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冷凍食品はなぜ2026年に何度も値上げされるのか、9月ニッスイ2〜17%と10月味の素5〜8%
PRICE HIKE 2026 — FROZEN FOOD

冷凍食品はなぜ2026年に何度も値上げされるのか、9月ニッスイ2〜17%と10月味の素5〜8%

2026年の冷凍食品は、2月から4月にかけて一度上がった。そして9月1日、ニッスイとテーブルマークが同じ日にもう一度上げる。半年で2回である。各社が公表した理由を並べると、原材料費と並んで「包装資材費」という同じ言葉が繰り返し現れる。メーカー別の改定率と実施日、そして値上げが2回に分かれた理由を、公式リリースに基づいて整理する。

監視カテゴリ MONITORING 公開 最終更新 次回更新目安 2026年9月上旬

TL;DR — 3行要約

  • 2026年の冷凍食品の値上げは2つの波に分かれている。第1波は2月から4月(ニチレイフーズ・マルハニチロ・ニッスイ)、第2波は9月から10月(ニッスイ・テーブルマーク・味の素冷凍食品)。同じ年に2回、半年の間隔で改定が行われる。
  • 2026年9月1日納品分では、ニッスイが家庭用冷凍食品を約2〜17%、練り製品などの家庭用加工食品を全品約5〜17%、テーブルマークが家庭用・業務用の冷凍食品を約3〜20%引き上げる。テーブルマークの対象は全体の7〜8割にあたる。
  • 各社が挙げた理由には「包装資材費」が共通して並ぶ。帝国データバンクの調査でも食品全体の値上げ要因として包装・資材が64.0%、中東情勢が27.8%を占めた。包装資材はナフサを起点とするため、原油の変動が数か月遅れで食品の価格に届く。
ANSWER — この記事の結論

2026年の冷凍食品は2〜4月9〜10月の2回にわたって値上げされる。9月1日納品分ではニッスイが家庭用を約2〜17%、テーブルマークが約3〜20%引き上げ、10月には味の素冷凍食品が16品を5〜8%上げる。各社が挙げた理由には包装資材費が共通して並ぶ。

ニッスイ 家庭用冷凍食品
2〜17
%/2026年9月1日
納品分から
テーブルマーク 家庭用・業務用
3〜20
%/対象は全体の
7〜8割
味の素冷凍食品 から揚げなど
16
品/10月から
5〜8%
値上げ要因に占める包装・資材
64.0
%/2026年8月調査
中東情勢は27.8%

CHAPTER 012026年9月1日、2社が同じ日に上げる

冷凍食品の価格改定は、メーカーごとに時期がばらつくのが通例である。ところが2026年9月1日納品分については、ニッスイとテーブルマークという主要2社が同じ日を指定している。まずその内容を確認する。

1.1 ニッスイ ── 家庭用加工食品は全品が対象

ニッスイは、次の内容を公表した。

対象 実施 改定率
家庭用冷凍食品
調理冷凍食品・農産品冷凍食品の一部
2026年9月1日納品分 約2〜17%
家庭用加工食品
ちくわ、かに風味かまぼこ、フィッシュソーセージ、パウチ商品、その他練り製品の全品
2026年9月1日納品分 約5〜17%
業務用冷凍食品
一部商品
2026年9月1日納品分 約2〜30%

出典:ニッスイ「ニッスイ家庭用冷凍食品・家庭用加工食品・業務用冷凍食品の一部商品の出荷価格改定」(2026年6月1日)。同社は家庭用商品がいずれもオープン価格であること、商品により改定率が異なること、一部規格変更を伴う商品や改定率を超える商品を含むことを付記している。

押さえておきたいのは、家庭用加工食品が「全品」対象であるという点である。冷凍食品側は「一部商品」だが、ちくわ・かに風味かまぼこ・フィッシュソーセージ・練り製品については例外がない。日本経済新聞は対象商品として「活ちくわ」「おさかなのソーセージ」を挙げている。

