Supply Chain Report / Closure And Relocation
工場閉鎖と倉庫移転で出るパレットはどこへ出すのか、明け渡し日から逆算する片付けの順序
閉鎖や移転で出るパレットは、ふだんの発生と条件が違う。数量が一度にまとまるので有価で引き取りやすくなるが、明け渡しの期限が動かせないため、遅く動くほど選べなくなる。相談を始める目安は、大型案件で3〜4週間前、大型車1〜2台のスポットで2週間前である。時期によって車両の手配日程が動くため、この余裕があるかどうかで結果が変わる。
ANSWER
工場の閉鎖や倉庫の移転で出るパレットは、明け渡し日から逆算して相談を始めると条件が変わる。目安は、大型案件で3〜4週間前、大型車1〜2台のスポットで2週間前である。時期によって車両の手配日程が動き、複数の買取業者との交渉にも日数がかかるためである。遅く動くほど、選べる引取先は減る。
大型案件で見ておきたい余裕
3〜4週間
車両の手配と、複数の買取業者との交渉にかかる日数を含む
大型車1〜2台のスポット
2週間
1回の引取で終わる規模。時期によっては、これでも詰まることがある
有価買取の下限
100枚〜
4t車1台に積める目安と同じ線。閉鎖や移転では、これを超えることが多い
この記事の要点
- 閉鎖や移転で出るパレットは、ふだんの発生とは条件が違う。数量がまとまるため有価で引き取りやすくなる一方、明け渡しという動かせない期限がつく。この2つが逆を向いている。
- 相談を始める目安は、大型案件で3〜4週間前、大型車1〜2台で終わるスポットなら2週間前である。時期によって車両の手配日程が動き、買取業者との交渉にも日数がかかるためである。
- 遅く動くほど選べなくなる。明け渡しが迫ると、条件のよい引取先を待てず、その時点で動ける相手に任せることになる。車が押さえられなければ引取そのものが成立せず、値が付いたはずのものが処理費を払う側に回ることがある。
- 複数の買取業者に相談したほうがよい。材質や寸法によって引取先の得意不得意があり、同じ品物でも扱いが変わる。上の日数に余裕を見ておきたいのは、この比較の時間を日程に入れるためでもある。
- 仕分けの手を先に入れておくと、条件が変わる。寸法ごとに分かれていれば、そのまま中古パレットとして再使用に回せる分が見える。山のままだと、まとめて原料としての評価になる。
閉鎖や移転で出るパレットは、ふだんの発生と3つの点で違う
日々の入出荷で少しずつ溜まるパレットと、工場を閉めるときに一度に出るパレットは、同じ品物でも条件がまったく違う。違いは3つある。
ひとつは数量である。ふだんは数枚から数十枚ずつ溜まるが、閉鎖や移転では倉庫にあるものが一度に出る。これは有利に働く。もうひとつは期限である。明け渡しの日は動かせない。そして3つ目は人手で、閉鎖の現場は片付けの作業が重なっており、パレットの仕分けに人を割きにくい。
網掛けは、閉鎖・移転の側が不利になる項目。
| 項目 | ふだんの発生 | 閉鎖・移転で出る場合 |
|---|---|---|
| 数量 | 数枚から数十枚ずつ。まとまるまで待つことになる | 一度にまとまる。車立てが組みやすく、条件はよくなる |
| 期限 | とくにない。条件が合うまで置いておける | 明け渡し日が決まっている。待てない |
| 人手 | 通常の作業のなかで、寸法ごとに積み分けられる | 片付けが重なり、仕分けに人を割きにくい |
当社が案件をお引き受けする際の整理であり、業界の統一基準ではない。現場の体制によって、人手の項目は変わる。
数量がまとまるので、条件はよくなる
中古パレットの引取は、置場までトラックを回して積み込み、引取先まで運ぶ工程でできている。この運賃は積んだ枚数が少なくてもほとんど変わらないため、1台に近い量まで数量が寄っているかどうかで、有価になるかが決まる。当社が有価でお引き受けする下限を100枚としているのは、4t車1台に積める目安がおよそ100枚以上だからである。
