やさしく解説

「2026年iPhoneの値上げ」をやさしく解説、円高になったのに新しい機種だけ高くなった本当の理由

2026年9月、iPhoneの値段が上がりました。この夏、円の価値はむしろ上がっています。輸入品は安くなるはずの局面です。ところが新しいiPhone 18 Proだけが、為替から計算される値段より高くなっています。同じ日に売られているiPhone 16は、ほぼ為替どおりです。この違いがどこから来ているのかを、順を追って見ていきます。

公開日: 最終更新: カテゴリ:値上げ情報
この記事のポイント
  • 新しいiPhone 18 Proは、いちばん小さい容量で219,800円です。アメリカでは1,199ドルなので、日本の値段から逆算すると1ドルを166円65銭として計算したことになります。
  • ところが同じ週に輸入の手続きで使われていたレートは159円12銭でした。7円53銭も高いレートで計算されています。7月の値上げのときは、この差が7銭しかありませんでした。
  • 同じ日に売られているiPhone 16は、逆算すると1ドル153円31銭です。その日の実際の為替が153円61銭ですから、ほぼそのままの値段になっています。古い機種と新しい機種で、1ドルの重さが14円52銭も違います。
iPhone 18 Pro 256GB
219,800円
いちばん小さい容量。アメリカでは1,199ドル
日本の値段から逆算したレート
166.65円
当社が計算した値。1ドルをこの値段として計算した形になる
その週の輸入用のレート
159.12円
9月6日から12日に使われた税関長公示レート
iPhone 16から逆算したレート
153.31円
同じ日の実際の為替153円61銭とほぼ同じ

第1章2026年9月、iPhoneの値段に何が起きたのでしょうか

3日のあいだに、2つのことが起きました。

ひとつめは9月10日です。この日、これまで売られていたiPhoneの値段が上がりました。iPhone Air、iPhone 17、iPhone 17e、iPhone 16の4機種です。

ふたつめは9月12日です。夜9時から、新しいiPhone 18 ProとiPhone 18 Pro Maxの予約が始まりました。

ニュースでは新しい機種のほうが大きく扱われますが、値段の話を読むときは、先に上がったほうから見ていくと分かりやすくなります。

9月10日に上がった、これまでの機種

どれがいくら上がったのかを並べます。

機種容量これまで9月10日から上がった額
iPhone Air256GB177,800円189,800円12,000円
iPhone Air512GB212,800円224,800円12,000円
iPhone Air1TB247,800円294,800円47,000円
iPhone 17256GB142,800円159,800円17,000円
iPhone 17512GB177,800円194,800円17,000円
iPhone 17e256GB107,800円124,800円17,000円
iPhone 17e512GB142,800円159,800円17,000円
iPhone 16128GB124,800円139,800円15,000円

出典:iPhone Mania(2026年9月10日)、マイナビニュース(同日)。2つの記事の表が8つすべてで同じでした。上がった額は当社が引き算したものです。金額はすべて税込です。

いちばん大きいのはiPhone Airの1TBで47,000円上がりました。

iPhone 17は、2か月で2回上がっています

iPhone 17の256GBは、2025年に売り出されたときは129,800円でした。それが2026年7月18日に142,800円になり、9月10日に159,800円になりました。売り出しのときから30,000円上がったことになります。今回が1回目ではなく、夏のあいだに2回目、という点が今回の特徴です。

9月12日に予約が始まった、新しい機種

先に、名前の話をひとつ。「iPhone 18」という名前の機種はありません。今回出たのは「iPhone 18 Pro」と「iPhone 18 Pro Max」で、無印の18は存在しません。あわせて「iPhone Duo」という機種も発表されており、こちらの予約は10月16日からです。

iPhone 18 Proの値段は、いちばん小さい256GBで219,800円です。128GBという選択肢はありません。iPhone 18 Pro Maxは同じ256GBで239,800円です。

iPhone 18 Proが実際にお店に並ぶ日については、当社はAppleの公式ページで確認できていません。予約の開始が9月12日の夜9時であることは公式ページに書かれています。

第2章円高なのに、なぜ新しい機種だけ高いのでしょうか

ここからが本題です。

この夏、円の価値は上がりました。輸入の手続きに使うレートは、8月のはじめの週には1ドル163円台でした。それが9月半ばの週には158円台です。ドルが安くなった、つまり円高になったということです。

