置き場を圧迫する中古プラスチックパレット、九州・四国はなぜ関東より買取価格が上がりやすいのか
同じ規格の中古プラスチックパレットでも、置かれている場所によって提示できる買取価格は変わる。理由は単純で、買取価格は再販先までの距離に強く縛られるからである。九州と四国の港には韓国航路が県単位で就航しており、関東を起点に考えるより出口が近い。その構造を、各港湾管理者が公表する便数と国が告示した運賃の水準から確認する。
ANSWER
買取価格は、再販価格から引取輸送費と選別再生費を引いた残りで決まる。九州・四国は志布志港の韓国航路週4便、伊万里港の釜山航路週3便、松山港の釜山航路週4便のように、県単位で海上輸送の出口が近い。陸送距離が短く済む分を買取価格に回せるため、関東を起点にするより高い提示が成り立ちやすい。
TL;DR
買取価格は現物の状態だけで決まるものではない。再販価格から引取輸送費と選別再生費を差し引いた残りが提示額になるため、排出場所から再販先までの距離が価格をそのまま押し下げる要素として働く。
九州・四国の主要港には韓国向けの定期コンテナ航路が県単位で就航している。志布志港は韓国航路週4便、伊万里港は釜山航路週3便、松山港は釜山航路週4便と、いずれも港湾管理者が公表している。
トラックの標準的な運賃は2024年3月に運賃水準8%引き上げで告示された。陸送距離がコストに直結する以上、遠方の拠点まで運ぶ前提のままでは、引取輸送費が買取価格を削ることになる。
同じパレットなのに、地域で買取価格が変わる理由
中古プラスチックパレットの買取を依頼すると、同じ規格・同じ状態でも業者によって提示額に差が出る。さらに、同じ業者であっても排出場所が変われば金額が変わる。これは値付けが恣意的だからではなく、買取価格の構造がそうなっているためである。
買取価格 = 再販価格 −(引取・輸送費)−(選別・再生費)
再販価格が同じでも、引取・輸送費が重い地域では提示できる金額が下がる
買取価格は「出口までの距離」に縛られる
買い取った中古パレットは、そのまま使える品であれば国内外で再使用品として販売され、破損品であれば粉砕して再生原料になる。いずれにしても、排出された現場から次の行き先まで運ばなければ現金化できない。この輸送費は買取価格から差し引かれるため、出口が遠い地域ほど提示額は下がる。
ここで重要なのは、出口が国内の再販先だけではないという点である。中古プラスチックパレットは海外でも需要があり、海上輸送で出す経路を持っていれば、出口までの距離は「港までの距離」で測れるようになる。九州と四国が有利になるのは、この一点による。
空パレットは距離に弱い荷物である
プラスチックパレットは、重量のわりに体積を取る。荷物を載せていない状態で運ぶ場合、トラックの積載重量よりも先に荷台の容積が埋まるため、1台あたりの輸送費を枚数で割ったときの単価が下がりにくい。輸送距離が伸びるほど、この不利は枚数にかかわらず効いてくる。
つまり、中古パレットは「遠くまで運んで高く売る」という戦略が成立しにくい荷物である。出口が近い場所に置かれているという事実そのものが、価格を左右する条件になる。
九州・四国の港には、韓国航路が県単位で就航している
各港の定期航路は、港湾管理者や港湾振興団体が公表している。九州・四国の主要港について、韓国(釜山)向けの定期コンテナ航路の記載を確認したものが以下である。表記は各公式ページの記載に合わせている。
KYUSHU — 九州
外貿コンテナ定期航路は4航路週8便(フィーダー含む)。韓国航路は4船社が各週1便。令和8年6月現在。
火曜・金曜寄港。ほかに天津・大連・青島航路 週1便、上海・寧波航路 週1便、国際フィーダー航路 週1便の記載がある。
国際コンテナ定期航路は合計37航路・156便/月。2026年9月2日現在。週単位の表記は公表されていない。
国際コンテナ定期航路の国別内訳は公表されていない。RORO船については韓国・釜山港へ毎日就航との記載がある。2026年8月現在。
公式ページは曜日単位の掲載で、週便数の表記はない。ほかに台湾航路(月曜運航)の記載がある。
韓国向けは2便掲載されているが、うち1便はサービス休止中と明記されている。稼働は実質1便。
SHIKOKU — 四国
4船社が各週1便。ほかに台湾・釜山航路が隔週1便。令和8年7月9日時点。
航路表には外貿6便と神戸フィーダー2便が掲載されている。ページ上に基準日の表記はない。
