2026年の調達ガイド / 洗剤・日用品

洗剤・シャンプー・生理用品の値上げ時期2026、ライオン・花王・ユニ・チャーム

公開 更新(9月28日時点の情報)対象品目 洗剤・シャンプー・衛生用品読む時間 約18分

この記事の答え

何が起きた
界面活性剤の原料の酸化エチレンが値上げされました。日本触媒は4月1日出荷分から、三菱ケミカルグループは5月1日納入分から1kgあたり130円以上です。
洗剤・日用品の価格への影響
ライオンは10月1日出荷分から159SKUの出荷価格を4〜25%引き上げます。ユニ・チャームは紙おむつや生理用品を7月以降、順次数%値上げする方針です。
確かめておくこと
4〜25%は出荷価格の改定率で、店頭の価格が同じ率で上がるとは限りません。花王の改定率は、当社では公式の発表を確認できていません。
次に見るところ
三菱ケミカルグループ・日本触媒など界面活性剤原料メーカーの価格改定発表と、花王の公式の改定発表です。
この記事のあとの動き(2026年9月28日時点)

この記事は2026年7月24日に公開し、9月28日にライオンの改定の章を追加しました。ライオンは2026年10月1日出荷分から、一般消費者向けの159SKUを4〜25%引き上げます。

花王については、交渉段階の報道以降、当社は同社の公式の改定発表を確認できていません。各社の改定内容は、それぞれの発表・報道の時点の情報です。

ライオンの改定の章:10月1日出荷分から159SKUを4〜25%値上げ ›
ライオンの出荷価格の改定率(2026年10月1日出荷分から)4〜25%一般消費者向けの159SKU全体の幅。ライオンの発表(2026年7月7日)
酸化エチレンの値上げ幅(2026年5月1日納入分から)130円以上1kgあたり。三菱ケミカルグループの発表(2026年4月17日)
大王製紙の家庭用・業務用紙製品の一部(2026年4月1日納品分から)10%以上ティシュー・トイレットペーパーなど

三菱ケミカルグループの酸化エチレンの生産能力は、国内全体の4割弱です。帝国データバンクの2026年3月調査では、食品・日用品の値上げは2026年1〜6月の累計で4,493品目と集計されています。

食品と違い、洗剤とシャンプーは中身の原料もナフサ由来です

洗剤とシャンプーは、主成分の界面活性剤の原料も、ボトルも詰め替えパウチも、すべてナフサを起点とします。食品にあった逃げ道がありません。

この記事では、相殺の働きにくい二重構造がどう価格に現れるかを、公表資料から整理します。

当社はこれまで、牛乳・乳製品・卵、そして醤油・味噌・食用油の価格構造を扱ってきました。どの記事にも共通する構図があります。中身の原料は農産物であり、ナフサの影響は容器の経路から届くというものです。

牛乳なら配合飼料、醤油なら大豆と小麦、食用油なら大豆と菜種です。これらは農産物で、価格は穀物相場と為替、そして米国の燃料政策で動きます。

中東情勢が効くのは、紙パックの内側コーティングや、PETボトル、食品トレーといった容器の側でした。

洗剤とシャンプーには、その逃げ道がない

この記事で扱うトイレタリートイレタリー洗剤、シャンプー、ボディソープ、歯磨き、紙おむつなど、日常的に使用する家庭用の衛生・清潔関連製品の総称。製品は、この構図から外れます。中身の主成分である界面活性剤の原料が、ナフサ由来だからです。

主成分の界面活性剤界面活性剤分子内に水になじむ部分と油になじむ部分を併せ持ち、本来混ざらない水と油を混ぜる働きをする物質。洗剤・シャンプー・ボディソープの洗浄力を担う主成分にあたる。は、エチレンエチレンナフサを熱分解して得られる基礎化学品。酸化エチレンを経て界面活性剤になる道と、重合してポリエチレンになる道に分かれ、中身と容器の双方の起点となる。から作られる酸化エチレン酸化エチレンエチレンオキサイドとも呼ばれる。エチレンを酸化して製造され、界面活性剤の主要な原料となる。国内では日本触媒と三菱ケミカルグループが大きな生産能力を持つ。などを原料とします。容器のポリエチレンも、同じエチレンから作られます。

日本経済新聞は2026年5月15日の報道で、洗剤に含まれる界面活性剤の原料などはナフサナフサ原油を精製して得られる粗製ガソリン。石油化学製品の出発原料であり、日本は中東産への依存度が高い。原油と異なり国家備蓄制度の対象外である。由来であると明記しています。

