円安はナフサ高を上乗せし、ナフサ安を打ち消す、日銀の輸入物価指数が示す2026年の二重負担
ドル建てのナフサが下がったのに、仕入価格が下がらない。この実感には根拠がある。日本銀行の輸入物価指数は契約通貨ベースと円ベースの両方を公表しており、両者の差が円安の効き方を示す。2026年6月、その差は11.9ポイントに開いた。石油・石炭・天然ガスでは15.2ポイントである。上昇局面と下落局面の双方で何が起きたかを、一次統計から整理する。
- 日本銀行の輸入物価指数は契約通貨ベースと円ベースの両方を公表する。2026年6月の前年同月比は契約通貨17.8%高に対し円ベース29.7%高で、差は11.9ポイントに開いた。
- 石油・石炭・天然ガスに絞ると差はさらに大きく、6月は契約通貨41.2%高に対し円ベース56.4%高で15.2ポイントである。輸入化学製品でも7.6ポイントの差がある。
- 円安は上昇局面で上乗せとして働くだけでなく、下落局面では値下がりを打ち消す。第1四半期の国産ナフサ基準価格が横ばいだったのは、原油・ナフサ安を円安によるコスト高が相殺したためである。
2026年6月の輸入物価は契約通貨ベースで前年比17.8%高、円ベースで29.7%高だった。差の11.9ポイントが円安の効き方を示す。円安は上がる局面では上乗せし、下がる局面では値下がりを打ち消す。ドル建ての下落が仕入価格に届きにくいのは、この両面性による。
2026年7月21日時点の現在地
2026年のナフサを扱う現場では、ドル建ての価格が下がっても仕入価格が下がらないという状況が続いた。当社はこれまで、価格系列の時差によってこの現象を説明してきた。ただし説明はもう1つある。為替である。
2つのベースで公表されている
日本銀行の企業物価指数のうち輸入物価指数は、契約通貨ベースと円ベースの2つが公表されている。契約通貨ベースは取引に用いられた通貨のままの価格、円ベースはそれを円に換算した価格である。両者の差は、為替の動きによって生じる。
2026年6月速報(7月10日公表)によれば、輸入物価の前年同月比は契約通貨ベースで17.8%の上昇、円ベースで29.7%の上昇だった。差は11.9ポイントである。同じ月の1月は0.7ポイントだったので、半年で11.2ポイント拡大したことになる。
石油・化学ではさらに開く
品目別に見ると差はさらに大きい。石油・石炭・天然ガス(ウエイト213.6)の6月の前年同月比は、契約通貨ベースで41.2%の上昇に対し円ベースで56.4%の上昇であり、差は15.2ポイントとなる。輸入化学製品では契約通貨ベースの2.0%に対し円ベースが9.6%で、差は7.6ポイントである。
第1に、差は公表値から確認できる。契約通貨ベースと円ベースはいずれも日本銀行が公表しており、両者の差は推計ではない。当社が行ったのは公表された前年同月比の引き算のみである。
第2に、円安は両方向に効く。上昇局面では上乗せとして働き、下落局面では値下がりを打ち消す。化学工業日報は第1四半期の国産ナフサ基準価格が横ばいだった理由を、原油・ナフサ安を円安によるコスト高が相殺したためと説明している。
第3に、下流に届いている。国内企業物価指数では、プラスチック製品が6月に前年比7.3%の上昇(5月は5.6%)、石油・石炭製品が22.8%の上昇(5月は13.7%)となった。
円安と為替介入の時系列
2026年の為替は、中東情勢とは別の要因も含みながら推移した。輸入物価に影響した動きを整理する。
2026年7月分の企業物価指数は本記事の作成時点で未公表である。日本銀行は次回公表日を2026年8月中旬としている。
輸入物価指数の2つのベース
為替の影響を測るうえで、輸入物価指数は使いやすい統計である。同じ対象について2つのベースが公表されているためである。
| ベース | 何を示すか | 為替の影響 |
|---|---|---|
| 契約通貨ベース | 取引に用いられた通貨のままの価格。多くはドル建て | 受けない |
| 円ベース | 契約通貨ベースを円に換算した価格 | 受ける |
