イラン情勢の最新動向で深掘り分析
【2026年5月版・佐賀経済編】
2026年春のナフサショックは、九州の交通要衝・佐賀経済を多重に圧迫している。製造品出荷額2兆3,192億円(2024年・前年比+1.1%)、鳥栖市の久光製薬(サロンパス・創業1847年)・九州シンクロトロン光研究センター・物流集積、有田焼(日本最古の磁器・400年以上)・伊万里焼(有田陶器市 来場約100万人)、いちごさん・佐賀牛・有明のり・呼子のイカ、吉野ヶ里歴史公園・嬉野温泉(日本三大肌の湯)・武雄温泉・唐津くんちまで全産業に影響波及。陶磁器×物流×農業という佐賀独自の経済構造を一次ソースで深掘りした報道型レポート。佐賀経済編。
2026年、佐賀経済は陶磁器×物流×農業の独自構造(製造品出荷額2兆3,192億円)でナフサショックを受ける。鳥栖市の久光製薬(サロンパス・創業1847年)、有田焼400年(有田陶器市約100万人)、いちごさん・佐賀牛・有明のり・呼子のイカ、嬉野温泉・吉野ヶ里まで影響波及。県内ガソリンは全国12位の中高位水準。
01佐賀経済を圧迫する6分野の構造
佐賀県は九州7県の中で最小の面積を持つが、製造品出荷額2兆3,192億円(2024年・前年比+1.1%)の安定した経済規模を持つ。市町村別の出荷額構成比は佐賀市16.4%、鳥栖市14.9%、伊万里市13.5%の順で、北東部の鳥栖市を軸とした物流・製造集積と西部の陶磁器産業、農業・水産業という独自の二軸構造を持つ。主要産業は出荷額ベースで食料品・電子部品・デバイス・輸送用機械が上位を占め、全国1位品目には導入線・工業用革製品・シリコンウエハ(表面研磨)がある。
鳥栖市は佐賀県製造品出荷額の14.9%(約3,454億円)を占め、JR・九州自動車道・長崎自動車道等が交差する九州の交通要衝。久光製薬(鳥栖市田代大官町・創業1847年・江戸時代弘化4年)はサロンパス・エアーサロンパス・フェイタス等の外用鎮痛消炎剤で国内外に強いブランドを持つ。バレーボールチームSAGA久光スプリングスはSVリーグ強豪。佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター(鳥栖市)は半導体・電池材料の原子レベル解析を行う最先端研究施設で九州シリコンアイランドと連動。ナフサショックは貼付剤基材・包装フィルム・医薬品容器のコスト上昇で多面影響。
久光製薬1847年創業 サロンパス 鳥栖 交通要衝有田焼は1616年に有田に移住した朝鮮人陶工・金ヶ江三兵衛(李参平)らによって日本磁器が開発された日本最古の磁器産地で、400年以上の歴史を持つ。17世紀後半にオランダ東インド会社を通じ世界中へ輸出、ヨーロッパ王侯貴族に「白い黄金」として珍重された。有田陶器市(毎年4/29〜5/5・有田駅周辺約4km・450超の店舗)は来場約100万人を誇る全国有数の陶器イベント。現在は有田町で製造するものを有田焼、伊万里市内製造を伊万里焼(高級磁器・鍋島藩窯様式)と大別。ナフサショックは窯業燃料・釉薬化学原料・包装資材・輸出輸送費の値上げで影響。
日本磁器1616年 400年以上 有田陶器市100万人佐賀県は北に玄界灘、南に有明海に面した恵まれた農業環境を持つ。主要農産物はたまねぎ・アスパラガス・いちご・温州みかん・なし・佐賀牛(肉用牛ブランド)。いちごでは主流の「さがほのか」に加え新品種「いちごさん」の導入に力を入れ、福岡のあまおうに対抗する佐賀ブランドとして市場展開中。佐賀牛はA5等級比率の高いブランド牛として全国的評価を持つ。ナフサショックは農業用ハウス資材・農薬・農業機械燃料・出荷用包装資材(段ボール・PEフィルム・PPバンド)の値上げで多面的影響。いちご輸送の保冷容器コストも上昇。
