法律と荷主の取り組み

改正物効法の荷主の努力義務とは?パレット化の進め方と国交省の基準

2026年10月29日 公開10月28日時点の国の公表によります読む時間 約7分

この記事の答え

何が起きた
改正物流効率化法で、2025年4月からすべての荷主に努力義務がかかりました。2026年4月からは、年9万トン以上の特定荷主に計画と報告の義務が始まりました。
パレットとの関係
荷主の判断基準に、パレットの導入と標準仕様パレット(1100×1100mm)の使用が入っています。荷役の時間を減らす取り組みの1つです。
確かめておくこと
1回の受け渡しで、荷待ちと荷役に何分かかっているかを測ります。国は原則1時間以内、長くても2時間以内を目標にしています。
次に見るところ
特定荷主は、初めての中長期計画を2026年10月末までに出します。初めての定期報告は2027年7月末です。
特定荷主の基準9万トン前の年度に扱った貨物の重さ
荷待ち・荷役の目標1時間以内1回の受け渡しごと(原則)
パレットを使う荷主74%3省の調査

出典は荷主の判断基準の解説書と、国土交通省など3省の調査です。くわしくは第2章から第4章にあります。

2025年4月から、すべての荷主に努力義務がかかっています

荷主は、運送の契約を結ぶ第一種荷主と、荷物を受け取る・引き渡す第二種荷主に分かれます。どちらも会社の大きさに関係ありません。

物流効率化法が改正され、2025年4月1日から、荷主と物流事業者に努力義務がかかりました。トラックの運転手の荷待ちや荷役の時間を減らし、運べる量を保つための法律です。

荷主は、法律の上で2つに分かれます。自社で運送の契約を結ぶ「第一種荷主」と、荷物を受け取ったり引き渡したりする「第二種荷主」です。

努力義務がかかる荷主の区分
区分どんな会社か主な取り組み
第一種荷主自社で運送会社と運送の契約を結ぶ荷主積載効率を上げる、荷待ちを減らす、荷役の時間を減らす
第二種荷主自社の施設で荷物を受け取る・引き渡す荷主荷待ちを減らす、第一種荷主に協力する、検品などを速くする

出典は国土交通省中部運輸局の説明資料と、荷主の判断基準の解説書です。

どちらの荷主にも、会社の大きさに関係なく努力義務があります。「努力義務」は、取り組むよう努めることが求められるもので、すぐに罰則があるものではありません。

判断基準には、パレットの導入と標準仕様パレットが書かれています

荷役の時間を減らす取り組みとして、パレットの導入と、1100×1100mmの標準仕様パレットの使用が挙げられています。

国は、荷主が取り組むことの中身を「判断基準」として決めました。第一種荷主の荷役の時間を減らす取り組みに、パレットの導入と標準仕様パレットの使用が書かれています。

判断基準の解説書では、「パレットその他の荷役の効率化に資する輸送用機具の導入」と、「標準仕様パレット(縦一・一メートル、横一・一メートルのパレットをいう。)その他の標準化された規格に適合するパレットを使用すること」が挙げられています。

あわせて、荷物の荷造りを積み降ろししやすくすることや、フォークリフトと作業員を適切に置くことも求められています。第二種荷主には、フォークリフトと作業員の配置や、検品を速くすることが求められています。

1

荷待ちと荷役は、1回の受け渡しで原則1時間以内が目標です

1時間以内

1回の受け渡しごとの、荷待ちと荷役の時間の目標(原則)

荷主の判断基準の解説書

2時間

例外を除き、この時間を超えないように短くするとされています

荷主の判断基準の解説書

44%

トラック全体の積載効率の目標(2028年度まで)。5割の車両では50%を目指します

荷主の判断基準の解説書

解説書には、ほかの目標も示されています。2028年度までに5割の運行で荷待ちなどを1時間減らし、運転手1人あたり年125時間短くする目標です。

パレットを使うと、どれだけ速くなるのか。政府広報の番組で紹介された例があります。人の手で2時間かかる積み降ろしが、パレットとフォークリフトなら30分かからずに済むとされています。

年9万トン以上の特定荷主には、計画と報告の義務があります

物流統括管理者の選任、中長期計画、定期報告の3つです。初めての中長期計画は2026年10月末が期限です。

2026年4月1日から、扱う貨物が多い荷主には、さらに義務がかかりました。前の年度に扱った貨物の重さが9万トン以上の荷主は「特定荷主」として、計画と報告の義務を負います。国土交通省の資料では、上位の約3,200社が当たるとされています。

特定荷主の3つの義務
義務中身
物流統括管理者の選任経営の判断をする役員などから選び、国に届け出ます
中長期計画の提出物流を効率よくするための計画です。内容が変わらなければ5年に1回でよいとされています
定期報告判断基準を守れているか、荷待ちの時間などを毎年報告します

これからの提出の日付

2026年10月末

初めての中長期計画の提出

初年度だけの期限です。2027年度からは7月末になります。

2027年7月末

初めての定期報告の提出

判断基準を守れているかと、取り組みの状況を報告します。

特定荷主の届け出と指定の手続きは、2026年5月末までに行われました。取り組みが足りないと、国から勧告を受け、公表や命令に進むことがあります。

特定荷主の主な罰則(解説書より)
違反罰則
国の命令に従わない100万円以下の罰金
届け出・計画・定期報告を出さない、うその報告をする50万円以下の罰金
物流統括管理者の届け出をしない20万円以下の過料

