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YASASHIKU KAISETSU / 原料と物流

マレーシアの樹脂はなぜ止まったのか、ホルムズの東にあるのに原油の4割が海峡経由、日本向けは4割減

マレーシアはホルムズ海峡の東にあり、自分で原油とコンデンセートを掘っています。それでも2026年3月、最大の製油所は稼働率50%まで落ちました。原油の必要量の約40%が、あの海峡を通っていたからです。ただし止まったのは石油を原料にする工場だけで、ガスを使う工場は動いています。日本向けの樹脂は増えるどころか、1〜6月で4割減りました。

公開日: 最終更新: カテゴリ:原料と物流
この記事のポイント
  • マレーシアは原油を輸入する国です。2025年の原油輸入の69.2%がホルムズ海峡に関わる国からで、ペトロナスは必要量の約40%が海峡を通ると認めています。消費は日量70万バレル、生産はその半分です。
  • 最大の製油所ペンゲランは2026年3月、日量30万バレルの装置を止めて稼働率50%になりました。石化のほうは3月下旬から6月下旬まで完全に停止しています。
  • ただし止まったのは石油を使う工場だけです。ペトロナス・ケミカルズは「操業は主にガス原料」と説明しており、2026年4〜6月期も4億4,500万リンギの黒字でした。
  • マレーシアの樹脂の値段は1トン930米ドルから最高1,700米ドルへ、80%から100%上がりました。中国産は脅威ではなく供給源で、反ダンピング関税もかかっていません。
  • 日本にとっての答えは「代わりにならなかった」です。ナフサは2026年5月に前年同月の3.4倍ですが、輸入全体の1.21%で13位。樹脂は1〜6月で5,533トンから3,280トンへ40.7%減りました。
かんたんに言うと

マレーシアはホルムズの東にありますが、原油の約40%をあの海峡から運んでいました。だから2026年3月に最大の製油所が稼働率50%まで落ちました。止まったのは石油を使う工場だけで、ガスを使う工場は動いています。日本向けの樹脂は増えるどころか40.7%減りました。

ホルムズを通る原油の割合
40%
マレーシアの必要量に対して
ペンゲラン製油所(3月)
50%
稼働率。日量30万バレルの装置
マレーシアの樹脂価格
1,700ドル
1トン。紛争前は930ドル
日本への樹脂(1〜6月)
40.7%減
5,533トン→3,280トン

CHAPTER 01ホルムズの東にあるのに、なぜ止まったのでしょうか

地図を見ると、マレーシアはホルムズ海峡のはるか東にあります。自分の海で原油も天然ガスも掘っています。だから2026年の原料難とは無縁だろう、と考えるのが自然です。

実際は逆でした。

同じ事故に、3か国が別の反応をしました

日本はナフサが買えなくなって工場を止めました。中国は原油もナフサも買うのをやめて、それでも樹脂を増産し、輸出に回しました。そしてマレーシアは、産油国でありながら日本より深刻な状態になりました。シンガポールは油田を持たない国として、3月に相次いで生産の停止が出ていますこの記事は、なぜそうなったのかを数字で追うものです。

当社は物流資材の商社です。ポリプロピレンでできたパレット、PPバンド、ストレッチフィルムを扱っています。マレーシアは日本の樹脂の仕入れ先の1つです。そこで何が起きたのかは、そのまま当社の仕入れの話になります。

CHAPTER 02マレーシアは、原油を輸入する国です

まずここが出発点です。マレーシアは原油を掘っていますが、それ以上に買っています。

マレーシアの政府系シンクタンクであるカザナ研究所が2026年6月25日に公表した分析によります。

項目数値
2025年の原油輸入のうちホルムズ関連国から69.2%
ペトロナスが認める、海峡を通る原油の割合約40%
石油製品のうちホルムズ由来13.5%
LNGのうちホルムズ由来6.0%
3つを合わせた割合32.7%

カザナ研究所「How the Strait of Hormuz Holds Malaysia's Crude Oil Supply in Its Grip」(2026年6月25日)を直接参照しました。

消費と生産の差も、はっきりしています。マレーシアは1日70万バレルを消費し、生産はその半分です。2025年の貿易収支は、原油が71億米ドルの赤字、石油製品が7億3,000万米ドルの黒字、LNGが115億米ドルの黒字でした。