水曜・日曜寄港。国際フィーダー航路1便を含め週3便が就航中との記載がある。令和8年4月1日時点。
外航は韓国航路週1便、内航は月2便。2026年4月時点。
NOTE
各港の公表形式は統一されていない。週便数を明記している港、月間便数で示す港、曜日単位で掲載する港があるため、本記事では各公式ページの記載形式をそのまま引用している。異なる形式の数字を週便数へ換算して並べることはしていない。
また、定期航路のスケジュールは変更される。取引の検討にあたっては、各港湾管理者の最新の公表内容を確認いただきたい。
航路が密であることが、なぜ買取価格に効くのか
週に複数便が就航している港が近くにあるということは、引き取ったパレットを短期間で船に載せられるということである。これは二つの意味を持つ。ひとつは陸送距離が短くて済むこと、もうひとつは自社倉庫で寝かせる期間が短くて済むことである。
買取業者にとって、在庫として保有している期間は保管費と資金の拘束を生む。出港までの待ち時間が短ければ、そのコストを見込む必要が薄くなる。結果として、同じ現物に対して出せる金額の上限が上がる。
陸送コストは、2024年の告示以降さらに距離に厳しくなった
国土交通省は2024年3月22日、一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃を告示した(令和6年国土交通省告示第209号)。同日の報道発表の表題は「新たなトラックの標準的運賃を告示しました 〜運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を新たに加算〜」であり、本文でも運賃水準を8%引き上げる旨が示されている。
この告示は距離制・時間制の運賃表を含み、運輸局別の距離制運賃表が示されている。つまり、運ぶ距離が長いほど費用が積み上がる構造が、公的な目安としてあらためて示されたということになる。
加えて、2025年6月11日公布の貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律により、公布後3年以内の施行項目として「国土交通大臣が定める適正原価を下回る運賃・料金の制限」が盛り込まれ、国土交通省は制度設計に向けた検討を進める旨を示している。運賃が下がる方向の材料は、現時点では見当たらない。
中古パレットの買取において、この流れは単純な意味を持つ。遠方の拠点まで運ぶ前提で組まれた買取は、引取輸送費に価格を食われるということである。九州・四国から関東まで陸送する経路を前提にすれば、その分は必ず提示額から引かれる。逆に、地元の港から海上に出す経路を持っていれば、その差額を買取価格へ回せる。
値がつくパレット、値がつきにくいパレット
地域条件が有利であっても、現物の条件が悪ければ価格は伸びない。買取の現場で評価が分かれる点を整理しておく。
評価が上がりやすい条件
- 同一規格でまとまっている(1100×1100など)
- 樹脂の種類が揃っている
- 反り・割れ・欠けが少なく、再使用できる
- フォークリフトで積み込める状態で保管されている
- 屋内または屋根下で保管されていた
- 引取時期にある程度の幅を持たせられる
評価が下がりやすい条件
- 規格・色・メーカーが混在している
- 金具・ビス・すべり止めゴムが付いている
- 油や薬品が染み込んでいる
- 粘着ラベルや荷札が多数貼られたままである
- 木製パレットと積み重なっている
- 手積みでしか出せない場所に置かれている
破損品に値がつかないわけではない。割れたパレットは再使用品ではなく再生原料として評価されるため価格帯は変わるが、樹脂が揃っていて異物の混入が少なければ、引き取る対象になる。判断に迷う場合は分別せず、そのままの状態をお知らせいただきたい。分け方を誤ると、かえって評価しにくくなることがある。
九州・四国で引取を検討するときの考え方
九州・四国は、県ごとに近い港が異なる。どの港に出す前提で見積もるかによって引取輸送費が変わるため、保管場所の住所は価格を左右する情報になる。
鹿児島県・宮崎県南部であれば志布志港、佐賀県・長崎県であれば伊万里港、熊本県であれば八代港や熊本港、福岡県であれば博多港や北九州港が近い。四国では、愛媛県は松山港、香川県は高松港、徳島県は徳島小松島港、高知県は高知新港がそれぞれ外航の入口になる。
