📞 050-3470-4265 受付 9:00-20:00(日・祝休)
無料お見積り ›
2026 SUPPLY CHAIN GUIDE / MATERIAL REDUCTION

物流資材の使用量削減2026|値下げ局面で効くフィルム・バンド・テープの見直し

供給が制約された局面では、現場は必要量の確保に手一杯となる。2026年7月に入り、当社が取引で確認している範囲でストレッチフィルム・PPバンド・緩衝材が値下げ傾向へ転じ、ようやく別の選択肢に手が回るようになった。調達先を変えるのではなく、必要量そのものを下げる。メーカー公表値をもとに、品目別の削減手段と導入前に実測すべき項目を整理する。

初版公開 最終更新 対象品目 4カテゴリ 監視カテゴリ MONITORING 次回更新目安 2026年10月中旬
TL;DR — 3行要約
  • 調達手段には「どこから買うか」と「どれだけ買うか」の2系統がある。前者は供給が止まったときの代替を用意する対策、後者は必要量そのものを下げて変動の影響を受ける幅を狭める対策であり、両者は代替関係ではなく併用するものである。
  • 削減効果の中心はフィルムにある。プリストレッチ機構はフィルムを事前に延伸してから巻くため、同じ面積を覆う原反長が理論上短くなる。ただし実際の削減率は巻き数と荷姿で変わるため、自社の荷姿での実測が前提となる。
  • 使用量削減は一度実施すれば継続して効き続け、価格が上がる局面ほど削減額が拡大する。供給の制約が緩み価格が下がっている2026年7月は、当面の入手に追われることなく機種の選定と実測を進められる時期にあたる。
【総論】

2026年7月、資材の値下げ局面は使用量削減を検討する時期にあたる。プリストレッチ包装機は延伸率3倍(Lantech方式)でフィルム原反を理論上約1/3に、OPPテープは500m→1500mの長尺化で交換回数を3分の1にできる。削減率は荷姿で変わるため、実測を前提に判断する。

3倍
パワーローラーストレッチ方式
のフィルム延伸率
1500m
OPPテープの最大巻き長さ
(クラフトテープは500m)
5〜7回
パワーワイドストレッチ方式
での巻き回数
4
本記事が扱う
品目カテゴリ数

CHAPTER 01なぜいま使用量削減なのか、値下げ局面と設備投資の関係

2026年前半、物流資材の調達現場が向き合っていたのは「価格をどう抑えるか」ではなく「必要量をどう確保するか」だった。ホルムズ海峡の事実上封鎖に始まるナフサ供給の変動を受けて、ストレッチフィルムとPPバンドは割当供給の運用に入り、割当通知を受けてから短時間で確定発注する対応が求められた。この局面で設備投資の検討まで手が回った現場は多くない。

状況が変わったのは7月に入ってからである。当社が取引で確認している範囲では、ストレッチフィルム・PPバンド・緩衝材は値下げ傾向にある。マレーシア産ストレッチフィルムでは5月末から7月にかけて約18%の値下げが確認された。当面の入手に追われる状況からは離れつつある。

価格が下がる局面こそ、削減の検討が進む

一見すると逆に思えるかもしれない。価格が下がっているなら、削減の必要性は薄れるのではないか。しかし調達実務の順序を考えると、そうはならない。

価格が上がり供給が制約されている局面では、検討そのものに時間を割けない。割当への対応、代替品の緊急評価、価格改定の適用基準日の確認といった対処に追われる。設備の選定、サンプルでの実測、投資判断の稟議といった工程は、いずれも数週間から数ヶ月を要する。落ち着いた時期でなければ着手できない。

加えて、使用量削減には調達先の変更にはない性質がある。一度実施すれば、その後の価格局面がどう動いても効き続けるという点だ。調達先を切り替える対策は、その調達先が制約を受ければ再び振り出しに戻る。使用量の削減は、価格が上がる局面では削減額が拡大し、下がる局面でも削減量自体は残る。

