ニュースで聞くイラン情勢が招く『2026年航空券の値上がり』をやさしく解説、燃油サーチャージが片道65,000円になった本当の理由
「燃油サーチャージって何?」「なぜ急にこんなに高くなったの?」。2026年7〜8月発券分で欧米路線は片道65,000円、往復13万円になりました。イラン情勢がジェット燃料の値段を押し上げ、それが航空券に上乗せされるまでの流れを、路線別の実額や発券日のルールもあわせて、専門用語を避けて暮らし目線でやさしく解説します。
- 2026年7〜8月に発券する航空券の燃油サーチャージは、欧州・北米・中東・オセアニア路線で片道65,000円です。5〜6月の56,000円から9,000円上がり、往復では13万円になりました。マイルを使った特典航空券でも同じ金額がかかります。
- 金額は、シンガポール市場のジェット燃料価格と為替の直近2カ月平均で決まります。2026年4〜5月の平均は1バレル178.21米ドル、1米ドル158.85円で、円に換算すると28,308円でした。燃料高と円安が同時に効いた結果です。
- 本来なら28,000円を基準とするゾーンWが適用される水準でしたが、政府の緊急的な激変緩和措置による航空機燃料への補助を踏まえ、1段階低いゾーンTが適用されています。9月以降の発券分は2026年8月に案内される予定です。
2026年7〜8月発券分の燃油サーチャージは、欧州・北米路線で片道65,000円、往復13万円になりました。算定のもとになった4〜5月のシンガポールケロシンは1バレル178.21米ドル、為替は158.85円です。本来はゾーンWでしたが、政府の緊急補助でゾーンTに1段階抑えられています。
ANA公式
片道1人あたり
JAL発表
39年ぶりの円安水準
CHAPTER 01燃油サーチャージとは、どんな仕組みなのでしょうか
航空券を買うときに、値段の内訳をよく見ると「燃油特別付加運賃」あるいは「燃油サーチャージ」という項目が入っています。これは航空運賃とは別に請求される、燃料代の上乗せ分のことです。
飛行機はガソリンではなく、ジェット燃料(ケロシン)という油で飛びます。この燃料の値段は原油と連動して上下します。航空会社は「燃料代が変動するたびに運賃表そのものを作り直すのは難しい、けれども燃料代は実費として負担してほしい」という考えから、運賃とは切り離した別項目で請求するようになりました。これが燃油サーチャージです。
タクシーには「深夜割増」や「高速道路代」が別途かかることがありますよね。燃油サーチャージはそれに近い感覚です。「乗った距離に対する料金(=航空運賃)」とは別に、「燃料代(=サーチャージ)」を払う。しかも燃料が高くなればなるほど、この別枠の金額が大きくなっていきます。
マイルで取った航空券にも、同じ金額がかかります
意外と知られていないのが、燃油サーチャージは有償の航空券だけでなく、マイルを使った特典航空券にも同額がかかるという点です。ANAの適用条件には、大人・小児ともに同額を負担すること、マイレージ特典航空券を利用する場合も同額を負担することが明記されています。
「マイルを貯めたから無料で行ける」と思っていても、2026年7〜8月発券分の欧米路線であれば、往復で13万円の現金が別途必要になります。マイルで航空券を取る計画を立てている方ほど、この金額は先に確認しておきたいところです。
知っておくと得をする、3つの細かいルール
ANAが公表している適用条件のなかから、暮らしに関わる部分を3つ取り出します。
- 座席を使わない2歳未満の幼児は対象外です。膝の上に乗せる形で搭乗する場合、燃油サーチャージはかかりません。逆に言えば、2歳の誕生日を迎えて座席が必要になると、大人と同額が発生します。
- 払い戻すときは、燃油サーチャージには取消手数料がかかりません。全額が返金されます。ただし航空券の本体部分には別途取消手数料がかかるため、「サーチャージが高いからキャンセルしよう」という判断は、本体の手数料と見比べる必要があります。
- 発券後に金額が変わっても、航空券を変更しなければ差額の調整は行われません。つまり、いったん発券してしまえば、その後に値上がりしても追加請求はされません。
燃油サーチャージとは別に、国際線には「航空保険特別料金」も設定されています。ANAの場合、2026年4月1日以降のご購入分で1旅客1区間片道あたり780円です(日本での購入の場合。日本・カナダ・香港・メキシコ発着便およびブラジル発旅程には適用されません)。金額としては小さいものの、航空券の総額には含まれています。
