構造分析

原油は戻ってもナフサ不足が続く理由、ホルムズ通航回復と製品マージン過去最高

公開この記事は2026年8月2日時点の情報です読む時間 約12分

この記事の答え

何が起きた
Kplerの集計では、ホルムズ海峡の通航は7月20日の商品輸送船4隻から、7月29日に両方向で14隻へ戻りました。それでも封鎖表明前の1日約130隻の約11%です。
ナフサ・樹脂への影響
ナフサの調達環境は改善していません。日量40万バレルのジーザーン製油所の停止が伝えられ、欧州のディーゼル精製マージンは7月28日に過去最高と報じられています。
確かめておくこと
原油の値下がりが、樹脂の値段に届いているか。「通航再開」の報道で増えたのが、原油タンカーか製品船か。
次に見るところ
精製マージンが下がるか。8月15日前後とされるジーザーン製油所の再稼働と、9月末のカタール産LNGのフォースマジュール期限です(どちらも報道によります)。
この記事のあとの動き

この記事は2026年8月2日に更新した内容です。イラン情勢はその後も動いています。

2026年7月31日の日米協調介入による円高と、9月の原油100ドル再突破・サウジアラビアの産油量が前月比190万バレル減までの推移は、まとめの記事で整理しています。

まとめの記事:【イラン情勢2026完全まとめ】の9章 ›
ホルムズ海峡の通航(7月29日・両方向)14隻Kplerの集計。平常時約130隻の約11%
欧州ディーゼルの精製マージン(7月28日)70.77ドル1バレルあたり。過去最高と報じられた
停止中の製油所の能力(ジーザーン)40万バレル日量。8月15日前後の再稼働情報

当社が速報した時点の7月20日の通航は、商品輸送船4隻(平常時比 約3%)でした。精製マージンは、原油を精製して石油製品にしたときの利ざやです。

7月22日の速報から10日で、通航は4隻から14隻へ戻った

当社速報時点の7月20日は商品輸送船4隻でしたが、Kplerの集計では7月29日に両方向で14隻が通過しました。ただし封鎖表明前は1日約130隻と伝えられており、14隻はその約11%にとどまります。

当社が2026年7月22日に速報した時点で、ホルムズ海峡ホルムズ海峡ペルシャ湾の唯一の出入口にあたる海峡です。世界の海上原油貿易とLNG貿易の相当部分が通過するため、通航状況がエネルギー市場全体に影響します。の通航は商品輸送船4隻まで落ちていました。その後10日で通航は14隻へ戻り、原油価格も乱高下しています。

ところがナフサナフサ原油を精製して得られる石油製品のひとつで、プラスチック・合成繊維・塗料などの原料になります。原油そのものではなく、製油所で取り出される製品である点が、本記事の要点にあたります。の調達環境は改善していません。原油と石油製品は、別の要因で動くためです。何が戻り、何が戻っていないのかを分けて整理します。

この記事は、当社2本の記事の続きにあたります

ホルムズ海峡の情勢そのものは、【2026年7月22日速報】ホルムズ通航が商品輸送船4隻に縮小しLNG船通航ゼロで扱っています。ナフサが届かない仕組み(目詰まり)と値上げの構造は、ナフサ不足はいつまで続くのか、目詰まりの原因と値上げが止まらない理由で扱っています。

本記事は、その2本の後に起きた「通航は戻ったのにナフサは戻らない」という局面だけを扱います。

まず、当社の7月22日速報の内容を確認します。あの記事で報告したのは次の状況でした。

7月22日速報で報告した状況
項目7月20〜21日時点
ホルムズ通航(商品輸送船)4隻(前日7隻)
VLCC・LNG船ゼロ(LNG船の最終確認通航は7月11日)
ブレント原油91.34ドル(7月21日の場中値)
WTI85.03ドル(同)
紅海の戦争危険保険料指標船価の約0.75%(7月20日)