業務用冷凍食品の上限30%も目を引く。家庭用の17%に対して倍近い。外食や中食の事業者にとっては、家庭よりも大きな幅で仕入れ値が動くことになる。

1.2 テーブルマーク ── 対象は全体の7〜8割

テーブルマークは、2026年9月1日納品分からの価格改定を公表した。

区分 主な対象商品 改定率
家庭用冷凍食品 「カトキチさぬきうどん」「ごっつ旨いお好み焼」など 約3〜20%
業務用冷凍食品 「麺始め 讃岐うどん」など
対象範囲 全体の7〜8割程度。冷凍米飯類とその他商品は対象外

出典:テーブルマーク「商品価格改定のお知らせ 2026年9月1日納品分より」(2026年6月12日)および食品新聞(2026年6月15日)。同社は原材料費の高騰、燃料費や人件費の上昇に対し事業の効率化やコスト削減に取り組んできたが、自助努力だけではコスト吸収の限度を超えたとしている。

冷凍うどんは対象、冷凍米飯は対象外

テーブルマークの改定でとくに家庭に影響が大きいのは冷凍うどんである。「カトキチさぬきうどん」は同社の主力であり、対象範囲が全体の7〜8割ということは、店頭で見かける多くの商品が該当することになる。

一方で冷凍米飯類は対象外とされている。冷凍チャーハンや冷凍ピラフを常備している家庭では、今回の改定の影響を受けにくい。同じ冷凍食品でも、品目によって扱いが分かれている点は押さえておきたい。

1.3 味の素冷凍食品 ── 10月から16品

日本経済新聞は2026年7月、味の素冷凍食品がから揚げなど16品を10月から5〜8%値上げすると報じた。9月の2社に続く形になる。当社は同社の公式リリースを確認できていないため、報道による情報として記載する。

CHAPTER 022026年の値上げは2つの波に分かれている

9月の改定を単独で見ると「また上がるのか」という印象になるが、2026年全体を並べると構造が見えてくる。この年の冷凍食品の値上げは、2つの波に分かれている。

実施 メーカー 対象 改定率 出典
2026/02/01 ニチレイフーズ 家庭用商品および業務用商品 公式
2026/03/02 マルハニチロ 家庭用冷凍食品57品(NBの約5割) 約3〜22% 報道
2026/03/02 ニッスイ 家庭用冷凍食品37品 約2〜34% 公式
2026/04/01 ニッスイ 業務用冷凍食品 約2〜22% 公式
2026/09/01 ニッスイ 家庭用冷凍食品(一部) 約2〜17% 公式
2026/09/01 ニッスイ 家庭用加工食品(練り製品など全品) 約5〜17% 公式
2026/09/01 ニッスイ 業務用冷凍食品(一部) 約2〜30% 公式
2026/09/01 テーブルマーク 家庭用・業務用(全体の7〜8割) 約3〜20% 公式
2026/10/01 味の素冷凍食品 から揚げなど16品 5〜8% 報道

各社の公式リリースおよび報道による整理。「公式」は各社が自社サイトで公表したリリースを直接参照したもの、「報道」は日本経済新聞・食品新聞・日本食糧新聞の記事による。ニチレイフーズは公式リリースで実施日を公表しているが、改定率の記載を確認できなかったため空欄とした。

2つの波の間隔

第1波は2月から4月、第2波は9月から10月である。ニッスイに限れば、家庭用冷凍食品を3月2日と9月1日の年2回改定することになる。その間隔はちょうど半年である。

年1回の改定が通例だった時期と比べると、頻度が上がっている。これは各社が値上げを積極的に行っているというより、コストの変動が1回の改定で吸収しきれない速度で起きていることを示していると読むほうが実態に近い。

CHAPTER 03各社が挙げた理由に共通するもの

ここが本記事の中心である。各社が公表した値上げ理由を並べると、ある言葉が繰り返し現れる

メーカー等 公表された理由(要旨)
ニッスイ 原材料の価格高騰、国内外での人件費の増加、燃料・包装資材費および物流費の上昇
マルハニチロ 原材料価格上昇、包装資材費・物流費など各種コストの増加
テーブルマーク 原材料費の高騰、燃料費や人件費の上昇
ニチレイフーズ 原材料価格の高騰、動燃料費、人件費の上昇
ニップン 家庭用冷凍食品を最大15%値上げ、包材高騰で(報道見出し)

