法律と荷主の取り組み
改正物効法の荷主の努力義務とは?パレット化の進め方と国交省の基準
この記事の答え
- 何が起きた
- 改正物流効率化法で、2025年4月からすべての荷主に努力義務がかかりました。2026年4月からは、年9万トン以上の特定荷主に計画と報告の義務が始まりました。
- パレットとの関係
- 荷主の判断基準に、パレットの導入と標準仕様パレット(1100×1100mm)の使用が入っています。荷役の時間を減らす取り組みの1つです。
- 確かめておくこと
- 1回の受け渡しで、荷待ちと荷役に何分かかっているかを測ります。国は原則1時間以内、長くても2時間以内を目標にしています。
- 次に見るところ
- 特定荷主は、初めての中長期計画を2026年10月末までに出します。初めての定期報告は2027年7月末です。
出典は荷主の判断基準の解説書と、国土交通省など3省の調査です。くわしくは第2章から第4章にあります。
2025年4月から、すべての荷主に努力義務がかかっています
荷主は、運送の契約を結ぶ第一種荷主と、荷物を受け取る・引き渡す第二種荷主に分かれます。どちらも会社の大きさに関係ありません。
物流効率化法が改正され、2025年4月1日から、荷主と物流事業者に努力義務がかかりました。トラックの運転手の荷待ちや荷役の時間を減らし、運べる量を保つための法律です。
荷主は、法律の上で2つに分かれます。自社で運送の契約を結ぶ「第一種荷主」と、荷物を受け取ったり引き渡したりする「第二種荷主」です。
| 区分 | どんな会社か | 主な取り組み |
|---|---|---|
| 第一種荷主 | 自社で運送会社と運送の契約を結ぶ荷主 | 積載効率を上げる、荷待ちを減らす、荷役の時間を減らす |
| 第二種荷主 | 自社の施設で荷物を受け取る・引き渡す荷主 | 荷待ちを減らす、第一種荷主に協力する、検品などを速くする |
出典は国土交通省中部運輸局の説明資料と、荷主の判断基準の解説書です。
どちらの荷主にも、会社の大きさに関係なく努力義務があります。「努力義務」は、取り組むよう努めることが求められるもので、すぐに罰則があるものではありません。
判断基準には、パレットの導入と標準仕様パレットが書かれています
荷役の時間を減らす取り組みとして、パレットの導入と、1100×1100mmの標準仕様パレットの使用が挙げられています。
国は、荷主が取り組むことの中身を「判断基準」として決めました。第一種荷主の荷役の時間を減らす取り組みに、パレットの導入と標準仕様パレットの使用が書かれています。
判断基準の解説書では、「パレットその他の荷役の効率化に資する輸送用機具の導入」と、「標準仕様パレット(縦一・一メートル、横一・一メートルのパレットをいう。)その他の標準化された規格に適合するパレットを使用すること」が挙げられています。
あわせて、荷物の荷造りを積み降ろししやすくすることや、フォークリフトと作業員を適切に置くことも求められています。第二種荷主には、フォークリフトと作業員の配置や、検品を速くすることが求められています。
荷待ちと荷役は、1回の受け渡しで原則1時間以内が目標です
1時間以内
1回の受け渡しごとの、荷待ちと荷役の時間の目標(原則)
荷主の判断基準の解説書
2時間
例外を除き、この時間を超えないように短くするとされています
荷主の判断基準の解説書
44%
トラック全体の積載効率の目標(2028年度まで)。5割の車両では50%を目指します
荷主の判断基準の解説書
解説書には、ほかの目標も示されています。2028年度までに5割の運行で荷待ちなどを1時間減らし、運転手1人あたり年125時間短くする目標です。
パレットを使うと、どれだけ速くなるのか。政府広報の番組で紹介された例があります。人の手で2時間かかる積み降ろしが、パレットとフォークリフトなら30分かからずに済むとされています。
年9万トン以上の特定荷主には、計画と報告の義務があります
物流統括管理者の選任、中長期計画、定期報告の3つです。初めての中長期計画は2026年10月末が期限です。
2026年4月1日から、扱う貨物が多い荷主には、さらに義務がかかりました。前の年度に扱った貨物の重さが9万トン以上の荷主は「特定荷主」として、計画と報告の義務を負います。国土交通省の資料では、上位の約3,200社が当たるとされています。
| 義務 | 中身 |
|---|---|
| 物流統括管理者の選任 | 経営の判断をする役員などから選び、国に届け出ます |
| 中長期計画の提出 | 物流を効率よくするための計画です。内容が変わらなければ5年に1回でよいとされています |
| 定期報告 | 判断基準を守れているか、荷待ちの時間などを毎年報告します |
これからの提出の日付
初めての中長期計画の提出
初年度だけの期限です。2027年度からは7月末になります。
初めての定期報告の提出
判断基準を守れているかと、取り組みの状況を報告します。
特定荷主の届け出と指定の手続きは、2026年5月末までに行われました。取り組みが足りないと、国から勧告を受け、公表や命令に進むことがあります。
| 違反 | 罰則 |
|---|---|
| 国の命令に従わない | 100万円以下の罰金 |
| 届け出・計画・定期報告を出さない、うその報告をする | 50万円以下の罰金 |
| 物流統括管理者の届け出をしない | 20万円以下の過料 |
国の調査では、荷主の74%がパレットを使っていました
T11型の使用は61%でした。パレットを使っていない荷物は、積み降ろしが手作業のままです。
国土交通省・経済産業省・農林水産省は、荷主と物流事業者の取り組みを調べました。荷主と連鎖化事業者は約1,600社が答えています。荷役の時間を減らす取り組みでは、パレットの使用が74%、T11型の使用が61%でした。
74%
パレットの使用に取り組んでいる荷主
3省の調査(2025年11月〜2026年1月)