CHAPTER 02なぜ2026年に2倍以上になったのでしょうか
「ニュースでイランの話は聞くけれど、それが飛行機代とどうつながるのだろう」という疑問を、4つの段階に分けて整理します。
段階1|2026年2月28日、中東の空と海が一斉に閉じた
2026年2月28日、米国・イスラエルによるイランへの攻撃が始まり、イランが報復に出ました。中東各国は自国の領空を封鎖し、ドバイ・ドーハ・アブダビという世界有数の乗り継ぎ拠点が相次いで機能を止めました。JALは同日付で羽田〜ドーハ線を運休としています。日本から欧州へ安く乗り継ぐ経路の多くが、この1日で使えなくなりました。
段階2|ホルムズ海峡が閉じると、ジェット燃料の値段が動く
日本が輸入する原油は、従来約9割が中東産でした。そのほとんどがホルムズ海峡を通って運ばれてきます。世界の原油輸送量のおよそ2割が通過するこの海峡で輸送が滞ると、アジア圏で取引されるジェット燃料の値段が押し上げられます。
国際航空運送協会(IATA)の週次データによると、ジェット燃料の平均価格は2026年3月6日までの週で1バレル157.41ドル、3月20日までの週で197.00ドル、4月3日までの週では209ドルと、記録的な水準まで上昇しました(Oman Observer、Cargo Factsの報道による)。JALの鳥取三津子社長は2026年4月1日、2月までの平均と比べて価格が約2.5倍になっていること、1バレル200ドル以上が続けば1カ月で300億円ほど燃料費の負担が増えることを明らかにしています(Business Insider Japan、2026年4月2日)。
いつも800円で食べているラーメンがあるとします。ある日、小麦粉と豚肉の仕入れ値が2倍以上になりました。お店は「ラーメンの値段そのものは据え置きたいので、材料費の上がった分だけ別にいただきます」と言い出しました。さらに「材料費がどこまで上がっても対応できるように、上乗せの上限ルールも作り直します」と続けます。いま航空券で起きているのは、これに近いことです。
段階3|計算式には2〜3カ月の時間差があります
ANA・JALの燃油サーチャージは、シンガポール市場のケロシン価格と為替レートの直近2カ月平均をもとに算出され、2カ月ごとに改定されます。つまり、燃料が値上がりしてから航空券に反映されるまでに時間差があるということです。
実際、2026年7〜8月発券分に使われたのは、その2〜3カ月前にあたる4〜5月の平均値でした。JALの発表によると、この期間のシンガポールケロシン市況価格の2カ月平均は1バレル178.21米ドル、同期間の為替平均は1米ドル158.85円で、円に換算すると28,308円になりました。
この仕組みは、値上がりが遅れて届くのと同じように、値下がりも遅れて届くことを意味します。仮に中東情勢が落ち着いて原油価格が下がりはじめても、その効果が航空券のサーチャージに現れるまでには数カ月かかります。ニュースで「情勢が改善」と聞いてすぐ航空券が安くなるわけではない、という点は押さえておきたいところです。
段階4|同じ時期に円安が進みました
燃料の値段はドル建てで決まるため、円が安くなるとその分だけ円換算の負担が増えます。2026年はこの2つが同時に進みました。ドル円相場は2026年7月24日のニューヨーク市場で終値163.83円をつけ、39年ぶりの円安水準とされています(みんかぶFXの四本値による。同日の始値163.86円、高値163.94円、安値163.64円)。
サーチャージの算定に使われた4〜5月平均の158.85円と比べても、その後さらに円安が進んでいることになります。この動きは、2026年9月以降の発券分に効いてくる要素です。
CHAPTER 03いま実際に、いくらかかるのでしょうか
ここからは数字を見ていきます。以下はANA公式サイト(2026年6月30日更新)に掲載されている、日本発・片道1人あたりの金額です。4月、5〜6月、7〜8月の3つの時点を並べました。
| 路線区分(日本発) | 4月発券分 | 5〜6月発券分 | 7〜8月発券分 |
|---|---|---|---|
| 欧州・北米(ハワイを除く)・中東・オセアニア | 31,900円 | 56,000円 | 65,000円 |
| ハワイ・インド・インドネシア | 20,400円 | 36,800円 | 40,400円 |
| タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア | 16,300円 | 29,000円 | 33,500円 |
| ベトナム・グアム・フィリピン・パラオ・モンゴル | 10,500円 | 19,700円 | 22,500円 |
| 東アジア(韓国を除く) | 9,400円 | 14,700円 | 15,400円 |
| 韓国・ロシア(ウラジオストク) | 3,300円 | 6,700円 | 7,400円 |
出典:ANA公式サイト「燃油特別付加運賃 / 航空保険特別料金について」(2026年6月30日更新)。日本発・1旅客1区間片道あたり。JALはANAと同一のケロシン基準を用いていますが、適用条件表の設定が異なるため、路線によって金額に差が出ることがあります。
なお、この表はANAの金額です。JALもANAと同じシンガポールケロシンの価格を基準にしていますが、適用条件表の設定が各社で異なるため、同じ路線でもANAとJALで金額に差が出ることがあります。ご利用予定の航空会社の公式サイトで、必ず該当路線の金額をご確認ください。
路線の区分けは、思っている以上に細かく分かれています
この表で注意していただきたいのは、「近そうに見える行き先が、まったく違う区分に入っている」ことです。旅行の予算を立てるときに誤解しやすいところなので、代表的な組み合わせを挙げます。
- ハワイとグアムは別区分です。ハワイは40,400円、グアムは22,500円で、18,000円近い差があります。同じ「南の島」でも扱いが異なります。
- インドはハワイと同じ区分です。「東南アジアに近いから安いだろう」と考えると誤ります。インドは40,400円で、タイの33,500円より高くなります。
- 韓国と中国も別区分です。韓国は7,400円、中国を含む東アジアは15,400円で、2倍以上の開きがあります。
片道の金額なので、往復では2倍になります
表の金額はすべて片道です。往復では単純に2倍になり、人数分だけ積み上がります。欧米路線を例にとると、次のようになります。
| 人数 | 5〜6月発券分(往復) | 7〜8月発券分(往復) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 112,000円 | 130,000円 | +18,000円 |
| 2人(夫婦) | 224,000円 | 260,000円 | +36,000円 |
| 4人(家族) | 448,000円 | 520,000円 | +72,000円 |
65,000円×2区間×人数で計算。座席を使用しない2歳未満の幼児は対象外です。航空券の本体運賃・空港使用料・国際観光旅客税はこれとは別にかかります。
家族4人で欧州へ行く場合、燃油サーチャージだけで52万円です。航空券の本体運賃を含めない、上乗せ分だけの金額であることを考えると、旅行の予算組みに与える影響は小さくありません。
CHAPTER 04政府の補助がなければ、いくらだったのでしょうか
ここは報道ではあまり詳しく触れられませんが、知っておくと今の金額の意味が変わって見える部分です。実は、2026年7〜8月発券分の65,000円という金額は、本来の計算式で出る金額よりも1段階低く抑えられています。
「ゾーン」という階段状の表で金額が決まります
ANA・JALの燃油サーチャージは、燃料価格を円に換算した金額が「いくらの範囲に入るか」で、適用される金額が階段状に決まる仕組みになっています。この階段の一段一段に、アルファベットの名前がついています。これがゾーンです。
JALが2026年6月12日に公表した内容によると、算定の流れは次のとおりです。
| 項目 | 数値 | 内容 |
|---|---|---|
| ケロシン2カ月平均 | 178.21米ドル | 2026年4〜5月・1バレルあたり |
| 為替2カ月平均 | 158.85円 | 同期間・1米ドルあたり |
| 円貨換算額 | 28,308円 | 上記2つを掛け合わせた金額 |
| 本来適用されるゾーン | ゾーンW | 28,000円基準 |
| 実際に適用されたゾーン | ゾーンT | 25,000円基準・1段階低い |
出典:日本航空プレスリリース第26025号「JAL/JTA国際線『燃油特別付加運賃』の改定を申請(2026年7月〜8月発券分)」2026年6月12日。
1段階分を埋めているのは、政府の補助です