いちごさん さがほのか 佐賀牛佐賀県は南の有明海(ノリ養殖・全国有数産地)と北の玄界灘(唐津・呼子の漁業)という2海域の水産業を持つ。有明のりは全国有数の産地で、九州・西日本の食卓に広く流通。呼子のイカ(東松浦半島最北端)は全国的知名度を持つ佐賀の代表的食文化で、活イカの刺身・イカしゅうまい等が観光資源でもある。ナフサショックは漁船A重油・ノリ養殖用PE網(ポリエチレン)・鮮魚輸送発泡スチロール・PE保冷容器の値上げで多面的影響。活イカ輸送の水槽設備コストも上昇。
有明のり 呼子のイカ 玄界灘・有明海佐賀観光の核は吉野ヶ里歴史公園(日本最大級の弥生時代環壕集落遺跡・98棟の建物復元・国営公園)、嬉野温泉(日本三大肌の湯)、武雄温泉(辰野金吾設計の楼門・国の重要文化財・1300年の歴史)、唐津くんち(唐津城・虹の松原・七ツ釜・呼子)、バルーンフェスタ(毎年10〜11月・佐賀平野の大会場)。インバウンドは韓国・中国等アジアからの需要も取り込む。ナフサショックは観光バス・レンタカー燃料費、宿泊施設電気代、お土産包装資材(有田焼梱包・いちごさん包材)の値上げで複合的に影響。
吉野ヶ里 弥生遺跡 嬉野温泉 日本三大肌の湯 武雄温泉1300年佐賀県内のガソリン価格は新電力ネット調べで2026年2月9日〜5月11日集計でレギュラー全国12位、ハイオク12位、軽油10位とやや高めの水準。同じ九州の福岡県(レギュラー25位)より高く、四国各県(香川13位・高知14位)に近い。自家用車依存度が高い地方型ライフスタイルのため、ガソリン価格上昇が家計に直接影響。県の主要イベント(バルーンフェスタ・有田陶器市・唐津くんち)への交通も自家用車・観光バスが中心。全国平均ガソリン価格は2026年5月25日時点169.2円(前週比±0円)で政府の補助効果が継続中。
ガソリン全国12位 自家用車依存 補助169.2円維持佐賀がナフサショックの影響を独自の経路で受ける理由は3つ。(a) 鳥栖市の製薬・物流集積:久光製薬(サロンパス・創業1847年)・九州シンクロトロン光研究センターという先端産業と物流の交通要衝が形成する独自の製造業クラスタ、(b) 有田焼・伊万里焼400年の陶磁器産業:窯業燃料・釉薬化学原料・包装資材・海外輸出コストという多面的なナフサ関連コスト上昇経路、(c) 農業(いちごさん・佐賀牛)×水産業(有明のり・呼子イカ)の複合的一次産業:農業用資材・漁船燃料・輸送包装資材のコスト上昇が農水産業全体に波及。これら3軸の重なりが、佐賀経済の独自構造を形成している。
02鳥栖市の製薬・物流集積──久光製薬とシンクロトロン
鳥栖市は佐賀県の製造業・物流の中核を形成する。本章では鳥栖市の産業集積とナフサショック影響を整理する。
鳥栖市──九州の交通要衝
鳥栖市はJR鹿児島本線・長崎本線の分岐点であり、九州自動車道と長崎自動車道の結節点(鳥栖ジャンクション)として、九州の陸上交通の要衝。この立地を生かして、製薬・物流・流通業が高度に集積している。鳥栖プレミアムアウトレット(2001年開業・九州最大級のアウトレットモール)も立地し、商業集積としても機能する。市内には食料品メーカー(トスデリカ等)も集積し、九州全域への物流基地機能を果たしている。
久光製薬──創業1847年の江戸時代老舗医薬品メーカー
久光製薬株式会社は、東京都千代田区と佐賀県鳥栖市に本社を置く医薬品メーカー。前身は「小松屋」として薬を売る会社として始まり、創業は1847年(江戸時代・弘化4年)と180年近い歴史を持つ日本の代表的企業。代表製品:
- サロンパス:日本で最も有名な湿布薬ブランドの一つ、国内外で広く販売
- エアーサロンパス:スプレータイプの外用鎮痛消炎剤
- フェイタス:フェルビナク配合の湿布・ゲル製品
- モーラス:ケトプロフェン配合の外用鎮痛消炎剤
バレーボールチーム「SAGA久光スプリングス」はSVリーグの強豪チームとして数多くの日本代表を輩出してきたことでも知られる。
久光製薬へのナフサショック影響
| 製品・工程 | 影響を受けるコスト・資材 | 素材の由来 |
|---|---|---|