つまり洗剤・シャンプー・ボディソープ・台所用洗剤は、中身と容器の双方が同じ上流に依存しています。

  1. 経路1 中身の経路、ナフサから界面活性剤へ
    ナフサを熱分解してエチレンを得ます。エチレンから酸化エチレンを製造し、さらに中間材料を経て界面活性剤となります。これが洗剤の洗浄力を担う主成分です。
  2. 経路2 容器の経路、ナフサからポリエチレンへ
    同じエチレンを重合するとポリエチレンになります。シャンプーのボトル、詰め替えパウチのフィルム、キャップとポンプがこれにあたります。中身とは別の工程を経ますが、出発点は同じです。

二重に効くということの意味

二つの経路が同じ上流を共有しているため、ナフサ価格が動くと中身と容器のコストが同時に、同じ方向へ動きます。

食品なら、穀物が下がって樹脂が上がるといった相殺が起こりえます。トイレタリーでは、この相殺が働きにくいのです。

調達上の対応策も限られます。食品では、容器を紙に替える、再生材を使うといった選択肢が検討されてきました。洗剤の中身については、代わりになる原料系統が簡単には見つかりません。

植物油脂を原料とする界面活性剤もあります。ただ、記事2で扱った通り、植物油は米国のバイオ燃料政策で需給が変化している局面にあります。

この章のポイント

  • 食品は中身が農産物であり、ナフサの影響は容器の経路から届いていました
  • 洗剤・シャンプーは、中身の主成分である界面活性剤の原料もナフサ由来です
  • 中身と容器が同じ上流を共有するため、コストが同時に同じ方向へ動きます
  • 原料系統を切り替える余地が、食品に比べて小さいです

原料の値上げから洗剤の値上げ交渉までは、1ヶ月程度でした

上流の酸化エチレンの改定から、最終製品の価格交渉までは1ヶ月程度でした。この先も反映が続く局面にあります。

トイレタリー製品の価格に直接関係した出来事を、時系列で整理します。国際情勢そのものの全体像は、上位ハブ記事の【イラン情勢2026完全まとめ】米・イラン対立・ホルムズ海峡と日本産業への影響をご覧ください。

2026年3月〜7月、洗剤・日用品に関わる出来事
時期出来事どの層に効くか
2026-02-28ホルムズ海峡ホルムズ海峡ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海峡。世界の海上原油輸送の重要な経路であり、通航状況が原油とナフサの調達環境に直結する。が事実上封鎖両層の起点
2026-03帝国データバンク調査で、2026年4月単月の食品・日用品の値上げが2,516品目、1〜6月累計で4,493品目と集計される最終製品
2026-04-01日本触媒が酸化エチレンの値上げを出荷分から実施第1層 界面活性剤の原料
2026-04-01大王製紙が家庭用・業務用紙製品の一部を10%以上改定(納品分から)紙系日用品
2026-04-17三菱ケミカルグループが酸化エチレンなどの値上げを発表(5月1日納入分から、1kgあたり130円以上)第1層 界面活性剤の原料
2026-05-01三菱ケミカルグループの酸化エチレン改定が納入分から適用開始第1層 界面活性剤の原料
2026-05ユニ・チャームが紙おむつや生理用品を中心とする主力商品を2026年7月以降、順次数%値上げする方針を明らかにする衛生用品
2026-05-15花王が取引先の小売企業などに価格見直しの意向を伝え始め、夏以降に主力ブランドを順次値上げする方向で交渉していると報じられる最終製品
2026-07-12ホルムズ海峡が再閉鎖両層の起点

