ディズニーのチケットはなぜ上がるのか、決算資料が開示する外部環境コスト80億円と原価率の悪化
東京ディズニーリゾートが2026年10月からチケットの上限価格を引き上げます。同社は値上げの理由として体験価値の向上を挙げており、原材料高には触れていません。ただし決算説明会資料を開くと、別の数字が並んでいます。2027年3月期の諸経費増加額165億円を4つに分類し、うち約80億円を「外部環境によって増加するコスト」とし、その内訳に建築資材費用を挙げています。開示資料をそのまま読みます。
- オリエンタルランドは2027年3月期の諸経費増加額を約165億円と見込み、これを4分類で開示しています。最大は「外部環境によって増加するコスト」の約80億円で、内訳として労務単価・建築資材費用・システムライセンス費用が挙げられています。4分類の合計は損益計算書上の増加額と一致します。
- 商品・飲食原価率は、2026年3月期が13億円の改善だったのに対し、2027年3月期は約15億円の悪化を見込むとされています。商品販売収入と飲食販売収入は、ゲスト1人当たり売上高18,403円のうち合計8,796円を占める領域です。
- 同社は値上げの理由として原材料高を挙げていません。日本経済新聞の報道では、新エリア開業などによる体験価値の向上を説明としています。値上げの説明と、コストの開示は別のものとして読む必要があります。
オリエンタルランドは2027年3月期の諸経費増約165億円を4分類で開示し、最大の約80億円を「外部環境によって増加するコスト」として建築資材費用を明示しています。商品・飲食原価率も約15億円の悪化見込み。一方で値上げ理由には原材料高を挙げていません。開示の構造を読み解きます。
諸経費4分類の最大項目
テーマパーク事業
2027年3月期予想
2026年10月から
CHAPTER 0110月の改定内容を確認します
オリエンタルランドは東京ディズニーランドと東京ディズニーシーで、2026年10月からチケットの上限価格を引き上げます。
この改定は2段階で表に出ました。まず2026年7月13日、公式サイトのチケットカレンダーに新しい価格が表示されていることを各報道機関が伝えます。次に7月30日、第1四半期決算の発表とあわせて同社から正式に公表されたと報じられました。以下の金額は、7月13日の日本経済新聞の報道によります。
| 区分 | 従来 | 改定後 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1デーパスポート 大人(上限) | 10,900円 | 12,400円 | +1,500円 |
| 同 小人 4〜12歳(上限) | 5,600円 | 5,900円 | +300円 |
| 10月10日の大人料金 | ー | 11,900円 | ー |
| 10月11日の大人料金 | ー | 12,400円 | ー |
日本経済新聞(2026年7月13日)の報道によります。小人の従来価格5,600円は、報道にある「300円引き上げ5,900円」から当方で逆算しました。上限価格は需要の高い日のみに適用されます。引き上げは2023年10月以来3年ぶりです。
同社は入園日によって価格が変わる価格変動制を採用しているため、10月以降のすべての日が上限価格になるわけではありません。
7月30日の正式発表では、ディズニー・プレミアアクセスの対象アトラクション拡大も同時に公表されたと報じられています(dpost.jp)。2026年9月1日以降、ビッグサンダー・マウンテン、プーさんのハニーハント、ホーンテッドマンションなどが対象に加わるとされています。有料サービスの対象拡大も、客単価に効く施策のひとつです。
CHAPTER 02同社は値上げ理由に原材料高を挙げていません
ここは記事の前提として、先に確認しておきます。
オリエンタルランドは、今回の値上げの理由として原材料高や中東情勢を挙げていません。日本経済新聞によると、同社は「2024年には新エリアも開業するなどパークの体験価値は高まった」と説明しています。
2026年4月28日の決算説明会資料でも、2027年3月期の施策としてパークチケットについて「パークの体験価値やゲストの需要動向などを踏まえた適正価格の設定」「現在の価格帯における構成比の変更や、価格帯自体の変更も視野に検討」と記されています。コストを理由とする記載はありません。
