YASASHIKU KAISETSU / 原料と物流

ベトナムの樹脂はいつまで買えるのか、6月のPPは日本の輸入の43.4%、唯一のPE工場は5月から停止

2026年6月、日本が輸入したポリプロピレンの43.4%がベトナムから来ました。前年同期の3割増ではなく、単月で首位に立っています。ところが、ベトナムでポリエチレンを作れる工場は1か所しかなく、そこは2026年5月中旬から止まったままです。増えた理由は、生産能力が増えたことではありませんでした。数字で追いました。

公開日: 最終更新: カテゴリ:原料と物流
この記事のポイント
  • 2026年6月の1か月だけで、日本のポリプロピレンの輸入26,276トンのうち11,410トンがベトナムからでした。43.4%です。2位の中国3,872トンの2.9倍で、単月では単独の首位になっています。
  • 高密度ポリエチレンはもっと極端です。2025年1〜6月の35トンから2026年同期の8,253トンへ。前年がほぼゼロですから、率で示しても意味がありません。新しい経路が立ち上がったことになります。
  • 理由は工場の数でした。ベトナムでポリエチレンを作れるのはロンソン石油化学の1社だけです。ギソン、ズンクアット、ヒョースンはいずれもポリプロピレン専業で、ポリエチレンの設備を持っていません。
  • そのロンソンは2024年10月から2025年8月まで止まっていました。だから前年はゼロだったのです。2026年上半期は、ベトナムで初めてポリエチレンの工場が半年ずっと動いていた期間にあたります。
  • そして2026年5月中旬、ロンソンは再び止まりました。当社が確認した2026年8月5日時点の資料でも、まだ再開していません。再開の時期は「市況次第」とされています。
  • ベトナム側の統計では、日本向けの樹脂原料の輸出は5月の45,179トンが山でした。工場が止まった月がいちばん多い。6月は29,309トン、7月は23,813トンと減っています。在庫を吐き出している形です。
  • ベトナム国内はむしろ足りていません。2025年末からポリプロピレンが最大50%、高密度ポリエチレンが30〜40%上がり、供給元が顧客ごとに数量を割り振る状態だと報じられています。
かんたんに言うと

ベトナムからの樹脂は確かに増えました。ただし工場が増えたからではありません。ポリエチレンを作れる1社が、前の年は止まっていて、今年は動いていた。それだけです。その1社は2026年5月中旬から再び止まっており、再開の時期は決まっていません。買えるうちに買える先、という位置づけになります。

日本のPP輸入に占めるベトナム
43.4%
2026年6月単月。11,410トン
HDPEの輸入(1〜6月累計)
8,253トン
前年同期は35トン
PEを作れる工場
1
ロンソン石油化学のみ
その1社の状態
停止
2026年5月中旬から

CHAPTER 014か国目のベトナムだけ、増えていました

当社は2026年2月28日のホルムズ海峡の封鎖のあと、樹脂の仕入れ先を国ごとに追いかけてきました。ベトナムで4か国目になります。

同じ事故に、4か国が別の反応をしました

中国は原油もナフサも買うのをやめて、それでも樹脂を増産して輸出に回しました。マレーシアは産油国でありながら最大の製油所が稼働率50%まで落ちました。シンガポールは油田を持たない国として、6月の石油化学の生産が前年同月比52.3%減になりました。そしてベトナムだけ、日本への樹脂が増えています。

増え方が普通ではありません。ポリプロピレンは1〜6月累計で19,800トンから34,200トンへ72.7%増、高密度ポリエチレンは35トンから8,253トンへ。4品目の合計では30,193トンから57,513トンで、90.5%増えています。

調べる前は、ベトナムの石化が好調なのだろうと考えていました。数字を取ったら、そうではありませんでした。

当社は物流資材の商社です。ポリプロピレンでできたパレット、PPバンド、ストレッチフィルムを扱っています。仕入れ先が1つ増えたのかどうかは、当社にとって実務そのものです。そこで、ベトナム側の資料と現地の報道を当たりました。