時系列から読めること 上流である酸化エチレンの改定が、4月から5月に集中しています。最終製品である洗剤の値上げ交渉は、5月中旬から始まっています。

上流の改定が最終製品の価格交渉に現れるまでの間隔は、1ヶ月程度だとわかります。ただし交渉から実際の店頭価格への反映には、さらに時間がかかります。

界面活性剤は、ナフサからエチレンと酸化エチレンを経て作られます

第1層は中身の界面活性剤です。原油からナフサ、エチレン、酸化エチレンと進み、手順2まではプラスチックパレットの原料と同じ道を通ります。

界面活性剤は、水と油という本来混ざらないものを混ぜる働きを持つ物質です。分子のなかに水になじむ部分と油になじむ部分の両方を持ち、汚れを水中に分散させます。

洗剤、シャンプー、ボディソープ、台所用洗剤の洗浄力は、この物質が担っています。

ナフサから界面活性剤までの工程

  1. 手順1 原油からナフサへ
    原油を精製して、粗製ガソリンであるナフサを得ます。日本は中東産への依存度が高く、ホルムズ海峡の通航状況が調達環境に直結します。
  2. 手順2 ナフサからエチレンへ
    ナフサクラッカーで熱分解し、エチレン・プロピレンなどを取り出します。日本のエチレン原料はナフサが大半を占めます。そのため、ナフサの供給状況がそのまま生産量に影響します。
  3. 手順3 エチレンから酸化エチレンへ
    エチレンを酸化して、酸化エチレン(エチレンオキサイド)を製造します。界面活性剤の主要な原料です。この段階で価格改定が起きると、洗剤メーカーの調達コストに直接影響します。
  4. 手順4 酸化エチレンから界面活性剤へ
    酸化エチレンとそれを基につくられる中間材料から、非イオン性を中心とする界面活性剤が製造されます。日用品メーカーはこれを購入して洗剤を配合します。
  5. 手順5 界面活性剤から製品へ
    界面活性剤に香料、酵素、安定剤などを配合して、洗剤やシャンプーになります。ここに容器のコストが加わって最終製品となります。

この工程は、当社が扱うプラスチックパレットの原料であるポリプロピレンやポリエチレンポリエチレンエチレンを重合して得られる樹脂。シャンプーのボトル、詰め替えパウチのフィルム、キャップなどに用いられる。界面活性剤とエチレンを共有する。と、手順2まで同じ道を通ります。

物流資材と洗剤は、まったく異なる製品です。それでも同じナフサクラッカーナフサクラッカーナフサを高温で熱分解し、エチレン・プロピレンなどを取り出す設備。石油化学コンビナートの中核であり、稼働状況が下流の樹脂と化学品の供給を規定する。の出口を分け合っています。エチレンプラントの稼働状況が両方に同時に効く理由が、ここにあります。

ナフサからエチレンに至る上流の状況は、当社のナフサ供給「目詰まり」の正体で3層構造として整理しています。

酸化エチレンは1kgあたり130円以上上がり、調達先を変える余地は小さいです

三菱ケミカルグループは酸化エチレンを1kgあたり130円以上値上げしました。日本触媒と2社で国内生産能力の大半を占め、調達先を変えて改定を避ける余地は構造的に小さいです。

2026年、界面活性剤の原料段階で実際に価格改定が行われました。この記事で、最も具体的な数値を示せる部分です。

三菱ケミカルグループの改定

三菱ケミカルグループは2026年4月17日に発表しました。界面活性剤の原料となる酸化エチレンなどを、2026年5月1日納入分から値上げするというものです。原料となるナフサの高騰を、価格に転嫁するものです。

対象は、基礎化学品であるエチレンからつくられる酸化エチレンと、それを基につくられる中間材料中間材料基礎化学品と最終製品の間に位置する材料。酸化エチレンを基につくられる中間材料が界面活性剤の直接の原料となり、この段階の価格改定が下流に波及する。です。

酸化エチレンは1キログラムあたり130円以上の値上げとなり、2026年5月1日納入分納入分・出荷分価格改定の適用基準。納入分は取引先へ届いた日、出荷分は工場から出た日を基準とする。基準の違いにより既発注案件が新価格になるかが変わる。から適用されます。同社は茨城県神栖市の鹿島コンビナートで生産し、日用品メーカーなどに供給しています。

供給構造から見た影響範囲

酸化エチレンの主なメーカーと改定
メーカー国内生産能力改定時期改定幅
日本触媒国内の約4割
(生産能力で国内最大)
2026年4月1日出荷分公表資料上、当社では確認できていない
三菱ケミカルグループ国内全体の4割弱2026年5月1日納入分酸化エチレン 1kgあたり130円以上

この2社で、国内生産能力の大半を占めます。生産能力で国内最大の日本触媒が4月1日出荷分から先行して値上げし、4割弱を持つ三菱ケミカルグループが5月1日納入分から続いた形です。

調達先を変えることで改定を回避する余地は、構造的に小さいです。

1kgあたり130円以上という水準の位置づけ この数値は酸化エチレンという原料段階での改定額で、洗剤1本あたりの値上げ額ではありません。

最終製品への影響額は、次の要素で変わります。洗剤に含まれる界面活性剤の量、界面活性剤に占める酸化エチレン由来成分の比率、そこから製品価格に至るまでの各段階のマージンです。

