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Supply Chain Report / IPHONE 18 PRO PRICING

iPhone 18 Proの値上げはいくらか、219,800円が税関公示レート159円で説明できなくなった9月

2026年9月12日、iPhone 18 Proの予約が始まりました。256GBで219,800円。この価格を米国のSIMフリー価格1,199ドルで割り戻すと、1ドル166.65円という換算レートが出ます。同じ週の税関長公示レートは159.12円。7.53円の開きです。7月の価格改定では、同じ計算の開きが0.22%しかありませんでした。

初版公開: / 最終更新: / プラスチックパレット株式会社

ANSWER

iPhone 18 Pro 256GBは219,800円です。米国のSIMフリー価格1,199ドルから逆算した換算レートは166.65円で、同じ週の税関長公示レート159.12円を7.53円上回ります。7月18日の改定では乖離が0.22%でしたが、今回は4.73%。同じ日のiPhone 16は実勢レートとほぼ一致しています。

iPhone 18 Pro 256GB の日本価格

219,800

米国SIMフリー1,199ドル。2026年9月12日にApple公式で確認

日本価格から逆算した換算レート

166.65

税抜に直して米国価格で割った当社の算出値。公示レートを7.53円上回る

公示レートとの乖離(7月→9月)

21.6

0.22%から4.73%へ。いずれも当社の算出値

この記事の要点

  • iPhone 18 Pro 256GBは219,800円、Pro Max 256GBは239,800円。米国のSIMフリー価格はそれぞれ1,199ドル、1,299ドルで、日本価格を税抜に直して割り戻すと166.65円、167.82円という換算レートが出ます。
  • 2026年9月6日から12日に適用された税関長公示レートは159.12円。iPhone 18 Pro 256GBの換算レートはこれを7.53円、率にして4.73%上回ります。
  • 2026年7月18日の改定では、同じ計算で出た162.476円が公示レート162.12円と0.22%しか違いませんでした。9月の4.73%は、その21.6倍にあたります。
  • 同じ日に売られているiPhone 16 128GBの換算レートは153.31円で、9月11日の実勢終値153.6150円と0.20%しか違いません。機種による開きは14.52円あります。
  • 公示レートは8月2日週の163.16円から9月13日週の158.81円へ4.35円の円高方向に動きました。同じ期間にiPhoneの換算レートは4.18円の円安方向へ動いています。向きが逆です。

2026年9月10日から12日に、Appleの日本価格で起きたこと

3日のあいだに2つのことが起きています。既存モデルの値上げと、新機種の発表です。順番が逆に見えますが、価格の構造を読むうえでは既存モデルのほうが先に効きます。

2026年9月10日、Appleは日本でiPhone Air、iPhone 17、iPhone 17e、iPhone 16の価格を引き上げました。その2日後の9月12日午後9時から、iPhone 18 ProとiPhone 18 Pro Maxの予約が始まっています。

本稿は、この2つを同じ物差しで測ります。物差しは「日本価格を米国価格で割り戻して出る換算レート」です。当社は以前、この物差しで7月の価格改定を測り、税関長公示レートとほぼ一致するという結果を得ました。今回は同じ物差しを9月の数字に当てます。

9月10日、発表のない既存モデルの価格改定

対象は4機種8構成です。改定前後の価格は次のとおりです。

金額はいずれも税込。率は当社の計算です。

機種容量改定前改定後差額
iPhone Air256GB177,800189,800+12,000+6.75
iPhone Air512GB212,800224,800+12,000+5.64
iPhone Air1TB247,800294,800+47,000+18.97
iPhone 17256GB142,800159,800+17,000+11.90
iPhone 17512GB177,800194,800+17,000+9.56
iPhone 17e256GB107,800124,800+17,000+15.77
iPhone 17e512GB142,800159,800+17,000+11.90
iPhone 16128GB124,800139,800+15,000+12.02

出典:iPhone Mania(2026年9月10日)およびマイナビニュース(同日)。両誌の表は8構成すべてで一致しました。差額と率は当社の計算です。ギズモード・ジャパン(同日)が掲載した最小構成の価格とも整合しています。なお当社はApple自身による改定の告知を確認できていません。
この表に換算レートの列は置いていません。改定前の日本価格は、当時の米国価格に対して決められたものです。そこへ現在の米国価格を当てると、たとえばiPhone 17の142,800円は本来162.48円のところ139.74円となり、22.74円ずれます。当社はiPhone Air・iPhone 16・iPhone 17eについて改定前時点の米国価格を確認できていないため、この表は日本価格の変化だけを示しています。

