電気代はなぜ上がるのか、10月の支援終了と11月の託送料金改定を分けて説明します
電気代が上がるという話を、この秋は二度聞くことになります。ひとつは10月で、国の値引き支援が終わります。もうひとつは11月で、送配電の料金が変わります。この2つは仕組みも確からしさも違うのに、まとめて「値上げ」と呼ばれています。分けて見ると、いくら増えるのかが自分で計算できるようになります。順にご説明します。
- 国の「電気・ガス料金支援」は2026年7月から9月の使用分までです。10月使用分から値引きがなくなります。単価そのものが上がるのではなく、引かれていた分が消えます。
- 値引き額は「単価×使用量」で自分で計算できます。9月使用分は電気1kWhあたり3.5円、都市ガス1立方メートルあたり14.0円です。使用量が多い家ほど、なくなったときの差が大きくなります。
- 11月は別の話です。送配電8社が託送料金託送料金発電所から家庭まで電気を運ぶ、送電線と配電線の使用料です。荷物でいえば運送料にあたります。私たちが払う電気料金の中にすでに含まれていて、請求書に単独では出てきません。送配電会社が受け取ります。の変更を申請し、9月4日に承認されました。新しい託送料金は2026年11月1日から使われます。東京電力パワーグリッドの申請は5年で2,516億円の増額でした。東京電力エナジーパートナーは、平均モデル(月260kWh)で月254円上がると公表しています。
CHAPTER 01「値上げ」と呼ばれているものが2つあります
この秋、電気代について2つの話が動きます。時期も仕組みも違うのに、どちらも「電気代の値上げ」と呼ばれるので、混ざりやすくなっています。
| 時期 | 何が起きるか | 確からしさ |
|---|---|---|
| 10月使用分から | 国の「電気・ガス料金支援」が終わり、請求から引かれていた値引きがなくなります | 決まっています |
| 11月1日から | 送配電8社の託送料金が変わります。電気料金の一部に含まれています | 9月4日に承認済み |
出典:経済産業省「電気・ガス料金支援」および同省が2026年7月10日付で公表した一般送配電事業者一般送配電事業者電気を運ぶ設備を持ち、地域ごとに送配電を担当している会社です。東京電力パワーグリッド、関西電力送配電などがあります。電気を売る小売会社とは別の会社で、どの小売会社と契約していても、運ぶのは同じ送配電会社です。8社の変更承認申請の受理と、電力・ガス取引監視等委員会が2026年9月4日付で公表した承認。
10月のほうは「単価が上がる」のではありません。電気の値段自体は変わらず、これまで国が肩代わりして引いていた分が終わるだけです。請求書の見た目は上がりますが、もとの料金に戻るという言い方が正確です。
11月のほうは、料金そのものの改定です。9月4日に経済産業大臣が承認し、11月1日から新しい託送料金が使われます。
「電気料金が上がるのはおかしい」と感じたときは、どちらの話をしているのかを分けてみてください。片方は制度の終了、もう片方は料金の改定です。
CHAPTER 0210月から、国の値引きがなくなります
国の「電気・ガス料金支援」は、2026年7月使用分から9月使用分までの3か月です。経済産業省が2026年6月12日に公表しました。申請は不要で、請求書から自動的に引かれています。
値引きの単価は月によって違います。
| 使用月 | 電気(低圧) | 電気(高圧) | 都市ガス |
|---|---|---|---|
| 2026年7月使用分 | 3.5円/kWh | 1.8円/kWh | 14.0円/㎥ |
| 2026年8月使用分 | 4.5円/kWh | 2.3円/kWh | 18.0円/㎥ |
| 2026年9月使用分 | 3.5円/kWh | 1.8円/kWh | 14.0円/㎥ |
| 2026年10月使用分 | なし | なし | なし |
出典:経済産業省「電気・ガス料金支援」(2026年6月12日公表)および同事業の案内サイト。10月使用分の行は、対象が9月使用分までであることから当社で補いました。
8月がいちばん手厚く、9月で少し薄くなり、10月でゼロになります。すでに8月から9月にかけて、電気は1kWhあたり1.0円ぶん値引きが減っています。10月の請求で急に変わったように感じるとすれば、2段階で減っているためです。
この支援は「2026年7月使用分〜9月使用分」と期間が明記されており、経済産業省の案内にも延長についての記載はありません。2026年8月27日の時点で、10月以降の支援は公表されていません。今後の政策判断で変わる可能性はありますが、当社では確認できていません。
CHAPTER 03自分の家では、いくら変わるのでしょうか
ここは、はっきり計算できます。経済産業省の案内サイトも「値引き単価に月々の使用量を掛けていただくことで月々の値引き額を算出」できると説明しています。
電気の使用量は、検針票やアプリに「◯◯kWh」と書かれています。9月使用分の単価3.5円を掛けるだけです。
| 月の使用量 | 8月使用分の値引き | 9月使用分の値引き | 10月使用分 |
|---|---|---|---|
| 200kWh | 900円 | 700円 | 0円 |
| 300kWh | 1,350円 | 1,050円 | 0円 |
| 400kWh | 1,800円 | 1,400円 | 0円 |
| 500kWh | 2,250円 | 1,750円 | 0円 |