📌 この章のポイント

・2026年7月時点で、当社が取引で確認している範囲ではフィルム・バンド・緩衝材は値下げ傾向にあり、検討に時間を割ける局面にある
・設備の選定から実測、稟議まで数週間から数ヶ月を要するため、落ち着いた時期でなければ着手できない
・使用量削減は一度実施すれば継続して効き、価格局面の変化に左右されにくい

CHAPTER 02「どこから買うか」と「どれだけ買うか」、2系統の対策の違い

供給が制約された局面で取りうる手段を整理すると、性格の異なる2系統に分かれる。この区別を曖昧にしたまま対策を並べると、どちらか一方に偏った計画になりやすい。

SERIES A
どこから買うか、入手経路を増やす対策
輸入ルートの併用、再生材への切替、複数メーカーからの分散調達がこれにあたる。ひとつの経路が止まったときに別の経路で補うことを目的とし、効果は「止まらないこと」に現れる。ただし代替先が同じ制約を受ければ効果は失われるため、代替先の原料系統が現行品と異なるかどうかが要点となる。
SERIES B
どれだけ買うか、必要量そのものを下げる対策
包装機の延伸機構による原反使用量の削減、結束本数の見直し、長尺品への切替、荷姿設計の変更がこれにあたる。効果は「必要量が減ること」に現れ、供給変動の影響を受ける幅そのものが狭くなる。設備投資や工程変更を伴うため着手までの期間は長いが、実施後は継続して効く。

両者は代替関係ではない

使用量を削減しても、必要量がゼロになるわけではない。残る必要量については、引き続き入手経路を確保しておく必要がある。逆に、入手経路をいくら増やしても、必要量が多いままでは価格改定の影響をそのまま受ける。

したがって両者は併用するものであり、どちらか一方で代替できるものではない。実務上の設計としては、まずSERIES Bで必要量の水準を下げ、下がった水準に対してSERIES Aで複数の経路を確保する順序が合理的である。必要量が減れば、確保すべき量も減り、経路の分散も容易になるためだ。

入手経路の側の詳細は、物流資材完全まとめ2026および同記事が収録する品目別の記事で扱っている。本記事はSERIES Bを主題とする。

CHAPTER 03ストレッチフィルム、プリストレッチ機構が使用量を下げる仕組み

削減効果の中心はストレッチフィルムにある。理由は単純で、フィルムは引き伸ばして使う資材だからだ。どれだけ伸ばした状態で巻くかによって、同じ荷を覆うのに必要な原反の長さが変わる。

手巻きと機械巻きで何が違うのか

手巻きでは、作業者がフィルムを引きながら荷の周囲を回る。このとき生じる延伸は、作業者が加える張力に依存するため、伸び幅は限られ、かつ一定しない。荷の角では張力が抜け、直線部では強く張るといったばらつきも生じる。

プリストレッチ機構を備えた包装機では、荷に巻く前の段階でフィルムを機械的に延伸する。回転速度の異なる2本のローラーの間にフィルムを通し、その速度差によって延伸させる方式が一般的である。日本包装機械の説明によれば、ローラーAとローラーBの間でフィルムを延伸させ、ターンテーブルの回転による張力をローラーCが感知して回転速度を制御することで、均一な延伸をかける構造となっている。

メーカーが公表している延伸性能

延伸の程度は方式によって異なり、各社が製品仕様として公表している。

メーカー/方式公表されている性能備考
Lantech
パワーローラーストレッチ方式
フィルム延伸率3倍 オーバーヘッド式、自動フィルムカッター付き。伊藤忠マシンテクノスが取り扱い
松本システムエンジニアリング
パワーワイドストレッチ方式
5回〜7回巻き 2軸延伸フィルムシステム。2本のコルゲートローラー間で長さ方向と幅方向の2方向に延伸
日本包装機械
ローラー制御方式
従来機より巻き数を減らし、荷崩れ防止効果は同等 フィルム上端・下端をよらせて強度を補強する機構を装備
成光産業 ROBOT S7(ROBOPAC)
自走式
プリストレッチ2.5〜5倍 本体が積荷の周囲を移動する自走式。パレット寸法を選ばず、丸みを帯びた形状にも対応。7世代目にあたるハイエンド機
野添産業 マックンダーNZ1
半自動・延伸可変装置
20〜30パレット/時、17〜25μ対応 フィルムテンション5段階、手巻用・機械用の両方に対応