金額で最も大きいのはiPhone Air 1TBの47,000円、率で最も大きいのはiPhone 17eの256GBで15.77%です。iPhone 17の256GBは17,000円上がって159,800円になりました。

2か月で2回目の改定にあたります

iPhone 17の256GBは、2025年の発売時に129,800円でした。2026年7月18日に142,800円へ、9月10日に159,800円へと動いています。発売時からの上げ幅は30,000円です。iPhone Maniaは、iPhone 17eについて2か月で税込25,000円上がったと報じています。

iPhone 17 ProシリーズとiPhone 16 Plusが販売終了になったとする記述は、iPhone Maniaにのみありました。当社はApple公式ページでこの2機種の取り扱いを直接確認していません。

9月12日、iPhone 18 Proの価格

まず名称について、ひとつ確認しておきます。無印の「iPhone 18」は存在しません。Apple公式の2026年9月時点のラインナップは、iPhone Duo、iPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Max、iPhone Air、iPhone 17、iPhone 17e、iPhone 16の7機種です。当社が「iphone-18」のURLを開いたところ、日本版はHTTP 503、米国版はHTTP 404を返しました。

iPhone 18 Proは6.3インチ、iPhone 18 Pro Maxは6.9インチで、購入ページは1本にまとまっています。最小構成は256GBで、128GBの設定はありません。色による価格差はゼロでした。

予約開始は日本時間の9月12日午後9時、米国は同日午前5時(太平洋時間)です。iPhone Duoの予約は10月16日からとされています。

この章の結論

2026年9月の日本市場では、既存モデルの値上げと新機種の投入が同じ週に起きました。両者を同じ物差しで測れば、価格がどこで決まっているかを比べられます。

7月に成立した説明を、9月のデータで検算する

当社は7月に、iPhoneの日本価格が税関長公示レートでほぼ説明できることを確かめました。同じ式に9月の数字を入れると、説明が効かなくなります。

逆算のしかたと、7月に出た答え

式は単純です。日本価格を1.1で割って税抜に直し、それを米国のSIMフリー価格で割ります。出てくるのは「Appleがこの機種の日本価格を決めるときに使ったとみられる換算レート」です。本稿ではこれを換算レートと呼びます。

  1. 日本価格(税込)を1.1で割り、税抜価格を出す。
  2. 税抜価格を、米国のSIMフリー価格(ドル)で割る。
  3. 出た数値を、同じ週の税関長公示レートおよび実勢レートと比べる。

米国の一覧価格をそのまま使うと、答えが狂います

Apple米国の一覧ページに出る「From ○○ドル」には、キャリア契約を条件とする30ドルの割引が含まれている機種があります。対象はiPhone 17とiPhone 16の2機種で、脚注に次の記載があります。

Pricing for iPhone 17 includes a $30 connectivity discount that requires carrier activation with AT&T, T-Mobile, or Verizon. Apple公式サイト(米国)iPhone購入ページ脚注 2026年9月12日に当社が参照

iPhone 17は一覧で899ドル、SIMフリーでは929ドルです。当社はSIMフリー価格のみを計算に使っています。iPhone 18 Pro、iPhone Air、iPhone Duoにはこの脚注が付いていません。

7月18日の改定に、この式を当てるとこうなります。iPhone 17の256GBは142,800円、当時の米国SIMフリー価格は799ドルでした。

142,800 ÷ 1.1 ÷ 799 = 162.476円

この改定日を含む週に適用されていた税関長公示レートは162.12円です。差は0.356円、率にして0.22%。ほぼ一致していました。当社はこれをもって「Appleの日本価格は税関長公示レートで説明できる」と書きました。