当社では、原料段階の改定額から最終製品の値上げ額を逆算することはしていません。両者は流通段階が異なり、単純な換算が成り立たないためです。最終製品の価格は、各メーカーの発表を個別に確認する必要があります。

ボトルと詰め替えパウチも、中身と同じエチレンから作られます

第2層は容器の樹脂です。洗剤のボトルと中身は、エチレンが分かれる直前まで同じ原料でした。詰め替え用で減らせるのは、容器側の一部に限られます。

洗剤・シャンプーのもうひとつの層が、容器です。食品の記事でも扱ってきた経路ですが、トイレタリーでは第1層と出発点を共有している点が異なります。

容器に使われている素材

容器の部材と素材
部材主な素材エチレン系統との関係
シャンプー・ボディソープのボトルポリエチレン(PE)エチレンを重合して製造。第1層と同じ出発点
詰め替えパウチ詰め替えパウチボトルに中身を補充するための袋状容器。ボトル本体より使用樹脂量が少ないが、素材はポリエチレンなどのフィルムであり同じナフサ由来である。ポリエチレンなどのフィルム同上。多層構成の場合は他樹脂も併用
ポンプ・キャップポリプロピレン(PP)、PEPPはプロピレン由来。同じナフサクラッカーの出口
衣料用洗剤の容器PE、PETいずれもナフサ由来
ラベル・外装フィルムPP、PEナフサ由来

第3章で見た工程の手順2で得られるエチレンは、二つの道に分かれます。酸化エチレンを経て界面活性剤になる道と、重合してポリエチレンになる道です。

洗剤のボトルと中身は、この分岐の直前まで同じ原料だったということになります。

詰め替え用への切替が持つ効果と限界

容器コストの上昇への現実的な対応として、詰め替え用製品への切替があります。パウチはボトル本体より使う樹脂量が少ないため、容器由来のコストは相対的に低く抑えられます。

ただし限界があります。第一に、パウチもポリエチレンなどのフィルムであり、同じナフサ由来であることです。第二に、中身の界面活性剤のコストは容器形態にかかわらず変わらないことです。

二重構造のうち削減できるのは、容器側の一部に限られます。

それでも、詰め替え用は当面の対応として合理性を持ちます。二層のうち片方の負担を軽くする手段が、ほかに少ないためです。業務用や施設向けでは、より大容量の規格への切替が同じ考え方にあたります。

花王は交渉の段階で、紙製品は改定が先に進んでいます

花王は2026年7月時点で交渉の段階にあり、改定率は公表されていません。大王製紙は4月1日納品分から10%以上を改定し、ユニ・チャームは7月以降に順次数%値上げする方針です。

上流での改定は、最終製品にどう現れているのでしょうか。2026年7月時点の状況を整理します。

花王は交渉の段階にある

日本経済新聞は2026年5月15日、花王が取引先の小売企業などに価格見直しの意向を伝え始めたと報じました。夏以降、主力の洗剤ブランド「アタック」やスキンケア「ビオレ」などを、順次値上げする方向で交渉しているといいます。

同記事は、洗剤に含まれる界面活性剤の原料などがナフサ由来であることを、背景として挙げています。

交渉と発表は異なる ここで区別したいのは、これが価格改定の正式発表ではなく、交渉が始まった段階であることです。2026年7月時点で、対象品目ごとの確定した改定率は公表されていません。当社でも確認できていません。

報道の段階で改定率を推測して記載することはしません。実際の改定内容は、同社の公式発表をご確認ください。調達計画上は「改定が来る前提で備えるが、幅は未定」という扱いが実態に即しています。

紙系の日用品では改定が確定している

同じ日用品でも、紙製品では既に改定が実施されています。大王製紙は、一部の家庭用・業務用紙製品を2026年4月1日納品分から10%以上改定しています。ティシュー、トイレットペーパー、キッチンタオル、ペーパータオルなどを含みます。

理由として、原燃料価格の高止まりに加え、円安、物流コストの上昇、人件費の増加が挙げられています。

またユニ・チャームは2026年5月、主力商品を2026年7月以降、順次数%値上げする方針を明らかにしました。紙おむつや生理用品が中心です。値上げに合わせて、商品のリニューアルも実施するとしています。