CHAPTER 02ベトナムも、中東に頼っていました

まず前提を1つ、はっきりさせておきます。ベトナムはホルムズ海峡の影響を受けなかった国ではありません。むしろ逆です。

項目ベトナム
原油輸入に占める中東の割合85%
うち中心となる国事実上ほぼ全量がクウェート
プロパンの中東依存約80%

三菱UFJフィナンシャル・グループの調査部門が2026年3月18日に公表した分析によります。同分析は、原油が1バレル10ドル上がるとベトナムの経常黒字がGDP比0.4%減り、成長率が0.2ポイント下がると試算しています。

クウェート産の原油は、必ずホルムズ海峡を通ります。日本の中東依存よりも高い水準です。ベトナムは「影響を受けなかった」のではなく、受けたうえで製油所の側で捌いたというのが正確です。

CHAPTER 03それでも、製油所は止まりませんでした

ここがベトナムの特異な点です。シンガポールの石化が半減し、マレーシアの製油所が稼働率50%まで落ちた同じ時期に、ベトナムの製油所は能力を超えて動いていました。

製油所2026年の稼働原油の調達
ズンクアット(ビンソン)上半期の稼働率124%。同社は換算能力ベースで過去最高としています主に国内産。ホルムズを通らない
ギソン1〜3月期に創業以来初めての黒字。上半期の石油製品生産410万トンクウェート依存から分散。処理できる原油が10種類に

ビンソン(BSR)とペトロベトナムの公表資料、およびベトナム政府系サイトの報道によります。

支えたのは自国の原油でした。ベトナムの原油生産は2026年上半期に前年同期比14.2%増。上半期としては2015年以来11年ぶりの二桁成長です。封鎖のさなかに自国産の原油が増えた国は、当社が追いかけた4か国のなかでベトナムだけです。

ギソンの原料の切り替えも速いものでした。設計上はクウェート産専用だった製油所が、2026年には米国のWTI、アブダビのダス、カタールのアルシャヒーン、コンゴのジェノを受け入れています。上半期の原油輸入3,900万バレルのうち、クウェート産は1,800万バレルで46%まで下がりました。ペトロベトナムは2026年7月に「9月末までの原油を確保済み」としています。

ギソンには日本の会社が出資しています。出光興産が35.1%、三井化学が4.7%です。残りはクウェート石油国際が35.1%、ペトロベトナムが25.1%。日本の元売りと化学メーカーが持分を持つ製油所が、ベトナムの燃料需要の35〜40%を担っています。

CHAPTER 04樹脂は、別の話でした

製油所が動いていたのだから樹脂も順調だった——と読みたくなります。そうではありませんでした。

エスアンドピー・グローバルが2026年3月6日にまとめたアジアの生産停止とフォースマジュールの一覧を、当社が直接読みました。載っているのはシンガポール、韓国、インドネシア、中国の企業だけで、ベトナムの会社は1社もありません。3月の一斉停止の波に、ベトナムは含まれていませんでした。

ところが、その約4週間後から話が変わります。

時期会社内容
2026年4月2日ギソン4〜6月期のポリプロピレン出荷の全量についてフォースマジュールを宣言
2026年5月中旬ロンソン石油化学操業を停止。2026年8月5日時点でも再開していない

ギソンはコモプラストの2026年4月2日の記事、ロンソンはアイシスの2026年8月5日の記事によります。

ギソンの理由が特徴的です。コモプラストの記事は「中東の原料ショックのなかで、緊急の国内燃料生産を優先し、採算の高い石油化学を犠牲にした」と書いています。燃料を作るために、樹脂をやめたということです。

この記事は有料で、当社は本文を読めていません

コモプラストの記事は見出しと無料の要旨までしか読めていません。宣言の正確な日付や対象数量は確認できていません。ここで申し上げているのは、見出しと要旨に書かれている範囲——4〜6月期のポリプロピレン全量が対象であること、理由が中東由来の原料難と国内燃料の優先であること——に限られます。

「ベトナムは無傷だった」と書くのは誤りになります。正確には、3月の波には入らず、4月と5月に別々の理由で止まった、ということです。

CHAPTER 05ポリエチレンを作れる工場は、1つしかありません

この記事でいちばん申し上げたいのがここです。

ベトナムでポリエチレンを作れるのは、ロンソン石油化学(LSP)1社だけです。タイのSCGが出資したベトナム初の総合石油化学コンプレックスで、投資額は50億ドルを超えます。

