【病院・薬完全まとめ】2026年イラン情勢が招く医薬品供給不安と病院経営・薬局経営・医療資材への影響
原薬はどこから来るのか。注射器は何でできているのか。薬はどう運ばれるのか。そして制度は何を求めているのか。医薬品と医療資材の供給を原薬・素材・物流・制度の4つの層に分けて整理し、透析・物流・素材・制度・原薬・在宅の各テーマを扱った全15記事へご案内するカテゴリマップです。一次資料で確認した主要数値も一覧で収録しています。
TL;DR — 3行要約
- 医薬品と医療資材の供給は、原薬・素材・物流・制度の4層で決まる。それぞれ規定する市場と制度が異なり、動く速度も違うため、ひとつの層の改善が他の層の制約を解消することはない。
- 2026年に制約として現れたのは、医薬品や樹脂そのものより、製造工程で使う溶剤・ガス・潤滑油と、容器・包装の層であった。個別名称のある85品目のうち52品目が工程材である。
- 厚生労働省はβラクタム系抗菌薬の原材料をほぼ100%中国に依存すると明記し、2030年までの国産化を目標としている。それまでの期間は備蓄と流通の整流化で対応する二段構えとなっている。
医薬品・医療資材の供給は原薬・素材・物流・制度の4層で決まる。2026年に制約が現れたのは製品そのものより工程材と容器の層であり、114品目のうち111品目が解決に至った。一方で原薬の依存は構造的で、2030年までの国産化が目標とされている。
CONTENTS
やさしく解説4・関連1
厚生労働省
厚生労働省 取組方針
令和9年度は+3.77%
CHAPTER 01このカテゴリが扱う範囲
「薬が手に入りにくい」という話を耳にしたとき、その原因がどこにあるのかは一見して分からない。製造が止まっているのか、運べていないのか、それとも制度上の理由なのか。原因が違えば、対処も、収束までの時間も異なる。
このカテゴリでは、医薬品と医療資材の供給を構成要素に分解し、それぞれがどのような論理で動いているかを一次資料に基づいて記録している。
1.1 扱う4つの層
| 層 | 扱う対象 | 規定するもの |
|---|---|---|
| ①原薬 | 医薬品の有効成分、中間体、基礎化学品 | 調達先の地理的分布、経済安全保障推進法、薬事上の製造所の特定 |
| ②素材 | 注射器、輸液バッグ、血液回路、容器・包装の樹脂 | 樹脂の物性、医療用グレードの管理体制、滅菌方式との適合 |
| ③物流 | 温度管理、輸送力、保管、配送頻度 | GDPガイドライン、労働法制、燃料価格、荷姿の標準化 |
| ④制度 | 診療報酬、薬価、備蓄要件、患者負担 | 中医協の審議、大臣折衝、告示と通知 |
層の区分は本稿による整理。各層を扱った記事はCHAPTER 04およびCHAPTER 06で案内している。
1.2 なぜ物流資材の会社が医療を扱うのか
当社はプラスチックパレット・再生樹脂材料・PPバンド・ストレッチフィルム等の物流資材を全国に供給する専門商社である。医療機関に医薬品を納入する立場にはない。それでもこの分野を継続して記録しているのは、供給網の構造が同型だからである。
注射器のポリプロピレンも、当社が扱うパレットのポリプロピレンも、ナフサを起点とする同じ原料から作られる。原料価格が動けば双方に及び、輸送力が制約されれば双方の納期に現れる。異なるのはグレードと管理体制であって、供給網の骨格ではない。
このカテゴリの記事は、厚生労働省・内閣官房・経済産業省・資源エネルギー庁等が公表する一次資料を直接参照して作成している。二次資料を経由した数値については、その旨を各記事の出典欄に明記している。一次確認できなかった数値は記載せず、参照先を示す方針をとっている。詳細はCHAPTER 09で述べる。
CHAPTER 022026年の時系列
医療分野で何がいつ起きたのかを、公表資料に基づいて整理する。
| 日付 | 主体 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026-03-24 | 内閣官房 | 中東情勢に関する関係閣僚会議(第1回)を開催。 |
| 2026-03-30 | 経済産業省 | 石油関連製品の製造者・卸業者等に対し、医療用途を中心とした安定供給確保への協力を要請。ポリエチレン等の安定供給が対象に含まれる。 |
