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iPhoneの日本価格はなぜアメリカより高いのか、税関の公示レートで決まる仕組みをやさしく解説

YASASHIKU KAISETSU / FX & PRICE

iPhoneの日本価格はなぜアメリカより高いのか、税関の公示レートで決まる仕組みをやさしく解説

2026年7月18日、日本のiPhoneの値段が上がりました。同じiPhoneのアメリカでの値段は変わっていません。上がったのは日本の値札だけです。なぜこんなことが起きるのでしょうか。その答えは、たった一つの割り算とかけ算にあります。この記事では、Appleが公開している日米それぞれの値段と、税関が公表している本物の為替レートだけを使って、値札が上がるしくみを順番に確かめていきます。そして最後に、同じ計算が逆向きにも働いていることをご覧いただきます。

やさしく解説 公開日 最終更新

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この記事の3つのポイント

  • 2026年7月18日、日本のiPhoneが値上げされました。iPhone 17は129,800円から142,800円へ。ところがアメリカでの値段は799ドルのままです。海外の値段が変わらなくても、円に直すときのレートが動けば、日本の値札だけが上がります。
  • 日本の値段からAppleの想定した為替を逆算すると、値上げ前が1ドル147.68円、値上げ後が162.48円でした。この162.48円は、税関が輸入の計算に使う162.12円とほぼ同じです。値札の裏側にある数字を、公開情報だけで確かめられます。
  • 同じ円安が、逆向きにも働いています。1,144円のお菓子は1ドル100円のころ11.44ドルでしたが、162.12円なら7.06ドルです。日本の値札は変わっていないのに、海外の人から見ると4割ほど安い。これが街で買い物の袋を抱えた旅行者を見かける理由です。

かんたんに言うと

2026年7月18日、iPhone 17は142,800円に上がりました。米国は799ドルで据え置きです。日本価格から逆算した為替は162.48円で、税関の公示レート162.12円とほぼ一致します。同じ円安が、日本製品を海外の人には4割ほど安く見せています。

📌 2026年8月7日 更新 ── 前回(7月31日)からの変更点

1. 公示レートは163円台に上がりました。本文で扱った162.12円(7月19日〜25日適用)は、その後163.16円(8月2日〜8日)まで上昇しています。▶ 詳しく見る

2. 7月31日、日本と米国が協調して円買い介入を行いました。ドル円は8月3日に一時155.22円まで下落。8月7日朝は158.41円です。▶ 詳しく見る

3. この円高は、まだ値札に届いていません。公示レートは前々週の平均のため、8月3日の155円台が使われるのは8月16日〜22日適用分から。第4章でお伝えした「約2週間の時差」が、そのまま実例として現れています。▶ 詳しく見る

4. キャリアの価格も追随して上がりました。ドコモは7月28日から、au/UQは7月31日から値上げ。楽天モバイルは7月30日時点で発表なし。iPhone 17の割引前価格には、Apple公式との間で最大37,920円の差があります。▶ 詳しく見る

※ 第1章〜第11章は2026年7月31日時点の内容です。Apple公式ストアのiPhone価格(日本142,800円・米国799ドル)に変更はありません。

輸入の計算に使うレート

162.12

2026年7月19日〜25日適用・税関

iPhone 17の日本価格

142,800

2026年7月18日改定・米国は799ドル据え置き

日本価格から逆算した為替

162.48

公示レート162.12円との差は0.22%

日本銀行の政策金利

1.00%

2026年6月の会合で引き上げ

CHAPTER 01

値上げが続くのは、日本だけの話なのでしょうか

2026年7月18日、日本で売られているiPhoneの値段が上がりました。iPhone 17は129,800円から142,800円へ、およそ1割の値上げです。ところが同じiPhoneの、アメリカでの値段は変わっていません。なぜ日本だけが上がったのか。この記事はその答えを追いかけていきます。

そして、こうした値上げはiPhoneに限った話ではありません。2026年に入ってから、海外ブランドの価格改定のニュースが何度も流れました。腕時計の分野では1月にロレックス、チューダー、オーデマ・ピゲ、カルティエ、ウブロ、タグ・ホイヤー、ピアジェ、IWC、ショパール、ブライトリングが価格を改めたと報じられ、2月にはジャガー・ルクルト、モンブラン、エルメスが、3月にはオメガが続いたとされています。

これだけ多くのブランドが同じ時期に動くと、「なにか申し合わせでもあるのだろうか」と感じてしまうかもしれません。けれども、そう考える必要はありません。共通の原因が一つあるだけです。

その原因が為替です。海外で作られた品を日本で売るとき、日本の値札は「海外での値段」と「そのときの為替」の掛け算で決まります。ブランド側が海外での値段をまったく変えていなくても、為替が動けば日本の値札は変わってしまいます。

