原油・ナフサ・為替 / 調達担当者向け
樹脂の値段はいつ下がるのか、10月29日に分かる国産ナフサ価格7〜9月期と1,000円で2円の目安
ナフサの輸入価格は夏から下がりましたが、樹脂やプラスチック製品の値段はすぐには下がりません。国産ナフサ価格がどう計算され、いつ決まり、樹脂の値段にどれだけ、どの時期に反映されるのかを、財務省の統計と樹脂メーカーの発表で確かめます。あわせて、調達担当者が値上げの通知を受け取ったときの見方をまとめます。
ANSWER
樹脂の値段は、3か月ごとに決まる国産ナフサ価格を通じて、四半期単位で遅れて動きます。4〜6月期は1キロリットル118,900円で過去最高でした。7〜9月期は10月29日の財務省の貿易統計で計算でき、7月・8月の輸入価格は4〜6月期より低い水準です。業界では、国産ナフサ価格1,000円の変動を樹脂1kgあたり約2円とする目安が使われています。
国産ナフサ価格 4〜6月期
118,900円/kL
過去最高。1〜3月期は65,700円
ナフサの輸入価格 8月
87,550円/kL
財務省の貿易統計(通関CIF)。5月は123,732円
樹脂価格の目安
約2円/kg
国産ナフサ価格1,000円/kLの変動あたりの業界の目安。実際は取引ごとに違う
この記事の要点
- 国産ナフサ価格は、財務省の貿易統計のナフサの輸入金額と数量から3か月分の平均単価を出し、1キロリットルあたり2,000円の諸経費を足して計算する、業界の取引の基準です。国や業界団体が公式に発表する値ではなく、業界紙などが算出して報じています。
- 2026年は1〜3月期が65,700円、4〜6月期が118,900円で、3か月で1.8倍になり過去最高を更新しました。2025年は6万3,000円〜7万3,000円台で推移していました。
- 7〜9月期は、9月分の輸入の品目別の数字が出る10月29日に計算できます。輸入価格は5月の123,732円から8月の87,550円まで下がっており、7〜9月期は4〜6月期を下回る見込みです。
- 業界資料では、国産ナフサ価格1,000円の変動を樹脂1kgあたり約2円とする目安が紹介されています。四半期の値は、次の四半期の後半の出荷分から反映する例があります。2026年3月・4月の値上げ幅も、前提にしたナフサの上昇幅とこの割合でおおむね合います(当社の試算)。
- 日本銀行の企業物価指数では、樹脂は7月から下がり始めた一方、プラスチック製品は8月も上がり続けました。値上げには労務費や物流費の分もあり、ナフサが下がっても製品の値段がすぐ同じだけ下がるわけではありません。
国産ナフサ価格は、どう決まるか
国産ナフサ価格は、輸入ナフサの平均単価に諸経費を足した、国内の石油化学の取引の基準です。もとになる数字は財務省の貿易統計で、誰でも見ることができます。
計算のしかた:輸入の平均単価に2,000円を足す
国産ナフサ価格は、財務省の貿易統計にあるナフサの輸入金額と数量を3か月分合計し、金額を数量で割った平均単価に、1キロリットルあたり2,000円を足して求めます。2,000円は、輸入したナフサをタンクにためたりパイプラインで送ったりする諸経費とされています。貿易統計は円で集計されているため、為替の変動はすでに輸入金額に含まれています。
この値は、国や業界団体が公式に発表するものではありません。業界紙や報道機関が貿易統計から算出して報じており、四半期ごとの「確定値」として石油化学の取引で使われています。四半期の途中に出る「見込み」は、商社や業界紙の推計です。
推移:4〜6月期は118,900円で過去最高
2025年は6万3,000円〜7万3,000円台で推移していましたが、2026年2月末からの中東情勢の悪化で輸入価格が急に上がり、4〜6月期は118,900円と、1〜3月期の65,700円から1.8倍になりました。
| 四半期 | 国産ナフサ価格 | 前期比・備考 |
|---|---|---|
| 2025年1〜3月 | 73,400円 | |
| 2025年4〜6月 | 66,300円 | |
| 2025年7〜9月 | 63,200円 | |
| 2025年10〜12月 | 65,600円 | |
| 2026年1〜3月 | 65,700円 | 2月末から中東情勢が悪化 |
| 2026年4〜6月 | 118,900円 | 53,200円上昇。過去最高 |