各社の公式リリースおよび報道による。ニップンの記載は日本経済新聞の見出しによるもので、当社は同社の公式リリースを確認していない。

ニッスイ、マルハニチロ、ニップンの3社が包装資材費(包材)を明示している。テーブルマークとニチレイフーズは燃料費を挙げている。原材料費と人件費はすべての社に共通する。

3.1 報道はさらに踏み込んでいる

日本経済新聞は、ニッスイの9月改定を報じた記事のなかで「中東情勢緊迫化により燃料や包装資材費、物流費などの上昇が続いており、価格に転嫁する」と整理している。メーカーのリリースには「中東情勢」という語は出てこないが、報道はその手前まで遡って原因を示している。

3.2 統計でも同じ構図が確認できる

個社の説明だけでなく、業界全体の集計でも同じ構図が出ている。帝国データバンクがに公表した「食品主要195社」価格改定動向調査によれば、値上げ要因の構成比は次のとおりである。

値上げ要因 構成比 調査における記述
原材料高90.9%最も高いが、3月以降は低下傾向で推移
物流費65.8%中東情勢の悪化による原油高などの影響
包装・資材64.0%トレーや容器などナフサ由来の資材価格高騰などを背景に高い水準での推移
中東情勢27.8%中東発の国際情勢の混乱による影響が要因となった値上げ

出典:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年8月」(2026年7月31日公表)。複数の要因が重複して計上されるため合計は100%を超える。この数値は食品全体のものであり、冷凍食品に限定した集計ではない。

食品全体で見ても、包装・資材が64.0%を占めている。冷凍食品メーカー各社が個別に挙げている理由と、業界全体の集計が一致している。

CHAPTER 04なぜ冷凍食品に包装資材が効くのか

包装資材が値上げ要因になる構造を、材料の側から整理する。ここは当社が日常的に扱う領域である。

4.1 原油からトレーまでの経路

材料の流れ

原油 → ナフサ(粗製ガソリン) → エチレン・プロピレン等 → 樹脂(ポリエチレン・ポリプロピレン) → フィルム・トレー・容器 → 冷凍食品の包装

この経路のどこかで価格が動けば、最終的な包装資材の価格に届く。段階ごとに数か月の時差があるため、原油が動いてから食品の値札に現れるまでには相応の時間がかかる。

冷凍食品の包装は、大半がこの経路でできている。個包装のフィルム、外袋、トレー、仕切り。いずれもナフサを起点とする樹脂製品である。当社が扱うプラスチックパレットやストレッチフィルムも、まったく同じ原料から作られている。

4.2 冷凍食品の包装は、常温品より要求が厳しい

同じ樹脂フィルムでも、冷凍食品に使うものには追加の条件がつく。

要求される性能 理由
低温での耐衝撃性 マイナス18度以下で保管・輸送されるため、常温では問題のないフィルムでも低温下で割れやすくなる
防湿性 庫内での乾燥や霜の付着を防ぐ必要がある
加熱への対応 電子レンジ調理を前提とする商品では、包装のまま加熱できる仕様が求められる
密封性 解凍と再凍結を防ぐため、輸送中の密封が保たれる必要がある

冷凍食品の包装に一般に求められる性能の整理であり、特定商品の仕様を示すものではない。

要求される性能が多いほど、使える材料の選択肢は狭くなる。安い材料に切り替えるという対応が取りにくいということである。カルビーが2026年5月に一部商品のパッケージを白黒2色に切り替えたように、印刷の色数を減らして調達リスクを下げる手段はあるが、フィルムそのものの材質を落とすことは冷凍食品では難しい。