| 2026-03-31 | 厚生労働省/経済産業省 | 「中東情勢の影響を受ける医薬品、医療機器、医療物資等の確保対策本部」を設置。同日の関係閣僚会議で輸血パック・透析回路・注射器・医療用手袋等が名指しで挙げられた。 |
| 2026-04-09 | 厚生労働省 | 確保対策本部(第2回)で、情報提供窓口、医療機関での定点観測、EMISを用いたオンライン報告システムの整備を説明。 |
| 2026-04-16 | 厚生労働省/経済産業省 | イソプロパノール消毒液、ダイアライザーの製造用溶剤など5品目の供給停止リスクを解消したと発表。医療用手袋の備蓄放出を決定。 |
| 2026-05-23 | 厚生労働省 | 備蓄手袋の配布を開始。以降、手袋類の相談件数は減少傾向へ。 |
| 2026-05-29 | 厚生労働省 | 当面の必要量に見合う量のみを発注・受注するよう求める通知を発出。 |
| 2026-06-01 | 厚生労働省 | 令和8年度診療報酬改定(本体)を施行。地域支援・医薬品供給対応体制加算の新設、後発医薬品調剤体制加算の廃止、入院時の食費・光熱水費の引き上げ。 |
| 2026-06-09 | 厚生労働省 | 分包紙について、メーカーによる優先供給の仕組みを開始。 |
| 2026-06-18 | 厚生労働省 | 薬剤容器について、同様の優先供給の仕組みを開始。 |
| 2026-06-23 | 厚生労働省 | 高齢者施設等への什器・システムの費用負担が「経済上の利益の提供」に該当することを事務連絡で明確化。 |
| 2026-07-02 | 厚生労働省/経済産業省 | アイソレーションガウン等について「販売可能な通販サイト」リストの提供を開始。 |
| 2026-07-08 | 厚生労働省/経済産業省 | 注射器・輸液セット等について同リストの提供を開始。 |
| 2026-07-20 | 厚生労働省 | 医療分野の影響・対応の集計時点。相談総数14,316事業者、供給に影響があると判断された品目114件。 |
| 2026-07-24 | 内閣官房 | 重要物資の安定的な供給確保のためのタスクフォース(第3回)を持ち回りで開催し、各省提出資料を公表。 |
| 2026-08-01 | 厚生労働省 | 高額療養費制度の見直しを施行予定。年間上限の新設、多数回該当の金額の維持。 |
出典:内閣官房「中東情勢に関する対応」の開催状況一覧、厚生労働省「石油関連製品の供給不足に伴う医療分野の影響・対応について」(2026年7月20日時点)、同「令和8年度診療報酬改定の概要」、全国健康保険協会の公表内容。各項目の詳細な根拠は、CHAPTER 04およびCHAPTER 06で案内している該当記事の出典欄に記載している。日付は開催日、施行日または公表日を示す。
CHAPTER 03供給を規定する4層構造
CHAPTER 01で示した4層について、2026年に何が起きたかを層ごとに整理する。この整理が、どの記事を読むべきかの判断材料になる。
3.1 層ごとの状況
| 層 | 2026年に確認された事実 | 時間軸 |
|---|---|---|
| ①原薬 | βラクタム系抗菌薬の原材料をほぼ100%中国に依存。抗菌性物質製剤は経済安全保障推進法の特定重要物資に指定され、2030年までの国産化と備蓄体制の整備が目標とされている。 | 構造的。転換には年単位を要する。 |
| ②素材 | 供給課題品目に個別名称のある85品目のうち52品目が溶剤・ガス・潤滑油等の工程材。樹脂製品や容器包装そのものは33品目にとどまった。 | 短期。工程材の確保により解消が進んだ。 |
| ③物流 | 温度管理はGDPガイドライン、輸送力は2024年4月から適用された時間外労働の上限規制、容器包装は樹脂供給という3つの制約が同時に現れた。 | 中期。標準化の議論は2040年を目標年とする。 |
| ④制度 | 診療報酬本体は2年度平均+3.09%(令和8年度単年+2.41%)。医薬品の安定供給体制が加算の基礎要件に組み込まれた。8月には高額療養費制度が見直される。 | 年度単位。改定は2年に1度。 |
各層の事実は本カテゴリの各記事で引用した一次資料に基づく。時間軸の評価は本稿による整理。
3.2 この構造から読み取れること
- 制約は下の層ほど動きが遅い。原薬の依存構造は年単位でしか変わらない。一方、工程材の課題は数週間から数か月で処理された。同じ「供給の問題」でも、収束までの時間は層によって異なる。