「産油国だから安心」は成り立ちません

マレーシアが黒字なのはLNGです。原油では大幅な赤字です。しかも輸入する原油の3分の2以上がホルムズ関連国から来ていました。地図の位置と、原料の出どころは別の話です。

生産量そのものも減っています。マレーシア統計局の四半期統計では、2026年1〜3月の原油とコンデンセートの合計は4,300万バレルで前年同期比5.5%減でした。

2026年1〜3月数量前年同期比
原油2,810万バレル9.4%減
コンデンセート1,490万バレル3.0%増

マレーシア統計局(DOSM)の四半期統計を直接参照しました。2025年通年は合計1億8,360万バレルで1.1%増、うちコンデンセートは5,900万バレルで6.1%増でした。

コンデンセートだけが増えています。原油が9.4%減るなかで3.0%増です。コンデンセートは軽い成分が多く、ナフサが多く取れます。ナフサの原料になるものは、原油ほどには減っていないという読み方ができます。ただしマレーシアのコンデンセートからナフサをどれだけつくっているかは、当社では確認できていません。

CHAPTER 03いちばん大きな製油所が、3月に半分になりました

ジョホール州のペンゲラン総合石化コンプレックス(PIC)は、マレーシア最大の設備です。ペトロナスの公表資料では、製油所が日量30万バレル、分解装置群が年340万トンです。

ここが止まりました。ロイターが2026年3月10日に伝えたところでは、運営会社のPRefChemは日量30万バレルの常圧蒸留装置を止め、稼働率50%で運転しました。原油の70%超をホルムズ経由で調達していたためです。

石化のほうはもっと長く止まりました。ザ・スター紙が2026年6月30日に伝えたところでは、ペンゲラン石化(PPC)は原料が入らずに停止し、停止は3月下旬に終わり、記事の約1週間前に運転を再開して、稼働率は約50%でした。

止まったのはマレーシアだけではありません

同じロイターの記事によると、シンガポールのSRC(日量29万バレル)は稼働率75%から60%へ、エクソンモービルのジュロン島は80%超から50%以下へ落としました。OPISの集計では、東南アジアの分解装置の稼働率は12か月平均の74%から50%強まで落ちています。日本のエチレン稼働率は2026年7月で69.9%でしたから、東南アジアのほうが深刻でした。

ペンゲランはその後も安定していません。日量30万バレルの装置は2026年6月21日から7月10日まで再び停止しています。

CHAPTER 04止まったのは、石油を使う工場だけです

ここがマレーシアの特徴です。同じ国の中で、動いた工場と止まった工場がはっきり分かれました。

ペトロナス・ケミカルズ(PCG)は株主総会の回答書で、自社の操業について「主にガス原料に基づく」「液体(石油系)原料に基づく部分は小さい」と説明しています。同じ文書に「ペンゲラン製油所の原料は主にサウジアラビア産」とも書かれています。

ペトロナス・ケミカルズ2026年1〜3月2026年4〜6月
グループの稼働率97%73%
オレフィン・誘導品の稼働率87%56%
肥料・メタノールの稼働率103%80%
税引後利益4億2,700万リンギ4億4,500万リンギ

ペトロナス・ケミカルズの四半期リリース(2026年8月19日ほか)を直接参照しました。

4〜6月の稼働率低下は、会社の説明では定期修理です

オレフィン・誘導品の稼働率が56%まで落ちたことを、原料難のせいだと読みたくなります。ですが会社のリリースは、理由をクルティ総合石化コンプレックスの大型定期修理と書いています。原料が入らずに止まったのはペンゲラン石化のほうで、そちらはPCGが50%を持つ合弁会社です。当社では、56%のうちどこまでが定期修理でどこからが原料難かを分けられません。会社が挙げている理由をそのままお伝えします。

それでも黒字です。4〜6月期の税引後利益は4億4,500万リンギ。製品価格がオレフィン・誘導品で前期比37%、肥料・メタノールで50%超上がったためです。原料が取れなくなった側ではなく、値段が上がった側に立っていたことになります。

もう1社、ロッテ・ケミカル・タイタン(LCT)は事情が違います。こちらはナフサを使う会社です。

ロッテ・ケミカル・タイタン2026年4〜6月前年同期
稼働率50%46%
売上31億1,000万リンギ14億4,000万リンギ
純損失(株主帰属)1億7,419万リンギ1億7,309万リンギ

