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「2026年のiPhone値上げ」をやさしく解説、アメリカは据え置きなのに日本だけ上がった本当の理由

YASASHIKU KAISETSU / FX & PRICE

「2026年のiPhone値上げ」をやさしく解説、アメリカは据え置きなのに日本だけ上がった本当の理由

2026年7月18日、日本のiPhoneの値段が上がりました。同じiPhoneのアメリカでの値段は変わっていません。上がったのは日本の値札だけです。なぜこんなことが起きるのでしょうか。その答えは、たった一つの割り算とかけ算にあります。この記事では、Appleが公開している日米それぞれの値段と、税関が公表している本物の為替レートだけを使って、値札が上がるしくみを順番に確かめていきます。そして最後に、同じ計算が逆向きにも働いていることをご覧いただきます。

やさしく解説 公開日 最終更新

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この記事の3つのポイント

  • 2026年7月18日、日本のiPhoneが値上げされました。iPhone 17は129,800円から142,800円へ。ところがアメリカでの値段は799ドルのままです。海外の値段が変わらなくても、円に直すときのレートが動けば、日本の値札だけが上がります。
  • 日本の値段からAppleの想定した為替を逆算すると、値上げ前が1ドル147.68円、値上げ後が162.48円でした。この162.48円は、税関が輸入の計算に使う162.12円とほぼ同じです。値札の裏側にある数字を、公開情報だけで確かめられます。
  • 同じ円安が、逆向きにも働いています。1,144円のお菓子は1ドル100円のころ11.44ドルでしたが、162.12円なら7.06ドルです。日本の値札は変わっていないのに、海外の人から見ると4割ほど安い。これが街で買い物の袋を抱えた旅行者を見かける理由です。

かんたんに言うと

2026年7月18日、iPhone 17は142,800円に上がりました。米国は799ドルで据え置きです。日本価格から逆算した為替は162.48円で、税関の公示レート162.12円とほぼ一致します。同じ円安が、日本製品を海外の人には4割ほど安く見せています。

輸入の計算に使うレート

162.12

2026年7月19日〜25日適用・税関

iPhone 17の日本価格

142,800

2026年7月18日改定・米国は799ドル据え置き

日本価格から逆算した為替

162.48

公示レート162.12円との差は0.22%

日本銀行の政策金利

1.00%

2026年6月の会合で引き上げ

CHAPTER 01

値上げが続くのは、日本だけの話なのでしょうか

2026年7月18日、日本で売られているiPhoneの値段が上がりました。iPhone 17は129,800円から142,800円へ、およそ1割の値上げです。ところが同じiPhoneの、アメリカでの値段は変わっていません。なぜ日本だけが上がったのか。この記事はその答えを追いかけていきます。

そして、こうした値上げはiPhoneに限った話ではありません。2026年に入ってから、海外ブランドの価格改定のニュースが何度も流れました。腕時計の分野では1月にロレックス、チューダー、オーデマ・ピゲ、カルティエ、ウブロ、タグ・ホイヤー、ピアジェ、IWC、ショパール、ブライトリングが価格を改めたと報じられ、2月にはジャガー・ルクルト、モンブラン、エルメスが、3月にはオメガが続いたとされています。

これだけ多くのブランドが同じ時期に動くと、「なにか申し合わせでもあるのだろうか」と感じてしまうかもしれません。けれども、そう考える必要はありません。共通の原因が一つあるだけです。

その原因が為替です。海外で作られた品を日本で売るとき、日本の値札は「海外での値段」と「そのときの為替」の掛け算で決まります。ブランド側が海外での値段をまったく変えていなくても、為替が動けば日本の値札は変わってしまいます。

この記事で大切にしたこと

ブランドごとの個別の値段については、公式に発表されていないものが多くあります。実際、あるブランドは主要な商品の価格を特定のお客さま以外に公開していないと明記しています。そこで本記事では、推測を含む価格は使いません。代わりに、メーカーが公式サイトで公開している日本製品の値段と、税関が公表している為替レートだけを使って、計算のしくみそのものをご覧いただきます。しくみが分かれば、どのブランドの値上げにも同じ考え方が当てはまります。