差が示すもの
両者は同じ輸入品を対象としており、違いは通貨の換算だけである。したがって前年同月比の差は、為替の動きによって生じた部分にあたる。本記事で示す差は、日本銀行が公表した2つの前年同月比を当社が引き算したものであり、推計は含まない。
なお前年同月比どうしの引き算は、為替の寄与を厳密に分解したものではない。指数の水準差や品目構成の影響も含むため、方向と規模を把握するための目安として扱う必要がある。
ナフサ価格の系列とは別の話である
当社は【ナフサ・原油完全まとめ】において、ナフサ価格にアジアスポット市況・輸入CIF・国産基準価格の3系列があり、約2ヶ月ずつ遅れて下流に伝わることを整理した。これは時間差の話である。
本記事で扱う為替は、同じ時点における通貨換算の話である。両者は別の要因であり、実務では重なって現れる。ドル建てが下がってから国内価格に届くまでに時間がかかり、届いたときには円安によって下落幅が削られている、という順序になる。
差はどこまで開いたか
輸入物価の総平均について、2026年1月から6月までの推移を月別に整理する。数値はいずれも前年同月比である。
| 時点 | 契約通貨ベース | 円ベース | 差 | 指数(円/契約通貨) |
|---|---|---|---|---|
| 2026年1月 | ▲0.1% | +0.6% | 0.7pt | 167.0 / 124.7 |
| 2月 | +0.5% | +2.7% | 2.2pt | 167.2 / 125.8 |
| 3月 | +2.4% | +8.1% | 5.7pt | 173.2 / 127.9 |
| 4月 | +11.0% | +21.3% | 10.3pt | 188.6 / 137.8 |
| 5月 | +16.1% | +26.1% | 10.0pt | 194.1 / 142.3 |
| 6月 | +17.8% | +29.7% | 11.9pt | 196.6 / 142.5 |
指数は2020年平均を100とする。差は当社が2つの前年同月比を引き算したもの。出典:日本銀行「企業物価指数(2026年6月速報)」2026年7月10日公表。
四半期でも同じ形になる
| 四半期 | 契約通貨ベース | 円ベース | 差 |
|---|---|---|---|
| 2026年第1四半期(1〜3月) | +0.9% | +3.7% | 2.8pt |
| 2026年第2四半期(4〜6月) | +14.9% | +25.6% | 10.7pt |
3月が転換点だった
差は1月の0.7ポイントから6月の11.9ポイントへ、11.2ポイント拡大した。拡大が目立つのは3月と4月である。3月は差が2.2ポイントから5.7ポイントへ、4月は5.7ポイントから10.3ポイントへ動いている。
為替相場のドル円は、前月比で3月が2.3%の円安、4月が0.4%の円安、5月が0.6%の円高、6月が1.5%の円安であった。3月の円安幅がこの期間では最も大きい。同時期にホルムズ海峡の実質封鎖により契約通貨ベースの価格も上昇しているため、両方が同じ方向に働いたことになる。
2026年3月以降は、契約通貨ベースの価格上昇と円安が同時に進んだ。契約通貨ベースは1月の0.1%下落から6月の17.8%上昇へ、円ベースは0.6%上昇から29.7%上昇へ動いている。輸入コストを押し上げる要因が2つ重なった期間であり、本記事で二重負担と呼ぶのはこの状態を指す。
石油と化学に絞った数値
総平均には輸入品全体が含まれる。当社の関心事に近い品目に絞ると、差はさらに大きい。
| 品目(2026年6月・前年同月比) | 契約通貨ベース | 円ベース | 差 |
|---|---|---|---|
| 石油・石炭・天然ガス(ウエイト213.6) | +41.2% | +56.4% | 15.2pt |
| 化学製品(輸入) | +2.0% | +9.6% | 7.6pt |
| 総平均 | +17.8% | +29.7% | 11.9pt |