お店の外の相場でも同じです。9月11日の終値は153円61銭で、1か月前と比べて円の価値は上がっています。

輸入品は、円高になれば安くなるはずです。ところがiPhoneは上がりました。なぜでしょうか。

日本の値段から、レートを逆算してみます

調べ方はかんたんです。日本の値段を1.1で割って消費税を外し、それをアメリカの値段で割ります。出てくるのは「1ドルをいくらとして計算したことになるか」という数字です。この記事ではこれを逆算レート逆算レートこの記事で使っている当社の言い方です。日本の値段を1.1で割って消費税を外し、アメリカの値段で割って出します。「1ドルをいくらとして計算したことになるか」を示す数字で、お店が実際にそのレートを使ったという意味ではありません。と呼びます。

たとえるなら、レシートから単価を出すようなものです

買い物のレシートに「りんご 5個 750円」とだけ書いてあれば、750を5で割って1個150円だと分かります。値札を見なくても、支払った額と個数から単価が出せます。ここでやっているのも同じことです。日本の値段とアメリカの値段が分かっていれば、そのあいだにあった1ドルの値段が出せます。

iPhone 18 Proの256GBでやってみます。219,800円を1.1で割ると199,818円。これを1,199ドルで割ると、166円65銭になります。

では、同じ週に輸入の手続きで使われていたレートはいくらだったでしょうか。159円12銭です。7円53銭も高いレートで計算されたことになります。

7月のときは、7銭しか違いませんでした

当社は7月の値上げのときにも同じ計算をしています。そのときのiPhone 17の256GBは142,800円で、アメリカでは799ドルでした。計算すると162円48銭。同じ週の輸入用のレートは162円12銭でしたから、差はたった36銭です。ほとんど同じでした。

7月は36銭、9月は7円53銭。差が20倍以上に開いています。

「使っている」わけではありません

ここは言葉を正確にしておきます。輸入用のレートは、当社が外から当てている物差しにすぎません。Appleがこのレートを見て日本の値段を決めている、と当社が確かめたわけではありませんし、Appleがそう説明したこともありません。7月にたまたま近い数字になった、というだけです。近かったからといって、それを使っている証拠にはなりません。

同じ日のiPhone 16は、ほぼ為替どおりです

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

同じ9月12日に売られているiPhone 16の128GBは139,800円、アメリカでは829ドルです。同じ計算をすると153円31銭。そしてその前日、9月11日の実際の為替は153円61銭でした。

ほとんど同じです。古い機種のほうは、為替のとおりの値段になっています。

機種ごとに並べると、こうなります。

機種日本の値段アメリカ逆算レート
iPhone 18 Pro Max 256GB239,800円1,299ドル167.82円
iPhone 18 Pro 256GB219,800円1,199ドル166.65円
iPhone Duo 256GB364,800円1,999ドル165.90円
iPhone Air 256GB189,800円1,099ドル157.00円
iPhone 17 256GB159,800円929ドル156.38円
iPhone 16 128GB139,800円829ドル153.31円

出典:Appleの公式サイト(日本・アメリカ)を2026年9月12日に当社が見て確認しました。逆算レートは当社の計算です。アメリカの値段は、携帯会社との契約なしで買う場合のものを使っています。

上と下で14円52銭も違います。同じ日に、同じ会社が、同じ通貨で売っているのにです。

この14円52銭という幅が、ふだんと比べて大きいのかどうかは分かりません。当社は過去の機種について同じ計算をしておらず、比べる相手を持っていないためです。分かるのは、2026年9月12日の時点でこれだけの幅がある、ということまでです。

第3章為替で説明できない分は、どこから来ているのでしょうか

為替では説明がつかない。では何でしょうか。

今回はアメリカでも上がっています

7月の値上げと9月の値上げには、はっきりした違いがあります。アメリカの値段が動いたかどうかです。

7月のとき、アメリカのiPhone 17は799ドルのままでした。日本だけが上がったのです。だから為替の話で説明がつきました。

ところが今回、アメリカのiPhone 17は929ドルになっています。799ドルから130ドル、率にして16.3%の値上げです。日本は142,800円から159,800円で11.9%ですから、アメリカのほうが上げ幅が大きいことになります。