一致したことと、それを使っていることは別です

ここで言葉を正確にしておきます。公示レートは、当社が外から当てている物差しにすぎません。Appleがこのレートを見て日本価格を決めていると当社が確認したわけではなく、Appleがそう説明したこともありません。7月に一致したのは観測された事実ですが、一致は因果の証明にはなりません。本稿が「説明できる/できない」と書くとき、それは当社の物差しが当たるかどうかという意味です。価格決定の内部については、当社は何も知りません。

同じ式に9月の数字を入れる

iPhone 18 Pro 256GBは219,800円、米国SIMフリー価格は1,199ドルです。

219,800 ÷ 1.1 ÷ 1,199 = 166.654円

予約開始日の9月12日を含む週、つまり2026年9月6日から9月12日に適用された税関長公示レートは159.12円です。差は7.534円、率にして4.73%

7月の0.22%に対して、9月は4.73%。21.6倍に開いています。

7月の照合に使った162.12円は、当社の既存記事が採用した値です。適用期間は2026年7月19日から7月25日にあたります。7月18日が属する週(7月12日〜18日)の公示レートは162.11円で、こちらを使っても乖離は0.23%となり、結論は変わりません。既存記事との一貫性を優先して162.12円で統一しました。

この章の結論

7月には公示レートで説明できた日本価格が、9月の新機種では説明できません。乖離は0.22%から4.73%へ、21.6倍に開いています。

同じ日の売り場で、機種によって14.52円の開きがある

換算レートを機種ごとに並べると、ばらつきが一定の方向を向いていることが分かります。新機種は公示レートより上、継続モデルは下です。

2026年9月12日時点で買える全機種について、同じ式で換算レートを出しました。米国価格はすべてSIMフリー価格です。

網掛けは今回の新機種(iPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Max、iPhone Duo)。単位は日本=円、米国=ドル、換算レートと差=円。

機種容量日本米国暗黙レート公示との差
iPhone 18 Pro256GB219,8001,199166.65+7.53
iPhone 18 Pro512GB254,8001,399165.57+6.45
iPhone 18 Pro1TB324,8001,799164.13+5.01
iPhone 18 Pro2TB429,8002,399162.87+3.75
iPhone 18 Pro Max256GB239,8001,299167.82+8.70
iPhone 18 Pro Max512GB274,8001,499166.66+7.54
iPhone 18 Pro Max1TB344,8001,899165.06+5.94
iPhone 18 Pro Max2TB449,8002,499163.63+4.51
iPhone Duo256GB364,8001,999165.90+6.78
iPhone Air256GB189,8001,099157.00-2.12
iPhone Air512GB224,8001,299157.32-1.80
iPhone Air1TB294,8001,699157.74-1.38
iPhone 17256GB159,800929156.38-2.74
iPhone 17512GB194,8001,129156.86-2.26
iPhone 16128GB139,800829153.31-5.81

出典:Apple公式サイト(日本・米国)を2026年9月12日に当社が直接参照。換算レートと公示レートとの差は当社の計算です。公示レートは2026年9月6日〜9月12日適用の159.12円を使いました。

新機種3つはいずれも公示レートを上回ります。iPhone 18 Pro Max 256GBが167.82円で最も高く、公示レートを8.70円上回ります。

一方、継続モデルはすべて公示レートを下回ります。最も低いのがiPhone 16 128GBの153.31円で、公示レートより5.81円低い。

上端と下端の開きは14.52円です。同じ日に、同じ会社が、同じ通貨で売っている製品のあいだに、これだけの幅があります。

この14.52円が平時と比べて大きいのかどうかを、当社は判断できません。過去の世代について同じ計算を行っておらず、比較できる基準値を持っていないためです。本稿で言えるのは、2026年9月12日時点で機種間にこれだけの幅がある、ということまでです。