| 湿布剤基材 | ポリエステル・ポリエチレン系不織布・フィルム | ナフサ由来樹脂 |
| 個包装フィルム | アルミ複合フィルム・PET・PE包装フィルム | ナフサ由来 |
| 医薬品容器 | スプレー容器(PET・HDPE)・ポンプ機構 | ナフサ由来 |
| 外箱・段ボール | 紙製外箱・段ボール・PPバンド | 紙資材・ナフサ由来 |
| 国内外物流 | トラック燃料・航空輸送費・海上輸送費 | 軽油・航空燃料・重油 |
佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター
佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター(鳥栖市)は、「シンクロトロン光」(真空中で光速に近い速度で直進する電子が磁場の影響を受けて進行方向を変えられた際に発生する「光」)を用いて、半導体や電池など様々な材料の原子レベルでの解析等を行う最先端研究施設。九州シリコンアイランド(TSMCを中核とした半導体エコシステム)の発展と連動し、材料解析拠点として重要性が増している。実験ホールは窓越しに一般向け見学も可能。
佐賀県の製造業全国1位品目
| 品目 | 全国順位 | 備考 |
|---|---|---|
| 導入線 | 全国1位 | 電気・電子部品 |
| 工業用革製品 | 全国1位 | 精密工業・ガスケット等 |
| シリコンウエハ(表面研磨したもの) | 全国1位 | 半導体材料・シリコンアイランド九州と連動 |
03有田焼・伊万里焼──400年の日本磁器産業とナフサショック
佐賀県の陶磁器産業は日本磁器の発祥地として400年以上の歴史を持つ独自産業。本章では有田焼・伊万里焼の産業構造とナフサショック影響を整理する。
日本磁器誕生の歴史
有田焼の歴史は1600年代の陶器生産に始まる。1616年に有田に移住した朝鮮人陶工・金ヶ江三兵衛(通称:李参平)らによって日本磁器が開発され、1630年前後に良質で豊富な泉山陶石が発見されたことで本格的な産業的磁器生産体制が確立した。その後17世紀後半には、国内にとどまらず、オランダ東インド会社を通じて世界中に運ばれるようになり、世界の磁器生産の中核地としての地位を確立した。東洋の純白で薄いのに丈夫な艶のある磁器は「白い黄金」とまで言われ、ヨーロッパの王侯貴族に買い集められた。出荷が伊万里港からなされたため当時は「伊万里焼」とも呼ばれていた。
有田焼と伊万里焼の現代の違い
| 項目 | 有田焼 | 伊万里焼 |
|---|---|---|
| 産地 | 佐賀県有田町およびその周辺地域 | 佐賀県伊万里市内 |
| 特徴 | 高級品から日用品まで幅広く生産 | 高級磁器(鍋島藩窯様式)が主体 |
| デザイン | 透き通るような白磁・染付・赤絵 | 鍋島様式の格調高いデザイン |
| 主要施設 | 有田ポーセリンパーク、アリタセラ | 秘窯の里 大川内山 |
| 海外輸出歴史 | 17世紀後半からオランダ東インド会社経由 | 江戸時代は伊万里港から輸出 |
有田陶器市──毎年約100万人来場の全国最大陶器イベント
有田陶器市は毎年4月29日〜5月5日(ゴールデンウィーク)に開催される日本最大の陶器市。有田駅周辺約4㎞にわたり、手頃な品から人気の窯元まで450超の店舗が立ち並び、毎年約100万人が訪れる。有田焼の窯元や問屋が直接販売するため、高品質の陶磁器を割安で購入できる機会として国内外から人気が高い。ナフサショックは有田陶器市への来訪者輸送(観光バス・レンタカー)の燃料費上昇、出店者の包装資材・梱包材コスト上昇という形で影響する。
窯業へのナフサショック影響
- 窯業の燃料・電気代:ガス窯の都市ガス・LPG、電気窯の電力コスト上昇
- 釉薬・絵付け化学原料:呉須(藍色顔料)・上絵具(赤・緑・黄・紫・青)等の化学原料
