今の値段と調達を読む

尿素はいくらか、10月の中東450ドルと中国・ベトナム・Pupukの輸出事情

2026年10月27日 公開10月27日 11時(日本時間)までの公表をもとにしています読む時間 約9分

この記事の答え

何が起きた
中東の粒状尿素は、10月に1トン約450ドルです。4月の約900ドルから半分になりました。10月のインドの入札では、352.10ドル(運賃こみ)の申し込みも出ました。
各国の事情
中国は輸出を枠と最低の値段で絞り、10月に4回目の枠を出しました。ベトナムは輸出を大きく増やし、Pupuk Indonesiaは国内を優先して余りを輸出しています。
日本の調達と肥料
肥料用の尿素の74%はマレーシア産です。政府は5月にペトロナスに長い契約の検討を頼みました。JA全農の秋肥では、輸入の尿素が14.5%上がりました。
次に見るところ
11月からの春肥の値段です。輸入の尿素は8月に7月より13.3%下がっており、これがどこまで表れるかを見ます。
中東の粒状尿素(10月)約450ドル1トンあたり・FOB。4月は約900ドル
インドの入札の最安(10月)352.10ドル1トンあたり・CFR東海岸
肥料用の尿素のマレーシア産74%日本の輸入のうちの割合(内閣官房の資料)

FOBは積み出し港での値段、CFRは相手の港までの運賃こみの値段です。基準がちがうので、そのまま比べられません。

尿素の値段は、10月に1トン約450ドルです

中東の粒状尿素は4月の約900ドルから半分になりました。インドの入札では352ドルの申し込みも出ています。

尿素は、肥料やアドブルー(ディーゼル車の排ガスをきれいにする液)の原料です。世界の尿素の値段は、2026年の春に大きく上がり、夏に下がりました。

中東の粒状尿素の値段(1トンあたり、FOB=積み出し港での値段)
時期値段出典
2026年4月第4週約900ドル農林水産省のグラフ(Argus)
2026年9月25日約465ドルFertilizer Daily
2026年10月9日の週約450ドルAustralian Fertilizer Corporation
2026年10月第4週約450ドル農林水産省のグラフ(Argus)

10月9日の週はオマーン産の値段です。農林水産省の値は、10月23日に更新されたグラフから当社が読み取りました。

月の平均では、世界銀行の値が4月の856.9ドルから8月の390.0ドルまで下がり、9月は407.5ドルでした。くわしい流れは尿素とアドブルーのまとめにあります。

インドの入札では、さらに安い値段が出ました

インドは世界で最も多く尿素を買う国の1つで、入札の値段が相場の目安になります。9月23日にインドのIPLが170万トンの入札を出し、10月7日に締め切りました。積み出しは12月15日までです。

インドの尿素の入札で出た値段(1トンあたり、CFR=インドの港までの運賃こみ)
入札値段
4月(IPL)935〜959ドル
6月(NFL)445〜449ドル
8月(RCF)390〜394ドル
10月(IPL)の最も安い申し込み352.10〜356.25ドル

4〜8月はFertilizer Daily(9月28日)によります。10月はAustralian Fertilizer Corporation(10月9日の週)によります。10月の最も安い申し込みは、東海岸が352.10ドル、西海岸が356.25ドルです。申し込みは25社から合わせて約530万トンでした。

運賃こみのインドの値段が、中東の積み出しの値段より安くなっています。同じ週の資料は、中国の輸出業者の手取りを約320ドルとしています(次の章)。

中国は、輸出を枠と最低の値段で絞っています

2026年の枠は、9月末までに500万〜600万トンに広がったと中国で報じられています。国内の値段を守るのが第一です。

中国は世界最大の尿素の生産国です。ただ、国内の肥料の値段を守るため、輸出を量と値段で絞っています。

中国の尿素の輸出(報道による)
項目内容
2026年の輸出の枠500万〜600万トン(9月末まで、中国の報道)。2025年の輸出は約500万トン(英語の報道)
輸出の最低の値段多くの国向けは430〜440ドル、インド向けは500ドル(FOB)
10月の動き10月上旬に4回目の輸出の枠を出しました。3回目の枠もまだ多く残っています
輸出業者の手取り運賃などを引いて約320ドル(FOB)

10月30日に直しました:公開時は輸出の枠を「330万トン」としていましたが、中国の報道(騰訊新聞、10月15日)では330万トンは2027年の「輸入」の枠の量です。中国の報道(東方財富網・騰訊新聞)では、輸出の枠は9月中ごろの3回目の枠で500万〜600万トンに広がったとされています。

枠と最低の値段はFertilizer Daily(9月18日)によります。4回目の枠は、捜狐(10月5日)とAustralian Fertilizer Corporation(10月9日の週)によります。中国政府の発表文は、当社は確かめられていません。

