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日米協調介入で値上げは止まるのか、ナフサ844ドルの円換算で見る輸入コストの変化
STRUCTURAL ANALYSIS / 構造分析

日米協調介入で値上げは止まるのか、ナフサ844ドルの円換算で見る輸入コストの変化

財務省は2026年8月3日の大臣談話で、米国東部時間7月31日に米国財務省と協調して円買い介入を実施したことを明らかにしました。協調介入は15年ぶり、円買いでは28年ぶりです。円高は輸入コストを下げる方向に働きますが、値上げが止まるかは別の問題です。当社が扱う樹脂の原料であるナフサを例に、実際にいくら変わるのかを計算しました。

公開日: 最終更新: カテゴリ:構造分析
この記事の3つのポイント
  • 財務省は2026年8月3日の大臣談話で、米国東部時間7月31日に米国財務省と協調して円買い介入を実施したことを明らかにしました。2025年9月の「日米財務大臣共同声明」に基づくもので、談話には「今後、更なる協調介入を実施することも躊躇しない」と記されています。
  • ナフサは1トン844ドルでドル建てです。1ドル163.70円なら138,163円、7月31日に一時つけた157円24銭なら132,711円。差は5,452円、率にして3.9%です。円高は確かに輸入コストを下げます。
  • ただし値上げが止まるとは言えません。帝国データバンクの調査では、食品値上げの要因は原材料高90.9%、物流費65.8%、包装・資材64.0%です。またホルムズ海峡の通航は7月29日時点で平常時の約11%にとどまります。為替が戻っても、モノが足りない状態は変わりません。
SUMMARY

財務省は2026年8月3日の大臣談話で、7月31日の日米協調介入を明らかにしました。円買いでは28年ぶりです。ナフサ844ドル/tは163.70円で138,163円、157.24円なら132,711円で差は3.9%。円高は輸入コストを下げますが、通航は平常時の約11%で、物量の制約は残ります。

円買い協調介入
28年ぶり
1998年6月以来
協調介入自体は15年ぶり
ナフサの円換算(163.70円)
138,163円/t
844ドル/t・2026年7月30日
当方で計算
同(157.24円で換算)
132,711円/t
差 ▲5,452円/3.9%
当方で計算
ホルムズ通航
11%
平常時約130隻に対し14隻
2026年7月29日

CHAPTER 01財務省が何を発表したのか

まず一次資料を確認します。財務省は2026年8月3日、片山財務大臣の談話を公表しました。全文は同省サイトで読めますが、要旨は次の4点です。

項目談話の内容
実施の事実米国東部時間7月31日(金)、日本国財務省は米国財務省と協調して円買い介入を実施した
根拠2025年9月に発出した「日米財務大臣共同声明」に基づき実施
目的最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処
今後更なる協調介入を実施することも躊躇しない。また将来的に米連邦準備制度の「外国・国際通貨当局向けレポ・ファシリティ」(FIMA Repo Facility)の活用を予定

財務省「片山財務大臣談話(令和8年8月3日)」より。当方で同省サイトの原文を直接確認しました。

介入の金額は、まだ公表されていません

談話に金額の記載はありません。財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」で、2026年7月30日から8月26日までの実施分の総額が8月28日に、日付別の金額は11月上旬に公表される見込みとされています。
報道では、7月30日から31日にかけての政府・日銀の介入について時事通信が「5兆円を上回る規模」、マネースクエアが「6兆円から9兆円とされています」と伝えていますが、いずれも当局が確認した数字ではありません。本記事でも確定値としては扱いません。

CHAPTER 02協調介入とは何か、なぜ異例なのか

協調介入とは、複数の国の通貨当局が示し合わせて、同じ方向に為替市場で売買を行うことです。今回は日本と米国の財務省が、そろって円を買いドルを売りました。

単独介入との違い

種類実施主体市場への意味
単独介入1国の当局のみ相手国が同意しているとは限らない
協調介入複数国の当局関係国が同じ方向を望んでいることが明確に伝わる

一般的な整理です。

金額の大小以上に、「相手国も同じ方向を望んでいる」という事実が市場に伝わる点が違います。単独介入なら「相手国が黙認しているだけかもしれない」と受け取られる余地がありますが、協調介入にはそれがありません。

28年ぶりという意味

報道によると、今回の位置づけは次のようになります。

できごと方向
1998年6月アジア通貨危機を背景とした日米協調介入円買い
2011年3月東日本大震災直後のG7協調介入円売り(円高是正)
2026年7月31日日米協調介入円買い