延伸率から原反使用量を考える

延伸率3倍とは、原反1mを引き伸ばして3mにするという意味である。同じ面積を覆う場合、必要な原反の長さは理論上その分だけ短くなり、約1/3になる計算になる。

⚠ 理論値と実際の削減率は一致しない

上記はあくまで延伸機構から導かれる理論値であり、メーカーが「使用量が何%減る」と公表しているわけではない。実際の使用量は、巻き数、フィルムを重ねる際のオーバーラップ幅、荷姿の安定性、要求される保持力によって変わる。荷崩れのリスクがある荷姿では巻き数を増やす判断になり、その分だけ削減幅は縮む。

当社としても、削減率を一律の数値で示すことはしていない。判断に必要なのは、自社の荷姿・積付高さ・輸送距離の条件下での実測値である。次章で実測すべき項目を整理する。

CHAPTER 04ストレッチフィルム、導入前に実測すべき5項目

包装機の導入判断は、カタログ値ではなく自社の荷での実測に基づいて行う必要がある。実測すべき項目は次の5つである。

実測1:1パレットあたりの原反使用長

現行の手巻きまたは既存機で、1パレットを包装するのに使う原反の長さを測る。ロール1本の全長を巻き数で割る方法が簡便である。この値が削減前の基準となり、包装機の試験運転で得られる値と比較することで削減幅が確定する。フィルムの厚みが異なる製品を併用している場合は、厚みごとに分けて測る。

実測2:荷崩れの発生率と発生条件

削減を進めるほど保持力は下がる方向に働くため、現行条件での荷崩れ発生率を把握しておく必要がある。発生していないのであれば、現行の巻き数に余裕がある可能性がある。逆に既に発生している場合、削減の余地は小さく、むしろ包装機の導入で均一な延伸により保持力を安定させることが主目的となる。

実測3:荷姿のばらつき

多品種少量で荷姿が定まらない現場では、削減率が想定を下回ることがある。包装パターンをメモリーできる機種では複数パターンを設定できるが、荷姿ごとに最適な巻き方が異なる以上、標準化されている現場ほど効果が出やすい。取り扱う荷姿の種類数と、それぞれの構成比を把握しておく。

実測4:包装工程の所要時間

包装機のカタログには処理能力がパレット/時で示されている。たとえば野添産業マックンダーNZ1は20〜30パレット/時と公表されており、機種や方式によって処理能力の幅は大きい。現行の手巻きに要している時間と、出荷ピーク時の必要処理量を突き合わせ、能力が不足しないかを確認する。

実測5:使用するフィルムの適合厚み

包装機には対応する厚みの範囲がある。たとえばマックンダーNZ1は17〜25μと公表されている。現在使用しているフィルムの厚みが範囲に収まるか、収まらない場合は厚みの変更が必要になるかを事前に確認する。機械用フィルムと手巻用フィルムは設計が異なるため、機種によっては両方に対応するか否かも選定条件となる。

📌 サンプル評価は供給が安定している時期に

これら5項目の実測には、機種の手配、試験運転、データ取得を含めて相応の期間を要する。供給が制約されてから着手すると、評価期間中に在庫が尽きるという時間の問題が生じる。2026年7月時点のように供給と価格が落ち着いている時期に済ませておくことで、次に局面が変わったときの選択肢が増える。

CHAPTER 05PPバンド、掛け本数の見直しと長尺巻きへの切替

PPバンドはフィルムと異なり、延伸によって使用量を下げる資材ではない。削減の余地は掛け本数ロールあたりの長さの2点にある。

掛け本数は荷姿の安定性で決まる

結束の本数は、荷崩れと底抜けを防ぐという目的から逆算して決まる。段ボールを積み上げた荷では2本掛け、重量物や不安定な荷姿では十字掛けや4本掛けといった運用が取られる。ここで検討の対象になるのは、現在の本数が要求される保持力に対して余裕を持ちすぎていないかという点である。