会社品目能力(年間)
ロンソン石油化学高密度ポリエチレン50万トン
直鎖状低密度ポリエチレン50万トン
ポリプロピレン40万トン
ギソンポリプロピレンのみ40万トン
ヒョースンポリプロピレンのみ60万トン
ズンクアットポリプロピレンのみ15万トン

ロンソンの能力はアイシスとアーガス・メディアによります。高密度ポリエチレンについては45万トンとする資料もあり、当社では確定できていません。ギソンとズンクアットのポリプロピレン能力は二次資料によるもので、両社の公式発表では確認できていません。

だから、前年はゼロだったのです

そのロンソンが、いつ動いていたかを並べます。

時期状態
2024年9月30日商業運転を開始
2024年10月中旬わずか1か月で停止。採算の悪化が理由
2025年1〜6月停止したまま
2025年8月20日約10か月ぶりに再稼働
2026年1〜5月稼働
2026年5月中旬再び停止
2026年8月5日まだ再開していない

SCGベトナムの公式発表、ベトナムネット、アイシスの各記事によります。

並べると答えが出ます。2025年1〜6月、ベトナムには動いている高密度ポリエチレンの工場が物理的に存在しませんでした。だから日本への輸入が35トンだったのです。

そして2026年上半期は、ベトナムで初めて、ポリエチレンの工場が半年を通してほぼ動いていた期間でした。8,253トンという数字は、供給源がなかった半年と、あった半年を比べたものです。

前年ゼロの行から、増減率を出してはいけません

35トンから8,253トンなので、率にすれば2万%を超えます。この率には意味がありません。去年は工場が止まっていて、今年は動いていた。それだけのことを、率で言い換えているにすぎません。当社は本記事で、この組み合わせの増減率を出していません。

日本の技術で作られています

もう1つ、日本の読者に関わる事実があります。ロンソンの高密度ポリエチレンは、三井化学が開発した技術で作られています。同社の公式サイトに「日本の三井化学が開発したバイモーダルプロセスで製造される高密度ポリエチレン樹脂」と明記されています。ポリプロピレンも同社の技術です。当社がこのページを直接読みました。

ただし、この技術系譜が日本向けの輸出増を引き起こしたという資料は見つかっていません。事実として並んでいるだけで、因果はつながっていません。

CHAPTER 06日本への数量は、どれくらい増えたのでしょうか

日本側の数字を整理します。財務省貿易統計をもとにしたプラサーチの集計を当社が直接読み、合計と増減は当社が計算しました。

ベトナムからの輸入(1〜6月累計)2025年2026年
PP(ホモ)19,800トン34,200トン
PP(ブロック)10,358トン14,923トン
HDPE35トン8,253トン
LDPEなし137トン
4つの合計30,193トン57,513トン

合計は90.5%増です。金額は50億8,260万円から126億207万円へ147.9%増えました。平均単価は1kgあたり168円から219円になっています。

6月の1か月だけを取り出すと、もっとはっきりします。

2026年6月単月のPP(ホモ)数量
ベトナム11,410トン
中国3,872トン
韓国3,534トン
タイ3,118トン
輸入全体26,276トン

6月単月は1〜6月累計から1〜5月累計を差し引いて当社が計算しました。

ベトナムの11,410トンは、輸入全体26,276トンの43.4%にあたります。2位の中国3,872トンの2.9倍です。1か月とはいえ、日本のポリプロピレンの4割超が1か国から来た計算になります。

値段のほうは、突出していません。6月単月の1kgあたりの単価は、PPが270円で輸入全体の平均278円より8円安く、PPブロックが274円で同291円より17円安く、HDPEは290円で同283円より7円高い水準でした。安いから買われたというより、出てくるから買われたという形です。

ベトナム側の統計でも確かめられます

ベトナム税関が公表している月次の貿易統計にも、日本向けの樹脂原料の数量が載っています。こちらは2026年7月分まで出ており、日本の統計より1か月先まで見えます。

ベトナムから日本への樹脂原料数量1トンあたり
2026年1月19,935トン918ドル
2026年2月15,036トン953ドル
2026年3月24,099トン1,001ドル
2026年4月28,790トン1,378ドル
2026年5月45,179トン1,554ドル
2026年6月29,309トン1,559ドル
2026年7月23,813トン1,343ドル
1〜7月累計186,161トン1,312ドル