- 包装資材:発泡スチロール(PS)・段ボール・エアーパック・PEフィルム・緩衝材
- 輸送コスト:国内・海外出荷のトラック燃料・海上輸送費上昇
- 原材料(陶石)の採掘・輸送:鉱山機械の燃料・採掘資材コスト
04農業──いちごさん・さがほのか・佐賀牛・有明のり
佐賀県の農業・水産業は玄界灘と有明海という2つの海域と、温暖な気候を生かした多彩な産品を展開する。本章では農業・水産業のナフサショック影響を整理する。
佐賀のいちご──さがほのか・いちごさん
佐賀県のいちごは長年、主力品種「さがほのか」が市場で高い評価を受けてきた。そこに佐賀県が新たに開発・導入した新品種が「いちごさん」。人気品種と食べ比べた場合に「いちごさんの方がおいしい」と感じる人が4割超というアンケート結果もある。佐賀県は「いちごさん」の生産拡大と商標管理を推進し、福岡の「あまおう」に対抗する佐賀ブランドいちごとして市場展開を図っている。
佐賀牛──高品質の肉用牛ブランド
佐賀牛は佐賀県内で生産・肥育された黒毛和牛のブランド名。歴史ある農業県として肉用牛の生産に力を入れており、A5等級比率の高さで全国的な評価を持つ。佐賀牛はすき焼き・しゃぶしゃぶ・ステーキ等の高級食材として県内外の飲食店・通販で流通している。ナフサショックは、(a) 飼料(輸入草・濃厚飼料)の海上輸送費上昇、(b) 農業用フィルム・農薬、(c) 肉の真空パック・包装フィルム・ドライアイス・冷凍輸送費、(d) 牛舎の電気代と多面的に影響する。
佐賀の農産物全体の構造
| 農産物 | 特徴・産地 | 備考 |
|---|---|---|
| いちごさん・さがほのか | 佐賀ブランドいちご、福岡あまおうに対抗する新ブランド | 佐賀県全域・鳥栖市等 |
| 佐賀牛 | A5等級比率の高い黒毛和牛ブランド | 佐賀県内全域 |
| たまねぎ | 北海道と並ぶ主要産地 | 佐賀平野・脊振山麓 |
| アスパラガス | 全国有数の産地 | 県内各地 |
| なし(梨) | 伊万里市等 | 25品種等多品種栽培 |
| 温州みかん | 太良町(太良岳と有明海の間) | 太陽と潮風で育成 |
有明のり・呼子のイカ──佐賀の水産業
佐賀県の水産業は有明海と玄界灘の2海域で展開。有明のりは有明海沿岸(佐賀・福岡・熊本・長崎の4県)で生産される全国有数のノリ産地。佐賀県産のノリは品質の高さで知られ、毎年秋〜春の養殖シーズンに生産が集中する。呼子のイカ(唐津市・東松浦半島最北端)は活イカの刺身・イカしゅうまいで全国的な知名度を持ち、玄界灘の豊富な漁場から水揚げされる。呼子の朝市も観光資源として知られ、朝早くから地元の新鮮な魚介類が並ぶ。
05観光業──吉野ヶ里・嬉野温泉・武雄温泉・唐津くんち
佐賀県は弥生時代の遺跡から400年の陶磁器文化、温泉、海沿いの食文化まで幅広い観光資源を持つ。本章では佐賀観光のナフサショック影響を整理する。
佐賀県の主要観光資源
| 観光資源 | 特徴・規模 | 所在地 |
|---|---|---|
| 吉野ヶ里歴史公園 | 日本最大級の弥生時代環壕集落遺跡・98棟の建物復元・国営公園 | 吉野ヶ里町 |
| 嬉野温泉 | 日本三大肌の湯・つるつるすべすべの美肌の湯 | 嬉野市 |
| 武雄温泉 | 辰野金吾設計の楼門(国の重要文化財)・1300年の歴史 | 武雄市 |
| 唐津くんち | 国指定重要無形民俗文化財・曳山(ひきやま)行列で有名 | 唐津市 |
| 唐津城(舞鶴城) | 唐津湾に浮かぶ名城 | 唐津市 |
| 虹の松原 | 日本三大松原の一つ・唐津湾沿岸の松林 | 唐津市 |
| 七ツ釜 | 波の浸食で形成された海食洞窟(国指定名勝・天然記念物) | 唐津市 |
| バルーンフェスタ | 毎年10〜11月・佐賀平野で開催・九州最大の熱気球大会 | 佐賀市 |
| 有田陶器市 | 毎年4/29〜5/5・来場約100万人 | 有田町 |