国の調査では、荷主の74%がパレットを使っていました

T11型の使用は61%でした。パレットを使っていない荷物は、積み降ろしが手作業のままです。

国土交通省・経済産業省・農林水産省は、荷主と物流事業者の取り組みを調べました。荷主と連鎖化事業者は約1,600社が答えています。荷役の時間を減らす取り組みでは、パレットの使用が74%、T11型の使用が61%でした。

74%

パレットの使用に取り組んでいる荷主

3省の調査(2025年11月〜2026年1月)

61%

標準仕様パレット(T11型)の使用に取り組んでいる荷主

3省の調査(2025年11月〜2026年1月)

81%

フォークリフトや人員の適切な配置に取り組んでいる荷主

3省の調査(2025年11月〜2026年1月)

裏を返すと、パレットを使っていない荷主もまだあります。調査の意見の中には、荷待ちが5時間を超える現場がまだあるという声も載っています。

パレットを使っていない荷物は、トラックへの積み降ろしが手作業になります。荷役の時間を減らすうえで、パレット化は手をつけやすい取り組みの1つです。

パレット化は、時間を測るところから4つの手順で進めます

時間を測り、手作業の荷物を洗い出し、届け先と受け取り方を決めてから、パレットを選びます。

パレット化は、いきなりパレットを買うところから始めないほうが、やり直しが少なくなります。時間を測り、荷物と届け先を確かめてから、パレットを決めます。

1. 今の荷待ちと荷役の時間を測る

トラックが着いてから荷役が始まるまでが荷待ちの時間です。荷役の始まりと終わりの時刻も記録します。

2. 手積み・手降ろしの荷物を洗い出す

どの荷物が、何人で、何分かかっているかを書き出します。時間の長い荷物から手をつけます。

3. 届け先と受け取り方を決める

パレットのまま受け取れるか、フォークリフトがあるか、空のパレットをどう返すかを決めます。

4. 使い方に合うパレットを選ぶ

取引先と行き来するならT11型のレンタル、社内だけや輸出で戻らないなら自社のパレット、という分け方があります。

届け先に聞くときは、次の文面をそのまま使えます。

コピペ枠:届け先への確認メール

「全文をコピー」を押すと、そのままメールに貼り付けられます。

件名:パレットでの納品についてのご相談

いつもお世話になっております。
荷役の時間を減らすため、今後の納品をパレットに載せたままお届けしたいと考えています。次の4点を教えていただけますでしょうか。

1. パレットのまま受け取っていただけるか(フォークリフトの有無)
2. 受け取れるパレットの大きさ(1100×1100mmのT11型でよいか)
3. 空のパレットの返却・回収の方法
4. 荷降ろしの場所と、受け付けの時間帯

お手数ですが、よろしくお願いいたします。

パレットを選ぶときに見るところ

大きさをそろえるなら、標準仕様パレット(1100×1100mm・高さ144〜150mm・最大積載質量1t)が目安になります。レンタルのT11型を入れるときの機器には、国の補助金があります。

載せる重さ、ハンドリフトの使い方、パレットがなくならない管理も、あわせて決めておきます。

よくある質問

中小企業の荷主にも義務はありますか。

すべての荷主に努力義務があります。計画や報告の義務があるのは、前の年度に扱った貨物の重さが9万トン以上の特定荷主です。

パレットを使わないと罰則がありますか。

パレットの使用は努力義務で、それだけで罰則はありません。特定荷主は、取り組みが足りないと国の勧告や命令を受けることがあり、命令に従わないと罰金があります。

どんなパレットを使えばよいですか。

判断基準では、標準仕様パレット(1100×1100mm)や、ほかの標準化された規格に合うパレットが挙げられています。取引先と行き来するか、社内だけで使うかで選び方が変わります。

荷待ちの時間は、どこからどこまでですか。

トラックが着いてから、荷役が始まるまでの時間です。国は、荷待ちと荷役を合わせて、1回の受け渡しごとに原則1時間以内を目標にしています。

特定荷主の中長期計画の期限はいつですか。

初年度は2026年10月末です。2027年度からは、毎年7月末が期限になります。内容が変わらなければ、5年に1回でよいとされています。

言葉の意味6語
物流効率化法
正式には「物資の流通の効率化に関する法律」です。2024年に改正され、2025年4月と2026年4月の2回に分けて施行されました。
第一種荷主
自社で運送会社と運送の契約を結ぶ荷主です。
第二種荷主
自社の施設で荷物を受け取ったり引き渡したりする荷主です。
特定荷主
前の年度に扱った貨物の重さが9万トン以上の荷主です。計画と報告の義務があります。
物流統括管理者
特定荷主が役員などから選ぶ、物流の責任者です。CLOとも呼ばれます。
標準仕様パレット
国土交通省が決めた、1100×1100mm・高さ144〜150mm・最大積載質量1tなどのパレットです。
出典・エビデンス一覧5件(公的機関5)
  • ※内容は2026年10月28日時点の国土交通省などの公表によります
  • ※法律の扱いは、個別の事情によって変わることがあります。自社が当たるかは国土交通省の案内で確かめてください
  • ※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の判断を推奨するものではありません。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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