iPhone 16は実勢レートとほぼ一致している

ここが本稿でいちばん確かめておきたい点です。iPhone 16 128GBの換算レート153.31円を、公示レートではなく実勢レートと比べます。

2026年9月11日のドル円終値は153.6150円でした。iPhone 16の換算レートとの差は0.309円、率にして0.20%です。

実勢レートで各機種を換算し、実際の価格と比べたものが次の表です。

機種容量実勢レート換算実際の価格
iPhone 18 Pro256GB202,603219,800+17,197
iPhone 18 Pro512GB236,398254,800+18,402
iPhone 18 Pro1TB303,989324,800+20,811
iPhone 18 Pro2TB405,375429,800+24,425
iPhone 18 Pro Max256GB219,500239,800+20,300
iPhone 18 Pro Max512GB253,296274,800+21,504
iPhone 18 Pro Max1TB320,886344,800+23,914
iPhone 18 Pro Max2TB422,272449,800+27,528
iPhone Duo256GB337,784364,800+27,016
iPhone Air256GB185,705189,800+4,095
iPhone Air512GB219,500224,800+5,300
iPhone Air1TB287,091294,800+7,709
iPhone 17256GB156,979159,800+2,821
iPhone 17512GB190,774194,800+4,026
iPhone 16128GB140,082139,800−282

出典:価格はApple公式サイト(日本・米国)、ドル円はTrading Economics(2026年9月11日終値153.6150円)。いずれも当社が直接参照しました。換算と差額は当社の計算で、税込にするため1.1を掛けています。

iPhone 16 128GBだけがマイナス282円、つまり実勢レートで換算した額をわずかに下回っています。iPhone 18 Pro 256GBは17,197円上回り、iPhone 18 Pro Max 256GBは20,300円上回ります。

Trading Economicsの同じページ内で、上部のティッカー表示は153.491、本文の記述は153.6150となっており、値が食い違っていました。日付基準の終値として153.6150を採用しています。また、日本のApple表示価格が税込である旨の明示的な文言を、当社はページ本文から取得できていません。消費税率10%を前提に計算しています。

容量が大きいほど換算レートが下がる

もうひとつ、表を縦に見ると気づくことがあります。iPhone 18 Proの換算レートは、256GBの166.65円から2TBの162.87円まで、容量が増えるにつれて下がっていきます。差は3.78円。Pro Maxでも同じ傾向が出ています。

一律の換算レートで機械的に価格を作っているなら、この差は出ません。価格帯ごとに丸めが入っていることを示唆します。ただしこれは当社の観測であって、Appleの説明ではありません。

為替を先に固定しているのではないか、という見方について

ここまでの数字を見た方が最初に思い浮かべるのは、おそらく「Appleは為替を先物などで固定しているので、実勢レートとずれて当然だ」という説明でしょう。当社はこの点を確認できていません。Appleが日本価格の設定にあたってどのような為替前提を置いているかは公表されておらず、当社はそれを知る手段を持ちません。

ただし、この見方だけでは説明のつかない点があります。同じ日に売られているiPhone 16の換算レートが、実勢レートと0.20%しか違わないことです。会社として一つの為替前提を置いているなら、全機種が同じ方向にずれるはずです。実際には、新機種が公示レートより上、継続モデルが実勢レートの近く、という分かれ方をしています。為替前提の違いだけでこの分岐を作るには、機種ごとに別の前提を置いていることになります。

当社が言えるのはここまでです。ヘッジの有無を否定する材料も、肯定する材料も持っていません。

この章の結論

継続モデルの価格は実勢レートでほぼ説明できます。公示レートから外れているのは新機種だけで、その幅は最大で14.52円です。

公示レートは円高に動き、iPhoneの換算レートは円安に動いた

7月から9月にかけて、2つの数字が反対方向に動いています。この向きの違いが、前章までの乖離を作っています。

税関長公示レートの推移です。

網掛けは本稿で照合に使った2週。

適用期間(2026年)1ドル
06/28〜07/04160.52
07/05〜07/11161.67
07/12〜07/18162.11
07/19〜07/25162.12
07/26〜08/01162.23
08/02〜08/08163.16
08/09〜08/15163.04
08/16〜08/22157.56
08/23〜08/29159.00
08/30〜09/05159.09
09/06〜09/12159.12
09/13〜09/19158.81

出典:市況研究社「税関長公示レート」およびbizsearch(税関公示レートの転載)を2026年9月12日に当社が直接参照し、8月9日週以降の6週分について両者の一致を確認しました。原典である税関の公示ページは当社の取得ツールで参照できていません。両サイトとも、法的効力を持つのは各税関長の公示相場である旨を明記しています。

公示レートは8月2日週の163.16円を山として、8月16日週に157.56円まで下がり、9月13日週は158.81円です。8月2日週から9月13日週で4.35円の円高方向に動いています。