本記事は、値上げの原因が原材料高であると主張するものではありません。同社が値上げの説明として述べていることと、コスト面で開示していることは別のものです。以下では後者、つまり決算説明会資料に開示されたコストの内訳だけを扱います。両者を結びつけて因果を語ることはしません。
同社の収益構造は客単価の向上が軸です
背景として、同社の収益構造を確認しておきます。2026年3月期の実績は次のとおりです。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| テーマパーク事業 売上高 | 5,521億円 | 5,683億円 | +2.9% |
| 入園者数 | 2,756万人 | 2,753万人 | △0.1% |
| ゲスト1人当たり売上高 | 17,833円 | 18,403円 | +3.2% |
| ┗ アトラクション・ショー収入 | 9,386円 | 9,608円 | +2.4% |
| ┗ 商品販売収入 | 5,084円 | 5,227円 | +2.8% |
| ┗ 飲食販売収入 | 3,362円 | 3,569円 | +6.1% |
オリエンタルランド 2026年3月期決算説明会資料(2026年4月28日)。増減率は同資料の記載によります。
入園者数がほぼ横ばいのなか、ゲスト1人当たり売上高が過去最高を更新しています。売上を伸ばす軸が客単価にあることが、数字からも読み取れます。
ここで注目したいのが、商品販売収入5,227円と飲食販売収入3,569円です。合わせて8,796円となり、ゲスト1人当たり売上高18,403円の約48%を占めます(当方で計算)。お土産と食事が、客単価のほぼ半分を構成しているということです。
CHAPTER 03諸経費165億円は4分類で開示されています
ここからが本題です。2027年3月期のテーマパーク事業について、同社は営業利益の減少要因を次のように開示しています。
| 項目 | 営業利益への影響 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 商品・飲食原価率の増 | 約△15億円 | ー |
| 人件費の増 | 約△25億円 | 正社員人件費 約△55億円、準社員 約△10億円ほか |
| 諸経費の増 | 約△165億円 | メンテナンス費 約△45億円、シー25周年イベント関連 約△25億円ほか |
| 減価償却費の減 | 1億円 | ー |
オリエンタルランド 2026年3月期決算説明会資料(2026年4月28日)「通期予想(前期比較)主な増減要因 テーマパーク事業②」より。△表示は営業利益に対する減少影響を示します。
最大の減少要因が諸経費の約165億円です。そして同社は、この諸経費の増加を性質別に4つへ分類した図を別に掲載しています。
4分類の内容
| 分類 | 金額 | 内訳として挙げられているもの |
|---|---|---|
| ①外部環境によって増加するコスト | 約80億円 | 労務単価、建築資材費用、システムライセンス費用など |
| ②中長期の成長のためのコスト | 約40億円 | 販売促進費、研究開発費など |
| ③2027年3月期の一過性のコスト | 約35億円 | 東京ディズニーシー25周年イベント関連費用、システム関連費用など |
| ④ベースコスト(①〜③以外) | 約10億円 | メンテナンス費、システム関連費用など |
| 合計 | 165億円 | 損益計算書上の諸経費の増加額と一致(当方で検算) |
同資料「通期予想(前期比較)主な増減要因」の諸経費分解図より。当方で合計したところ80+40+35+10=165億円となり、損益計算書上の「諸経費の増 約△165億円」と一致しました。同図には「中長期的なコストコントロールの対象となるコスト 約35億円」も併記されています。
4分類の合計が損益計算書上の数字と一致する点は重要です。この分類は説明用に別途作られたものではなく、実際の予想値を性質別に切り分けたものと読めます。企業が自社のコスト増を「自社の判断によるもの」と「外部環境によるもの」に分けて開示している例は、それほど多くありません。
CHAPTER 04「外部環境によって増加するコスト」に建築資材費用があります
4分類のうち最大の約80億円が「外部環境によって増加するコスト」です。同社が挙げている内訳は3つです。
