値上げマップ

2026年6〜7月の建築資材・包装資材の値上げ、40社超のメーカー別一覧

2026年6月1日 公開2026年7月12日 更新(7月12日時点の情報)出典 一次情報40件超読む時間 約36分

この記事の答え

何が起きた
2026年6月1日〜7月出荷分で、建設・物流・包装資材の値上げが40社を超えました。7月12日には、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡の再閉鎖を宣言しました。
資材の調達への影響
ナフサ価格は6月中旬に$1,043/MTから$627/MTまで下がり、数量ショックは緩和されました。一方で、価格プレミアム・輸送コスト・品質適合の「第2波リスク」が続いています。
確かめておくこと
新価格の基準が発注日か出荷日か(出荷日基準の事例が主流)、見積りの有効期限、出荷数量の上限です。
次に見るところ
YKKAPの10月再値上げ予定など、この記事の「予定」の時期はすでに過ぎています。その後の数字は、毎月更新の建設資材の完全まとめにあります。
この記事のあとの動き(2026年10月23日時点)

この記事の「見通し」「予定」は、公開した時点のものです。この記事で「〜の見通し」「〜の予定」と書いた時期は、すでに過ぎています。

最新の数字と動きは、毎月更新している建設資材の完全まとめで確かめてください。

値上げ発表企業数(2026年6〜7月)40社超6月30社+7月追加10社。一次情報で確認済み
ナフサ価格の変動幅$1,043→$627/MT5/16ピーク→6/25急落。衝突前の$632を下回る
エチレン稼働率(4月時点)67.3%44ヶ月連続で損益分岐(90%)割れ

受注停止・出荷停止は12社超です(数量制限・アロケーション〈出荷量の割り当て〉を含みます)。ナフサ価格はシンガポールナフサスポット価格です。

7月12日にホルムズ海峡が再閉鎖され、7月には10社の値上げが加わった

初版は6月1日出荷分の値上げ30社が対象でした。その後、状況は二段階で大きく動き、内装材・外装材・気密部材などで新たに10社の値上げが発表されました。

この記事の初版は、2026年6月1日出荷分の値上げ30社を対象にしていました。その後、6月中旬から7月12日にかけて、状況は二段階で大きく動きました。

第一段階は、6月17日のイスラマバード覚書による一時的な小康状態です。第二段階は、7月12日のホルムズ海峡再閉鎖宣言で、覚書が実質的に機能しなくなったことです。

この間に、内装材・外装材・気密部材の分野で新たに10社の値上げが発表されました。対象範囲は、さらに広がりました。

2026年6月1日出荷分を境に、建設資材・物流資材・包装資材を中心とした価格改定が、雪崩のように進んできました。6月17日のイスラマバード覚書で、一時は小康状態に入ったかに見えました。

しかし、7月6〜8日の商船攻撃の波及と米空爆、そして7月12日のホルムズ海峡再閉鎖宣言で、覚書は事実上機能しなくなりました。

この記事は、メーカー公式発表など一次情報で確認できた40社超の情報を一つにまとめたものです。値上げ・出荷制限・受注停止を、6〜7月の時系列を追いながら整理します。

2026年7月12日速報|状況が再び動きました 7月12日未明、イラン革命防衛隊(IRGC)は、キプロス船籍のコンテナ船「GFS Galaxy」を攻撃しました。乗組員1名が行方不明です。IRGCは、ホルムズ海峡を「追って通知まで、かつ米国の介入終了まで再閉鎖」と宣言しました。

米中央軍(CENTCOM)は、同日午前8時15分(日本時間)から対イラン空爆を再開しました。6月17日の覚書の後4回目、今週3度目の攻撃です。前日の7月11日には、モジタバ・ハメネイ新最高指導者が「復讐を誓う」と声明を出しています。

くわしくは【2026年7月12日速報】IRGCがホルムズ海峡を再封鎖(専門版)に、生活者向けの解説はホルムズ海峡の再閉鎖のやさしく解説版にまとめています。

6-7月の主要出来事タイムライン

2026年6〜7月の主な出来事
日付段階出来事
2026-06-01初回値上げ発効タキロンシーアイ・カネカ・田島ルーフィング等、6月1日出荷分値上げが一斉発効
2026-06-17覚書署名米イラン間でイスラマバード覚書署名。60日間の商船無償・安全航行を規定
2026-06-25ナフサ価格急落シンガポールナフサスポット$627/MTまで下落(衝突前$632下回る)。日経「代替調達で供給懸念が後退」
2026-07-017月値上げ発効サンゲツ・ニチハ・マグイゾベール等が7月1日受注/出荷分値上げ発効
2026-07-06覚書後最多攻撃IRGCがホルムズ海峡で商船3隻を攻撃(合意後最多)。カタール国営LNG船・サウジ原油タンカー
2026-07-07〜08米報復空爆米中央軍(CENTCOM)が80以上→約90拠点にわたる対イラン空爆。防空・沿岸監視・海軍インフラを標的
2026-07-10ハメネイ師埋葬前最高指導者アリ・ハメネイ師の遺体がマシャドの聖地に埋葬。国葬期間終了
2026-07-11復讐声明新最高指導者モジタバ・ハメネイ師が「復讐を誓う」と声明
2026-07-12 未明コンテナ船攻撃IRGCがキプロス船籍コンテナ船「GFS Galaxy」を攻撃、乗組員1名が行方不明
2026-07-12 未明再閉鎖宣言IRGC声明「ホルムズ海峡は追って通知まで、かつ米国の介入が終了するまで再閉鎖」
2026-07-12 08:15米空爆再開CENTCOM対イラン空爆再開、覚書後4回目・今週3度目。ヘグセス長官「イランは愚かな選択をした」
2026-07-27予定東リが7月27日受注分よりビニール床タイル・床シート・壁装材を20〜30%値上げ予定

2026年7月に追加された値上げ・供給制限10社

6月1日以降、内装材・外装材・気密部材の分野で、新たに10社の価格改定・供給制限が発表されました。

特徴は、6月時点では表に出ていなかった分野への波及です。塩化ビニル(PVC)由来の壁材・床材、金属外装材、ロックウール系気密部材、包装印刷資材などです。

10社の内訳は、サンゲツ・東リ・ニチハ・アイジー工業・JFEロックファイバー・ケイミュー・YKKAP・TOPPANホールディングス・カルビー・LIXIL/パナソニックです。

全40社の一覧は早見表(6〜7月の40社超)に、個社別のくわしい説明は7月追加の内装材・外装材・住宅設備編にあります。

7月追加分の3つの特徴

①内装材への本格波及:サンゲツ・東リの壁装材/床材の値上げは、住宅リフォーム・オフィス改装・商業施設内装まで幅広い分野に影響します。塩化ビニル(PVC)がナフサ由来であることによる、構造的な波及です。

②気密部材への拡大:JFEロックファイバーの気密部材40%値上げは、省エネ住宅基準(ZEH)の建設コストを直接押し上げる要因になっています。

③パッケージ簡素化という新形態:カルビーのポテトチップス白黒パッケージ化は、値上げではなく「印刷資材の物理的削減」という新しい形の対応です。包装インキ不足の大きさを象徴しています。

建設・物流・包装資材の値上げは、6〜7月で40社を超えた(早見表)

2026年6月1日出荷分〜7月出荷分で、40社を超えるメーカーが価格改定・出荷制限・受注停止を発表しました。6月1日値上げの30社に、7月追加の10社が加わっています。

次の表は、2026年6月1日出荷分〜7月出荷分で、価格改定・出荷制限・受注停止が発表された主要メーカー40社超の一覧です。

改定率は、各社の発表ベースです。実際の適用価格は、製品仕様・取引条件・出荷日・販売ルートにより異なる場合があります。追加マーク付きは、6月7日更新版から新たに追加された企業です。

