仕入れの判断を考える

包装資材は今買うか待つか、値段を左右するホルムズとイスラエル総選挙

2026年10月28日 公開10月28日 18時(日本時間)までの公表をもとにしています読む時間 約9分

この記事の答え

何が起きた
海外のナフサは10月15日に1トン1,010ドルで、5か月ぶりに1,000ドルを超えました。原油は110ドル台です。
いまの売れ方
6月に多くの会社が在庫を積み、夏からフィルムや樹脂の出荷は減っています。製品の値段はまだ上がっています。
次に見るところ
10月29日の国産ナフサ確定値、11月1日のOPECプラス、3日の米中間選挙、4日のイスラエル最終集計です。
決め方
在庫が何日分あるか、置き場所とお金に余裕があるかで、まとめて買う・分けて買う・使う分だけ買うを選びます。
海外のナフサ1,010ドル10月15日、1トン
原油(ブレント)113.88ドル10月27日、1バレル
プラスチック製品の値段+12.8%9月、前の年より

出典は日本経済新聞・Nation Thailand・日本銀行です。くわしくは第1章と第2章にあります。

いまの値段:海外のナフサは再び1,000ドルを超えました

海外のナフサと原油は高いままです。国産ナフサは3か月ごとに決まるので、10月の値上がりはまだ国内に入っていません。

まず、いまの値段の位置を確かめます。包装資材の多くは、樹脂(プラスチックの原料)からできています。樹脂のもとはナフサという油で、ナフサのもとは原油です。

いまの値段(10月27日までに確認)

1,010ドル

海外のナフサ(1トン、10月15日)。5か月ぶりに1,000ドルを超えた。運賃の高さが理由と報じられた

日本経済新聞(日本向けの相場)

113.88ドル

原油・ブレント(1バレル、10月27日)。9月15日には130.80ドルまで上がった

報道(Nation Thailand)

96,500円

国産ナフサ・7〜9月期(1kL、見込み)。4〜6月期は118,900円。確定値は10月29日の貿易統計のあとに分かる

三協化学(10月6日更新)

国産ナフサ基準価格の動き(1kLあたり)

円/kL。1〜3月期と4〜6月期は大景化学、7〜9月期と10〜12月期は見込み(三協化学、10月6日更新) 右端は前の行からの変化(当社の計算)。赤い棒がいちばん高い値です。

1〜3月期65,700―
4〜6月期118,900+81.0%
7〜9月期(見込み)96,500−18.8%
10〜12月期(見込み)98,900+2.5%

国内の樹脂の値段は、国産ナフサ基準価格と結びついて決まることが多くなっています。国産ナフサは3か月ごとに決まり、実際の相場より遅れて動きます。このため、10月に海外のナフサが上がった分は、まだ国内の値段に入っていません。

しくみと時間差は、次の記事にくわしく書いています。
樹脂の値段はいつ下がるのか、10月29日に分かる国産ナフサ価格7〜9月期と1,000円で2円の目安

毎週の値段は、ナフサまとめの冒頭で更新しています。
ナフサ価格推移完全まとめ2026|スポット・輸入CIF・国産はいくらか?

値段はまだ上がっているのに、売れる量は減っています

6月に多くの会社が在庫を積みました。夏から出荷が減り、製品の値段は遅れて上がっています。

いま、包装資材の世界では「値段は高いのに、量が売れていない」ことが起きています。6月から順に、3つのことが起きました。

1

6月に、約半分の会社が在庫を積み増した

51.7%の会社

在庫を確保したと答えた。前倒しの発注や、安全在庫の上積みによるもの

帝国データバンク(5月21〜31日の調査)

30.7%の会社

2月末から在庫を増やしたと答えた。製造業では40.4%

東京商工リサーチ(6月1〜8日の調査)

2

8月から、包装用のフィルムの出荷が減っている

−2.7%

ポリオレフィンフィルムの出荷(8月)。主に袋などに使うフィルム

前の年の同じ月と比べて

−5.4%

そのうちHDPEフィルム(8月)

前の年の同じ月と比べて

−1.2%

そのうちLDPEフィルム(8月)

前の年の同じ月と比べて

ほかの樹脂でも量は減っています。フタル酸系可塑剤の出荷は−20.0%(可塑剤工業会)、ABS樹脂の出荷は−5.0%(日本ABS樹脂工業会)です。どちらも9月で、前の年の同じ月と比べた数字です。フィルムの数字は日本ポリオレフィンフィルム工業組合によります。

3

それでも、製品の値段はまだ上がっている

+1.1%

プラスチック製品の値段(9月)。8月も+0.9%で、前の年と比べると+12.8%

前の月と比べて。日本銀行 企業物価指数

−2.2%

原料の側(石油・石炭製品、9月)。8月も−1.7%

前の月と比べて。日本銀行 企業物価指数

現場の声(当社が取引先から聞いた話)