この記事で大切にしたこと

ブランドごとの個別の値段については、公式に発表されていないものが多くあります。実際、あるブランドは主要な商品の価格を特定のお客さま以外に公開していないと明記しています。そこで本記事では、推測を含む価格は使いません。代わりに、メーカーが公式サイトで公開している日本製品の値段と、税関が公表している為替レートだけを使って、計算のしくみそのものをご覧いただきます。しくみが分かれば、どのブランドの値上げにも同じ考え方が当てはまります。

CHAPTER 02

海外の値段が同じなのに、なぜ日本の値札が上がるのでしょうか

ここが一番大事なところなので、ゆっくり進みます。

海外のメーカーに支払うお金は、多くの場合ドルやユーロなど外国のお金で決まっています。仮に、ある品の値段が海外で1,000ドルだったとします。この1,000ドルという数字が何年も変わらなかったとしても、日本で支払う円は為替によって変わります。

そのときの為替 1,000ドルを払うのに必要な円 1ドル100円のころと比べて
1ドル100円100,000円基準
1ドル150円150,000円1.50倍
1ドル162.12円162,120円1.62倍
1ドル164円164,000円1.64倍

1,000ドルという金額は、しくみを分かりやすくするために置いた例です。特定の商品の値段ではありません。円の金額は当方で計算しました。

海外での値段はずっと1,000ドルのままです。品物の中身も、作り方も、何ひとつ変わっていません。それでも、日本で用意しなければならないお金は10万円から16万円あまりへ増えています。

これが、円安で輸入品が値上がりするしくみのすべてです。難しい理屈はありません。同じ品を買うのに、より多くの円が必要になった。ただそれだけのことが、値札に現れています。

お店が「値上げしたい」わけではありません

値上げのニュースを見ると、売る側が利益を増やそうとしているように感じることがあるかもしれません。もちろん、そういう場合もあります。けれども為替が原因の値上げは性質が違います。

値札を上げなければ、輸入する側の手元に残るお金が減っていきます。仕入れに16万円かかるようになった品を10万円のときと同じ値段で売り続ければ、売れば売るほど苦しくなります。値上げをしないという選択が、そのまま損失につながる。ここが、為替による値上げの避けにくいところです。

CHAPTER 03

iPhoneに実際に起きたことを見てみましょう

ここまでのお話が本当かどうか、実際の出来事で確かめてみます。ちょうど今月、とても分かりやすい例がありました。

2026年7月18日に起きたこと

Appleが日本のiPhoneの価格を引き上げました。報道によれば、値上げ幅は機種と容量によって8,000円から25,000円で、事前の告知はありませんでした。iPhone 17(256GB)は129,800円から142,800円になっています。日本経済新聞は、標準モデルの最低価格が従来から1割引き上げられたと報じました。

ここで注目していただきたいのは、次の一点です。

アメリカの値段は変わっていません

同じiPhone 17は、Appleのアメリカの公式サイトで799ドルのままです。7月18日の前も後も変わっていません。値上がりしたのは日本の値札だけでした。第2章でご説明した「海外の値段が同じなのに日本の値札が上がる」という話が、そのまま起きたことになります。

日本の値札から、為替を逆算してみます

ここからが面白いところです。日本の値段とアメリカの値段が両方とも分かっているので、Appleがどの為替レートで日本の値段を決めたのかを、割り算で求められます

日本の142,800円には消費税10%が含まれているので、まず税を抜きます。

手順 値上げ前 値上げ後
日本の値段(税込)129,800円142,800円
税を抜くと(÷1.1)118,000円129,818円
アメリカの値段で割ると÷ 799ドル÷ 799ドル
逆算した為替147.68円162.48円

日本の価格はApple日本公式サイト、アメリカの価格はApple米国公式サイトによります。値上げ前の129,800円は報道による数値です。税抜への換算と割り算は当方で行いました。アメリカの表示価格は税別で、州ごとに売上税が別途かかります。

つまりAppleは、1ドル147.68円くらいの想定で決めていた日本の値段を、162.48円くらいの想定に切り替えたことになります。その差は約14.8円です。

この数字、どこかで見ませんでしたか

逆算して出てきた162.48円。次の章でご紹介する、税関が輸入の手続きに使っている162.12円と、ほとんど同じ数字です。

試しに、税関のレートでアメリカの799ドルを円に直してみます。799ドル × 162.12円 = 129,534円。これに消費税10%を足すと142,487円になります。実際の日本の値段は142,800円ですから、その差は313円、割合にして0.22%にすぎません。