CHAPTER 02

海外の値段が同じなのに、なぜ日本の値札が上がるのでしょうか

ここが一番大事なところなので、ゆっくり進みます。

海外のメーカーに支払うお金は、多くの場合ドルやユーロなど外国のお金で決まっています。仮に、ある品の値段が海外で1,000ドルだったとします。この1,000ドルという数字が何年も変わらなかったとしても、日本で支払う円は為替によって変わります。

そのときの為替 1,000ドルを払うのに必要な円 1ドル100円のころと比べて
1ドル100円100,000円基準
1ドル150円150,000円1.50倍
1ドル162.12円162,120円1.62倍
1ドル164円164,000円1.64倍

1,000ドルという金額は、しくみを分かりやすくするために置いた例です。特定の商品の値段ではありません。円の金額は当方で計算しました。

海外での値段はずっと1,000ドルのままです。品物の中身も、作り方も、何ひとつ変わっていません。それでも、日本で用意しなければならないお金は10万円から16万円あまりへ増えています。

これが、円安で輸入品が値上がりするしくみのすべてです。難しい理屈はありません。同じ品を買うのに、より多くの円が必要になった。ただそれだけのことが、値札に現れています。

お店が「値上げしたい」わけではありません

値上げのニュースを見ると、売る側が利益を増やそうとしているように感じることがあるかもしれません。もちろん、そういう場合もあります。けれども為替が原因の値上げは性質が違います。

値札を上げなければ、輸入する側の手元に残るお金が減っていきます。仕入れに16万円かかるようになった品を10万円のときと同じ値段で売り続ければ、売れば売るほど苦しくなります。値上げをしないという選択が、そのまま損失につながる。ここが、為替による値上げの避けにくいところです。

CHAPTER 03

iPhoneに実際に起きたことを見てみましょう

ここまでのお話が本当かどうか、実際の出来事で確かめてみます。ちょうど今月、とても分かりやすい例がありました。

2026年7月18日に起きたこと

Appleが日本のiPhoneの価格を引き上げました。報道によれば、値上げ幅は機種と容量によって8,000円から25,000円で、事前の告知はありませんでした。iPhone 17(256GB)は129,800円から142,800円になっています。日本経済新聞は、標準モデルの最低価格が従来から1割引き上げられたと報じました。

ここで注目していただきたいのは、次の一点です。

アメリカの値段は変わっていません

同じiPhone 17は、Appleのアメリカの公式サイトで799ドルのままです。7月18日の前も後も変わっていません。値上がりしたのは日本の値札だけでした。第2章でご説明した「海外の値段が同じなのに日本の値札が上がる」という話が、そのまま起きたことになります。

日本の値札から、為替を逆算してみます

ここからが面白いところです。日本の値段とアメリカの値段が両方とも分かっているので、Appleがどの為替レートで日本の値段を決めたのかを、割り算で求められます

日本の142,800円には消費税10%が含まれているので、まず税を抜きます。

手順 値上げ前 値上げ後
日本の値段(税込)129,800円142,800円
税を抜くと(÷1.1)118,000円129,818円
アメリカの値段で割ると÷ 799ドル÷ 799ドル
逆算した為替147.68円162.48円

日本の価格はApple日本公式サイト、アメリカの価格はApple米国公式サイトによります。値上げ前の129,800円は報道による数値です。税抜への換算と割り算は当方で行いました。アメリカの表示価格は税別で、州ごとに売上税が別途かかります。

つまりAppleは、1ドル147.68円くらいの想定で決めていた日本の値段を、162.48円くらいの想定に切り替えたことになります。その差は約14.8円です。

この数字、どこかで見ませんでしたか

逆算して出てきた162.48円。次の章でご紹介する、税関が輸入の手続きに使っている162.12円と、ほとんど同じ数字です。

試しに、税関のレートでアメリカの799ドルを円に直してみます。799ドル × 162.12円 = 129,534円。これに消費税10%を足すと142,487円になります。実際の日本の値段は142,800円ですから、その差は313円、割合にして0.22%にすぎません。

ここで確かめられたこと

Appleが決めた日本の値段と、国が定めた輸入用の為替レートで計算した金額が、ほぼぴったり一致しました。「輸入品の値段は為替で決まる」という話は、たとえ話ではありません。誰でも見られる公開情報だけで、実際に検算できることなのです。

そして、この計算はiPhoneだけのものではありません。海外から入ってくるあらゆる品物に、同じ割り算とかけ算が効いています。次の章から、その中身を順番に見ていきます。

