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【建設資材・養生テープ完全まとめ】2026年イラン情勢下の建設資材調達、供給・工期・価格改定の全体像
Category Complete Guide 03 / Construction Materials

【建設資材・養生テープ完全まとめ】2026年イラン情勢下の建設資材調達、供給・工期・価格改定の全体像

養生テープ、シーリング材、塩ビ管、合板、断熱材、塗料用シンナー。2026年2月末以降のイラン情勢で価格改定と供給制約が続く建設資材について、当社が公開した21本の記事を5つのセグメントに整理し、供給・工期・価格改定の3軸で全体像をまとめた。2026年7月19日時点で確認できるエビデンスに基づき、調達判断に必要な数値を1ページに集約している。

CATEGORY MAP 統括記事数 21本 最終更新 次回更新目安 2026年8月中旬
TL;DR / 3行要約
  • アジアナフサは6月25日に1トン627ドルまで下落して衝突前の632ドルを一時下回ったが、7月12日のホルムズ海峡再閉鎖を受けて7月16日には842ドルへ反発した。上流市況は下げ止まっていない。
  • 建設資材の価格改定は6月1日発効の30社に7月分10社が加わり40社超に達した。東リ7月27日、デンカアステック8月1日、LIXIL8月3日、旭ファイバーグラス9月1日と、改定予定は秋まで続く。
  • 供給制約は住宅設備で解消に向かい、TOTOは6月9日に全製品の受注を全面再開した。一方で価格改定は継続しており、局面は「モノが入らない」から「価格が戻らない」へ移行している。
Answer / この記事の結論

2026年7月19日時点、建設資材の局面は供給制約から価格定着へ移行した。養生テープは国産+40%以上、塗料用シンナーは公式75%、断熱材は+40%前後で高止まりし、価格改定企業は40社超。新築1棟あたり原価増は56万円超に達する。ナフサは7月16日に842ドルへ反発した。

統括した自社記事
19
本/5セグメント
価格改定を発表した企業
40
社超(6〜7月発効分)
アジアナフサ(7月16日)
842
ドル/トン(6/25比 +34%)
新築1棟あたり原価増(参考値)
56
万円超(業界試算・参考値)
Chapter 01

2026年7月19日時点の現在地

建設資材をめぐる局面は、2026年3月から7月にかけて3段階で変化した。第1段階は3〜4月の「モノが入らない」供給制約期、第2段階は5〜6月の「価格改定が一斉に発効する」転嫁期、そして第3段階が6月下旬以降の「上流市況は下がったが国内価格は戻らない」非対称期である。7月12日のホルムズ海峡再閉鎖は、この非対称構造をさらに固定する方向に作用している。

供給は戻り、価格は戻らない

供給面の改善は住宅設備で最も明確に確認できる。4月13日に受注を見合わせたTOTOは、4月20日から段階的に受注を再開し、6月9日にはユニットバスを含む全製品の受注を全面再開して納期も通常水準に戻したと公表した。クリナップは4月22日、LIXILも商品群ごとの供給条件調整という形で正常化している。3〜4月に建設現場を止めた「部材が届かない」状態は、住宅設備分野では解消した。

一方で価格は下方修正されていない。2026年6月1日発効の値上げが30社、7月追加分が10社で、合計40社超が価格改定を実施または発表している。さらに東リが7月27日受注分、デンカアステックが8月1日、LIXILが8月3日受注分から水回り、旭ファイバーグラスが9月1日、LIXILの建材・サッシ・外装が10月1日(一部9月1日)受注分と、改定スケジュールは秋まで連なっている。上流のナフサが6月下旬に衝突前水準まで下げた局面でも、国内の建設資材価格は追随しなかった。

7月12日の再閉鎖で上流が再び反転

7月13日〜19日に確認された新しい動き

アジアナフサは6月25日に1トン627ドルへ下落し、衝突前水準の632ドルを下回った。しかし7月12日のホルムズ海峡再閉鎖を受けて反発し、7月16日時点では842ドルとなっている。同日の為替は1ドル162.28円、国産ナフサ価格指標は96,965円/キロリットルである。約3週間で34%の上昇であり、6月下旬の下落を「正常化の始まり」と読むことはできない。

通航実績も縮小した。Kplerのデータで7月12日に確認された通航船は6隻と過去5週間で最少となり、LNG船の通航は7月11日以降確認されていない。カタール運輸省は全海上活動の一時停止を勧告し、QatarEnergyはラスラファンの生産回復作業を停止した。日本関連船舶の原油タンカーは7月13日までに全てホルムズ海峡を通過し、8月初旬までに国内の製油所に到着する見込みだが、その先の調達は未確定である。

米側は7月13日、「海峡の守護者」を宣言し、輸送貨物への20%償還構想とイラン封鎖の再導入を発表した。ただし算定基準と徴収主体は示されていない。6月14日のイスラマバード覚書が定めた60日間の交渉期間は8月中旬に満了する。7月8日にはトランプ大統領が停戦合意の終了を表明し、イラン国会のガリバフ議長も履行義務の停止を表明したため、覚書の履行は期限を待たず事実上停止した状態にある。

本記事の位置づけ

本記事は、当社が2026年3月から7月にかけて公開した建設資材関連21本の記事を統括するカテゴリマップである。個別品目の詳細は各記事に譲り、ここでは21本を横断して初めて見える構造、すなわち「どの原料パイプが詰まり、どの製品にどの順序で波及し、どの時点で価格が定着したか」を整理する。各章末およびChapter 08から、該当する詳細記事に直接遷移できる。

Chapter 02

開戦から再閉鎖までの時系列

建設資材の価格改定は、中東情勢の節目とほぼ一定のタイムラグを伴って発生している。地政学イベントから原料メーカーの値上げ発表までが2〜3週間、そこから建材メーカーの改定発表までがさらに3〜5週間というのが2026年3〜7月に観察されたパターンである。以下の時系列は、この対応関係を確認するための基礎資料として整理した。