ここで確かめられたこと

Appleが決めた日本の値段と、国が定めた輸入用の為替レートで計算した金額が、ほぼぴったり一致しました。「輸入品の値段は為替で決まる」という話は、たとえ話ではありません。誰でも見られる公開情報だけで、実際に検算できることなのです。

そして、この計算はiPhoneだけのものではありません。海外から入ってくるあらゆる品物に、同じ割り算とかけ算が効いています。次の章から、その中身を順番に見ていきます。

CHAPTER 04

「1ドル162円」の162円は、どこから来た数字なのでしょうか

⚠ 2026年8月7日更新 ── その後163円台に上がっています

本章で扱う162.12円は2026年7月19日から7月25日に適用された公示レートです。その後、8月2日〜8日適用分は163.16円、8月9日〜15日適用分は163.04円となっています。あわせて7月31日には日米が協調して円買い介入を実施しました。詳しくは【8月7日更新】公示レートとキャリア価格のその後をご覧ください。

ここで、少し意外に思われるかもしれない話をします。

輸入の手続きで実際に使われる為替は、ニュースで流れている今日の相場ではありません。税関が週ごとに決めた「公示レート」という決まった数字を使います。これは法律で定められていて、輸入する側が好きなレートを選ぶことはできません。

2週間前の平均が使われます

公示レートの中身は、その週の2週間前の実際の相場の平均です。たとえば今週輸入の手続きをするなら、2週間前の相場の平均で円に直すことになります。

この決まりのおかげで、手続きに使う数字が毎日ぶれることはありません。その代わり、相場が動いているときには実際の相場と手続き用の数字がずれます

どの数字か 2026年7月下旬の水準 どこで見られるか
税関の公示レート
(輸入の手続きに使う)
162.12円 税関のホームページ。7月19日から25日までに使われた数字です
実際の相場
(ニュースで流れる)
163円台 7月29日の東京市場では163.30円まで下がる場面もありました

公示レートは財務省税関が公開しているデータで直接確認しました。実際の相場の水準は、みんかぶFXおよび外為どっとコムの記載によります。

1円ほどの差ですが、金額が大きくなるとこの差も無視できなくなります。そして大切なのは、この差は誰かのミスではなく、制度としてそうなっているということです。

公示レートは米ドルだけでなく、ユーロ、人民元、韓国ウォン、タイバーツなど多くの通貨について毎週公表されています。韓国ウォンやベトナムドンなどは「100通貨あたり何円」という書き方になっているので、読むときには単位に注意が必要です。

CHAPTER 05

為替が1円動くと、輸入品はいくら変わるのでしょうか

ニュースで「1円の円安」と聞いても、なかなか実感がわかないものです。そこで、金額に置きかえてみます。

覚えやすい法則が一つあります。為替が1円動くと、ドルの金額と同じ数の円が動くのです。

海外での値段 為替が1円動いたときの差 為替が5円動いたときの差
100ドル100円500円
1,000ドル1,000円5,000円
10,000ドル10,000円50,000円

当方計算。いずれもしくみを示すための例です。

100ドルの品なら、1円動いても100円の差にしかなりません。ところが1万ドルの品になると、同じ1円で1万円が動きます。高い品ほど、為替のニュースが値札に響きやすいのはこのためです。

ブランドの値上げばかりが話題になり、身近な安い輸入品の値上げがあまり騒がれないのも、同じ理由で説明がつきます。金額が小さければ、為替が動いても差が小さく、気づかれにくいのです。

CHAPTER 06

値上げの理由は、為替だけなのでしょうか

ここまで為替の話をしてきましたが、公平を期すために申し上げると、値上げの理由は為替だけではありません

理由 どういうことか
為替 この記事で見てきたとおりです。海外の値段が同じでも、円に直すと変わります
材料の値段 金や貴金属、革、原油から作られる素材などが値上がりすれば、海外での値段そのものが上がります
運ぶ費用 船や飛行機の運賃、保険の料金が上がれば、それも値段に乗ります
各国の税や制度 関税など、国をまたぐときにかかる負担が変われば値段に影響します
ブランドの方針 世界中で値段をそろえる、希少さを保つといった考え方から価格を決めることもあります

値上げの背景として一般に挙げられる要素を整理したものです。個別のブランドがどの理由でどれだけ値上げしたかは、各社の発表によります。

ですから「円安のせいで値上げした」と一言でまとめてしまうのは、少し乱暴です。為替は、いくつもある理由のうちの一つです。

ただし為替には、他の理由にはない特徴があります。それは、誰にでも計算できて、公開された数字で確かめられるということです。材料の値段やブランドの方針は外からは見えませんが、為替は税関のホームページで誰でも確認できます。だからこそ、まず為替の分を計算して、残りがどれくらいかを考えるという順番が役に立ちます。