輸入化学製品が示すもの
注目すべきは輸入化学製品である。契約通貨ベースの上昇は2.0%にとどまるのに対し、円ベースでは9.6%になる。ドル建てではほぼ横ばいに近い品目でも、円換算では1割近い上昇になっている。
当社が扱うプラスチック製品の原料や副資材には輸入品が含まれる。取引先から示される価格改定の根拠が「原料市況」であっても、その市況がドル建てで動いていない場合がある。円ベースで見て初めて上昇が確認できる、という状況が生じうる。
ナフサの品目別指数
第一ライフ資産運用経済研究所は2026年6月10日の分析で、輸入物価指数のナフサが2026年5月に前年比98.1%の上昇となったことを示している。4月は50.5%の上昇、3月は6.9%の下落であった。3月から5月にかけて、輸入ナフサの円建て価格が短期間で大きく動いたことが分かる。
石油・石炭・天然ガスの前月比を見ると、円ベースで4月が27.3%の上昇、5月が8.6%の上昇、6月が0.4%の上昇と、上昇の勢いは月を追って落ち着いている。ただし6月の契約通貨ベースは前月比1.0%の下落であり、契約通貨ベースが下がった月に円ベースは上がっている。
上昇局面での上乗せ
2026年3月から6月にかけては、契約通貨ベースの上昇に円安が上乗せされる形が続いた。数値で確認する。
2つの要因が重なった
6月の輸入物価は契約通貨ベースで前年比17.8%の上昇である。日本銀行の統計は上昇の要因を説明していないが、同じ期間にホルムズ海峡の実質封鎖が続いていた。ここに為替が加わり、円ベースでは29.7%の上昇になる。
石油・石炭・天然ガスではこの構図がより明確である。契約通貨ベースの41.2%に対し円ベースは56.4%であり、15.2ポイントの差がある。当社は、供給制約による価格上昇と円安が同じ方向に働いた結果と整理している。この整理は日本銀行が公表した2つのベースの数値をもとに当社が導いたものであり、同行がこの表現を用いているわけではない。
介入は流れを変えなかった
第一ライフ資産運用経済研究所によれば、政府・日本銀行は2026年4月末から5月初にかけて為替介入を実施した。5月末の外貨準備高は前月末比12.3兆円の減少となっている。ただし円高の効果は一時的に5円程度にとどまり、6月初には1ドル160円の水準に戻った。
輸入物価の差も、5月に10.0ポイントとわずかに縮小した後、6月には11.9ポイントへ再び拡大している。ドル円の前月比は5月が0.6%の円高、6月が1.5%の円安であった。介入とこれらの動きの関係について、当社として本記事の作成時点で因果を示す資料は確認できていない。
下落局面での打ち消し
本記事の中心はこちらである。円安は上昇局面で上乗せするだけでなく、下落局面では値下がりを打ち消す。2026年にはその実例が2つあった。
実例1|第1四半期の国産ナフサ基準価格
化学工業日報は2026年4月30日、2026年第1四半期(1〜3月)の国産ナフサ基準価格が1キロリットル65,700円だったと報じた。前四半期(2025年10〜12月)と比べて100円の上昇にとどまるわずかな変動である。同紙はその理由を、原油・ナフサ安を円安によるコスト高が相殺したためと説明している。
同紙によれば、この期間のナフサ市況は1トン565〜590ドル、相関関係を持つとされるブレント原油価格は1バレル60ドル台から68ドル台後半で推移した。油価は期間の大半で60〜63ドル台をつけて前四半期より下がり、ナフサ市況も連動したが、入着時の為替が円安に振れたことでほぼ打ち消したとされる。
第1四半期は、ドル建てが下がっていた期間である。それにもかかわらず国産ナフサ基準価格は横ばいだった。輸入物価の差もこの期間は2.8ポイントと小さいが、契約通貨ベースが0.9%の上昇にとどまる一方で円ベースは3.7%上昇している。ドル建ての値下がりは、円換算の段階で消えていた。
第2四半期はどうなるか