同じ期間、iPhoneの換算レートはどう動いたか。7月改定のiPhone 17が162.476円、9月の新機種iPhone 18 Pro 256GBが166.654円。4.18円の円安方向です。

公示レートが4.35円下がるあいだに、Appleの換算レートは4.18円上がった。向きが逆です。

円高は、届いている先と届いていない先があります

当社は同じ週に原油とナフサの記事を書いており、そちらでは円高が輸入コストの緩衝材として働いていることを日銀の企業物価指数で確認しました。輸入物価は前月比で円ベースが3.0%下落、契約通貨ベースが1.0%下落しており、その差2.0ポイントが直近1か月の円高による押し下げ分にあたります。同じ円高が、iPhoneの新機種価格には現れていません。

公示レートは、申告日の属する週の前々週の実勢相場の週間平均で決まります(関税定率法施行規則第1条)。したがって9月6日〜12日適用の159.12円は、8月下旬の実勢を反映した値です。実勢レートに対して2週間ぶんの遅れがあることは、乖離を読むうえで織り込む必要があります。ただし本稿で見ている7.53円の差は、その遅れだけでは説明がつきません。同じ日のiPhone 16が実勢レートと0.20%しか違わないためです。

この章の結論

公示レートは4.35円の円高方向、iPhoneの換算レートは4.18円の円安方向へ動きました。為替の動きだけでは、新機種の価格は説明できません。

為替で説明できない分は、どこから来ているのか

前章までで、為替では説明のつかない上乗せがあることが分かりました。ここからは、その出どころについて確認できたことと、確認できていないことを分けて書きます。

今回は米国でも上がっている

7月18日の改定と9月10日の改定には、はっきりした違いがあります。米国価格が動いたかどうかです。

7月の改定では、iPhone 17の米国SIMフリー価格は799ドルのままでした。日本だけが129,800円から142,800円へ動いています。だからこそ換算レートで説明がついたわけです。

9月の局面では、米国のiPhone 17 256GBは929ドルになっています。799ドルからの上げ幅は130ドル、率にして16.3%です。同じ機種の日本価格は142,800円から159,800円へ、11.9%上がりました。

米国でも上がっているということは、上げた理由が為替ではないということです。ギズモード・ジャパンは9月10日の記事で、今回は米国でも既存モデルが値上げされたため、メモリ不足の影響が反映された形だと整理しています。

当社の既存記事の前提が、ここで変わっています

当社は7月に「アメリカでは値上げしていないのに、なぜ日本のiPhoneだけ高くなったのか」という問いを立て、税関長公示レートで答えました。9月時点で、この問いの前提は成り立ちません。米国も上がっています。7月の記事は7月時点の断面として残しますが、現在の状況を読むには本稿の数字を使ってください。

メモリ価格と、その上流にあるヘリウム

メモリ価格については、当社が確認できた範囲を正確に書きます。実績として報じられているのは2026年第1四半期までです。

出典によって実績と予測の扱いが分かれるものは、その旨を記載しています。

時期DRAM(前四半期比)NAND(前四半期比)実績/予測の扱い
2025年 第4四半期45〜50%上昇記載なし実績として報じられたもの
2026年 第1四半期93〜98%上昇記載なし実績として報じられたもの
2026年 第2四半期58〜63%上昇55〜60%上昇媒体により実績とも予測とも扱われている
2026年 第3四半期13〜18%上昇10〜15%上昇予測(2026年7月3日時点)

出典:EE Times Japan(2026年7月7日)、マイナビニュース(2026年7月6日)、RAMEXperts(2026年7月5日公開・7月15日更新)。いずれもTrendForceの調査を報じたもので、当社はTrendForceの原資料を読んでいません。

第2四半期を「実績」と読まないでください

マイナビニュースの図版は第2四半期を実績と表記していますが、RAMEXpertsは同じ58〜63%という数値を「2026年3月31日発表、すなわち四半期が始まる前の予測であり実績は未発表」と整理しています。EE Timesは実績とも予測とも書いていません。出典によって扱いが割れているため、当社は実績として扱いません。