閉鎖や移転では、この数量をはじめから満たしていることが多い。ふだんの発生では届かない線を、一度に越えられる。寸法が揃っていれば、そのまま中古パレットとして再使用に回る分も出る。条件としては、年間を通して最もよい部類に入る。
RELATED
プラスチックパレットの買取はなぜ断られるのか、100枚に届かない量と産業廃棄物になる分かれ目
値が付くかどうかを決める材質と数量の条件をまとめた記事。100枚と4t車1台の関係、鉄心入りや油汚れの扱いはこちらで扱っている。
ただし、期限が近いほど選べなくなる
数量という有利を、期限が打ち消す。明け渡しの日が迫っていると、条件のよい引取先が見つかるまで待てない。結果として、その時点で動ける相手に任せることになる。
ここで起きるのは、単に単価が下がるという話ではない。有価で引き取れたはずの数量が、処理費を払う側に回ることがある。車が押さえられなければ引取そのものが成立せず、置いていくわけにもいかないためである。数量がまとまっているぶん、この反転は金額としても小さくない。
この章の結論
閉鎖や移転で出るパレットは、数量の点では有利で、期限の点では不利である。どちらが勝つかは、いつ動き始めたかで決まる。
明け渡し日から逆算する段取り
では、いつ動き始めればよいか。当社の実務での目安は次のとおりである。規模によって変わる。
| 案件の規模 | 相談を始める時期 | その日数が要る理由 |
|---|---|---|
| 大型案件 (倉庫1棟ぶんなど、複数回の引取になる規模) |
3〜4週間前 | 時期によって車両の手配日程が動く。複数の買取業者との交渉にも日数がかかる |
| スポット (大型車1〜2台で終わる規模) |
2週間前 | 1回の引取で終わるが、繁忙期は車が押さえられないことがある |
当社の実務にもとづく目安であり、業界の基準ではない。年度末や繁忙期は車両の手配が込むため、この日数でも足りないことがある。早いぶんには困らない。
ここでいう「相談を始める」は、引取の日を決めることではない。何がどれだけあるかを買取業者に伝え、引き取れるかどうかの回答をもらうところまでである。そのうえで車を押さえ、引取日を決める。この順序を踏むために、上の日数が要る。
動く順序
- 明け渡し日を確認する。ここが起点になる。原状回復の工事が入る場合は、工事の開始日のほうが実際の期限になる
- 置場にあるパレットを、寸法ごとにおおまかに数える。正確でなくてよい。規格品が何枚あるかが分かれば、上の表のどちらに当たるかが決まる
- 写真を撮る。山全体の引き、1枚の表、1枚の裏の3枚でよい。材質の判断はここでほぼ付く
- 複数の買取業者に相談する。材質や寸法によって引取先の得意不得意があり、同じ品物でも扱いが変わる
- 引き取れる回答が揃ったところで、車を押さえて引取日を決める。仕分けが必要なら、この時点で現場の日程に入れる
明け渡しまで日数がない場合
すでに1週間を切っている場合でも、数量と置場によっては間に合うことがある。ただし選べる引取先は限られ、条件は落ちる。この段階では、値段の交渉よりも、期日までに片付くかどうかを先に確かめたほうがよい。間に合わないと分かった時点で、産業廃棄物としての処理に切り替える判断が必要になる。
本稿が扱うのは、片付けの段取りまでである。産業廃棄物として処理する場合の委託契約や管理票の扱いは、案件ごとに条件が変わるため本稿では扱わない。必要な場合は個別にご案内するので、お問い合わせいただきたい。
この章の結論
大型案件で3〜4週間前、大型車1〜2台のスポットで2週間前が目安である。この日数は引取日までの期間ではなく、相談を始めてから車を押さえるまでに要る期間である。
で、どうすればいいのか