アメリカでも上がっているということは、上げた理由が為替ではない、ということです。

メモリという部品が値上がりしています

スマートフォンの中には「メモリメモリスマートフォンやパソコンの中で、写真やアプリを置いておく部品です。人工知能の普及で大量に必要になり、取り合いになっています。スマートフォン向けよりも人工知能向けが優先されるため、品薄が続いているとされています。」という部品が入っています。写真やアプリを置いておく場所だと思ってください。この部品の値段が、いま大きく上がっています。

調査会社の発表を報じた記事によると、2026年の1月から3月にかけて、メモリの契約価格は前の3か月と比べて93〜98%上がりました。つまり、ほぼ2倍です。

数字の扱いについて、正直に書いておきます。実際の結果として報じられているのは、ここまでです。2026年4月から6月の分は、記事によって「結果」と書いているものと「予想」と書いているものがあり、扱いが分かれています。7月から9月の分は、どの記事も「予想」です。しかもその予想は、調査会社によって13〜18%と40〜45%というように大きく食い違っています。当社はどちらが正しいかを判断できません。

その上に、中東から来るガスの問題があります

メモリを作るには、ヘリウムヘリウム風船に入れる、あの軽いガスです。半導体を作るときには、熱くなったウェハーを冷やすために使われます。天然ガスを掘るときに一緒に採れるもので、人工的には作れません。世界のおよそ3分の1をカタールが作っていました。というガスが要ります。風船に入れる、あのヘリウムです。

半導体の工場では、ヘリウムをウェハーウェハー半導体のもとになる、薄い円盤です。この上に細かい回路を刻んでいきます。刻むときに熱が出るため、裏側から冷やしながら作業します。その冷却にヘリウムが使われます。を冷やすために使います。ヘリウムは熱を伝える力が強く、窒素のおよそ6倍、アルゴンのおよそ8倍あります。作業中の温度のばらつきを1℃以内に抑える必要があるのですが、ヘリウムが使えないと2℃以上に広がってしまうとされています。しかも使ったヘリウムは回収されずに捨てられます。

たとえるなら、代わりのきかない冷却材です

熱いフライパンを冷ますとき、うちわであおぐより水をかけたほうが速く冷えます。ヘリウムは、この「水」にあたります。ほかのガスでも冷えないことはありませんが、時間がかかり、場所によって冷え方にムラが出ます。半導体づくりでは、そのムラが製品の出来を左右します。

そのヘリウムが、2026年3月に止まりました。カタールという国の工場が、中東の情勢を受けて生産を停止したためです。カタールは世界のヘリウムのおよそ3分の1を作っていました。

今どうなっているかは、分かっていません

当社が読めた記事は、どれも2026年3月から4月のものでした。「また作りはじめた」と書いた記事は見つかりませんでしたが、それは「まだ止まっている」ことの確認にはなりません。当社が9月時点の新しい記事にたどり着けなかった、というだけです。3月の時点では、工場を元に戻すのに3年から5年かかるという見方が伝えられていました。

ヘリウムが足りない、だから半導体が作りにくい、だからメモリが高くなる、だからスマートフォンが高くなる。今回の値上げの、為替では説明できない部分は、この道すじをたどってきたものと考えられます。

ただし「iPhoneがいくら値上がりしたうち、何円ぶんがヘリウムのせいか」という計算は、当社にはできません。Appleは部品ごとの原価を公表していないためです。この記事で言えるのは、値上がりの道すじがあるということまでです。

もっと詳しい数字を見たい方へ

この記事で使った計算を、全機種・全容量について行い、公示レートの週ごとの推移やメモリ価格の四半期ごとの数字まで並べた記事があります。仕事で価格の改定を説明する必要がある方は、こちらをご覧ください。
iPhone 18 Proの値上げはいくらか、219,800円が税関公示レート159円で説明できなくなった9月