CHAPTER 07

逆に、日本のものを海外に売るとどう見えるのでしょうか

ここから、この記事でいちばんお伝えしたい部分に入ります。

これまでは「海外から買う」側の話でした。ドルの値段に為替をかけて、円にしていました。では、日本のものを海外の人が買うときはどうなるでしょうか。

今度は逆です。円の値段を為替で割って、ドルに直します。

たった一つの違い

輸入するときはかけ算、輸出するときは割り算。使う為替は同じ数字です。向きが逆になるだけで、結果は正反対になります。

かけ算と割り算は、ぴったり打ち消し合います

1ドル100円だったころと、162.12円の今を比べてみます。

  • 輸入する側から見ると、同じ品が1.62倍になりました
  • 海外の人から見ると、日本の品が0.62倍になりました

この2つをかけ合わせると、ちょうど1になります。片方が損をした分だけ、もう片方が得をしている。円安とは、誰かにとって悪いことであると同時に、誰かにとって良いことでもある。同じ一つの数字が、立つ位置によって正反対の意味を持ちます。

ニュースでは「円安で家計が苦しい」という話と「外国人観光客が過去最多」という話が並んで流れます。別々の出来事のように見えて、実はまったく同じ数字が原因です。

CHAPTER 08

日本の商品は、海外の人にいくらに見えているのでしょうか

言葉だけでは実感がわきにくいので、実際の商品で計算してみます。ここで使うのは、すべてメーカーが公式サイトで公開している値段です。値段の幅が広くなるように、3つ選びました。

商品 日本での値段(税込) 種類
グランドセイコー ヘリテージコレクション 9Fクオーツ SBGX263 363,000円 腕時計
クレ・ド・ポー ボーテ ル・セラムⅡ 50mL 30,800円 美容液
白い恋人 12枚入(ホワイト) 1,144円 お菓子

値段はいずれも各社の公式サイトに掲載されているものです。グランドセイコーはセイコーウオッチのブランド公式サイト、クレ・ド・ポー ボーテとル・セラムⅡは資生堂のブランド公式サイト、白い恋人は石屋製菓が運営する白い恋人パークの公式サイトによります。クレ・ド・ポー ボーテの価格は公式サイトに参考小売価格である旨の注記があり、お店によって異なる場合があります。

海外の人から見た値段

それでは、この3つを為替で割ってみます。

商品 1ドル100円のころ 1ドル150円のころ 1ドル162.12円 変化
SBGX263 3,630.00ドル 2,420.00ドル 2,239.08ドル ▲38.3%
ル・セラムⅡ 50mL 308.00ドル 205.33ドル 189.98ドル ▲38.3%
白い恋人 12枚入 11.44ドル 7.63ドル 7.06ドル ▲38.3%

日本での値段を為替で割った当方計算です。1ドル100円と150円は、比べるために置いた過去の水準です。162.12円は2026年7月19日から25日に適用された税関の公示レートです。実際の売買には手数料などが加わるため、この金額そのままで取引されるわけではありません。

3つとも、減り方はぴったり同じ38.3%です。363,000円の時計も、1,144円のお菓子も、同じ割合で安く見えています。値段の高さは関係ありません。

この数字を、旅行者の目で見てみると

1ドル100円のころに日本へ来た人にとって、白い恋人は11.44ドルの品でした。今来る人にとっては7.06ドルです。同じお菓子が、4ドル以上安くなって見えていることになります。

時計であれば、その差は1,390ドルあまりです。円の値札はどちらも変わっていないのに、です。

お土産物屋さんで同じ商品をいくつも買っていく方や、家電量販店やドラッグストアで買い物かごをいっぱいにしている方を見かけることがあるかもしれません。その光景の理由は、この割り算の中にあります。

為替1円で動く金額も、値段によって違います

為替が1円動いたとき、海外の人から見た値段は、SBGX263で約13.73ドル、ル・セラムⅡで約1.17ドル、白い恋人で約0.04ドル動きます。高い品ほど、為替のニュースが海外での売れ行きに直結することが、この数字から分かります。

CHAPTER 09

海外で買えば安いのでしょうか

ここまでお読みになって、「では海外で買えば得なのでは」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。この点についても触れておきます。

結論から申し上げると、為替だけで判断はできません。海外での値段と日本での値段の差には、為替以外にもいくつもの要素が入っているためです。

値段の差を生む要素 どういうことか
その国の税金 国によって商品にかかる税金の種類も割合も異なります。表示の仕方も、税込のところと税別のところがあります
運ぶ費用 日本から遠い国ほど、運賃が値段に乗ります
現地での費用 お店の家賃や人件費は国ごとに違い、それも値段に含まれます
持ち帰るときの手続き 国をまたいで品物を持ち込むときには、金額に応じて手続きや負担が生じることがあります
保証や修理 購入した国でしか保証を受けられない場合があります。長く使うものほど、ここは大きな違いになります