2026年第2四半期(4〜6月)の国産ナフサ基準価格について、当社として本記事の作成時点で確定値の公表を確認できていない。化学工業日報は2026年4月30日の記事で、中東情勢の緊迫化が2ヶ月に及びナフサの需給が引き締まった状況が続くなかで、金額・上昇幅とも過去最高を大幅に更新する可能性が高いとしている。日本経済新聞も、4〜6月期の国産ナフサ価格は2倍近くに上昇しそうだと報じた。
第1四半期は打ち消しが働いた四半期であった。これに対し第2四半期は、輸入物価の差が2.8ポイントから10.7ポイントへ拡大しており、契約通貨ベースの上昇と円安が同じ方向に働いた期間にあたる。確定値が公表されれば、Chapter 06で見た上乗せの結果が四半期の数字として確認できることになる。
実例2|5月から7月にかけての下落
大景化学のナフサ価格推移表(出典:財務省貿易統計)で、輸入ナフサ価格の推移を見る。
| 時点 | ドル建て | 円建て | 為替 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月15日 | 1,031ドル/トン | 115,164円/kL | 157.93円 |
| 2026年7月15日 | 808ドル/トン | 93,169円/kL | 162.35円 |
| 2026年7月16日 | 842ドル/トン | 96,965円/kL | 162.28円 |
5月15日から7月16日にかけて、ドル建ては1,031ドルから842ドルへ18.3%下落した。同じ期間の円建ては115,164円から96,965円へ15.8%の下落である。下落幅が2.5ポイント小さい。為替が157.93円から162.28円へ2.8%の円安に動いたためである。
下落率および為替の変化率は、大景化学の推移表に掲載された数値をもとに当社が算出した。ドル建てはトン当たり、円建てはキロリットル当たりで単位が異なるため、それぞれの期間内の変化率を比較している。
両方向に効くという性質
2つの実例が示すのは、円安が単なる上乗せ要因ではないことである。当社は次のように整理している。円安は、ドル建てが上がる局面では上昇幅を広げ、下がる局面では下落幅を狭める。方向にかかわらず、円建ての価格を押し上げる方向に働く。
調達の現場で「ドル建てのナフサが下がったのだから仕入価格も下がるはずだ」という見立てが外れるのは、系列の時差だけが理由ではない。届いた時点で下落幅が削られているためでもある。
国内企業物価への波及
輸入段階のコストは、国内の取引価格にも表れている。日本銀行の国内企業物価指数から確認する。
| 品目 | 2026年6月 指数 | 前年同月比 | 参考:5月 |
|---|---|---|---|
| 総平均 | 135.4 | +7.1% | +6.3% |
| 石油・石炭製品 | 186.5 | +22.8% | +13.7% |
| 化学製品 | 130.0 | +14.4% | ― |
| プラスチック製品 | 126.0 | +7.3% | +5.6% |
| パルプ・紙・同製品 | 132.6 | +5.2% | ― |
指数は2020年平均を100とする。出典:日本銀行「企業物価指数(2026年6月速報)」2026年7月10日公表。
前月比への寄与
国内企業物価指数の6月の前月比は0.4%の上昇であった。寄与が大きかったのは石油・石炭製品(0.21%)、電力・都市ガス・水道(0.09%)、プラスチック製品(0.05%)である。プラスチック製品の内訳としては、プラスチックフィルム・シート、硬質プラスチック発泡製品、合成皮革が挙げられている。
輸入物価の側では、契約通貨ベースの前月比0.1%上昇に対し、石油・石炭・天然ガスの寄与が示されている。原油、液化天然ガス、ナフサが挙げられており、輸入段階の動きが国内取引価格へ順に伝わる形が確認できる。
当社が扱う品目との関係
プラスチック製品の6月の上昇率7.3%は、5月の5.6%から1.7ポイント拡大している。石油・石炭製品の22.8%と比べれば小さいが、上流から下流へ順に伝わる過程にあることが読み取れる。