紙製品は中身が紙なので、トイレタリーのなかでは第1層のナフサ依存が相対的に小さいです。それでも改定が先行しているのは、別系統の要因が働いているためです。パルプ価格と原燃料コスト、そして物流費です。

紙全般の価格構造は、当社の印刷・情報用紙15%値上げの構造分析で扱っています。

日用品全体の動き

帝国データバンクの2026年3月調査によると、2026年4月単月で食品・日用品を合わせて2,516品目が値上げとなります。2026年1〜6月の累計では4,493品目、年間平均値上げ率は15%に達する見込みとされました。

4月は、単月で年間最多の品目数が集中する月にあたります。

ライオンは10月1日出荷分から159SKUを4〜25%値上げします

2026年9月の追記です。ライオンは10月1日出荷分から、トップ・NANOX・クリニカ・システマ・キレイキレイなど159SKUの出荷価格を4〜25%引き上げます。中身と容器の二重構造が、大手の最終製品の出荷価格として確定した形です。花王の改定率は引き続き未確認です。

出典欄の留意点で「一次ソースを確認できていない」としていたライオンは、2026年7月7日に一部製品の出荷価格の改定を発表しました。

2026年10月1日出荷分から、一般消費者向けの159SKUを4〜25%引き上げます。業務用洗浄剤とノベルティなどは、対象品・値上げ幅が異なるとしています。

対象のブランド

  • 洗たく用洗剤・プレケア:NANOX、トップ
  • アフターケア:NANOX、エレガード、レインガード、スタイルガード
  • ハミガキ:クリニカ、システマ、NONIO、デントヘルス、デンター、デンターシステマ
  • ハブラシ:クリニカ、システマハグキプラス、NONIO、ビトイーン、ライオンこども
  • ハンドソープ:キレイキレイ
  • シャンプー・リンス:オクト
  • 浴室用洗剤:ルックプラス、ルック

出典:ライオン「一部製品の出荷価格改定に関するお知らせ」(2026年7月7日)。分野ごとの品目数と改定率は示されておらず、4〜25%は159SKU全体の幅です。

改定率は出荷価格のもの 4〜25%は、ライオンが小売店・卸に出荷する価格の改定率です。店頭の価格が同じ率で上がるとは限りません。店頭で価格が変わる時期も、売り場ごとに異なります。

ライオンが挙げた理由

ライオンは、昨今の中東情勢の影響を踏まえた理由を挙げています。原材料価格の高騰や物流費・エネルギーコストの上昇による影響が今後一層拡大すると想定されることです。

洗たく用洗剤とハミガキ・ハンドソープ・シャンプーは、いずれも界面活性剤を含みます。ボトルや詰め替えパウチ、チューブは樹脂です。

この記事が第3〜5章で整理した中身と容器の二重構造が、大手の最終製品の出荷価格として表に出た形です。

花王について 花王については、第6章に記した交渉段階の報道以降、当社は同社の公式の改定発表を確認できていません。この記事では引き続き改定率を記載していません。

中身と容器が同じ上流のため、値上がりが打ち消されにくいです

洗剤・シャンプーでは、ナフサが上がれば中身と容器のコストが同時に、同じ方向へ動きます。取りうる手段は、容器側の負担を減らす・使用量を見直す・改定の時期を見込んで計画する、の3つです。

中身と容器が同じ上流を共有すると、実務上どんな違いが生まれるのでしょうか。シリーズで扱ってきた3カテゴリを比べると、輪郭が見えてきます。

カテゴリごとの中身と容器の原料
カテゴリ中身の原料容器の原料相殺の働き方
牛乳・乳製品・卵配合飼料(農産物)紙パック、ポリスチレン穀物と樹脂が別系統。片方が下がれば一部が相殺されうる
醤油・味噌・食用油大豆・小麦・菜種(農産物)PET、ポリプロピレン同上。食用油は米国の燃料政策が別要因として働く
洗剤・シャンプー界面活性剤(ナフサ由来)ポリエチレン(ナフサ由来)同一系統のため相殺が働きにくい
紙おむつ・トイレットペーパーパルプ(木材由来)包装フィルム(ナフサ由来)パルプと樹脂が別系統。ただし原燃料と物流費が共通要因

相殺が働かないということ

食品では、穀物相場が落ち着けば、樹脂が上がっても影響の一部が打ち消されます。

実際、記事1で扱った牛乳では、飼料が上がる一方で乳価が据え置かれました。その形で、コストの一部が価格転嫁価格転嫁上流で生じたコスト上昇を、下流の取引価格や販売価格へ反映させること。転嫁が進まない場合、コストは供給側の事業者に滞留する。されずに留まっていました。