6〜7月に価格改定・供給制限を発表したメーカー
分類会社対象製品改定幅実施時期
建設・住設タキロンシーアイ住設建材製品全般20%以上2026年6月1日出荷分〜
インフラタキロンシーアイシビルインフラ営業部 全製品30%以上2026年6月1日出荷分〜
採光・建材三菱ケミカルインフラテック樹脂波板「ヒシ波」、ポリカ平板「ヒシカーボ」10%以上2026年6月1日出荷分〜
サイン三和サインワークス取扱い全製品20%以上2026年6月1日出荷分〜
副資材ニップコーポレーションNプライマー、NプライマーGK個別案内2026年6月1日出荷分〜
樹脂建材信越化学工業シリコーン事業本部 全シリコーン製品10%以上2026年6月1日出荷分〜
建材ウッドワン建具・収納・床材・階段部材等のカタログ価格個別案内2026年6月22日受注分〜
塗料・シンナー日本ペイントシンナー製品全般(追加値上げあり)75% +α3月19日発注分〜/4月16日追加
塗料・シンナー関西ペイントシンナー製品全般・出荷統制50%以上2026年4月13日出荷分〜
塗料エスケー化研水性・溶剤・粉体製品全般10〜30%2026年5月11日出荷分〜(溶剤4月21日〜)
シンナーロックペイントシンナー類全般30%以上2026年4月1日出荷分〜(量制限3/25〜)
シーリングアイカ工業SE-770シーリング ほか受注一時停止2026年4月15日〜当面の間
シーラントKFケミカルKFスペシャルシーラント受注一時停止2026年4月15日〜
ルーフィング田島ルーフィングアスファルト系防水材・ポリスチレン断熱材40〜50%2026年6月1日納品分〜(4/10新規受注停止)
防水材日新工業防水材料全般・アスファルトルーフィング出荷停止2026年4月10〜13日〜
屋根材旭ファイバーグラスアスファルトシングル「リッジウェイ」「オークリッジ」約30%2026年7月1日出荷分〜
断熱材カネカカネライトフォーム(押出法ポリスチレン)約40%2026年4月1日出荷分〜
断熱材デュポン・スタイロスタイロフォーム約40%2026年5月1日出荷分〜
断熱材旭化成建材ネオマフォーム・ネオマゼウス約20%2026年5月7日出荷分〜(一部サイズ販売終了)
断熱材パラマウント硝子グラスウール断熱材 全種約15%2026年6月1日出荷分〜
断熱材マグ・イゾベールグラスウール製品 全般25%以上2026年7月1日出荷分〜
断熱材フクビ化学工業断熱材含む製品全般個別案内2026年4月以降
梱包・物流川上産業プチプチ等の全製品原反25%・加工20%・特殊35%2026年6月1日出荷分〜
包装・物流グンゼ包装システム収縮製品全般、ロールラベル製品全般25〜30%以上2026年6月1日出荷分〜
包装グンゼ包装用ナイロンチューブ、ラベル用収縮フィルム30%以上ほか2026年6月1日出荷分〜
産業フィルム大倉工業ラミネート製品、プロセスマテリアル製品30%以上2026年6月1日出荷分〜
食品包装エフピコチューパOPP防曇フィルム、サンバッグ等25〜35%以上2026年6月1日出荷分〜
印刷・包装東京インキグラビアインキ関連製品全般30%以上2026年6月1日出荷分〜
産業繊維東洋紡エムシー超高強力PE繊維「イザナス」「ツヌーガ」5〜10%2026年6月1日出荷分〜
設備TOTO・ハウステックユニットバス・トイレ・衛生陶器受注停止→段階再開2026年4月13日〜(4月20日段階再開)
内装材サンゲツ壁装材・床材・ファブリック・接着剤等18〜30%2026年7月1日受注分〜
内装材東リビニール床タイル・床シート・壁装材20〜30%2026年7月27日受注分〜
外装材ニチハセンタールーフ・センターサイディング個別案内2026年7月1日出荷分〜
外装材アイジー工業金属サイディング・金属屋根 全製品18%以上2026年6月1日〜
気密・断熱JFEロックファイバーロックウール/気密部材20%以上/40%以上2026年6月1日納入分〜
外装材ケイミューシビルスケア・グランスケア他減産・供給制限2026年5月26日〜当面
窓・サッシYKKAP樹脂・アルミサッシ再値上げ予定2026年10月予定
包装TOPPANホールディングス包装資材(顧客値上げ打診)2〜3割2026年4月21日以降
包装印刷カルビーポテトチップス14品目 白黒パッケージ化パッケージ簡素化2026年5月25日〜
住宅設備LIXIL・パナソニックユニットバス・トイレ・洗面受注停止→段階再開2026年4月〜5月

※上記は、2026年7月12日時点で確認できた一次情報・公式発表をもとにした一覧です。7月12日のホルムズ海峡再閉鎖による第3波リスクと、ナフサ価格の反転のくわしい分析は、次の章(ナフサ価格と第2波リスク)にあります。この記事は随時更新します。

この記事の調べ方2026年7月12日時点の調査方針

この記事は、メーカー公式発表・公式PDF・公式プレスリリースなどの一次情報で確認できた内容だけを載せています。

一部は、業界紙(新建ハウジング、日経新聞、塗料報知、テイガク等)で確認された情報を補足として引用しています。その場合も、メーカー側の公式コメントが含まれているケースに限っています。

販売店のブログや、二次引用だけで確認された情報は除いています。

使った資料は、記事の最後の出典・エビデンス一覧にあります。

ナフサ価格は下がったが、値上げは「第2波リスク」の局面に入った

ナフサ価格は6月中旬に$1,043から$627へ反落し、原油の代替調達もほぼ10割に達しました。数量ショックは緩和されましたが、7月12日の再閉鎖で再上昇のリスクが浮上しています。

2026年6〜7月の状況を理解するうえで、ナフサ価格の反転は重要な転換点になりました。

3月クライシス以降、シンガポールナフサスポット価格は、ピーク時に$1,043/MTまで急騰しました。その後、6月中旬に急速に反落しました。

しかし、価格の反落は、そのまま川下製品の値上げの終わりを意味しません。「第2波リスク」の構造を整理します。

2026年3-7月のナフサ価格推移(可視化)

シンガポールナフサスポット価格の変動(2026年3-7月)

  • 2026-02-27 $632/MT:中東衝突直前の基準値。3月クライシスの起点
  • 2026-05-16 $1,043/MT:ピーク到達。衝突前比+65%。エチレン・プロピレン・BTX全波及に波及
  • 2026-06-03 $788/MT:ADNOC経由再開。米国産ナフサ日本向け輸入が5倍水準に(Kpler)
  • 2026-06-25 $627/MT:衝突前$632を下回る。日経「代替調達で供給懸念が後退」
  • 2026-07-12 再上昇リスク:IRGCホルムズ海峡再閉鎖・GFS Galaxy攻撃・米空爆再開で覚書実質の機能不全

「価格急落=情勢解消」ではない4つの構造的理由

ナフサ価格は、衝突前の水準を下回りました。それでも川下製品の値上げが止まらない背景には、次の4つの構造的な要因があります。

ICIS(石油化学価格情報の世界的権威)のKojo Orgle氏は、「物理的タイトネスは封鎖解除後も少なくとも3ヶ月以上継続」との見方を示しています。

  • ①価格反映のタイムラグ:川上価格(ナフサ)の反落から、川下製品(建材・包装材)への反映には3〜6ヶ月のラグがあります。3〜5月の高値ナフサで仕込んだ在庫が、6-8月の販売価格に反映される構造です。
  • ②中東外プレミアム:石化工業協会の工藤会長は「中東外ナフサは通常時の約2倍」と発言しました。筑本副会長は「プレミアムを支払うことで必要な量が調達できている」と述べています。数量は確保できても、価格は高値が続く構造です。
  • ③エチレン稼働率の低迷:石油化学工業協会が4月時点で発表した国内エチレン稼働率は67.3%です。損益分岐点の90%を大きく下回り、44ヶ月連続で損益分岐割れです。減産による固定費の負担が、コスト構造を圧迫しています。
  • ④7月12日再閉鎖リスク:7月12日のIRGCによるホルムズ海峡再閉鎖宣言で、6月中旬から続いていた反落の局面が終わり、再上昇の圧力が浮上しました。8〜9月に第3波の値上げが相次ぐ可能性があります。

「数量ショック」から「価格・輸送コスト第2波」への構造転換 3月クライシスの局面は、「モノが手に入らない」数量ショックが主軸でした。三菱ケミカルの3月6日の減産、TOTOの4月13日の受注停止など、生産・出荷そのものが止まるリスクが焦点でした。

しかし7月時点では、原油の代替調達がほぼ10割水準(資源エネルギー庁 6月8日時点公表)に達しました。ナフサの輸入も米国産が5倍水準まで広がり、数量ショックは大幅に緩和されました。

一方で第2波は、4つの構造的なコストが続く局面です。①輸送日数の長期化(米国産は約22日)、②戦争リスク保険料の高止まり、③品質適合コスト(米国産WTIと中東産の性状の違いによる精製工程の微調整)、④世界的な調達競争(欧州も米国産へシフト)です。

「棚は埋まっているが、じわりと値段が上がる」という第2波型の影響が、今後6-12ヶ月続く見通しです。

日本の第2波リスクは他国と比べてどうか|国際比較

日本の第2波リスクを理解するには、東アジア・欧州・北米の主な石化生産国の状況と比べる必要があります。

3月クライシス以降、アジア各国の石化産業は、同時多発的にフォースマジュール(不可抗力)宣言と生産調整に追い込まれました。7月時点で正常化しているのは日本を含む一部にとどまり、アジア全体の需給の引き締まりは続いています。