ジ・エッジ・マレーシア(2026年8月6日)によります。売上は116.4%増ですが、棚卸資産の評価減1億4,000万リンギなどで損失が続いています。2026年通年の稼働率見通しは60%から65%です。

この会社は封鎖の前から苦しんでいました。年43万トンの第1ナフサ分解装置を2024年12月15日に止めたまま、2026年8月時点で再稼働の発表がありません。

S&Pグローバルが2026年3月6日にまとめたアジアの生産停止・フォースマジュールの一覧には、シンガポール、韓国、インドネシア、中国の会社が並んでいます。マレーシアの会社は1社も載っていません。ガスを原料にする設備が国内に残っていたことが、この差になっています。

会社ごとの稼働率と、国全体の稼働率は別ものです

ここまで会社ごとの数字を見てきましたが、マレーシア統計局が出している「石油・化学・ゴム・プラスチック」部門全体の稼働率は、2026年4〜6月期で81.8%です。2025年の4四半期の平均81.6%とほとんど変わりません。製造業全体では83.7%で、こちらはむしろ上がっています。

矛盾しているように見えますが、そうではありません。この部門の販売額は2026年1〜6月で216,321百万リンギあり、そのうち樹脂の原料にあたる一次形態プラスチックは7,037百万リンギ、3.3%にすぎません。石油の精製が43.2%、ゴム製品が15.7%、プラスチック製品が14.3%を占めています。原料の行が3割減っても、部門全体では1.3%分にしかなりません。

1社が半分になっても、部門の平均は動かない。この記事が扱っているのは会社ごとの話で、部門全体の話ではありません。両方の数字を並べた定点観測のページを別に作りました。

その部門全体の統計で、1つだけはっきり落ちている行があります。一次形態プラスチックの販売額は、2026年1〜6月で7,037百万リンギ。前年同期の9,922百万リンギから29.1%減っています。同じ表の精製石油製品は前年同期と同額、プラスチック製品は1.9%減、ゴム製品は1.4%減で、大きくは動いていません。落ちているのは樹脂の原料だけです。ただしこの落ち込みは2025年から続いており、封鎖だけで説明できるものではありません。

CHAPTER 05樹脂の値段は、2倍近くまで上がりました

買う側から見ると、どうだったのか。マレーシアのプラスチック工業会(MPMA)の会長がザ・スター紙に語った数字が具体的です。

マレーシアの樹脂価格(1トン)金額
紛争前930米ドル
ピーク1,700米ドル
特殊グレード2,000米ドル超

ザ・スター紙「Plastics firms seeking new sources」(2026年6月16日)によります。上昇率は80%から100%です。

MPMAは2026年3月16日の声明で、樹脂の出荷に1トンあたり最大250米ドルのサーチャージがかかり、原料価格が1週間でトンあたり3,000リンギ近く上がったと述べています。

中国産の樹脂は、脅威ではなく供給源でした

MPMAの会長は同じ記事で、マレーシアのメーカーが新しい調達先から買っていると述べ、その相手として中国を名指ししています。従来は国内メーカー(ペトロナス、ロッテ)が半分、輸入が半分という構成でした。中国のポリエチレン輸出の仕向地を見ると、2026年4月はマレーシア向けが9%を占めています。値崩れではなく暴騰が起きていたので、マレーシア政府はポリエチレンにもポリプロピレンにも反ダンピング関税をかけていません。

当社が確認した範囲では、マレーシアがプラスチック関連で課している反ダンピング関税はPET(ポリエチレンテレフタレート)に対するもので、2025年5月7日に発効したものです。PEとPPは対象外です。2026年4月に国家経済行動評議会で議論されたのも、関税ではなく「原料が足りないこと」の影響調査でした。

値段はその後戻りました。ザ・スター紙は2026年6月30日、ナフサ価格が約47%下がって紛争前の水準に戻り、ポリエチレン価格も直近のピークから約40%下がったと伝えています。

CHAPTER 06サウジアラビアが、ペンゲランから抜けました

2026年のマレーシアで最も大きな構造の変化です。

2026年5月25日、サウジアラムコが保有するペンゲラン精油会社とペンゲラン石化会社の全持分を、ペトロナスに譲渡することで合意しました。両社の公式リリースによります。譲渡価格も持分比率も公表されていません。

もとの姿はこうでした。2017年2月28日、アラムコがペンゲランの製油所と分解装置の50%を310億リンギで取得し、製油所の原料原油の最大70%を供給するという条件でした。

