暮らしと制度 / 情報セキュリティ

情報漏洩のお詫びは何がもらえる?Yahoo!BB・ベネッセの500円から快活CLUBの補償なしまで

Googleで「情報漏洩 補償」と入れると、会社名つきの検索候補がいくつも出ます。お詫びの品はもらえるのか、もらえないならなぜなのか。アフラック、損保ジャパン、快活CLUBなど6社の公表と、Yahoo!BBやベネッセが500円の金券を配った過去の例をもとに、会社ごとの対応の違いを整理しました。補償や返金を名乗る偽の連絡への注意もあわせてまとめています。

初版公開: / 最終更新: / プラスチックパレット株式会社

ANSWER

当社が確かめた範囲では、検索されている6社のどれも、漏えいのお詫びとして金券やポイントを配ったとは公表していません。快活CLUBは「個別の補償は予定しておりません」と明言しています。過去にはYahoo!BBやベネッセが500円の金券を配りました。お詫びの品とは別に、カードの不正利用などの実害は戻ることがあります。

検索されている6社

0社

漏えいのお詫びに金券やポイントを配ったと公表した会社(2026年10月11日に当社確認)

過去の金券の額

500円

Yahoo!BB(2004年)、ベネッセ(2014年)など

許せる金額の中央値

5,000円

QUOカード社の調査(2021年、400人)。受け取った額の中央値は500円

この記事の要点

  • 「情報漏洩 補償」で一緒に検索されている会社は、アフラック、フォトクリエイト(スナップスナップ)、はいチーズ!フォト、損保ジャパン、Peatix、快活CLUBです。6社とも、漏えいのお詫びとして金券やポイントを配ったという公表は見当たりませんでした。
  • 「補償しない」と公式に明言しているのは快活CLUBだけで、FAQに「個別の補償は予定しておりません」とあります。はいチーズ!フォトは、実害が生じた場合に個別の状況を確認するとしています。ほかの4社は、公表文に補償の記載がありません。
  • 過去には、Yahoo!BB(2004年)が全会員に、ベネッセ(2014年)が対象者に500円分の金券を配りました。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の報告も、お詫びの券面額は500円とすることが多いとしています。
  • お詫びの品とは別に、実害の分が戻ることがあります。カードの不正利用はカード会社が規約に基づいて請求を取り消す仕組みがあり、不正に使われたポイントを会社が全額補填した例もあります。
  • 「補償の手続き」や「返金」を名乗って、口座やカードの番号を聞き出す手口に注意が要ります。松井証券は補償をメールで案内しないと明記し、Eストアーは返金を理由にカード情報を求められても応じないよう呼びかけています。

会社はお詫びに何を出してきたか

会社名で「情報漏洩 補償」と調べられている6社の対応と、過去に金券を配った例を並べます。観光庁は2016年、補償は各社の経営判断との考えを示しており、お詫びの品を出すかどうかは会社ごとに違います。

検索されている6社の対応

Googleで「情報漏洩 補償」と入れると、アフラック、フォトクリエイト、はいチーズ、スナップスナップ、損保ジャパン、Peatix、快活クラブが候補に出ます(2026年10月11日に当社確認)。スナップスナップはフォトクリエイトが運営するサービスのため、6社になります。各社の公表文とFAQで、お詫びの品と補償の書き方を確かめました。

会社(公表)件数お詫びの品・補償についての公表
アフラック生命保険(2026年6月30日)約440万人記載なし。お詫びとお願いの文書を7月に送付
損保ジャパン(2025年4月25日)約337万件ほか記載なし。7月末以降、順次個別に連絡
快活CLUB(2025年1月)729万87件「個別の補償は予定しておりません」(FAQ)
はいチーズ!フォト(2026年6月5日)公表なし一律のお詫びの品の記載なし。実害が生じた場合は個別の状況を確認
フォトクリエイト・スナップスナップ(2025年7月31日)公表なし記載なし。パスワードの変更を必須に
Peatix(2020年11月17日)最大677万件記載なし。全アカウントのパスワードをリセット