  • 韓国|麗川NCC・Lotte Chemical・LG Chem:3月に麗川NCC(Yeochun NCC)が先行して、フォースマジュールを宣言しました。Lotte Chemical・LG Chemも、追随の警告を出しています。エチレン系全般の供給不安は、7月時点でも続いています。
  • 台湾|フォルモサ・プラスチックス:4月1日に、エチレン下流製品でフォースマジュールを宣言しました。グループ傘下の台湾石油化学も3月10日に宣言し、麦寮コンビナートの2基のエチレン装置の片方が停止リスクに直面しています。
  • 中国|万華化学・Shell/CNOOC合弁:万華化学(Wanhua Chemical)が3月6日に、TDI・MDI(ポリウレタン中間体)のフォースマジュールを宣言しました。Shell/CNOOC合弁の惠州エチレンクラッカーが停止し、3月5日からPEの出荷を無期限停止しています。
  • シンガポール|住友化学PCS:住友化学グループのシンガポール子会社PCS(年産能力110万トン)が、フォースマジュールを発動しました。さらにMMA(アクリル樹脂原料)へと、不可抗力宣言の波が川下に広がっています。
  • インド|PVC市場:PVC需要の主な拠点であるインドでは、3月の国内価格が78%急騰しました。塩化ビニル系建材(壁装材・床材・塩ビ管)への波及が、アジア全体に広がっています。
  • 欧州|代替調達競争:欧州も、米国・アルジェリア産へのシフトを急速に進めています。日本との米国産ナフサの奪い合いが、7月時点で表に出てきました。ADNOC(UAE)経由の一部再開はあるものの、欧州の需給の引き締まりが、日本の調達コストを間接的に押し上げます。

このアジア全体の生産調整と欧州の代替調達競争が、日本の第2波リスクの背景にあります。

7月時点で、日本の三協化学(包装フィルム・印刷インク向け中間材料)は、6月2日から新規受付を再開しました。しかし、韓国・台湾・中国のフォースマジュール解除は限られており、アジア全体で「日本だけ先行して落ち着いた」わけではありません。

日本国内の値上げが続く理由の一つは、このアジア域内の需給の引き締まりが構造化しているためです。

ナフサは石油化学の基礎原料なので、値上がりが全産業に広がる

値上げの原因は、ナフサ高騰・中東情勢の緊迫化・7月12日のホルムズ海峡再閉鎖による、石油化学原料の供給不安です。ナフサは多くの製品の出発点のため、影響が広く及びます。

ナフサ(粗製ガソリン)は、石油化学産業の基礎原料です。原油を精製する過程で得られる軽質留分です。エチレン・プロピレン・ベンゼン・トルエン・キシレンといった、主な石化原料の出発点になります。

2026年2月末の米国・イスラエルによるイラン攻撃以降、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態に陥りました。日本向けの原油輸送は、大きな遅延と数量の減少に見舞われました。

国産ナフサ価格指標は、3-5月にかけて歴史的な高値に達しました。6月中旬に一時反落したものの、7月12日の再閉鎖で再び不安定になっています。

原油そのものは、日本政府と企業が米国・中南米・アフリカからの代替調達を急速に広げています。7月時点で、ほぼ10割の代替が進んでいます。しかし、ナフサ由来製品の価格への影響は、今も続いています。

ナフサショックの全体像と、PP樹脂・ジェット燃料・医薬品・スマートフォン産業など他の産業への波及は、関連記事「2026年ナフサショック」でくわしく書いています。7月12日の再閉鎖のくわしい内容は、【2026年7月12日速報】IRGCがホルムズ海峡を再封鎖(専門版)にあります。

ナフサから派生する石油化学製品ピラミッド

ナフサは、下流で次のように分かれます。それぞれが、今回値上げの対象になった製品群に直接対応します。

  • エチレン系:ポリエチレン(PE)→ストレッチフィルム、プチプチ、断熱材(カネカ・スタイロ)、塩ビ管、農業用フィルム
  • プロピレン系:ポリプロピレン(PP)→PPバンド、OPPフィルム、食品容器、自動車部品、プラスチックパレット
  • ベンゼン系:スチレン→ポリスチレン断熱材(スタイロ・カネライト)/フェノール→接着剤・合板/ポリカーボネート(ヒシカーボ)
  • 溶剤系:トルエン・キシレン・酢酸エチル等→塗料用シンナー、グラビアインキ、接着剤の希釈剤・洗浄剤
  • 添加剤・補助原料:可塑剤、安定剤、顔料分散剤、樹脂改質剤→塗料・インキ・フィルム・建材すべての性能維持に必須
  • 特殊樹脂・繊維:超高強力ポリエチレン繊維(イザナス)、シリコーン樹脂、PVDF樹脂など特殊用途の高機能材料
  • 塩化ビニル系(PVC):壁紙、床材、塩ビ管、電線被覆、防水シート、化粧シート、収縮フィルム(サンゲツ・東リの主要原料)
  • ポリオール系:ウレタン系断熱材、シーリング材、接着剤、塗料バインダー(住宅・建材の広範な部材)

「目詰まり」ではなく「構造的供給不足」+「第2波コスト」 初版(6月時点)では、政府が「サプライチェーンの目詰まり」と表現していました。現場は「過去20年の国内製造業の空洞化に起因する構造問題」と反論する構図でした。

7月時点では、原油の代替調達がほぼ10割まで進み、「数量」の問題は緩和しています。

しかし、中東外ナフサの2倍プレミアム、44ヶ月連続の稼働率低迷、7月再閉鎖リスクという「第2波コスト」が、新たな構造要因として表に出てきました。単なる短期の目詰まりではなく、産業構造の再編を伴う長期の問題という性格が強まっています。

住設建材・インフラ資材・樹脂建材は、6月1日の値上げが続いている

建設資材は、6月1日発効の値上げが定着した局面です。住宅設備の受注は7月時点でほぼ正常化しましたが、7月12日の再閉鎖で追加値上げのリスクが浮上しています。

住設建材製品全般|タキロンシーアイ

タキロンシーアイは、住設建材製品全般について、2026年6月1日出荷分から20%以上の価格改定を実施しました。

同社は理由として、ホルムズ海峡封鎖に伴うナフサの調達難と価格高騰、原材料メーカー各社による供給制限・価格改定を挙げています。

住宅資材では、雨どい、デッキ材、エクステリア製品、収納製品、勝手口ステップ等が対象です。7月時点で続報はなく、6月1日発効の価格帯が続いています。

インフラ営業部 全製品|タキロンシーアイシビル

タキロンシーアイシビルは、インフラ営業部の全製品について、2026年6月1日出荷分から30%以上の価格改定を発表しました。

理由には、ホルムズ海峡の実質的な航行停止とナフサ供給の減少が示されています。原料価格と物流費の高騰、安定供給を保つための追加コストも挙げられています。

対象は、雨水ます、雨水浸透施設、グリーストラップ、研ぎ出し流し等のインフラ系製品です。公共工事の下期(9-3月)発注案件への影響が、7月時点で表に出つつあります。

樹脂製波板・ポリカーボネート平板|三菱ケミカルインフラテック

三菱ケミカルインフラテックは、樹脂製波板「ヒシ波」シリーズとポリカーボネート平板「ヒシカーボ」全種を、2026年6月1日出荷分から10%以上値上げしました。

背景は、中東情勢による資源輸送の不安、ナフサ供給の減少、原料価格と物流費の高騰です。

採光資材として需要が高い建材のため、農業ハウス・倉庫・工場・店舗の屋根材まで、広い範囲に影響します。

サイン・看板関連製品|三和サインワークス

三和サインワークスは、取扱い全製品について、2026年6月1日出荷分から20%以上の価格改定を発表しました。

同社は、今後の状況次第では欠品や大幅な納期遅延が起きる可能性があるとしています。サイン業界・店舗開業案件への影響が懸念されます。

シリコーン製品全般|信越化学工業

信越化学工業は、シリコーン事業本部が扱う全シリコーン製品について、2026年6月1日出荷分から10%以上の価格改定を発表しました。

理由は、原油価格やナフサの高騰に加え、原油由来の原材料、製造用エネルギー、製品容器、包装資材、物流費の上昇です。

半導体・電子部品・建材・自動車・医療など、多くの分野に波及する基幹素材の値上げです。

建材カタログ価格改定|ウッドワン

ウッドワンは、建具・収納・床材・階段部材等のカタログ価格を、2026年6月22日受注分から個別案内で改定しました。

さらに2026年8月18日受注分から住設商品を15%値上げすると、新建ハウジングが報道しました(2026年5月)。

背景は、中東情勢の緊迫化による原油・ナフサ価格の高騰、原料価格の急騰、物流費の高騰です。建具・階段部材まで、幅広い住設用品に影響します。

住宅設備の受注停止と段階再開|TOTO・LIXIL・パナソニック・ハウステック

TOTOは2026年4月13日、ユニットバス・トイレ・衛生陶器全シリーズの新規受注を停止しました。

原油由来のナフサからつくる素材を使う溶剤が不足したためで、4月20日から段階的に再開しています。

ハウステックも、4月15日からシステムバスルームの納期回答を停止しました。LIXIL・パナソニックも同じ時期に受注停止・制限を行い、5月以降に段階的に再開しています。