この記事に出てきた言葉の意味7語
税関長公示レート
輸入した品物に税金をかけるとき、ドルを円に直すために使う公式のレートです。毎週決められ、1週間のあいだ同じ値が使われます。その週の相場をそのまま使うのではなく、2週間前の平均が使われる決まりになっています。この記事では「輸入の手続きに使うレート」と書いています。
逆算レート
この記事で使っている当社の言い方です。日本の値段を1.1で割って消費税を外し、アメリカの値段で割って出します。「1ドルをいくらとして計算したことになるか」を示す数字で、お店が実際にそのレートを使ったという意味ではありません。
SIMフリー
携帯会社との契約なしで買える状態のことです。アメリカのAppleの値段には、携帯会社と契約することを条件に30ドル安くなっているものがあります。この記事では、その割引が入っていない値段だけを使っています。混ぜると計算が狂うためです。
メモリ
スマートフォンやパソコンの中で、写真やアプリを置いておく部品です。人工知能の普及で大量に必要になり、取り合いになっています。スマートフォン向けよりも人工知能向けが優先されるため、品薄が続いているとされています。
ヘリウム
風船に入れる、あの軽いガスです。半導体を作るときには、熱くなったウェハーを冷やすために使われます。天然ガスを掘るときに一緒に採れるもので、人工的には作れません。世界のおよそ3分の1をカタールが作っていました。
ウェハー
半導体のもとになる、薄い円盤です。この上に細かい回路を刻んでいきます。刻むときに熱が出るため、裏側から冷やしながら作業します。その冷却にヘリウムが使われます。
実勢レート
ニュースで「1ドル153円」と言うときの、その時々の相場のことです。輸入の手続きに使うレートとは別のもので、動くたびに変わります。この記事では2026年9月11日の終値を使っています。
出典・エビデンス一覧7件

公式サイトで直接確認したもの

  1. 公式資料Appleの公式サイト(日本)|iPhone 18 Pro・iPhone 18 Pro Max・iPhone Air・iPhone 17・iPhone 16の値段と、予約の開始日時を確認しました(2026年9月12日)。
  2. 公式資料Appleの公式サイト(アメリカ)|各機種のSIMフリーの値段と、30ドルの割引がどの機種に付いているかを確認しました(2026年9月12日)。
  3. 公式資料Trading Economics|2026年9月11日のドル円の終値153円61銭を確認しました。

報道などで確認したもの

  1. 報道・解説市況研究社・bizsearch|税関長公示レートの推移を確認しました。2つのサイトで同じ値になることを確かめています。
  2. 報道・解説iPhone Mania、マイナビニュース、ギズモード・ジャパン(いずれも2026年9月10日)|9月10日の値段の改定を確認しました。
  3. 報道・解説EE Times Japan、マイナビニュース、RAMEXperts、ニッチなPCゲーマーの環境構築Z|メモリの契約価格の推移を確認しました。いずれもTrendForceという調査会社の発表を報じたものです。
  4. 報道・解説ガスレビュー、Fusion Worldwide、EE Times Japan|カタールのヘリウム生産の停止と、半導体でのヘリウムの使われ方を確認しました。

税関長公示レートの本家である税関のページと、CNET Japan・Yahoo!ニュースの記事は、当社の環境からは読めませんでした。公示レートについては、転載している2つのサイトで値が同じであることを確かめたうえで使っています。法的な効力を持つのは、あくまで税関が公示したものです。

よくあるご質問

円高になったのに、なぜiPhoneは高くなったのですか。

今回の値上げは為替が理由ではないためです。2026年9月にはアメリカでもiPhone 17が799ドルから929ドルへ16.3%上がっており、日本だけの話ではありません。理由はメモリという部品の値上がりで、その上には中東から運ばれてくるヘリウムというガスの供給停止があります。ただし、値上がりのうち何円ぶんが部品の分なのかは、Appleが原価を公表していないため計算できません。

古い機種と新しい機種で、値段の決まり方が違うのですか。

当社にはAppleの決め方は分かりませんが、数字の上では違って見えます。日本の値段とアメリカの値段から1ドルの値段を逆算すると、iPhone 16は153円31銭で、その日の相場153円61銭とほぼ同じです。いっぽうiPhone 18 Proは166円65銭で、輸入の手続きに使うレート159円12銭より7円53銭高くなっています。同じ日の機種どうしで14円52銭の幅があります。

あとから安くなる見込みはありますか。

当社には分かりません。メモリの値段については、2026年7月から9月の見通しが調査会社によって13〜18%の上昇と40〜45%の上昇に分かれており、専門の会社でも見方が一致していません。またヘリウムについては、2026年3月に止まって以降の状況を当社は確認できていません。3月の時点では、工場を元に戻すのに3年から5年かかるという見方が伝えられていました。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。

当社は樹脂の原料や物流の資材を海外から仕入れており、為替と品物の不足の両方が仕入れ値に効く立場にあります。公開されている値段から1ドルの値段を逆算するやり方は、取引先に値上げをご説明するときに実際に使っているものです。iPhoneは日本とアメリカの値段がどちらも公開されているため、このやり方を試すのにちょうどよい題材でした。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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