ストレッチフィルムなどで、6月から8月に大量に入った品の注文が、9月から10月にかけて止まっています。高い原料で作った在庫を、値引きして売る動きもあるそうです。

一部の声で、統計ではまだ確かめられていません。

まとめると、原料の側は少し下がり、製品の値段は遅れて上がり続けています。一方で、製品が売れる量は減っています。6月に買い溜めた会社が、その在庫を使い終わるころに、次の仕入れの判断が来ます。

イラン・アメリカ・イスラエル・サウジの4つの国のいま

ホルムズ海峡はまだ元どおりではありません。4つの国にはそれぞれ、11月前半に大事な日があります。

ナフサと原油の値段を大きく動かしているのは、中東の情勢です。いま見るべき国は4つあります。

4つの国のいま(10月28日時点)

イラン

ホルムズ海峡は、まだ元どおりに通れない

10月18日、アラグチ外相は「アメリカに誠意があれば、7日以内に海峡を開ける」と述べた。条件は、港の封鎖の解除、石油の制裁の解除、すべての戦闘の終わり。10月27日には最高指導者が、その条件を守るよう求めた。

次の日付:決まった日付なし(アメリカの答え次第)

アメリカ

イランの港の封鎖を続けている

4月13日に封鎖を始め、6月18日にいったん解いたが、7月14日に再び始めた。核(ウランの濃縮)の話も求めていて、イランと話が合っていない。

次の日付:11月3日の中間選挙。選挙のあとに緊張が強まると見る論評もある。

イスラエル

総選挙で、どちらの陣営も過半数に届かない見込み

10月27日の出口調査では、ネタニヤフ首相の陣営が約50議席、反対の陣営が52〜53議席。過半数は61議席。

次の日付:11月4日の最終集計。政府づくりは最長42日で、まとまらなければ選挙のやり直し。

サウジアラビア

原油の生産量を据え置いている

OPECプラスの7か国は、11月の生産量を9月と同じにした。サウジの目標は日量1,047.8万バレル。9月には東西を結ぶパイプラインが攻撃され、一部の設備が止まった。

次の日付:11月1日のOPECプラスの会合。

海上の攻撃も増えています。米国の石油情報サイトは、10月にホルムズ海峡とその近くで30件を超える船への攻撃があったと報じました。9月は14件でした。

イランと周りの国の動きは、次のまとめで追っています。
イラン情勢2026完全まとめ

11月前半に、分かれ目の日付が集まっています

10月29日から11月4日までに4つの大事な日があります。国内の値段に届くのは、早くても10〜12月期からです。

仕入れの判断で役立つのは、値段が動きやすい日を前もって知っておくことです。11月の前半に、大事な日が集まっています。

この先の分かれ目の日付

10月29日

国産ナフサ7〜9月期の確定値

貿易統計のあとに計算できる。国内の樹脂の値段の土台になる。

11月1日

OPECプラスの会合

12月の生産量を決める。サウジが増やすか、据え置くか。

11月3日

アメリカの中間選挙

選挙のあと、イランへの対応が変わるかどうか。

11月4日

イスラエル総選挙の最終集計

どちらの陣営が政府をつくるかで、イランへの姿勢が変わりうる。

11月中旬

企業物価指数(10月分)

プラスチック製品の値段がまだ上がっているかを確かめられる。

1月下旬

国産ナフサ10〜12月期の確定値

10月の海外の値上がりが、国内の値段に入ってくる時期。

このうち、10月の海外の値上がりが国内に届くのは、早くても10〜12月期の国産ナフサからです。樹脂メーカーが新しい値上げを発表するかどうかは、まだ分かりません。発表の一覧は次の記事で更新しています。
樹脂の値上げはいつ何円か、2026年の東ソー・プライムポリマーなど一覧

3つの道筋と、値段がどちらに動きやすいか

予測はしません。これまでの動きをもとに、海峡が開く・いまが続く・悪くなるの3つで並べます。

この先がどうなるかは、だれにも分かりません。当社も予測はしません。そのかわりに、これまでに起きた動きをもとに、3つの道筋で「値段がどちらに動きやすいか」を並べます。

