AdBlue / Freezing and Winter Storage

アドブルーは冬に凍るのか、マイナス11℃の凍結と解凍後の使い方・保管の注意点

冬が近づくと、アドブルー(尿素水)が凍らないかが気になります。アドブルーはマイナス11℃で凍り始めますが、凍っても品質は変わりません。溶けたあとの使い方、容器での保管の温度、保存できる期間、やってはいけないことを、メーカーの資料と国土交通省のリコール情報で確かめました。車に入れたまま凍った場合の扱いも整理しています。

初版公開: / 最終更新: / プラスチックパレット株式会社

ANSWER

アドブルーはマイナス11℃で凍り始めますが、凍っても品質は変わらず、溶ければそのまま使えます。容器で保管するときはマイナス5℃以上が推奨で、保存できる期間は保管温度によって6〜36か月です。凍結を防ごうとして水や他の薬品を混ぜると、SCRシステムの不具合の原因になります。

凍り始める温度

−11℃

三井化学・ドイツ自動車工業会(VDA)

容器保管の推奨温度

−5℃以上

新日本化成・コマツ

保存期間(10℃以下)

36か月

35℃以下では6か月

この記事の要点

  • アドブルー(高品位尿素水)は、マイナス11℃で凍り始めます。尿素と純水を決まった割合で混ぜた液体で、真水より低い温度まで凍りません。北海道や東北、山間部の冬の夜には、この温度を下回ることがあります。
  • 凍っても品質は変わらず、溶ければそのまま使えます。アドブルーの商標を管理するドイツ自動車工業会(VDA)と、建設機械のコマツが、そう説明しています。凍ること自体は、品質の問題にはなりません。
  • 寒い地域向けの車では、アドブルーのポンプや配管を電気で温める仕組みがあります。2021年には、この配管の電熱線が切れるおそれで、日野の大型トラック約4.7万台がリコールされました。
  • 容器で保管するときは、マイナス5℃以上が推奨されています。保存できる期間は保管温度で変わり、10℃以下なら36か月、25℃以下なら18か月、35℃以下では6か月です。
  • 凍るのを防ごうとして水や不凍液を足すのは避けます。メーカーは水や他の薬品を混ぜないよう求めており、水道水の不純物は、触媒の劣化や警告、エンジンがかからなくなる原因になります。

アドブルーは何度で凍るのか

アドブルーは、ディーゼル車の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を、尿素SCRシステムで分解するために使う高品位尿素水です。凍り始める温度は、マイナス11℃です。

項目内容出典
凍り始める温度マイナス11℃三井化学、ドイツ自動車工業会(VDA)
融点マイナス11.5℃三井化学の安全性要約書
中身尿素と純水を決まった割合で混ぜた水溶液国際規格 ISO 22241

出典:三井化学「アドブルー」製品ページ・安全性要約書、VDA。

真水は0℃で凍りますが、アドブルーは尿素が溶けているぶん、マイナス11℃まで凍りません。日本でも、北海道や東北、山間部の冬の夜には、この温度を下回ることがあります。

この章の結論

アドブルーはマイナス11℃で凍り始めます。尿素が溶けているため、真水より低い温度まで凍りません。

凍ったアドブルーは使えるのか

凍っても、アドブルーそのものは傷みません。溶ければ、そのまま使えます。

アドブルーの商標を管理するドイツ自動車工業会(VDA)は、「凍結してもアドブルーは損なわれず、解凍後に再び使用できる」と説明しています。建設機械のコマツも、利用者向けの案内で「-11℃で凍結しますが、再び溶ければ品質に変化はありません」と書いています。

車の側にも凍結への備えがあります。VDAによると、北欧などの寒い地域では、アドブルーのポンプを加熱しており、低い温度でもSCRシステムが働くよう加熱装置を備えたトラックもあります。国内でも、尿素水の配管に電熱線を組み込んだ大型トラックがあります(第4章)。

凍らせないために水や不凍液を足さない

新日本化成は「薄めない」「他の薬品と混ぜない」、コマツは「AdBlue®タンクにはAdBlue®以外入れないで下さい」と案内しています。伊藤忠エネクスは、水道水には目に見えない不純物が含まれ、SCRシステムの触媒が傷むおそれがあること、警告が出たりエンジンがかからなくなったりする可能性があることを挙げています。

この章の結論

凍ったアドブルーは、溶ければそのまま使えます。凍結を防ぐつもりで水や不凍液を足すと、かえってSCRシステムの不具合の原因になります。

容器で保管するときの温度と期限

車のタンクの外、たとえば事業所で10Lや20Lの容器を保管するときは、温度で保存できる期間が変わります。

金色の太字は、冬の保管で目安になる温度です。

保管温度保存できる期間
10℃以下36か月
25℃以下18か月
30℃以下12か月
35℃以下6か月

出典:新日本化成(ISO 22241・JIS K 2247-1に基づく)、伊藤忠エネクス。

新日本化成は、マイナス5℃以上での保管を推奨し、直射日光を避けて風通しのよい常温の場所に置くよう案内しています。コマツは、容器の保管の推奨温度を「-5℃以上 25℃以下」としています。