国をまたぐ買い物で値段の差が生まれる一般的な要素を整理したものです。具体的な税率や手続きは国や品物によって異なります。

海外から商品を取り寄せたり、旅行先で買ったものを持ち帰ったりする場合の税金や手続きは、品物の種類と金額によって細かく定められています。実際に手続きをされる際は、税関のホームページや税関相談官の窓口で、ご自身の品物について直接ご確認ください。本記事では正確を期すため、具体的な税率や免除の金額には触れていません。

CHAPTER 10

同じ計算式が、実は日用品にも効いています

ここまで、時計や美容液やお菓子でご説明してきました。けれども、この計算が効いているのはブランド品だけではありません。

当社はプラスチックのパレットや再生樹脂の材料、荷物をまとめるPPバンドやストレッチフィルムといった、物流の現場で使われる資材を扱っています。工場や倉庫で毎日使われる、いわば地味な品物です。

これらも海外から仕入れることがあります。そのときに使う計算式は、363,000円の時計とまったく同じです。ドルの値段に、税関の公示レートをかける。それだけです。

値上げが「連鎖」して見える理由

荷物を運ぶためのパレットやフィルムの値段が上がると、それを使って運ばれるあらゆる品物の費用に少しずつ乗っていきます。食品にも、日用品にも、宅配便の料金にも、わずかずつ含まれます。ブランドバッグの値上げはニュースになりますが、こちらは表に出ません。それでも、同じ為替が、同じ計算式で、静かに効き続けています

ブランドの値上げのニュースは、いわば分かりやすい形で現れた一例です。同じことが、目に見えないところでも起きています。

なお、円安が仕入れ値をどう押し上げるか、価格の見直しをどう判断し、取引先にどう説明するかといった実務の手順については、iPhoneの日本価格から想定為替を逆算する、円安で輸入コストはいくら上がるのかの実務ガイドで詳しくまとめています。仕事で数字を扱う必要がある方は、そちらもご覧ください。

CHAPTER 11

この値上げは、いつまで続くのでしょうか

⚠ 2026年8月7日更新 ── 4つめが加わりました

本章では見るべきものとして3つを挙げています。その後、2026年7月31日に日米が協調して円買い介入を実施しました。予告なく行われるという点で、この3つとは性質が異なります。詳しくは【8月7日更新】公示レートとキャリア価格のその後をご覧ください。

いちばん気になるところだと思います。正直に申し上げますと、いつ終わるかを当てることは誰にもできません。専門の機関でも見通しは分かれています。

ただ、「何を見ていれば流れが分かるか」は決まっています。3つあります。

1つめ、日本と海外の金利の差

お金は、金利の高いところへ集まる性質があります。日本銀行は2026年6月の会合で政策金利を0.25%引き上げ、1.0%としました。これは1995年9月以来、およそ31年ぶりの水準です。一方、米国の誘導目標は3.50%から3.75%で、6月の会合まで4回続けて据え置かれてきました。差はまだ小さくありません。

2つめ、原油などの資源の値段

日本は資源の多くを輸入しています。資源が高くなると、その支払いのために外国のお金が必要になり、円安の方向に働きやすくなります。2026年7月には、紅海でタンカーが攻撃を受けたことを受けてWTI原油の先物が1バレル93.50ドルまで上昇する場面がありました。

3つめ、日本銀行の会合

金利をどうするかは、年に8回開かれる会合で決まります。会合の前後には相場が動きやすくなります。ただし第4章で見たとおり、輸入の手続きに使うレートに反映されるのは、そこから約2週間後です。

数字を追いかけなくても大丈夫です

毎日の相場を見る必要はありません。この3つが同じ方向を向いているかどうかだけ、ときどき確かめれば十分です。3つが揃って動きはじめたときが、流れの変わり目になります。

そしてもう一つ。円安が続くということは、日本のものが海外の人にとって安いままだということでもあります。値上げの話ばかりが目につきますが、同じ数字が、日本のものが海外で買われる追い風にもなっています。どちらか一方だけを見ていると、起きていることの半分を見落としてしまいます。

UPDATE 2026.08.07

公示レートとキャリア価格は、その後どう動いたのでしょうか

この章は2026年8月7日に追記しました

第1章から第11章は時点の内容で、変更していません。この章では、その後1週間で起きた大きな動きと、それが輸入品の値段にいつ届くのかを整理します。第4章と第11章でお伝えした「約2週間の時差」が、そのまま実例として現れています。

公示レートは8月に163円台へ上がりました

第4章で見たとおり、輸入品の値段のもとになるのは税関長が公示する為替レートです。本文で扱った162.12円は、2026年7月19日から7月25日に適用されたものでした。その後の推移は次のとおりです。