| 2026年7〜9月 | 未確定 | 10月29日の貿易統計で計算。見込みは96,500円(三協化学、10月6日更新)、106,700円(ファーイーストネットワーク、7月31日時点) |
出典:2025年はゴムタイムス、2026年1〜3月期はRIM・現場メディア、4〜6月期は日本経済新聞(2026年7月)・ファーイーストネットワーク、7〜9月期の見込みは三協化学(10月6日更新)・ファーイーストネットワーク(7月31日時点)。いずれも報道・業界資料。
分かる日:四半期の最後の月の、輸入の品目別の数字が出る日
国産ナフサ価格は、四半期の最後の月の貿易統計で、輸入の品目別の数字(9桁の品目ごとの数字)が出た日に計算できます。財務省の公表予定では、9月分の全体の速報が10月21日、輸入の品目別の数字(9桁速報)が10月29日です。7〜9月期の国産ナフサ価格は、10月29日以降に業界紙などで報じられる見込みです。
| 月 | ナフサの輸入価格(通関CIF) | 備考 |
|---|---|---|
| 2026年4月 | 101,754円/kL | |
| 2026年5月 | 123,732円/kL | 2026年の月次で最も高い |
| 2026年6月 | 約121,900円/kL | 資料により121,885円と121,981円 |
| 2026年7月 | 104,331円/kL | 速報値 |
| 2026年8月 | 87,550円/kL | |
| 2026年9月 | 未公表 | 全体の速報は10月21日、輸入の品目別の数字は10月29日 |
出典:財務省「貿易統計 公表予定」。月次の輸入価格は財務省の貿易統計を集計した新電力ネット(2026年10月9日更新)・三協化学・現場メディアによる。
7月・8月の輸入価格は、4〜6月期の各月を大きく下回っています。9月の値しだいですが、7〜9月期の国産ナフサ価格は4〜6月期より低くなる見込みです。
この章の結論
国産ナフサ価格は、輸入ナフサの3か月の平均単価に2,000円を足して計算します。4〜6月期は118,900円で過去最高、7〜9月期は10月29日の貿易統計で計算でき、4〜6月期を下回る見込みです。
樹脂の値段に、いつ・どれだけ届くか
樹脂メーカーと買い手の間には、国産ナフサ価格をもとに値段を決める取り決めがあります。業界の目安は「1,000円で2円」で、反映は四半期単位で遅れます。
目安:国産ナフサ価格1,000円で樹脂1kgあたり約2円
業界資料では、国産ナフサ価格が1キロリットルあたり1,000円動くと、樹脂の値段を1kgあたり約2円動かす方式が多いとされています(ポリコンポ、2023年。市況でその都度決める取引の説明)。実際の係数や改定の時期は、会社や品目ごとの取り決めで違います。市況や交渉でその都度決める取引もあります。
反映の時期の一例として、8月1日から適用する値段を4〜6月期の国産ナフサ価格で決める、という形があります。この形なら、7〜9月期の値は11月以降の出荷分に反映されることになります。自社の取引がどの形かは、仕入先に確かめる必要があります。
2026年の値上げ:ナフサ連動分とそれ以外の分
2026年の春、樹脂メーカーは相次いで値上げを発表しました。理由として、ナフサ価格が11万円や12万5,000円を超える水準で推移する見通しだと、前提にしたナフサの水準を書いている発表があります。
| 発表日 | 会社 | 内容 | 適用 | 理由 |
|---|---|---|---|---|
| 3月17日 | プライムポリマー | ポリエチレン・ポリプロピレン 90円/kg以上 | 4月1日納入分 | ナフサ価格が11万円/kLを超える水準で推移する見通し(報道) |
| 4月21日 | プライムポリマー | 同 30円/kg以上(追加) | 5月1日納入分 | ナフサ価格が125,000円/kLを超える水準で推移する見通し |
| 4月21日 | プライムポリマー | 同 9円/kg以上 | 5月1日納入分 | ナフサ以外の諸経費 |
| 5月18日 | 日本ポリエチレン | ポリエチレン全製品 50円/kg以上 | 5月25日納入分 | 国産ナフサ価格が125千円/kL超の水準に上昇する見込み |
| 7月13日 | 住友化学 | 低密度ポリエチレン 17円/kg | 8月1日納入分 | 修繕費・労務費・物流費 |
出典:プライムポリマーの発表(4月21日、2件)、日本ポリエチレンの発表(5月18日)、住友化学の発表(7月13日)は各社の一次資料。3月17日の発表はLOGISTICS TODAY(3月19日)による。