CHAPTER 04

「1ドル162円」の162円は、どこから来た数字なのでしょうか

ここで、少し意外に思われるかもしれない話をします。

輸入の手続きで実際に使われる為替は、ニュースで流れている今日の相場ではありません。税関が週ごとに決めた「公示レート」という決まった数字を使います。これは法律で定められていて、輸入する側が好きなレートを選ぶことはできません。

2週間前の平均が使われます

公示レートの中身は、その週の2週間前の実際の相場の平均です。たとえば今週輸入の手続きをするなら、2週間前の相場の平均で円に直すことになります。

この決まりのおかげで、手続きに使う数字が毎日ぶれることはありません。その代わり、相場が動いているときには実際の相場と手続き用の数字がずれます

どの数字か 2026年7月下旬の水準 どこで見られるか
税関の公示レート
(輸入の手続きに使う)
162.12円 税関のホームページ。7月19日から25日までに使われた数字です
実際の相場
(ニュースで流れる)
163円台 7月29日の東京市場では163.30円まで下がる場面もありました

公示レートは財務省税関が公開しているデータで直接確認しました。実際の相場の水準は、みんかぶFXおよび外為どっとコムの記載によります。

1円ほどの差ですが、金額が大きくなるとこの差も無視できなくなります。そして大切なのは、この差は誰かのミスではなく、制度としてそうなっているということです。

公示レートは米ドルだけでなく、ユーロ、人民元、韓国ウォン、タイバーツなど多くの通貨について毎週公表されています。韓国ウォンやベトナムドンなどは「100通貨あたり何円」という書き方になっているので、読むときには単位に注意が必要です。

CHAPTER 05

為替が1円動くと、輸入品はいくら変わるのでしょうか

ニュースで「1円の円安」と聞いても、なかなか実感がわかないものです。そこで、金額に置きかえてみます。

覚えやすい法則が一つあります。為替が1円動くと、ドルの金額と同じ数の円が動くのです。

海外での値段 為替が1円動いたときの差 為替が5円動いたときの差
100ドル100円500円
1,000ドル1,000円5,000円
10,000ドル10,000円50,000円

当方計算。いずれもしくみを示すための例です。

100ドルの品なら、1円動いても100円の差にしかなりません。ところが1万ドルの品になると、同じ1円で1万円が動きます。高い品ほど、為替のニュースが値札に響きやすいのはこのためです。

ブランドの値上げばかりが話題になり、身近な安い輸入品の値上げがあまり騒がれないのも、同じ理由で説明がつきます。金額が小さければ、為替が動いても差が小さく、気づかれにくいのです。

CHAPTER 06

値上げの理由は、為替だけなのでしょうか

ここまで為替の話をしてきましたが、公平を期すために申し上げると、値上げの理由は為替だけではありません

理由 どういうことか
為替 この記事で見てきたとおりです。海外の値段が同じでも、円に直すと変わります
材料の値段 金や貴金属、革、原油から作られる素材などが値上がりすれば、海外での値段そのものが上がります
運ぶ費用 船や飛行機の運賃、保険の料金が上がれば、それも値段に乗ります
各国の税や制度 関税など、国をまたぐときにかかる負担が変われば値段に影響します
ブランドの方針 世界中で値段をそろえる、希少さを保つといった考え方から価格を決めることもあります

値上げの背景として一般に挙げられる要素を整理したものです。個別のブランドがどの理由でどれだけ値上げしたかは、各社の発表によります。

ですから「円安のせいで値上げした」と一言でまとめてしまうのは、少し乱暴です。為替は、いくつもある理由のうちの一つです。

ただし為替には、他の理由にはない特徴があります。それは、誰にでも計算できて、公開された数字で確かめられるということです。材料の値段やブランドの方針は外からは見えませんが、為替は税関のホームページで誰でも確認できます。だからこそ、まず為替の分を計算して、残りがどれくらいかを考えるという順番が役に立ちます。