JALの発表には、中東情勢を踏まえた政府による緊急的な激変緩和措置として、航空機燃料への補助が行われており、その効果を踏まえてゾーンTの金額を適用するという趣旨が明記されています。ANAの公式サイトにも同様の注記があります。
つまり、いま私たちが払っている65,000円は、補助がなければもう1段階高い金額になっていた、ということです。「高くなった」という実感の裏側で、その上昇幅を国が一部肩代わりしている構図があります。
電気代やガス代について、政府が一時的に補助を出して請求額を抑える仕組みが取られたことがありました。航空機燃料でも同じことが行われている、と考えるとイメージしやすいかもしれません。ただし、こうした措置は期限を区切って実施されるのが通例です。補助の枠組みが変われば、同じ燃料価格でも請求額が変わる可能性があります。
ゾーンの記号と基準額の関係(ゾーンTが25,000円基準、ゾーンWが28,000円基準であること)は、JALが公表した上記プレスリリースに記載された内容に基づいています。ゾーン表の全体像は各社の公表資料をご確認ください。
CHAPTER 05「予約した日」と「買った日」、どちらで決まるのでしょうか
燃油サーチャージについて、最も多い誤解がここです。「予約した時点の金額が適用される」と思っている方が少なくありませんが、実際には「発券した日」、つまり航空券を購入して支払いを済ませた日の金額が適用されます。
「明日買いに来よう」と思って棚の前で値段をメモしても、翌日に値札が変わっていれば新しい値段を払うことになります。棚の前でメモした時点(=予約)では値段は決まりません。レジで支払いを済ませた瞬間(=発券)が、値段が確定するタイミングです。
時期をまたぐと、金額がはっきり変わります
2026年の改定は幅が大きかったため、発券日が数日ずれるだけで金額が変わる場面がありました。欧米路線を1人で往復する場合、6月30日までに発券すれば112,000円、7月1日以降であれば130,000円です。この差は18,000円になります。
逆の見方をすれば、旅程が確定しているのであれば、次の改定を待つより先に発券してしまったほうが金額が固定できるということでもあります。いったん発券すれば、その後に値上がりしても追加請求はされません。
ANAの適用条件によると、未使用の航空券を変更する場合、すでに支払った額と変更を行う日に適用される額との差額調整が行われます。ここでいう「変更」には、日付の変更のほか、旅程が変わらない便名の変更や、オープンの航空券に新しく予約を入れる場合も含まれます。一方、一部を使用済みの航空券を変更する場合は差額調整が行われません。旅程が変わりそうなときは、この点も含めて検討したいところです。
CHAPTER 06家族旅行や出張の予算は、どれくらい変わるのでしょうか
ここまで燃油サーチャージだけを見てきましたが、実際の航空券には他の上乗せ分も含まれます。2026年は、そのうちのひとつも同じ時期に変わりました。
2026年7月1日から、出国税が3倍になっています
国際観光旅客税、いわゆる出国税が、2026年7月1日出国分から1人1,000円から3,000円に引き上げられました(日本経済新聞、2025年12月11日報道)。2019年1月の創設以来、初めての改定です。日本人・外国人を問わず日本から出国する人が対象で、航空券の代金に上乗せして徴収される仕組みは変わりません。
つまり2026年7月は、燃油サーチャージの引き上げと出国税の引き上げが重なったタイミングでした。
家族4人でヨーロッパに行く場合の上乗せ分
航空券の本体運賃を除いた「上乗せ分だけ」を計算すると、次のようになります。
| 内訳 | 2026年4月発券 | 2026年5〜6月発券 | 2026年7〜8月発券 |
|---|---|---|---|
| 燃油サーチャージ | 255,200円 | 448,000円 | 520,000円 |
| 国際観光旅客税(出国税) | 4,000円 | 4,000円 | 12,000円 |
| 航空保険特別料金 | 6,240円 | 6,240円 | 6,240円 |
| 上乗せ分の合計 | 265,440円 | 458,240円 | 538,240円 |