ただしこの見直しは、フィルムの延伸率のように機構から効果を計算できるものではない。荷の重量、積付の高さ、輸送距離、荷役回数によって必要な保持力が変わるため、判断は個別条件に依存する。本数を減らす方向の検討は、荷崩れが発生していない実績が一定期間ある場合に限るのが実務上の前提となる。

長尺巻きへの切替は交換頻度に効く

バンドそのものの使用量は変わらないが、ロールあたりの長さを増やすことで交換の回数が減る。セキスイの製品説明では、長尺巻き仕様によりバンドの交換頻度が低減し作業効率が向上するとされている。あわせて同社は、独自の製造技術を用いた設計によりCO2排出量を約16%削減できるとしている(同社の他タイプとの比較)。

なお自動梱包機を使用している場合、バンドの材質変更や長尺化にあたっては機械側との適合確認が必要となる。柔らかいタイプのPPバンドについても、大型アーチ機や特注の梱包機では対応できない場合があるため、事前のテストが推奨されている。

樹脂系統を変える選択肢

厚みのある業務用PPヘビーバンドについては、使用量を減らすのではなく、樹脂系統の異なるPETバンド(エステルバンド)へ置き換える選択肢がある。これは削減ではなく代替にあたるため本記事の主題からは外れるが、供給の制約を受ける経路が異なるという点でSERIES Aの対策に位置づけられる。詳細はPPヘビーバンド不足とPETバンドへの代替可能性を検証した記事で扱っている。

CHAPTER 06OPPテープ、長尺化による交換頻度の削減

テープについても、削減の対象は使用量そのものではなくロール交換の回数である。ここで効くのが基材の違いによる巻き長さの差だ。

基材が薄いほど長く巻ける

日東電工ベースマテリアルの説明によれば、基材にクラフト紙を使用するクラフトテープの最大巻き長さが500mであるのに対し、OPPテープは基材が薄いため最大1500mまで巻くことができる。スリーエムも、封緘機用の長尺では同じロール径であればOPPテープの長さはクラフトテープの3倍になり、テープ交換頻度が減ることでラインを止める回数が減ると説明している。

500m品から1500m品へ切り替えた場合、同じ使用量あたりの交換回数は3分の1になる。1日に10回交換していた工程であれば、計算上は3回程度に減る。ライン停止時間の削減という形で効果が出るため、削減対象は資材費ではなく作業工数である。

単価だけでは比較できない

長尺品への切替を検討する際、1mあたりの単価で比較したくなるが、これは慎重に扱う必要がある。2026年4月時点の掲載価格に基づく例を挙げる。

製品荷姿・価格1mあたり厚み・設計
セキスイ P82ET3L 1500m・5巻セット 50,578円 約6.7円 0.052mm、機械最適設計
スリーエム品 1000m・1巻 3,619円 約3.6円 0.065mm、汎用設計

1mあたりでは後者が安いが、厚みと設計思想が異なる。前者は薄く機械での使用に最適化された設計、後者は厚く汎用性を重視した設計であり、封緘機での走行安定性や必要な貼り付け長さが変わる。単価のみでの比較は成立しない

また日東電工ベースマテリアルは、OPPテープがクラフトテープと比べて約30〜40%安価であるとしている(同社基準)。基材の変更を伴う切替では、単価と交換頻度の双方が同時に動く。

📌 長尺化で確認すべきこと

長尺品はロール径が大きくなるため、使用している封緘機のロール保持部に収まるかを確認する必要がある。もりや産業は36mm幅・48mm幅の1,500m巻をラインアップしており、自動封緘機での大量梱包を用途として挙げている。手貼り工程では長尺化の効果は小さく、機械貼りの工程が対象となる。

CHAPTER 07緩衝材と外装、箱サイズの適正化と通い箱化

緩衝材については、包装機の延伸率やテープの巻き長さのように、削減効果を数値で示せる公表資料を当社では確認できていない。ここでは定量の削減率を示さず、検討の方向のみを整理する。