| 呼子の朝市 | 活イカ・新鮮魚介類の直販・朝市文化 | 唐津市(呼子) |
吉野ヶ里歴史公園──日本最大級の弥生時代遺跡
吉野ヶ里歴史公園は佐賀県神埼郡吉野ヶ里町に位置する国営公園。日本最大規模の弥生時代の環壕集落遺跡で、98棟の弥生時代の建物や森などが復元されており、各種出土品の見学や弥生時代の生活文化(勾玉作り・火おこし等)も体験可能。4つのゾーンごとに往年の空気を体感できる。吉野ヶ里歴史公園は修学旅行・ファミリー客から歴史愛好者まで幅広い客層を集める。ナフサショックは公園運営のバス・電気代、来訪者の自家用車・観光バスの燃料費上昇で影響する。
嬉野温泉・武雄温泉──佐賀の名湯
嬉野温泉は日本三大肌の湯としても数えられる美肌の湯。重曹を多く含む泉質でお肌がつるつるすべすべになることで全国・海外からの観光客に人気。特に女性観光客・インバウンド観光客が多い。武雄温泉は、長崎街道の宿場町として栄えた古湯で、その歴史は1300年にも及ぶ。楼門は日本銀行や東京駅を設計した辰野金吾が設計した貴重な建築物で、国の重要文化財に指定されている。ナフサショックは温泉宿の暖房・給湯の燃料費、大浴場の電気代、お土産包装資材の値上げで複合的に影響する。
06県民生活──ガソリン全国12位・佐賀型生活とナフサショック
佐賀県の県民生活は、自家用車への高い依存度と地方型生活スタイルを背景に、ナフサショックの影響を多面的に受ける。本章では県民生活への影響と経済動向を整理する。
県内ガソリン価格の全国順位
| 燃料種 | 佐賀県の全国順位 | 備考 |
|---|---|---|
| レギュラーガソリン | 全国12位 | 全国でやや高めの水準 |
| ハイオク | 全国12位 | 全国でやや高めの水準 |
| 軽油 | 全国10位 | 全国でやや高めの水準 |
佐賀県のガソリン価格は同じ九州の福岡県(レギュラー25位)より高く、四国各県(香川13位・高知14位)に近い水準で推移。軽油(全国10位)も高めで、農業用トラクター・漁船・林業機械・輸送トラックに軽油を使う一次産業が直接影響を受ける構造である。2026年5月25日時点の全国平均ガソリン価格は169.2円(前週比±0円)で、政府の170円抑制補助制度の効果が継続している。
県民生活への影響項目
- 自家用車の燃料費:公共交通が整備されていない地域の移動手段として不可欠
- 日用品・食料品の値上げ:ポリ袋・ストレッチフィルム・容器・トレーなどナフサ由来製品
- 医療消耗品:久光製薬等の湿布剤・薬品容器のコスト転嫁
- 農業・水産業関連:農業用資材・漁船燃料・水産輸送容器の値上げ
- 観光・レジャー:有田陶器市・吉野ヶ里・嬉野温泉・バルーンフェスタへの移動費
07立場別の対応ポイント──県民・製造業・農水産業・観光
ナフサショックの佐賀経済への影響に対する立場別の対応ポイントを整理する。本記事は特定の経営・調達判断を推奨するものではないが、九州経済産業局・佐賀県・業界団体の公式情報から読み取れる実務的アプローチをまとめる。
① 県民・家庭の視点
- 政府ガソリン補助制度の店頭反映を注視:170円抑制補助の効果が県内価格に反映されているか確認(全国12位)
- 家計の燃料・電気代の最適化:エネルギー効率改善・省エネ家電への切替
- 地産地消の活用:いちごさん・佐賀牛・有明のり・呼子のイカ等の地元食材活用で物流コスト最適化
② 県内製造業(久光製薬・電子部品・陶磁器等)の視点
- 九州経済産業局の特別相談窓口活用:中東・ウクライナ情勢・原油高の影響を受けた中小・小規模事業者向け相談
- 日本政策金融公庫等のセーフティネット貸付:金利引下げ対象拡大(2026年4月以降、中東情勢影響事業者も対象)
- 価格交渉促進月間(9月・3月)の活用:下請Gメンによるヒアリング、価格転嫁の促進
- 2026年1月施行の中小受託取引適正化法・受託中小企業振興法の活用