2026-02-28
米国・イスラエルがイランの軍事施設・政府施設を攻撃。翌3月1日、イラン国営メディアがハメネイ師の死亡を発表。
2026-03-04
イランがホルムズ海峡の「完全支配」を宣言。開戦1週間で通過タンカーは97%減少(Windward)。
2026-03-06
サウジSAMREF精製所・カタールPearl GTLへの攻撃。シンガポールナフサが776ドルから1週間で1,000ドル/トン超へ。
2026-03-10
三菱ケミカルが水島エチレンプラントの生産削減を顧客に通知。国内石化の減産が始まる。
2026-03-16〜19
信越化学が塩ビ樹脂を1キログラムあたり30円以上引き上げ。三菱ケミカルは3月18日出荷分からVAMを40円/kg。日本ペイントは3月19日発注分から建築用シンナーを75%値上げ。
2026-03-26〜30
フクビ化学工業が全製品の供給制限。水谷ペイントが3月30日からシンナー製品の出荷を停止。
2026-04-01
DICがポリスチレン・スチレン系製品を100円/kg以上値上げ(4月1日納入分)。政府が予備費8,007億円の使用を閣議決定。ダイヤテックスが養生テープを20〜30%引き上げ。
2026-04-03
ナフサスポットが1,190ドル/トン、封鎖前比+92%。国内エチレン設備12基中6基が減産。
2026-04-13〜22
TOTOがシステムバス・ユニットバスの受注を見合わせ。クボタケミックスが4月13〜20日に新規受注を停止。4月20〜22日にTOTO・LIXIL・クリナップが段階的に受注を再開。
2026-04-24
LIXIL・YKK APがサッシ・ドア全般で5〜15%の価格改定。カネカがカネライトフォームを40%値上げ。
2026-05-01
デュポン・スタイロ「スタイロフォーム」+40%、田島ルーフィング防水材+40〜50%、大倉工業ラミネート30%以上、エフピコチューパOPP防曇フィルム35%以上が発効。
2026-05-07
旭化成建材がネオマフォームを+20%、特別調整金約20%を追加。積水化学工業が塩ビ管・ポリエチレン管を12〜20%改定。
2026-05-16
シンガポールナフサが1,043ドル/トンのピークを記録。
2026-06-01
日本ペイント第3波(溶剤系25〜35%・水性20〜30%)、JSP断熱材+40%、パラマウント硝子グラスウール+15%、積水化学工業の塩ビ12%・ポリエチレン10%追加改定が発効。6月1日発効分だけで30社。
2026-06-09
TOTOがユニットバスを含む全製品の受注を全面再開。納期も通常水準に復帰。
2026-06-14〜19
米・イランがパキスタン仲介で14項目の「イスラマバード覚書」に合意。6月17日にG7エヴィアン=レ=バンで正式署名、18日発効。同日ホルムズ海峡を商船25隻が通過し、19日には日本企業所有タンカーを含む6隻が通過した。
2026-06-20〜25
イラン革命防衛隊が「ホルムズ海峡の全船舶通航停止」を宣言。6月25日、アジアナフサは627ドル/トンと衝突前水準632ドルを下回ったが、同日湾岸海域で商船攻撃が発生した。
2026-07-01〜08
永大産業(建材・設備10〜15%、床材15%、室内ドア10%)、ニチハ金属屋根材15%、マグ・イゾベールのグラスウール25%以上、サンゲツ20〜30%が発効。7月7日にカタールのLNG船が損傷。7月8日、トランプ大統領が停戦合意の終了を表明。
2026-07-12〜16
イラン革命防衛隊がホルムズ海峡を再閉鎖。7月12日の通航確認は6隻と5週間で最少。7月13日、日本関連の原油タンカーが全て通過を完了。同日米側が「海峡の守護者」宣言と20%償還構想を発表。7月16日のナフサは842ドル/トン。
本章は情勢の推移そのものを主担当としている。個別メーカーの改定率の詳細はChapter 05の一覧、品目別の背景はChapter 04の各セグメントを参照されたい。
Chapter 03

建設資材を支える4つの原料パイプ

建設資材が同時に値上がりした理由は、品目ごとに個別の事情があったからではない。ナフサという単一の起点から分岐する4本の原料パイプに、ほぼすべての石油化学系建材がぶら下がっている構造にある。どのパイプが詰まると何が止まるかを把握しておくと、次の価格改定がどの品目に来るかを事前に読める。

パイプ中間原料主な建設資材2026年の代表的な改定
パイプ1
オレフィン系
エチレン・プロピレン
(PE・PP)
養生テープ基材、OPPテープ基材、ポリエチレン管、断熱材、緩衝材 積水化学 ポリエチレン管10〜12%(6/1)、養生テープ国産+40%以上
パイプ2
塩ビ系
塩化ビニルモノマー
(PVC)
塩ビ管・継手、樹脂サッシ、壁紙、ビニル床タイル、雨どい 信越化学 塩ビ樹脂+30円/kg以上(3/16)、積水化学 塩ビ12%(6/1)
パイプ3
スチレン・アクリル系
スチレンモノマー、アクリル酸エステル、VAM 粘着剤全般、接着剤、シーリング材、断熱材(EPS・XPS) DIC スチレン系100円/kg以上(4/1納入分)、三菱ケミカル VAM+40円/kg(3/18出荷分)
パイプ4
芳香族系
トルエン・キシレン 塗料用シンナー、溶剤系塗料、印刷インキ、防水材 日本ペイント シンナー75%(3/19発注分)、関西ペイント50%

上流の3つの制約条件

4本のパイプが同時に細くなった背景には、日本固有の3つの制約がある。第1に、日本のナフサの中東依存度は2020年の53%から2024年には74%へ上昇しており、調達先の分散が進んでいなかった。第2に、原油には254日分の国家備蓄があるのに対し、ナフサは国家備蓄制度の対象外で民間在庫は約20日分にとどまる。第3に、国内のエチレン設備は損益分岐となる90%稼働を44ヶ月連続で下回り、2026年4月の稼働率は67.3%だった。

この3点が意味するのは、上流市況が下がっても国内価格がすぐには追随しないということである。旭化成の工藤幸四郎社長は2026年5月12日の記者会見で、日本のナフサクラッカーの稼働が直近では70%台にとどまっていると説明している。稼働率が損益分岐を下回り続ける状態では、原料価格の下落分は値下げではなく採算回復に充当される。

ナフサ価格の推移と国内価格の非対称性

時点アジアナフサ局面
2026年3月6日776ドル/トン攻撃直後、1週間で1,000ドル超へ
2026年4月3日1,190ドル/トン封鎖前比+92%
2026年5月16日1,043ドル/トンピーク圏で高止まり
2026年6月3日788ドル/トンADNOCのオマーン経由輸出再開報道
2026年6月25日627ドル/トン衝突前水準632ドルを下回る
2026年7月16日842ドル/トン再閉鎖を受けて反発、6/25比+34%

為替は7月16日時点で1ドル162.28円、国産ナフサ価格指標は96,965円/キロリットル。円建てでは市況の下落分が為替で相殺される局面が続いている。

6月下旬の下落を「建設資材も値下がりする」と読んだ調達判断は、7月16日時点で修正が必要になっている。上流のスポット市況、円建ての実購入価格、国内メーカーの建値という3つの価格は同じ速度で動かない。この時間差こそが、2026年後半の建設資材調達で最も注意すべき構造である。