包装の簡素化がどこまで行われ、どのような結果になったかについてはポテチが白黒になったのはなぜかで、カルビーの事例を時系列で整理している。原料であるナフサの価格推移そのものはナフサ・原油完全まとめで継続して記録している。

CHAPTER 05冷凍食品には電気代も乗る、そして止まると代替が効かない

冷凍食品が他の加工食品と決定的に違うのは、製造してから食卓に並ぶまで、ずっと冷やし続けなければならないという点である。

段階 冷却が必要な設備
製造急速凍結設備、冷却工程
保管冷凍倉庫
輸送冷凍車(冷凍機を稼働させたまま走行)
物流拠点低温倉庫、冷凍ストックヤード
店頭冷凍ショーケース(24時間稼働)
家庭冷凍庫

冷凍食品が経由する温度管理の段階を整理したもの。この連鎖はコールドチェーンと呼ばれる。

常温の加工食品であれば、製造後は倉庫とトラックと棚に置いておけばよい。冷凍食品はそのすべての段階で電力を使い続ける。燃料費や電力コストの上昇は、常温品よりも重く効く構造にある。

各社が理由として「燃料費」を挙げているのは、この点と無関係ではない。テーブルマークとニチレイフーズはいずれも燃料費を明示している。冷凍車の燃料、冷凍設備の稼働、いずれも価格の変動を直接受ける。

5.1 2026年7月、冷凍食品の出荷が12日間止まった

コールドチェーンが止まると何が起きるかを、2026年7月の事例が示している。値上げとは別の軸だが、冷凍食品という商品の性質を理解するうえで重要な出来事である。

ニチレイは、グループのシステムに障害が発生し、冷蔵倉庫の入出庫業務や冷凍食品の出荷業務に影響が生じていると公表した。その後の調査で、同社のサーバーがサイバー攻撃を受けたことが確認されている。

日付内容
2026/07/13システム障害が発生。冷蔵倉庫の入出庫業務、冷凍食品の出荷業務に影響。同日、緊急対策本部を設置
2026/07/15サーバーがサイバー攻撃を受けたことを確認したと公表。17日からの順次再開を発表
2026/07/17冷蔵倉庫での入出庫業務などを順次再開
2026/07/24受発注制限を解除し、全拠点で通常稼働へ移行。障害発生から12日目

出典:ニチレイのプレスリリース(第1報 2026年7月13日、第2報、第5報 2026年7月24日)および報道による。被害を受けたサーバーの一部に個人情報が保管されていたため、同社は個人情報保護委員会へ報告し、対象者への個別通知を進めているとしている。攻撃の詳細については、さらなる被害の拡大を防ぐため情報開示を差し控えるとされている。

影響は同社グループ内にとどまらなかった。報道によれば、生協の宅配やイオン、外食チェーンなど、取引先の商品供給にも波及したとされている。冷蔵倉庫は同社グループだけでなく、他社の商品も預かって流通させる基盤だからである。

冷凍食品の物流は代替が効きにくい

常温品であれば、倉庫が使えなくなっても他の倉庫やトラックで一時的にしのげる場合がある。冷凍食品はマイナス18度以下を保つ必要があるため、代わりに使える設備がそもそも限られる。冷凍倉庫も冷凍車も、常温の設備で置き換えることはできない。

この出来事は価格の話ではないが、冷凍食品というカテゴリが温度管理という一本の鎖に依存していることを、実際の事例として示した。当社は物流資材を扱う立場から、この分野の設備と経路の代替性の低さを日常的に見ている。

値上げ要因が重なる構造

冷凍食品は、原材料・包装資材・燃料・物流・人件費という5つの要因がすべて同時に効く商品である。原材料だけが上がっているなら、調達先の見直しで一部を吸収できる。しかし今回のように包装資材と燃料と物流が同時に動くと、吸収する余地が急速に狭まる。