住宅設備の分野は、樹脂部品・接着剤・パッキン・配管に至るまで、ナフサ系材料への依存度がきわめて高い分野です。

7月時点まとめ|建設資材編 建設資材編は、6月1日発効の30社超の値上げが定着した局面にあります。7月の新規はウッドワン(住設商品15%・8月18日受注分〜)だけで、他社は6月の値上げが続いています。

住宅設備メーカー(TOTO・LIXIL・パナソニック)は、4-5月の受注停止から段階的に再開しました。7月時点で、受注業務はほぼ正常化しました。

ただし、7月12日のホルムズ海峡再閉鎖で、8-9月に再度の受注制限・追加値上げのリスクが浮上しています。特に住設・インフラ系は、下期案件の見積りを計算し直す必要が出る可能性があります。

塗料・シンナー・シーリングは、業界史上最大級の値上げになった

塗料・シンナーは、ナフサ供給の影響を最も直接受ける分野です。日本ペイントは3〜6月に3回続けて価格を改定し、関西ペイントは出荷統制を行いました。

塗料・シンナー業界では、2026年に入ってから、前例のない規模の値上げと出荷統制が続いています。

シンナーの主原料は、石油化学製品(ナフサから精製される溶剤類)です。そのため、ナフサ供給の影響を最も直接受けるカテゴリです。

2026年3月〜6月にかけて、日本ペイントは3回連続の価格改定を実施しており、業界で初めての異例の事態になっています。

連続3回値上げの日本ペイント|シンナー75%→塗料本体10-20%→6月全般追加

日本ペイントは、2026年3月19日発注分からシンナー製品全般を約75%値上げしました(第1波)。

さらに4月16日出荷分から、塗料本体を10〜20%、シンナーをさらに15〜25%追加値上げしました(第2波)。わずか1カ月での連続改定です。

4月17日からは、下塗り材16品種の受注を一時停止しました(〜4月25日、延長の可能性あり)。

そして5月13日、同社は6月1日出荷分から塗料製品全般の価格改定と直送運賃の改定を発表しました(第3波)。

さらに5月15日の2026年1〜3月期決算会見で、若月雄一郎社長は「買いだめの動きもあって予断を許さないが供給責任は果たせている」と説明しました。

一方で、中東問題が長期化した場合は再値上げを検討する方針も明言しました。3か月で3回の連続改定は、異例の事態です。

シンナー50%以上値上げ+出荷統制→6月下旬再開見通し|関西ペイント

関西ペイントは4月2日、シンナー製品を4月13日出荷分から50%以上値上げすると発表しました。

同時に、4月2日17時以降の受注分について、昨年4月度の出荷実績を上限とする出荷統制(アロケーション)を始めました。状況によっては受注できない可能性も明示しています。

楽観シナリオでの再開見通しは6月下旬とされていました。しかし、7月12日のホルムズ海峡再閉鎖で、見通しは不透明になりました。

製品全般10〜30%値上げ+水性下塗材受注停止|エスケー化研

エスケー化研は4月7日、製品全般の価格を2026年5月11日出荷分から改定すると発表しました(溶剤系主力製品は4月21日出荷分から先行)。

改定幅は、水性製品15〜25%、溶剤製品20〜30%、粉体製品10〜15%です。

背景は、中東情勢の緊迫化による原油・ナフサ価格の高騰、原料価格の急騰と、納入数量制限の増加です。

さらに4月13日には溶剤下塗り・錆止めの受注を停止し、4月21日からは水性下塗材も受注の一時停止に発展しています。

「水性塗料に切り替えればシンナー値上げの影響を避けられる」という判断が成り立たなくなった点が、業界内で注目されています。

シンナー30%以上+量制限|ロックペイント

ロックペイントは、2026年3月25日出荷分からシンナー類の量制限を始め、4月1日出荷分から30%以上の値上げを実施しました。

海外製品の緊急輸入も検討中ですが、現状では必要量の調達はきわめて困難としています。

シンナー70%値上げの追随|アステックペイント

アステックペイントは、2026年5月25日受注分からシンナーを70%値上げすると発表しました(施工業界情報より)。油性塗料15〜25%・水性塗料15〜20%の値上げも、同時に実施しました。

日本ペイントの第2波発表(4月16日)から、約2か月遅れての追随です。大手2社(日本ペイント・関西ペイント)以外の中堅塗料メーカーも、相次いで追随値上げする局面に入りました。

シーリング・シーラント類|アイカ工業・KFケミカル・サンスター技研

アイカ工業は、SE-770シーリング等の受注を4月15日から一時停止しました。KFケミカルも、KFスペシャルシーラントの受注を停止しました。

さらにサンスター技研は5月1日から30%以上の値上げを発表しており、建築用シーリング材の業界全体で値上げが定着しました。

住宅・建築のシーリング材は、骨格工事の最終段階で必須となる材料です。これらの供給停止は、工期の遅れに直結します。

「シンナーが手に入らない」が現場に大きく影響|市場実勢は公式75%を大幅超過 塗装作業では、シンナーは塗料の希釈用だけでなく、塗装機械・道具の洗浄や、施工現場の汚れ落としにも大量に使われます。

シンナーが手に入らなければ、塗料があっても塗装作業そのものが止まります。2026年4月時点で、業者1社につきシンナー1缶までという制限を設ける販売店も出てきています。

さらに大きな問題は、公式の値上げ率75%を大幅に上回る市場実勢価格です。

板金塗装業者・株式会社イケウチの2026年4月の報告によれば、従来約4,000円だったシンナー1缶が、15,000〜16,000円超(約3.75倍)まで上がったとされます。

東京商工リサーチによれば、2025年度の塗装工事業の倒産は前年比22.2%増の143件で、過去20年で最多です。業界全体が厳しい状況に置かれています。

7月時点まとめ|塗料・シンナー・シーリング編 塗料・シンナー業界は、「3波に及ぶ連続改定」が新しい当たり前になった局面です。

日本ペイントの3波連続(3月・4月・6月)、関西ペイントの出荷統制、エスケー化研の2段階(溶剤・水性)、アステックペイントの追随、サンスター技研の追加が相次いでいます。

7月12日のホルムズ海峡再閉鎖で、若月社長が示唆した「再値上げ検討」が現実になる可能性が浮上しました。第4波の値上げが8-9月に相次ぐ懸念があります。

水性塗料への切り替えも、樹脂原料(アクリル・ウレタン)がナフサ由来のため、間接的な影響を受けます。「水性なら安心」という選択肢は、業界内で成り立たなくなりました。

屋根材・防水材・断熱材は、供給が戻りつつも価格は高止まりしている

屋根材・防水材・断熱材は、供給の正常化と第2波リスクが並ぶ局面です。田島ルーフィングは7月1日に受注を全面再開しましたが、価格は40〜50%の高止まりが続いています。

ルーフィング全面再開+40〜50%値上げ|田島ルーフィング(7月1日再開)

田島ルーフィングは、2026年4月10日17:30をもって、防水材・住宅建材の新規受注を全面停止しました。

同時に、アスファルト系防水材料類とポリスチレン・ウレタンフォーム系断熱材について、6月1日納品分から40〜50%程度の価格改定を発表しました。RBボードは、すでに4月1日から約40%の値上げを実施済みです。

その後、同社は5月21日に受注再開の見込みを発表しました。ウレタン系防水材は6月上旬から再開しました。アスファルト系防水材・塩ビシート系防水材・屋根下葺材・その他材料は、6月中〜下旬から段階的に再開しました。

そして2026年7月1日付で「防水営業部・住建営業部 新規受注全面再開のお知らせ」を発表し、約3か月ぶりに正常化しました。

ただし価格改定は続いており、床材は7月21日納品分から20〜30%値上げしています。

屋根の下葺き材であるルーフィングは、止まると建物を雨から守れず、工期が完全に止まる性質の資材です。

防水材料全般 5月1日から段階再開|日新工業

日新工業は、2026年4月10日からアスファルトルーフィング・フェルト類の出荷を停止しました。4月13日には、防水材料全般の出荷停止に広がりました。

トップコートシンナー・キシレン・NSソルベントなど副資材の出荷制限・停止も、4月1日から先行しています。

2026年5月1日13時から、防水材料(ウレタン塗膜防水材・塩ビシート防水材を除く)と、屋根下葺材・壁下葺材となるアスファルトルーフィング・フェルト類の新規受注を段階的に再開しました(新建ハウジング報道)。