大人4人・欧州往復での試算。燃油サーチャージは片道額×2区間×4人、航空保険特別料金は780円×2区間×4人、出国税は出国1回×4人で計算しています。出国税は2026年6月30日出国分までが1人1,000円、7月1日出国分からが1人3,000円のため、4月・5〜6月発券の列は1,000円、7〜8月発券の列は3,000円で計算しています。空港施設使用料・現地の空港税は含みません。座席を使用しない2歳未満の幼児は燃油サーチャージの対象外です。実際の請求額は航空会社・路線・購入経路によって異なります。
5〜6月に発券した場合と比べると、上乗せ分だけで80,000円の差があります。家族4人のひと月分の食費に近い金額が、航空券の本体運賃とは別に必要になった計算です。4月に発券した場合と比べると、差は272,800円になります。
この試算はいずれも上乗せ分のみで、航空券の本体運賃は含んでいません。実際の旅行費用は、これに運賃・宿泊費・現地での支出が加わります。なお2026年は宿泊税を導入する自治体も増えており、国内の移動でも上乗せ項目が増える傾向にあります。
海外出張が多い方は、円安の影響も重なります
会社の出張で海外に行く場合、燃油サーチャージは会社の経費として処理されるため、個人の家計が直接痛むわけではありません。ただし企業側から見ると、出張1回あたりのコストが上がっていることになります。
加えて、現地での宿泊費や食事代はドルや現地通貨で支払うため、円安が進むとその分だけ円換算の負担が増えます。ドル円は2026年7月24日のニューヨーク市場で終値163.83円をつけました。航空券の上乗せ分と現地費用の両方が、同じ方向に動いている状況です。
会社の出張として渡航される場合は、燃油サーチャージのほかに国際観光旅客税や航空保険特別料金も加わり、1回あたりの費用が大きく変わります。出張旅費規程との関係については、当社の別稿「出張旅費規程は2026年の実態に合っているか」で、北米出張を例に積み上げた試算を掲載しています。
CHAPTER 07国内線の航空券はどうなっているのでしょうか
「国際線がこれだけ上がっているなら、国内線もそうなのでは」と思われるかもしれません。結論から言うと、2026年7月時点で、ANA・JALの国内線には燃油サーチャージは課されていません。
国内線は飛行距離が短く、燃料コストが運賃に占める割合が国際線より小さいため、別項目としては徴収されていません。ただし、この状況が続くとは限らないという材料が2つあります。
- 地域航空会社のフジドリームエアラインズ(FDA)は、国内線で燃油サーチャージを徴収しています。国内線で徴収している数少ない会社です。
- JALは2027年4月から国内線への導入を計画していると報じられています(日本経済新聞、2026年4月1日)。ANAも検討を表明しています。
国内線の運賃そのものは、2026年5月に仕組みが変わりました
燃油サーチャージとは別の話ですが、ANAは2026年5月19日搭乗分から国内線の運賃体系を3種類に整理しました。予約システムを国際線と同じ世界標準のものに統合したことに伴う変更です。
| 運賃の種類 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| シンプル | 最も安い。出発24時間前まで座席を選べず、変更は払い戻しと再購入による | 1人旅、旅程が確定している場合 |
| スタンダード | 中間の価格。座席指定・変更が可能 | 家族連れ、座席を隣同士にしたい場合 |
| フレックス | 最も高い。変更の自由度が高い | 予定が読みにくい出張 |
直前でも比較的安く購入できる場面が生まれた一方、シンプル運賃では上級会員であっても出発24時間前まで座席を指定できず、家族やグループが離れた席になる可能性があります。取消手数料の設定もスタンダードより高くなっています。家族旅行で座席を並べたい場合は、スタンダード以上を選ぶほうが安心です。
CHAPTER 082026年9月以降はどうなるのでしょうか
本記事を最終更新した2026年7月26日時点で、9月以降の発券分の金額は発表されていません。JALは2026年6月12日のプレスリリースのなかで、9月以降発券分の燃油特別付加運賃について2026年8月に案内する予定と明記しています。
金額は6〜7月のシンガポールケロシン市況価格と為替の2カ月平均で決まる仕組みですが、この期間の平均値について、当社が確認できた公表資料の範囲では確定した数値を把握できていません。したがってここでは、確認できている材料だけを整理します。
| 材料 | 確認できている内容 | 金額への向き |
|---|---|---|