伝わる速さには一定の規則性がある。Chapter 02の時系列で確認できるとおり、3月6日のナフサ急騰から信越化学の塩ビ樹脂改定(3月16日)・日本ペイントのシンナー改定(3月19日)までが約2週間、そこから建材メーカーの改定発表が集中する4月下旬から5月上旬までがさらに3〜5週間である。上流の市況変動が建設資材の建値に届くまでは、概ね1.5〜2ヶ月とみておけばよい。7月16日の842ドルへの反発は、この規則に従えば8月下旬から9月にかけて発表される改定に反映されることになる。

Chapter 04

5大セグメント別まとめ

21本の記事を、原料パイプと施工工程の両面から5つのセグメントに整理した。各セグメントの末尾に該当記事へのリンクを配置している。自社の調達品目が属するセグメントから読み進めると、必要な数値に最短で到達できる。

SEGMENT A / ADHESIVE

粘着・シール資材(テープ・接着剤・シーリング材)

最も早く、最も大きく動いたセグメントである。基材と粘着剤の両方が石油由来であるため、パイプ1とパイプ3の値上げが二重に乗る構造にある。養生テープの実勢価格は、国産品が2025年中期の250〜300円から2026年7月には350〜450円へと40%以上、輸入プライベートブランド品が150〜200円から280〜350円へと60%以上上昇した。

メーカー側の動きは3月下旬から4月にかけて集中した。ダイヤテックス(パイオラン)が4月1日出荷分から20〜30%引き上げてアロケーションを導入し、6月9日には追加改定を実施。寺岡製作所(P-カット)は1巻あたり100円、萩原工業は20〜30%、日東電工は約1割弱の引き上げとなった。原料側ではDICがスチレン系製品を100円/kg以上引き上げ、5月29日には6月1日納入分からの第2回改定を発表している。ナフサが下落していた時期に追加改定を決めたことは、短期市況の好転では累積コストを吸収できないというメーカー側の判断を示している。

供給の細りは製品ラインアップの縮小として表れた。業界比較プラットフォームMetoreeのOPPテープ登録製品数は、2026年3月18日時点の139製品から5月22日時点で76製品へとほぼ半減している。手貼り用50メートル巻は調達を継続できる一方、機械用長尺品の欠品は継続した。代替として中国製マスキングテープの採用が広がったが、モノタロウでは「お一人様1点まで」の購入制限がかかり、7月3日時点でもこの構造は続いている。

シーリング材は建物の防水・気密・耐震追従を担う部材で、戸建住宅1軒あたり10〜30キログラム、333ミリリットルのカートリッジ換算で約30〜90本を使用する。カネカがMSポリマーを120円/kg、信越化学がシリコーンを30円/kg以上引き上げ、オート化学工業が供給・価格の調整を発表した。クォータ制が継続し、住宅瑕疵担保責任保険の対象物件ではJIS適合品への需要が集中している。接着剤ではセメダインが4月27日出荷分から全製品を20%以上引き上げ、注文から出荷まで1週間以上を要する状態となった。

SEGMENT B / STRUCTURE & ROOFING

躯体・屋根・配管資材(塩ビ管・合板・屋根防水材)

パイプ2とパイプ3が直撃したセグメントで、工期と公共工事の入札に最も強く影響した。塩ビ管・ポリエチレン管は2026年3〜7月に3段階の上昇を経ている。第1波が4月の出荷制限・受注停止、第2波が5月上旬の二桁パーセント改定、第3波が5月20日〜6月1日の追加改定と関連製品への拡大である。

原料側では信越化学が3月16日に塩ビ樹脂を30円/kg以上、約2割引き上げた。同社の鹿島工場は年産55万トンで国内シェアは約3割を占める。製品側では積水化学工業が5月7日出荷分から塩ビ管・ポリエチレン管を12〜20%、6月1日には塩ビ12%・ポリエチレン10%を追加改定した。クボタケミックスは4月13日から20日まで新規受注を停止している。海外代替については、日本のPVCが584ドルに対し米国557ドル・中国720ドルという内外価格差が生じ輸入代替の検討が進んだが、水道用ではJWWA認証が短期の障壁となる。

合板は木材そのものではなく、副資材である接着剤と輸入時の輸送費が同時に上昇する複合的なコスト構造にある。合板内部の接着にはユリア樹脂・酢酸ビニル系接着剤が使われ、化粧層の塗装にはナフサ由来のシンナー・希釈剤が使われる。輸入合板の98%は東南アジアと中国から運ばれるため、燃料サーチャージと保険料率の上昇がCIF価格を押し上げた。住宅1棟分の合板コストは従来比で10〜20%程度の上昇が見込まれる。建材メーカー側では、ウッドワンが4月15日に建材を一律15%、永大産業が7月1日から建材・設備10〜15%、床材15%、室内ドア10%の改定を実施している。

屋根工事では、この合板の上昇が単独ではなく三層同時の上昇として現れた。屋根は上から屋根材・下葺材(ルーフィング)・野地板の三層で雨を防いでおり、2026年はこの三層すべてに改定が及んでいる。下葺材は田島ルーフィングが40〜50%、日新工業が40%。屋根材は旭ファイバーグラスのアスファルトシングルが約30%、ニチハの金属屋根が15%程度、アイジー工業が18%以上。野地板は前段のとおり住宅1棟分の合板コストで10〜20%である。さらに下葺材では、田島ルーフィングが4月10日から約3ヶ月にわたり新規受注を停止し、7月1日付で全面再開した。単価比率の小さい下葺材が止まると屋根が仕上がらず、内装工事にも着手できないため、金額よりも工程への影響が大きい資材である。

SEGMENT C / INTERIOR & EQUIPMENT

内装・住宅設備(断熱材・サッシ・床材・水回り)

供給制約から価格改定へ、最も明確に局面が転換したセグメントである。住宅設備では、TOTOが4月13日にシステムバス・ユニットバスの受注を見合わせた後、4月15日の第3信で段階的再開の方針を示し、4月20日から再開、6月9日には全製品の受注を全面再開して納期も通常水準に戻した。クリナップは4月22日から再開し、納品日ごとに受注量を確認して都度納期回答を行う方式を採った。LIXILは供給停止ではなく商品群ごとの供給条件調整という対応をとり、8月3日受注分から浴室・水栓金具・タイルを改定し、10月1日(一部9月1日)受注分から建材・サッシ・外装を改定すると予告している。改定率はトイレ平均13%、浴室平均13%、キッチン平均10%、洗面平均12%、タイル平均12%、水栓金具平均8%である。