61%
標準仕様パレット(T11型)の使用に取り組んでいる荷主
3省の調査(2025年11月〜2026年1月)
81%
フォークリフトや人員の適切な配置に取り組んでいる荷主
3省の調査(2025年11月〜2026年1月)
裏を返すと、パレットを使っていない荷主もまだあります。調査の意見の中には、荷待ちが5時間を超える現場がまだあるという声も載っています。
パレットを使っていない荷物は、トラックへの積み降ろしが手作業になります。荷役の時間を減らすうえで、パレット化は手をつけやすい取り組みの1つです。
パレット化は、時間を測るところから4つの手順で進めます
時間を測り、手作業の荷物を洗い出し、届け先と受け取り方を決めてから、パレットを選びます。
パレット化は、いきなりパレットを買うところから始めないほうが、やり直しが少なくなります。時間を測り、荷物と届け先を確かめてから、パレットを決めます。
1. 今の荷待ちと荷役の時間を測る
トラックが着いてから荷役が始まるまでが荷待ちの時間です。荷役の始まりと終わりの時刻も記録します。
2. 手積み・手降ろしの荷物を洗い出す
どの荷物が、何人で、何分かかっているかを書き出します。時間の長い荷物から手をつけます。
3. 届け先と受け取り方を決める
パレットのまま受け取れるか、フォークリフトがあるか、空のパレットをどう返すかを決めます。
4. 使い方に合うパレットを選ぶ
取引先と行き来するならT11型のレンタル、社内だけや輸出で戻らないなら自社のパレット、という分け方があります。
届け先に聞くときは、次の文面をそのまま使えます。
コピペ枠:届け先への確認メール
「全文をコピー」を押すと、そのままメールに貼り付けられます。
件名:パレットでの納品についてのご相談
いつもお世話になっております。
荷役の時間を減らすため、今後の納品をパレットに載せたままお届けしたいと考えています。次の4点を教えていただけますでしょうか。
1. パレットのまま受け取っていただけるか(フォークリフトの有無)
2. 受け取れるパレットの大きさ(1100×1100mmのT11型でよいか)
3. 空のパレットの返却・回収の方法
4. 荷降ろしの場所と、受け付けの時間帯
お手数ですが、よろしくお願いいたします。
パレットを選ぶときに見るところ
大きさをそろえるなら、標準仕様パレット(1100×1100mm・高さ144〜150mm・最大積載質量1t)が目安になります。レンタルのT11型を入れるときの機器には、国の補助金があります。
規格標準仕様パレットとは?国交省が決めたT11型の寸法と岐阜プラで合う型1100×1100・高さ144〜150mm・1tの条件と、岐阜プラで合う42型をシリーズ別に並べています。
補助金標準パレット補助金で何が買える?国交省・レンタルT11型の条件と処分費補助は2分の1、上限1,000万円。対象になる機器と、対象外のパレット代を表で整理しています。載せる重さ、ハンドリフトの使い方、パレットがなくならない管理も、あわせて決めておきます。
よくある質問
中小企業の荷主にも義務はありますか。
すべての荷主に努力義務があります。計画や報告の義務があるのは、前の年度に扱った貨物の重さが9万トン以上の特定荷主です。
パレットを使わないと罰則がありますか。
パレットの使用は努力義務で、それだけで罰則はありません。特定荷主は、取り組みが足りないと国の勧告や命令を受けることがあり、命令に従わないと罰金があります。
どんなパレットを使えばよいですか。
判断基準では、標準仕様パレット(1100×1100mm)や、ほかの標準化された規格に合うパレットが挙げられています。取引先と行き来するか、社内だけで使うかで選び方が変わります。
荷待ちの時間は、どこからどこまでですか。
トラックが着いてから、荷役が始まるまでの時間です。国は、荷待ちと荷役を合わせて、1回の受け渡しごとに原則1時間以内を目標にしています。
特定荷主の中長期計画の期限はいつですか。
初年度は2026年10月末です。2027年度からは、毎年7月末が期限になります。内容が変わらなければ、5年に1回でよいとされています。
言葉の意味6語
- 物流効率化法
- 正式には「物資の流通の効率化に関する法律」です。2024年に改正され、2025年4月と2026年4月の2回に分けて施行されました。
- 第一種荷主
- 自社で運送会社と運送の契約を結ぶ荷主です。
- 第二種荷主
- 自社の施設で荷物を受け取ったり引き渡したりする荷主です。
- 特定荷主
- 前の年度に扱った貨物の重さが9万トン以上の荷主です。計画と報告の義務があります。
- 物流統括管理者
- 特定荷主が役員などから選ぶ、物流の責任者です。CLOとも呼ばれます。
- 標準仕様パレット
- 国土交通省が決めた、1100×1100mm・高さ144〜150mm・最大積載質量1tなどのパレットです。
出典・エビデンス一覧5件(公的機関5)
- 国土交通省 近畿運輸局「荷主の判断の基準の解説書」
- 国土交通省 中部運輸局 説明資料(2026年3月9日)
- 政府広報オンライン「新ルール導入!みんなで支えよう物流の効率化」
- 国土交通省・経済産業省・農林水産省「物流効率化に向けた荷主・物流事業者の取組状況の調査結果について」
- 国土交通省「パレット標準化に向けた取組について(パレット標準化推進分科会 最終とりまとめ)」
- ※内容は2026年10月28日時点の国土交通省などの公表によります
- ※法律の扱いは、個別の事情によって変わることがあります。自社が当たるかは国土交通省の案内で確かめてください
- ※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の判断を推奨するものではありません。
文:プラスチックパレット株式会社 編集部
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