日本経済新聞・時事通信・マネースクエアの報道をもとに整理しました。協調介入自体は2011年以来15年ぶり、円買いでの協調介入は1998年以来28年ぶりとされています。

直前の局面も押さえておきます。日本経済新聞によると、対ドルの円相場は7月下旬に1ドル164円に迫り、およそ40年ぶりの安値水準にありました。共同通信によると、7月31日のニューヨーク市場では一時1ドル157円24銭まで急伸しています。

CHAPTER 03なぜ米国が円買いに加わったのか

ここは丁寧に扱います。円安は輸出面で米国に不利に働く一方、通常であれば米国が他国通貨の買い支えに加わることは多くありません。

時事通信は、米政府が日本と足並みをそろえる理由について、日本の通貨安と債券安が米国の長期金利の上昇に波及するのを懸念しているためと報じています。

また各報道によると、米側の姿勢を示す発言・動きが複数ありました。

時期内容出典
7月30日以降ニューヨーク連銀がレートチェックを実施マネースクエア
7月31日ベッセント財務長官が閣議で「50億ドルから100億ドル日本円を買う」と書かれたメモを机に置いていたTBS NEWS DIG
7月31日三村財務官「米国当局からは単なる精神的支援を超える支援を得ていると認識している」マネースクエア
8月3日トランプ大統領が円安阻止の協調介入について「日本を常に支援する」と発言日本経済新聞

各社報道によります。本記事は介入の是非や政策の評価を論じるものではありません。確認できた事実を並べています。

財務大臣談話にある「FIMA Repo Facility」は、米連邦準備制度が海外の通貨当局向けに設けている仕組みで、保有する米国債を担保にドル資金を調達できるものです。談話では「将来的に活用を予定」とされており、現時点で活用したとは書かれていません。

CHAPTER 04ナフサ844ドルを円換算する

ここからが当社の本業に関わる部分です。円高になると、輸入コストは実際にいくら変わるのか。抽象論ではなく、実際の数字で確かめます。

使う数字

大景化学が公表している2026年7月30日時点の数値を使います。同社は出典を財務省貿易統計としています。

項目時点
ナフサ844ドル/t2026年7月30日現在
為替163.70円/ドル同上
国産ナフサ価格指標98,023円/kL同上

大景化学「ナフサ価格推移表」より。

計算します

為替844ドル/tの円換算1kgあたり備考
163.70円138,163円/t138.2円2026年7月30日時点
157.24円132,711円/t132.7円7月31日NY市場の高値
▲5,452円/t▲5.5円▲3.9%

当方で計算しました。ドル建て価格を844ドルで固定し、為替だけを動かした場合の比較です。為替は164円から157.24円へ約4.1%の円高となりました。

ナフサのドル建て価格が同じでも、為替が163.70円から157.24円になれば、1トンあたり5,452円下がります。率にして3.9%です。

ただし、この数字はそのまま調達価格になりません

3点の留保があります。
①タイミングのずれ。国産ナフサ基準価格は3か月平均の輸入CIF価格をもとに四半期ごとに決まります。今日の為替が価格に反映されるのは数か月先です。
②契約条件。実際の調達価格は契約時期、決済条件、為替予約の有無によって変わります。
③一時点の比較。157円24銭は7月31日に一時つけた値であり、その水準が続くとは限りません。
上の計算は「為替が動くと輸入コストがどれだけ動くか」の感度を示す参考値としてご覧ください。

ナフサ価格には、アジアスポット・通関CIF・国産基準価格という3つの系列があり、それぞれ2か月ずつずれて伝わります。この構造はナフサ・原油完全まとめ、2026年ナフサ価格3系列の全記録で詳しく扱っています。

CHAPTER 05それでも値上げが止まらない理由

3.9%のコスト低下は小さくありません。では値上げは止まるのか。止まるとは言えません。理由は2つあります。

理由1:値上げの要因に、為替は直接挙がっていません

帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年7月31日公表分)によると、企業が挙げた値上げの要因は次のとおりです。

要因割合為替との関係
原材料高90.9%輸入分は為替の影響を受ける
物流費65.8%燃料は為替の影響を受けるが、人件費部分は受けない
包装・資材64.0%ナフサ由来。為替の影響を受ける
中東情勢27.8%為替とは無関係

帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年7月31日公表分・複数回答)。「為替との関係」は当方による整理です。

為替はこれらのコストに間接的に効きます。しかし直接の要因として「円安」が挙げられているわけではありません。人件費、国産原料、そして中東情勢は、為替が動いても変わりません。

理由2:物量の制約は、為替では解決しません

これが本質的な点です。為替は「いくらで買えるか」を変えますが、「買えるかどうか」は変えません。

時点ホルムズ海峡の通航平常時(約130隻)比
封鎖表明前約130隻100%
2026年7月20日4隻約3%
2026年7月29日14隻約11%

当社「原油は戻ってもナフサ不足が続く理由」(2026年8月2日)より。比率は当方で計算しました。

さらに、日量40万バレルのジーザーン製油所が停止していると伝えられており、欧州のディーゼル精製マージンは7月28日に1バレル70.77ドルの過去最高を記録したと報じられています。原油ではなく、精製された製品のほうが不足している状態です。

たとえるなら

為替は財布の中身を変えます。円高になれば、同じドル建ての商品を少ない円で買えます。
けれど店の棚に商品が並んでいなければ、財布が厚くなっても買えません。いま起きているのは、財布の問題と棚の問題が同時に起きている状態です。協調介入が効くのは、財布のほうだけです。

CHAPTER 06調達実務としてどう見るか

当社は物流資材の商社です。プラスチックパレット、再生樹脂原料、PPバンド、ストレッチフィルム。いずれもナフサを起点とする石油化学製品で、ドル建て価格と為替の両方が調達コストに効きます。買う側の実務として、留意点を整理します。

効くのは「ドル建て価格 × 為替」の両方です

要素いまの状態方向
ドル建てのナフサ価格844ドル/t(7月30日)。中東情勢と製油所停止で高止まり上向き
為替164円に迫った後、協調介入で157円台をつける場面円高方向

各時点の値をもとに整理しました。今後の方向を予測するものではありません。

2つの要素が逆方向に動いています。為替だけを見て「調達コストが下がる」と判断するのも、ドル建て価格だけを見て「上がり続ける」と判断するのも、どちらも片手落ちです。

時間差を織り込む

国産ナフサ基準価格は、3か月平均の輸入CIF価格をもとに四半期ごとに決まります。今日の為替が価格に反映されるのは数か月先です。逆に言えば、いま反映されているのは春先の相場と為替です。

この時間差があるため、「協調介入があったから来月の調達価格が下がる」とはなりません。効いてくるとすれば、年末以降の四半期です。

談話の一文を読み落とさない

財務大臣談話には「今後、更なる協調介入を実施することも躊躇しない」と明記されています。これは今後の政策姿勢を示す文言です。ただし実施を約束したものではなく、また為替の水準を保証するものでもありません。調達計画の前提として、特定の為替水準を織り込むことは避けるべきだと考えます。

本記事は特定の調達判断・為替取引・投資判断を推奨するものではありません。実際の判断は、取引先との契約条件や自社の在庫状況を踏まえてご検討ください。

CHAPTER 07今後の確認ポイント

確認するものいつ何が分かるか
財務省「外国為替平衡操作の実施状況」2026年8月28日7月30日〜8月26日の実施分の総額
同(日付別)2026年11月上旬日付ごとの介入金額
日米共同声明報道では調整中両国の姿勢がどこまで踏み込むか
ナフサのドル建て価格随時為替と逆方向に動いていないか
ホルムズ海峡の通航随時物量の制約が緩んだか
国産ナフサ基準価格四半期ごと為替の変化が実際に反映されたか

公表時期は報道および過去の実績に基づく見込みです。正確な日程は財務省の公表資料でご確認ください。

このうち8月28日の公表が最初の節目です。金額が明らかになれば、今回の介入がどの程度の規模だったのかを、推計ではなく確定値で把握できます。

ナフサと原料の動きは当社の関連記事で継続して扱っています。いま起きている供給の局面は原油は戻ってもナフサ不足が続く理由、ナフサそのものの解説はナフサとは何かをやさしく解説、価格推移の記録はナフサ・原油完全まとめ、日々の情勢はOil & Naphtha Monitorをご覧ください。

CHAPTER 08用語集

協調介入

複数の国の通貨当局が示し合わせて、同じ方向に為替市場で売買を行うことです。1国のみで行う単独介入と比べ、関係国が同じ方向を望んでいることが市場に明確に伝わります。