サウジの原油に頼る仕組みが、9年で終わりました

ペンゲランが2026年3月に止まったのは、設計そのものがサウジ原油を前提にしていたからです。ホルムズが閉じれば原料が来ない。その構造が、封鎖の3か月後に解消されました。ただし公式リリースには封鎖との関係は書かれていません。両社は今後、原油調達の連携、技術交換、製品流通の統合を検討するとしています。

代償もありました。ペトロナスの2026年上半期は、ダウンストリーム部門で152億リンギの税引後損失を計上しています。完全所有化にあたって合弁会社の累積損失を取り込んだためです。グループ全体では税引後利益272億リンギ(4%増)、売上1,524億リンギ(15%増)でした。

CHAPTER 07日本にとって、マレーシアは代わりになったのでしょうか

当社の読者にとって、いちばん知りたいのはここだと思います。結論から申し上げると、なっていません。

まずナフサです。ジェトロが財務省貿易統計をもとに伝えたところでは、2026年5月の日本のマレーシアからのナフサ輸入は17,263キロリットルで、前年同月比240.8%増でした。3.4倍です。

2026年5月 日本のナフサ輸入数量前年同月比
全体143万キロリットル9.1%減
米国499,076キロリットル609.6%増
アルジェリア266,843キロリットル皆増
マレーシア(13位)17,263キロリットル240.8%増

ジェトロ ビジネス短信(2026年7月8日、財務省貿易統計による)。中東からは前年同月比95.3%減でした。

倍率は大きいのですが、量が違います。マレーシアは輸入全体の1.21%で13位です。実際に中東の穴を埋めたのは米国とアルジェリアでした。

樹脂は、増えるどころか減っています

そして樹脂です。こちらは方向そのものが逆でした。

マレーシアからの輸入(1〜6月累計)2025年2026年増減
PP(ホモ)2,755トン1,512トン45.1%減
PP(ブロック)46トン101トン119.6%増
HDPE2,576トン1,269トン50.7%減
LDPE156トン398トン155.1%増
4つの合計5,533トン3,280トン40.7%減

プラサーチ「樹脂別国別輸入実績」(財務省貿易統計による)を当社が直接読み、合計と増減は当社が計算しました。

安かったのに、買えませんでした

2026年1〜6月のマレーシアからのPPの輸入単価は1kgあたり204円で、日本の輸入全体の平均215円より安い水準です。それなのに量は45.1%減りました。値段の問題ではありません。マレーシア側の工場が止まっていたから、出てこなかったということです。なおHDPEは1kgあたり238円で、輸入全体の平均212円より高い水準でした。

首脳会談の約束はあります。2026年6月10日の日・マレーシア共同声明には、アンワル首相が「LNGをはじめとする不可欠なエネルギー供給や、ナフサ、尿素及び医療用手袋などの石油・化学製品を含め、日本への開かれた安定的な貿易の流れを促進することについてマレーシアの最大限のコミットメントを表明した」と書かれています。

ただし数量の記載はありません。「最大限のコミットメント」という表現までです。同じ日に発表されたJERAとペトロナスのLNG契約は年最大200万トンで20年間ですが、開始は2028年です。2026年の供給には効きません。当社は、この約束がいつどれだけの量になるかを申し上げられません。2026年7月までの貿易統計に、マレーシアからの供給が増えた形跡はない、というところまでです。

付け加えると、マレーシアからの樹脂の輸入は封鎖の前から減っていました。年ベースで2024年の23,225トンから2025年の13,227トンへ落ちています。2026年の減少は、その延長線上にあります。

CHAPTER 08この記事に出てきた言葉の意味

コンデンセート
天然ガスと一緒に出てくる、軽い液体の炭化水素です。原油より軽く、蒸留するとナフサが多く取れます。ガス田から出るため、原油の生産量とは別に動きます。
常圧蒸留装置
製油所の入口にあたる装置です。原油を熱して、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油などに分けます。ここが止まると製油所全体が止まります。
定期修理
数年に一度、設備を計画的に止めて点検・補修することです。原料が足りずに止めるのとは理由が違うため、稼働率が下がった原因を読むときは区別が要ります。
ペトロナス
マレーシアの国営石油会社です。上流の生産から製油所、石油化学、給油所まで手がけています。ペトロナス・ケミカルズは石油化学を担当する上場子会社です。
リンギ
マレーシアの通貨です。この記事では金額をリンギのまま書いています。為替は日々動くため、円に換算すると時点によって値が変わってしまうためです。
反ダンピング関税
外国の製品が不当に安く輸入され、国内産業が損害を受けているときに、政府が上乗せする関税です。逆に言えば、値段が上がっている局面では発動されにくくなります。
フォースマジュール
不可抗力です。天災や紛争などで契約どおりに供給できなくなったとき、供給者が宣言します。宣言されると、買い手は決まっていた量を受け取れなくなります。