各社が「自助努力だけではコスト上昇分を吸収することが困難」という表現を揃って使っているのは、この重なりを指していると読める。

CHAPTER 06改定率の上限が下がっても、負担は下がるとは限らない

ニッスイの家庭用冷凍食品について、3月と9月の改定内容を並べてみる。

項目 2026年3月2日納品分 2026年9月1日納品分
家庭用冷凍食品 37品/約2〜34% 一部商品/約2〜17%
家庭用加工食品 68品/約3〜10% 全品/約5〜17%
業務用冷凍食品 約2〜22%(4月1日から) 約2〜30%

ニッスイの公式リリース2件(2025年12月5日発表分および2026年6月1日発表分)による整理。

家庭用冷凍食品だけを見れば、改定率の上限は34%から17%へと半分になっている。ここだけを取り出せば「値上げ幅が縮小した」と読める。

ただし、対象範囲は広がっている

家庭用加工食品は、3月が68品だったのに対し、9月はちくわ・かに風味かまぼこ・フィッシュソーセージ・パウチ商品・その他練り製品の全品が対象になった。下限も3%から5%へ上がっている。

業務用冷凍食品は、上限が22%から30%へ上がっている

改定率の上限という1つの数字だけを見て負担の大小を判断することはできない。対象範囲・下限・区分ごとの違いを合わせて見る必要がある。

また、家庭用商品はいずれもオープン価格である。出荷価格が2〜17%上がったからといって、店頭価格が同じ率で上がるとは限らない。小売各社がどこまで転嫁するかによって、実際に家計が負担する幅は変わる。

CHAPTER 07店頭にはいつ届くのか

各社が発表しているのは「納品分」の改定日であり、店頭価格が変わる日ではない。ここは誤解されやすい。

用語 意味
出荷価格 メーカーが卸や小売に納める価格。各社が公表しているのはこちら
納品分 その日以降にメーカーから納品される商品に新価格が適用される、という意味
オープン価格 メーカーが希望小売価格を定めず、小売各社が販売価格を決める方式

したがって、店頭価格が動くのは改定日より後になるのが通例である。理由は3つある。

  • 在庫の入れ替わりに時間がかかる。改定日より前に納品された旧価格の在庫が店頭や物流センターに残っている間は、旧価格で並ぶことがある
  • 小売が転嫁の時期を判断する。オープン価格である以上、いつ・どこまで店頭価格に反映するかは各店舗の判断になる
  • 特売や在庫処分が挟まる。改定前後に旧価格での販促が行われることがある

7.1 どの店で買うかによっても時期が変わる

オープン価格であるということは、同じ商品でも店によって値段も、値上がりする時期も違うということである。

販売チャネル価格が動く要因
総合スーパー・食品スーパー特売の頻度が高く、改定後もセール価格で並ぶことがある。仕入れの単位が大きいため在庫の入れ替わりに時間がかかる場合もある
コンビニエンスストア店頭価格が全国でほぼ統一されており、改定のタイミングが比較的わかりやすい
ディスカウントストア・業務用スーパー大容量品やPB商品の構成比が高く、NBの改定がそのまま反映されるとは限らない
ドラッグストア食品を集客商材として扱う場合があり、価格政策が他業態と異なることがある

販売チャネルごとの一般的な価格政策の傾向を整理したものであり、特定の企業の方針を示すものではない。

本記事で扱ったメーカー各社の改定率は出荷価格のものである。そこから先、どの店がいつ、どこまで反映するかは各社の判断になる。「9月1日から2〜17%上がる」という情報を、そのまま店頭価格の話として読むことはできない。

月ごとにどの品目が上がるかの一覧は、2026年9月の値上げ一覧および2026年10月の値上げ一覧で整理している。本記事は冷凍食品という品目を縦に追ったものであり、その月に何が上がるかを横断的に見る場合は月次の一覧を参照されたい。