再開直後は注文の集中が見込まれるため、当面の間は納期回答を行わずに受注を受け付ける方針です。

同時に、4月21日出荷分から、アスファルトルーフィング・防水材料等の40%値上げを実施しています。

アスファルトシングル屋根材|旭ファイバーグラス

旭ファイバーグラスは、アスファルトシングル屋根材「リッジウェイ」「オークリッジ」の本体と専用部材を、2026年7月1日出荷分から約30%値上げすると発表しました。

当面の数量制限や、新規案件の受注見合わせの可能性も示しています。グラスウール製品は、4月1日から数量制限・納期調整を実施しています。

ニチハ 7月1日出荷分15%値上げ|センタールーフ・センターサイディング

ニチハは2026年7月1日出荷分から、金属製屋根材「センタールーフ」と金属製外壁材「センターサイディング」(本体・付属部材)について、15%程度の価格改定を実施しました(テイガク屋根修理報道)。

同時に透湿防水シートの供給制限を通知しており、屋根・外壁のカバー工法や外装改修工事に大きな影響を及ぼします。

石膏ボード 7月1日から20〜50%値上げ|チヨダウーテ

石膏ボード大手のチヨダウーテは、2026年7月1日から製品を20〜50%値上げすると予告しました(業界情報)。

石膏ボードは石油化学製品ではありませんが、原紙・接着剤・エネルギーコスト・物流費の高騰が背景にあります。

内装・天井・間仕切壁工事の主な資材の値上げは、住宅・非住宅を問わず、すべての建築工事の見積り単価を押し上げます。

押出法ポリスチレンフォーム断熱材|カネカ・デュポン・スタイロ

カネカ「カネライトフォーム」は、2026年4月1日出荷分から40%値上げしました。

デュポン・スタイロ「スタイロフォーム」は、2026年5月1日出荷分から40%値上げしました。追加の価格改定の可能性も明言しています。

フェノールフォーム断熱材|旭化成建材

旭化成建材「ネオマフォーム」「ネオマゼウス」は、2026年4月1日受注分から受注制限・納期調整を発動し、5月7日出荷分から20%値上げしました。

一部サイズの販売終了も発表されており、設計変更を余儀なくされる現場が増えています。

グラスウール断熱材|パラマウント硝子・マグ・イゾベール

パラマウント硝子は、グラスウール断熱材全種を、2026年6月1日出荷分から約15%値上げしました。

マグ・イゾベールは、2026年7月1日出荷分から25%以上の値上げと、実績レベルの受注制限を発表しています。

建築業界からの悲鳴 「家が、建たない。見通しすら、立たない」──ルーフィング・断熱材・接着剤・シーリングがそろって供給停止に陥る事態は、建築実務者の間で強い警戒感を生みました。

新築では、工程の最初に必要な断熱材、屋根工事に必須のルーフィング、最終仕上げのシーリングと、工程のあらゆる段階に「材料が来ない」リスクが分散していました。

5月〜7月の段階再開で状況は改善しましたが、7月12日の再閉鎖で第2波リスクが浮上しています。

7月時点まとめ|屋根材・防水材・断熱材編 屋根材・防水材・断熱材編は、「供給正常化と第2波リスクの併存」という局面にあります。

田島ルーフィングは7月1日に全面再開、日新工業は5月1日に段階再開し、供給面では春の情勢を脱しました。ただし、価格は40〜50%の高止まりが続いています。

7月の新規は、ニチハ(15%)・チヨダウーテ石膏ボード(20〜50%)・旭ファイバーグラス(30%)・マグイゾベール(25%以上)です。7月1日〜7月出荷分で発効し、内装工程まで値上げが広がりました。

7月12日のホルムズ海峡再閉鎖で、8-9月に第2波の受注制限・追加値上げのリスクが再び浮上しています。

建築現場では、下期(9月〜)着工案件の見積りの再計算と、工程管理の見直しが急務です。

物流資材・包装資材・フィルム・インキは、6月の値上げに追加の値上げが重なった

物流資材・包装資材は、6月の値上げに追加の値上げが続く局面です。グンゼは6月8日に追加改定を発表し、川上産業は昨年度実績を上限とする出荷を続けています。

プチプチ等の緩衝材|川上産業

川上産業は、プチプチ等を含む全製品について、2026年6月1日出荷分から原反25%以上、加工品20%以上、特殊品35%以上の価格改定を実施しました。

同時に、2026年6月1日以降の出荷分は、昨年度の出荷量実績を出荷上限とする方針も示しています。

納期の目安として原反14日以上、加工品21日以上を案内しており、7月時点でもこのアロケーションの運用が続いています。

収縮ラベル・ロールラベル+追加値上げ|グンゼ包装システム

グンゼ包装システムは、収縮ラベルなど収縮製品全般を25%以上、ロールラベル製品全般を30%以上値上げしました(2026年6月1日出荷分〜)。

原材料価格の高騰と物流コストの上昇を背景に、早期の引取り、必要最小限の発注、納期・数量調整への協力も求めています。

包装用ナイロン・ラベル用収縮フィルム+第2弾追加|グンゼ

グンゼ本体は、包装用ナイロンチューブ「ピュアラップ」を現行価格比30%以上値上げしました。ラベル用収縮フィルムは、素材別の値上げを発表しました(2026年6月1日出荷分〜)。

さらに2026年6月8日に、プラスチックフィルム製品の追加価格改定(第2弾)を発表しました(PR TIMES)。日経新聞は、「野菜等の包装用フィルムを6月22日出荷分から9%再値上げ」と報道しました。

同社は「2026年4月の価格改定以降も、中東情勢の長期化によるナフサ価格の高騰や、原料・副資材の値上げが相次いでおり、自社努力で吸収できる限界を超えた」と説明しています。

ラミネート・プロセスマテリアル|大倉工業

大倉工業は2026年6月1日出荷分から、ラミネート製品を現行価格比30%以上値上げしました。

プロセスマテリアル製品は、原反製品を180円/kg以上、二次加工製品を350円/kg以上値上げしました。背景は、中東情勢の不安による原油・ナフサの調達環境の悪化です。

OPP防曇フィルム・サンバッグ|エフピコチューパ

エフピコチューパは、2026年6月1日出荷分から価格改定を実施しました。

規格OPP防曇フィルム35%以上、OPPロール35%以上、サンバッグシリーズ25%以上、おにぎり・サンドイッチフィルム30%以上です。食品包装業界全体への影響が大きい改定です。

グラビアインキ・オフセットインキ全般|東京インキ

東京インキは、グラビアインキ関連製品全般について、2026年6月1日出荷分から30%以上の価格改定を実施しました。

理由は、原油・ナフサ供給の緊迫と、顔料・樹脂・添加剤・溶剤など主な原材料価格の上昇です。

さらに、オフセットインキと関連製品も、2026年6月1日出荷分から追加の価格改定を発表しました(2026年4月24日発表)。

改定幅は、オフ輪インキ・油性枚葉インキ・UVインキ・新聞インキで20%以上、中間色や特練インキなど一部製品は30%以上です。

同社は、今後の原料市況や供給環境によっては、追加の価格改定や出荷スケジュールの調整の可能性も示しています。

超高強力ポリエチレン繊維|東洋紡エムシー

東洋紡エムシーは、超高強力ポリエチレン繊維「イザナス」と高強力ポリエチレン繊維「ツヌーガ」の原糸・加工品を、2026年6月1日出荷分から5〜10%改定しました。

漁網・産業用ロープ・防護ネット・スポーツ用品など、特殊用途向けの基幹素材です。

7月時点まとめ|物流資材・包装資材・フィルム・インキ編 物流資材・包装資材・フィルム・インキ編は、「6月値上げ+追加値上げ第2弾」の連続改定の局面にあります。

グンゼは6月1日の改定に続き、6月8日に追加改定を発表し、包装用フィルム分野の値上げが2段階で進みました。

東京インキも、グラビアインキ30%以上に加えて、オフセットインキ・UVインキ・新聞インキで追加20-30%の改定を実施しました。印刷業界全体への波及が広がり、川上産業のアロケーション運用も続いています。

食品値上げ要因の7割が包装資材コスト(日経新聞5/30)という構造は、7月12日の再閉鎖後も続く見通しです。

7月・8月に第3波の値上げ通告が包装業界で相次ぐ可能性があり、食品・日用品メーカーへの値上げ打診(TOPPAN等)が本格化しています。

7月には内装材・外装材・住宅設備に値上げが広がった(サンゲツ・東リ・ニチハ・アイジー工業)

7月には、内装材・外装材・気密部材・包装印刷で、新たに10社の価格改定・供給制限が発表されました。3月からの原料の値上がりが、3〜4ヶ月遅れで川下製品の価格に出てきた時期です。