断熱材はパイプ1とパイプ3の双方に依存するため上昇幅が大きい。カネカのカネライトフォームが4月24日から40%、デュポン・スタイロのスタイロフォームが5月1日から40%、旭化成建材のネオマフォームが5月7日から20%に特別調整金約20%を追加、JSPが6月1日から40%、アキレスが5月1日出荷分から硬質ウレタンフォーム断熱材を40%引き上げて出荷制限も実施した。木造住宅1棟で断熱材を約250枚使用するとした場合、約40%の改定だけで資材コストが約50万円増加するという試算が公表されている(プライシー編集部、山梨県の住宅メーカーへの取材に基づく試算、2026年3月)。グラスウール系ではパラマウント硝子が6月1日から15%、マグ・イゾベールが7月1日から25%以上、旭ファイバーグラスが9月1日から全製品15%以上を予定している。JFEロックファイバーの気密部材40%改定は、省エネ基準を満たす住宅の建設コストを直接押し上げる。断熱材については系統ごとに原料経路と改定時期が異なるため、別途1本の記事で系統別に整理している。

開口部・外装ではLIXIL・YKK APが4月24日にサッシ・ドア全般で5〜15%、三協アルミが5〜10%を改定した。防水・屋根材は田島ルーフィングの防水材が5月1日から40〜50%、ニチハの金属屋根材が7月1日から15%、旭ファイバーグラスのアスファルトシングルが約30%、デンカアステックのガルバリウム雨どいが8月1日から20%以上となる。内装仕上材ではサンゲツが7月1日受注分から壁紙・床材・カーテンを20〜30%、東リが7月27日受注分から床材・カーペット・壁装材・接着剤を20〜30%引き上げる。

SEGMENT D / SOLVENT

塗料・溶剤(シンナー・建築用塗料)

改定率が最も大きく、かつ「在庫はあるのに現場に届かない」という特異な構造を示したセグメントである。経済産業省の2026年3月期石油化学工業統計速報によれば、シンナーの主溶剤であるトルエン・キシレンの国内在庫は平時の約85%を維持していた。物理的な不足ではない。にもかかわらず供給が滞ったのは、将来のナフサ割当削減を見込んだ流通側が、自衛的に出荷を平時の半分程度に絞る行動をとったためである。

値上げは業界最大手から始まった。日本ペイントが3月19日発注分から建築用シンナーを75%引き上げ、6月1日には第3波として溶剤系25〜35%・水性20〜30%を実施。関西ペイントは50%の改定と出荷制限を行い、4月16日にシンナーを15〜25%追加改定した。エスケー化研はシンナー類の出荷量制限とともに30%以上の改定を実施し、5月11日出荷分からの改定も発表している。出荷停止に踏み切ったメーカーもあり、水谷ペイントは3月30日から、菊水化学工業は4月6日からシンナー製品の出荷を停止した。塗料通販の大手では4月17日付で流通経路安定化を理由に一部メーカーの取り扱いを一時停止する措置がとられた。

公式の改定率と実勢価格には乖離がある。2026年2月以前は1缶4,000円程度だったシンナーが、出荷統制下では実勢価格で15,000円超に達した。公式値上げ率は75%だが、実勢では3.75倍である。この差は市場プレミアムであり、統制が緩めば縮小する性質のものだが、7月時点でも解消は確認できていない。

SEGMENT E / PRICE & POLICY

価格・制度統括(値上げ一覧・政府対応)

個別品目を横断して、価格改定の全体像と政策対応を追跡するセグメントである。2026年6月1日発効の値上げが30社、7月追加分が10社で、合計40社超が改定を実施または発表した。改定率は各社発表ベースであり、実際の適用価格は製品仕様・取引条件・出荷日・販売ルートによって異なる。

政策面では、政府が4月1日に予備費8,007億円の使用を閣議決定し、資源エネルギー庁が5月に国家備蓄原油580万キロリットルの追加放出を実施した。補助単価は39.7円/リットル、ガソリン価格は169.7円/リットルで推移した。経済産業省は7月3日、シンナー等溶剤の原料手当てを平時の1.8倍規模で確保する枠組みを発表している。赤澤亮正経済産業大臣は7月にナフサが前年並みの生産量に戻る見通しを表明した。中小企業向けの支援制度は6月5日に成立し、7月から支援が開始されている。

帝国データバンクの調査では、国内製造業の約3割が調達リスクに直面していると報告された。化学製品メーカー52社から直接・間接に仕入れる製造業は全国で約4万7,000社にのぼる。建設業はこの裾野の中でも、資材点数が多く工程が直列に並ぶため、1品目の欠品が全体の工期に波及しやすい業種である。

Chapter 05

価格改定40社超のマップ

2026年3月から9月にかけて発表された主要な価格改定を、発効時期順に整理した。改定率は各社発表ベースである。8月以降の予定分は、発注タイミングの判断材料として特に重要になる。

発効済み(2026年3〜7月)

発効企業対象改定率
3月16日信越化学工業塩化ビニル樹脂+30円/kg以上(約2割)
3月18日出荷分三菱ケミカルVAM(酢酸ビニルモノマー)+40円/kg
3月19日発注分日本ペイント建築用シンナー75%
4月1日納入分DICポリスチレン・スチレン系+100円/kg以上
4月1日出荷分ダイヤテックス養生テープ(パイオラン)20〜30%+アロケーション
4月1日三菱ケミカルアクリル酸製品+40円/kg以上
4月20日出荷分シップス・ジャパン防蟻断熱材「パフォーム・ガード」シリーズ個別案内
4月24日LIXIL・YKK APサッシ・ドア全般5〜15%
4月24日カネカカネライトフォーム40%
4月27日出荷分セメダイン接着剤全製品20%以上
5月1日デュポン・スタイロスタイロフォーム+40%
5月1日出荷分アキレス硬質ウレタンフォーム断熱材(ボード類)40%+出荷制限
5月1日田島ルーフィング防水材+40〜50%
5月1日出荷分大倉工業ラミネート製品30%以上
5月1日出荷分エフピコチューパOPP防曇フィルム35%以上
5月7日旭化成建材ネオマフォーム+20%+特別調整金約20%
5月7日出荷分積水化学工業塩ビ管・ポリエチレン管12〜20%
5月11日出荷分エスケー化研シンナー・塗料30%以上+出荷量制限
6月1日日本ペイント塗料(第3波)溶剤系25〜35%・水性20〜30%
6月1日出荷分JSPミラフォーム他(押出法ポリスチレン断熱材)+40%
6月1日パラマウント硝子工業グラスウール+15%
6月1日積水化学工業塩ビ管・ポリエチレン管(追加)塩ビ12%・PE10%
6月1日納入分DICスチレン系(第2波)追加改定
6月9日ダイヤテックス養生テープ(追加)追加改定
6月出荷分吉野石膏石膏関連製品20%
6月22日グンゼOPPフィルム9%(正式発効)
7月1日永大産業建材・設備/床材/室内ドア10〜15%/15%/10%
7月1日ニチハ金属屋根材・サイディング15%
7月1日チヨダウーテ石膏ボード20〜50%
7月1日マグ・イゾベールグラスウール25%以上
7月1日受注分サンゲツ壁紙・床材・カーテン20〜30%
7月出荷分旭ファイバーグラスアスファルトシングル約30%