箱サイズが緩衝材の使用量を決めている

緩衝材の使用量は、緩衝材そのものの選び方よりも外装箱と内容物の隙間によって決まる。箱が大きすぎれば、その空間を埋めるために緩衝材が必要になる。商品サイズに対して適切な外装箱が選べていない場合、緩衝材の使用量は必然的に増える。

この観点から、外装箱のサイズ体系の見直しが緩衝材の削減につながる。商品サイズに応じた外装箱と緩衝材の対応表を用意し、選定の判断を作業者の裁量に委ねない運用にすることで、過剰な使用を抑えられる。高さを調整できる外装を採用し、内容物に合わせて空間そのものを減らす方法もある。

対応表を整備する際の手順は次の通りである。まず出荷実績から、実際に使っている外装箱のサイズ種類と、それぞれの出荷構成比を洗い出す。次に、出荷量の多い上位の商品について、内容物の外形寸法と現行の外装箱の内寸を突き合わせ、隙間が大きい組み合わせを特定する。隙間が大きい順に、より小さい既存箱への振り替えが可能か、あるいは新たな中間サイズの箱を追加する余地があるかを検討する。箱の種類を増やしすぎると在庫管理と発注が煩雑になるため、削減効果の大きい上位品目から段階的に進めるのが現実的である。この作業はストレッチフィルムの実測(Chapter 04)と同様、出荷実績という自社データが起点となる。

通い箱化は使用量をゼロに近づける

より踏み込んだ手段が、使い捨ての梱包から繰り返し使用する容器への切替である。蓋付き折りたたみコンテナやリターナブルボックスを採用すれば、緩衝材だけでなくストレッチフィルムとPPバンドの使用量も同時に下がる。本記事で扱う4品目のうち3品目に同時に効く点で、削減手段としては効果が大きい。

ただし成立条件は限られる。納入先との間で容器の回収スキームを構築できることが前提となり、片道輸送や不特定多数向けの出荷では成立しにくい。定常的な往復ルートを持つ取引が対象となる。詳細はリターナブルボックスを扱った記事で整理している。

CHAPTER 08品目別の削減手段と適用条件の一覧

ここまでの内容を、品目・手段・効果の現れ方・適用条件の4軸で整理する。「効果の現れ方」の欄が、削減の対象が資材費なのか作業工数なのかを区別する軸である。

品目削減手段効果の現れ方適用条件根拠
ストレッチフィルム プリストレッチ包装機の導入 原反使用量(資材費) 荷姿が標準化されていること。多品種少量では効果が下がる 延伸率3倍(Lantech方式)
ストレッチフィルム 巻き数・巻きパターンの見直し 原反使用量(資材費) 荷崩れが発生していない実績が一定期間あること 5〜7回巻き(松本システムエンジニアリング)
PPバンド 掛け本数の見直し 使用量(資材費) 荷重・積付高さ・輸送距離から必要な保持力を確認できること 個別条件に依存。公表値なし
PPバンド 長尺巻きへの切替 交換回数(作業工数) 自動梱包機との適合を事前テストで確認できること 交換頻度の低減(セキスイ)
OPPテープ 1500m長尺品への切替 交換回数(作業工数) 機械貼り工程であること。封緘機のロール保持部に収まること クラフト500m→OPP1500m(日東電工ベースマテリアル)
緩衝材 外装箱サイズの適正化 使用量(資材費) 商品サイズと外装箱の対応表を整備できること 定量の公表値なし
フィルム・バンド・緩衝材 通い箱・折りたたみコンテナ化 使用量(3品目に同時) 納入先との回収スキームを構築できること。往復ルートに限る 定量の公表値なし
⚠ 「効果の現れ方」の欄を先に見る

削減手段を比較する際、資材費が下がるのか作業工数が下がるのかを混同すると、投資判断の計算が成立しなくなる。長尺化は資材の使用量そのものは変えず、交換に伴うライン停止時間を減らす手段である。資材費の削減を期待して長尺品へ切り替えると、想定した効果は得られない。