当社の試算では、3月の90円の値上げは、1〜3月期の65,700円から11万円への上昇(約44,000円)に対して1,000円あたり約2円、4月の30円の追加は、11万円から12万5,000円への上昇(15,000円)に対して1,000円あたり2円で、業界の目安とおおむね合います。なお、3月の値上げは1月の改定に続く追加の措置と報じられており、各社がどの水準を起点にしたかは発表からは分かりません。一方、プライムポリマーの9円や住友化学の17円のように、ナフサ以外の諸経費(労務費・物流費・修繕費)を理由にした値上げも別に出ています。この分は、ナフサが下がっても下がる理由になりません。
この章の結論
国産ナフサ価格1,000円の変動は、樹脂1kgあたり約2円とする業界の目安があり、反映は四半期単位で遅れます。値上げにはナフサ連動分と、労務費・物流費などそれ以外の分があります。
プラスチック製品の値段に届くまで
樹脂の値段が動いても、フィルムや容器などの製品の値段はさらに遅れて動きます。10月にはナフサの国際価格が再び上がり始めています。
時間差:樹脂は7月から下落、製品は8月も上昇
日本銀行の企業物価指数を見ると、ナフサが4月に大きく上がったあと、5月に樹脂が上がり、7月から樹脂が下がり始めました。ところがプラスチック製品は7月・8月も上がり続け、8月は前年より11.2%高い水準でした。
| 時期 | 品目 | 企業物価指数の動き |
|---|---|---|
| 2026年4月 | ナフサ | 前月比83.2%上昇 |
| 2026年5月 | ポリエチレン/ポリプロピレン | 前月比26.5%/17.6%上昇 |
| 2026年7〜8月 | 樹脂 | 7月から下落。8月のポリエチレンは前月比4.6%下落 |
| 2026年7〜8月 | プラスチック製品 | 7月2.4%・8月1.0%上昇(前月比)。8月は前年比11.2%上昇 |
出典:第一生命経済研究所のレポート(2026年6月10日・9月11日)。元のデータは日本銀行「企業物価指数」。
同研究所は、熱可塑性樹脂は四半期ごとに改定され、買い手との交渉力によって価格転嫁の時期が遅れることがあると指摘しています。樹脂から製品までに何か月かかるかを示す公的な数字はありませんが、樹脂の値下がりが製品に届くまでには、少なくとも数か月の遅れがあると見ておく必要があります。
10月の市況:ナフサは再び上昇、円は158円台
ナフサの国際価格は、10月15日時点で1トン877.90ドルと、前月より4.01%上がっています(Trading Economics、参考値)。為替は10月17日時点で1ドル158円台です。輸入価格はナフサの国際価格と為替の両方で決まるため、10〜12月期の国産ナフサ価格が7〜9月期よりさらに下がるとは限りません。
10月のタンカー攻撃や世界の在庫の状況は、原油の世界在庫の記事で整理しています。
この章の結論
樹脂は7月から下がり始めましたが、プラスチック製品は8月も上がり続けました。10月はナフサの国際価格が再び上がっており、10〜12月期にさらに下がるとは限りません。
調達担当者が、値上げ通知を受けたときに確かめる5つのこと
国産ナフサ価格の仕組みを踏まえて、樹脂製品や包装資材を買う調達担当者が確かめておくことをまとめました。
貿易統計の公表日を、予定表に入れる
国産ナフサ価格は、四半期の最後の月の輸入の品目別の数字が出る日に計算できます。7〜9月期は10月29日です。仕入先との価格の話し合いは、確定した値が出てから進めると、根拠のある数字で話ができます。
値上げ通知の「前提のナフサ価格」と確定値を比べる
2026年の値上げの発表には、前提にした国産ナフサ価格(11万円、12万5,000円など)が書かれているものがあります。確定した値(4〜6月期は118,900円)と比べ、前提と大きく違えば、改定幅の見直しを相談する材料になります。
改定の内訳を、ナフサ連動分とそれ以外に分けて聞く
値上げには、ナフサ連動分と、労務費・物流費・修繕費などそれ以外の分が混ざっています。ナフサが下がったときに見直せるのは、主にナフサ連動分です。内訳を分けて聞いておくと、下がったときの話がしやすくなります。
自社の取引が、どの四半期の値を使うかを確かめる
ナフサ連動の取り決めがあるか、ある場合はどの四半期の国産ナフサ価格を、何月の出荷分から反映するかを確かめます。その都度決める取引なら、確定値を根拠に相談する時期を自分で決めておきます。