CHAPTER 09主な情報源

カザナ研究所「How the Strait of Hormuz Holds Malaysia's Crude Oil Supply in Its Grip」(2026年6月25日)2025年の原油輸入の69.2%がホルムズ関連国から、ペトロナスが認める約40%、石油製品13.5%、LNG6.0%、合計32.7%、消費70万バレル/日で生産はその半分、2025年の貿易収支(原油71億米ドルの赤字、石油製品7億3,000万米ドルの黒字、LNG115億米ドルの黒字)は、当社がこの分析を直接読んだものです。

マレーシア統計局(DOSM)「Mining of Petroleum and Natural Gas Statistics」2026年第1四半期・2025年第4四半期2026年1〜3月の原油とコンデンセートの合計4,300万バレル・5.5%減、原油2,810万バレル・9.4%減、コンデンセート1,490万バレル・3.0%増、2025年通年の1億8,360万バレル・1.1%増とコンデンセート5,900万バレル・6.1%増はこの統計によります。

ペトロナス「Pengerang Integrated Complex — Production & Technologies」製油所の日量30万バレル、分解装置群の年340万トンという能力はこのページによります。

ロイター(MarineLink転載)「Southeast Asian refineries reduce output due to tightened crude supplies」(2026年3月10日)PRefChemが日量30万バレルの常圧蒸留装置を止めて稼働率50%にしたこと、原油の70%超がホルムズ経由だったこと、シンガポールSRCが75%から60%へ、エクソンモービル・ジュロン島が80%超から50%以下へ落としたことはこの記事によります。

ザ・スター紙「Potential sale of PPC could remove PetChem's earnings drag」(2026年6月30日)ペンゲラン石化が3月下旬まで停止し、再開後の稼働率が約50%であること、ナフサ価格が約47%下落して紛争前の水準に戻り、ポリエチレン価格がピークから約40%下落したことはこの記事によります。

ペトロナス・ケミカルズ 2026年第2四半期決算リリース(2026年8月19日)/第1四半期決算リリースグループ稼働率73%(前期97%)、オレフィン・誘導品56%(前期87%)、肥料・メタノール80%(前期103%)、税引後利益4億4,500万リンギ(前期4億2,700万リンギ)、製品価格の前期比37%・50%超の上昇、稼働率低下の理由がクルティ総合石化コンプレックスの大型定期修理であることは、当社がこれらのリリースを直接読んだものです。

ペトロナス・ケミカルズ 第28回株主総会 質疑回答書(2026年)「操業は主にガス原料に基づく」「液体原料に基づく部分は小さい」「ペンゲラン製油所の原料は主にサウジアラビア産」という説明はこの文書によります。

ジ・エッジ・マレーシア「Lotte Chemical Titan's losses widen despite doubled revenue」(2026年8月6日)ロッテ・ケミカル・タイタンの2026年4〜6月期の稼働率50%(前年同期46%)、売上31億1,000万リンギ(116.4%増)、株主帰属純損失1億7,419万リンギ、棚卸資産評価減1億4,000万リンギ、通年の稼働率見通し60%から65%はこの記事によります。第1ナフサ分解装置(年43万トン)の2024年12月15日の停止は同紙の別記事によります。

ザ・スター紙「Plastics firms seeking new sources」(2026年6月16日)樹脂価格が1トン930米ドルから1,700米ドルへ、特殊グレードが2,000米ドル超になったこと、上昇率80%から100%、MPMA会長が新しい調達先として中国を名指ししたこと、従来は国内メーカー50%・輸入50%という構成だったことはこの記事によります。

マレーシアプラスチック工業会(MPMA)声明「Global Disruptions and Resin Prices」(2026年3月16日)1トンあたり最大250米ドルのサーチャージ、原料価格が1週間でトンあたり3,000リンギ近く上昇したことはこの声明によります。