| 内訳 | 性質 | 上流にあるもの |
|---|---|---|
| 労務単価 | 人手不足と賃金水準の上昇 | 労働市場 |
| 建築資材費用 | 資材価格の上昇 | 鋼材、木材、樹脂、エネルギー |
| システムライセンス費用 | ソフトウェア利用料の上昇 | 為替、海外ベンダーの価格政策 |
内訳の3項目は同資料の記載です。「上流にあるもの」は当方による整理であり、同社が示したものではありません。
このうち建築資材費用が、当社の本業と最も近い項目です。
テーマパークは建築資材を継続的に消費する事業です
テーマパークは、建てて終わりの施設ではありません。アトラクションの更新改良、メンテナンス、イベントごとの装飾の造作。この繰り返しに資材が必要です。
実際、同社の投資額は2027年3月期にテーマパーク事業で1,160億円を予想しており、2026年3月期の750億円から409億円増える見込みです。内訳としてメインエントランス改修、劇場施設改修、バックステージ環境改善などが挙げられています。
加えて、諸経費側でもメンテナンス費が約45億円増える見込みです。投資と経費の両面で、資材を使う活動が増えているということになります。
建築資材のなかには、鋼材や木材だけでなく、樹脂製品も含まれます。塗料、接着剤、シート、配管、断熱材。これらの多くは原油から取り出されるナフサを原料としています。当社が扱うプラスチックパレットやストレッチフィルムと、原料の系統が重なります。中東情勢によるナフサの供給環境の変化は、建築資材の一部にも及ぶ経路を持っています。ただし、同社が建築資材費用の増加要因としてナフサや中東情勢を挙げているわけではありません。
CHAPTER 05商品・飲食原価率は改善から悪化へ転じます
もうひとつ注目すべき項目が、商品・飲食原価率です。
| 期 | 商品・飲食原価率の営業利益への影響 | 方向 |
|---|---|---|
| 2025年3月期(前期比) | △30億円 | 悪化 |
| 2026年3月期(前期比) | +13億円 | 改善 |
| 2027年3月期予想(前期比) | 約△15億円 | 悪化 |
オリエンタルランド 各期の決算説明会資料より。△表示は営業利益に対する減少影響を示します。
2026年3月期にいったん改善した原価率が、2027年3月期は約15億円の悪化に転じる見込みです。
商品と飲食は、客単価の約半分を占めます
第2章で見たとおり、商品販売収入と飲食販売収入はゲスト1人当たり売上高の約48%を構成します。ここの原価率が動くことの意味は小さくありません。
ただし注意が必要です。同社は2027年3月期の商品販売収入を前期比△1.1%、飲食販売収入を△0.8%と、いずれも微減で見込んでいます。ダッフィー&フレンズ20周年関連商品の販売終了などが理由として挙げられています。売上が微減するなかで原価率が悪化する構図です。
原価率の悪化要因について、同社は内訳を開示していません。したがって「包装資材の高騰が原因である」といった説明は、本記事では行いません。確認できているのは、原価率が悪化する見込みであるという事実だけです。
参考:食品分野の値上げ要因
比較のための材料として、食品分野全体の状況を挙げておきます。帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年7月31日公表分)によると、値上げ要因は複数回答で原材料高90.9%、物流費65.8%、包装・資材64.0%、中東情勢27.8%となっています。
パーク内の飲食と物販は、この供給網の下流に位置します。ただしこれは業界全体の統計であり、オリエンタルランドの原価率悪化の要因を示すものではありません。
CHAPTER 06エネルギー費の記載は、期によって変わっています
テーマパークの運営には、大量の電力と燃料が必要です。アトラクションの稼働、空調、照明、パレードの車両、厨房設備。エネルギー費がどう開示されているかを追います。
| 期 | 諸経費の主要増減要因における記載 |
|---|---|
| 2025年3月期(前期比) | 「エネルギー費の増 △10億円」として明示(メンテナンス費△21億円、販売促進費△14億円に次ぐ) |
| 2026年3月期(前期比) | 記載なし(メンテナンス費△35億円、システム関連費用△25億円、租税公課△21億円、その他△31億円) |