第3四半期の予測も、調査会社によって大きく違います。TrendForceがDRAM 13〜18%としているのに対し、Jefferies Equity Researchは40〜45%としています。3倍近い開きです。本稿の執筆時点で第3四半期はまだ終わっておらず、どちらも予測にとどまります。

スマートフォン向けメモリ(LPDDRやUFS)に絞った上昇率の数値は、当社が読んだ資料のいずれにも記載がありませんでした。定性的な見通しとして、AI向けが優先されるためスマートフォン向けの供給ひっ迫は続くとされています。

ヘリウムについて確認できたことと、できていないこと

メモリの上流に、半導体製造に使うヘリウムの問題があります。ここが中東情勢との接点です。

2026年3月2日、カタールエナジーがラスラファン工業都市についてフォースマジュールを宣言し、LNGとその副産物であるヘリウムの生産が停止しました。ガスレビューは、紛争が始まった2月末の時点で現地のヘリウム生産は既に止まっていたとしています。3月17日には米Airgasもフォースマジュールを宣言しました。

ヘリウムはドライエッチング工程のウェハー裏面冷却に使われます。EE Timesによれば、ヘリウムの熱伝導率は常温で約0.15 W/(m・K)で、窒素の約6倍、アルゴンの約8倍。ウェハー面内の温度均一性は±1℃以内が求められ、ヘリウムによる裏面冷却が効かないと±2℃以上に広がるとされています。使用後は回収されず排気される使い切りの構造です。

毀損の規模は出典によって食い違います。ガスレビューは設備の損傷によるカタール生産の15%減(生産能力85%)と、海峡の封鎖が続いた場合に世界の3割の供給力が失われる可能性とを分けて書いています。一方EE Timesは、世界供給の33%が失われたと一括りに記述しています。当社はこの差を埋める資料を持っていません。
また、EE Timesは公開後に「EUV露光装置においてヘリウムは必須のガスではない」との指摘を受けた旨の訂正を追記しています。本稿ではEUVを論拠に使っていません。

2026年9月時点の需給を、当社は確認できていません

当社が参照できたヘリウム関連の資料は、いずれも2026年3月から4月に公開されたものです。再開を伝える記述はどの資料にもありませんでしたが、それは「再開していない」ことの確認にはなりません。当社の取得ツールで9月時点の続報に到達できなかった、というだけです。3月19日時点で、カタールエナジーの最高経営責任者はLNG設備の復旧に3年から5年かかるとの見方を示していたと報じられています。

端末市場への影響について、IDCは2026年の世界スマートフォン出荷が前年比12.9%減になるとの見通しを示したと報じられています。ただし当社はIDCのリリース本文を読んでおらず、報道の見出しによる把握にとどまります。

この章の結論

9月の改定では米国価格も16.3%上がっており、為替では説明できません。上流にメモリとヘリウムの問題があることは確認できますが、2026年9月時点の需給を当社は確認できていません。

で、どう確かめればいいのか

本稿は買い時を示すものではありません。以下は、同じ計算を自分で回して確かめるための手順です。判断そのものは読者に委ねます。

ACTION 01

買おうとしている構成の換算レートを自分で出す

Apple日本の税込価格を1.1で割り、Apple米国のSIMフリー価格で割ります。米国価格は一覧の「From」ではなく、購入ページで「Connect on your own later」を選んだときの価格を使ってください。30ドルの割引が混ざると答えが狂います。

ACTION 02

その日の公示レートと実勢レートの両方に当てる

公示レートは週ごとに変わります。実勢レートとは2週間ぶんの時間差があるため、両方に当てて位置を見ます。継続モデルが実勢レートの近くに、新機種が公示レートより上に来る、という本稿の並びが崩れていないかを確認できます。

ACTION 03

同じ日に売られている他の機種と並べる

1機種だけを見ても高いか安いかは判断できません。同じ日の全機種を並べると、その機種がどちらの端に寄っているかが分かります。本稿の時点では上端と下端で14.52円の開きがありました。

ACTION 04

調達で使うなら、為替以外の要因を分けて説明できるようにしておく

取引先に価格改定を説明する場面では、為替で説明できる分と、それ以外の分を分けて示せると話が早くなります。本稿の計算は、その分け方の一例です。為替で説明できる幅を先に出し、残りを供給側の要因として扱います。