適用される期間 公示レート もとになった週
2026年7月19日〜7月25日 162.12円 7月5日〜7月11日
2026年7月26日〜8月1日 162.23円 7月12日〜7月18日
2026年8月2日〜8月8日 163.16円 7月19日〜7月25日
2026年8月9日〜8月15日 163.04円 7月26日〜8月1日

税関長公示レート(関税定率法施行規則第1条に基づき税関長が公示する相場)。「もとになった週」は、公示レートが前々週の平均であることに基づく整理です。

162.12円から163.16円へ、1円ほど上がりました。第5章で計算したとおり、1ドル1,000ドルの商品なら1円あたり1,000円の差になります。iPhoneのように仕入れ値が高い商品ほど、この差がそのまま乗ってきます。

7月31日、日本とアメリカが協力して円を買いました

そして8月に入って、大きな動きがありました。片山財務相は、2026年7月31日に米財務省と協調して円買い介入を実施したことを明らかにしています。ベッセント米財務長官も「米国は今後の協調介入にも躊躇なく参加する」と表明しました。

介入というのは、政府と中央銀行が市場で実際に円を買って、円安を止めようとする行為です。その結果、ドル円は次のように動きました。

日付 ドル円 できごと
2026年7月24日 163.83円 円安が進んでいた局面
2026年7月31日 日本と米国が協調して円買い介入
2026年8月3日 155.22円 東京市場で一時。2026年5月6日以来の水準
2026年8月7日 158.41円 朝の時点。158円台へ戻す

7月31日の協調介入と8月3日の155.22円は外為どっとコム(2026年8月3日)、8月7日朝の158.41円はザイFX!の記載によります。為替は日々動きますので、最新の水準は各社の情報でご確認ください。

この円高は、まだ値札に届いていません

ここが、この記事でいちばんお伝えしたかった仕組みが実際に現れているところです。

8月3日に155円台をつけたのは事実です。しかし公示レートは前々週の平均ですから、この週の数字が使われるのは2026年8月16日から22日に適用される分です。それまでは、円安だった7月下旬の水準(163円台)が使われ続けます。

ニュースで「円高になった」と聞いても、お店の値札がすぐ下がらないのはこのためです。逆もまた同じで、円安が進んだときも、値札に届くまでには同じだけの時間がかかっています。

第11章の「3つ」に、もう一つ加わりました

第11章では、流れを見るために3つを挙げました。日本と海外の金利差、資源の値段、日本銀行の会合です。今回の出来事は、4つめとして「為替介入」がありうることを示しました。

介入は、金利や資源の値段と違って予告なく行われます。そして今回は日本単独ではなく、米国と協調して行われた点が異例です。片山財務相は「さらなる協調介入を実施することも躊躇しない」と述べています。

ただし、介入で流れが変わるとは限りません。8月3日に155円台をつけた後、8月7日には158円台へ戻しています。介入は相場の勢いを一時的に止める効果はありますが、金利差などの根っこの部分が変わらなければ、また元の方向へ戻っていくことがあります。この記事が第11章でお伝えした「3つが同じ方向を向いているか」という見方は、いまも有効です。

キャリアの価格も、あとから上がりました

本文ではApple公式ストアの価格(142,800円)を扱ってきました。ただ、iPhoneを買う場所はApple公式だけではありません。携帯会社(キャリア)で買った場合はどうなったのかを整理します。

結論から申し上げると、Apple公式の改定から10日から13日ほど遅れて、各社が追随しました

販売元 値上げの時期 Apple公式改定からの日数
Apple公式ストア 2026年7月18日
ドコモ/ahamo 2026年7月28日から 10日後
au/UQ mobile 2026年7月31日から 13日後
ソフトバンク 6月に独自に改定済み。その後8月にも改定
楽天モバイル 2026年7月30日時点で発表なし

複数の解説サイトの記載を突き合わせて整理しました。各社の公式発表を当社で直接確認したものではありません。最新の状況は各社の公式サイトでご確認ください。

ここにも「時差」があります

第4章では、為替が値札に届くまでに約2週間かかるとお伝えしました。Appleからキャリアへも、同じように10日から13日の時差があります。

キャリアはAppleから端末を仕入れて売っています。仕入れ値が上がれば販売価格も上がりますが、在庫の入れ替わりや価格表の改定作業があるため、同じ日には動きません。ドコモは7月27日まで旧価格で買えました。この数日から2週間の間だけ、値上げ前の価格が残っていたことになります。