| 2027年3月期予想(前期比) | 記載なし(メンテナンス費約△45億円、25周年イベント関連約△25億円、研究開発費約△15億円ほか) |
オリエンタルランド 2025年3月期および2026年3月期の決算説明会資料より。なお2025年3月期の期初予想比較では「エネルギー費の減 約10億円」とも記載されています。
2025年3月期には明示されていたエネルギー費が、2026年3月期以降は主要増減要因の項目に記載されていません。
ここは慎重に読む必要があります。同社の開示形式は、金額の大きい項目から順に列挙し、残りを「その他」でまとめるものです。項目から外れたことは、エネルギー費が減ったことを意味しません。他の項目の増加額が大きくなり、相対的に順位が下がった可能性があります。2026年3月期の「その他 △31億円」、2027年3月期予想の「その他 約△60億円」のなかに含まれている可能性もあります。
同社はこの点について説明していないため、本記事でも推測は行いません。確認できるのは「2025年3月期は明示され、それ以降は明示されていない」という事実だけです。
CHAPTER 07第1四半期は過去最高、通期予想は据え置きです
ここまで見てきた2027年3月期の予想に対して、実績はどう進んでいるか。2026年7月30日に第1四半期決算が発表されました。
| 項目 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 連結売上高 | 1,807億円 | 1,637億円 | +10.4% |
| 連結営業利益 | 477億円 | 387億円 | +23.1% |
| テーマパーク事業 売上高 | 1,474億円 | ー | +12.3% |
| テーマパーク事業 営業利益 | 378億円 | ー | +29.3% |
報道(LIMO、economic.jp、dpost.jp)によります。売上高・営業利益はいずれも四半期として過去最高とされています。
報道によると、東京ディズニーシー25周年イベントの好調により入園者数が増加し、ゲスト1人当たり売上高も過去最高を記録しました。人件費や諸経費、イベント関連費用は増加したものの、大幅な増益となっています。
注目すべきは、通期の業績予想が据え置かれたことです。第1四半期が予想を上回っても、下期にホテルの大規模修繕が本格化するため、慎重な姿勢が保たれた形です。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 連結売上高 | 7,045億円 | 7,243億円 | +2.8% |
| 連結営業利益 | 1,684億円 | 1,607億円 | △4.5% |
| テーマパーク事業 営業利益 | 1,304億円 | 1,287億円 | △1.4% |
オリエンタルランド 2026年3月期決算説明会資料(2026年4月28日)。2026年3月期は売上高が過去最高となる一方、営業利益は前期比2.1%減でした。
増収でありながら減益を見込むという構図です。売上は伸びるが、コストの増加がそれを上回る。第3章で見た諸経費165億円は、この構図の中心にあります。
CHAPTER 08この開示を、どう読むべきでしょうか
ここまでの内容を整理します。
| 確認できたこと | 確認できていないこと |
|---|---|
| 諸経費増165億円が4分類で開示され、最大が「外部環境によって増加するコスト」約80億円 | その80億円のうち建築資材費用がいくらか |
| 「外部環境」の内訳に建築資材費用が明示されている | 建築資材費用の上昇要因(ナフサか鋼材か人件費か) |
| 商品・飲食原価率が約15億円悪化する見込み | 悪化要因の内訳(包装資材か食材か) |
| エネルギー費が2025年3月期に△10億円と明示された | 2026年3月期以降のエネルギー費の金額 |
| 同社は値上げ理由に体験価値の向上を挙げている | 値上げとコスト増の関係についての同社の見解 |
言えることと、言えないこと
言えること。オリエンタルランドは、自社のコスト増を「外部環境によるもの」と「自社の判断によるもの」に切り分けて開示しています。そして外部環境によるものが最大の約80億円で、内訳に建築資材費用が入っています。これは推測ではなく、開示された事実です。
言えないこと。この80億円のうち、どれだけが原料相場に由来するのか。中東情勢がどこまで効いているのか。いずれも開示されておらず、金額を推し量ることはできません。