CHAPTER 07

逆に、日本のものを海外に売るとどう見えるのでしょうか

ここから、この記事でいちばんお伝えしたい部分に入ります。

これまでは「海外から買う」側の話でした。ドルの値段に為替をかけて、円にしていました。では、日本のものを海外の人が買うときはどうなるでしょうか。

今度は逆です。円の値段を為替で割って、ドルに直します。

たった一つの違い

輸入するときはかけ算、輸出するときは割り算。使う為替は同じ数字です。向きが逆になるだけで、結果は正反対になります。

かけ算と割り算は、ぴったり打ち消し合います

1ドル100円だったころと、162.12円の今を比べてみます。

  • 輸入する側から見ると、同じ品が1.62倍になりました
  • 海外の人から見ると、日本の品が0.62倍になりました

この2つをかけ合わせると、ちょうど1になります。片方が損をした分だけ、もう片方が得をしている。円安とは、誰かにとって悪いことであると同時に、誰かにとって良いことでもある。同じ一つの数字が、立つ位置によって正反対の意味を持ちます。

ニュースでは「円安で家計が苦しい」という話と「外国人観光客が過去最多」という話が並んで流れます。別々の出来事のように見えて、実はまったく同じ数字が原因です。

CHAPTER 08

日本の商品は、海外の人にいくらに見えているのでしょうか

言葉だけでは実感がわきにくいので、実際の商品で計算してみます。ここで使うのは、すべてメーカーが公式サイトで公開している値段です。値段の幅が広くなるように、3つ選びました。

商品 日本での値段(税込) 種類
グランドセイコー ヘリテージコレクション 9Fクオーツ SBGX263 363,000円 腕時計
クレ・ド・ポー ボーテ ル・セラムⅡ 50mL 30,800円 美容液
白い恋人 12枚入(ホワイト) 1,144円 お菓子

値段はいずれも各社の公式サイトに掲載されているものです。グランドセイコーはセイコーウオッチのブランド公式サイト、クレ・ド・ポー ボーテとル・セラムⅡは資生堂のブランド公式サイト、白い恋人は石屋製菓が運営する白い恋人パークの公式サイトによります。クレ・ド・ポー ボーテの価格は公式サイトに参考小売価格である旨の注記があり、お店によって異なる場合があります。

海外の人から見た値段

それでは、この3つを為替で割ってみます。

商品 1ドル100円のころ 1ドル150円のころ 1ドル162.12円 変化
SBGX263 3,630.00ドル 2,420.00ドル 2,239.08ドル ▲38.3%
ル・セラムⅡ 50mL 308.00ドル 205.33ドル 189.98ドル ▲38.3%
白い恋人 12枚入 11.44ドル 7.63ドル 7.06ドル ▲38.3%

日本での値段を為替で割った当方計算です。1ドル100円と150円は、比べるために置いた過去の水準です。162.12円は2026年7月19日から25日に適用された税関の公示レートです。実際の売買には手数料などが加わるため、この金額そのままで取引されるわけではありません。

3つとも、減り方はぴったり同じ38.3%です。363,000円の時計も、1,144円のお菓子も、同じ割合で安く見えています。値段の高さは関係ありません。

この数字を、旅行者の目で見てみると

1ドル100円のころに日本へ来た人にとって、白い恋人は11.44ドルの品でした。今来る人にとっては7.06ドルです。同じお菓子が、4ドル以上安くなって見えていることになります。

時計であれば、その差は1,390ドルあまりです。円の値札はどちらも変わっていないのに、です。

お土産物屋さんで同じ商品をいくつも買っていく方や、家電量販店やドラッグストアで買い物かごをいっぱいにしている方を見かけることがあるかもしれません。その光景の理由は、この割り算の中にあります。

為替1円で動く金額も、値段によって違います

為替が1円動いたとき、海外の人から見た値段は、SBGX263で約13.73ドル、ル・セラムⅡで約1.17ドル、白い恋人で約0.04ドル動きます。高い品ほど、為替のニュースが海外での売れ行きに直結することが、この数字から分かります。

CHAPTER 09

海外で買えば安いのでしょうか

ここまでお読みになって、「では海外で買えば得なのでは」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。この点についても触れておきます。

結論から申し上げると、為替だけで判断はできません。海外での値段と日本での値段の差には、為替以外にもいくつもの要素が入っているためです。

値段の差を生む要素 どういうことか
その国の税金 国によって商品にかかる税金の種類も割合も異なります。表示の仕方も、税込のところと税別のところがあります
運ぶ費用 日本から遠い国ほど、運賃が値段に乗ります
現地での費用 お店の家賃や人件費は国ごとに違い、それも値段に含まれます
持ち帰るときの手続き 国をまたいで品物を持ち込むときには、金額に応じて手続きや負担が生じることがあります
保証や修理 購入した国でしか保証を受けられない場合があります。長く使うものほど、ここは大きな違いになります