当社が扱うストレッチフィルムやPPバンドは、プラスチックフィルム・シートに近い分類にあたる。前月比への寄与品目として挙げられていることから、この分野で価格の動きが生じていることが確認できる。ただし国内企業物価指数は生産者段階の価格であり、個別の取引価格を示すものではない。
調達実務への含意
為替の両面性を踏まえて、調達の現場で何を確認すべきかを整理する。特定の対応を推奨するものではなく、判断材料として提示する。
ドル建ての下落をそのまま期待しない
ドル建ての市況が下がっても、円建ての仕入価格が同じ幅で下がるとは限らない。5月15日から7月16日にかけての例では、ドル建て18.3%の下落に対し円建ては15.8%の下落だった。為替が円安方向に動いていれば、下落幅は削られる。
2つのベースを並べて確認する
日本銀行の企業物価指数は毎月中旬に公表され、輸入物価は契約通貨ベースと円ベースの両方が示される。取引先から示される価格改定の根拠が原料市況である場合、その市況がどちらのベースで語られているかによって意味が変わる。契約通貨ベースが横ばいでも円ベースが上昇している品目は、2026年6月の輸入化学製品のように実際に存在する。
系列の時差とあわせて読む
為替は同じ時点の通貨換算の話であり、価格系列の時差とは別の要因である。実務では両者が重なる。ドル建てが下がってから国内価格に届くまでに時間がかかり、届いた時点では円安によって下落幅が削られている、という順序で現れる。片方だけを見ると見通しを誤ることになる。
2026年7月時点で確認すべき4点
第1に、日本銀行の企業物価指数で輸入物価の2つのベースを毎月確認する。2026年6月時点の差は総平均で11.9ポイント、石油・石炭・天然ガスで15.2ポイントである。第2に、自社が扱う品目に近い国内企業物価の分類を追う。プラスチック製品は6月に前年比7.3%の上昇であった。第3に、大景化学の推移表などでドル建てと円建てを並べて確認する。第4に、7月分の企業物価指数は本記事の作成時点で未公表であるため、8月中旬の公表内容を確認する。
本記事は2026年7月21日時点で確認できるエビデンスに基づいている。為替相場および企業物価指数は毎月更新されるため、内容は変わりうる。数値は日本銀行の2026年6月速報(2026年7月10日公表)に基づくものであり、速報値は改定される場合がある。次回更新は2026年8月中旬を予定している。
用語集
日本銀行が公表する統計で、企業間で取引される財の価格動向を示す。国内企業物価指数・輸出物価指数・輸入物価指数の3つで構成される。毎月中旬に前月分の速報が公表される。
輸入品の価格動向を示す指数。契約通貨ベースと円ベースの2つが公表される。2020年平均を100とする。2026年6月の総平均は円ベース196.6、契約通貨ベース142.5であった。
取引に用いられた通貨のままの価格。輸入の多くはドル建てで行われるため、実質的にドル建て価格の動きを示す。為替の影響を受けない。
契約通貨ベースの価格を円に換算したもの。国内企業が実際に負担する金額に近い。円安が進むと、契約通貨ベースが横ばいでも上昇する。
前年の同じ月と比べた変化率。季節による変動の影響を受けにくい。本記事で示す差は、円ベースと契約通貨ベースそれぞれの前年同月比を引き算したものである。
指数を算出する際の品目の重み。総額に占める取引額の比率に基づく。輸入物価指数における石油・石炭・天然ガスのウエイトは213.6である。
指数全体の変化のうち、個々の品目が占める部分。2026年6月の国内企業物価指数は前月比0.4%の上昇で、石油・石炭製品が0.21%、電力・都市ガス・水道が0.09%、プラスチック製品が0.05%を占めた。
石油化学製品の値決めに用いられる四半期ごとの価格。輸入ナフサ価格をもとに、入着時の為替で円換算して決まる。2026年第1四半期は1キロリットル65,700円であった。
通貨当局が為替相場に影響を与えるために外国為替市場で通貨を売買すること。円買い介入では外貨準備が減少する。2026年5月末の外貨準備高は前月末比12.3兆円の減少となった。