よくある質問

iPhone 18 Proの日本価格は、いくらになりましたか
256GBで219,800円、512GBで254,800円、1TBで324,800円、2TBで429,800円です。iPhone 18 Pro Maxは256GBで239,800円、2TBで449,800円。いずれも税込で、128GBの設定はありません。2026年9月12日にApple公式サイトで当社が確認した価格です。
なぜ日本価格が公示レートで説明できないと言えるのですか
日本価格を1.1で割って米国のSIMフリー価格で割ると、iPhone 18 Pro 256GBは166.65円という換算レートになります。同じ週の税関長公示レートは159.12円で、差は7.53円、率にして4.73%です。2026年7月18日の改定では同じ計算の差が0.22%しかなく、ほぼ一致していました。乖離が21.6倍に開いています。
同じ日に売られているiPhone 16はどうなっていますか
iPhone 16 128GBの換算レートは153.31円で、2026年9月11日のドル円終値153.6150円と0.20%しか違いません。実勢レートで換算した額に対して282円低いだけです。新機種が公示レートを上回っているのに対し、継続モデルは実勢レートの近くにあります。機種による開きは14.52円です。
今回の値上げは為替が原因ではないのですか
継続モデルについては為替でほぼ説明できます。新機種の上乗せは説明できません。また2026年9月の局面では米国のiPhone 17も799ドルから929ドルへ16.3%上がっており、日本だけの現象ではありません。上流にメモリ価格の上昇があり、その上流にカタール産ヘリウムの供給停止があります。ただし当社は2026年9月時点のヘリウム需給を確認できていません。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
当社は樹脂原料や物流資材を輸入しており、為替と供給の両方が仕入れ値に効く立場にあります。公開価格から換算レートを逆算する方法は、取引先への価格改定の説明で実際に使っているものです。iPhoneは日米の価格が公開されているため、この方法を検証しやすい題材にあたります。

出典・エビデンス一覧

一次資料を直接参照したもの

  • Apple公式サイト(日本)iPhone 18 Pro購入ページ2026年9月12日参照。iPhone 18 Pro/Pro Maxの容量別価格、予約開始日時を確認。取得経路:①一次資料を直接参照
  • Apple公式サイト(米国)iPhone 18 Pro購入ページ2026年9月12日参照。容量別のSIMフリー価格を確認。取得経路:①一次資料を直接参照
  • Apple公式サイト(米国)iPhone 17/iPhone Air/iPhone 16購入ページおよびiPhone一覧ページ2026年9月12日参照。SIMフリー価格と、30ドルのconnectivity discountの脚注がどの機種に付いているかを確認。取得経路:①一次資料を直接参照
  • Trading Economics「Japan Currency」2026年9月12日参照。米ドル/円の2026年9月11日終値153.6150円、前日比、月間変化率を確認。同ページ内で上部表示153.491と本文153.6150が食い違っており、終値として153.6150を採用。取得経路:①一次資料を直接参照