| 600kWh | 2,700円 | 2,100円 | 0円 |
経済産業省が公表した値引き単価に、それぞれの使用量を掛けて当社で計算しました。ここに並べた使用量は計算のしかたを示すための例で、実在の平均値ではありません。ご自身の検針票の数字でお確かめください。
都市ガスも同じです。9月使用分は1立方メートルあたり14.0円なので、月30立方メートルなら420円になります。
8月使用分は電気1,800円とガス540円で合わせて2,340円が引かれていました。9月使用分は電気1,400円とガス420円で1,820円。そして10月使用分は0円です。10月の請求書は、9月にくらべて1,820円ぶん高く見えることになります。ただし電気やガスの単価が上がったわけではありません。
400kWh・30㎥は計算例として置いた仮の数字です。当社で計算しました。
CHAPTER 0411月の託送料金は、9月に承認されました
もうひとつの話に移ります。託送料金という耳慣れない言葉が出てきます。
電気は、発電所で作られたあと、送電線と配電線を通って家に届きます。この「運ぶ」部分を担当しているのが送配電会社です。その運送料にあたるのが託送料金で、私たちが払う電気料金の中に、すでに含まれています。
何が申請されたのでしょうか
2026年7月10日、一般送配電事業者8社が、収入の見通し収入の見通し送配電会社が、決められた期間に受け取ってよい収入の上限として国に承認してもらう金額です。この上限をもとに託送料金が決まります。上限が上がれば、託送料金も上がる方向になります。を変更する承認申請を経済産業大臣に提出しました。同省は同日付でこれを受理したと公表しています。
各社が個別に申請しているため、金額は会社ごとに違います。公表資料で確認できた例を挙げます。
| 会社 | 申請の内容 | 適用予定 |
|---|---|---|
| 東京電力パワーグリッド | 収入の見通しを5年合計で7兆6,062億円へ変更。現行から2,516億円の増額 | 2026年11月1日を予定 |
出典:東京電力パワーグリッド「『託送供給等に係る収入の見通し』の変更承認申請について」(2026年7月10日)。資料を直接参照しました。他の7社についても同日に申請が行われていますが、当社は各社の金額を確認できていません。
申請の理由として、東京電力パワーグリッドは「物価・労務費単価の高騰や金利の上昇によって、当社を取り巻く事業環境は大きく変化」したことを挙げています。あわせて、協力企業で人材を維持するために必要な賃金水準の確保にも触れています。
9月4日に承認されました
2026年9月4日、経済産業大臣が8社の収入の見通しを承認しました。電力・ガス取引監視等委員会が同じ日に公表しています。各社は、承認された金額をもとに託送料金を決め直して国に届け出ます。新しい託送料金は、2026年11月1日から使われます。
東京電力パワーグリッドが8月24日に公表した、審査の結果を前提にした計算では、家庭などの低圧の託送料金の平均単価は1kWhあたり8.58円から9.65円へ、1.07円上がります。
託送料金の申請資料には、家庭の電気料金への影響額は書かれていませんでした。影響額は、託送料金の見直しを受けて、電気を売る各電力会社が公表します。
東京電力エナジーパートナーは9月29日に、平均モデル(従量電灯B・30A・月260kWh)で月9,307円から9,561円へ、254円上がると公表しました。上がる分のほとんどは基本料金です。ほかの電力会社や料金プランでは、上がり方が違います。
報道では、8社の増額分を単純に合計した金額が紹介されることがあります。ただし各社の申請は個別のもので、単純合算に意味があるかどうかは資料からは判断できません。本記事では、直接確認できた東京電力パワーグリッドの数字のみを挙げています。
CHAPTER 05これから何を見ておけばよいでしょうか
断定できないことが多い話なので、確かめられるものを挙げておきます。
いま確かめられること
検針票の使用量です。ご自身が月に何kWh使っているかが分かれば、10月にいくらぶんの値引きが消えるかは、掛け算1回で出ます。相場や制度の話を追うよりも、この数字のほうが確実です。
9月使用分の請求書には、まだ値引きが載っています。その金額を控えておくと、10月の請求書と並べたときに、増えた分が支援の終了によるものかどうかが分かります。
これから出てくること
| 時期 | 出てくるもの |
|---|---|
| 2026年10月の請求 | 9月使用分の請求。値引きが載る最後の月です |
| 2026年11月の請求 | 10月使用分の請求。値引きのない状態になります |
| 2026年11月1日から | 新しい託送料金が使われ始めます。契約している電力会社の新しい単価は、各社の発表で確かめられます |
燃料費調整燃料費調整発電に使う燃料の値段の動きを、毎月の電気料金に反映させる仕組みです。燃料が高いときは上乗せされ、安いときは差し引かれます。今回の2つの話とは別に、毎月動いています。という仕組みで、電気代は毎月少しずつ動いています。契約している電力会社が月ごとに公表しているので、そちらもあわせてご確認ください。
2026年10月には電気以外にも値上げが予定されています。2026年10月 値上げ一覧にまとめています。9月分は2026年9月 値上げ一覧をご覧ください。同じ10月1日には加熱式たばこが3社そろって改定されます。9月に上がるものでは無印良品の価格改定もあわせてご覧ください。