ベトナム税関総局の月次統計を当社が集計しました。1トンあたりの単価は金額を数量で割ったものです。

いちばん多いのが5月です。ロンソン石油化学が止まったのが5月中旬ですから、止まった月に最も多く出ています。6月、7月と減っていますが、7月もまだ23,813トンあります。

日本はベトナムの樹脂原料の輸出先として、インドの211,097トンに次ぐ2位です。

CHAPTER 07それでも「新しい仕入れ先」とは書けません

ここまでの数字だけを見れば、ベトナムは新しい仕入れ先に見えます。当社はそう書きません。理由を3つ挙げます。

1つめ 供給源が、いま止まっています

ロンソンは2026年5月中旬から停止しています。アイシスが2026年8月5日に報じた記事を当社が直接読みました。SCGの化学部門は「再開の判断は市況次第」としており、時期は示されていません。

停止の理由の説明が、4月と8月で違っています。4月にタイ証券取引所へ届け出た時点では、中東情勢による原料の調達難が理由でした。8月の記事では「定期修繕と、エタン転換工事の準備」と説明されています。当社では、この2つがどう重なっているのかを分けられません。

エタンへの転換は、米国産のエタンを原料に使えるようクラッカーを改造する工事です。エタンの貯蔵タンクが60%、オレフィン設備の改造が40%まで進んでいますが、立ち上げの予定は2027年下半期です。2026年のうちに完成するものではありません。

止まっていても、出荷はありました

SCGの化学部門は、2026年4〜6月期にロンソンが198,000トンのポリエチレンとポリプロピレンを販売したとしています。部分的な稼働と在庫の取り崩しによるものです。つまり工場が止まっていても、しばらくは出荷が続きます。6月に日本への数量が最大になったこととは矛盾しません。逆に言えば、在庫が切れたところで止まります。

2つめ どの工場のものかが分かりません

前の章で、ベトナム税関の統計に日本向けの数量が載っていることを書きました。ただし、その数字は日本側の数字と直接はつながりません。

区分の幅が違うためです。ベトナム側の「樹脂原料」はプラスチックの原料をひとまとめにした区分で、塩化ビニルやペットボトルの原料なども含みます。当社が追っているPP・PPブロック・HDPE・LDPEの4品目より広い。

2026年1〜6月数量
ベトナム側「日本向け樹脂原料」162,348トン
日本側「ベトナムからの4品目」57,513トン

ベトナム税関総局と、財務省貿易統計をもとにしたプラサーチの集計を、当社がそれぞれ集計・計算しました。

重なっているのは35.4%です。残りは当社が追っていない樹脂だと考えられますが、内訳は分かりません。

そして、どちらの統計にも会社名は出てきません。SCG、SCGケミカルズ、ロンソン石油化学の公表資料にも、日本を仕向地として名指しした記載は1つもありませんでした。8,253トンの高密度ポリエチレンがロンソン製かどうかは、依然として分かりません。

3つめ 作っていないはずのものが、届いています

これがいちばん引っかかっている点です。

日本は2026年1〜6月に、ベトナムから低密度ポリエチレンを137トン輸入しています。ところが当社が確認した範囲で、ベトナムに低密度ポリエチレンの設備があるという記載は、どの資料にもありません。ロンソンが持っているのは高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンで、低密度ポリエチレンのプラントは記載がありません。

量は小さいので、それ自体が問題なのではありません。ベトナム原産として通関したもののなかに、ベトナムで作られていないものが混じっている可能性を示しています。第三国で作られた樹脂が、ベトナムを経由して日本に入っている——という説明はあり得ますが、当社は確認できていません。高密度ポリエチレンの8,253トンについても、どれだけがベトナム国内で作られたものかは分かっていません。