買う場所によって、価格に3万円以上の差があります

2026年8月2日時点で各社の公式サイトを確認したとする解説記事によれば、iPhone 17(256GB)の割引前価格は次のとおりです。

販売元 割引前価格 Apple公式との差
Apple公式ストア 142,800円
楽天モバイル 146,800円 +4,000円
au 168,300円 +25,500円
ドコモ 178,552円 +35,752円
ソフトバンク 180,720円 +37,920円

解説記事が2026年8月2日に各社公式で確認したとする割引前価格。差額は当方で計算しました。当社が各社の公式サイトを直接確認したものではありません。

この数字をそのまま「高い」と読まないでください

キャリアの価格には、割引・ポイント還元・端末を返却する前提のプログラムが別に用意されています。上の表はそれらを差し引く前の金額です。実際に支払う額は、契約内容や乗り換えの有無によって大きく変わります。

たとえば楽天モバイルには、24回目まで月1円で25カ月目に端末を返却するプランや、乗り換えで数万円が値引きされるキャンペーンがあると報じられています。単純に表の数字だけで比べると、実態と離れます。

本記事がお伝えしたいのは「どこが安いか」ではなく、同じiPhoneでも買う場所によって表示価格に3万円以上の幅があるという事実です。値上げのニュースを見たときは、Apple公式の金額だけでなく、ご自身が買う予定の場所の価格を確認してください。

なお、iPhone 17e(256GB)の割引前価格は、au 127,900円、ソフトバンク133,200円、ドコモ139,810円と報じられており、こちらも11,910円の差があります。同じ機種・同じ容量でも、販売元が違えば価格は違います。

iPhoneの日本価格は、いまのところ変わっていません

本記事で扱ったiPhoneの価格改定(2026年7月18日)以降、Apple公式ストアでは2026年8月7日時点で新たな価格改定は確認できていません。第3章で見たとおり、日本価格は142,800円、米国は799ドルのままです。

ただし公示レートが163円台に上がっていることを踏まえると、次に仕入れる分の原価は、7月時点より上がっていることになります。それが値札に反映されるかどうかは、各社の判断によります。第6章でお伝えしたとおり、値上げの理由は為替だけではありませんし、企業が原価の上昇をどこまで自社で吸収するかによっても変わります。

CHAPTER 12

よくあるご質問

アメリカでは値上げしていないのに、なぜ日本のiPhoneだけ高くなったのですか

円に直すときのレートが変わったためです。iPhone 17のアメリカでの値段は799ドルのままですが、1ドルを用意するのに必要な円が増えました。日本の値段142,800円から税を抜いて799で割ると1ドル162.48円になり、値上げ前の147.68円から約14.8円動いています。品物は同じでも、円に直すと高くなるのです。

ニュースで見る為替と、輸入の計算に使う為替は同じものですか

少し違います。輸入の手続きで使うのは税関が週ごとに決めている公示レートで、その中身は2週間前の平均です。ニュースで流れる今日の相場とは時間差があります。2026年7月19日から25日に使われたのは1ドル162.12円で、同じころの実際の相場は163円台でした。

円安のとき、日本のものを海外に売る側から見るとどうなりますか

逆に有利になります。1,144円のお菓子は1ドル100円のころ11.44ドルでしたが、162.12円なら7.06ドルです。日本の値札は変わっていないのに、海外の人から見ると4割ほど安くなっています。輸入で損をする分と、輸出で得をする分は、同じ為替の裏表です。

この値上げはいつまで続くのでしょうか

いつ終わるかを当てることは誰にもできません。ただ、何を見ていれば流れが分かるかは決まっています。日本と海外の金利の差、原油などの資源の値段、そして日本銀行の会合です。この3つが同じ方向を向いているうちは、流れが急に変わりにくいと考えられています。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社はプラスチックパレットや再生樹脂材料などの物流資材を扱う商社で、海外からの仕入れと海外への輸出を毎日行っています。ブランドバッグの値上げも、当社が扱う資材の値上げも、まったく同じ割り算とかけ算で決まります。仕事で毎週使っている計算を、身近な商品に置きかえて整理しました。

UPDATE HISTORY

この記事の更新履歴

日付更新した内容場所
2026年8月7日 公示レートの163円台への上昇、7月31日の日米協調介入、8月3日の155.22円を追記。あわせてドコモ7月28日・au/UQ 7月31日からのキャリア値上げと、販売元別の割引前価格を追加。第4章と第11章に注記を追加。 第11章の後
2026年7月31日 初版公開。

この記事は、追記を一番下にまとめるのではなく、関係する章のすぐ後ろに置いています。前に書いた内容は消さずに残し、新しく分かったことをその後ろに並べる形にしています。