- 層をまたいだ因果は成立しにくい。診療報酬の改定が原薬の調達先を変えることはなく、原薬の国産化が輸送力を増やすこともない。それぞれ別の主体が別の論理で動いている。
- ただし制度は他の層に要件を課す。2026年度改定では、医薬品の安定供給体制が加算の基礎要件に組み込まれた。計画的な調達、分譲実績、配送依頼の抑制、返品の抑制といった項目は、②と③の層への働きかけである。
この年に起きたことを一言で言えば、生産能力の不足ではなく配分と経路の問題が前面に出たということである。厚生労働省の資料は「メーカーは昨年同量並みの製造を行っている」と繰り返し記しており、対処も増産要請ではなく、供給元の特定と優先供給、販売ルートの情報提供という形をとった。この性格を押さえておくと、個別の欠品情報をどう解釈すべきかの判断がつきやすくなる。
CHAPTER 04セグメント別ガイド
収録している15記事を、扱うテーマごとに7つのセグメントに分けて案内する。関心のある領域から読み進めていただきたい。
薬の成分そのものと、器具の素材がどこから来るのかを扱う。最も上流に位置し、構造の転換に最も時間がかかる層である。
温度管理、輸送力、容器包装。医薬品を運ぶ側の制約を扱う。当社の本業と最も接点が深い領域である。
治療の中断が短期間で生命に関わる領域を、資材の側から掘り下げる。中空糸膜の技術構造まで踏み込んでいる。
供給と制度の変化が、医療機関と薬局の収益構造にどう及ぶかを扱う。実務判断の材料となる論点を中心に据えている。
2026年度改定の全体像を一次資料から整理する。報道されない内訳や、医薬品の安定供給が加算要件に組み込まれた構造を扱う。
患者宅と介護施設という、資材が最も届きにくい場所を扱う。代替調達の余地が乏しいという固有の条件がある。
専門用語を使わず、生活の視点でご説明するシリーズです。ご不安な点を解消していただくことを目的としています。
CHAPTER 05読者別ナビゲーション
お立場によって、必要な情報は異なる。最初に読むべき記事を6つの立場ごとに示す。
| お立場 | 最初に読む記事 | 次に読むとよい記事 |
|---|---|---|
| 病院の経営・事務 | 2026年度診療報酬改定の全体像 | 病院経営と医療資材コストの構造 → 使い捨て医療材料の樹脂別マップ |
| 薬局の経営・薬剤師 | 2026年度診療報酬改定の全体像 | 薬局経営と供給確保医薬品の制度 → 医薬品物流を規定する3つの制約 |
| 資材の調達・購買 | 使い捨て医療材料の樹脂別マップ | 医薬品物流を規定する3つの制約 → 原薬の海外依存構造 |
| 透析施設・臨床工学 | 透析医療の資材供給と診療報酬改定 | 使い捨て医療材料の樹脂別マップ → 2026年度診療報酬改定の全体像 |
| 在宅・介護の実務 | 介護施設と在宅医療を支える資材の供給構造 | 2026年度診療報酬改定の全体像 → 医薬品物流を規定する3つの制約 |
| 患者・ご家族 | 「2026年の医療費の変化」やさしく解説 | やさしく解説シリーズの薬不足編・薬局編・病院編 |
推奨する読み順は本稿による整理です。関心に応じて自由にお読みいただけます。
- いま何が起きているかを知りたい方は、CHAPTER 02の時系列とCHAPTER 07の主要数値をご覧ください。一次資料で確認した事実だけを並べています。
- 構造を理解したい方は、CHAPTER 03の4層構造から入り、関心のある層の記事へ進んでください。
- 実務で判断したい方は、CHAPTER 05の読者別ナビゲーションから該当するお立場の記事へ進んでください。
CHAPTER 06全15記事リファレンス
収録している15記事の一覧です。各カードのタイトルまたはボタンから記事へ移動できます。
6.1 専門版(10本)
βラクタム系抗菌薬の原材料はほぼ100%中国依存、経済安全保障推進法が特定重要物資に指定した抗菌性物質製剤と2030年国産化目標の到達点
厚生労働省が公表資料に明記した「ほぼ100%中国依存」という記述を軸に、2019年のセファゾリン供給途絶から特定重要物資の指定、認定された2件の供給確保計画までを追う。
▸ この記事を読む使い捨て医療材料の樹脂別マップ、PP・PE・PVCが担う用途と医療用グレードの要件、厚生労働省114品目を素材から再編成する