報道によると、中国の政府がいちばん大事にしているのは、国内の肥料の値段を落ち着かせることです。国内の尿素の値段が大きく上がれば、輸出のしくみを再び変えるおそれがあるとされています。

日本の肥料用の尿素の輸入のうち、中国産は3%(2024年7月〜2025年6月)です。2020年の27%から大きく減りました(農林水産省「肥料をめぐる情勢」をまとめた先端農業マガジンの記事による)。

ベトナムは、尿素の輸出を国内の販売より多くしています

肥料の輸出は1〜6月に前年同期より52%増え、カマウ肥料では尿素の輸出が国内の販売を上回りました。

ベトナムは、2026年に肥料の輸出を大きく増やしました。世界の値段が高かった時期に、国内より海外に多く売っています。

ベトナムの肥料と尿素の輸出
項目値
肥料の輸出(2026年1〜6月)170万トン(+52%)
肥料の輸出額(同)9.33億ドル(+107%)
カマウ肥料の尿素の輸出(1〜8月)395,090トン
カマウ肥料の尿素の国内販売(同)267,240トン

かっこの中は前年同期比です。肥料の輸出は税関の数字です(VietnamPlus、7月22日)。カマウ肥料(DCM)はThe Investor(9月21日)によります。カマウ肥料の輸出は、1年の目標の275,000トンを43.7%上回りました。

肥料の主な輸出先は、カンボジア、韓国、フィリピン、マレーシアです。日本の肥料用の尿素の輸入では、ベトナム産が10%です。期間は2024年7月〜2025年6月です(先端農業マガジンの記事による)。

Pupuk Indonesiaは、国内を優先して余りを輸出しています

2026年の生産目標は780万トン、国内で要るのは約630万トンで、約150万トンを輸出に回せる見込みです。

Pupuk Indonesia(ププック・インドネシア)は、インドネシアの国営企業です。国内の農家への供給を最優先にし、余った分を輸出しています。

Pupuk Indonesia とインドネシアの尿素
項目内容
2026年の尿素の生産目標780万トン(生産できる量は940万トン)
国内で要る量約630万トン
輸出に回せる量の見込み約150万トン
2026年の輸出の許可140万トン(1月の報道)
オーストラリアへの輸出5月14日に初めて47,250トン。計画は25万トンから50万トンへ
8月の輸出87,000トン(前年同月比−53%)

生産目標と輸出の見込み、オーストラリアの計画はWarta Ekonomi(10月6日)によります。輸出の許可はArgus(1月15日)です。8月の輸出はAustralian Fertilizer Corporation(10月9日の週)です。

Pupuk Indonesiaは10月6日、2027年の輸出は「十分にありうる」と話しています。輸出先はまだ決まっていません。輸出には政府の許可が要り、国内の食料の安全が先です。

当社は、Pupuk Indonesia製の尿素を国内の在庫から取り扱っています。

日本は肥料用の尿素の74%をマレーシアから買っています

政府は5月にペトロナスに長い契約の検討を頼み、三井物産はカタールと20年の契約を結んでいます。

日本は、肥料の原料にする尿素の74%をマレーシアから輸入しています。そのほぼ全部を、マレーシアの国営企業ペトロナスが扱っています。

日本の政府と企業の、尿素の調達の動き
時期できごと
2025年11月三井物産とカタールエナジーの20年の契約。最大で年50万トン、2026年1月から
2026年4月24日農林水産大臣がブルネイで会談
2026年5月1日大臣がペトロナスの上級副社長と会談。安定した供給の約束を得て、長い契約の検討を頼みました
2026年10月2日政府のタスクフォースの資料に、尿素の項目はありませんでした

マレーシアとペトロナス、大臣の会談は内閣官房の資料によります(関係閣僚会議 第7回 資料3)。三井物産の契約はGulf Times(2025年11月10日)によります。三井物産の契約は、尿素の行き先を明らかにしていません。

ペトロナスとの長い契約は、ペトロナスと日本の輸入業者のあいだで話し合うとされています。10月27日の時点で、その結果の発表は見つかっていません。

肥料用の尿素は、秋肥で14.5%上がり、輸入の値段は下がり始めました

JA全農の秋肥で輸入の尿素は14.5%上がりました。8月の輸入の値段は7月より13.3%下がっています。

肥料の値段は、JA全農が年に2回決めます。6〜10月に使う「秋肥」と、11月〜翌5月に使う「春肥」です。

JA全農の2026年の秋肥(6〜10月)の値上げ(春肥とくらべて)
肥料値上げ
輸入の尿素+14.5%
塩化加里+7.3%
高度化成(15-15-15)+5%
国産の尿素+0.2%