国をまたぐ買い物で値段の差が生まれる一般的な要素を整理したものです。具体的な税率や手続きは国や品物によって異なります。

海外から商品を取り寄せたり、旅行先で買ったものを持ち帰ったりする場合の税金や手続きは、品物の種類と金額によって細かく定められています。実際に手続きをされる際は、税関のホームページや税関相談官の窓口で、ご自身の品物について直接ご確認ください。本記事では正確を期すため、具体的な税率や免除の金額には触れていません。

CHAPTER 10

同じ計算式が、実は日用品にも効いています

ここまで、時計や美容液やお菓子でご説明してきました。けれども、この計算が効いているのはブランド品だけではありません。

当社はプラスチックのパレットや再生樹脂の材料、荷物をまとめるPPバンドやストレッチフィルムといった、物流の現場で使われる資材を扱っています。工場や倉庫で毎日使われる、いわば地味な品物です。

これらも海外から仕入れることがあります。そのときに使う計算式は、363,000円の時計とまったく同じです。ドルの値段に、税関の公示レートをかける。それだけです。

値上げが「連鎖」して見える理由

荷物を運ぶためのパレットやフィルムの値段が上がると、それを使って運ばれるあらゆる品物の費用に少しずつ乗っていきます。食品にも、日用品にも、宅配便の料金にも、わずかずつ含まれます。ブランドバッグの値上げはニュースになりますが、こちらは表に出ません。それでも、同じ為替が、同じ計算式で、静かに効き続けています

ブランドの値上げのニュースは、いわば分かりやすい形で現れた一例です。同じことが、目に見えないところでも起きています。

なお、円安が仕入れ値をどう押し上げるか、価格の見直しをどう判断し、取引先にどう説明するかといった実務の手順については、iPhoneの日本価格から想定為替を逆算する、円安で輸入コストはいくら上がるのかの実務ガイドで詳しくまとめています。仕事で数字を扱う必要がある方は、そちらもご覧ください。

CHAPTER 11

この値上げは、いつまで続くのでしょうか

いちばん気になるところだと思います。正直に申し上げますと、いつ終わるかを当てることは誰にもできません。専門の機関でも見通しは分かれています。

ただ、「何を見ていれば流れが分かるか」は決まっています。3つあります。

1つめ、日本と海外の金利の差

お金は、金利の高いところへ集まる性質があります。日本銀行は2026年6月の会合で政策金利を0.25%引き上げ、1.0%としました。これは1995年9月以来、およそ31年ぶりの水準です。一方、米国の誘導目標は3.50%から3.75%で、6月の会合まで4回続けて据え置かれてきました。差はまだ小さくありません。

2つめ、原油などの資源の値段

日本は資源の多くを輸入しています。資源が高くなると、その支払いのために外国のお金が必要になり、円安の方向に働きやすくなります。2026年7月には、紅海でタンカーが攻撃を受けたことを受けてWTI原油の先物が1バレル93.50ドルまで上昇する場面がありました。

3つめ、日本銀行の会合

金利をどうするかは、年に8回開かれる会合で決まります。会合の前後には相場が動きやすくなります。ただし第4章で見たとおり、輸入の手続きに使うレートに反映されるのは、そこから約2週間後です。

数字を追いかけなくても大丈夫です

毎日の相場を見る必要はありません。この3つが同じ方向を向いているかどうかだけ、ときどき確かめれば十分です。3つが揃って動きはじめたときが、流れの変わり目になります。

そしてもう一つ。円安が続くということは、日本のものが海外の人にとって安いままだということでもあります。値上げの話ばかりが目につきますが、同じ数字が、日本のものが海外で買われる追い風にもなっています。どちらか一方だけを見ていると、起きていることの半分を見落としてしまいます。

CHAPTER 12

よくあるご質問

アメリカでは値上げしていないのに、なぜ日本のiPhoneだけ高くなったのですか

円に直すときのレートが変わったためです。iPhone 17のアメリカでの値段は799ドルのままですが、1ドルを用意するのに必要な円が増えました。日本の値段142,800円から税を抜いて799で割ると1ドル162.48円になり、値上げ前の147.68円から約14.8円動いています。品物は同じでも、円に直すと高くなるのです。