CHAPTER 08今後の見通しと観測すべき指標

8.1 4段階の時間軸

時間軸 2026年8月時点で確認できる事実 観測すべき対象
短期
(1〜4週間)
ニッスイとテーブルマークが2026年9月1日納品分から改定する。 他社の追随発表。8月中に新たな公表があるか
中期
(1〜3か月)
味の素冷凍食品が10月から16品を5〜8%引き上げると報じられている。 店頭価格への反映状況。オープン価格のため小売の判断による
長期
(3〜12か月)
包装・資材が値上げ要因の64.0%を占める状態が続いている。 ナフサ価格の推移。原油の変動が数か月遅れで資材に届く
構造
(1年以上)
ニッスイは家庭用冷凍食品を年2回改定する形になった。 年1回から年2回への頻度の変化が定着するかどうか

「確認できる事実」は本文中で引用した公表資料および報道に基づく。観測対象は当社編集部による整理であり、将来の状況を予測するものではない。

8.2 モニタリングすべき4指標

指標 確認先 着眼点
各社の価格改定リリース 各メーカー公式サイト 改定率だけでなく対象範囲を確認する。「一部」か「全品」かで意味が変わる
月別の値上げ品目数 帝国データバンク 毎月末に更新。判明分は公表のたびに積み上がる
値上げ要因の構成比 同上 包装・資材64.0%、中東情勢27.8%。この2つが下がれば圧力も緩む
ナフサ価格 財務省「貿易統計」ほか 包装資材の源流。原油の変動が数か月遅れで現れる
見通しについて、断定できないこと

2026年11月以降の冷凍食品の価格改定について、本記事の公開時点で公表された情報は確認できていない。「この後さらに上がる」と書くための根拠は現時点でない。

言えるのは、値上げ要因のうち包装・資材と中東情勢が高い水準で残っていること、そして各社が2026年に入って改定の頻度を上げていることの2点である。この2つが続くかどうかが、次の改定の有無を決めることになる。

CHAPTER 09用語集

出荷価格
メーカーが卸売業者や小売業者に納める価格。各社が価格改定として公表しているのはこの出荷価格であり、消費者が店頭で支払う価格ではない。
納品分
「2026年9月1日納品分より」とある場合、その日以降にメーカーから納品される商品に新しい出荷価格が適用されるという意味。店頭価格が同日に変わることを示すものではない。
オープン価格
メーカーが希望小売価格を設定せず、小売各社が販売価格を決める方式。家庭用の冷凍食品はいずれもオープン価格である。
NB(ナショナルブランド)
メーカーが自社ブランドで全国展開する商品。小売が独自に企画するPB(プライベートブランド)と区別される。マルハニチロの2026年3月改定は「NBのうち約5割」が対象とされた。
調理冷凍食品/農産品冷凍食品
調理冷凍食品は総菜・麺類・米飯類など調理済みのもの、農産品冷凍食品は冷凍野菜など農産物を凍結したものを指す。ニッスイの改定はこの両方が対象となっている。
コールドチェーン
製造から消費まで、一定の低温を保ったまま商品を流通させる仕組み。冷凍食品はマイナス18度以下での管理が必要とされ、製造・保管・輸送・店頭のすべての段階で電力を使い続ける。
ナフサ
原油を蒸留して得られる石油製品の一つ。エチレン・プロピレンを経て樹脂となり、フィルム・トレー・容器の原料になる。包装資材の価格を規定する起点にあたる。
価格改定動向調査
帝国データバンクが食品主要195社を対象に毎月末に公表する調査。家庭用を中心とした値上げ品目数と要因の構成比を集計している。品目数は各社発表に基づく判明分である。

CHAPTER 10出典・エビデンス一覧

一次資料(メーカー公式リリース)