- 有田焼窯元:燃料の効率化・省エネ化、包装資材の代替材検討、海外輸出の継続強化(欧米・アジア向け)
③ 農業・水産業(いちごさん・佐賀牛・有明のり・呼子漁業等)の視点
- JA佐賀中央会・JA全農佐賀を通じた共同調達・情報交換
- 農林水産省・水産庁の補助金制度:燃料補助・配合飼料補助等の確認
- ブランド戦略の継続強化:いちごさん・佐賀牛・有明のりの価値訴求と適正価格での販売
- 長期契約・先行確保:農業資材・漁船燃料・包装資材の価格変動リスク軽減
- 呼子漁業:高知県漁業協同組合型の黒潮牧場のような効率的操業への取り組み
④ 観光事業者の視点
- 有田陶器市・バルーンフェスタ等の集客機会の最大化:年間最大イベント時の収益機会を活用
- 嬉野温泉・武雄温泉のインバウンド集客:韓国・中国等アジアからの美肌の湯・日本温泉文化需要を取り込む
- 燃料サーチャージの透明な開示:宿泊・ツアー料金の構造を顧客に明示
- 業務効率化での吸収:DX導入・予約システム高度化での生産性向上
- 佐賀県観光連盟・あそぼーさが(佐賀県観光サイト)の支援策活用
立場を問わず2026年に共通するのは、「佐賀独自の3軸構造(鳥栖市製薬・物流集積+有田焼400年陶磁器産業+農業・水産業)を踏まえた早期対応」の重要性である。久光製薬(創業1847年・サロンパス)の医薬品包装資材コスト、有田焼窯業の燃料・釉薬・梱包資材コスト、いちごさん・佐賀牛・有明のりの農水産物の輸送包装資材コスト、そして嬉野温泉・吉野ヶ里・唐津くんちという観光産業の燃料費、という4経路がナフサショックの影響を受ける構造を形成する。九州経済産業局・佐賀県の支援窓口を積極活用し、3〜5年の中長期視点での対応戦略を組み立てることが、県内経済全体としての持続可能性に直結する。
082026年下半期〜2027年の佐賀経済見通し
佐賀経済の動向は、短期・中期・長期で異なるシナリオが想定される。現時点で報じられている各種データから読み取れる見通しを整理する。
有田陶器市(4/29〜5/5)の来場約100万人の経済効果の検証期。バルーンフェスタ(10〜11月)に向けた佐賀平野の観光整備。夏季の嬉野温泉・武雄温泉の観光ピーク期、宿泊施設の燃料・電気代上昇と集客の両立が課題。有明のり養殖の準備シーズン(9月〜)、いちごさん・さがほのかの次作付け準備期。製造業は2026年度上半期業績の確定、ナフサショック後の「新標準」を前提とした中期計画策定。政府ガソリン170円抑制補助の継続が170.7円(4月)で安定中。
有明のり養殖・収穫のピーク期(11月〜3月)、漁船燃料コスト管理が課題。いちごさん・さがほのかの出荷期(12月〜4月)、包装資材コスト上昇下での販売価格転嫁。唐津くんち(11月・国指定重要無形民俗文化財)の祭り経済効果。年末は佐賀牛ギフト需要のピーク期、冷凍輸送・包装資材コスト管理。久光製薬は2026年度業績確定期、サロンパス等の包装資材コスト上昇の業績への反映を注視。
有田焼・伊万里焼の海外展開(欧米・アジア向け輸出)の本格強化、佐賀県陶磁器工業協同組合の新ギャラリー「MONO・NO・SU」(2025年11月リニューアル)を拠点とした国内外集客。九州シリコンアイランドの拡大を受けた鳥栖市の先端材料・半導体サプライチェーン連動。いちごさんブランドの全国展開拡大。嬉野温泉・武雄温泉のアジアインバウンド向けサステナブル観光モデル構築。バルーンフェスタの通年化・コンテンツ多様化による観光経済の安定化。
業界各種レポート・佐賀県の各種資料が共通して示すのは、2026年内に佐賀経済への原油・ナフサ価格高騰の影響が中東情勢悪化前の水準に戻る見込みは薄いという認識である。値上げ・規制・制度対応後の「新標準」を前提とした県民・県内事業者・自治体の事業設計が、本県全体の持続可能性に直結する局面に入った。
出典・エビデンス一覧