CHAPTER 08ベトナム国内は、むしろ足りていません

最後に、輸出の裏側にある国内の状況を書きます。

ベトナムの経済メディア「ザ・インベスター」が2026年3月26日に報じた記事によれば、2025年末からの値上がりはこうなっています。

樹脂2025年末からの値上がり
ポリプロピレン最大50%
高密度ポリエチレン30〜40%
直鎖状低密度・低密度ポリエチレン約40%

高密度ポリエチレンの30〜40%はスーパー・チュオンファット・プラスチックス・グループの数字です。同記事は別の調査会社の集計として年初来約45%という値も併記しています。

数量も出ていません。同記事は、供給元が入手できる量が限られるとして顧客ごとに数量を割り振っていると書いています。接着剤メーカーが、高い値段を払うと言ってもプラスチックのキャップを調達できなかった例が挙げられています。

在庫の持ち高も示されています。アンファット・バイオプラスチックスは原材料4,000億ドンと輸送中の在庫1,250億ドンで1〜2か月分、ティエンフォン・プラスチックは1兆ドン超で2〜3か月分としています。

ベトナムの樹脂需要は年1,200万トン規模で、原料の70%超を輸入に頼っています。ロンソンが動いても自給率は3分の1程度にとどまります。国内で数量を割り振りながら、日本向けが増えた。これは生産量が増えたという話ではなく、どこへ売るかの話です。当社は、その配分がどう決まったのかを確認できていません。

CHAPTER 09この記事に出てきた言葉の意味

ロンソン石油化学(LSP)
ベトナム南部バリアブンタウ省にある同国初の総合石油化学コンプレックスです。タイのSCGが出資し、投資額は50億ドルを超えます。ベトナムでポリエチレンを作れる唯一の会社です。
クラッカー
ナフサなどを高温で分解して、エチレンやプロピレンを取り出す装置です。ここが止まると、その先の樹脂の工場もすべて止まります。
エタン
天然ガスに含まれる成分で、エチレンの原料になります。米国のシェールガスから大量に出るため、ナフサより安く手に入ります。原料をナフサからエタンに替える工事が、いまロンソンで進んでいます。
フォースマジュール
不可抗力です。紛争や災害で契約どおりに供給できなくなったとき、供給者が宣言します。宣言されると、買い手は決まっていた量を受け取れなくなります。
バイモーダル
分子の長さが違う2種類のポリエチレンを組み合わせて作る方法です。強さと加工しやすさを両立できます。ロンソンはこの技術を三井化学から導入しています。
稼働率が100%を超える
設計上の能力を上回って運転している状態です。設備には余裕が見込まれているため、条件がそろえば設計値以上に動かせます。ベトナムのズンクアット製油所は2026年上半期に124%で運転していました。

CHAPTER 10主な情報源

ロンソン石油化学「HDPE」製品ページ同社の高密度ポリエチレンが日本の三井化学が開発したバイモーダルプロセスで製造されていることは、当社がこのページを直接読んだものです。

アイシス「Vietnam's LSP ethane project on track for H2 2027 start-up: SCGC」(2026年8月5日)ロンソンが2026年5月中旬から停止していること、再開の判断が市況次第であること、4〜6月期に198,000トンを部分稼働と在庫から販売したこと、エタン貯蔵タンクが60%・オレフィン設備の改造が40%完成で立ち上げが2027年下半期であることは、当社がこの記事を直接読んだものです。

アイシス「Vietnam's Long Son Petrochemicals to suspend operations in May on feedstock issues」(2026年4月23日)ロンソンが5月中旬からの停止をタイ証券取引所に届け出たこと、その時点の理由が中東情勢による原料調達の制約であったことはこの記事によります。

エスアンドピー・グローバル「Factbox: More chemical plant shutdowns, force majeures reported in Asia」(2026年3月6日)この一覧に掲載されているのがシンガポール・韓国・インドネシア・中国の企業のみで、ベトナムの会社が含まれていないことは、当社がこの記事を直接読んで確認したものです。

コモプラスト「NSRP declares force majeure on PP through Q2 amid searing feedstock crisis and fuel mandate」(2026年4月2日)ギソンが4〜6月期のポリプロピレン全量にフォースマジュールを宣言したこと、理由が中東由来の原料難と国内燃料の優先であることは、この記事の見出しと無料で読める要旨によります。本文は有料で、当社は読めていません。