出典:各社の公表文・FAQ(2026年10月11日に確認)。件数は各社の公表によります。損保ジャパンは氏名・連絡先・証券番号がそろうデータの件数で、ほかに氏名のみなどのデータがあります。快活CLUBの件数は第五報(2025年3月17日)、アフラックは第二報(2026年7月13日)によります。「記載なし」は、公表文とFAQにお詫びの品や補償の記載が見当たらないという意味で、補償しないと明言したものではありません。

「補償しない」とはっきり書いているのは快活CLUBだけです。FAQで「個別の補償は予定しておりません」としています。はいチーズ!フォトを運営する千は、6月11日の報告では「お詫びの方法を含む」対応を検討するとしていましたが、7月31日の報告では、実害が生じた場合の補償について個別の状況を確認するという書き方になっています。

アフラックは約440万人のうち約22万人について保険料の振替口座の情報も漏れましたが、公表文とFAQにあるのは、お詫びとお願いの文書を送ったことと、不審な連絡への注意です。損保ジャパン、フォトクリエイト、Peatixも、公表文にお詫びの品や補償の記載はありません。損保ジャパンは2026年10月7日にも、委託先のシステムへの不正アクセスで約6万件の情報が漏れたおそれがあると公表しましたが、この公表にも補償の記載はありません。

過去に金券を配った会社

一方で、以前は漏えいのお詫びに金券を配る会社がありました。代表的な例を年の順に並べます。

会社(年)対象渡したもの
ローソン(2003年)ローソンパス会員(約56万件)お詫び状と商品券(金額は公式ページに記載なし)
Yahoo!BB(2004年)全会員(漏えいは451万7,039件)500円相当の金券
ソニー PlayStation Network(2011年)4月21日以前に登録した利用者ゲーム4本、PlayStation Plusの30日無料などのパッケージ
ベネッセ(2014年)対象者(推計約2,895万件)500円分の金券(電子マネーか図書カード。寄付も選べる)
日本航空(2015年)マイレージ会員4,131人500円相当のQUOカードなど(報道)
デジタ(2022年)累計36,173名QUOカード500円分(報道)

出典:ローソン 社長メッセージ(2003年6月26日)、INTERNET Watch(2004年2月27日、2011年5月)、ITmedia(2014年9月10日)、Aviation Wire(2015年1月22日)、ScanNetSecurity(2022年6月2日)。報道と書いたものは会社の公表を直接は確かめていません。

額は500円がよく使われてきました。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の「インシデント損害額調査レポート」(2021年)も、お詫びの品の券面額は500円とすることが多いとしています。同じレポートは、500円の金券を「自分の個人情報の価値は500円なのか」と否定的に受け止める人もいると書いています。

この章の結論

検索されている6社は、漏えいのお詫びとして金券やポイントを配ったと公表していません。補償しないと明言しているのは快活CLUBだけです。過去にはYahoo!BBやベネッセが500円の金券を配りました。

お詫びの金券がないとき、何が戻るのか

2023年以降の漏えいで、一般向けに金券を配ったと公式に発表した民間の例は、当社の調べでは見つかりませんでした。今回確かめた6社の公表文に見られるのは、「実害が出た場合」の対応です。

一律のお詫びから、実害への個別の対応へ

ITmediaは2024年8月の記事で、漏えいのお詫びに金券を配る例をほとんど聞かなくなったと書いています。今回確かめた6社でも、公表文にあるのは、お詫びの文書や個別の連絡、パスワードの変更、実害が生じた場合の個別の確認です。

件数が数百万件になると、500円でも総額は大きくなります。Yahoo!BBは金券の配布に40億円程度かかると報じられ、ベネッセは補償の原資として200億円を用意したと報じられました。一律の金券は、漏れた情報の中身や実害の有無にかかわらず同じ額になるため、実害がある人への個別の対応に重きを置く会社が多いのではないか、というのが当社の見方です。