2026年7月には、6月時点では表に出ていなかった分野で、新たに10社の価格改定・供給制限が発表されました。

内装材(壁装材・床材)、外装材(金属サイディング・金属屋根・繊維強化セメント板)、気密部材、包装印刷の分野です。

これらは、3月からのメーカー原料仕入れ価格の上昇が、3〜4ヶ月遅れで川下製品価格に反映されるタイミングにあたります。

壁装材・床材・接着剤 18〜30%値上げ|サンゲツ

サンゲツは2026年7月1日受注分から、壁装材・床材・ファブリック・エクステリア・副資材・接着剤等を対象に、18〜30%程度の値上げを発表しました。

同社のIR資料は、背景を中東情勢の緊迫化と説明しています。原油・ナフサをはじめとする石油化学原料の指標が大幅に上がり、サプライチェーンの混乱が長期化しているとしています。

オフィス改装・商業施設内装・住宅リフォーム市場の全体に、影響が広がります。

ビニール床タイル・床シート・壁装材 20〜30%値上げ|東リ

東リは2026年7月27日受注分から、ビニール床タイル・床シート・壁装材を20〜30%値上げすると発表しました。

理由は、塩化ビニル(PVC)の主な原料であるVCM(塩化ビニルモノマー)の価格上昇と、可塑剤・接着剤の複合的な値上げとされています。

公共施設・医療機関・介護施設・オフィスの内装工事に、幅広く影響します。

センタールーフ・センターサイディング|ニチハ

ニチハは2026年7月1日出荷分から、センタールーフ・センターサイディングを値上げすると発表しました。同時に、透湿防水シートの供給制限も通知しています。

外壁材最大手のニチハによる供給制限は、新築・カバー工法・外装改修工事に大きな影響を及ぼします。

金属サイディング・金属屋根 全製品18%以上|アイジー工業

金属サイディング・金属屋根の最大手メーカーであるアイジー工業は、2026年5月11日に、6月1日から全製品を18%以上値上げすると発表しました。他の外装材メーカーの追従は、必至の情勢です。

主原料はガルバリウム鋼板・カラー鋼板ですが、断熱材(発泡ウレタン・ポリスチレン)・接着層・化粧塗料にナフサ由来の材料が使われています。そのため、外装材全般への値上げの波及を予告する動きになりました。

ロックウール20%以上+気密部材40%以上|JFEロックファイバー

JFEロックファイバーは2026年6月1日納入分から、ロックウールを20%以上、気密部材を40%以上値上げしました。

無機系断熱材への値上げの波及は、省エネ住宅(ZEH)基準の建設コストを押し上げる要因になります。

ポリスチレン・ウレタン系の有機系断熱材だけでなく、鉱物系の無機断熱材まで対象が広がった点が象徴的です。

シビルスケア・グランスケア他 生産量調整(減産)|ケイミュー

ケイミューは2026年5月26日から当面の間、想定を上回る注文に伴い、一部商品の減産と供給制限を実施しています。

対象は、シビルスケア(PC77)、グランスケア(PGR60)、ジェイスケア(PJ70)、アイアン角(N3.5Ⅱ)、大型雨樋エアロアイアン、たてとい等の本体・付属・関連部材です。

安定供給を最優先とするための生産ラインの振替を実施しており、解除の時期は未定です。

樹脂・アルミサッシ 10月再値上げ予定|YKKAP

YKKAPは、5月の値上げに続き、2026年10月に再値上げを予定していると業界紙で報じられています。

1年内に2回の値上げは、樹脂サッシに使われる塩化ビニル・アルミ表面処理薬剤の複合的な値上げが続く見通しを反映したものです。

包装資材 顧客値上げ打診|TOPPANホールディングス

TOPPANホールディングスは、日本経済新聞(2026年4月15日)の報道で、包装資材の仕入れ値が2〜3割増加していると表明しました。顧客の食品・日用品メーカーへの値上げ打診を、4月21日以降に開始するとしています。

PETボトルの原料であるテレフタル酸(ナフサ→パラキシレン→テレフタル酸)も、価格の上昇が続いています。夏以降の飲料・日用品の小売価格への転嫁は、避けられないとみられています。

ポテトチップス14品目 白黒パッケージ化|カルビー

News on Japan(2026年5月14日)によれば、カルビーは2026年5月25日から、ポテトチップスを含む14品目のパッケージを段階的に白黒デザインへ切り替えました。印刷で使う石油由来資材の削減に踏み切ったものです。

値上げではなく「印刷資材の物理的削減」という新しい形の対応で、グラビアインキの供給不足の大きさを象徴しています。

高知県のある印刷会社は、3月末以降にインク原料の納品が通常の約半分まで減ったと証言しています。

「食品値上げ要因の7割は包装資材コスト」(日経新聞2026/5/30) 2026年5月30日、日本経済新聞は食品値上げの要因分析を公表し、「食品値上げ要因の包装資材コスト要因が7割を占める」と報じました。

原材料そのものより、ナフサ由来の包装フィルム・PETボトル・キャップ・トレー・ラベル・印刷インクの上昇が、食品の小売価格を押し上げる主な要因になっています。夏以降の値上げラッシュの規模感を裏付ける数字です。

影響が出やすい業種は、建設から物流・食品・自動車まで広い

今回の価格改定は、単一メーカー・単一素材の問題ではありません。7月追加分では、内装材・金属外装材・気密部材・包装印刷まで対象が広がりました。

ナフサを起点に、樹脂原料、添加剤、溶剤、フィルム、梱包材、建材、工業材料へと相次いで波及しています。業種別の影響範囲を整理します。

  • 建設会社・工務店:樹脂波板、ポリカ板、住設建材、シリコーン、プライマー、断熱材、ルーフィング、シーリング、塗料、シンナー、金属外装材──工程ほぼ全てに影響
  • 土木・インフラ業者:インフラ関連樹脂資材、排水・保護・補修関連製品、シリコーン系シーリング、防水材
  • 屋根工事業者:アスファルトルーフィング・防水シート(受注停止)、アスファルトシングル・金属屋根、断熱材一体型金属屋根
  • 塗装・板金業者:塗料本体、シンナー(業者1缶制限の事例も)、洗浄用溶剤、希釈用溶剤、車体整備用塗料
  • 看板・サイン業者:サイン資材、樹脂板、LED関連部材、取付副資材、塗料・シンナー
  • 内装工事・リフォーム業者:壁装材(サンゲツ・東リ)、ビニール床タイル、床シート、ファブリック、接着剤、副資材──2026年7月から本格値上げ
  • 外装リフォーム業者:金属サイディング(アイジー工業18%以上)、金属屋根、繊維強化セメント板(ケイミュー減産)、透湿防水シート(ニチハ供給制限)
  • 物流会社・倉庫会社:緩衝材(プチプチ等)、梱包材、ストレッチフィルム、PPバンド、ラベル、フィルム類、プラスチックパレット
  • 食品メーカー・食品流通:OPP防曇フィルム、収縮ラベル、ナイロン包装、グラビアインキ、サンバッグ、包装フィルム、印刷資材(白黒パッケージ化事例)
  • 包装資材商社:フィルム、ラミネート、ロールラベル、緩衝材、ストレッチフィルム──取扱い全般に値上げが波及
  • 住宅設備工事業者:ユニットバス、トイレ、洗面(TOTO・LIXIL・パナソニックの受注停止→段階再開)、YKKAPサッシ(10月再値上げ予定)
  • 自動車関連:板金・塗装シンナー、樹脂部品、添加剤、溶剤──Tier1サプライヤーの2026年4月決算でも「6月懸念」

自動車Tier1サプライヤーへの影響は、関連記事「トヨタ系Tier1の決算が示す『ナフサ6月懸念』」でくわしく書いています。

価格だけでなく、受注停止や出荷統制などの供給制限にも注意が要る

今回は、価格改定と同時に、受注停止・出荷統制・納期遅延・数量制限が起きています。「高くなる」だけでなく、必要な数量が希望納期で入らないリスクがあります。

価格上昇は「最も軽い」リスク 今回の特徴は、単なる価格改定にとどまらず、受注停止・出荷統制・納期遅延・数量制限が同時並行で起きている点です。

実務では「高くなる」だけでなく、必要な数量が希望納期で入らないリスクを念頭に置く必要があります。7月12日のホルムズ海峡再閉鎖で、これらの供給制限が長引く可能性が浮上しました。

確認できている供給制限・出荷統制の事例

川上産業は、6月1日出荷分以降について、昨年度の出荷量実績を出荷上限としています。納期目安は、原反14日以上、加工品21日以上と案内しています。

ニップコーポレーションも、当面の間は昨年の月実績を上限とした注文数量を求めています。三和サインワークスも、今後の状況次第では欠品や大幅な納期遅延が起きる可能性があるとしています。