供給課題品目を素材の観点から再編成した結果、個別名称のある85品目のうち52品目が工程材であることを確認。医療用グレードが物性ではなく管理体制で区別される構造も扱う。
▸ この記事を読む医薬品物流を規定する3つの制約、GDPガイドラインの温度管理・2024年問題の輸送力低下・容器包装の樹脂供給が重なった2026年の構造
温度管理・輸送力・容器包装という性格の異なる3つの制約が2026年に同時に現れた構造を整理。分包紙332薬局等の全解消など、対処の実績も数値で追う。
▸ この記事を読む透析患者33万7,414人を支える医療資材のナフサ依存構造、114品目中111品目が解決に至った2026年7月までの経緯と診療報酬改定20点引き下げの同時進行
中空糸膜の技術構造から素材変更が短期間で成立しない理由まで踏み込む。J038の一律20点引き下げと腎代替療法診療体制充実加算の新設も併せて整理。
▸ この記事を読む2026年度診療報酬改定の全体像、本体+3.09%は2年度平均で単年は+2.41%、後発医薬品調剤体制加算の廃止と医薬品安定供給要件27点の新設
報道される「+3.09%」が2年度平均であり単年は+2.41%であること、保険薬局への物価対応配分が+0.01%であることなど、一次資料でしか確認できない内訳を収録。
▸ この記事を読む介護施設と在宅医療を支える資材の供給構造、114品目に含まれた在宅関連品目と2026年6月に明確化された高齢者施設への物品提供の線引き
在宅療養13区分と必要な資材の対応表を作成。配薬カート等の費用負担が「経済上の利益の提供」に該当すると明確化された経緯と、令和9年5月31日までの経過措置も扱う。
▸ この記事を読む医薬品サプライチェーン断絶の構造分析、後発医薬品の供給構造と原薬調達の総論
このカテゴリの起点となった総論記事。後発医薬品の供給構造、薬価と収益の関係、原薬の調達構造を扱う。
▸ この記事を読む病院経営と医療資材コストの構造、包括評価下で資材費の上昇をどう受け止めるか
医療資材の樹脂依存マップと、包括評価の下で資材費の上昇が収益を圧迫する仕組みを整理。病院の経営層・事務長・SCM担当に向けた内容。
▸ この記事を読む薬局経営と供給確保医薬品の制度、備蓄要件と調剤報酬の関係
重要供給確保医薬品の備蓄要件と、調剤報酬における評価の関係を薬局経営の視点で整理。中小薬局・チェーン薬局・病院前薬局の類型別に扱う。
▸ この記事を読む厚生労働省の医療用手袋備蓄放出価格の検証、放出価格と市場実勢価格の照合と購入ルートの整理
備蓄放出された医療用手袋の価格が妥当かを、市場の実勢価格と照合して検証。購入ルート別の実勢価格と用途別の選定基準も収録。
▸ この記事を読む6.2 やさしく解説シリーズ(4本)
ニュースで聞く「2026年の医療費の変化」をやさしく解説、8月から高額療養費が見直され入院時の食事代も上がる本当の理由
6月の食事代引き上げと8月の高額療養費見直しを、患者さんとご家族に向けてご説明します。ご自身の所得区分の調べ方も収録しています。
▸ この記事を読むニュースで聞くイラン情勢が招く「2026年の薬不足」をやさしく解説、ジェネリックが消える本当の理由
ジェネリック医薬品が手に入りにくくなる理由を、専門用語を使わずにご説明します。お薬が変わったときの対応もご案内しています。
▸ この記事を読むニュースで聞くイラン情勢が招く「2026年の薬局の変化」をやさしく解説、いつもの薬を出してもらえない本当の理由
薬局で待ち時間が長くなったり、いつもと違うお薬を渡されたりする背景をご説明します。薬剤師がどのような対応をしているかも扱っています。
▸ この記事を読むニュースで聞くイラン情勢が招く「2026年の病院の変化」をやさしく解説、透析34万人の命綱が脅かされる本当の理由
病院で使われる使い捨ての器具が石油からできていることを、身近な例えでご説明します。透析を受けていらっしゃる方とご家族に向けた配慮を含みます。
▸ この記事を読む6.3 関連記事(1本)
ニュースで聞くイラン情勢が招く「2026年の紙オムツの値上げ」をやさしく解説、いつものオムツが値上げされる本当の理由
介護と育児の両方に関わる紙オムツの価格が動いた理由をご説明します。自治体の給付制度など、負担を軽くする方法もご案内しています。