CHAPTER 13

この記事で使った資料

直接確認した公式の資料

  • 財務省税関「外国為替相場(課税価格の換算)」令和8年7月19日から令和8年7月25日まで適用分。米ドル162.12円ほか全通貨のデータを直接確認しました
  • 税関長公示レート2026年8月7日追記分。2026年7月26日〜8月1日 162.23円、8月2日〜8日 163.16円、8月9日〜15日 163.04円。関税定率法施行規則第1条に基づき税関長が公示する相場
  • グランドセイコー公式サイトヘリテージコレクション SBGX263、363,000円(税込)
  • クレ・ド・ポー ボーテ公式サイトル・セラムⅡ 50mL、30,800円(税込)。参考小売価格である旨の注記あり
  • 白い恋人パーク公式サイト(石屋製菓)白い恋人 12枚入(ホワイト)、1,144円(税込)
  • Apple日本公式サイトiPhone 17(256GB)142,800円(税込)、512GB 177,800円、iPhone Air 177,800円、iPhone 17 Pro Max 214,800円
  • Apple米国公式サイトiPhone 17 From $799(税別)

報道などで参照した資料

  • 外為どっとコム「【ドル/円、今夜の見通し】ドル/円、155円台へ下落…さらなる日米協調介入を警戒」2026年8月3日2026年8月7日追記分。片山財務相が7月31日に米財務省と協調して円買い介入を実施したことを明らかにした旨、ベッセント米財務長官の「米国は今後の協調介入にも躊躇なく参加する」との表明、東京市場で一時155.22円前後をつけ2026年5月6日以来の水準となった旨
  • ザイFX!「ドル円 158.41円付近」2026年8月7日8時33分公開2026年8月7日追記分。8月7日朝のドル円水準
  • curythm「iPhone値上げはいつから・いくら?全モデル新旧価格一覧【2026年7月】」2026年8月7日追記分。ドコモが7月28日から、au・UQ mobileが7月31日から端末価格を引き上げた旨、ソフトバンクは6月に独自改定済みである旨、楽天モバイルは7月30日時点で発表がない旨。当社が各社公式サイトを直接確認したものではありません
  • selectra「ドコモが7月28日からiPhoneを値上げ」「【8月6日更新】iPhone値上げ・値下げのタイミングはいつ?」2026年8月7日追記分。ドコモの旧価格が7月27日まで適用された旨、ソフトバンクが8月にも改定した旨の根拠
  • ポイント投資の攻略ブログ「【2026年8月】iPhone値上げ|ドコモ・au・ソフトバンクも追随、楽天モバイルは価格据え置き」2026年8月7日追記分。2026年8月2日に各社公式で確認したとする割引前価格(iPhone 17 256GB:ドコモ178,552円・au 168,300円・ソフトバンク180,720円、iPhone 17e 256GB:ドコモ139,810円・au 127,900円・ソフトバンク133,200円)の根拠。当社が各社公式サイトを直接確認したものではありません
  • 日本経済新聞2026年7月18日付、日本でiPhoneの標準モデル最低価格が14万2800円と従来から1割引き上げられた旨の報道
  • prodig2026年7月18日のiPhone値上げ幅8,000円〜25,000円、改定前のiPhone 17が129,800円であった旨、および米国価格が据え置かれた旨の記載
  • piazo2026年1月から3月にかけての高級腕時計ブランドの価格改定に関する記載
  • みんかぶFX2026年7月29日東京市場でドル円が163.30円まで下落した旨の記載
  • 外為どっとコム米国の誘導目標3.50%から3.75%、6月会合まで4会合連続据え置きに関する記載
  • 朝日新聞2026年6月会合で0.25%の利上げが決まり、政策金利1.0%が1995年9月以来およそ31年ぶりの水準となった旨の報道
  • IG証券紅海でのタンカー攻撃とWTI原油先物が1バレル93.50ドルまで上昇した旨の記載

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ご利用にあたって

  1. 本記事は2026年7月31日時点で確認できた情報をもとに作成しています。為替や商品の価格は変わりますので、記載の数値は執筆時点のものとしてご覧ください。
  2. 税関の公示レートは週ごとに更新されます。本記事で確認できた最新の掲載分は2026年7月19日から25日までの適用分です。それ以降については税関のホームページで直接ご確認ください。
  3. 商品の価格は各社の公式サイトに掲載されているものを記載しました。クレ・ド・ポー ボーテについては公式サイトに参考小売価格である旨の注記があり、お店によって異なる場合があります。
  4. 海外での価格を示した金額は、日本での価格を為替で割った計算上の目安です。実際の取引では手数料や現地の税金などが加わるため、この金額のとおりに売買されるわけではありません。
  5. 本記事は為替のしくみをご紹介するもので、投資の判断や、特定の商品の購入をおすすめするものではありません。国をまたぐ買い物の税金や手続きについては、税関などの窓口でご確認ください。
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