企業のコスト増を語るとき、「原材料高で大変だ」という抽象的な話に流れがちです。オリエンタルランドの開示は、コスト増のうち自社でコントロールできない部分を金額で切り出している点で、読み手にとって扱いやすい情報です。約80億円という数字は、テーマパーク事業の営業利益予想1,287億円に対して約6.2%にあたります(当方で計算)。
他の値上げとは性質が異なります
2026年に起きている値上げを、理由の性質で並べると次のようになります。
| 分野 | 値上げの説明 | 性質 |
|---|---|---|
| 食品 | 原材料高90.9%、包装・資材64.0%、中東情勢27.8%(複数回答) | コスト転嫁 |
| 生理用品・紙製品 | 原材料・エネルギー価格、資材調達環境の影響 | コスト転嫁 |
| 加熱式たばこ | 課税方式の見直し(紙巻きとの税負担差の解消) | 制度由来 |
| テーマパーク | パークの体験価値の向上、適正価格の設定 | 価格戦略 |
食品は帝国データバンク調査(2026年7月31日公表分)、生理用品は各社発表の報道、たばこはJTの発表、テーマパークは日本経済新聞の報道および同社の決算説明会資料によります。
同じ「値上げ」でも、説明の性質が違います。コスト転嫁であれば原料相場を見れば先が読め、制度由来であれば法律を見れば分かり、価格戦略であれば企業の経営計画を見ることになります。追うべき資料が異なるということです。
CHAPTER 09今後の確認ポイント
この先、何を見ていけば状況が分かるかを整理します。
| 確認するもの | いつ | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 第2四半期決算(中間期) | 2026年10月下旬〜11月上旬の見込み | 通期予想の修正の有無。諸経費の進捗 |
| 2027年3月期 決算説明会資料 | 2027年4月下旬の見込み | 「外部環境によって増加するコスト」の実績。4分類が継続されるか |
| ナフサ・原油相場 | 随時 | 建築資材や包装資材の上流の動き |
| 10月10日以降のチケット価格 | 2026年10月 | 上限価格が適用される日の頻度 |
決算発表の時期は例年の実績に基づく見込みであり、同社が公表した日程ではありません。正確な日程は同社のIRカレンダーでご確認ください。
4分類が継続されるかが焦点です
今回の4分類は、2026年4月28日の決算説明会資料で示されたものです。同じ形式の開示が翌期以降も続くかどうかは、現時点では分かりません。継続されれば、外部環境によるコスト増を経年で追える貴重な指標になります。
なお同社は、同じ図のなかで「今後は中長期的に、コストコントロールによる適正化を目指し、増加幅を最小限に抑える」と記しています。この方針が数字として現れるかも、あわせて見る点になります。
原料側の動きについては、当社の関連記事で継続して扱っています。ナフサと原油の価格推移はナフサ・原油完全まとめ、食品分野への波及は2026年9月の値上げ一覧、10月の値上げ全体は2026年10月の値上げ一覧をご覧ください。家計への影響を中心にした解説版は「2026年ディズニーの値上げ」をやさしく解説にまとめています。
CHAPTER 10用語集
損益計算書上の費用区分のひとつで、人件費・原価・減価償却費以外の営業費用をまとめたものです。オリエンタルランドのテーマパーク事業では、メンテナンス費、システム関連費用、販売促進費、研究開発費、エンターテイメント関連費用などが含まれます。
オリエンタルランドが2026年4月28日の決算説明会資料で用いた分類です。2027年3月期は約80億円を見込むとされ、内訳として労務単価、建築資材費用、システムライセンス費用などが挙げられています。自社の判断ではなく外部要因によって増える費用を切り出した区分です。
パーク内で販売する商品(グッズ)と飲食の売上に対する原価の比率です。原価率が上がると、同じ売上でも利益が減ります。オリエンタルランドは各期の決算説明会資料で、この原価率の変動を営業利益への影響額として開示しています。
テーマパーク事業の売上高を入園者数で割った指標で、客単価にあたります。アトラクション・ショー収入、商品販売収入、飲食販売収入の3つで構成されます。2026年3月期は18,403円で過去最高となりました。