いずれの県でも、上記の港に韓国向けの定期航路が就航していることは各公式ページで確認できる。関東の拠点まで陸送する前提で組まれた見積もりと、地元の港を使う前提の見積もりでは、引取輸送費の水準が変わる。相見積もりを取る際は、その業者がどの経路で出すのかを聞いておくと判断しやすい。
枚数がまとまらないときは、掲示板に載せるという手がある
買取には、枚数がまとまるほど条件が良くなるという性質がある。裏を返せば、数十枚単位で置かれているパレットは、単独で車両を仕立てると引取輸送費に見合わないことがある。すぐに売ると決めていない場合も同じで、時期が読めないまま相見積もりを重ねても話が進みにくい。
そこで当社は、売りたい側と買いたい側が案件を出し合える中古パレット売買掲示板を用意している。内容・数量・保管場所・状態を1行で掲載する形式で、掲載は無料、ロット数の下限も設けていない。九州・四国で同じ時期に複数の案件が並べば、まとめて引き取れる可能性が出てくる。
破損品や粉砕品、再生ペレットなど樹脂そのものの売買については樹脂スクラップ売買掲示板を分けている。パレットとして再使用できない品は、こちらのほうが相手が見つかりやすい。
NOTE
掲示板への掲載は承認制としている。当社が必ず買い取るという仕組みではなく、案件を公開して相手を探すための場である。当社が買い取る場合も、他社との取引が成立する場合もある。掲載にあたっては、掲載ルールと免責事項をご確認いただきたい。
で、どうすればいいのか
枚数と規格を数える
まず、規格ごとの枚数を把握する。1100×1100、1100×900、1200×1000といったサイズ別に、おおよその枚数が分かれば十分である。正確な実数でなくてよい。規格が混在している場合は、その旨も含めて把握しておく。
保管状態を写真で1枚残す
積み上げた状態を離れた位置から1枚撮っておく。破損品が混ざっている場合は、その山も1枚あるとよい。文章で伝えるより早く、状態と数量の見当がつく。現地確認の回数を減らせるため、結果として提示までの時間が短くなる。
積込条件を先に伝える
フォークリフトの有無、車両の進入可否、平ボディとウイングのどちらが着けられるか、荷役ができる時間帯。これらは引取輸送費に直結するため、後から判明するほど条件が悪くなる。分かる範囲で先に伝えておく。
出せる時期に幅を持たせる
引取日を1日に限定すると、その日に合う車両を手配する費用が乗る。1週間から2週間の幅を持たせられれば、他の便と組み合わせられる可能性が出てくる。急ぎでない場合は、時期の幅そのものが価格の材料になる。
九州・四国の中古プラスチックパレット、買取を強化している
ロット数・保管先・規格をお知らせいただければ、最短でお見積りする。枚数がまとまらない場合でも、同じ地域の案件と合わせて引き取れる時期があるため、まずはご相談いただきたい。
買取全般の考え方はパレット専門家による中古プラスチックパレット買取、処分を含めたご相談は不要プラスチックパレット回収相談をご覧いただきたい。まず案件を公開して相手を探したい場合は中古パレット売買掲示板へ無料で掲載できる。
よくある質問
九州や四国だと、関東より本当に高く買い取ってもらえるのですか
規格・状態・枚数が同じであれば、高い提示が成り立ちやすい地域である。買取価格は再販価格から引取輸送費と選別再生費を引いた残りで決まるため、海上輸送の出口が近いほど引取輸送費を抑えられる。九州・四国の港には韓国航路が県単位で就航しており、その分を価格に回せる。ただし保管場所の積込条件によっては費用が増えるため、最終的な提示は現物条件による。
何枚から引き取ってもらえますか
枚数によって輸送手段と単価の考え方が変わるため、枚数を先にお知らせいただきたい。同一規格でまとまっているほど積載効率が上がり、条件は良くなる。少枚数の場合でも、同じ地域の他の案件とまとめて引き取れる時期であれば対応できることがある。まずは枚数と規格、保管場所をご連絡いただきたい。売却時期を決めていない段階であれば、当社が運営する中古パレット売買掲示板に無料で掲載する方法もある。掲載ロットの下限は設けていない。
割れているパレットでも値段はつきますか
破損品は再使用向けではなく再生原料向けの評価になるため、同じ規格でも価格帯は下がる。ただし値がつかないわけではない。樹脂の種類が揃っていること、金具やビス、荷札、粘着ラベル、油や薬品の付着が少ないことが評価の分かれ目になる。破損品と使用可能品が混在している場合は、分けずにそのまま状況をお知らせいただきたい。
木製パレットが混ざっていても一緒に引き取れますか