CHAPTER 09投資判断の考え方、回収期間をどう計算するか

包装機の導入は設備投資であるため、回収期間の見通しが判断の中心となる。ここでは具体的な金額を示すことはしない。機種、能力、オプション構成によって価格が大きく異なり、当社が一般的な水準として提示できる根拠がないためである。代わりに、計算の組み立て方を示す。

計算に必要な4つの値

VALUE 01
年間のパレット包装数
出荷実績から算出する。季節変動がある場合は月別に把握し、ピーク月の処理量が機種の能力に収まるかを確認する。この値が大きいほど、削減の絶対額は大きくなる。
VALUE 02
現行の1パレットあたり原反使用長
Chapter 04の実測1で得た値。ロール1本の全長を、そのロールで包装できたパレット数で割って求める。厚みの異なるフィルムを併用している場合は分けて算出する。
VALUE 03
試験運転で得た削減後の使用長
導入候補機での実測値。カタログの延伸率から計算した理論値ではなく、自社の荷姿で試験運転して得た実測値を使う。荷崩れが発生しない範囲での最小値を採用する。
VALUE 04
フィルムの単価と、その変動幅
直近の購入単価。ここで注意すべきは、2026年前半のように単価が大きく動く局面では、単価の前提次第で回収期間が変わる点である。単一の単価で計算せず、上下の幅を置いて複数の条件で試算する。

2026年の局面で置くべき前提

回収期間の計算で最も判断が分かれるのが、VALUE 04のフィルム単価をどの水準で置くかである。2026年7月時点では当社が取引で確認している範囲で値下げ傾向にあるが、上流のナフサは底値から反発する局面にあり、7月12日にはホルムズ海峡が再閉鎖されている。ナフサから資材への波及には2〜6ヶ月の時間差があるため、この影響が単価に現れるのはこの先となる。

したがって現在の値下がりした単価だけで計算すると、回収期間を長く見積もることになる。逆に2026年前半の高い水準だけで計算すれば、回収期間を短く見積もる。実務上は、直近の単価と過去1年の高値の両方で試算し、どちらの局面でも投資が成立するかを確認する形が現実的である。使用量削減は価格が上がる局面ほど削減額が拡大する性質を持つため、高値局面での試算は投資の下支えとなる。

📌 資材費以外の効果も計算に含める

包装機の導入では、原反使用量の削減に加えて包装工程の所要時間が変わる。手巻きから機械化する場合は作業者の負担軽減と処理速度の向上が伴い、腰への負担や無理な体勢での繰り返し作業がなくなる点を各社が挙げている。資材費のみで回収期間を計算すると、投資効果を実際より小さく見積もることになる。

CHAPTER 10用語集

本記事で使用する用語を整理する。

プリストレッチ
荷に巻く前の段階でフィルムを機械的に延伸する機構。回転速度の異なる2本のローラー間にフィルムを通し、その速度差で延伸させる方式が一般的である。プレストレッチとも表記される。
延伸率
フィルムを引き伸ばした後の長さが、元の長さの何倍になるかを示す値。3倍であれば原反1mが3mになる。同じ面積を覆う場合、必要な原反長は理論上その分だけ短くなる。
オーバーラップ
フィルムを巻く際に、前の周回と次の周回を重ねる幅。重ね幅が大きいほど保持力は上がるが、必要な原反長も増える。削減の検討では巻き数と並ぶ調整項目となる。
ダウンゲージング
フィルムの厚みを薄くして使用樹脂量を減らすこと。薄くするほど高い成形技術と原料グレードが必要になるため、際限なく進められるものではない。包装機の対応厚み範囲との適合も条件となる。
ターンテーブル
パレットを載せて回転させる台。回転によって荷の周囲にフィルムを巻き付ける。積荷が不安定な場合は、荷を回さずアームやリングが回る方式が選ばれる。
自走式
包装機本体が積荷の周囲を移動しながらフィルムを巻く方式。ターンテーブルを持たないため設置スペースを選ばず、パレット寸法や設置場所の制約を受けにくい。ROBOT S7などが該当する。
封緘機
段ボールケースの開口部にテープを貼って閉じる機械。長尺テープを使う工程であり、ロール交換のたびにラインを停止する必要がある。
ヘビーバンド
厚みのある業務用のPPバンド。重量物や輸出梱包に用いられる。帯鉄やワイヤーの代替として使われる場面もあり、専用の結束機が必要になる。
エステルバンド
PET(ポリエチレンテレフタレート)製の結束バンド。PPバンドとは樹脂系統が異なるため、供給の制約を受ける経路も異なる。PETバンドとも呼ばれる。
適正包装
内容物の保護に必要な水準を満たしつつ、過剰にならない包装のこと。外装箱のサイズ体系と緩衝材の対応関係を整備することが実務上の起点となる。
通い箱
納入先との間を往復して繰り返し使用する容器。折りたたみコンテナやリターナブルボックスが該当する。回収スキームの構築が成立条件となる。
アロケーション
割当供給。供給量が需要を下回る局面で、メーカーが既存顧客の過去実績に応じて出荷量を配分する運用。2026年前半のフィルム・バンドで運用された。