入園日によってチケット価格が変わる仕組みです。混雑が予想される日は高く、それ以外は低く設定されます。東京ディズニーリゾートでは2021年3月に導入されました。上限価格が引き上げられても、すべての日がその価格になるわけではありません。
原油を精製して得られる石油製品のひとつで、プラスチックや合成繊維、塗料などの原料になります。建築資材のうち樹脂系のもの、食品の包装資材、当社が扱うプラスチックパレットも、このナフサから作られる樹脂を原料としています。
CHAPTER 11主な情報源
一次資料(PDFを直接確認)
- 株式会社オリエンタルランド「2026年3月期 決算説明会」2026年4月28日|2027年3月期の諸経費増加額約165億円とその4分類(外部環境によって増加するコスト約80億円・中長期の成長のためのコスト約40億円・一過性のコスト約35億円・ベースコスト約10億円)、外部環境コストの内訳(労務単価・建築資材費用・システムライセンス費用)、商品・飲食原価率の増約15億円、人件費の増約25億円、メンテナンス費の増約45億円、25周年イベント関連費用の増約25億円、2026年3月期のゲスト1人当たり売上高18,403円および内訳(アトラクション・ショー9,608円/商品販売5,227円/飲食販売3,569円)、入園者数2,753万人、2027年3月期の連結営業利益予想1,607億円、投資額予想の根拠|https://www.olc.co.jp/ja/news/news_olc/auto_20260428513084/pdfFile.pdf
- 株式会社オリエンタルランド「2025年3月期 決算説明会」2025年4月28日|2025年3月期のエネルギー費の増10億円、メンテナンス費の増21億円、販売促進費の増14億円、商品・飲食原価率の増30億円、人件費の増52億円、諸経費の増104億円の根拠|https://www.olc.co.jp/ja/news/news_olc/auto_20250428525705/pdfFile.pdf
報道として参照したもの
- 日本経済新聞「東京ディズニーリゾートがチケット上限10月に上げ 1日1万2400円」2026年7月13日|1デーパスポート大人の上限価格を1万2400円と1500円高くする旨、4〜12歳の小人を300円引き上げ5900円とする旨、10月10日が1万1900円・11日が1万2400円である旨、引き上げが2023年10月以来3年ぶりである旨、同社が「2024年には新エリアも開業するなどパークの体験価値は高まった」と説明している旨の報道
- LIMO「【オリエンタルランド(4661)】決算発表を受けて株価が急伸」2026年7月31日|2027年3月期第1四半期の連結売上高1,807億円(+10.4%)、営業利益477億円(+23.1%)、前年同期の売上高1,637億円・営業利益387億円、通期予想据え置きの根拠
- dpost.jp「入園者数増加で増収増益 オリエンタルランド2027年3月期第1四半期決算発表」2026年7月30日|テーマパーク事業の売上高1,474億円(+12.3%)・営業利益378億円(+29.3%)、人件費や諸経費・イベント関連費用が増加したものの大幅な増益となった旨、同日に10月10日からの高価格帯チケット追加が正式発表された旨、ディズニー・プレミアアクセスの対象拡大の旨
- economic.jp「オリエンタルランド、第1四半期営業利益23.1%増」2026年7月30日|第1四半期決算の概要、通期予想据え置きの根拠
- マイナビニュース「2026年8月の飲食料品値上げは2311品目、前年比8割増」2026年7月31日|帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年7月31日公表)の内容として、値上げ要因が原材料高90.9%・物流費65.8%・包装資材64.0%・中東情勢27.8%である旨の記載
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本記事における計算値(4分類の合計165億円、商品・飲食収入の客単価に占める比率約48%、外部環境コスト80億円の営業利益予想に対する比率約6.2%、小人の従来価格5,600円)は、いずれも上記資料の数値をもとに当方で計算したものです。オリエンタルランドの決算説明会資料は、同社サイト上のPDFを直接確認しました。第1四半期の数値については同社の補足資料を直接確認できておらず、報道により確認しています。
