Engine Oil / 0W-20 and Group III Base Oil

0W-20のオイル代はなぜ上がるのか、Group III基油3,600ドル台と中東3工場の停止

最近の乗用車に多い0W-20のエンジンオイルが、この秋、値上がりしています。原因は、低粘度オイルの主な原料であるGroup III基油の相場です。アジア市場の価格は7月から約2割上がり、中東の3か所の工場は止まったままです。整備工場の値上がりの例と、原料の相場の推移を、業界誌と店頭の告知で確かめました。

初版公開: / 最終更新: / プラスチックパレット株式会社

ANSWER

0W-20のオイル代が上がっているのは、原料のGroup III基油が高いからです。アジア市場のGroup III(4cSt)は、2026年9月21日時点で1トン3,630〜3,680ドルと、7月6日から約2割上がりました。アブダビ・バーレーン・カタールの生産は止まったままです。

Group III 4cSt(アジア)

3,630〜3,680ドル/t

2026年9月21日時点。7月6日は2,990〜3,040ドル

7月からの上昇

約21%

中央値どうしの比較(当社の計算)

Group IIIの生産停止

3か所

アブダビ・バーレーン・カタール

この記事の要点

  • 0W-20などの低粘度エンジンオイルは、精製度の高いGroup III基油を多く使います。そのGroup IIIの相場が高止まりし、この秋にオイル代の値上がりとして店頭に出てきました。
  • Lubes'N'Greasesの週次相場では、アジアのGroup III 4cStは7月6日の1トン2,990〜3,040ドルから、9月21日には3,630〜3,680ドルになりました。約21%の上昇です(当社の計算)。
  • 同じ相場報告は、アブダビ・バーレーン・カタールのGroup IIIの生産が止まったままだと伝えています。カタールのPearl GTLの復旧は、2027年初めと報じられています。
  • 店頭では、ある整備工場が9月5日から0W-20を1Lあたり1,150円から2,200円に改定しました。オイルの種類も、API SQの全合成油に切り替えています。
  • 一方、国内の出荷制限は8月までに多くが解除されました。オイルが買えない状態から、値段が高い状態に移ったと言えます。交換の前に、油種と1Lあたりの価格を確かめておくと比べやすくなります。

0W-20のオイル代はいくら上がったのか

大手オイルメーカーは、商品ごとの新しい価格を公表していません。店頭の値上がりが見えるのは、整備工場や販売店の告知です。

金色の太字は、改定後の価格です。

お店油種改定前改定後実施日
津軽オートサービス0W-201,150円/L2,200円/L9月5日
津軽オートサービス5W-301,150円/L2,000円/L10月1日
津軽オートサービスプロステージS 0W-302,200円/L2,600円/L10月1日

出典:津軽オートサービスのお知らせ(2026年9月4日・9月18日)。5W-30と0W-30は税抜。0W-20は税の表示がありません。

0W-20は、改定前の約1.9倍です(当社の計算)。このお店は同時に、0W-20の油種をAPI SQ規格の全合成油に切り替えています。値上がりには、原料の高騰と、より上位の油種への切り替えの両方が含まれている点に注意が要ります。

1店の例で、全国の相場ではありません

ここに挙げたのは、告知が公開されていた1店の例です。オイル交換の工賃やオイルの値段は、お店や車種、油種によって大きく違います。

この章の結論

整備工場の告知では、0W-20が1Lあたり1,150円から2,200円に改定された例があります。ただし、油種の切り替えも含んだ値上がりで、1店の例です。

原料のGroup III基油はいくらか

エンジンオイルは、ベースオイル(基油)に添加剤を加えて作ります。0W-20のような低粘度のオイルには、精製度の高いGroup IIIの基油が多く使われます。

日付Group III 4cStGroup III 6cSt
7月6日2,990〜3,040ドル2,970〜3,020ドル
8月17日3,430〜3,480ドル3,420〜3,470ドル
8月31日3,550〜3,600ドル3,540〜3,590ドル
9月21日3,630〜3,680ドル3,620〜3,670ドル

出典:Lubes'N'Greases「Weekly Asia Base Oil Price Report」。アジア向け FOB、1トンあたりの価格です。

7月6日から9月21日までに、4cStの中央値は3,015ドルから3,655ドルへ、約21%上がりました(当社の計算)。相場報告は8月31日時点で「世界のGroup IIIの供給は依然として極めてひっ迫しており、価格は新たな高値に達した」と伝えています。

この章の結論

アジアのGroup III 4cStは、9月21日時点で1トン3,630〜3,680ドル。7月から約21%上がり、相場報告は供給が極めてひっ迫していると伝えています。

中東の3工場はなぜ止まっているのか

Group IIIの大きな供給元である中東の工場が、2026年3月の中東情勢の悪化以降、止まったままです。

工場国年間の生産能力状況
Pearl GTL(シェル)カタール約102万トン3月9日に停止。復旧は2027年初めと報道
ADNOCアブダビ(UAE)約43万トン3月10日に停止
BAPCOバーレーン約31万トン3月9日に不可抗力(フォースマジュール)を宣言