ザ・インベスター「Plastic resin shortage drives industry divide as costs surge」(2026年3月26日)ベトナム国内でポリプロピレンが最大50%、高密度ポリエチレンが30〜40%、直鎖状低密度・低密度ポリエチレンが約40%上がったこと、供給元が顧客ごとに数量を割り振っていること、アンファット・バイオプラスチックスの在庫が1〜2か月分、ティエンフォン・プラスチックが2〜3か月分であることは、当社がこの記事を直接読んだものです。

ザ・インベスター「Nghi Son Refinery and Petrochemical Complex turns profitable in Q1 on full-capacity operations」ギソンが2026年1〜3月期に創業以来初めての黒字になったこと、フル稼働であったことはこの記事によります。

三菱UFJフィナンシャル・グループ調査部門「Vietnam: Strait of Hormuz closure — oil and energy shortages key for VND」(2026年3月18日)ベトナムの原油輸入の85%が中東で事実上ほぼ全量がクウェート産であること、プロパンの約80%が中東産であること、原油が1バレル10ドル上がると経常黒字がGDP比0.4%減ることはこの分析によります。

ハイドロカーボン・プロセッシング「Vietnam's Nghi Son refinery secures crude oil to operate through end-September」(2026年7月)ギソンの2026年上半期の原油輸入3,900万バレルのうちクウェート産が1,800万バレルであること、処理できる原油が10種類になったこと、9月末までの原油を確保済みであること、上半期の石油製品生産が410万トンであることはこの記事によります。

ベトナムプラス「Dung Quat oil refinery increases crude oil storage capacity by 12.5%」(2026年8月5日)ズンクアット製油所の原油タンク容量の拡張はこの記事によります。同製油所の2026年上半期の稼働率124%はビンソン(BSR)の公表資料によります。

ベトナムプラス「Petrovietnam exceeds targets across all six key business indicators」ベトナムの原油生産が2026年上半期に前年同期比14.2%増で、上半期としては2015年以来11年ぶりの二桁成長であることはペトロベトナムの公表によります。

ベトナムネット「Vietnam's $5B petrochemical complex restarts after year-long shutdown」(2025年8月20日)ロンソンが2024年10月中旬の停止から約10か月を経て2025年8月20日に再稼働したことはこの記事によります。2024年9月30日の商業運転開始はSCGベトナムの公式発表によります。

ベトナム税関総局「Preliminary Exports/Imports of goods」2026年1〜7月日本向けの樹脂原料の月次数量と金額、輸出先の相手国別内訳、ベトナムの樹脂原料の輸出入総量と輸入元の内訳は、当社がこれらの統計表を直接集計したものです。1トンあたりの単価と構成比は当社が計算しました。

プラサーチ「樹脂別国別輸入実績」2025年1〜6月・2026年1〜5月・1〜6月(財務省貿易統計による)ベトナムからのPP・PPブロック・HDPE・LDPEの数量と金額は、当社がこれらのPDFを直接読んだものです。合計、増減率、1kgあたりの単価、6月単月の値、輸入全体に占める割合は、当社が数量と金額から計算しました。

樹脂原料はなぜ高いままなのか|ナフサ118,900円とPP・PE4品目の国別価格2026年の全記録本記事のベトナムの数字を、PP・PPブロック・HDPE・LDPEの4品目について相手国別に並べた当社の定点観測ページです。

中国の樹脂はどこへ行ったのか、輸出先の上位10か国に日本はなく、それでも6月の輸入単価は最も安い同じ2026年の中国を扱っています。原油もナフサも減らしながら樹脂の輸出を増やした経緯を数字で追っています。

マレーシアの樹脂はなぜ止まったのか、ホルムズの東にあるのに原油の4割が海峡経由、日本向けは4割減同じ2026年のマレーシアを扱っています。産油国でありながら最大の製油所が稼働率50%まで落ちました。

シンガポールの石化はなぜ半減したのか、自国に原油はゼロ、6月の生産52.3%減と住友化学系2社の停止同じ2026年のシンガポールを扱っています。油田を持たない国で3社が続けて生産停止を宣言しました。