当社「【2026年7月22日速報】ホルムズ通航が商品輸送船4隻に縮小しLNG船通航ゼロ」より。通航隻数はKpler集計。

この10日間で、次のように動きました。

7月20日から31日までの通航と原油価格
日付通航原油価格
7月20日商品輸送船4隻・VLCC/LNG船ゼロー
7月21日ーブレント91.34ドル・WTI85.03ドル
7月25日一般貨物船1隻・タンカーゼロー
7月29日両方向で14隻(前週は1桁台)前日比7.9%急騰
7月30日改善の兆しと報じられるブレント約90ドル
7月31日タンカーの動きがわずかに増加ブレント90.46ドル・WTI85.37ドル(東部時間8:10)
同日中航行継続ブレント88ドル・WTI82.09ドルへ1%超下落

7月20〜21日は当社速報、7月25日はglobal-scm.com(7月27日更新)によります。7月29〜31日はTradingEconomics・Investing.com・BigGoファイナンスの報道によります。時刻表記のある数値はその時点のものです。

4隻から14隻へ。ただし平常時の約1割です

通航が3倍以上に増えたことは事実です。ただし基準を置くと、見え方が変わります。イランが封鎖を表明する前、ホルムズ海峡の通航は1日約130隻だったと伝えられています。14隻はその約11%にあたります(当方で計算)。

1日ごとの数字は変動が大きく、7月25日には一般貨物船1隻という日もありました。単日の増減で情勢を判断しないほうが安全です。

平常時(約130隻)と比べた通航隻数
時点隻数平常時比
封鎖表明前約130隻100%
7月20日4隻約3%
7月25日1隻約0.8%
7月29日14隻約11%

封鎖表明前の約130隻はglobal-scm.com(アルジャジーラを引用)の記載によります。比率は当方で計算しました。7月20日は商品輸送船、7月25日は一般貨物船の数で、集計対象が異なる点にご留意ください。

同じ時期について、2つの数字が出ています

7月29日前後の通航について、参照した資料で数字が食い違っています。TradingEconomicsはKplerの集計として7月29日に両方向で14隻、global-scm.comは7月29日更新分で「1日6隻」と記しています。

集計の方向(両方向か片方向か)、対象とする船種、集計する時間の取り方によって数字が変わるためとみられます。ただし本記事の作成時点で、その違いを確認できていません。

6隻であれば平常時比約5%、14隻であれば約11%となります。いずれにせよ平常時からは大きく下回っている、という点は共通しています。

通航は戻り始めたが、隻数だけでは中身が分からない

ホルムズ海峡の通航は戻り始めています。ただし同じ時期について1日6隻とする資料もあり、14隻の内訳も確認できていません。

7月29日の14隻という数字は、Kplerの集計としてTradingEconomicsが報じたものです。「両方向で14隻が通過し、先週の1桁台から増加」とされています。

Investing.comも7月31日に、次のように伝えています。船舶追跡データによればホルムズ海峡を通過するタンカーの動きがわずかに増加しており、重要な原油輸送ルートが長期的に混乱するとの懸念が一部和らいでいる、という内容です。

ただし前章のとおり、14隻は封鎖表明前の約130隻に対して約11%の水準です。方向としては改善していますが、平常時からは遠い状態が続いています。

ただし、通航の数字だけでは判断できません

ここは慎重に読む必要があります。通航隻数には、いくつかの読みにくさがあります。

通航隻数の読みにくさ
読みにくさ内容
船種の内訳14隻の内訳(原油タンカー・製品船・LNG船・一般貨物船)は確認できていない。原油船が増えても製品船が増えたとは限らない
積載の有無通航した船が積載していたかは別問題。空船の回航も通航にカウントされる
集計窓の差同じ機関でも集計する時間の取り方で数字が変わる例が報じられている
出典による差7月29日前後について、14隻とする資料と1日6隻とする資料がある。方向・船種・集計窓の違いとみられるが確認できていない
海峡外での積み替えオマーン湾での船舶間積み替え(STS)船舶間積み替え(STS)洋上でタンカーからタンカーへ貨物を移す方法です。受け取り側の船は自ら海峡を通らずに輸送できるため、海峡の通航隻数が減っても貨物の流れが完全に止まるとは限りません。が確認されており、通航量の減少と貨物の停止は同義ではない

船舶間積み替えと集計窓の差については、global-scm.com(2026年7月14日・27日更新)の記載によります。船種内訳と積載の有無は、本記事の作成時点で確認できていない事項です。