CHAPTER 11出典・エビデンス一覧

包装機メーカー・取扱商社の公表資料

  • 伊藤忠マシンテクノス「パレットストレッチ包装機 Lantech」パワーローラーストレッチ方式、フィルム延伸率3倍、オーバーヘッド式、自動フィルムカッター付き
  • 松本システムエンジニアリング「パレットストレッチ包装機」パワーワイドストレッチ方式による5回〜7回巻き、2軸延伸フィルムシステム(2本のコルゲートローラー間で長さ方向と幅方向に延伸)
  • 日本包装機械「ストレッチ包装機(パレット用)」ローラーAとローラーBの間で延伸させ、ローラーCが張力を感知して回転速度を制御する機構。従来機より巻き数を減らし荷崩れ防止効果は同等
  • 成光産業「自走式パレットストレッチ包装機 ROBOT S7」ロボパック社(イタリア)製、7世代目の自走式ハイエンド機。フィルム延伸機能、ワークサイズ・周回数の自動検知、フィルムオートカット
  • 日本梱包資材「ROBOT S7 PVS(自走式)」プリストレッチ2.5〜5倍延伸機能、12種類の包装パターン保存機能。いずれもROBOPAC正規代理店の公表による
  • 野添産業「マックンダーNZ1」フィルム延伸可変装置装備、フィルムテンション5段階、17μ〜25μ対応、20〜30パレット/時
  • ストラパック「パレットストレッチ包装機 PW-1521」プリストレッチ機能によるランニングコスト削減

テープ・バンドメーカーの公表資料

  • 日東電工ベースマテリアル「OPPテープの特長・用途について」クラフトテープの最大巻き長さ500mに対しOPPテープは最大1500m。OPPテープはクラフトテープより約30〜40%安価(同社基準)
  • スリーエム(3M)「クラフトテープのコスト削減」封緘機用長尺では同一ロール径でOPPテープの長さは3倍、テープ交換頻度の低減によりライン停止回数が減少
  • もりや産業「OPPテープ」36mm幅・48mm幅の長尺1,500m巻をラインアップ、自動封緘機での大量梱包用途
  • 積水化学工業(セキスイ)PPバンド製品説明、長尺巻き仕様による交換頻度の低減。独自の製造技術を用いた設計によりCO2排出量を約16%削減(同社の他タイプとの比較)

価格情報

  • OPPテープの単価比較に用いた価格は2026年4月時点の掲載価格。セキスイ P82ET3L(1500m・5巻セット 50,578円、厚み0.052mm)、スリーエム品(1000m・1巻 3,619円、厚み0.065mm)
  • マレーシア産ストレッチフィルムの2026年5月末から7月にかけての約18%の値下げ、および2026年7月時点の品目別の価格動向は、当社が取引で確認している内容に基づく
  • 延伸率3倍から「原反使用量は理論上約1/3」とする記述、およびクラフト500mからOPP1500mへの「交換回数3分の1」とする記述は、いずれもメーカー公表の性能値から当社が算出した理論値であり、実際の削減幅は荷姿・巻き数・工程条件によって変動する