二次ソース経由で参照したもの

  • 市況研究社「税関長公示レート」2026年9月12日参照。2026年6月28日週から9月13日週までの米ドルの公示レートを確認。取得経路:②二次ソース。原典である税関の公示ページは当社の取得ツールで参照できていない
  • bizsearch「税関公示レート(今週の適用相場)」2026年9月12日参照。2026年8月9日週から9月13日週の6週分について、市況研究社の値との一致を確認。取得経路:②二次ソース
  • iPhone Mania「iPhone Air、17、17eや16を再び値上げ〜17 Proなど販売終了」2026年9月10日公開。9月10日改定の機種別・容量別の旧価格と新価格、2か月で2回目である旨、iPhone 17 ProシリーズとiPhone 16 Plusの販売終了を確認。取得経路:②二次ソース
  • マイナビニュース「Apple、iPhone 17など現行モデルを10%程度値上げ」2026年9月10日公開。9月10日改定の価格表を確認。iPhone Maniaの表と8構成すべてで一致した。取得経路:②二次ソース
  • ギズモード・ジャパン「iPhone Duoフィーバーの裏で、既存モデルが値上げ」2026年9月10日公開。7月改定が米国据え置きの為替反映であったこと、今回は米国も値上げされメモリ不足の影響が反映された形であるとの整理を確認。取得経路:②二次ソース
  • EE Times Japan「メモリ価格の上昇、鈍化へ 26年3QはDRAMもNANDも10%台」2026年7月7日公開。TrendForce調査による2026年第2・第3四半期のDRAM/NAND契約価格の変動率を確認。取得経路:②二次ソース。TrendForceの原資料は読んでいない
  • マイナビニュース「AI需要が支えるメモリ価格、2026年第3四半期はDRAM/NANDとも上昇幅が鈍化へ TrendForce予測」2026年7月6日公開。同上の数値と、第2四半期を実績と表記した図版キャプションを確認。取得経路:②二次ソース
  • RAMEXperts「メモリ価格動向・価格推移」2026年7月5日公開・7月15日更新。2025年第4四半期および2026年第1四半期を実績報道、第2四半期を実績未発表の予測と整理している点を確認。取得経路:②二次ソース
  • ニッチなPCゲーマーの環境構築Z「TrendForce、2026年Q3のDRAM / NAND価格予測」2026年7月6日公開。Jefferies Equity Researchによる第3四半期40〜45%という対抗予測を確認。取得経路:②二次ソース
  • 株式会社ガスレビュー「カタールプラント生産停止で、ヘリウム供給ピンチ」2026年3月27日公開。2月末時点で現地のヘリウム生産が停止していたこと、カタール生産の15%減と世界3割喪失の可能性を分けて記述していること、復旧に3〜5年との見方を確認。取得経路:②二次ソース
  • Fusion Worldwide「2026年におけるヘリウムの供給不足」2026年4月5日公開。2026年3月2日のカタールエナジーによるフォースマジュール宣言、韓国の対カタール依存度64.7%、半導体がヘリウム総消費の約24%を占めることを確認。取得経路:②二次ソース
  • EE Times Japan 半導体製造用ヘリウムの供給停止に関する解説記事(前編)2026年4月9日公開・4月13日更新。米Airgasの3月17日フォースマジュール宣言、世界供給の33%喪失、2025年の国別シェア、ドライエッチングの裏面冷却における熱伝導率と温度均一性の要求値を確認。同記事はEUV露光装置におけるヘリウムの必須性について訂正を追記しており、本稿はEUVを論拠に使っていない。当社が取得した際に本文の日本語が文字化けしており、記事名を正確に転記できなかったため、記事名ではなく内容で記載している。数値・日付・英数字は文字化けの影響を受けない部分から読み取った。取得経路:②二次ソース
  • マイナビニュース「スマホ市場に“最大の落ち込み”、メモリ不足で2026年12.9%減へ - IDC予測」2026年2月27日公表のIDC予測を報じたもの。当社はIDCのリリース本文を読んでおらず、報道の見出しによる把握にとどまる。取得経路:②二次ソース

当社の関連記事

  • 価格・為替・公示レートはいずれも2026年9月12日時点で当社が確認した値です。iPhone 18 Proの価格は予約開始日時点のもので、以後の改定を反映していません。ドル円は2026年9月11日の終値、公示レートは2026年9月6日〜9月12日適用分を使っています。
  • 換算レート、公示レートとの差、実勢レート換算額、乖離率、倍率はすべて当社の計算です。日本価格が税込であることと消費税率10%を前提にしており、Apple公式ページ上での税込表記そのものは確認できていません。
  • 2026年9月10日の既存モデル改定は報道2件の一致により把握したもので、Apple自身による告知は確認できていません。iPhone 17eについては米国の購入ページが旧世代の内容を返したため、SIMフリー価格を確定できず、換算レートの算出から除外しました。iPhone 16は米国ページに128GBの構成しか現れなかったため、128GBのみを対象としています。iPhone 18 Proの発売日、iPhone 17 Proシリーズの販売終了、2026年9月時点のヘリウム需給、IDC予測の詳細は、いずれも当社が一次で確認できていません。
  • メモリ価格の2026年第2四半期の数値は、出典によって実績と予測で扱いが分かれています。第3四半期は予測であり、調査会社間で13〜18%と40〜45%という開きがあります。
  • 本稿は情報提供を目的としたもので、特定の判断を推奨するものではありません。購入時期や機種の選択について当社の見解を示すものではありません。

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