通貨当局が保有する外貨建ての資産。円買い介入を行うと外貨を売却するため減少する。介入の規模を推し量る材料になる。
確定前の暫定的な数値。企業物価指数は速報の後に改定される場合がある。本記事の数値は2026年6月速報(2026年7月10日公表)に基づく。
財務省の貿易統計における輸入価格で、運賃・保険料を含む。到着月ベースで集計される。輸入物価指数とは統計の作成方法が異なるため、数値は一致しない。
出典・エビデンス一覧
出典は、官庁・中央銀行の統計、報道・調査機関、当社の関連記事の3区分に分けて記載している。本記事で示す差はすべて、公表された前年同月比を当社が引き算したものである。
官庁・中央銀行の統計
- 「企業物価指数(2026年6月速報)」(輸入物価 総平均の前年同月比は契約通貨ベース+17.8%・円ベース+29.7%、指数142.5/196.6。石油・石炭・天然ガスは契約通貨ベース+41.2%・円ベース+56.4%、ウエイト213.6。化学製品は契約通貨ベース+2.0%・円ベース+9.6%。国内企業物価は総平均135.4・前年比+7.1%、石油・石炭製品186.5・+22.8%、化学製品130.0・+14.4%、プラスチック製品126.0・+7.3%、パルプ・紙・同製品132.6・+5.2%。前月比寄与は石油・石炭製品0.21%・電力・都市ガス・水道0.09%・プラスチック製品0.05%。為替相場ドル円の前月比は3月+2.3・4月+0.4・5月▲0.6・6月+1.5)/日本銀行 調査統計局/2026年7月10日公表
- 「企業物価指数(2026年5月速報)」(輸入物価 総平均の前年同月比は契約通貨ベース+16.1%・円ベース+26.1%。石油・石炭・天然ガスの前月比は円ベース+8.6%)/日本銀行 調査統計局/2026年6月公表
- 「貿易統計」普通貿易統計(ナフサの輸入価格・為替)/財務省
報道・調査機関
- 「国産ナフサ価格、過去最高へ 1~3月は横ばい」(2026年第1四半期の国産ナフサ基準価格は1キロリットル65,700円、前四半期比100円高。原油・ナフサ安を円安によるコスト高が相殺。期間中のナフサ市況は1トン565〜590ドル、ブレント原油は1バレル60ドル台〜68ドル台後半、油価は大半で60〜63ドル台)/化学工業日報/2026年4月30日
- 「国産ナフサ価格、1〜3月ほぼ横ばい 中東危機で4〜6月は2倍弱上昇へ」/日本経済新聞/2026年4月
- 企業物価指数に関する分析(2026年5月の輸入物価指数のナフサは前年比+98.1%、4月+50.5%、3月▲6.9%。政府・日本銀行が4月末から5月初に為替介入を実施し、5月末の外貨準備高は前月末比12.3兆円減少。円高効果は一時的に5円程度、6月初には1ドル160円の水準に復帰)/第一ライフ資産運用経済研究所 熊野英生/2026年6月10日
- ナフサ価格推移表(出典:財務省貿易統計)(2026年5月15日 1トン1,031ドル・115,164円/kL・157.93円、7月15日 808ドル・93,169円/kL・162.35円、7月16日 842ドル・96,965円/kL・162.28円)/大景化学
当社の関連記事
- 「【ナフサ・原油完全まとめ】2026年ナフサ価格3系列の全記録、スポット・通関CIF・国産基準価格が2ヶ月ずつずれて伝わる構造」/2026年7月19日
- 「【2026年7月版】中東依存を10年前に脱していたLPGがなぜ過去最高値になったのか、米国産への需要集中とパナマ運河が示す代替調達の限界」/2026年7月19日
- 「ナフサは石油備蓄法の「石油」に含まれるのに備蓄日数の算定には入らない、2026年に見えた制度と実態のずれ」/2026年7月19日
- 「ナフサ供給「目詰まり」の正体2026|需要破壊・米イラン覚書合意・7月前年並み生産、目詰まりの3層構造を一次情報で解読」
よくあるご質問
契約通貨ベースと円ベースの差は、そのまま円安の影響と考えてよいのですか
