー工法にも用いられる。アイジー工業が2026年6月1日から全製品を18%以上改定した。

ガルバリウム鋼板

アルミニウム・亜鉛合金でめっきした鋼板。金属外装材・金属屋根・雨どいの主材料として広く使われる。鋼板そのものは石油化学製品ではないが、金属サイディングでは裏打ちの断熱材・接着層・化粧塗料がナフサ由来である。

樹脂サッシ

塩化ビニル樹脂を主材料とする窓枠。アルミサッシより熱伝導率が低く、断熱性能に優れる。原料の塩化ビニル樹脂はナフサから分岐する石油化学製品で、信越化学工業が2026年3月に30円/kg以上、約2割の改定を実施している。

アルミサッシ

アルミニウム合金を押出成形した窓枠。強度と加工性に優れる。地金の国際相場と、精錬に要する電力価格の影響を受けるため、樹脂サッシとは異なる経路でコストが変動する。

専用シーリング材

外装材メーカーが自社製品向けに指定するシーリング材。外装材との相性、耐候性、色調が製品ごとに設計されているため代替が効きにくい。アイジー工業が2026年6月10日から受注制限を実施した。

透湿防水シート

水は通さず水蒸気は通す性質を持つシート。外壁の下地に用いられ、壁体内の湿気を排出しながら雨水の侵入を防ぐ。ニチハが2026年7月1日から供給制限を通知し、大建工業でも透湿防水シートRが受注一時停止となった。価格面ではデュポンのタイベック製品が2026年5月1日に10〜20%改定されている。

カバー工法

既存の外装材や屋根材を撤去せず、その上から新しい材料を施工する改修工法。撤去費用と廃棄物処分費を抑えられる。既存外壁の上に透湿防水シートを施工するため、本体材料とシートの両方が必要になる。

気密部材

建物の隙間をふさぎ、気密性能を確保する部材。省エネ基準への適合に用いられる。JFEロックファイバーが2026年6月1日納入分から40%以上の改定を実施しており、本記事で扱う区分のなかで最も改定率が高い。

エクステリア

門扉・フェンス・カーポート・デッキなど、建物の外構に用いる製品の総称。LIXILが2026年10月1日から平均15%、タキロンシーアイが6月1日出荷分から20%以上の改定を実施する。

出荷分・受注分・納入分・発送分

価格改定の適用を判定する基準日の類型。受注分はメーカーが受注を確定した日を基準とするため猶予が最も長く、出荷分・発送分・納入分はメーカーが製品を出した日または届けた日を基準とするため猶予が短い。

断熱等性能等級

住宅の断熱性能を示す等級。等級が高いほど高い断熱性能が求められ、サッシの仕様と気密部材の使用量に影響する。コスト調整のために仕様を落とすことが難しい理由にあたる。

単品スライド条項

工事請負契約書第26条第5項に定める仕組みで、特定資材の価格変動を契約金額に反映できる。国土交通省は2026年4〜5月に、中東情勢に伴う建設産業分野の対応として同条項の適用を含む通知を整理した。

Chapter 11

出典・エビデンス一覧

出典は、メーカーの公式発表で確認したもの、報道・業界媒体を経由して確認したもの、官庁・業界団体が公表したものの3区分に分けて記載している。

メーカー一次情報

  • 価格改定に関する発表(水回り2026年8月3日受注分、建材・サッシ・外装2026年10月1日・一部9月1日受注分)/株式会社LIXIL/2026年5月18日
  • 金属サイディング・金属屋根 全製品の価格改定/アイジー工業株式会社/2026年5月11日発表・6月1日実施
  • 専用シーリング材の受注制限/アイジー工業株式会社/2026年6月10日
  • ロックウールおよび気密部材の価格改定/JFEロックファイバー株式会社/2026年6月1日納入分
  • 樹脂波板「ヒシ波」・ポリカ平板「ヒシカーボ」の価格改定/三菱ケミカルインフラテック株式会社/2026年6月1日出荷分
  • 取扱い全製品の価格改定および欠品・納期遅延の可能性に関する公表/三和サインワークス株式会社/2026年6月1日出荷分
  • 住設建材製品全般の価格改定/タキロンシーアイ株式会社/2026年6月1日出荷分
  • 塩化ビニル樹脂の価格改定/信越化学工業株式会社/2026年3月
  • 建築資材(タイベック)設計価格表(2026年5月13日更新)/旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ株式会社