改定予定(2026年7月下旬〜10月)

予定企業対象改定率
7月27日受注分東リ床材・カーペット・壁装材・接着剤20〜30%
8月1日デンカアステックガルバリウム雨どい20%以上
8月3日受注分LIXIL浴室・水栓金具・タイル浴室13%・トイレ13%・キッチン10%・洗面12%
9月1日旭ファイバーグラスグラスウール全製品15%以上
10月1日
(一部9月1日)受注分
LIXIL建材・サッシ・外装外壁・屋根平均13%・住宅サッシ・ドア平均13%・エクステリア平均15%
10月1日YKK AP窓サッシ10〜15%
発注タイミングの分岐点

改定は受注日基準と出荷日基準が混在している。LIXILの水回りは8月3日受注分からの適用であり、出荷が9月以降になる案件でも8月2日までに受注が確定していれば旧価格が適用される。見積の有効期限が短縮されているため、工程よりも受注確定日を優先して調整する判断が必要な局面がある。

本表は各社の公式発表および業界紙報道に基づく。実際の適用価格は製品仕様・取引条件・出荷日・販売ルートにより異なる。個別メーカーの詳細と最新の追加分は【7月更新】建設・物流・包装資材 値上げ40社超完全マップ 2026年6-7月を参照されたい。

Chapter 06

工期・入札・原価への波及

資材価格の上昇は、建設業では単なる原価増にとどまらない。工程が直列に並ぶため1品目の欠品が全体の工期に波及し、公共工事では予定価格との乖離が入札不調につながる。本章では、価格改定が事業に転化する3つの経路を整理する。

経路1:新築1棟あたりの原価

新築住宅1棟あたりのコスト増は56万円超とする試算が業界専門メディアにより示されており、4,000万円の住宅であれば約1.4%にあたる。ただし当社として2026年7月時点で確認できる範囲では、この試算を公表した媒体名と算定根拠まで遡及できる資料が見当たらない。参考値として扱われたい。国土交通省の建設工事費デフレーター(2015年度=100)は2026年1月時点の建設総合で133.3、前年同月比+3.2%となっており、2026年春以降の資材上昇はこの水準にさらに上乗せされる形となる。内訳としては断熱材・塗料・樹脂サッシの寄与が大きく、いずれも改定率が40%前後から75%に及ぶ品目である。

リフォーム・改修工事では影響がより直接的に現れる。30坪前後の戸建住宅の外壁塗装工事では、見積総額に占める材料費が約20〜30%、残りの70〜80%が人件費・足場代・諸経費である。材料費が15%以上上昇したことで、総額の負担増は15〜25万円程度となる。工事の先送りと前倒しのどちらが有利かの判断が施主側に生じる局面である。

経路2:公共工事の入札不調

水道管更新工事では、塩ビ管の3段階の上昇が予定価格の積算根拠を短期間で陳腐化させた。設計時点の単価と発注時点の実勢価格の乖離が大きくなると応札が集まらず、入札不調から工期延期へと連鎖する。上水道は更新需要が構造的に積み上がっている分野であり、単年度の遅延が翌年度の発注量に上乗せされる性質を持つ。

塩ビ管の価格推移と入札不調の詳細はイラン情勢×ナフサショックが直撃する水道管更新で扱っている。本章では波及経路の整理にとどめる。

経路3:納期回答の不確実性

2026年3〜5月に発生した受注停止は、価格そのものよりも工程管理に影響した。TOTOの受注見合わせ、クボタケミックスの4月13〜20日の新規受注停止、フクビ化学工業の全製品供給制限、田島ルーフィングの防水材・住宅建材の新規受注停止などが重なり、着工日を確定できない案件が発生した。なお田島ルーフィングは2026年7月1日付で防水営業部・住建営業部の新規受注を全面再開している。6月以降は住宅設備を中心に納期回答が通常水準へ戻ったが、断熱材・防水材・内装材では改定と併せて数量調整が続いている品目がある。

発注者・元請との協議で使える制度

資材上昇分を自社で抱え込まずに済ませるための制度は、公共工事と民間工事の双方に整備されている。公共工事では、工事請負契約書第26条第5項に定める単品スライド条項が特定資材の価格変動を契約金額に反映する仕組みであり、塩ビ管・ポリエチレン管はその主要な対象となる。国土交通省は2026年4〜5月に、中東情勢に伴う建設産業分野の対応として、原材料費・エネルギーコストを反映した適正な請負代金の設定、適正な工期の確保、単品スライド条項の適用、建設資材の安定供給に関する通知を整理した。東京都建設局は「単品スライド条項運用マニュアル」を公開しており、他自治体でも参照が進んでいる。

入札制度そのものを調整する動きもある。東京都水道局は、事業者の工事受注を促すため、希望制指名競争入札および制限付一般競争入札における申込み可能件数を2件から4件へ拡大する制限内容の改正を実施した。受注機会を柔軟にすることで、入札不調と工事中止のリスクを抑える狙いである。

民間工事および中小事業者向けでは、中小企業庁が2026年3月23日、中東情勢の影響を受けている中小・小規模事業者向けに、日本政策金融公庫・商工会議所・信用保証協会等への特別相談窓口を拡充した。価格転嫁の相談窓口は全国に展開されている。発注者との交渉にあたっては、公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が交渉ルールの根拠となる。いずれも、資材上昇の事実を発注者・施主へ早い段階で開示することが前提となる制度である。

時期主な制約工程への影響2026年7月時点の状況
2026年3〜4月出荷停止・受注停止着工日が確定できない住宅設備は解消
2026年5月アロケーション・数量調整数量が読めず歩留まり調整が必要粘着材・断熱材で継続
2026年6〜7月価格改定の連続発効見積有効期限の短縮秋まで継続の見通し
2026年8〜10月改定予定分の発効受注確定日の前倒し判断東リ・LIXIL・旭ファイバーグラス
Chapter 07