出典:Lubes'N'Greases(9月21日:3か所とも停止が続いていると報道)、みかど商事のブログ(生産能力と停止日、2026年8月1日)、Arab World News(Pearl GTLの復旧時期、2026年8月3日)。生産能力と停止日は二次情報です。

相場報告は9月21日時点でも、「アブダビ、バーレーン、カタールのGroup IIIの生産は停止したまま」で、アジアのGroup IIIの売り手が出荷量を割り当てていると伝えています。3か所を合わせると年約176万トンで、オイル販売会社のブログでは、世界のGroup IIIの約35%が止まっていると説明しています(生産能力の合計は当社の計算)。

この章の結論

カタール・アブダビ・バーレーンのGroup IIIの工場は、9月下旬時点でも止まったままです。カタールのPearl GTLの復旧は2027年初めと報じられています。

品薄は終わり、高値が残った

春から夏にかけて問題だったのは「オイルが手に入らない」ことでした。秋になって、問題は「値段が高い」ことに移っています。

潤滑油の販売会社の日立工油は8月3日、メーカー各社の出荷状況の掲載を「各社出荷規制解除が進み、緊急性が薄まりつつある」として中断しました。国内の出荷制限は、8月までに多くが解除されています。

それでも、原料のGroup IIIの相場は9月も上がり続けています。オイルメーカーの出荷価格や、お店の店頭価格への反映は、これから時間差で出てくる可能性があります。

この章の結論

国内の出荷制限は8月までに多くが解除され、品薄の問題は落ち着きました。一方で原料の相場は上がり続けており、値段の問題が残っています。

オイル交換の前に確かめておくこと

どのオイルをどこで交換するかは、車と使い方によって違います。ここでは確かめる手順だけを並べ、判断は読者に委ねます。

ACTION 01

取扱説明書で指定の粘度を確かめる

0W-20が指定の車に、値段だけを理由に別の粘度を入れると、燃費や保護性能が変わることがあります。取扱説明書で指定の粘度と規格を確かめます。

ACTION 02

見積もりで油種と1Lあたりの価格を確かめる

同じ0W-20でも、鉱物油・部分合成油・全合成油で値段が違います。見積もりや明細で、どの油種か、1Lあたりいくらかを確かめると、お店どうしを比べやすくなります。

ACTION 03

交換の目安を確かめる

オイル交換の時期は、走行距離や期間の目安が車ごとに決まっています。取扱説明書の目安と、前回の交換からの距離を確かめます。

ACTION 04

オイルの規格の切り替えも見ておく

10月1日にILSAC GF-6が廃止され、GF-7とAPI SQに切り替わります。値上げの告知で油種がSQに変わっていることもあるため、規格の表示もあわせて確かめます。

よくある質問

0W-20のオイルはなぜ高くなっているのですか
主な原料のGroup III基油が高いためです。アジアのGroup III 4cStは2026年9月21日時点で1トン3,630〜3,680ドルと、7月6日から約21%上がりました。アブダビ・バーレーン・カタールのGroup IIIの生産が止まったままです。
オイル交換の値段はいくら上がりましたか
全国の平均は公表されていません。ある整備工場は9月5日から0W-20を1Lあたり1,150円から2,200円に改定しましたが、同時に油種をAPI SQの全合成油に切り替えています。お店や油種によって大きく違います。
エンジンオイルの品薄は終わったのですか
国内の出荷制限は8月までに多くが解除され、販売会社の日立工油は8月3日に「緊急性が薄まりつつある」として出荷状況の掲載を中断しました。一方で原料の相場は9月も上がっています。
0W-20の値上がりはいつまで続きますか
見通しは示されていません。停止しているカタールのPearl GTLの復旧は2027年初めと報じられており、それまではGroup IIIの供給が限られる状態が続くとみられます。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
当社は物流資材の商社で、原油・ナフサやベースオイルの値動きを日々の取引で追っています。2026年はエンジンオイルの供給と価格が大きく動いた年です。公表された相場と告知の数字で確かめてお伝えしています。

出典・エビデンス一覧

相場・業界の資料

  • Lubes'N'Greases「Weekly Asia Base Oil Price Report」7月6日・8月17日・8月31日・9月21日のGroup III FOB Asia。9月21日「アブダビ・バーレーン・カタールのGroup III生産は停止したまま」。②二次ソース(業界誌)
  • 日立工油 お知らせ2026年8月3日。「各社出荷規制解除が進み、緊急性が薄まりつつある」。①一次資料を直接参照

店頭の告知

報道・解説

  • みかど商事 ブログ2026年8月1日。中東3工場の生産能力と停止日。②二次ソース
  • Arab World News2026年8月3日。シェルCFOの発言としてPearl GTLの復旧は2027年初め。②二次ソース

当社の関連記事

  • 相場と価格は、2026年9月28日時点で当社が確認した資料によります。Group IIIの相場は業界誌の報告値で、国内の仕入れ価格とは異なります。
  • 上昇率・倍率・生産能力の合計は、公表値をもとに当社で計算したものです。
  • 整備工場の価格は1店の告知の例で、全国の相場を示すものではありません。
  • 中東の工場の生産能力と停止日、Pearl GTLの復旧時期は報道によります。
  • 本稿は情報提供を目的としたもので、特定の製品や購入時期を推奨するものではありません。

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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