つまり「14隻通った」は「必要なものが必要な量だけ届いた」を意味しません。これが次章以降の前提になります。

原油価格は、足元は上・見通しは下と逆を向いている

7月の月間上昇率は20%超とされる一方、EIAの第3四半期見通しは74ドルで、前月から27ドル引き下げられています。

価格の動きも整理しておきます。この10日間だけを見ても、上下が激しく出ています。

7月29日には前日比7.9%の急騰があり、31日にはブレント90.46ドル・WTI85.37ドルをつけました。ところが同じ日のうちに、ブレント88ドル・WTI82.09ドルまで1%超下げています。7月の月間上昇率は20%超とされています。

先の見通しは、下向きで示されています

一方で、米エネルギー情報局(EIA)の短期エネルギー見通しは下方向を示しています。新電力ネットの集計によると、2026年7月7日発表分では次のとおりです。

EIAのブレント原油の見通し(2026年7月7日発表)
時期見通し備考
2026年6月(実績)平均85ドル5月から22ドル、4月ピークから32ドル下落
2026年 第3四半期平均74ドル前月見通しから27ドル減
2026年 通年82ドルー
2027年65ドル在庫の蓄積継続を想定

EIA短期エネルギー見通し(2026年7月7日発表)を新電力ネットが集計したもの。見通しであり確定値ではありません。

直近の価格と先の見通しが、逆を向いています

直近のブレントは88〜90ドル台で、7月の月間上昇率は20%超。一方でEIAの第3四半期見通しは74ドルで、前月から27ドル引き下げられています。

足元は上、見通しは下という状態です。どちらか一方だけを見て調達判断を組むと、読み違えます。

ナフサは製油所が動かないと増えないので、戻らない

それでもナフサの調達環境は改善していません。原油は産地の代替と備蓄の放出で量を確保できますが、ナフサは原油を精製して作られるため、製油所が動いていなければ増えないためです。

ここが本記事の中心です。通航が戻り、原油価格が上下しても、ナフサの調達環境は改善していません。理由は、原油と石油製品では供給を左右する要因が違うためです。

原油には、2つの逃げ道があります

原油の逃げ道と、ナフサに使えるか
手段内容ナフサには
産地の代替中東以外(米国・アフリカ・中南米など)からの調達に切り替える△ 得率得率原油1単位からどの製品がどれだけ取れるかの比率です。原油の産地によって得率が異なるため、産地を切り替えると同じ量の原油からでもナフサの取れ高が変わります。代替調達が単純な置き換えにならない理由です。の違いという制約がある
備蓄の放出国家備蓄・民間備蓄を市場へ出す× 備蓄の多くは原油の形

代替産地と得率の関係については、当社「非中東原油のコスト構造」で扱っています。備蓄の形態については各社報道によります。

国際エネルギー機関(IEA)は、当社が7月22日速報で紹介したとおり、原油は代替供給・備蓄が下支えする一方、石油製品はより需給が引き締まっていると評価しています。この構図は、この10日間で変わっていません。

ナフサは、製油所が動かないと増えません

ナフサは原油そのものではなく、原油を精製して取り出す製品です。原油がいくら港に着いても、精製する設備が動いていなければナフサは出てきません。

2026年7月末時点で、日量40万バレルのジーザーン製油所が停止していると伝えられています。この停止によりディーゼル・ナフサの域内需給が引き締まっているとされ、再稼働は8月15日前後という情報があります。

たとえるなら

原油の到着は、製粉所に小麦が届くことにあたります。ナフサは、そこから挽き出される小麦粉です。小麦が港に山積みでも、製粉所が止まっていれば小麦粉は出てきません。

いま起きているのは、船は通り始めたが製粉所の一つが止まっている、という状態です。

迂回による時間の増加も残っています

7月下旬には、アジア向けナフサ約50万バレルを積んだ船の転進が確認されたと報じられています。通常のバブ・エル・マンデブ方向ではなく、スエズ運河方向へ向かったものです。通航できることと、通常の航路・通常の日数で届くことは別です。