▸ この記事を読む原料価格の推移はナフサ・原油完全まとめで、アジアスポット・通関CIF・国産基準価格の3系列に分けて記録しています。カテゴリ全体の構成はイラン情勢2026完全まとめからご覧いただけます。
CHAPTER 07一次資料で確認した主要数値
このカテゴリの各記事で用いた数値のうち、一次資料で直接確認したものを一覧にする。時点と出典を併記する。
以下の数値は、各記事の制作時にそれぞれの一次資料を直接参照して確認したものを集約したものである。本統括記事の作成にあたって改めて全項目を再確認したものではない。個々の数値の算出方法、注記、前提条件は各記事の本文に記載しているため、実務でご利用の際は該当記事および出典の原資料をご確認いただきたい。
7.1 供給状況
| 項目 | 数値 | 時点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 安定供給に影響があると判断された品目 | 114品目 | 2026-07-20 | 厚生労働省 |
| うち解決済み | 98品目 | 2026-07-20 | 同上 |
| うち解決の道筋が立った品目 | 13品目 | 2026-07-20 | 同上 |
| うち対応検討中 | 3品目 | 2026-07-20 | 同上 |
| 相談総数 | 14,316事業者 | 2026-07-20 | 同上 |
| 分包紙の供給不足の解消 | 332薬局等(100%) | 2026-07-21 | 同上 |
| 薬剤容器の供給不足の解消 | 437中399薬局等 | 2026-07-21 | 同上 |
| 医療用手袋の購入実績 | 4,921医療機関等・約2,172万枚 | 2026-07-19 | 同上 |
7.2 素材・原薬
| 項目 | 数値 | 時点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| βラクタム系抗菌薬の原材料の中国依存 | ほぼ100% | 取組方針 | 厚生労働省 |
| 抗菌性物質製剤の特定重要物資指定 | 令和4年政令第394号 | 2022-12-23 | 同上 |
| 国産化・備蓄体制の目標年 | 2030年 | 2023年開始 | 同上 |
| 認定された供給確保計画 | 2件・4成分・参画5社 | 2023-07 | 同上 |
| 供給課題品目のうち工程材 | 85品目中52品目 | 2026-07-20 | 本稿による再編成 |
| PPの耐熱温度 | 110℃ | — | 医療機器部品商社の公開資料 |
7.3 制度
| 項目 | 数値 | 時点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 診療報酬本体(2年度平均) | +3.09% | 令和8・9年度 | 厚生労働省 |
| うち令和8年度単年 | +2.41% | 令和8年度 | 同上 |
| うち令和9年度 | +3.77% | 令和9年度 | 同上 |
| 薬価 | ▲0.86% | 2026-04 施行 | 同上 |
| 保険薬局への物価対応配分 | +0.01% | 令和8年度 | 同上 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算1 | 27点(新設) | 2026-06-01 | 同上 |
| 慢性維持透析(J038) | 全区分一律▲20点 | 2026-06-01 | 同上 |
| 入院時の食費基準額の引き上げ | 40円/食 | 2026-06-01 | 同上 |
| 高額療養費の年間上限(標準報酬月額15万円以下) | 41万円 | 2026-08 施行 | 全国健康保険協会 |
7.4 患者・施設の規模
| 項目 | 数値 | 時点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 慢性透析患者総数 | 337,414人 | 2024年末 | 日本透析医学会 |
| 透析の調査対象施設 | 4,512施設 | 2024年末 | 同上 |
| 血液透析濾過(HDF)患者 | 213,721人(63.3%) | 2024年末 | 同上 |
| 腹膜透析(PD)患者 | 10,774人 | 2024年末 | 同上 |