業界別ナビゲーション

同じ資材上昇でも、立場によって注視すべき数値と取るべき対応は異なる。以下は6つの立場別に、優先して確認すべきセグメントと記事を整理したものである。

立場優先セグメント注視すべき数値7月時点の対応の要点
工務店・住宅会社 C(内装・住宅設備)/B(躯体) LIXIL 8月3日受注分、新築1棟+56万円超 受注確定日を基準に見積を再構成。改定予定分の前倒し受注を検討
塗装・防水業者 D(塗料・溶剤)/A(シーリング材) シンナー公式75%・実勢15,000円超、外壁塗装+15〜25万円 材料費比率20〜30%を前提に見積根拠を施主へ明示
土木・管工事業者 B(躯体・配管) 積水化学 塩ビ12%・PE10%(6月1日)、入札不調 予定価格の積算時点と発注時点の乖離を発注者と事前協議
建材商社・販売店 E(価格・制度)/全セグメント 改定40社超、受注日基準と出荷日基準の混在 基準日の違いを整理した価格表を顧客へ提示
物流・倉庫事業者 A(粘着資材) OPPテープ前年比15〜30%、機械用長尺品の欠品 手貼り用への一部切替と複数調達先の確保
施主・一般家庭 やさしく解説シリーズ 養生テープ国産+40%以上、外壁塗装+15〜25万円 工事時期の判断材料として改定スケジュールを確認
Chapter 08

全21記事リファレンス

本記事が統括する21本を、専門版とやさしく解説版の2階層で一覧化した。各カードから該当記事へ直接遷移できる。公開日・最終更新日を併記しているため、情報の鮮度を確認したうえで参照されたい。

専門版(17本)

SEGMENT A / 粘着・シール

梱包用・包装用テープ供給不足2026

OPPテープ・養生テープ・クラフトテープ・布テープの4品目を横断。Metoree登録製品数が139から76へ半減した経緯と調達戦略を扱う。

2026-03-29 公開 / 2026-06-24 更新
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SEGMENT A / 粘着・シール

イラン情勢と養生テープ不足の現状把握

パイオラン・P-カットの40〜60%上昇の真因を、基材・粘着剤・輸送の三重構造で分析。実勢価格の推移を品種別に掲載。

2026-04-01 初版 / 2026-07-12 更新
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SEGMENT A / 粘着・シール

イラン情勢とマスキングテープ供給危機

ナフサ下落局面でも品薄が続く理由を、粘着剤アロケーションの実態から解説。3月から7月までの詳細な時系列を収録。

2026-04-03 公開 / 2026-07-03 更新
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SEGMENT A / 粘着・シール

イラン情勢と中国製最新OPPテープ調達支援について

樹脂メーカー7社の90〜165円/kg改定を起点に、EC実売価格と在庫状況を品番単位で調査した実務資料。

2026-05-17 更新
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SEGMENT A / 粘着・シール

中国製マスキングテープは国産品の代わりになるか

国産と中国製の入手可否が逆転した状況を実調査。粘着力の実測値と用途別の採用可否を判定した代替調達ガイド。

2026-04-26 公開 / 2026-07-03 更新
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SEGMENT A / 粘着・シール

イラン情勢と接着剤・インキ・溶剤供給制限の実態

MDI・TDIの東アジア向け改定と欧州VAMスポットの動向を追跡。接着剤原料の国際的な需給を扱う。

2026-03-30 初版 / 2026-05-03 更新
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SEGMENT A / 粘着・シール

イラン情勢とホットメルト不足から始まる梱包資材崩壊ドミノ

ホットメルト・OPPテープ・ストレッチフィルムの3品目が同時に制約を受ける構造を分析。代替手段を3案提示。

2026-04-02 初稿 / 2026-05-18 更新
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SEGMENT A / 粘着・シール

2026年シーリングショック、覚書合意後も続く供給制約と価格高騰

カネカMSポリマー+120円/kg、信越化学シリコーン+30円/kgを起点に、クォータ制と正常化への道筋を検証。

2026-04-02 公開 / 2026-07-08 更新
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SEGMENT B / 躯体・配管

イラン情勢×ナフサショックが直撃する水道管更新

塩ビ管の3段階上昇と入札不調・工期延期の全体像。日本・米国・中国のPVC内外価格差と輸入代替の障壁も扱う。

2026-07-04 更新
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SEGMENT B / 躯体・配管

ナフサショックと合板2026

木材ではなく接着剤と輸送費が上がる複合構造を解説。構造用合板・型枠用合板・フローリングを分けて整理。

2026-05-02 発行
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SEGMENT B / 躯体・屋根・配管

【2026年7月版】雨仕舞い三層が同時に上がった屋根工事、ルーフィング・野地板・屋根材の改定が重なる構造と受注再開後の実務

屋根材・下葺材・野地板の三層が同時に上昇した構造を整理。田島ルーフィングの約3ヶ月の受注停止と7月1日の全面再開、基準日3類型を扱う。

2026-07-19 公開
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SEGMENT C / 内装・住宅設備

「建材有事」から「設備有事」その後2026

TOTO・LIXIL・クリナップの正常化と6〜10月の価格改定動向を日付単位で追跡。断熱・防水・外装の改定も網羅。

2026-04-04 初版 / 2026-07-12 更新
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SEGMENT C / 内装・住宅設備

イラン情勢と住宅設備最新受注・納期情報まとめ

TOTO・LIXIL・クリナップなど8社の公式発表を一次情報で確認。受注再開と納期回答再開の違いを整理した実務資料。本編は2026年5月19日時点の記録で、末尾に7月19日時点の追補章を収録。

2026-05-19 掲載 / 2026-07-19 更新
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SEGMENT D / 塗料・溶剤

2026年シンナー・ショックの深層

在庫85%が確保されながら供給が滞る構造を経産省統計から分析。主要メーカー9社の改定動向を一覧化。

2026-04-14 公開 / 2026-06-29 更新
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SEGMENT E / 価格・制度

【7月更新】建設・物流・包装資材 値上げ40社超完全マップ 2026年6-7月|再閉鎖後の第2波

40社超の価格改定を発効日順に一覧化。7月12日の再閉鎖を受けた第2波までを反映し、改定率・対象品目・発表日を企業単位で整理した価格改定データベース。

2026-06-01 公開 / 2026-07-12 更新
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SEGMENT E / 価格・制度

イラン情勢と建材市場:覚書の履行状況と6-10月の価格改定動向

イスラマバード覚書の履行状況と建材価格の関係を追跡。政策対応と市況の対応関係を時系列で確認できる。

2026-03-30 初版 / 2026-07-12 更新
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SEGMENT C / 内装・住宅設備

【2026年7月版】断熱材の系統別改定マップ、押出法ポリスチレン40%・フェノールフォーム40%・グラスウール25%と9月1日改定前の発注設計

押出法ポリスチレン・フェノール・硬質ウレタン・グラスウール・ロックウールの5系統を、原料経路と改定時期の違いから整理。基準日3類型と9月1日改定前の発注設計を扱う。

2026-07-19 公開
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やさしく解説版(4本)

EXPLAINED / SEGMENT A

2026年テープショックをやさしく解説

テープが石油の3層構造で成り立つ仕組みから解説。専門知識がない読者にも通じる比喩で価格上昇の理由を説明。

2026-06-07 公開
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EXPLAINED / SEGMENT A