| 燃料価格 | 4月3日の週に1バレル209ドルのピークをつけたあと、7月1日には116.63ドルまで下がりました(ピーク比で約44%の低下)。ただし7月12日以降、原油相場は反発しています | 低下は抑制方向 7月以降の反発は不確実 |
| 為替 | 算定に使われた4〜5月平均は158.85円。7月24日のニューヨーク市場終値は163.83円 | 押し上げ方向 |
| 政府の補助 | 緊急的な激変緩和措置として実施中。期間や規模は今後の判断による | 継続すれば抑制方向 |
| 中東情勢 | 2026年7月に入っても情勢の変化が続いている | 不確実 |
3つの見方を並べておきます
- 燃料価格の低下が反映される場合。実はジェット燃料の価格は、4月のピークからすでに大きく下がっています。ただし7〜8月発券分の金額は4〜5月の平均で決まっているため、この下落はまだ反映されていません。9月以降発券分は6〜7月の平均で算定されるので、下落が反映される可能性があります。算定期間が2カ月平均であるため、市況の動きが金額に表れるまでには時間差があるという仕組みです。
- 現状が続く場合。燃料価格が横ばいでも、算定期間の為替が円安方向に振れていれば、円換算額は上がる可能性があります。政府の補助が継続するかどうかも金額を左右します。
- 情勢がさらに動く場合。燃料価格が一段と上昇すれば、現在のゾーンをさらに上回る水準になることも考えられます。その場合、上限の扱いや補助の枠組みが改めて議論される可能性があります。
渡航の予定が確定している方にとっては、この2つが選択肢になります。8月の発表内容を見てから判断すれば、下がった場合の恩恵を受けられます。一方、8月31日までに発券すれば、現在の65,000円で金額を固定できます。どちらが有利かは発表を見るまで分かりませんので、旅程の確実性と取消手数料を見比べたうえでご判断ください。
CHAPTER 09いま私たちにできることは、何でしょうか
難しい話が続きましたので、最後に実際の行動に落とし込みます。
1|「運賃」ではなく「総額」で比べる
予約サイトに表示される「〇〇円〜」という金額には、燃油サーチャージが含まれていない場合があります。国際線では、この上乗せ分が総額のかなりの割合を占めることがあります。比較するときは、必ず最終確認画面の総額で見比べてください。
2|路線の区分を先に確認してから、行き先を決める
第3章で見たとおり、行き先の区分けは直感と一致しないことがあります。ハワイとグアム、インドとタイのように、近そうに見えて金額が大きく違う組み合わせがあります。候補が複数ある場合は、区分表を見てから絞り込むと、思わぬ差額に驚かずに済みます。
3|旅程が確定しているなら、発券のタイミングを意識する
燃油サーチャージは発券日で確定します。9月以降の金額は8月に案内される予定ですので、旅程が固まっている方は、発表を待つか8月中に発券するかを検討する材料になります。ただし旅程に不確実性がある場合は、取消手数料とのバランスも考えてください。
4|中東経由の乗り継ぎは、運航状況を確認する
中東の乗り継ぎ拠点を使うルートは、欧州へ比較的安く行ける経路として使われてきました。2026年は情勢の影響で運航に変更が生じている路線があります。欧州方面の旅程を組む際は、各社の運航情報を確認したうえで検討されることをおすすめします。
数字の背景をもう少し詳しく知りたい方へ
航空会社の経営から見た構造や、燃料費の負担が業績に与える影響については、専門版の記事「ANA・JALの燃油サーチャージと経営への影響、国内線とドーハ線の扱い」で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。
CHAPTER 10この記事に出てきた言葉の意味
燃油サーチャージの正式名称です。航空運賃とは別に、燃料代の変動分を上乗せして請求する仕組み。ANA・JALでは2カ月ごとに金額が改定されます。
シンガポール市場で取引されるジェット燃料の価格指標です。アジアの航空会社が燃料調達の基準として用いており、ANA・JALの燃油サーチャージもこの価格をもとに算定されます。
燃料価格を円に換算した金額が「いくらの範囲に入るか」で適用額が階段状に決まる区分です。2026年7〜8月発券分では、25,000円を基準とするゾーンTが適用されました。
航空券を実際に購入し、支払いを済ませた日のことです。燃油サーチャージの金額は予約日ではなく、この発券日の基準で確定します。