各数値の詳細な文脈と、算出方法に関する注記は、それぞれの記事本文でご確認ください。「本稿による再編成」と記載した項目は、公表資料を当社の基準で分類・集計したものです。
CHAPTER 08見通しとモニタリング指標
8.1 3つの時間軸
| 時間軸 | 確認できる事実 | 観測すべき対象 |
|---|---|---|
| 短期 (1〜3か月) |
時点で対応検討中の品目は3件。前回時点から17件減少した。8月には高額療養費制度の見直しが施行される。 | 次回タスクフォース資料における対応検討中の件数。高額療養費の見直し後の運用。疑義解釈資料の追加発出。 |
| 中期 (3〜12か月) |
調剤ベースアップ評価料と調剤物価対応料は令和9年6月以降に所定点数の100分の200で算定。後発医薬品の使用割合要件の経過措置はまで。 | 令和9年度予算編成における更なる調整の有無。経過措置終了に向けた各施設の対応。 |
| 長期 (1年以上) |
抗菌性物質製剤の国産化・備蓄体制は2030年までの整備が目標。物流標準化の議論はフィジカルインターネット実現会議で2040年を目標年とする。 | 供給確保計画の追加認定と対象成分の拡大。医薬品ワーキンググループのアクションプランの進捗。 |
確認できる事実は各記事で引用した公表資料に基づく。観測対象は当社編集部による整理であり、将来の状況を予測するものではない。
8.2 モニタリングすべき6指標
| 指標 | 確認先 | 着眼点 |
|---|---|---|
| 供給課題品目数と類型構成 | 内閣官房タスクフォース | 対応検討中の件数が再び増加に転じるか。新規計上分が製品側か工程材側か。 |
| ナフサ価格の3系列 | アジアスポット/通関CIF/国産基準価格 | 系列ごとにピーク時期が約2か月ずれる。単一系列での判断を避ける。 |
| 供給確保計画の認定実績 | 厚生労働省 | 時点で2件・4成分。追加認定が国産化の進捗を示す。 |
| 重要供給確保医薬品の指定状況 | 厚生労働省 | 調剤報酬の備蓄要件と直結する。指定品目数が現場の負担を規定する。 |
| 疑義解釈資料の発出 | 厚生労働省 | 時点で第9報。算定要件の解釈が固まる過程を追う。 |
| 自施設の品目別リードタイム | 取引卸・メーカー | 公表統計に現れない変化が最初に観測される場所。 |
CHAPTER 09このカテゴリの記事制作方針
医療は、誤った情報が実害につながる分野である。このカテゴリの記事を作成するにあたり、当社が定めている方針を明示する。
9.1 数値の取り扱い
| 方針 | 内容 |
|---|---|
| 一次資料を直接読む | 厚生労働省・内閣官房・経済産業省等が公表するPDFや公式ページを直接参照する。解説記事の孫引きに依拠しない。 |
| 取得経路を出典に反映する | 二次資料を経由して得た数値は、実際に参照した資料名を出典として記載する。一次発表元の名前を借りて記載することはしない。 |
| 確認できない数値は書かない | 一次確認できなかった数値は記載せず、参照先を示すにとどめる。図表が画像で提供され転記できない場合も同様とする。 |
| 逆算・推測をしない | ある数値から別の数値を計算で導き出して記載することはしない。それぞれの数値に、それぞれの出典を当てる。 |
| 時点を必ず併記する | 調査時点と公表日を区別して記載する。「7月20日時点の集計、7月24日公表」のように分けて示す。 |
9.2 表現の方針
- 危機を煽る表現を用いない。事実の列挙と数値によって情報の価値を示す。業界紙の動向レポートを基準としている。
- 本稿による整理であることを明示する。公表資料の記載と、当社が独自に行った分類・集計は明確に区別する。
- 治療方針に関わる判断を促さない。患者・ご家族向けの記事では、自己判断による服薬の中断を避けるよう繰り返しお伝えしている。
制度と供給状況は変動する。このカテゴリの記事は、公表資料の更新にあわせて随時見直している。記事内の日付は初版公開日と最終更新日を区別して表示しており、引用した数値には必ず時点を併記している。実務判断にあたっては、各記事に記載した出典の最新版をご確認いただきたい。
CHAPTER 10用語集
CHAPTER 11出典・エビデンス一覧
一次資料(官公庁・公的機関)