塗料業界では、関西ペイントが、4月2日17時以降の受注分について、昨年4月度の出荷実績を上限とする出荷統制を実施しました。

日本ペイントは、下塗り材16品種を4月17日13時から4月25日まで受注停止しました。エスケー化研は、溶剤下塗り・錆止めを4月13日から、水性下塗材を4月21日から受注一時停止しました。

アイカ工業は、SE-770シーリングを4月15日から当面の間、受注停止としています。

屋根材・防水材では、田島ルーフィングが4月10日17:30から、防水材・住宅建材の新規受注を全面停止しました(その後、7月1日に受注を全面再開しています)。日新工業も、アスファルトルーフィング類・防水材料全般の出荷を停止しています。

7月追加分では、ケイミューが2026年5月26日から、想定を上回る注文に伴う生産量調整(減産)を実施しています。ニチハは、透湿防水シートの供給制限を通知しています。

7月12日再閉鎖による供給制限リスクの再拡大

7月12日のIRGCによるホルムズ海峡再閉鎖宣言は、上の供給制限をさらに長引かせ、広げる可能性があります。

特に、覚書の後に段階的に緩和されつつあった塗料・シンナー・シーリング・断熱材の一部品目で、再度の受注停止・アロケーション導入が想定されます。

くわしくは、関連記事【2026年7月12日速報】IRGCがホルムズ海峡を再封鎖にあります。

新品のプラスチックパレットも影響を受け、再生パレットは値上げ幅が小さい

新品のプラスチックパレットは、主原料がナフサ由来の樹脂のため影響を受けます。容リ材ベースの再生プラスチックパレットは、値上げ幅が新品より小幅に抑えられています。

今回のナフサショックは、当然ながらプラスチックパレット業界にも大きく影響しています。

新品プラスチックパレットの主原料はポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)で、ナフサから派生する樹脂そのものだからです。

しかし、ここで大事な点があります。「再生プラスチックパレット」は、今回の値上げ幅が新品パレットよりも小幅に抑えられています。

容器包装リサイクル材(容リ材)ベースの再生原料は、ナフサ由来のバージン原料への依存度が低いためです。国内回収・国内再生のクローズドサイクルで動いています。

7月12日再閉鎖の後の第2波局面では、この構造的な調達の安定性がさらに重要になっています。

ナフサショック第2波局面での最適解 輸出ワンウェイ・国内出荷など回収不可となる用途では、再生プラスチックパレットへの切り替えが、値上げの影響を最小限に抑える有効な手段になります。

さらに、即納性とコスト安定性を両立する選択肢として、中古プラスチックパレットも急速に注目を集めています。

7月12日再閉鎖の後の第2波リスクを見越して、6-9月に代替調達の計画を前倒しする企業が増えています。

当社の取扱製品

ナフサショック第2波に強い再生プラ・中古パレットへの切り替え

プラスチックパレット株式会社は、容リ材ベースの再生プラスチックパレットを中心に、輸出ワンウェイ・国内出荷向けの最適製品を取りそろえています。

バージン原料ベースの新品パレットと比べて、値上げ幅が小さく、即納性に優れるのが特徴です。7月12日再閉鎖の後の第2波リスクに備えた、調達計画の見直しにご活用ください。

発注・見積りでは、出荷日基準など7つの点を確かめる

「発注日」ではなく「出荷日」を基準に新価格が適用される事例が、引き続き主流です。6月中に発注済みでも、7月以降の出荷で新価格になる可能性があります。

建設・物流・包装資材を扱う企業は、次の点を早急に確認する必要があります。

特に、受注日基準ではなく「出荷日基準」で新価格が適用されるケースが多い点に注意が要ります。6月中に発注済みでも、7月以降の出荷で新価格になる可能性があります。

7月12日の再閉鎖で、第3波の値上げ通告リスクも織り込む必要があります。

値上げチェックリスト — 発注・見積り時の必須確認項目

  • 7月・8月以降出荷分に新価格が適用されるか(受注日基準か出荷日基準か)
  • すでに見積済みの案件にも価格改定が反映されるか(見積有効期限の確認)
  • 発注済み品でも改定対象になるか(出荷日が改定日以降か)
  • 出荷数量の上限が設定されているか(昨年実績ベースのアロケーション)
  • 納期回答・納期確定までの日数が延びているか(リードタイム延長)
  • 代替品・仕様変更・簡易包装への切替が発生するか(カルビー白黒パッケージ化のような形態)
  • 次回以降の追加改定リスクがあるか(特に塗料・シンナー、7月12日再閉鎖後の第3波リスク)

特に建設・物流・食品包装の現場では、案件単位で見積有効期限・出荷日基準・納入日基準を確認しておくことが重要です。

価格改定の多くは、「受注日」ではなく「出荷日」が基準です。そのため、6月中に発注していても、7月1日以降の出荷で新価格が適用される可能性があります。

日本ペイントの連続値上げ(3月19日→4月16日)や、YKKAPの5月値上げ+10月再値上げ予定のような、連続改定パターンへの警戒が必要です。

業種別プライオリティ|自社にとっての最重要チェック項目

上の7項目のうち、特に注意すべき優先順位は、業種によって違います。

3月クライシスの時に「対応が後手に回った企業」は、業種特有のリスクを見落とし、汎用的なチェックだけで済ませていたケースが多くありました。

次の業種別プライオリティに沿って、自社の優先確認項目を整理してください。

  • 建設業・工務店:①出荷日基準の再確認、②工程滑動リスク(ルーフィング・断熱材・シーリング全て揃うか)、③スライド条項の透明性確保が最優先です。特に、基礎工事着工前の断熱材、屋根工事のルーフィング、最終仕上げのシーリングは、工程停止リスクが高い資材です。
  • 物流業・倉庫業:①ストレッチフィルム・PPバンドのアロケーション上限確認、②プチプチ等緩衝材の昨年実績上限管理、③プラスチックパレットの代替品(再生パレット・中古パレット)への切替可能性が最優先です。川上産業の出荷上限が、実務に直結します。
  • 食品包装・食品メーカー:①グラビアインキ供給の実務確認、②パッケージ簡素化(白黒化)の設計変更コスト検討、③PETボトル・キャップ・トレー・ラベルの複合的な値上げ幅の合算把握が最優先です。TOPPAN・カルビーの動きが、業界の指標になります。
  • 内装・リフォーム業:①サンゲツ・東リの受注日基準確認、②壁紙・床材・接着剤・副資材の合算見積り改定、③施主向け見積り書のスライド条項の説明が最優先です。壁装材・床材18〜30%の値上げは、リフォーム見積りの総額に大きく影響します。
  • 外装・屋根工事業:①ニチハの透湿防水シート供給制限確認、②ケイミューの減産対象品目の在庫確保、③アイジー工業金属外装材18%以上値上げの見積り反映が最優先です。外装カバー工法の設計変更・見積りの再試算は、早めに行います。
  • 塗装・板金業:①シンナー1缶制限などの販売店規制の実務把握、②日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研の連続改定リスク、③代替溶剤・海外品緊急輸入品の性能検証が最優先です。シンナーが手に入らないことは、塗料があっても作業が止まる直接の原因です。

よくある質問

2026年6-7月から値上げされる建設・物流・包装資材は何社ですか?

メーカー公式発表など一次情報で確認できる範囲だけで40社を超えます。6月1日値上げの30社(タキロンシーアイ・カネカ・日本ペイント・田島ルーフィング等)に加え、7月には追加10社(サンゲツ・東リ・ニチハ・アイジー工業・JFEロックファイバー・ケイミュー・YKKAP・TOPPAN・カルビー・LIXIL/パナソニック)が値上げ・供給制限・パッケージ簡素化を発表しました。7月12日ホルムズ海峡再閉鎖により、追加改定リスクが再浮上しています。

7月12日のホルムズ海峡再閉鎖は、この値上げにどう影響しますか?

2026年7月12日未明、イラン革命防衛隊はキプロス船籍コンテナ船GFS Galaxyを攻撃してホルムズ海峡を「追って通知まで再閉鎖」と宣言、米中央軍は覚書後4回目・今週3度目の対イラン空爆を再開しました。6月17日イスラマバード覚書は事実上機能しなくなり、6月中旬に一時反転していたナフサ価格($1,043→$627)は再上昇リスクが浮上しています。3月クライシス時のような数量ショックは、原油の代替調達がほぼ完了したことで起きにくくなっていますが、価格プレミアム・輸送コスト・品質適合コストが継続する「第2波リスク」の局面に入りました。追加値上げ通告が7〜9月に相次ぐ可能性があります。

なぜナフサ価格が反落したのに、値上げが止まらないのですか?