- 佐賀県「2024年経済構造実態調査(製造業事業所調査)佐賀県の概要」https://www.pref.saga.lg.jp/toukei/kiji003116399/3_116399_376665_up_ncperm08.pdf
- 経済産業省「工業統計調査 佐賀県分 全国1位品目」https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kougyo/wagakuni/2011/pdf/ken41.pdf
- 久光製薬株式会社「九州本社・鳥栖工場へのアクセス」https://www.hisamitsu.co.jp/company/map/map-002.html
- 鳥栖市「久光製薬株式会社と進出協定を締結しました」https://www.city.tosu.lg.jp/soshiki/18/49390.html
- 鳥栖市「佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター」https://www.city.tosu.lg.jp/site/tosugood/7731.html
- 佐賀県陶磁器工業協同組合「有田焼について」https://www.aritayaki.or.jp/arita
- 有田観光協会 ありたさんぽ「有田焼(ありたやき)とは」https://www.arita.jp/aritaware/
- 中川政七商店「有田焼とは。伊万里焼と呼ばれた歴史と現在の姿」https://story.nakagawa-masashichi.jp/craft_post/111949
- Discover Japan「有田焼や伊万里焼などが有名な日本随一の陶磁器の産地」https://discoverjapan-web.com/article/29847
- 佐賀県「いちごさん 佐賀県産ブランドいちご」https://www.saga-ichigosan.jp/shopinfo/
- 食べチョク「佐賀県産いちごさん・さがほのか」https://www.tabechoku.com/producers/saga
- JTB「佐賀旅行・佐賀ツアー 吉野ヶ里・嬉野温泉・武雄温泉・呼子」https://www.jtb.co.jp/kokunai/area/saga/
- 吉野ヶ里歴史公園 公式サイトhttps://www.yoshinogari.jp/
- 佐賀県観光サイト あそぼーさが「観光地」https://www.asobo-saga.jp/spots/
- 新電力ネット「佐賀県のガソリン価格推移一覧」https://pps-net.org/oilstand/saga
- 中小企業庁「中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援について」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/kokusai_josei/
- 経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保」(2026年4月30日)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chyutoujyousei/dai6/pdf/siryou1.pdf
- ガソリン補助金「ガソリン全国平均価格の推移」https://nenryo-teigakuhikisage.go.jp/current_graph.pdf
- actibook「2026年『ナフサ不足』の影響と実態」https://actibook.cloudcircus.jp/media/column/2026-naphtha-crisis
- 九州経済産業局「九州地域の現状 2024年版」https://www.kyushu.meti.go.jp/keiki/chosa/genjyo/kyushu-genjo_2024.pdf