精製マージンの過去最高は、製品が足りないことを示す

欧州のディーゼル精製マージン精製マージン原油を精製して石油製品にしたときの利ざやを指します。原油価格と製品価格の差です。マージンが高いほど、原油に対して製品が不足していることを意味します。クラックスプレッドとも呼ばれます。の過去最高は、原油ではなく精製された製品のほうが不足していることを示す数字です。ナフサもディーゼルと同じ工程から出てきます。

前章の説明を裏づける数字があります。精製マージンです。

欧州のディーゼル精製マージンは、2026年7月28日に1バレル70.77ドルとなり、過去最高を記録したと報じられています。

マージンが高いということは、製品が足りないということです

精製マージンは、原油を精製して石油製品にしたときの利ざやを指します。原油の値段と、製品の値段の差です。

精製マージンの読み方
状態読み方
マージンが低い製品が十分にある。原油の値動きが素直に製品へ伝わる
マージンが高い製品が足りない。原油があっても製品の値段が独立して上がる

一般的な精製マージンの読み方として整理したものです。

つまり過去最高のマージンは、原油ではなく精製された製品のほうが不足していることを示しています。そしてナフサは、ディーゼルと同じ精製工程から出てくる製品です。

「原油が下がったから樹脂も下がる」は成り立ちません

原油価格だけを見ていると、下がった局面で調達コストも下がると考えたくなります。しかし製品マージンが過去最高であるということは、原油の下落分が製品価格に届いていないということです。

ナフサ、そこから作られる樹脂、さらにその先のフィルムやパレットまで、原油の値動きがそのまま伝わる状態にありません。

あわせて、カタール産LNGのフォースマジュールフォースマジュール不可抗力を理由に契約上の義務履行を免れる宣言です。供給者が発すると、契約数量の引き渡しが猶予されます。カタール産LNGについて9月末まで延長されたと報じられています。(不可抗力宣言)は9月末まで延長されたと報じられています。エネルギー分野全体で、制約が9月まで見込まれている状況です。

原油とナフサは、見る指標を分ける

原油は価格・通航隻数・備蓄で見ますが、ナフサは精製マージン・製油所の稼働・製品船の通航で見ます。

ここまでを整理します。同じ「中東情勢の影響」でも、原油とナフサでは見るべき指標が違います。

原油とナフサ・石油製品の見方の違い
観点原油ナフサ・石油製品
見るべき指標ブレント・WTI・通航隻数・備蓄精製マージン・製油所の稼働・製品船の通航
代替の効きやすさ産地の切り替えが可能得率の違いという制約がある
備蓄の効き方国家備蓄の放出が効く備蓄の多くは原油の形で、直接は投入できない
いまの状態通航が戻り始め、見通しは下向き製油所停止とマージン過去最高が重なる

本記事で確認した資料をもとに当方で整理しました。得率の違いについては当社の関連記事で扱っています。

「ホルムズ海峡が通れるようになった」というニュースは、原油についての話です。ナフサを調達する立場から見ると、そのニュースだけでは判断材料になりません。

ナフサが届かない仕組みそのもの(目詰まりの構造)については、ナフサ不足はいつまで続くのか、目詰まりの原因と値上げが止まらない理由で詳しく扱っています。本記事は、その仕組みが「通航が戻った局面でも解消していない」ことを確認するものです。

調達では、原油より製品の需給と2つの時期を見る

原油が下がっても、樹脂がすぐ下がるとは限りません。通航の報道は船種と積載を確かめ、時期は8月15日前後と9月末を見ておきます。

当社は物流資材の商社です。プラスチックパレット、再生樹脂原料、PPバンド、ストレッチフィルム。いずれもナフサを起点とする石油化学製品で、この情勢は調達コストと供給の見通しに直結します。実務の立場から、留意点を整理します。

原油の下落を、調達コストの下落と読み替えない

第5章のとおり、製品マージンが過去最高である以上、原油の値下がりは樹脂の値下がりに直結しません。原油価格だけを根拠に価格交渉や在庫判断を組むのは、いまの局面では危険です。

「通航再開」の報道は、船種と積載を確認する

通航隻数が増えたという報道があっても、その内訳は原油タンカーかもしれません。製品船が増えたかどうかが、ナフサにとっての本題です。本記事の作成時点で14隻の内訳は確認できていません。