閉鎖や移転の日程が見えた時点で、手元でできることが3つある。判断そのものは読者に委ねる。
ACTION 01
明け渡し日から逆算して、相談を始める日を決める
倉庫1棟ぶんなど複数回の引取になる規模なら明け渡しの3〜4週間前、大型車1〜2台で終わる規模なら2週間前を目安に置く。原状回復の工事が入る場合は、工事の開始日を期限として逆算する。年度末や繁忙期に当たるなら、さらに前倒しする。
ACTION 02
寸法ごとにおおまかな枚数を数える
1100×1100、1200×1000といった規格ごとに何枚あるかを、概数でよいので出す。これが分かると、1回の引取で終わるのか複数回に分かれるのかが決まり、相談を始める時期も決まる。あわせて、山全体の引き、1枚の表、1枚の裏の3枚を撮っておく。
ACTION 03
複数の買取業者に同じ情報を伝える
枚数、寸法、置場の住所、敷地に大型車が入れるか、フォークリフトと操作できる方がいるか、明け渡し日。この6点を同じ内容で伝えると、回答が比べられる。材質や寸法によって引取先の得意不得意があるため、1社の回答だけで結論を出さないほうがよい。
よくある質問
- 明け渡しまで1週間しかありませんが、間に合いますか
- 数量と置場によっては間に合うことがあります。ただし車両の手配が優先になるため、選べる引取先は限られ、条件は落ちます。この段階では、値段よりも期日までに片付くかどうかを先に確かめることをお伝えしています。間に合わないと分かった時点で、産業廃棄物としての処理に切り替える判断が必要になります。
- どのくらいの数量からまとめて相談できますか
- 当社が有価でお引き受けする下限は100枚です。これは4t車1台に積める目安と同じ線で、枚数の下限を先に決めたのではなく、車が1台立つ形を枚数に置き換えたものです。工場の閉鎖や倉庫の移転では、この線を超えることが多くなります。
- 複数の買取業者に相談してもよいのでしょうか
- むしろ複数に相談されることをお勧めしています。材質や寸法によって引取先の得意不得意があり、同じ品物でも扱いが変わるためです。相談を始める時期に3〜4週間、あるいは2週間の余裕を見ていただきたいのは、この比較の時間を日程に入れるためでもあります。
- 寸法がばらばらのまま積んである場合でも相談できますか
- ご相談いただけます。ただし山のままだと、再使用に回せる枚数も原料に戻せる重量も見積もれないため、まとめて原料としての評価になります。寸法ごとに分けていただけると、中古パレットとして再使用に回せる分が見えるようになり、条件が変わります。仕分けの手間に見合うかどうかは数量によりますので、まず概数だけでもお知らせください。
- なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
- 当社は中古プラスチックパレットの買取と、再生樹脂原料のお取扱いを行っています。工場の閉鎖や倉庫の移転に伴うご相談を受けるなかで、もう少し早くご連絡いただいていれば条件が違った、という案件を何度も見てきました。日程の目安を先に開示したほうが、売る側にも当社にも無駄が少ないと考え、この記事にまとめています。
出典・エビデンス一覧
当社の関連記事
- 本稿の内容は2026年9月13日時点のものです。相談を始める時期の目安は当社の実務にもとづくもので、車両の手配状況によって変わります。
- 「3〜4週間前」「2週間前」「100枚から」は当社の運用上の目安であり、法令や業界団体が定めた基準ではありません。同じ規模でも、置場の位置と時期によって必要な日数は変わります。
- 本稿は片付けの段取りを扱うもので、産業廃棄物としての処理手続きは扱っていません。個別の案件に応じてご案内しますので、お問い合わせください。
- 本稿は情報提供を目的としたもので、特定の判断を推奨するものではありません。