これに対して洗剤・シャンプーでは、ナフサが上がれば中身と容器のコストが同時に、同じ方向へ動きます。相殺の余地がないぶん、上流の変動がより素直に最終価格へ向かう構造です。

逆に言えば、ナフサが下がる局面では、両方が同時に下がる方向に働きます。

調達側の対応余地

この構造のもとで取りうる手段は限られます。当社が整理すると、次の3つになります。

  • 容器側の負担を減らす:詰め替え用・大容量規格への切替。ただし第5章で述べた通り、削減できるのは容器分に限られます
  • 使用量そのものを見直す:施設・事業所なら、ディスペンサーの吐出量設定や希釈倍率の適正化が該当します。物流資材における使用量削減と同じ考え方です
  • 改定の時期を見込んで計画する:上流の改定が最終製品に届くまでの時間差を踏まえ、年度予算に織り込みます

調達先の切替による回避は、第4章で見た通り、上流の供給構造から難しいです。

使用量の削減という考え方は、当社の物流資材の使用量削減2026で、同じ発想を資材側で整理しています。

購買では、原料メーカーの改定発表を先行指標として使えます

トイレタリーは相殺が働きにくいぶん、上流の指標が先行指標として素直に機能します。酸化エチレンの改定を見た時点で、数ヶ月先の洗剤価格に備えることができます。

ここまでの構造分析を、流通・施設・事業所の購買判断に落とし込みます。

判断軸1:上流の改定を最終製品の先行指標として使う

第2章の時系列で見た通り、酸化エチレンの改定(4〜5月)から洗剤の値上げ交渉(5月中旬)までの間隔は、1ヶ月程度でした。

界面活性剤原料メーカーの価格改定発表は、トイレタリー製品の改定を予告する指標として機能します。三菱ケミカルグループ、日本触媒といった上流メーカーの発表を確認しておけば、数ヶ月先の調達コストを見込めます。

判断軸2:交渉段階と確定発表を区別する

第6章で述べた通り、花王の件は交渉段階で、2026年7月時点で改定率は未確定です。報道を根拠に予算を組むと、実際の改定内容と乖離する可能性があります。

「改定が来ることは織り込むが、幅は確定していない」という前提で、幅を持たせた見積もりにしておくのが安全側の対応となります。

判断軸3:中身と容器を分けて削減余地を探す

二重構造であっても、対応策は層ごとに異なります。容器側は詰め替え・大容量への切替、中身側は使用量そのものの見直しです。

どちらの層に手をつけているかを意識しないと、対策が容器側だけに偏ります。施設向けなら、ディスペンサーの設定見直しは中身側に効く数少ない手段となります。

判断軸4:紙系と樹脂系で改定の周期が異なる

同じ日用品でも、紙製品は原燃料とパルプ、樹脂系製品はナフサと、追うべき指標が分かれます。

大王製紙が4月、ユニ・チャームが7月以降、花王が夏以降と、改定の時期が品目群ごとにずれています。年間の消耗品予算を組むときは、品目群を分けて時期を織り込むほうが実態に近いです。

判断軸5:観測すべき指標

次の改定を先読みするために、続けて確認する意味がある指標は次の通りです。

  • 酸化エチレンなど界面活性剤原料メーカーの価格改定発表(三菱ケミカルグループ、日本触媒)
  • ナフサ価格と国内エチレンプラントの稼働状況
  • ポリエチレン・ポリプロピレンの樹脂改定発表(容器コストの先行指標)
  • パルプ価格と原燃料価格(紙系日用品の指標)
  • 日用品メーカーの改定発表と、その前段階にあたる取引先への意向伝達の報道

この章のポイント トイレタリーは、中身と容器が同じ上流を共有するために相殺が働きにくいです。そのぶん、上流の指標が先行指標として素直に機能するという利点もあります。

酸化エチレンの改定を見た時点で、数ヶ月先の洗剤価格に備えることができます。当社では、樹脂容器・再生材に関するご相談を承っています。

よくある質問

洗剤やシャンプーは、食品とは違う形でナフサの影響を受けるのですか

受け方が異なります。食品は中身の原料が農産物であるため、ナフサの影響は主に容器や包装材の経路から届きます。これに対して洗剤やシャンプーは、中身の主成分である界面活性剤の原料がナフサ由来であり、さらにボトルや詰め替えパウチもナフサから作られる樹脂です。日本経済新聞も、洗剤に含まれる界面活性剤の原料などはナフサ由来であると報じています。中身と容器の双方が同一の上流に依存する構造にあります。