8月15日前後と9月末という2つの時期を見ておく

報じられている範囲で、区切りになりそうな時期が2つあります。

区切りになりそうな2つの時期
時期内容意味
8月15日前後ジーザーン製油所の再稼働情報精製能力が戻れば製品需給が緩む可能性
9月末カタール産LNGのフォースマジュール期限エネルギー分野全体の制約の目安

いずれも報道によるもので、確定した予定ではありません。変更の可能性があります。

本記事は特定の調達判断や取引を推奨するものではありません。実際の判断は、取引先との契約条件や自社の在庫状況を踏まえてご検討ください。

これからは精製マージンを中心に5つの指標を見る

当社は、最も分かりやすい指標は精製マージンだと考えています。製品そのものの需給を映すためです。

この先、何を見れば局面の変化が分かるかを整理します。

今後の確認ポイント
指標いまの状態変化のサイン
精製マージン欧州ディーゼルが7月28日に70.77ドルで過去最高低下すれば製品需給の緩和
製油所の稼働ジーザーン日量40万バレルが停止再稼働の確認
通航の船種内訳総隻数14隻(平常時約130隻の約11%)。内訳は未確認製品船・LNG船の通航確認
ブレント・WTI88〜90ドル台で上下EIA見通し(第3四半期74ドル)との乖離
国産ナフサ基準価格四半期ごとに公表次回公表値との比較

確認のしかたは実務上の目安として整理したものです。各指標の最新値は、それぞれの公表元でご確認ください。

このうち最も分かりやすいのが精製マージンだと考えます。原油価格は地政学のニュースで上下しますが、精製マージンは製品そのものの需給を映します。ナフサを調達する立場からは、こちらのほうが実感に近い指標です。

ナフサと原油の価格推移そのものは、ナフサ・原油完全まとめ、2026年ナフサ価格3系列の全記録で継続して記録しています。

よくあるご質問

ホルムズ海峡の通航は回復したのですか。

改善の方向にあります。当社が2026年7月22日に速報した時点では、7月20日の商品輸送船の通航は4隻でVLCC・LNG船はゼロでした。その後7月25日には一般貨物船1隻・タンカーゼロという日もありましたが、Kplerの集計では7月29日に両方向で14隻が通過し、前週の1桁台から増えています。ただし封鎖表明前の通航は1日約130隻と伝えられており、14隻はその約11%にとどまります。なお同じ時期について1日6隻とする資料もあり、集計方法による差とみられます。

通航が回復したのに、なぜナフサ不足が続くのですか。

原油と石油製品では、供給を左右する要因が違うためです。原油は産地の代替と国家備蓄の放出という手段がありますが、ナフサは原油を精製して作られるため、製油所が動いていなければ量は増えません。2026年7月末時点では日量40万バレルのジーザーン製油所が停止していると伝えられており、精製能力の側に制約が生じています。原油タンカーが通れることと、ナフサが届くことは同じではありません。

精製マージンが過去最高とはどういう意味ですか。

精製マージンは、原油を精製して石油製品にしたときの利ざやを指します。欧州のディーゼル精製マージンは2026年7月28日に1バレル70.77ドルとなり、過去最高を記録したと伝えられています。原油が十分にあってもマージンが高いということは、原油ではなく精製された製品のほうが不足していることを示します。ナフサもディーゼルと同じ精製工程から出てくる製品です。

原油価格はいま、いくらですか。

2026年7月31日の東部時間午前8時10分時点で、ブレント原油先物は1バレル90.46ドル、WTIは85.37ドルと報じられました。同日中にはブレント88ドル、WTI82.09ドルまで下げる場面もありました。7月の月間上昇率は20%超とされています。価格は局面ごとに変動するため、記載の数値は特定時点のものであり、最新の値は各指標のサイトでご確認ください。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。

当社は千葉県我孫子市を拠点に、プラスチックパレット・再生樹脂原料・PPバンド・ストレッチフィルムなどの物流資材をお取扱いしています。これらの原料はナフサを起点とする石油化学製品であり、ホルムズ海峡の情勢は調達コストと供給の見通しに直結します。取引先の実務判断に資する情報を、事実本位で整理する目的で編集部が執筆しています。