シンガポールナフサスポット価格は5月16日の$1,043/MTピークから6月25日には$627/MTまで急落し、衝突前($632)を下回りました。しかしメーカー各社の値上げが止まらない理由は、(1)川上価格の反落から川下製品への反映には3〜6ヶ月のラグがある、(2)中東外ナフサは通常時の約2倍のプレミアムが継続、(3)エチレン稼働率が44ヶ月連続で損益分岐点(90%)を下回る67.3%の記録的低水準、(4)7月12日再閉鎖でナフサ価格再上昇リスクが再浮上、という4つの構造的要因によります。ICIS Kojo Orgle氏は「物理的タイトネスは封鎖解除後も少なくとも3ヶ月以上継続」との見方を示しています。

なぜナフサ高騰で建設資材や物流資材が値上がりするのですか?

ナフサは、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン、PET、溶剤、樹脂添加剤、接着剤など多くの石油化学製品の基礎原料です。そのため、ナフサ価格や供給が不安定になると、樹脂製建材、フィルム、梱包材、ラベル、インキ、接着・シーリング材料、塗料・シンナーなどに相次いで影響します。2026年は中東情勢の緊迫化とホルムズ海峡封鎖により、原油・ナフサ調達が極めて困難な状況にあります。

発注済みの商品でも7月以降の出荷なら値上げ対象になりますか?

メーカーや製品により扱いは異なりますが、今回の発表の多くは「2026年6月1日出荷分より」「7月1日受注分より」を基準としており、発注日ではなく出荷日または受注日を基準に新価格が適用される可能性が高い状況です。個別案件では必ず仕入先・メーカーに確認する必要があります。また、川上産業・関西ペイント・ニップコーポレーションなど複数社では、昨年実績を上限とする出荷統制(アロケーション)を併用しているため、価格と数量の両面でのリスク確認が必要です。7月12日再閉鎖後は追加改定リスクも織り込む必要があります。

サンゲツ・東リ・ニチハなど内装材メーカーはなぜ7月に集中的に値上げしたのですか?

サンゲツは7月1日受注分から壁装材・床材・ファブリック・接着剤等を18〜30%、東リは7月27日受注分からビニール床タイル・床シート・壁装材を20〜30%、ニチハは7月1日出荷分からセンタールーフ・センターサイディングを値上げしました。共通する背景は、(1)壁紙・床材の主要原料である塩化ビニル(PVC)がナフサ由来である、(2)接着剤・裏打ち材・可塑剤もすべて石油化学製品である、(3)物流費・電力費・容器包材費の複合上昇、(4)3月からのメーカー原料仕入れ価格上昇が3〜4ヶ月遅れで川下製品価格に反映されるタイミングだった、という4点です。オフィス・商業施設・住宅リフォーム市場全体に影響が広がります。

今回の値上げは一度で終わりますか?追加値上げの可能性はありますか?

各社発表では、今後の国際情勢、原料価格、供給状況によっては追加の価格改定や納期・数量調整の可能性が示されています。実際、日本ペイントは3月19日の75%値上げに続き、4月16日に塗料本体10〜20%・シンナー15〜25%の追加値上げを発表しました。YKKAPは5月値上げ後に10月再値上げを予定するなど、連続改定パターンが業界に広がっています。7月12日ホルムズ海峡再閉鎖により、8〜9月に第3波の値上げ通告が相次ぐ可能性があります。

プラスチックパレットや物流資材のコスト上昇を抑える方法はありますか?

輸出ワンウェイ・国内出荷など回収不可の用途では、容器包装リサイクル材(容リ材)をベースとした再生プラスチックパレットへの切り替えが、値上げ影響を最小限に抑える有効な手段です。さらに、中古プラスチックパレットは価格安定性と即納性の観点から有力な代替手段となります。7月12日再閉鎖後の第2波局面では、この構造的な調達安定性の重要性がさらに高まっています。

ホルムズ海峡封鎖・再閉鎖はいつまで続きますか?

2026年7月12日時点で、中東情勢の見通しは依然として不透明です。モジタバ・ハメネイ新最高指導者が公の場に姿を見せず、対米交渉の署名者不在という構造問題も残ります。原油価格が3月クライシス前の水準($60台)に完全に戻るのは2027年後半との予測も出ています(野村證券)。当面は「じわりとした値上げが続きつつも、パニックは避けられている」局面が続く見通しです。詳細は【2026年7月12日速報】(専門版)とやさしく解説版を参照ください。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社はプラスチックパレット・再生樹脂・PPバンド・ストレッチフィルムなどの物流資材を扱う専門商社です。中東情勢はナフサ価格を通じて樹脂原料コスト・物流資材価格・お客様の調達計画に直結するため、原料市況・地政学・サプライチェーン動向を継続的に追跡し、業界の方々の意思決定に資する形で情報発信を行っています。

出典・エビデンス一覧45件(公的機関2・報道や企業43)

本記事で参照した主要な一次情報・公式発表は以下の通り。価格改定の詳細、適用条件、対象製品、出荷制限の有無については、必ず各社の最新発表をご確認いただきたい。

メーカー公式発表(6月値上げ30社)

7月追加10社の一次情報・業界紙

  • サンゲツ|2026年7月1日受注分価格改定(壁装材・床材・接着剤 18〜30%)
  • 東リ|2026年7月27日受注分価格改定(ビニール床タイル・床シート・壁装材 20〜30%)
  • ニチハ|2026年7月1日出荷分価格改定(センタールーフ・センターサイディング)、透湿防水シート供給制限
  • アイジー工業|2026年6月1日全製品18%以上値上げ(金属サイディング・金属屋根)
  • JFEロックファイバー|2026年6月1日納入分価格改定(ロックウール20%以上・気密部材40%以上)
  • ケイミュー|2026年5月26日〜生産量調整(シビルスケア・グランスケア他)
  • YKKAP|2026年10月再値上げ予定
  • TOPPANホールディングス|包装資材2〜3割上昇・顧客値上げ打診(日本経済新聞2026年4月15日)
  • カルビー|ポテトチップス14品目 白黒パッケージ化(News on Japan 2026年5月14日)
  • LIXIL・パナソニック|住宅設備受注停止→段階再開(業界報道 2026年4-5月)

ナフサ価格・市況・政府発表

  • 大景化学|国産ナフサ価格指標推移($1,043→$627急落)
  • 日本経済新聞|ナフサ価格がアジアで下落、衝突前下回る 代替調達で供給懸念が後退 2026年6月25日
  • 日本経済新聞|ガソリン109.8 vs ナフサ128.3 ワニの口 2026年5月30日
  • 日本経済新聞|食品値上げ要因の包装資材コスト要因が7割を占める 2026年5月30日
  • 資源エネルギー庁|中東情勢を踏まえた石油及び関連製品等に関する対応 2026年6月8日時点公表資料
  • 経済産業省|中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保 2026年4月30日
  • Kpler海事データ|米国産ナフサの日本向け輸入5倍水準 2026年5-6月
  • 石油化学工業協会|4月エチレン稼働率67.3%・44ヶ月連続損益分岐割れ
  • ICIS Kojo Orgle氏|物理的タイトネスは封鎖解除後も少なくとも3ヶ月以上継続との見方

7月12日ホルムズ海峡再閉鎖関連(当社関連記事)

建築・住宅業界動向

※【情報の正確性について】
本記事に掲載している価格改定・出荷制限・受注停止等の情報は、各メーカーの公式発表・公式PDF・プレスリリース等の一次情報を基に、2026年7月12日時点で確認できた内容をまとめたものです。改定幅・適用時期・対象製品・出荷上限等の条件は、取引条件・販売ルート・製品仕様・数量等によって異なる場合があります。必ず各メーカーおよび仕入先に最新情報をご確認のうえ、発注・見積り等のご判断をお願いいたします。

※【情報の更新・変更について】
中東情勢・ナフサ価格・各社の供給体制は日々変動しており、掲載内容は予告なく変更・追加・削除される場合があります。7月12日ホルムズ海峡再閉鎖により、8〜9月に第3波の値上げ通告が相次ぐ可能性があります。本記事は随時更新を行いますが、閲覧時点の最新状況とは異なる可能性があります。

※【投資・調達判断への利用について】
本記事の内容は情報提供を目的としたものであり、特定の購買行動・調達戦略・投資判断を推奨するものではありません。本記事の情報を参考にした調達・発注・契約等の結果について、プラスチックパレット株式会社は一切の責任を負いかねます。

※【引用・翻訳の限界について】
英語一次資料および海外報道の記述を要約・翻訳している箇所については、翻訳・要約の限界により原文のニュアンスが完全には保持されない可能性があります。より厳密な把握を必要とされる場合は、末尾の情報源の原資料を直接ご参照ください。

※【著作権・転載について】
本記事の内容(文章・表・構成等)の著作権はプラスチックパレット株式会社に帰属します。出典を明記した上での部分的な引用は可能ですが、無断転載・無断複製はお断りします。各メーカーの発表内容の著作権は各社に帰属します。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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