- 厚生労働省「石油関連製品の供給不足に伴う医療分野の影響・対応について」(時点)
- 内閣官房「中東情勢に関する対応」
- 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
- 厚生労働省「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律に基づく抗菌性物質製剤に係る安定供給確保について」
- 厚生労働省「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」
- 全国健康保険協会「【制度改正】令和8年8月から高額療養費制度が見直されます」
- 日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2024年12月31日現在)」
- 経済産業省「フィジカルインターネット実現会議」
- 資源エネルギー庁「中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」
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CHAPTER 12よくある質問
このカテゴリではどのようなテーマを扱っていますか
医薬品と医療資材の供給を4つの層に分けて扱っている。原薬などの成分そのものを扱う層、注射器や輸液バッグの素材を扱う層、それらを運ぶ物流の層、そして診療報酬や経済安全保障といった制度の層である。あわせて病院経営・薬局経営への影響、在宅医療と介護施設の資材、患者と家族に向けた解説を収録している。
2026年の医薬品供給はどのような状況にありますか
厚生労働省が時点で整理した資料によれば、安定供給に影響があると判断された114品目のうち98品目が解決済み、13品目が解決の道筋に到達し、対応検討中は3品目まで減少した。制約の中心は生産量の不足ではなく、製造工程で使う溶剤やガス、容器や包装といった周辺の材料に集中していた。
どの記事から読むとよいですか
立場によって異なる。病院や薬局の実務に携わる方は2026年度診療報酬改定の記事から、調達や購買を担当する方は使い捨て医療材料の樹脂別マップから、経営を見る立場の方は病院経営と薬局経営の記事から読み進めることを勧める。患者やご家族の方には、やさしく解説シリーズの4記事を用意している。
記事はどのような資料に基づいていますか
厚生労働省、内閣官房、経済産業省、資源エネルギー庁などが公表する一次資料を直接参照している。二次資料を経由した数値については、その旨を各記事の出典欄に明記している。一次確認できなかった数値は記載せず、参照先を示す方針をとっている。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
当社は千葉県我孫子市に本社を置き、プラスチックパレット・再生樹脂材料・PPバンド・ストレッチフィルム等の物流資材を全国に供給する専門商社である。取り扱う製品はナフサを起点とする石油化学由来の樹脂であり、医療材料と原料構造を共有している。同じ供給網の下流に位置する立場から、樹脂と物流の視点で医療分野の動向を整理して提供している。
本記事のご利用にあたっての注意事項
- 本記事の内容は時点で公表されている情報に基づく。制度・供給状況はいずれも変動し得るため、実務判断にあたっては各出典の最新版を確認されたい。
- CHAPTER 07の数値一覧は、各記事の制作時に一次資料を直接参照して確認した数値を集約したものであり、本統括記事の作成にあたって全項目を再確認したものではない。また「本稿による再編成」と記載した項目は、公表資料を当社の基準で分類・集計したものであり、公表元が示した区分ではない。
- CHAPTER 01およびCHAPTER 03の4層構造、CHAPTER 04のセグメント区分、CHAPTER 05の推奨する読み順は、いずれも本稿による整理である。
- 本記事および収録記事は、特定の経営判断、製品の選定、投資判断を推奨するものではない。治療方針に関する判断は患者本人および主治医の間で行われるべきものであり、本記事の記述を理由に治療の変更・中断を検討することは適切ではない。
- 引用は各出典の表記に従い、要約にあたっては原資料の趣旨を損なわない範囲で行っている。詳細は各リンク先の原文を参照されたい。