出典・エビデンス一覧7件(公的機関4・報道や企業3)
公的機関の資料
- 経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援について」(2026年6月12日)|対象が2026年7月・8月・9月使用分であること、値引き単価が電気(低圧)7月3.5円/kWh・8月4.5円/kWh・9月3.5円/kWh、電気(高圧)1.8円・2.3円・1.8円/kWh、都市ガス14.0円・18.0円・14.0円/㎥であること。ページを直接参照しました
- 経済産業省 資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」案内サイト|対象が2026年7月使用分から9月使用分までであること、「値引き単価に月々の使用量を掛けていただくことで月々の値引き額を算出」できること、利用者の申請が不要であること。ページを直接参照しました
- 経済産業省「一般送配電事業者8社から託送供給等に係る収入の見通しの変更承認申請を受理しました」(2026年7月10日付)|8社から変更承認申請があり、同省が受理したこと。本文は取得できず、公表ページの表題により確認しました
- 電力・ガス取引監視等委員会「一般送配電事業者による託送供給等に係る収入の見通しの承認について」(2026年9月4日)|経済産業大臣が一般送配電事業者8社の収入の見通しを承認したこと、各社が承認を受けた収入の見通しに基づいて託送供給等約款の変更届出を行う予定であること。ページを直接参照しました
会社の公式発表
- 東京電力パワーグリッド「『託送供給等に係る収入の見通し』の変更承認申請について」(2026年7月10日)|申請日、収入の見通しを5年合計7兆6,062億円へ変更し現行から2,516億円の増額となること、新料金の適用を2026年11月1日に予定していること、理由が物価・労務費単価の高騰と金利の上昇であること、標準的な家庭への影響額の記載がないこと。資料を直接参照しました
- 東京電力パワーグリッド「『託送供給等に係る収入の見通し』の変更承認申請に係る料金制度専門会合の審査結果を前提とした託送料金単価の算出に関するお知らせ」(2026年8月24日)|低圧の託送料金の平均単価が1kWhあたり8.58円から9.65円へ、1.07円上がること。資料を直接参照しました
- 東京電力エナジーパートナー「低圧の料金メニューの見直しについて」(2026年9月29日)|2026年11月1日から託送料金の見直し内容を電気料金に反映すること、平均モデル(従量電灯B・30A・260kWh)の見直し影響額が9,307円から9,561円への254円(基本料金240.93円、電力量料金13.00円)であること、2026年11月分の燃料費調整単価(1kWhあたり▲5.33円)と再生可能エネルギー発電促進賦課金を含む試算であること。ページを直接参照しました(金額は掲載画像の表で確認)
使用量ごとの値引き額は、経済産業省が公表した単価に使用量を掛けて当社で計算したものです。200〜600kWh、30立方メートルという使用量は計算のしかたを示すための例で、実在の平均値ではありません。東京電力パワーグリッド以外の7社の申請金額と、東京電力エナジーパートナー以外の電力会社の家庭向け料金への影響額は、当社では確認できていません。
よくあるご質問
電気代の値引きはいつまでですか。
2026年9月使用分までです。国の「電気・ガス料金支援」は2026年7月使用分から9月使用分までの3か月間で、10月使用分から値引きがなくなります。9月使用分の単価は電気(低圧)が1kWhあたり3.5円、都市ガスが1立方メートルあたり14.0円です。申請は不要で、請求書から自動的に引かれています。2026年8月27日の時点で、10月以降の支援は公表されていません。
10月からいくら上がるのですか。
ご自身の使用量によります。9月使用分の値引き単価3.5円に月の使用量を掛けた金額が、10月からなくなる分です。月200kWhなら700円、400kWhなら1,400円、600kWhなら2,100円です。都市ガスは1立方メートルあたり14.0円なので、月30立方メートルなら420円になります。当社で計算した金額です。なお、これは電気やガスの単価が上がるのではなく、引かれていた値引きがなくなるという意味です。
11月の託送料金の改定で、電気代はいくら上がりますか。
契約している電力会社と料金プランによって違います。託送料金の見直しは2026年9月4日に経済産業大臣が承認し、11月1日から適用されます。東京電力エナジーパートナーは9月29日に、平均モデル(従量電灯B・30A・月260kWh)で月9,307円から9,561円へ、254円上がると公表しました。ほかの電力会社の金額は、各社の発表で確かめられます。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。
当社は千葉県我孫子市の物流資材の商社で、原料や燃料の価格が製品の値段にどう届くのかを日々の仕入れで追いかけています。値上げには、原料が上がって起きるもの、税や制度が変わって起きるもの、支援が終わって元に戻るものがあります。原因が違えば、いつ終わるのかの見通しも違います。この秋の電気代は3つのうち後ろの2つが重なった例で、読み分ける材料としてお伝えできると考えています。
文:プラスチックパレット株式会社 編集部
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