界面活性剤の原料は実際に値上げされているのですか

値上げされています。三菱ケミカルグループは2026年4月17日、界面活性剤の原料となる酸化エチレンなどを2026年5月1日納入分から値上げすると発表しました。酸化エチレンは1キログラムあたり130円以上の値上げで、原料となるナフサの高騰を価格に転嫁するものです。同社の酸化エチレンの生産能力は国内全体の4割弱を占めます。生産能力で国内最大の日本触媒も、既に2026年4月1日出荷分から値上げを実施しています。

詰め替え用に切り替えれば影響は小さくなりますか

容器のコストという点では相対的に有利ですが、影響がなくなるわけではありません。詰め替えパウチはボトル本体に比べて使用する樹脂量が少ないため、容器由来のコスト上昇の絶対額は小さくなります。ただしパウチ自体もポリエチレンなどのフィルムで作られており、同じナフサ由来です。また中身の界面活性剤のコストは容器形態にかかわらず同じであるため、削減できるのは容器分に限られます。

ライオンの洗剤やハミガキはいつから値上げされるのですか

ライオンは2026年7月7日、一般消費者向けの159SKUの出荷価格を2026年10月1日出荷分から4〜25%引き上げると発表しました。対象はトップ・NANOXなどの洗たく用洗剤、クリニカ・システマなどのハミガキとハブラシ、キレイキレイ、オクト、ルックなどです。改定率は出荷価格のもので、店頭の価格が同じ率で上がるとは限りません。

花王はいつから、どの程度値上げするのですか

2026年7月時点では、確定した改定率は公表されていません。日本経済新聞は2026年5月15日、花王が取引先の小売企業などに価格見直しの意向を伝え始め、夏以降に主力の洗剤ブランドであるアタックやスキンケアのビオレなどを順次値上げする方向で交渉していると報じました。交渉の段階にあり、正式な改定内容の発表とは異なります。実際の改定率や対象品目は、同社の公式発表をご確認ください。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社は千葉県我孫子市に本社を置く物流資材専門の商社で、プラスチックパレット・折りたたみコンテナ・再生プラスチック原料を全国のお客様へ供給しています。取り扱う資材の多くがナフサ由来の樹脂を原料とするため、原油・ナフサ市況と国際情勢は日々の調達判断そのものです。洗剤やシャンプーの容器も同じ樹脂系統にあり、日用品を扱う流通や施設のご担当者と接する機会が多いことから、公表資料に基づいて価格構造を整理しています。

この記事は、当社が制作している「2026年サプライチェーン完全ガイド」シリーズのうち、生活用品分野を扱う記事です。国際情勢そのものの全体像は、上位ハブ記事の【イラン情勢2026完全まとめ】米・イラン対立・ホルムズ海峡と日本産業への影響をご覧ください。