価格の急な変動が生活や事業に及ぼす影響をやわらげるため、政府が一時的に補助を行う仕組みです。2026年は中東情勢を踏まえて航空機燃料が対象となり、燃油サーチャージが1段階低いゾーンに抑えられています。
通称「出国税」。日本から出国する人に課される国税で、2026年7月1日出国分から1人1,000円から3,000円に引き上げられました。航空券代金に上乗せして徴収されます。
航空保険料や保安強化に関わる費用の一部を負担するための料金です。ANAの国際線では、2026年4月1日以降の購入分で1旅客1区間片道あたり780円が設定されています。
貯めたマイルと交換して発券する航空券です。運賃部分はマイルで賄えますが、燃油サーチャージと税金・料金は現金での支払いが必要になります。
ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海峡で、中東産原油の主要な輸送経路です。世界の原油輸送量のおよそ2割が通過するとされ、ここでの輸送が滞ると燃料価格に広く影響します。
国際航空運送協会。世界の航空会社が加盟する業界団体で、ジェット燃料の週次価格などの統計を公表しています。
FAQよくあるご質問
燃油サーチャージとは、どんなお金ですか。
航空券の運賃とは別に請求される、燃料代の上乗せ分です。正式名称は燃油特別付加運賃といいます。飛行機はジェット燃料(ケロシン)で飛びますが、その価格が上がったとき、航空会社が運賃本体とは切り離して別項目で請求する仕組みです。ANA・JALはシンガポール市場のケロシン価格と為替の直近2カ月平均をもとに金額を決め、2カ月ごとに改定します。有償の航空券だけでなく、マイルを使った特典航空券にも同額がかかります。
2026年7〜8月発券分は、路線ごとにいくらですか。
ANA公式サイト(2026年6月30日更新)によると、日本発・片道1人あたりで、欧州・北米(ハワイを除く)・中東・オセアニアが65,000円、ハワイ・インド・インドネシアが40,400円、タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジアが33,500円、ベトナム・グアム・フィリピン・パラオ・モンゴルが22,500円、韓国を除く東アジアが15,400円、韓国・ロシア(ウラジオストク)が7,400円です。欧米路線は往復で13万円になります。
なぜ2026年にこれほど上がったのですか。
2026年2月28日以降の中東情勢の悪化でホルムズ海峡の原油輸送が止まり、ジェット燃料の価格が急騰したためです。JALの発表によると、金額の算定に使う2026年4〜5月のシンガポールケロシン市況価格の2カ月平均は1バレル178.21米ドル、同期間の為替平均は1米ドル158.85円で、円貨換算額は28,308円になりました。加えて円安が同時に進んだため、ドル建ての燃料価格の上昇が円換算でさらに拡大しています。
燃油サーチャージは「予約した日」と「買った日」のどちらで決まりますか。
「買った日(発券日)」で決まります。予約だけ先に入れておいても、実際に航空券を購入したのが翌月以降であれば、その時点の金額が適用されます。ANAの適用条件では、発券後に金額が変わっても、航空券を変更しない場合は差額調整を行いません。なお、航空券を払い戻す場合、燃油特別付加運賃には取消手数料が適用されず全額返金されますが、航空券本体には別途取消手数料がかかります。
2026年9月以降の発券分はどうなりますか。
2026年7月26日時点では未発表です。JALは2026年6月12日のプレスリリースで、9月以降発券分の燃油特別付加運賃を2026年8月に案内する予定と明記しています。金額は2026年6〜7月のシンガポールケロシン市況価格と為替の2カ月平均で決まる仕組みのため、発表を待つ形になります。渡航予定が確定している場合は、8月の発表を待つか、8月31日までに現行額で発券するかの判断材料になります。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。
当社は千葉県我孫子市を拠点に、プラスチックパレット・再生樹脂原料・PPバンド・ストレッチフィルムなどの物流資材をお取扱いしています。プラスチックパレットは輸出梱包の基盤として世界各国で使われており、原油からジェット燃料・ナフサ・樹脂原料へと枝分かれする流れを、日々の調達を通じて現場で把握できる立場にあります。同じ原油価格の変動が、航空券の燃油サーチャージにも、身近な製品の価格にも同時に及ぶ構造をお伝えするため、この記事を作成しています。