CHAPTER 12よくある質問と免責事項

プリストレッチ包装機を導入すると、フィルムの使用量はどれだけ減りますか

削減率を一律の数値で示すことはできません。メーカーが公表しているのは延伸機構の性能で、たとえばLantechのパワーローラーストレッチ方式ではフィルム延伸率3倍が公表されています(伊藤忠マシンテクノス)。同じ面積を覆うのに必要な原反長は理論上その分だけ短くなりますが、実際の使用量は巻き数、オーバーラップの重なり幅、荷姿の安定性によって変わります。導入前に自社の荷姿で実測することが前提となります。

なぜ資材価格が下がっている局面で使用量削減を検討するのですか

供給が制約されている局面では、現場は必要量を確保することに手一杯となり、設備投資の検討まで手が回りにくくなります。2026年7月時点では、当社が取引で確認している範囲でストレッチフィルム、PPバンド、緩衝材が値下げ傾向にあり、当面の入手に追われる状況からは離れつつあります。使用量削減は一度実施すれば継続して効き続ける対策であるため、供給が落ち着いている時期に検討と実測を済ませておく意味があります。

OPPテープの長尺化にはどの程度の効果がありますか

テープそのものの使用量ではなく、ロール交換の回数が減ります。日東電工ベースマテリアルによると、クラフトテープの最大巻き長さが500mであるのに対し、OPPテープは基材が薄いため最大1500mまで巻くことができます。500m品から1500m品へ切り替えた場合、同じ使用量あたりの交換回数は3分の1になります。スリーエムも同一ロール径でOPPテープはクラフトテープの3倍の長さになるとしています。

使用量削減は、調達先を分散させる対策の代わりになりますか

代わりにはならず、性格の異なる対策として併用するものです。調達先の分散は供給が止まったときに別ルートで補う対策であり、使用量削減は必要量そのものを下げて供給変動の影響を受ける幅を狭める対策です。削減を進めても必要量がゼロになるわけではないため、残る必要量については引き続き入手経路を確保しておく必要があります。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社は千葉県我孫子市に本社を置く物流資材専門の商社で、プラスチックパレット・折りたたみコンテナ・PPバンド・ストレッチフィルム・再生プラスチック原料を全国のお客様へ供給しています。資材を販売する立場でありながら使用量削減を扱うのは、供給と価格が変動する局面では、必要量を正しく把握したうえで調達計画を立てることがお客様の実務に資すると考えているためです。メーカー各社の公表資料をもとに、判断に使える形で整理しています。

免責事項
  1. 情報の時点性について|本記事の記載内容は2026年7月22日時点で確認できた公開情報に基づいています。各社の製品仕様、ラインアップ、価格は変更される場合があるため、検討にあたっては各メーカーの最新の資料をご確認ください。
  2. 削減効果の数値について|本記事に記載した延伸率、巻き長さ、処理能力はいずれもメーカーが公表する製品仕様であり、使用量の削減率を保証するものではありません。実際の削減幅は荷姿、巻き数、オーバーラップ幅、要求される保持力によって変動します。
  3. 投資判断への非該当|本記事は包装資材の調達実務に資する情報提供を目的としており、特定の設備の購入や金融商品の投資判断を推奨するものではありません。企業名・製品名の記載は事実関係の説明のためであり、当該企業の評価を示すものではありません。
  4. 要約と整理の限界について|各メーカーの製品仕様は本記事の主題に沿って要約しています。機種ごとの詳細な仕様、オプション構成、適合条件については各社の技術資料および担当窓口にご確認ください。
  5. 引用の取り扱いについて|本記事における各社の製品説明および価格情報は、公表資料の内容を当社が要約・整理したものです。正確な表現については各出典元の原文をご参照ください。記載に誤りを発見された場合は、お手数ですがご連絡いただけますと幸いです。
Back to top