円買い介入

通貨当局が市場で円を買い、ドルなどを売る取引です。円安を止める方向に働きます。逆に円高を止めたい場合は円売り介入を行います。2011年の協調介入は円売り、今回は円買いです。

外国為替平衡操作の実施状況

財務省が公表している為替介入の実績です。月次で期間中の総額が、四半期ごとに日付別の金額が公表されます。介入の有無と規模を確定値で確認できる唯一の資料です。

レートチェック

通貨当局が市中銀行に対して、為替の気配値を問い合わせることです。介入の準備段階とみなされることがあり、それ自体が市場への牽制として働く場合があります。

FIMA Repo Facility

米連邦準備制度が海外の通貨当局向けに設けている仕組みで、保有する米国債を担保にドル資金を調達できるものです。財務大臣談話では「将来的に活用を予定」とされています。

国産ナフサ基準価格

日本国内でのナフサ取引の基準となる価格です。3か月平均の輸入ナフサCIF価格に一定額を加えて四半期ごとに算出されます。市況と為替が反映されるまでに数か月の時間差があります。

ナフサ

原油を精製して得られる石油製品で、プラスチックや合成繊維の原料になります。ドル建てで取引されるため、為替の変動が円建ての調達コストに直接影響します。

CHAPTER 09主な情報源

一次資料(当方で直接確認)

  1. 一次財務省「片山財務大臣談話(令和8年8月3日)」|米国東部時間7月31日に米国財務省と協調して円買い介入を実施した旨、2025年9月に発出した「日米財務大臣共同声明」に基づく旨、最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものである旨、今後更なる協調介入を実施することも躊躇しない旨、将来的に米連邦準備制度の「外国・国際通貨当局向けレポ・ファシリティ」(FIMA Repo Facility)の活用を予定している旨。同省サイトの原文を直接確認しましたhttps://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/20260803072806.html

報道として参照したもの

  1. 二次日本経済新聞「日米が15年ぶり協調介入、円安阻止で思惑一致 3日に共同声明で調整」2026年8月2日|日米両政府が7月31日の外国為替市場で円買いの協調介入を実施した旨、協調介入が2011年の東日本大震災直後以来15年ぶりである旨、円買いの日米協調介入が1998年の介入以来28年ぶりである旨、対ドルの円相場が7月下旬に1ドル164円に迫りおよそ40年ぶりの安値水準にあった旨、トランプ大統領が「日本を常に支援する」と述べた旨の報道
  2. 二次時事通信「日米、円安阻止へ共同声明 片山財務相、3日対応表明へ」2026年8月2日、および「日米、円買い協調介入か 28年ぶり、円安阻止へ異例の連携」2026年8月1日|米政府が日本と足並みをそろえるのは日本の通貨安と債券安が米国の長期金利の上昇に波及するのを懸念しているためである旨、政府・日銀の介入が5兆円を上回る規模である旨の報道
  3. 二次共同通信(Yahoo!ニュース掲載分で確認)「円急伸、日米で協調介入か 円安是正へ週明け方針表明」2026年8月1日|7月31日のニューヨーク外国為替市場で円相場が一時1ドル157円24銭を付けた旨の報道
  4. 二次TBS NEWS DIG(Yahoo!ニュース掲載分で確認)「円安阻止へ日米が28年ぶりに協調介入」2026年8月2日|ベッセント財務長官が7月31日の閣議で「50億ドルから100億ドル日本円を買う」と書かれたメモを机に置いていた旨の報道
  5. 二次マネースクエア「日米協調介入で『円安』阻止!? 次の一手は?」2026年8月3日|7月30日NY市場の介入規模が6〜9兆円とされる旨、NY連銀がレートチェックを行った旨、三村財務官が「米国当局からは単なる精神的支援を超える支援を得ていると認識している」と述べた旨、財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」が8月28日に7/30〜8/26実施分の総額を、11月上旬に7-9月分の日付別金額を公表する見込みである旨の記載
  6. 二次NHKニュース「円安是正へ日米が異例の協調介入 3日に日米共同の声明発表へ」2026年8月2日、および「片山財務相 談話を発表 米と協調し市場介入実施を明らかに」2026年8月3日|政府・日銀が7月30日から8月1日にかけて断続的に市場介入を実施した旨の報道