3つの道筋と、値段の向き

↓ 下がりやすい

ホルムズ海峡が開く

これまでの例

6月に米イランが覚書を結んだころ、アジアのナフサは衝突の前より安くなった(日本経済新聞)。ただし国産ナフサや製品の値段に届くまでには、数か月かかった。

合図:アメリカとイランの合意。タンカーの通航が増える。

→ 高いまま

いまの状態が続く

これまでの例

9月から10月がこの形。原油は110ドル台、ナフサは1,000ドル前後で高いまま動いている。

合図:話し合いがまとまらず、封鎖が続く。

↑ 上がりやすい

さらに悪くなる

これまでの例

7月12日にホルムズ海峡が再び閉じられたあと、ナフサの値段は上がり直した。9月15日には原油が130.80ドルまで上がった。

合図:船への攻撃が増える。産油国の設備が止まる。

どの道筋でも、国内の製品の値段はすぐには動きません。原油やナフサが下がっても、製品の値段に届くまでに数か月かかります。上がるときも同じです。

今買うか待つかは、在庫の日数と資金で決めます

まとめて買う・分けて買う・使う分だけ買うの3つから選びます。仕入先への確認メールのコピペ枠も付けます。

今買うか、待つか。どちらが正しいかは、会社の在庫と資金によって変わります。決めるときの材料を並べます。

買い方の3つの選択肢

今まとめて買う

向いている会社:在庫が少なく、置き場所とお金に余裕がある

よいところ

値上がりと品切れに強い。

気をつけること

値下がりしたときは、高い買い物になる。

何回かに分けて買う

向いている会社:先が読めず、どちらにも備えたい

よいところ

値上がりと値下がりの両方の影響を小さくできる。

気をつけること

1回の量が少ないので、単価が少し上がることがある。

使う分だけ買う

向いている会社:在庫がまだ多い、または置き場所がない

よいところ

お金と置き場所を使わない。

気をつけること

値上がりや品切れがあると、そのまま響く。

決める前に確かめる3つ

在庫は何日分あるか

帝国データバンクの5月の調査では、手元の在庫の平均は建設で24日分、卸・流通で39日分、最終組み立てで56日分だった。自社の日数と比べる。

置き場所とお金に余裕があるか

在庫を積むと、運転資金(仕入れから入金までに要るお金)が重くなる。

仕入先が値引きしていないか

高い原料で作った在庫を、値引きして売る動きもある。値引きの理由と、次の入荷の値段を聞く。

コピペ枠:仕入先への確認メール

「全文をコピー」を押すと、そのままメールに貼り付けられます。

件名:次回の発注に向けたご確認

いつもお世話になっております。
次回の発注を検討しており、次の4点を教えていただけますでしょうか。

1. 現在の在庫品の価格と、次に生産される分の価格は同じでしょうか。
2. 新しい価格は、発注日と出荷日のどちらで決まりますか。
3. 本日ご注文した場合、何日ほどで納品いただけますか。
4. ナフサ価格が動いた場合、価格の見直しはどのように行いますか。

お手数ですが、よろしくお願いいたします。

値段がどの日で決まるかは、次の記事にまとめています。
価格改定の適用基準日と価格転嫁2026|発注日か出荷日かで変わる負担と取適法の新ルール

よくある質問

包装資材は今買ったほうがよいですか。

会社の在庫の日数と資金によって変わります。当社は値段の予測はしません。在庫が少なく、置き場所とお金に余裕があれば、何回かに分けて買う方法もあります。

ナフサが下がれば、すぐに包装資材は安くなりますか。

すぐには安くなりません。国産ナフサは3か月ごとに決まり、樹脂や製品の値段に届くまでに数か月かかります。

10月にナフサが上がった分は、いつ国内の値段に入りますか。

早くても、国産ナフサの10〜12月期からです。その確定値は1月下旬ごろに分かります。樹脂メーカーが値上げするかは、まだ発表されていません。

イスラエルの総選挙は、包装資材の値段に関係しますか。

直接ではありませんが、関係します。新しい政府のイランへの姿勢が、ホルムズ海峡と原油の値段に響くことがあるためです。最終の集計は11月4日です。

仕入先が値引きしているのはなぜですか。

当社が聞いた範囲では、6月から8月に大量に作った在庫を、高い原料で作ったまま抱えているためです。次の入荷の値段も、あわせて確かめてください。

言葉の意味6語
ナフサ
原油からとれる油です。樹脂(プラスチックの原料)のもとになります。
国産ナフサ基準価格
輸入したナフサの値段から3か月ごとに計算する、国内の取引の目安です。
ホルムズ海峡
ペルシャ湾の出口の海峡です。中東の原油の多くがここを通ります。
OPECプラス
サウジアラビアなどの産油国と、ロシアなどがつくる集まりです。原油の生産量を決めます。
企業物価指数
会社どうしで売り買いする品の値段の動きを、日本銀行が毎月まとめた数字です。
安全在庫
品切れを防ぐために、ふだんより多めに持っておく在庫です。
出典・エビデンス一覧16件(報道7・公的機関2・調査1・業界誌3・会社2・百科事典1)
  • ※数字は2026年10月28日時点の公表と報道によります
  • ※3つの道筋は予測ではなく、これまでに起きた動きを並べたものです
  • ※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の判断を推奨するものではありません。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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