JA全農の5月15日の発表(農業協同組合新聞)によります。理由は、尿素の国際価格が昨年末の約400ドルから4月末の約900ドルへ、約2倍になったことなどです。

輸入の尿素の値段は、夏から下がっています。農林水産省のまとめでは、尿素の輸入の値段(通関)は8月が1トンあたり83.5千円です。7月の96.3千円から13.3%下がりました(当社の計算)。肥料全体の小売の物価の指数は、8月が149.8(2020年=100)です。

次は、11月からの春肥の値段の発表です。輸入の尿素が下がったことが、どこまで春肥に表れるかを見ていきます。

アドブルーと船舶用のAUS40も、尿素の値段に連動します

アドブルーは国内メーカーがフル稼働で、10月に新しい価格の発表は見当たりません。AUS40の国内の値段の公表もありません。

アドブルーは、尿素を32.5%ふくむ水溶液です。トラックやバス、建設機械のディーゼルエンジンで使います。

国内の大手メーカー4社は5月22日の時点で全社がフル稼働で、値上げは3社で続いていました(まとめ記事)。給油所では、6月1日から宇佐美カードで払う宇佐美の直営店のアドブルーの料金が上がりました。10月27日の時点で、新しい値上げや値下げの発表は、当社は見つけていません。

容量ごとの値段はアドブルーの値段の比較、冬の凍結はアドブルーは冬に凍るのかの記事にあります。

船舶用の尿素水 AUS40

AUS40は、尿素を40%ふくむ船のための尿素水です。決まり(規格)はISO 18611で、アドブルー(ISO 22241)とは濃さも規格もちがいます。原料は同じ尿素なので、尿素の値段の影響を受けます。

10月27日の時点で、日本のAUS40の値段の公表は見つかりませんでした。アドブルーとのちがいと買える場所は、AUS40の記事にまとめています。

次に確かめるのは、春肥の値段と各国の輸出の動きです

春肥の値段、世界銀行の10月の平均、中国の枠、インドの入札、Pupukの輸出、ペトロナスとの契約を見ます。

これから尿素の値段と調達で見ておきたいことです。予測ではなく、確かめる先を並べます。

次に確かめること
項目どこで分かるか
春肥(11月〜翌5月)の値段JA全農の発表
10月の世界の平均の値段世界銀行の月次統計(11月上旬)
中国の輸出の枠の追加報道と中国の発表
インドの次の入札IPL・NFL・RCFの入札
Pupuk Indonesiaの輸出インドネシア政府の許可と同社の発表
ペトロナスとの長い契約農林水産省と輸入業者の発表

よくある質問

尿素の国際価格は、いまいくらですか。

中東の粒状尿素は、10月に1トン約450ドルです。積み出し港での値段です(農林水産省のグラフなど)。4月第4週の約900ドルから半分になりました。

中国は尿素の輸出を再開したのですか。

再開していますが、量と値段に条件があります。中国の報道によると、2026年の輸出の枠は9月末までに500万〜600万トンに広がりました。英語の報道では、10月上旬に4回目の枠が出たとされています。国内の値段が上がれば、また絞るおそれがあるとされています。

Pupuk Indonesiaの尿素は日本に入ってきますか。

日本の肥料用の尿素の輸入は、マレーシア産が74%です。Pupuk Indonesiaは国内を優先し、余った分を政府の許可のもとで輸出しています。当社は、Pupuk Indonesia製の尿素を国内の在庫から取り扱っています。

肥料の尿素は、これから安くなりますか。

当社は予測はしません。輸入の尿素の値段は、8月に7月より13.3%下がっています。11月からの春肥の値段が、JA全農から発表されます。

アドブルーの値段は変わりましたか。

10月27日の時点で、国内メーカーの新しい値上げや値下げの発表は見つかっていません。6月1日には、宇佐美カードで払う宇佐美の直営店の料金が上がりました。

船舶用のAUS40は、アドブルーと同じですか。

ちがいます。AUS40は尿素40%で規格はISO 18611、アドブルーは尿素32.5%でISO 22241です。どちらも原料は尿素です。

言葉の意味5語
FOB
積み出し港で船に積むまでの値段です。運賃と保険はふくみません。
CFR
相手の港までの運賃をふくむ値段です。
粒状・プリル
尿素の粒の形のちがいです。粒状は大きく、プリルは小さい粒です。
秋肥・春肥
JA全農が決める肥料の値段の時期です。秋肥は6〜10月、春肥は11月〜翌5月に使う分です。
AUS40
尿素を40%ふくむ、船の排ガスをきれいにする液です。
出典・エビデンス一覧15件(国の資料4・業界と報道11)
  • ※相場の値は、それぞれの出典が示した時点のものです
  • ※変化率は当社の計算です
  • ※中国の輸出の枠と最低の値段は報道によるもので、中国政府の発表文は確かめていません
  • ※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の判断を推奨するものではありません。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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