主な情報源
- ANA(全日本空輸)公式サイト「燃油特別付加運賃 / 航空保険特別料金について」2026年6月30日更新(路線別金額・適用条件・航空保険特別料金の根拠)|https://www.ana.co.jp/ja/jp/guide/plan/charge/fuelsurcharge/
- 日本航空 プレスリリース第26025号「JAL/JTA国際線『燃油特別付加運賃』の改定を申請(2026年7月〜8月発券分)」2026年6月12日(ケロシン178.21米ドル・為替158.85円・円貨28,308円・ゾーンW/T・9月以降は8月案内予定の根拠)|https://press.jal.co.jp/ja/release/202606/009574.html
- Business Insider Japan「イラン攻撃影響でJAL社長『月300億円負担増』。国内線サーチャージ『前倒し予定なし』、ANA『しっかり検討』」2026年4月2日(約2.5倍・月300億円の根拠)
- Oman Observer「Jet fuel beats 2026 forecast of $88 per barrel to all-time high」(IATA週次データ 3月6日週157.41ドル・3月20日週197.00ドルの根拠)
- Cargo Facts「Jet fuel price surpassed $200 per barrel last week」(IATA Jet Fuel Price Monitor 4月3日週209ドルの根拠)
- みんかぶFX「24日の為替市場の四本値(ドル円・ユーロドル・ユーロ円)」2026年7月25日掲載(ドル円 7月24日 始値163.86・高値163.94・安値163.64・終値163.83の根拠)|https://fx.minkabu.jp/news/374216
- OANDA証券「ドル/円見通し:ドル円は円安で163円台後半|39年ぶりの円安水準に到達」2026年7月24日(円安水準の位置づけの根拠)
- 日本経済新聞「出国税の引き上げは26年7月 政府・与党方針、1000円から3000円に」2025年12月11日(国際観光旅客税3,000円の根拠)
- 日本経済新聞(2026年4月1日報道)JALの国内線燃油サーチャージ2027年4月導入計画
- AIRLINE web「ANA、国内線運賃を刷新。事前座席指定の可・不可などサービスで運賃分類へ」2026年5月20日(シンプル・スタンダード・フレックスの根拠)
- 本記事は、最終更新時点()までに各社公式サイト・プレスリリース・報道機関が公表した情報をもとに、当社が暮らし目線で整理した解説記事です。初版は2026年6月10日に公開し、燃油サーチャージの改定と国際観光旅客税の引き上げを反映して全面的に更新しました。
- 燃油サーチャージ・為替相場・ジェット燃料価格は日々変動します。記事中の金額は執筆時点で確認できた公表値であり、その後の改定・政府認可の状況により変更される場合があります。実際の航空券の金額は、必ずANA・JAL各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
- 路線別の金額はANA公式サイトに掲載された日本発・片道1人あたりの金額です。JALはANAと同一のケロシン基準を用いていますが適用条件表の設定が異なるため、路線によって金額に差が生じることがあります。また出発地が日本以外の場合、乗り継ぎを伴う旅程の場合は適用が異なります。
- 第6章の試算は上乗せ分のみを対象とした概算であり、航空券の本体運賃・空港施設使用料・現地の空港税は含みません。実際の請求額は航空会社・路線・購入経路・搭乗クラスによって異なります。旅行費用の最終的なご判断は、各社の見積画面でご確認ください。
- 本記事は特定の航空会社・旅行商品の購入を推奨するものではなく、投資判断・経営判断の根拠として作成したものではありません。引用に際しては出典として本記事URLを明記してください。記載内容に事実誤認がありましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
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