用語集13語

本記事で使用する用語を整理する。

界面活性剤
分子内に水になじむ部分と油になじむ部分を併せ持ち、本来混ざらない水と油を混ぜる働きをする物質。洗剤・シャンプー・ボディソープの洗浄力を担う主成分にあたる。
酸化エチレン
エチレンオキサイドとも呼ばれる。エチレンを酸化して製造され、界面活性剤の主要な原料となる。国内では日本触媒と三菱ケミカルグループが大きな生産能力を持つ。
エチレン
ナフサを熱分解して得られる基礎化学品。酸化エチレンを経て界面活性剤になる道と、重合してポリエチレンになる道に分かれ、中身と容器の双方の起点となる。
ナフサ
原油を精製して得られる粗製ガソリン。石油化学製品の出発原料であり、日本は中東産への依存度が高い。原油と異なり国家備蓄制度の対象外である。
ナフサクラッカー
ナフサを高温で熱分解し、エチレン・プロピレンなどを取り出す設備。石油化学コンビナートの中核であり、稼働状況が下流の樹脂と化学品の供給を規定する。
ポリエチレン
エチレンを重合して得られる樹脂。シャンプーのボトル、詰め替えパウチのフィルム、キャップなどに用いられる。界面活性剤とエチレンを共有する。
中間材料
基礎化学品と最終製品の間に位置する材料。酸化エチレンを基につくられる中間材料が界面活性剤の直接の原料となり、この段階の価格改定が下流に波及する。
詰め替えパウチ
ボトルに中身を補充するための袋状容器。ボトル本体より使用樹脂量が少ないが、素材はポリエチレンなどのフィルムであり同じナフサ由来である。
トイレタリー
洗剤、シャンプー、ボディソープ、歯磨き、紙おむつなど、日常的に使用する家庭用の衛生・清潔関連製品の総称。
納入分・出荷分
価格改定の適用基準。納入分は取引先へ届いた日、出荷分は工場から出た日を基準とする。基準の違いにより既発注案件が新価格になるかが変わる。
生産能力シェア
ある製品について、国内の総生産能力に占める各社の割合。少数の企業に集中している場合、調達先の切替によって価格改定を回避する余地が小さくなる。
ホルムズ海峡
ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海峡。世界の海上原油輸送の重要な経路であり、通航状況が原油とナフサの調達環境に直結する。
価格転嫁
上流で生じたコスト上昇を、下流の取引価格や販売価格へ反映させること。転嫁が進まない場合、コストは供給側の事業者に滞留する。
  1. ※本記事は2026年7月24日に公開し、9月28日にライオンの改定の章を追加しました。各社の改定内容は、それぞれの発表・報道の時点の情報です。
  2. ※ライオンの4〜25%は出荷価格の改定率です。店頭の価格と、店頭で価格が変わる時期は売り場によって異なります。
  3. ※花王の改定率は、当社では公式の発表を確認できていないため記載していません。
  4. ※本稿は情報提供を目的としたもので、特定の購買判断を推奨するものではありません。
出典・エビデンス一覧15件

界面活性剤の原料

  • 三菱ケミカルグループ 2026年4月17日発表。界面活性剤の原料となる酸化エチレンなどを2026年5月1日納入分から値上げ。対象は基礎化学品エチレンからつくられる酸化エチレンと、それを基につくられる中間材料。酸化エチレンは1キログラムあたり130円以上の値上げ。原料となるナフサの高騰を価格に転嫁するもの。茨城県神栖市の鹿島コンビナートで生産し、日用品メーカーなどに供給。同社の酸化エチレンの生産能力は国内全体の4割弱を占める(日本経済新聞 2026年4月17日)
  • 日本触媒 酸化エチレンの生産能力で国内の約4割を占め国内最大。2026年4月1日出荷分から値上げを実施(同上)

最終製品

  • 花王 2026年5月15日報道。取引先の小売企業などに価格見直しの意向を伝え始め、夏以降、主力の洗剤ブランド「アタック」やスキンケア「ビオレ」などを順次値上げする方向で交渉している。洗剤に含まれる界面活性剤の原料などはナフサ由来であることが背景として挙げられている(日本経済新聞)
  • 大王製紙 ティシュー、トイレットペーパー、キッチンタオル、ペーパータオルなどを含む一部の家庭用・業務用紙製品を2026年4月1日納品分から10%以上改定。原燃料価格の高止まりに加え、円安、物流コストの上昇、人件費の増加を理由として挙げている
  • ユニ・チャーム 2026年5月、紙おむつや生理用品を中心に主力商品を2026年7月以降、順次数%値上げする方針を公表。値上げに合わせて商品のリニューアルも実施するとしている

調査機関

  • 帝国データバンク 2026年3月調査。2026年4月単月で食品・日用品を合わせて2,516品目が値上げ、2026年1〜6月の累計では4,493品目、年間平均値上げ率15%に達する見込み。4月は単月で年間最多の品目数が集中する月にあたる

2026年9月28日の更新で追加した資料

本記事における留意点

  • 花王の価格改定は2026年7月時点で交渉の段階にあり、対象品目ごとの確定した改定率は公表されていない。本記事では改定率を記載していない
  • 日本触媒の2026年4月1日出荷分からの値上げについて、改定幅は当社では確認できていないため、実施の事実のみを記載している
  • 酸化エチレンの1キログラムあたり130円以上という値上げ幅は原料段階での改定額であり、洗剤やシャンプー1点あたりの値上げ額ではない。原料段階の改定額から最終製品の価格を逆算することは行っていない
  • ライオンの2026年10月の改定は、2026年9月28日の更新で同社の発表資料を確認して追記した。ライオン以外のトイレタリーメーカー(花王を除く)の2026年の改定内容については、一次ソースを確認できていないため本記事では記載していない

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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