受け取る側の受け止めは、また別です。QUOカード社が2021年12月に行った調査(ビジネスパーソンと消費者の計400人)では、個人情報の漏えいで「許せる」金額の中央値は5,000円、消費者が実際に受け取った額の中央値は500円でした。金券を発行する会社の調査である点は割り引いて読む必要があります。

なお、快活CLUBは漏えいへの個別の補償はしないとする一方で、会員アプリの機能を止めた期間のお詫びとして、300ポイントのクーポン2枚を配っています。漏えいそのものへの補償ではなく、サービスを止めたことへのお詫びです。

お詫びの品とは別に戻るお金

お詫びの品が出なくても、実際に損をした分は戻ることがあります。身近なのは、クレジットカードの不正利用です。JCBは、第三者による不正利用と認められれば会員規約に基づいて請求を取り消すとしています。届け出の期限は、利用明細の通知から60日以内です。暗証番号が使われた場合や、家族による利用などは対象外になることがあります。

会社が損失を補った例もあります。2019年のセブン・ペイ(7pay)では、不正利用の被害808人、3,861万5,473円(7月31日時点)について、8月19日から補償が始まったと報じられました。2026年10月には、アンケートサイトinfoQを運営するGMOリサーチ&AIが、不正にAmazonギフトコードに交換されたポイント611件、286万9,500円分を全額補填するとしています。

カードの番号が漏れて再発行が必要になった場合、駿河屋は、利用者が再発行の手数料を負担しないようカード会社に依頼していると案内しています。お詫びの品の有無とは別に、実害がある場合の扱いを公表文やFAQで確かめておくと、損をしにくくなります(当社の見方)。

この章の結論

今回確かめた6社の公表文にあるのは、一律の金券ではなく、実害が出た人への個別の対応です。カードの不正利用はカード会社の規約で請求が取り消される仕組みがあり、会社が不正利用の分を補った例もあります。

「お詫び」「補償」をかたる詐欺と、受け取るときの注意

漏えいのあとには、お詫びや補償、返金を名乗る偽の連絡が出てきます。また、お詫びの金券を受け取ると裁判で何も請求できなくなるのでは、と心配する人もいます。

補償や返金を名乗る偽の連絡

2014年のベネッセの漏えいのあと、国民生活センターは、「流出した名簿にあなたの名前がある」などと言って金銭を求める不審な電話に注意を呼びかけました。「個人情報を削除してあげます」と持ちかける手口も、自治体の消費生活センターが紹介しています。

2020年には象印が、流出の対象になった客から、他社の通販サイトを装ってギフトカードの当選をうたう偽のメールが届いたという問い合わせがあったとして、注意を呼びかけました。2025年には、松井証券が補償の手続きを案内する偽のメールを確認したとして、補償をメールで案内しないと明記しました。2026年8月には、Eストアーが、再決済や本人確認、返金を理由にカード情報の入力を求められても応じないよう呼びかけています。

国民生活センターも、払戻し金や示談金を名目にした手口をまとめています。個別の手紙だけで知らせる会社もあるため、届いた連絡が本物か迷ったら、メールやSMSに書かれた番号やリンクではなく、自分で開いた公式サイトの窓口に問い合わせると防ぎやすくなります(当社の見方)。

金券を受け取ると、裁判で請求できなくなるのか

ベネッセの漏えいをめぐる裁判では、500円の金券を受け取った人の請求も認められています。岩田合同法律事務所による判決の整理では、2019年6月27日の東京高裁判決(1人2,000円)が、金券の配布を「事後的に慰謝の措置が講じられていること」として、慰謝料を考える事情の一つにしています。2019年11月20日の大阪高裁判決(1人1,000円)も、会社の対応の内容を考慮しています。

つまり、金券で損害がすべて埋め合わされたとはされていませんが、慰謝料の額を考えるときの事情の一つとして考慮されたことがあります。2006年のYahoo!BBの訴訟(大阪地裁)では1人6,000円の支払いが命じられ、慰謝料を考えるうえで全会員への500円の金券が考慮されたと解説されています。個別の事案でどうなるかは、弁護士に相談してください。