2026年養生テープショックをやさしく解説

ホームセンターから養生テープが消えた理由を、原料・輸送・値上げの3段階で説明。台風期の備蓄の考え方も扱う。

2026-06-05 公開
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EXPLAINED / SEGMENT A

2026年シーリングショックをやさしく解説

家の防水・気密・耐震追従を担うシーリング材を、新築・リフォームを検討する施主の視点で解説した記事。

2026-06-05 公開
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EXPLAINED / SEGMENT D

2026年シンナーショックをやさしく解説

外壁塗装の見積が上がった理由を家計の視点で説明。30坪住宅で+15〜25万円という負担増の内訳を示す。

2026-06-05 公開 / 2026-06-29 更新
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Chapter 09

見通しとモニタリング指標

2026年8月中旬に、イスラマバード覚書が定めた60日間の交渉期間が満了する。7月8日に米国側が停戦合意の終了を表明し、イラン側も履行義務の停止を表明しているため、覚書はすでに期限前に実質的な効力を失った状態にある。この前提で、短期・中期・長期の3段階に分けて見通しを整理する。

短期(2026年8〜9月)

価格改定の発効が続く局面である。Chapter 05の改定予定表に挙げた5件が7月下旬から10月にかけて順次発効する。供給面では住宅設備の正常化が維持される見込みだが、断熱材・防水材では数量調整が残る品目がある。8月以降に新たに発表される改定は、7月の再閉鎖後の原料水準を織り込んだものになる可能性がある。

中期(2026年10月〜2027年3月)

LIXILの建材・サッシ・外装の改定が10月1日(一部9月1日)受注分から、YKK APの窓サッシが10月1日から予定されており、秋以降の新規案件では改定後の価格が前提となる。国内エチレン設備の稼働率が損益分岐を回復するかどうかが、価格の下方修正が始まる時期を左右する。44ヶ月連続で90%を下回っている状態が続く限り、上流市況の下落は値下げではなく採算回復に充当される公算が大きい。

長期(2027年4月以降)

調達構造そのものの見直しが論点になる。ナフサの中東依存度は2020年の53%から2024年に74%へ上昇しており、この一極集中が今回の影響幅を決めた。米国産ナフサの日本向け輸入が通常の5倍水準に達した局面があったように、輸入先の多元化は技術的には可能である。これとは別の軸として、国内の石化製造基盤をどの水準で維持するかという問題がある。輸入先の分散と国内製造基盤の維持は代替関係ではなく、独立に判断すべき2つの論点である。

モニタリングすべき5指標

指標直近の値確認先意味
アジアナフサ価格842ドル/トン(7月16日)市況情報・商社公表値約1.5〜2ヶ月後の建材価格に反映される先行指標
国産ナフサ価格指標96,965円/kL(7月16日)石油化学工業協会・商社公表値為替を含む実購入コスト。円安局面では下落分が相殺される
エチレン設備稼働率67.3%(4月)石油化学工業協会90%回復が国内価格の下方修正が始まる条件
ホルムズ海峡の通航隻数6隻(7月12日)船舶動静データ供給制約の再発を最も早く示す指標
建設工事費デフレーター133.3(2026年1月・建設総合)国土交通省(月次公表)公共工事のスライド条項の参照指数となる
情報の変化について

本記事は2026年7月19日時点で確認できるエビデンスに基づいている。ホルムズ海峡の情勢と価格改定の発表は数日単位で動くため、8月中旬の覚書期限前後には内容が変わる可能性がある。次回更新は2026年8月中旬を予定している。

Chapter 10

用語集

ナフサ

原油を蒸留して得られる粗製ガソリン。エチレン・プロピレン・ベンゼン等の石油化学基礎原料の出発点であり、樹脂・粘着剤・溶剤のほぼすべてがここから分岐する。日本では国家備蓄制度の対象外で、民間在庫は約20日分にとどまる。

エチレンクラッカー

ナフサを熱分解してエチレン・プロピレンを製造する設備。国内には12基あり、損益分岐となる稼働率は90%とされる。2026年4月時点の稼働率は67.3%で、44ヶ月連続で損益分岐を下回っている。

アロケーション

供給量が需要を下回る局面で、メーカーが顧客ごとに出荷数量を割り当てる方式。過去の出荷実績を基準とすることが多く、新規顧客や増量注文への回答が停止される。2026年は養生テープ・シーリング材で導入された。

VAM

酢酸ビニルモノマー。接着剤・粘着剤・合板用接着樹脂の原料。2026年3月18日出荷分から三菱ケミカルが40円/kgの改定を実施し、欧州のスポット価格は前年比で300%超の上昇を記録した。

MSポリマー

変成シリコーン系のシーリング材原料。塗装可能で耐候性が高く、外壁の目地に広く使われる。カネカが2026年に120円/kgの改定を実施した。

ホルムズ海峡

ペルシャ湾の出口にあたる海峡で、中東産原油・ナフサ・LNGの主要輸送路。2026年3月4日にイランが完全支配を宣言し、7月12日に再閉鎖された。同日の通航確認は6隻だった。

イスラマバード覚書

2026年6月14日にパキスタンの仲介で米国とイランが合意した14項目の暫定枠組み。軍事作戦の停止、60日間の交渉期間、ホルムズ海峡の60日間無料安全通航などを含む。6月17日にG7で正式署名され18日に発効したが、7月8日に米国側が終了を表明した。

JWWA認証

日本水道協会の規格認証。水道用の管材は同協会規格への適合が求められるため、海外製品を短期間で代替調達に用いることが難しい。塩ビ管の輸入代替における実務上の障壁となっている。

特別調整金

通常の価格改定とは別枠で、原料高騰分を一時的に上乗せする方式。旭化成建材がネオマフォームで+20%の改定に約20%の特別調整金を追加した例がある。実質的な負担増は改定率の単純合計に近い。

CIF価格

運賃保険料込みの輸入価格。商品そのものの価格に加え、海上運賃と保険料が含まれる。合板のように輸入依存度が高い品目では、燃料サーチャージと保険料率の上昇が直接コストに転嫁される。

建設工事費デフレーター

国土交通省が毎月公表する建設投資のデフレーター指数。2015年度を100とし、2026年1月時点の建設総合は133.3(前年同月比+3.2%)。公共工事標準請負契約約款のスライド条項で参照される。実勢取引価格そのものではない点に留意が必要。

単品スライド条項

工事請負契約書第26条第5項に定める仕組みで、特定資材の価格変動を契約金額に反映できる。2026年は塩ビ管・ポリエチレン管が主要な対象となった。全体スライド・インフレスライドとは適用要件と参照資料が異なる。

入札不調

公共工事の入札で応札者が現れない、または予定価格を超過して落札に至らない状態。設計時点の積算単価と発注時点の実勢価格の乖離が大きいときに発生し、工期の延期につながる。