ニュースで見る為替と、輸入の計算に使う為替は同じものですか

少し違います。輸入の手続きで使うのは税関が週ごとに決めている公示レートで、その中身は2週間前の平均です。ニュースで流れる今日の相場とは時間差があります。2026年7月19日から25日に使われたのは1ドル162.12円で、同じころの実際の相場は163円台でした。

円安のとき、日本のものを海外に売る側から見るとどうなりますか

逆に有利になります。1,144円のお菓子は1ドル100円のころ11.44ドルでしたが、162.12円なら7.06ドルです。日本の値札は変わっていないのに、海外の人から見ると4割ほど安くなっています。輸入で損をする分と、輸出で得をする分は、同じ為替の裏表です。

この値上げはいつまで続くのでしょうか

いつ終わるかを当てることは誰にもできません。ただ、何を見ていれば流れが分かるかは決まっています。日本と海外の金利の差、原油などの資源の値段、そして日本銀行の会合です。この3つが同じ方向を向いているうちは、流れが急に変わりにくいと考えられています。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社はプラスチックパレットや再生樹脂材料などの物流資材を扱う商社で、海外からの仕入れと海外への輸出を毎日行っています。ブランドバッグの値上げも、当社が扱う資材の値上げも、まったく同じ割り算とかけ算で決まります。仕事で毎週使っている計算を、身近な商品に置きかえて整理しました。

CHAPTER 13

この記事で使った資料

直接確認した公式の資料

  • 財務省税関「外国為替相場(課税価格の換算)」令和8年7月19日から令和8年7月25日まで適用分。米ドル162.12円ほか全通貨のデータを直接確認しました
  • グランドセイコー公式サイトヘリテージコレクション SBGX263、363,000円(税込)
  • クレ・ド・ポー ボーテ公式サイトル・セラムⅡ 50mL、30,800円(税込)。参考小売価格である旨の注記あり
  • 白い恋人パーク公式サイト(石屋製菓)白い恋人 12枚入(ホワイト)、1,144円(税込)
  • Apple日本公式サイトiPhone 17(256GB)142,800円(税込)、512GB 177,800円、iPhone Air 177,800円、iPhone 17 Pro Max 214,800円
  • Apple米国公式サイトiPhone 17 From $799(税別)

報道などで参照した資料

  • 日本経済新聞2026年7月18日付、日本でiPhoneの標準モデル最低価格が14万2800円と従来から1割引き上げられた旨の報道
  • prodig2026年7月18日のiPhone値上げ幅8,000円〜25,000円、改定前のiPhone 17が129,800円であった旨、および米国価格が据え置かれた旨の記載
  • piazo2026年1月から3月にかけての高級腕時計ブランドの価格改定に関する記載
  • みんかぶFX2026年7月29日東京市場でドル円が163.30円まで下落した旨の記載
  • 外為どっとコム米国の誘導目標3.50%から3.75%、6月会合まで4会合連続据え置きに関する記載
  • 朝日新聞2026年6月会合で0.25%の利上げが決まり、政策金利1.0%が1995年9月以来およそ31年ぶりの水準となった旨の報道
  • IG証券紅海でのタンカー攻撃とWTI原油先物が1バレル93.50ドルまで上昇した旨の記載

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ご利用にあたって

  1. 本記事は2026年7月31日時点で確認できた情報をもとに作成しています。為替や商品の価格は変わりますので、記載の数値は執筆時点のものとしてご覧ください。
  2. 税関の公示レートは週ごとに更新されます。本記事で確認できた最新の掲載分は2026年7月19日から25日までの適用分です。それ以降については税関のホームページで直接ご確認ください。
  3. 商品の価格は各社の公式サイトに掲載されているものを記載しました。クレ・ド・ポー ボーテについては公式サイトに参考小売価格である旨の注記があり、お店によって異なる場合があります。
  4. 海外での価格を示した金額は、日本での価格を為替で割った計算上の目安です。実際の取引では手数料や現地の税金などが加わるため、この金額のとおりに売買されるわけではありません。
  5. 本記事は為替のしくみをご紹介するもので、投資の判断や、特定の商品の購入をおすすめするものではありません。国をまたぐ買い物の税金や手続きについては、税関などの窓口でご確認ください。
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