裁判で認められた慰謝料の額と、タイムズカーの集団訴訟の動きは、第1弾の記事で詳しく整理しています。

この章の結論

補償や返金を名乗って口座やカード番号を聞き出す連絡は、過去の漏えいのあとにも出ています。お詫びの金券を受け取っても裁判で請求は認められていますが、慰謝料の額を考える事情の一つとされたことがあります。

漏えいの連絡が届いた人が今できる3つのこと

各社の公表文、カード会社の案内、国民生活センターなどの注意喚起をもとにまとめました。お詫びの品が出るかどうかより先に、損をしないための確認を優先します。

会社の公式サイトで、お知らせとFAQを確かめる

お詫びの品や補償の有無、実害が出たときの窓口は、会社の公式サイトのお知らせやFAQに書かれます。メールやSMSのリンクではなく、ブックマークや検索から自分で開いた公式サイトで確かめます。

補償や返金を名乗る連絡に、口座番号・カード番号・暗証番号を伝えない

「補償の手続き」「返金」「名簿から削除」などを理由に、番号や暗証番号を聞かれても答えません。心配なときは、いったん連絡を切り、公式サイトに載っている窓口に自分からかけ直します。

身に覚えのない請求は、すぐにカード会社と会社の窓口に届け出る

カードの利用明細を見て、身に覚えのない請求があれば、カードの裏面の番号からカード会社に連絡します。JCBの場合、届け出の期限は利用明細の通知から60日以内です。漏えいした会社の窓口にも、実害が出たことを伝えておきます。

よくある質問

情報漏洩のお詫びに金券はもらえますか
お詫びの品を出すかどうかは各社の判断で、決まった額はありません。当社が確かめた検索候補の6社は、漏えいのお詫びとして金券やポイントを配ったと公表していません。過去にはYahoo!BBやベネッセが500円の金券を配りました。
快活CLUBの情報漏洩で補償はありますか
快活CLUBはFAQで「個別の補償は予定しておりません」としています。会員アプリの機能を止めた期間のお詫びとして300ポイントのクーポン2枚を配りましたが、これは漏えいへの補償ではありません。
アフラックや損保ジャパンの情報漏洩で補償はありますか
2026年10月11日時点で、両社の公表文とFAQにお詫びの品や補償の記載は見当たりません。補償しないと明言しているわけでもないため、最新の状況は各社の公式サイトで確かめてください。
お詫びの金券を受け取ると、裁判で請求できなくなりますか
ベネッセの漏えいをめぐる裁判では、500円の金券を受け取った人の請求も認められています。ただし、金券の配布が慰謝料の額を考える事情の一つとされた判決があります。個別の事案は弁護士に相談してください。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
当社もタイムズカーの法人会員として漏えいの連絡を受け、情報漏洩の補償についての記事を公開しました。会社名で補償を調べる検索が多く見られたため、各社の公表を確かめて続編として整理しました。
出典・エビデンス一覧35件(会社・団体の公表20・報道・解説15)

会社・団体の公表

報道・解説

当社の関連記事

  • ※各社の公表文とFAQは2026年10月11日に確認しました。その後に補償やお詫びの品が発表される可能性があります。
  • ※「記載なし」は、公表文とFAQにお詫びの品や補償の記載が見当たらないという意味で、各社が補償しないと明言したものではありません。
  • ※「当社の見方」と書いた部分は、公表資料をもとにした当社の整理です。
  • ※本稿は情報提供を目的としたもので、法律上の判断が必要なときは弁護士に、被害が疑われるときは警察や消費生活センター、カード会社に相談してください。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

「情報漏えい・サイバー攻撃」の新しい記事

「情報漏えい・サイバー攻撃」の記事をすべて見る(15本)

ほかのテーマ:テーマから探す

この記事は役に立ちましたか?
押すだけで送信されます。内容の改善に使います(個人を特定する情報は集めません)
トップへ戻る