製品の値段は、樹脂より遅れて動くと見て予算を組む
樹脂は7月から下がり始めましたが、プラスチック製品は8月も上がりました。年度の予算や見積もりでは、樹脂の値動きが製品に届くまでの遅れと、ナフサ以外のコストの分を見込んでおきます。
コピペ枠:仕入先への確認メール
「全文をコピー」を押すと、そのまま貼り付けられます。〇〇の部分を書き換えてお使いください。
コピペ枠:国産ナフサ価格の目安の計算メモ
社内の資料や表計算ソフトのメモにそのまま使えます。
よくある質問
- 国産ナフサ価格は、どこで発表されますか
- 国や業界団体が公式に発表する値ではありません。財務省の貿易統計のナフサの輸入金額と数量から3か月分の平均単価を出し、1キロリットルあたり2,000円を足して求める業界の基準で、業界紙や報道機関が算出して報じています。
- 2026年7〜9月期の国産ナフサ価格は、いつ分かりますか
- 9月分の輸入の品目別の数字が公表される10月29日に計算できます。財務省の公表予定では、9月分の全体の速報は10月21日です。7月・8月の輸入価格は4〜6月期を大きく下回っており、4〜6月期の118,900円より低くなる見込みです。
- 国産ナフサ価格が下がると、樹脂の値段はどれくらい下がりますか
- 業界では、国産ナフサ価格1キロリットルあたり1,000円の変動を、樹脂1kgあたり約2円とする目安が使われています。実際の係数や反映の時期は取引ごとに違い、労務費や物流費などナフサ以外の分は、ナフサが下がっても下がる理由になりません。
- 樹脂が下がれば、プラスチック製品もすぐに安くなりますか
- すぐには安くなりません。日本銀行の企業物価指数では、樹脂は2026年7月から下がり始めましたが、プラスチック製品は7月・8月も上がり、8月は前年より11.2%高い水準でした。製品の値段は樹脂より遅れて動きます。
- なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
- 当社が扱う物流資材の多くは、ナフサからつくられる樹脂を原料にしています。国産ナフサ価格の動きは仕入れと価格に直接かかわるため、2026年2月末から公表資料をもとに記事で整理しています。
出典・エビデンス一覧19件(公式・公的機関・メーカー5・報道・業界資料・データ14)
公式・公的機関・メーカー
- 財務省「貿易統計 公表予定」
- プライムポリマー「ポリエチレン・ポリプロピレンの価格改定について」(2026年4月21日)
- プライムポリマー 価格改定の発表(2026年4月21日、2件目)
- 日本ポリエチレン 価格改定の発表(2026年5月18日)
- 住友化学 価格改定の発表(2026年7月13日)
報道・業界資料・データ
- RIM(2025年4月28日)
- ポリコンポ(2023年1月5日)
- 日本経済新聞「国産ナフサが最高値更新、4〜6月の価格確定」(2026年7月)
- 現場メディア(2026年5月28日、9月23日更新)
- ファーイーストネットワーク(2026年8月31日)
- 三協化学(2026年10月6日)
- ゴムタイムス「国産ナフサ価格」
- 新電力ネット「ナフサ輸入価格」(2026年10月9日更新)
- LOGISTICS TODAY(2026年3月19日)
- 第一生命経済研究所(2026年9月11日)
- 第一生命経済研究所(2026年6月10日)
- 第一生命経済研究所(2026年6月2日)
- Trading Economics「Naphtha」
- 琉球新報(共同通信配信、2026年10月17日)
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- ※数字は2026年10月18日に当社が確認した時点のものです。7〜9月期の国産ナフサ価格は、10月29日の貿易統計の公表後に確定します。
- ※国産ナフサ価格は公式の発表値ではなく、貿易統計から算出される業界の基準です。算出する会社によって1,000円程度ずれることがあります。見込みの値は商社・業界紙の推計です。
- ※樹脂価格の目安(1,000円/kLあたり2円/kg)は業界の一般的な目安で、実際の取り決めは取引ごとに違います。
- ※本稿は情報提供を目的としたもので、特定の取引の判断を勧めるものではありません。
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