寒い季節は保存期間の面では有利ですが、屋外の倉庫で凍るほど冷えると、使う前に溶かす手間がかかります。夏の暑い場所に置くと、保存期間が短くなります。

この章の結論

容器での保管はマイナス5℃以上が推奨です。保存できる期間は、10℃以下なら36か月、35℃以下なら6か月と、温度で大きく変わります。

凍結対策の配管の不具合でリコールされた例

車の凍結対策が故障すると、冬にアドブルーが凍り、排ガスの浄化が働かなくなることがあります。国内では2021年に、大型トラックのリコールがありました。

項目内容
届出日2021年(令和3年)12月8日
車種日野 プロフィア など61型式
対象台数47,291台
不具合の部位排出ガス発散防止装置(電熱線付き尿素水配管)
原因尿素水配管と冷却水配管の固定が不適切で、走行中の振動で両方の配管が触れ、電熱線が切れることがある
起きることエンジン警告灯が点く。寒い時期には尿素水が凍り、NOxの排出が増えるおそれ

出典:国土交通省 リコール届出(届出番号5068)。

このリコールの原因は、アドブルーそのものではなく、配管を温める電熱線の断線でした。寒い地域で車を使う場合、凍結対策は車の側の加熱装置が前提になっていることがわかります。

この章の結論

2021年の日野プロフィアなど47,291台のリコールは、尿素水配管の電熱線が切れ、寒い時期に尿素水が凍るおそれがあるというものでした。

冬の前に確かめておくこと

どの車をどこで使うかによって、冬の備えは違います。ここでは確かめる手順だけを並べ、判断は読者に委ねます。

ACTION 01

アドブルーの残量を確かめる

三菱トライトンの取扱説明書では、アドブルーの残量がなくなり走行可能距離の表示が0kmになると、エンジンを再始動できなくなると説明しています。冬の遠出の前に、残量の表示を確かめます。

ACTION 02

警告灯が点いたら取扱説明書を開く

尿素SCRシステムの警告灯や、再始動できなくなるまでの距離の表示は、車種によって違います。表示が出たときの対応を、取扱説明書で確かめます。

ACTION 03

容器の置き場所を確かめる

事業所で容器を保管している場合は、冬の最低気温と、夏に高温にならないかを確かめます。推奨はマイナス5℃以上です。

ACTION 04

補充のときに他の液体を混ぜない

凍結が心配でも、水や不凍液を足さないようにします。容器の口やじょうごが汚れていると、不純物が入る原因になります。

よくある質問

アドブルーは何度で凍りますか
マイナス11℃で凍り始めます。尿素が溶けた水溶液のため、真水の0℃より低い温度まで凍りません。三井化学の安全性要約書では、融点はマイナス11.5℃とされています。
凍ったアドブルーは使えますか
使えます。ドイツ自動車工業会(VDA)は、凍結してもアドブルーは損なわれず、解凍後に再び使用できると説明しています。コマツも、再び溶ければ品質に変化はないと案内しています。
凍らないように水や不凍液を混ぜてもいいですか
避けてください。メーカーは、薄めない、他の薬品と混ぜない、タンクにはアドブルー以外を入れないよう案内しています。水道水の不純物は、SCRシステムの触媒の劣化や警告の原因になります。
アドブルーの容器は何度で保管すればいいですか
マイナス5℃以上が推奨されています。コマツは「-5℃以上 25℃以下」としています。保存できる期間は、10℃以下で36か月、25℃以下で18か月、30℃以下で12か月、35℃以下で6か月です。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
当社は物流資材の商社で、アドブルーの原料になる高品位尿素を、インドネシアのPupuk Indonesiaから調達して取り扱っています。トラック輸送を支える資材として、アドブルーの扱いを公表資料で確かめてお伝えしています。

出典・エビデンス一覧

メーカー・団体の資料

行政

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  • 温度と保存期間は、2026年9月28日時点で当社が確認したメーカー・団体の資料によります。
  • 車の凍結対策や、警告灯・再始動不可の条件は車種によって異なります。お使いの車の取扱説明書をご確認ください。
  • 日野のリコールは2021年の届出で、対象車の改善措置の状況は国土交通省の資料をご確認ください。
  • 凍った状態での車の始動や走行の可否は、車種の仕様によります。
  • 本稿は情報提供を目的としたもので、特定の製品や作業を推奨するものではありません。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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