  1. ニッスイ「ニッスイ家庭用冷凍食品・家庭用加工食品・業務用冷凍食品の一部商品の出荷価格改定」/2026年9月1日納品分からの改定内容(家庭用冷凍食品 約2〜17%、家庭用加工食品 練り製品など全品 約5〜17%、業務用冷凍食品 約2〜30%)、値上げ理由の記載の出典。ページを直接参照した/リンク
  2. ニッスイ「ニッスイ家庭用冷凍食品・家庭用加工食品・業務用冷凍食品の一部商品の出荷価格改定」/2026年3月2日納品分の家庭用冷凍食品37品 約2〜34%、家庭用加工食品68品 約3〜10%、2026年4月1日納品分の業務用冷凍食品 約2〜22%の出典。ページを直接参照した/リンク
  3. テーブルマーク「商品価格改定のお知らせ 2026年9月1日納品分より」/2026年9月1日納品分からの改定と、原材料費の高騰・燃料費や人件費の上昇に関する記載の出典。同社サイト掲載のPDFを直接参照した
  4. ニチレイフーズ「商品価格一部改定のお知らせ」2026年2月1日納品分から家庭用商品および業務用商品の出荷価格を改定する旨、原材料価格の高騰・動燃料費・人件費の上昇を理由として挙げている旨の出典。ページを直接参照した

一次資料(民間調査)

  1. 帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年8月」公表/値上げ要因の構成比(原材料高90.9%・物流費65.8%・包装・資材64.0%・中東情勢27.8%)の出典。ページを直接参照した/リンク

報道(二次資料)

  1. 日本経済新聞「ニッスイ、家庭用冷食・加工食品を値上げ 9月1日から2〜17%」2026年6月1日/中東情勢緊迫化により燃料や包装資材費、物流費などの上昇が続いている旨、対象商品として「ちゃんぽん」「かにクリームコロッケ」「活ちくわ」「おさかなのソーセージ」を挙げている旨の出典
  2. 日本経済新聞「味の素冷凍食品、から揚げなど16品値上げ 10月から5〜8%」2026年7月/味の素冷凍食品の改定内容の出典。当社は同社の公式リリースを確認していない
  3. 日本経済新聞「ニップン、家庭用冷凍食品を最大15%値上げ 包材高騰で」見出しに包材高騰が理由として示されている旨の出典。当社は同社の公式リリースおよび記事本文を確認していない
  4. 食品新聞「テーブルマーク 家庭用・業務用冷凍食品を9月値上げ うどん・お好み焼など主力品」2026年6月15日/対象が「カトキチさぬきうどん」「ごっつ旨いお好み焼」「麺始め 讃岐うどん」などで全体の7〜8割程度にあたる旨、冷凍米飯類とその他商品が対象外である旨の出典
  5. 日本食糧新聞・食品新聞「マルハニチロ、家庭用冷食を価格改定 26年3月から」2025年11月〜12月/2026年3月2日納品分から家庭用冷凍食品57品を約3〜22%改定する旨、対象がNBのうち約5割である旨、包装資材費・物流費など各種コストの増加を理由として挙げている旨の出典
  6. ニチレイ「当社グループでのシステム障害発生について」(第1報 2026年7月13日、第2報、第5報 2026年7月24日)2026年7月13日のシステム障害発生と冷蔵倉庫の入出庫業務・冷凍食品の出荷業務への影響、サーバーがサイバー攻撃を受けたことの確認、被害を受けたサーバーの一部に個人情報が保管されていたこと、7月24日に受発注制限を解除し全拠点で通常稼働へ移行したことの出典
  7. LNEWS「ニチレイ/システム障害で影響受けた冷蔵倉庫の入出庫業務など17日から順次再開」2026年7月16日/7月17日からの順次再開の出典
  8. ネットショップ担当者フォーラム「ニチレイグループのシステム障害、通販・EC実施企業にも影響」2026年7月17日/取引先の商品供給に波及した旨の出典

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CHAPTER 11よくある質問

2026年9月に値上げされる冷凍食品はどれですか

ニッスイとテーブルマークが2026年9月1日納品分から出荷価格を改定する。ニッスイは家庭用の調理冷凍食品・農産品冷凍食品の一部を約2〜17%、練り製品などの家庭用加工食品を全品約5〜17%、業務用冷凍食品の一部を約2〜30%引き上げる。テーブルマークは「カトキチさぬきうどん」「ごっつ旨いお好み焼」などの家庭用と業務用の冷凍食品を約3〜20%引き上げ、対象は全体の7〜8割にあたる。ただし冷凍米飯類などは対象外である。いずれも家庭用はオープン価格のため、店頭でいくらになるかは小売各社の判断による。