価格・値上げ要因について

  1. 二次大景化学「ナフサ価格推移表」2026年7月30日現在|ナフサ844ドル/t、為替163.70円/ドル、国産ナフサ価格指標98,023円/kLの根拠。同社は出典を財務省貿易統計としています|https://www.daikeikagaku.co.jp/naphtha/
  2. 二次マイナビニュース「2026年8月の飲食料品値上げは2311品目、前年比8割増」2026年7月31日|帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年7月31日公表)の内容として、値上げ要因が原材料高90.9%・物流費65.8%・包装資材64.0%・中東情勢27.8%である旨の記載

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本記事における計算値(844ドル/tの円換算138,163円・132,711円、差5,452円・3.9%、1kgあたりの換算、為替の変化率4.1%、通航の平常時比)は、いずれも上記資料の数値をもとに当方で計算したものです。ドル建て価格を844ドルで固定し、為替のみを動かした場合の比較であり、実際の調達価格を示すものではありません。

FAQよくあるご質問

日米協調介入とは何ですか。

複数の国の通貨当局が、示し合わせて同じ方向に為替市場で売買を行うことです。今回は日本と米国の財務省が、そろって円を買いドルを売りました。財務省の2026年8月3日の大臣談話によると、米国東部時間7月31日に実施され、2025年9月に発出した「日米財務大臣共同声明」に基づくものとされています。報道によれば、協調介入は2011年3月の東日本大震災直後以来15年ぶり、円買いでの協調介入は1998年6月のアジア通貨危機以来28年ぶりです。

円高になると輸入コストはどのくらい下がりますか。

ナフサを例に計算します。2026年7月30日時点のナフサは1トン844ドル、為替は1ドル163.70円でしたので、円換算では138,163円です。7月31日のニューヨーク市場で一時つけた157円24銭で換算すると132,711円となり、差は5,452円、率にして3.9%です。ただしこれは特定時点のレートで計算した参考値で、実際の調達価格は契約時期や決済条件によって変わります。

円高になれば値上げは止まりますか。

止まるとは言えません。帝国データバンクの調査によると、2026年の食品値上げの要因は複数回答で原材料高90.9%、物流費65.8%、包装・資材64.0%、中東情勢27.8%です。為替はこれらのコストに間接的に効きますが、直接の要因として為替が挙げられているわけではありません。またホルムズ海峡の通航は7月29日時点で14隻と、封鎖表明前の約130隻に対し約11%の水準にとどまっています。物量の制約は、為替が動いても解消しません。

介入の規模はいくらですか。

正確な金額は本記事の公開時点で公表されていません。財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」で、2026年7月30日から8月26日までの実施分の総額が8月28日に、日付別の金額は11月上旬に公表される見込みとされています。報道では、7月30日から31日にかけての政府・日銀の介入について5兆円を上回る規模とする記事や、6兆円から9兆円とする推計が出ていますが、いずれも当局が確認した数字ではありません。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。

当社は千葉県我孫子市を拠点に、プラスチックパレット・再生樹脂原料・PPバンド・ストレッチフィルムなどの物流資材をお取扱いしています。これらの原料であるナフサはドル建てで取引されるため、為替の変動は調達コストに直接影響します。買う側の実務として毎日レートと相場を見ている立場から、為替の動きが原料価格にどう効くのかを整理してお伝えしています。

NOTICE / 本記事についての注意事項
  • 本記事は時点で確認できた情報をもとに整理したものです。為替相場は刻々と変動するため、記載のレートは特定時点の値です。最新の状況は各公表元および報道でご確認ください。
  • 介入の正確な金額は公表されていません。報道にある「5兆円を上回る規模」「6兆円から9兆円」はいずれも当局が確認した数字ではありません。確定値は財務省「外国為替平衡操作の実施状況」でご確認ください。
  • 第4章の計算は、ドル建て価格を844ドル/tで固定し為替のみを動かした場合の比較です。実際の調達価格は、契約時期・決済条件・為替予約の有無、および国産ナフサ基準価格の算定に伴う数か月の時間差によって変わります。実際の調達価格を示すものではありません。
  • 本記事は為替介入の是非や政策の評価を論じるものではありません。確認できた事実と、それが原料の円建て価格にどう効くかの計算のみを扱っています。
  • 本記事は為替取引・投資判断・特定の調達判断を推奨するものではなく、その根拠として作成したものでもありません。今後の為替水準を予測するものでもありません。引用に際しては出典として本記事URLを明記してください。記載内容に事実誤認がありましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
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