出典・エビデンス一覧10件(報道や企業7・当社の記事3)

通航・価格について

  1. 報道・解説TradingEconomics「ブレント原油」2026年7月30日|Kplerの集計として2026年7月29日に14隻の貨物船がホルムズ海峡を両方向に通過し先週の1桁台から増加した旨、ブレントが約90ドルで取引され前日セッションで7.9%急騰した旨の記載
  2. 報道・解説Investing.com「ホルムズ海峡のタンカー通行が改善、原油価格は上昇」2026年7月31日|東部時間午前8時10分時点でブレント原油先物が1バレル90.46ドル(+1.6%)、WTIが85.37ドル(+2.1%)である旨、船舶追跡データによりホルムズ海峡を通過するタンカーの動きがわずかに増加している旨、7月の月間上昇率が20%超となる軌道にある旨の報道
  3. 報道・解説BigGoファイナンス「原油が1%超下落、ホルムズ海峡のタンカー航行継続で米イラン戦争懸念を相殺」2026年7月31日|ブレントが88ドル、WTIが82.09ドルまで値を下げた旨の記載
  4. 報道・解説新電力ネット「原油価格の見通し・予測」|EIA短期エネルギー見通し(2026年7月7日発表)として、ブレントが2026年82ドル・2027年65ドルである旨、2026年第3四半期の平均見通しが74ドルで前月から27ドル減である旨、6月のスポット平均が85ドルで5月から22ドル・4月ピークから32ドル下落した旨の集計|https://pps-net.org/statistics/crude-oil6

製油所・製品需給について

  1. 報道・解説global-scm.com「ホルムズ海峡危機:情勢と今後の見通し(2026年7月29日更新)」|日量40万バレルのジーザーン製油所停止でディーゼル・ナフサ供給が引き締まっている旨、欧州のディーゼル精製マージンが2026年7月28日に1バレル70.77ドルの過去最高を記録した旨(Reuters引用)、カタール産LNGのフォースマジュールが9月末まで延長された旨、8月15日前後とされる再稼働情報が焦点である旨の記載。個人・企業が運営する情報サイトであり、Reuters等の原典を直接確認できていません
  2. 報道・解説global-scm.com「同(2026年7月27日更新)」|船位データで2026年7月25日のホルムズ海峡通航が一般貨物船1隻・タンカーゼロであった旨、アジア向けナフサ約50万バレルを積んだ船がスエズ運河方向へ転進した旨(Kpler・LSEG引用)、集計窓による隻数の差がある旨の記載。同上
  3. 報道・解説global-scm.com「同(2026年7月14日更新)」|オマーン湾での船舶間積み替え(STS)が確認され、海峡通航量の減少と貨物流動の完全停止は必ずしも同義ではない旨の記載(Reuters引用)。同上

当社の関連記事(本記事の前提)

  1. 【2026年7月22日速報】ホルムズ通航が商品輸送船4隻に縮小しLNG船通航ゼロ、ブレント90ドル超、ナフサ・石油製品の調達不確実性が再拡大|本記事の起点。7月20日の通航4隻・VLCC/LNG船ゼロ、7月21日のブレント91.34ドル・WTI85.03ドル、紅海の戦争危険保険料指標約0.75%、IEAが原油を代替供給・備蓄が下支えする一方で石油製品はより需給が引き締まっていると評価した旨は同記事によります
  2. ナフサ不足はいつまで続くのか、目詰まりの原因と値上げが止まらない理由|ナフサが届かない仕組みそのもの。目詰まりの構造と値上げの経路を扱っています
  3. ナフサ・原油完全まとめ、2026年ナフサ価格3系列の全記録|価格推移の記録

本記事で扱った数値は、いずれも各時点のものです。ブレント・WTIは局面ごとに変動するため、記載の価格は特定時点の値であり確定値ではありません。ホルムズ海峡の通航隻数、製油所の稼働状況、精製マージンについては、報道および情報サイトを通じて確認したもので、Kpler・Reuters等の原典を直接確認できていません。正確な数値は各機関の公表資料をご参照ください。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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