冷凍食品はなぜ2026年に何度も値上げされるのですか

各社が公表した理由に共通するのは、原材料費に加えて燃料費・包装資材費・物流費・人件費である。特に包装資材費は、ニッスイが「燃料・包装資材費および物流費の上昇」、マルハニチロが「包装資材費・物流費など各種コストの上昇」と明記している。帝国データバンクの2026年8月調査でも、食品全体の値上げ要因として包装・資材が64.0%、中東情勢が27.8%を占めた。包装資材は原油からナフサを経て作られるため、中東情勢による原油価格の変動が数か月遅れで食品の価格に届く構造にある。

2026年の値上げは何回ありましたか

主要メーカーの発表を並べると、2026年の冷凍食品の値上げは2つの波に分かれている。第1波は2月から4月で、ニチレイフーズが2月1日納品分、マルハニチロとニッスイが3月2日納品分、ニッスイの業務用が4月1日納品分から実施した。第2波は9月から10月で、ニッスイとテーブルマークが9月1日納品分、味の素冷凍食品が10月から実施する。同じ年に2回、半年の間隔で改定が行われることになる。

改定率は前回より小さくなっているのですか

ニッスイの家庭用冷凍食品で比べると、2026年3月2日納品分が約2〜34%だったのに対し、9月1日納品分は約2〜17%で、上限は半分になっている。ただし対象範囲は広がっており、3月は家庭用加工食品が68品だったのに対し、9月は練り製品などの家庭用加工食品が全品対象となった。改定率の上限だけを見て負担が半分になったと判断することはできない。

店頭価格はいつから上がりますか

各社が発表しているのは出荷価格の改定日であり、店頭価格が変わる日ではない。家庭用の冷凍食品はいずれもオープン価格で、小売価格は各店舗が決める。納品分の切り替わりや在庫の入れ替わりには時間差があるため、店頭に反映されるのは改定日より後になるのが通例である。特売や在庫処分によって、しばらく旧価格で並ぶ場合もある。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社は千葉県我孫子市に本社を置き、プラスチックパレット・再生樹脂材料・PPバンド・ストレッチフィルム等の物流資材を全国に供給する専門商社である。冷凍食品メーカー各社が値上げ理由に挙げる「包装資材費」は、トレーやフィルムなどナフサ由来の材料であり、当社が日常的に扱う領域と同じ原料から作られている。原油からナフサ、樹脂へと枝分かれする流れを調達の現場で把握できる立場から、値上げの背景を一次資料に基づいて整理している。

本記事のご利用にあたっての注意事項

  1. 本記事の内容は時点で公表されている情報に基づく。各社の価格改定は、今後の状況により内容が変更される可能性がある旨が各リリースに付記されている。最新の内容は各社の公式サイトで確認されたい。
  2. 各社が公表しているのは出荷価格の改定である。家庭用商品はいずれもオープン価格であり、店頭価格は小売各社が決定する。出荷価格の改定率がそのまま店頭価格の上昇率になるものではない。
  3. 改定率は商品によって異なり、各社のリリースには一部規格変更を伴う商品や記載の改定率を超える商品を含む旨が付記されている。本記事に記載した改定率は各社が公表した範囲であり、個別商品の値上げ幅を示すものではない。
  4. 味の素冷凍食品およびニップンについては、当社は公式リリースを確認しておらず、報道に基づく記載である。ニチレイフーズは公式リリースで実施日を確認したが、改定率の記載を確認できなかったため空欄としている。
  5. CHAPTER 05で扱ったニチレイのシステム障害は、価格改定とは別の事象である。同社は攻撃の詳細について、さらなる被害の拡大を防ぐため情報開示を差し控えるとしており、本記事も公表された範囲を超える記載は行っていない。帝国データバンクの値上げ要因の構成比は食品全体を対象とした集計であり、冷凍食品に限定したものではない。本記事は特定の商品の購入・買い控えを推奨するものではなく、投資判断・経営判断の根拠として作成したものでもない。
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