FAQよくあるご質問

ベトナムからの樹脂は、なぜ急に増えたのですか。

ベトナムでポリエチレンを作れる唯一の工場が、前の年は止まっていて、今年は動いていたためです。ロンソン石油化学は2024年10月中旬から2025年8月20日まで約10か月止まっていました。だから2025年1〜6月の高密度ポリエチレンの輸入は35トンでした。2026年上半期は、ベトナムで初めてポリエチレンの工場が半年を通してほぼ動いていた期間にあたります。生産能力が増えたわけではありません。

いまも買えるのですか。

供給源は止まっています。ロンソン石油化学は2026年5月中旬から停止しており、当社が確認した2026年8月5日時点の資料でもまだ再開していません。再開の判断は「市況次第」とされ、時期は示されていません。ただし同社は2026年4〜6月期に198,000トンを部分稼働と在庫から販売しており、工場が止まってもしばらくは出荷が続きます。在庫が切れたところで止まります。

ベトナムはホルムズ海峡の影響を受けなかったのですか。

受けています。ベトナムの原油輸入の85%は中東からで、事実上ほぼ全量がクウェート産です。クウェート産の原油は必ずホルムズ海峡を通ります。日本の中東依存よりも高い水準です。影響を受けなかったのではなく、受けたうえで製油所の側で捌いたというのが正確です。ベトナムの原油生産が2026年上半期に14.2%増えたことと、ギソン製油所が処理できる原油を10種類に広げたことが支えました。

ベトナムの工場は止まらなかったのですか。

製油所は止まりませんでしたが、樹脂は止まりました。エスアンドピー・グローバルが2026年3月6日にまとめたアジアの生産停止の一覧にベトナムの会社は載っていません。ただし4月2日にギソンが4〜6月期のポリプロピレン全量にフォースマジュールを宣言し、5月中旬にロンソン石油化学が停止しています。「ベトナムは無傷だった」と書くのは誤りになります。

6月に日本へ来たポリプロピレンは、どの工場のものですか。

分かっていません。ギソンは4〜6月期のポリプロピレン全量にフォースマジュールを宣言していますので、ギソン製である可能性は低いと考えられます。残る候補はロンソン石油化学とヒョースンですが、どちらであるかを示す資料を当社は見つけられませんでした。ベトナム税関の相手国別統計も取得できていません。

ベトナム産と書いてあれば、ベトナムで作られたものですか。

そうとは限りません。日本は2026年1〜6月にベトナムから低密度ポリエチレンを137トン輸入していますが、当社が確認した範囲でベトナムに低密度ポリエチレンの設備があるという記載はどの資料にもありません。量は小さいものの、ベトナム原産として通関したもののなかにベトナムで作られていないものが混じっている可能性を示しています。第三国産の経由という説明はあり得ますが、当社は確認できていません。

ベトナムから買うと安いのですか。

突出して安くはありません。2026年6月単月の1kgあたりの輸入単価は、PPが270円で輸入全体の平均278円より8円安く、PPブロックが274円で同291円より17円安く、HDPEは290円で同283円より7円高い水準でした。安いから買われたというより、出てくるから買われたという形です。

ベトナム国内は足りているのですか。

足りていません。ベトナムの経済メディアが2026年3月26日に報じた記事によれば、2025年末からポリプロピレンが最大50%、高密度ポリエチレンが30〜40%上がり、供給元が入手できる量が限られるとして顧客ごとに数量を割り振っています。国内で数量を割り振りながら日本向けが増えたということは、生産量が増えたという話ではなく、どこへ売るかの話です。当社は、その配分がどう決まったのかを確認できていません。

日本の会社は関わっているのですか。

関わっています。ギソン製油所には出光興産が35.1%、三井化学が4.7%出資しています。ロンソン石油化学の高密度ポリエチレンとポリプロピレンは、三井化学が開発した技術で作られています。同社の公式サイトに明記されており、当社がこのページを直接読みました。ただし、この技術系譜が日本向けの輸出増を引き起こしたという資料は見つかっていません。事実として並んでいるだけで、因果はつながっていません。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。

当社は物流資材の商社で、プラスチックパレット、再生樹脂原料、PPバンド、ストレッチフィルムを取り扱っています。これらはすべてポリエチレンとポリプロピレンからできており、仕入れ先が1つ増えたのかどうかは当社の実務そのものです。自社の仕入れのために追いかけている数字を、そのままお伝えしています。

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