パレットのノウハウ 12パレットを選ぶ前に
パレットの紛失管理
なくなる原因と、防ぎ方
パレットは、壊れるだけでなく、出荷先から戻らずに減っていくことがあります。原因は、見分けられない・数えていない・届け先で使われる・担当がいない、の4つです。色・社名印刷・番号で見分け、伝票と台帳で数え、届け先と取り決める。枚数が多ければ道具で追い、戻らない出荷は戻らない前提で選ぶ方法をまとめました。
1パレットがなくなる原因は、4つです
パレットは、壊れるだけでなく、出荷先から戻らずに減っていくことがあります。農林水産省の資料や物流の業界紙の報道をまとめると、原因は次の4つです。
同じ大きさ・同じ色のパレットを、いろいろな会社が使っています。社名の印字も使ううちに消えます。届け先やほかの運送会社で、よそのパレットと混ざります。
どの届け先に何枚残っているかが分からないので、減っても気づきません。数える人が倉庫・運転手と分かれていると、さらに合いません。
「パレットは回して使うもの」と考えて、届いたパレットを自社の出荷に使ってしまう会社があります。契約していない先へ流れていきます。
だれが数え、だれが回収を頼むかが決まっていないと、届け先に残ったパレットがそのままになります。
- 運送会社が約400万円で買ったパレットが、数年でなくなった例が報じられています(物流ウィークリー、2024年8月)。100枚で100万円を超えることもあり、なくなると費用がかさみます。
- 飲料メーカーが共同で使うプラスチックパレットでは、回収率は約99%で、残りの約1%が戻っていないと報じられています。
2まず、ひと目で自社のものと分かるようにします
届け先で混ざっても、自社のものと分かれば戻ってきやすくなります。見分ける方法は4つで、組み合わせて使えます。
一般的な黒や青と違う色にすると、ひと目で見分けられます。色を指定できるのはバージン材(新しい原料)の型で、再生材の型は一般的に黒です。
届け先でも「よその会社のもの」と分かります。入れられる場所と大きさは型によって違います。
どの番号をどこへ出したかを台帳に書けば、残っているパレットを番号で追えます。
上の面に目印の入った型もあります。数え間違いを減らす目的でも使えます。
- 色や印刷は、パレットを注文するときに指定します。あとから自分で塗ったり削ったりすると、強さが下がることがあります。
3出した枚数と戻った枚数を、届け先ごとに数えます
まず取り組みたいのは、数えることです。出した枚数から戻った枚数を引けば、届け先に何枚残っているかが分かります。
台帳の例
| 届け先 | 出した | 戻った | 残っている |
|---|---|---|---|
| A社 倉庫 | 50枚 | 45枚 | 5枚 |
| B社 工場 | 30枚 | 30枚 | 0枚 |
| C社 物流センター | 80枚 | 62枚 | 18枚 |
- 1伝票にパレットの枚数を書く:出荷の伝票に、荷物と一緒にパレットの枚数を書きます。回収したときも枚数を書きます。
- 2届け先ごとに台帳を付ける:出した・戻った・残っているの3つを、届け先ごとに付けます。表計算ソフトで十分です。
- 3月に1回、手元の枚数を数える:倉庫にある枚数と、台帳の「残っている」の合計を足して、持っている枚数と合うかを確かめます。
4届け先・運転手・社内で、ルールを決めます
数えるだけでは戻ってきません。届け先と現場に、パレットの扱いを伝えておきます。農林水産省の資料でも、自社のパレットを使う会社どうしで、担当・取り決め・台帳・回収・保管のルールを決めることが挙げられています。
- 1届け先と取り決める:空になったパレットをまとめて置いてもらう場所、回収の日、別の荷物に使わないこと、なくなったときの扱いを決めます。
- 2運転手に伝える:届け先で荷物を降ろしたら、パレットの枚数を伝票に書いてもらいます。届け先のパレットと取り替えたり、置いたままにしたりしないよう伝えます。
- 3社内の担当を1人決める:台帳を付ける人、回収を頼む人を決めます。倉庫と配送で数え方を分けないようにします。
- 4届いたよそのパレットを使わない:自社に届いたほかの会社のパレットは、自社の出荷に使わず、持ち主へ返します。