ペトロナス・サウジアラムコ 共同発表「Transfer of Full Ownership of PRefChem to PETRONAS」(2026年5月25日)アラムコがペンゲラン精油会社とペンゲラン石化会社の全持分をペトロナスに譲渡すること、譲渡価格と持分比率が公表されていないこと、今後の商業取極の検討は、当社がこのリリースを直接読んだものです。2017年2月28日にアラムコが50%を310億リンギで取得し原油の最大70%を供給する条件だったことは、マレー・メール紙の当時の記事によります。

ジ・エッジ・マレーシア「PETRONAS 1H2026 results」(2026年8月28日)ペトロナスの2026年上半期のダウンストリーム税引後損失152億リンギ、グループ税引後利益272億リンギ(4%増)、売上1,524億リンギ(15%増)はこの記事によります。

ジェトロ ビジネス短信(2026年7月8日、財務省貿易統計による)2026年5月の日本のナフサ輸入の国別内訳(全体143万キロリットル・9.1%減、米国499,076キロリットル・609.6%増、アルジェリア266,843キロリットル、マレーシア17,263キロリットル・240.8%増で13位、中東95.3%減)はこの記事によります。

プラサーチ「樹脂別国別輸入実績」2025年1〜6月・2026年1〜6月(財務省貿易統計による)マレーシアからのPP・PPブロック・HDPE・LDPEの数量と金額は、当社がこれらのPDFを直接読んだものです。合計、増減率、1kgあたりの単価は、当社が数量と金額から計算しました。年ベースの2024年23,225トン・2025年13,227トンは同社の年次推移表によります。

外務省「日・マレーシア共同声明」(2026年6月10日、東京)ナフサを含む石油・化学製品について「マレーシアの最大限のコミットメント」が表明されたこと、数量の記載がないことは、当社がこの文書を直接読んだものです。JERAとペトロナスのLNG契約(年最大200万トン、2028年から20年間)は同日のJERAの発表によります。

マレーシアで減ったのは樹脂の原料だけ|精製石油は前年と同額、原料の販売額はいつから29.1%減か本記事の会社ごとの数字を、マレーシア統計局の部門全体の統計と並べた当社の定点観測ページです。稼働率・販売額・原油・LNG・雇用を月次でさかのぼっています。

シンガポールの石化はなぜ半減したのか、自国に原油はゼロ、6月の生産52.3%減と住友化学系2社の停止同じ2026年のシンガポールを扱っています。油田を持たない国で3月に相次いでフォースマジュールが出たこと、政府統計で6月の石油化学の生産が半減したこと、それでも日本への樹脂は量が減らず単価だけが上がったことを数字で追っています。

ベトナムの樹脂はいつまで買えるのか、6月のPPは日本の輸入の43.4%、唯一のPE工場は5月から停止同じ2026年のベトナムを扱っています。日本のポリプロピレン輸入の43.4%を供給した相手が、なぜ増えたのか、そしてなぜいま止まっているのかを数字で追っています。

樹脂原料はなぜ高いままなのか|ナフサ118,900円とPP・PE4品目の国別価格2026年の全記録本記事の輸入単価の数字を、PP・PPブロック・HDPE・LDPEの4品目について相手国別に並べた当社の定点観測ページです。

S&Pグローバル「Factbox: More chemical plant shutdowns, force majeures reported in Asia」(2026年3月6日)アジアの生産停止・フォースマジュールの一覧にマレーシアの会社が載っていないことは、この記事によります。

この記事の限界について

本記事は2026年8月29日時点で公表されている資料に基づいています。マレーシアのPE・PPの輸出入について、2026年の月次または年初来の数量データは公開されておらず、当社は確認できていません。マレーシア統計局の月次貿易統計は樹脂の品目別内訳を公表しておらず、国連の貿易統計も2025年暦年が最新です。したがって「マレーシアが中国から樹脂をどれだけ輸入したか」を数量で示すことはできません。ペトロナス・ケミカルズのオレフィン・誘導品の稼働率56%について、当社は定期修理と原料難の寄与を分けられていません。ペンゲランの2026年7月以降の稼働率も確認できていません。日本の輸入単価は通関金額を数量で割ったもので、実際の商談価格そのものではありません。PE・PP個別の生産能力は、ペトロナス・ケミカルズもロッテ・ケミカル・タイタンも公表しておらず、当社は確認できていません。当社は、マレーシアからの供給が今後どうなるかを予想していません。お取引の判断は、各社の最新の案内をご確認ください。