報道・業界媒体

  • 樹脂・アルミサッシの再価格改定(YKK AP株式会社/2026年10月1日予定)/業界通知
  • タイベック製品の価格改定(デュポン/2026年5月1日/ソフト・ハード原反15%、シルバー原反10%、その他製品20%)/テイガク(屋根修理)/2026年7月14日更新
  • 金属製屋根材「センタールーフ」・金属製外壁材「センターサイディング」の価格改定および透湿防水シートの供給制限(ニチハ株式会社/2026年7月1日出荷分)/テイガク(屋根修理)/2026年7月9日
  • 屋根副資材の受注制限、および「シビルスケア」「グランスケア」ほかの減産・供給制限(ケイミュー株式会社/2026年4月15日・5月26日)/業界通知
  • ガルバリウム雨どいの価格改定(デンカアステック株式会社/2026年8月1日予定)/業界通知
  • 家具収納材 全製品一律10%の価格改定(南海プライウッド株式会社/2026年10月1日発送分)/業界通知
  • 建築用鋼材の価格改定(日鉄鋼板株式会社/2026年5月契約分)、鋼材の価格改定(東京製鉄株式会社)/業界通知
  • 透湿防水シートR(GA2115-1)の受注一時停止(大建工業株式会社/2026年4月)/日刊木材新聞、業界通知
  • 「日本の原油タンカー、全てホルムズ海峡通過」/日本経済新聞/2026年7月13日
  • ナフサ価格推移表/大景化学/2026年7月16日時点
  • アジアナフサ価格に関する報道/日本経済新聞/2026年6月25日

官庁・制度・業界統計

  • 中東情勢に伴う建設産業分野の対応に関する通知(単品スライド条項の適用等)/国土交通省/2026年4〜5月
  • 建設工事費デフレーター(2015年度基準・建設総合)/国土交通省/2026年1月分
  • 「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」/公正取引委員会
  • 住宅性能表示制度における断熱等性能等級の基準/国土交通省

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Chapter 12

よくあるご質問

10月1日までに受注を確定すれば旧価格になりますか

メーカーにより異なります。LIXILの改定は受注分基準ですので、受注が確定していれば出荷や納品が10月1日以降になっても旧価格が適用されます。一方、南海プライウッドは発送分基準のため、受注が済んでいても発送が10月1日以降になれば新価格です。YKK APについては、10月1日の改定における基準の種別を特定できる公表資料に当社として遡及できていません。受注分か出荷分かで対応が変わりますので、取引先へご確認ください。

YKK APの10月1日の改定は、5月の改定に上乗せされるのですか

2026年7月時点で確定できていません。同社が2026年5月に窓サッシの改定を実施した事実は複数の資料で確認できますが、改定率と正確な実施日を特定できる公表資料に当社として遡及できていません。10月1日の10〜15%が5月の改定率に上乗せされるのか、5月改定後の建値に対する改定なのかについても同様です。半年で2度の改定であることは確かですので、累積の影響については取引先へ直接ご確認ください。

断熱性能のために樹脂サッシへ切り替えればコストを抑えられますか

価格改定の影響を回避する手段にはなりません。YKK APは10月1日に樹脂とアルミの双方を10〜15%の範囲で改定する予定です。樹脂サッシの主材料である塩化ビニル樹脂はナフサから分岐する石油化学製品で、信越化学工業が2026年3月に約2割の改定を実施しています。アルミサッシは地金の国際相場と精錬の電力価格の影響を受けます。経路は異なりますが、いずれも改定の対象です。断熱性能の観点から樹脂サッシを選ぶ判断は成り立ちますが、コスト回避を理由とする切り替えは2026年の状況では機能しません。

改定率は10〜18%程度なのに、なぜ実務上の負担が大きいのですか

改定の回数と時期が問題になるためです。率そのものは断熱材の40%や石膏ボードの20〜50%と比べて突出していません。しかしサッシと外装は設計段階で仕様を決め、着工を経て発注に至るまでの期間が長い工程で使われます。2026年はこの間にYKK APが5月と10月1日の2度、LIXILが8月3日と10月1日の2度の改定を行うため、設計時点の見積と発注時点の実勢がずれます。価格そのものより、見積の有効期間をどう管理するかが課題となります。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社は千葉県我孫子市に本社を置き、プラスチックパレット・再生樹脂材料・PPバンド・ストレッチフィルム等の物流資材を全国のお客様にお届けする専門商社です。樹脂サッシの塩化ビニル樹脂や金属サイディングの断熱層・接着層は、当社が扱う物流資材と同じくナフサを起点とする石油化学製品であり、価格と供給の変動要因を共有しています。日々の調達業務で確認している一次情報を、同じ構造の影響を受ける建設業のみなさまにも活用いただけるよう、記事として整理して公開しています。

免責事項 / Disclaimer
  1. 本記事の内容は2026年7月19日時点で確認できる情報に基づいています。ホルムズ海峡の情勢および各社の価格改定発表は短期間で変動するため、記載内容が現時点の状況と異なる場合があります。
  2. 掲載した改定率・基準日・数量は各社の公式発表および報道に基づく参考値です。実際の適用価格は製品仕様・取引条件・出荷日・販売ルートにより異なります。ご発注の際は必ず各社の最新情報をご確認ください。
  3. 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資判断・取引判断を推奨するものではありません。調達・発注の判断は読者ご自身の責任において行ってください。
  4. 海外報道および英語資料を参照した箇所については、要約および翻訳の過程で原文のニュアンスが完全には再現されない可能性があります。正確な内容は各出典元の原資料をご参照ください。
  5. 引用にあたっては出典元を明記し、必要最小限の範囲にとどめています。本記事の内容を転載・引用される場合は、出典として本記事のURLを明記してください。
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