FAQよくあるご質問
ディズニーの値上げは原材料高が理由なのですか。
オリエンタルランドは値上げの理由として原材料高を挙げていません。日本経済新聞の報道によると、同社は2024年の新エリア開業などによりパークの体験価値が高まったと説明しています。ただしコスト面では、決算説明会資料で2027年3月期の諸経費増加額約165億円を4つに分類し、うち約80億円を「外部環境によって増加するコスト」として、その内訳に労務単価・建築資材費用・システムライセンス費用を挙げています。値上げの説明と、コストの開示は別のものとして読む必要があります。
「外部環境によって増加するコスト」とは何ですか。
オリエンタルランドが2026年4月28日の決算説明会資料で示した諸経費の4分類のひとつです。2027年3月期は約80億円を見込むとされ、内訳として労務単価、建築資材費用、システムライセンス費用などが挙げられています。他の3分類は、中長期の成長のためのコスト約40億円、2027年3月期の一過性のコスト約35億円、ベースコスト約10億円で、4つの合計165億円は損益計算書上の諸経費の増加額と一致します。
エネルギー費はどう開示されていますか。
2025年3月期の決算説明会資料では、テーマパーク事業の諸経費の増加要因のひとつとして「エネルギー費の増 10億円」が明示されていました。一方、2026年3月期の実績および2027年3月期の予想では、主要な増減要因の項目にエネルギー費は挙がっていません。金額の大きい項目から順に記載する形式のため、相対的に順位が下がったものと読めますが、同社が理由を説明しているわけではありません。
チケットはいくら上がるのですか。
日本経済新聞の2026年7月13日の報道によると、1デーパスポート大人の上限価格が10,900円から12,400円へ1,500円引き上げられます。4〜12歳の小人は300円引き上げて5,900円です。需要の高い日のみに適用され、10月10日が11,900円、11日が12,400円とされています。同社は価格変動制を採用しているため、すべての日が上限価格になるわけではありません。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。
当社は千葉県我孫子市を拠点に、プラスチックパレット・再生樹脂原料・PPバンド・ストレッチフィルムなどの物流資材をお取扱いしています。決算資料に開示される「建築資材費用」や「商品・飲食原価率」は、原油からナフサ、樹脂へと枝分かれする流れの下流にあたります。日々の調達を通じて上流の相場を追っている立場から、開示資料の読み方を整理してお伝えしています。
- 本記事は時点で確認できた情報をもとに整理したものです。本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、投資判断の根拠として作成したものではありません。投資に関する判断はご自身の責任において行ってください。
- オリエンタルランドは、今回の値上げの理由として原材料高や中東情勢を挙げていません。本記事は同社の値上げがコスト転嫁であると主張するものではなく、値上げの説明とコストの開示を切り分けて読むことを目的としています。
- 「外部環境によって増加するコスト」約80億円のうち建築資材費用がいくらか、商品・飲食原価率の悪化要因が何かは開示されていません。本記事ではこれらを推測していません。
- 諸経費の4分類はPDFから抽出したテキストをもとに整理したものです。合計が損益計算書上の数値と一致することは当方で検算しましたが、図表の視覚的な構成については原典をご確認ください。同図には「中長期的なコストコントロールの対象となるコスト 約35億円」も併記されています。
- 第1四半期の数値は報道により確認したもので、同社の補足資料を直接確認していません。決算発表の時期は例年の実績に基づく見込みです。チケット価格は価格変動制のため、記載の金額は特定の入園日のものです。引用に際しては出典として本記事URLを明記してください。記載内容に事実誤認がありましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。