方向と規模を把握する目安としては使えますが、厳密な分解ではありません。両者は同じ輸入品を対象としており、違いは通貨の換算だけです。そのため前年同月比の差は為替の動きによって生じた部分にあたります。ただし指数の水準差や品目構成の影響も含むため、正確な寄与度の分解とは異なります。本記事で示す差は、日本銀行が公表した2つの前年同月比を当社が引き算したものです。
ドル建てのナフサが下がれば、仕入価格も同じだけ下がりますか
為替が円安方向に動いていれば、下落幅は削られます。大景化学のナフサ価格推移表によれば、2026年5月15日から7月16日にかけてドル建ては1トン1,031ドルから842ドルへ18.3%下落しましたが、円建ては115,164円/kLから96,965円/kLへ15.8%の下落にとどまりました。この間、為替は157.93円から162.28円へ2.8%の円安に動いています。下落率は当社が推移表の数値をもとに算出したものです。
価格系列の時差とは何が違うのですか
系列の時差は、アジアスポット市況・輸入CIF・国産基準価格という3つの系列の間で、同じ値動きが約2ヶ月ずつ遅れて伝わるという話です。本記事で扱う為替は、同じ時点における通貨換算の話です。両者は別の要因ですが、実務では重なって現れます。ドル建てが下がってから国内価格に届くまでに時間がかかり、届いた時点では円安によって下落幅が削られている、という順序になります。系列の時差については【ナフサ・原油完全まとめ】で整理しています。
プラスチック製品の価格にはどこまで表れていますか
日本銀行の国内企業物価指数によれば、プラスチック製品は2026年6月に前年比7.3%の上昇となりました。5月の5.6%から1.7ポイント拡大しています。石油・石炭製品の22.8%と比べれば小さく、上流から下流へ順に伝わる過程にあることが読み取れます。6月の前月比では、プラスチックフィルム・シート、硬質プラスチック発泡製品、合成皮革が寄与品目として挙げられています。ただし同指数は生産者段階の価格であり、個別の取引価格を示すものではありません。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
当社は千葉県我孫子市に本社を置き、プラスチックパレット・再生樹脂材料・PPバンド・ストレッチフィルム等の物流資材を全国のお客様にお届けする専門商社です。当社が扱う資材はナフサを起点とする石油化学製品であり、ドル建ての市況が下がっても仕入価格が下がらないという状況は、当社自身が直面してきた課題です。その理由を価格系列の時差だけで説明していましたが、為替という別の要因があることを一次統計から確認しました。同じ疑問を持つ方に役立つよう、記事として整理しています。
- 本記事の内容は2026年7月21日時点で確認できる情報に基づいています。為替相場および企業物価指数は毎月更新されるため、記載内容が現時点の状況と異なる場合があります。
- 掲載した数値は日本銀行「企業物価指数(2026年6月速報)」(2026年7月10日公表)その他の公表資料に基づく参考値です。速報値は改定される場合があります。契約通貨ベースと円ベースの差は当社が公表値を引き算したものであり、為替の寄与を厳密に分解したものではありません。
- 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資判断・為替判断・取引判断を推奨するものではありません。為替政策および金融政策の当否について当社は評価する立場になく、調達・発注の判断は読者ご自身の責任において行ってください。
- 統計資料および報道を参照した箇所については、要約の過程で原文のニュアンスが完全には再現されない可能性があります。正確な内容は各出典元の原資料をご参照ください。
- 引用にあたっては出典元を明記し、必要最小限の範囲にとどめています。本記事の内容を転載・引用される場合は、出典として本記事のURLを明記してください。