FAQよくあるご質問

マレーシアはホルムズ海峡の東にあるのに、なぜ影響を受けたのですか。

原油を輸入しているためです。カザナ研究所の分析では、2025年のマレーシアの原油輸入の69.2%がホルムズ関連国からで、ペトロナスは必要量の約40%が海峡を通ると認めています。マレーシアは1日70万バレルを消費し、生産はその半分です。地図の位置と、原料の出どころは別の話です。

マレーシアの製油所はどれくらい止まったのですか。

最大のペンゲラン総合石化コンプレックスは、2026年3月に日量30万バレルの常圧蒸留装置を止めて稼働率50%になりました。運営会社は原油の70%超をホルムズ経由で調達していました。石化のほうは3月下旬まで完全に停止し、再開後も稼働率は約50%です。製油所は2026年6月21日から7月10日まで再び止まっています。

マレーシアの会社はすべて止まったのですか。

いいえ。止まったのは石油を原料にする設備です。ペトロナス・ケミカルズは株主総会の回答書で「操業は主にガス原料に基づく」「液体原料に基づく部分は小さい」と説明しており、2026年4〜6月期も4億4,500万リンギの黒字でした。S&Pグローバルが2026年3月にまとめたアジアの生産停止・フォースマジュールの一覧にも、マレーシアの会社は1社も載っていません。

マレーシアで樹脂の値段はどれくらい上がりましたか。

マレーシアプラスチック工業会の会長によると、1トン930米ドルから最高1,700米ドルへ、特殊グレードは2,000米ドル超になりました。上昇率は80%から100%です。ただし2026年6月30日時点では、ナフサ価格が約47%下がって紛争前の水準に戻り、ポリエチレン価格もピークから約40%下がったと報じられています。

中国産の樹脂はマレーシアで問題になっていますか。

2026年については、脅威ではなく供給源として扱われています。マレーシアプラスチック工業会の会長は、現地メーカーが新しい調達先から買っていると述べ、その相手として中国を名指ししています。中国のポリエチレン輸出の2026年4月の仕向地では、マレーシア向けが9%を占めました。値崩れではなく暴騰が起きていたため、マレーシア政府はポリエチレンにもポリプロピレンにも反ダンピング関税をかけていません。

サウジアラムコがペンゲランから抜けたのはなぜですか。

理由は公表されていません。2026年5月25日、アラムコが保有するペンゲラン精油会社とペンゲラン石化会社の全持分をペトロナスに譲渡することで合意しました。譲渡価格も持分比率も非公表です。2017年にアラムコは50%を310億リンギで取得し、製油所の原料原油の最大70%を供給する条件でした。ペトロナスは完全所有化にあたり、2026年上半期のダウンストリーム部門で152億リンギの税引後損失を計上しています。

マレーシアは日本の代わりの供給元になりましたか。

なっていません。ナフサは2026年5月に17,263キロリットルで前年同月比240.8%増でしたが、日本の輸入全体の1.21%で13位です。実際に中東の穴を埋めたのは米国(499,076キロリットル)とアルジェリア(266,843キロリットル)でした。樹脂はむしろ減っており、マレーシアからのPP・PPブロック・HDPE・LDPEは1〜6月累計で5,533トンから3,280トンへ40.7%減っています。

日本とマレーシアの首脳会談で何か決まりましたか。

2026年6月10日の共同声明に、ナフサを含む石油・化学製品について「日本への開かれた安定的な貿易の流れを促進することについてマレーシアの最大限のコミットメント」と書かれています。ただし数量の記載はありません。同日発表されたJERAとペトロナスのLNG契約は年最大200万トンで20年間ですが、開始は2028年です。2026年の供給には効きません。

マレーシアの樹脂は日本より安いのですか。

品目によります。2026年1〜6月の輸入単価は、PPが1kgあたり204円で日本の輸入全体の平均215円より安く、HDPEは238円で全体の平均212円より高い水準でした。ただしPPは安かったにもかかわらず数量が45.1%減っています。値段の問題ではなく、マレーシア側の工場が止まっていて出てこなかったということです。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。

当社は物流資材の商社で、プラスチックパレット、再生樹脂原料、PPバンド、ストレッチフィルムを取り扱っています。これらはすべてポリエチレンとポリプロピレンからできており、マレーシアは日本の仕入れ先の1つです。自社の仕入れのために追いかけている数字を、そのままお伝えしています。

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