プラスチックと木製では再販先も再生工程も異なるため、評価は別建てになる。同じ場所に置かれている場合は、それぞれの枚数を分けてお知らせいただきたい。混載して運ぶこと自体は可能な場合があるが、積載効率が落ちると引取輸送費が上がり、結果として提示価格に影響する。枚数構成が分かった段階で運び方を含めて提案する。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
当社はプラスチックパレットの企画・販売と中古パレットの買取を本業としており、国内での再販と海外への輸出の両方を扱っている。買取価格がどのような要素で決まるのかは、売る側から見えにくい部分が多い。判断材料を公開しておくことが取引の前提を揃えることにつながると考え、公的資料で確認できる範囲に限って整理した。
情報源
- 鹿児島県「志布志港 定期航路のご案内」更新日2026年8月5日(https://www.pref.kagoshima.jp/ah09/infra/port/minato/shibushi/gaiyou/kouro.html)
- 佐賀県伊万里港振興会「定期航路のご案内」(https://port-of-imari.jp/route/)
- 北九州港「国際定期コンテナ航路一覧」2026年9月2日現在(https://kitaqport.jp/jap/business/route.html)
- 福岡市「博多港 物流」更新日2026年7月31日(https://www.city.fukuoka.lg.jp/kowan/hakata-port/04/logistics.html)
- 八代港ポートセールス協議会「定期航路」(https://yatsushiro-port.jp/regular_route/)
- 熊本港ポートセールス協議会「定期航路」(https://kumamoto-port.jp/regular_route/)
- 愛媛県「松山港外航定期コンテナ航路」更新日2026年7月22日(https://www.pref.ehime.jp/site/port-of-matsuyama/8984.html)
- 香川県「高松港国際コンテナ定期航路」(https://www.pref.kagawa.lg.jp/kotsu/port/route.html)
- 徳島県「徳島小松島港コンテナターミナル利用案内」2026年8月31日掲載(https://www.pref.tokushima.lg.jp/jigyoshanokata/kendozukuri/kowan/5033793)
- 高知県「高知新港の紹介」更新日2026年5月13日(https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/inap39/)
- 国土交通省 報道発表「新たなトラックの標準的運賃を告示しました」令和6年3月22日(https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000294.html)
- 国土交通省「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃について」令和6年3月告示(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000118.html)
- 国土交通省「トラック適正化二法について」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000019.html)
DISCLAIMER
- 本記事に記載した航路・便数は、各港湾管理者および港湾振興団体が公表する内容を2026年9月13日時点で確認したものである。スケジュールは変更される場合がある。
- 公表形式が港ごとに異なるため、週便数・月間便数・曜日単位の記載をそのまま引用している。異なる形式の数値を換算して比較することはしていない。
- 買取価格の構造に関する記述は当社の実務に基づく説明であり、具体的な金額を保証するものではない。提示額は規格・数量・状態・保管条件・時期により変動する。
- 標準的な運賃は運送事業者が届け出て適用する目安であり、個別の運送契約における実際の運賃を示すものではない。
- 本記事は情報提供を目的としており、特定の取引条件を確約するものではない。実際の取引にあたっては個別にお問い合わせいただきたい。