Chapter 11

出典・エビデンス一覧

出典は、メーカーの公式発表で確認したもの、報道・業界媒体を経由して確認したもの、官庁・業界団体が公表したものの3区分に分けて記載している。

メーカー一次情報

  • 旭化成 工藤幸四郎社長 記者会見/2026年5月12日
  • システムバスルームの受注に関する第2信・第3信/TOTO/2026年4月13日・4月15日
  • ユニットバス等の受注再開に関する発表/TOTO/2026年6月9日
  • 「システムバスルームの新規受注再開について」/クリナップ/2026年4月21日
  • 価格改定に関する発表/LIXIL/2026年5月18日
  • 塩化ビニル樹脂の価格改定に関する発表/信越化学工業/2026年3月
  • 塩ビ管・ポリエチレン管の価格改定に関する発表/積水化学工業/2026年4月・6月
  • ネオマフォームの価格改定に関する発表/旭化成建材/2026年5月
  • 建材価格改定に関する発表/ウッドワン/2026年4月15日

報道・業界媒体

  • 「日本の原油タンカー、全てホルムズ海峡通過 『再封鎖』で正常化不透明」/日本経済新聞/2026年7月13日
  • 「ホルムズ海峡危機:情勢と今後の見通し」/global-scm.com/2026年7月14日
  • 「ホルムズ海峡危機:情勢と今後の見通し」/global-scm.com/2026年7月8日
  • ナフサ価格推移表/大景化学/2026年7月16日時点
  • 「日本ペイント、シンナー製品で75%値上げ」/日本経済新聞/2026年3月
  • アジアナフサ価格に関する報道/ロイター/2026年6月3日
  • アジアナフサ価格に関する報道/日本経済新聞/2026年6月25日
  • ナフサ生産見通しに関する経済産業大臣発言/LOGISTICS TODAY/2026年7月
  • 「建材資材の値上げと受注停止の影響」/テイガク/2026年7月14日更新
  • 「リフォーム値上がりはいつまで?2026年8月の追加値上げ」/リフォーム補助金ナビ/2026年7月

官庁・制度・業界統計

  • 「2026年3月期 石油化学工業統計速報」/経済産業省
  • ナフサ輸入量および川下製品在庫に関する発表/経済産業省/2026年4月30日
  • 国家備蓄原油の追加放出に関する発表/資源エネルギー庁/2026年5月
  • 建設工事費デフレーター(2015年度基準・建設総合)/国土交通省/2026年1月分
  • 中東情勢に伴う建設産業分野の対応に関する通知(単品スライド条項の適用等)/国土交通省/2026年4〜5月
  • 「単品スライド条項運用マニュアル」/東京都建設局
  • 入札申込み可能件数の拡大に関する制限内容改正/東京都水道局
  • 「中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援について」/中小企業庁/2026年3月23日
  • 「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」/公正取引委員会
  • エチレン設備稼働率に関する公表資料/石油化学工業協会
  • 調達リスクに関する調査/帝国データバンク/2026年4月17日
  • 接着剤全製品の価格改定に関する通知/セメダイン/2026年4月

当社の関連記事

  • 「【イラン情勢完全まとめ】2026年」/プラスチックパレット株式会社
  • 「ナフサ・クライシス2026|緊急特集TOP20と反転局面」/プラスチックパレット株式会社/2026年7月4日更新
  • 本記事が統括する建設資材関連21本(Chapter 08に一覧を掲載)
Chapter 12

よくあるご質問

ナフサが6月に下がったのに、なぜ建設資材の価格は下がらないのですか

理由は3つあります。第1に、国内のエチレン設備が損益分岐となる90%稼働を44ヶ月連続で下回っており、原料下落分は値下げではなく採算回復に充てられる状態にあります。第2に、円安により円建ての実購入価格では下落分が相殺されています。7月16日の為替は1ドル162.28円でした。第3に、そもそも6月の下落は一時的で、7月12日の再閉鎖を受けてナフサは7月16日に842ドルまで反発しています。

いま発注すべきか、価格が落ち着くまで待つべきか、どう判断すればよいですか

品目によって判断が分かれます。改定日が確定している品目、たとえば東リの7月27日受注分、LIXILの8月3日受注分、旭ファイバーグラスの9月1日については、その日までの受注確定が価格面で有利です。一方、改定予定が公表されていない品目については、上流市況が下げても国内価格の下方修正には時間差があるため、待つことによる価格面の利益は限定的と考えられます。なお、これは一般的な情報提供であり、個別の取引判断を推奨するものではありません。

供給制約はもう解消したと考えてよいですか

分野によって異なります。住宅設備は解消しました。TOTOは2026年6月9日にユニットバスを含む全製品の受注を全面再開し、納期も通常水準に戻っています。クリナップ・LIXILも正常化しました。一方、断熱材・防水材・粘着材の一部では数量調整やアロケーションが続いています。また7月12日のホルムズ海峡再閉鎖により、7月12日の通航確認は6隻と5週間で最少となっており、上流側の不確実性は残っています。

建設資材のなかで、今後もっとも改定が続きそうな品目はどれですか

改定予定が公表されている範囲では、内装仕上材と住宅設備、断熱材の3分野です。東リが7月27日受注分から床材・カーペット・壁装材・接着剤を20〜30%、LIXILが8月3日受注分から浴室・水栓金具・タイルを、旭ファイバーグラスが9月1日からグラスウール全製品を15%以上引き上げます。さらにLIXILは10月1日(一部9月1日)受注分から建材・サッシ・外装を、YKK APは10月1日から窓サッシを10〜15%引き上げます。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社は千葉県我孫子市に本社を置き、プラスチックパレット・再生樹脂材料・PPバンド・ストレッチフィルム等の物流資材を全国のお客様にお届けする専門商社です。これらの資材はいずれもナフサを起点とする石油化学製品であり、建設資材と原料調達の構造を共有しています。日々の調達業務で確認している一次情報を、同じ構造の影響を受ける建設業のみなさまにも活用いただけるよう、記事として整理して公開しています。

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イラン情勢の影響は建設資材にとどまらず、日本産業の広い範囲に及んでいます。テーマ別に深掘りする場合は、以下のまとめ記事(準備中を含む)をご利用ください。

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  1. 本記事の内容は2026年7月19日時点で確認できる情報に基づいています。ホルムズ海峡の情勢および各社の価格改定発表は短期間で変動するため、記載内容が現時点の状況と異なる場合があります。
  2. 掲載した価格・改定率・数量は各社の公式発表および報道に基づく参考値です。実際の適用価格は製品仕様・取引条件・出荷日・販売ルートにより異なります。ご発注の際は必ず各社の最新情報をご確認ください。
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