5枚数が多いなら、道具で追います
届け先や枚数が多いと、手で数えるのが追いつかなくなります。そのときは道具で手間を減らします。ただし道具は数える手間を減らすもので、2章〜4章のルールの代わりにはなりません。
- 1QRコード・バーコード:パレットに貼ったラベルを、出荷と回収のときに読み取ります。番号ごとにどこへ出したかが残ります。
- 2RFIDタグ:電波で読むタグです。1枚ずつ向きをそろえなくても、まとめて読み取れます。
- 3位置情報の端末:小さな端末をパレットに付けて、どこにあるかを見ます。飲料メーカーが共同で使うパレットでは、2023年5月から首都圏で試し、2026年度から広げると報じられています。全部に付けず、出荷日やルートを絞って一部に付けています。
6戻ってこない出荷は、戻らない前提で選びます
輸出や、回収が難しい遠い届け先へは、戻ってくる前提で高いパレットを出すと、なくなったときの損が大きくなります。初めから戻らない前提で選ぶ方法もあります。
- 1ワンウェイの軽い型を使う:輸出や片道の出荷には、軽くて価格を抑えやすいワンウェイの型があります。荷崩れ防止の措置が前提です。パレットの重さ一覧
- 2出荷先で使い分ける:戻ってくる届け先には社名入りの丈夫な型、戻らない届け先にはワンウェイの型、と分けて台帳でも分けて数えます。
- 3レンタルパレットの扱いを守る:レンタルパレットの持ち主はレンタル会社です。届け先や現場に回収のルールを伝え、勝手に処分したり売ったりしないようにします。
7よくある失敗
- 社名を入れたのに、数年で読めなくなった印字は使ううちに薄れます。色も一緒に変えておくと、印字が消えても見分けられます。
- 伝票に荷物の数だけ書いて、パレットの枚数を書かなかったあとで何枚出したかが分かりません。出荷と回収の伝票に、パレットの枚数の欄を作ります。
- なくなってから、まとめて買い足した原因がそのままなので、また減ります。どの届け先で残っているかを台帳で見てから、回収を頼みます。
- 届いたよそのパレットを、自社の出荷に使った持ち主から見れば、なくなったパレットです。よそのパレットは使わずに返します。
- 輸出に、社名入りの丈夫なパレットを出した戻ってこないので、そのまま失います。輸出にはワンウェイの型を使います。
- 道具を入れれば、なくならないと思ったQRやRFIDは数える手間を減らすものです。届け先との取り決めと担当がないと、読み取っても回収できません。
参考:農林水産省「パレットをめぐる情勢」(2024年3月)、物流ウィークリー(2024年8月30日)、物流の業界紙・ニュースサイトの報道(飲料メーカーが共同で使うパレットの回収率と位置情報の端末)。
8よくある質問
パレットは、どのくらいなくなるものですか?
会社や使い方で違います。飲料メーカーが共同で使うプラスチックパレットでは、回収率は約99%で、残りの約1%が戻っていないと報じられています。数を数えていない会社では、気づかないうちに減っていることがあります。まず、出した枚数と戻った枚数を数えるところから始めてください。
社名の印刷は、どこに入れられますか?
パレットの側面に入れるのが一般的です。型によって入れられる場所や大きさが違うので、型番と入れたい文字・ロゴをお知らせください。色の指定や番号入れもあわせてご相談いただけます。
色付きのパレットは、なぜ紛失を防げるのですか?
黒や青の一般的な色と違う色にすると、ほかの会社のパレットに混ざっても一目で見分けられます。届け先でも「よその会社のもの」と分かるので、別の荷物に使われにくくなります。色を指定できるのはバージン材(新しい原料)の型で、再生材の型は一般的に黒です。
レンタルパレットがなくなったら、どうなりますか?
レンタルパレットの持ち主はレンタル会社です。なくしたときの扱いは、レンタル会社との契約で決まります。届け先で使われたまま戻らないことがあるので、契約の回収ルールを届け先と現場に伝えておきます。
社名印刷・色の指定・番号入れもご相談ください
今のパレットの大きさ・枚数、入れたい文字やロゴ、出荷先(戻ってくる・戻らない)をお知らせください。