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イラン情勢とナフサ備蓄4ヶ月の陰で進む、
石化産業の構造的敗北と「住まいの危機」

政府は「国内需要4ヶ月分を確保」と繰り返す。しかし現場では供給の目詰まり・エチレンプラント減産・住宅ローン金利の急騰が同時進行している。一次ソースをもとに「実務的枯渇」の全貌を解明する。

📌 この記事の結論

経産省が国内需要4ヶ月分確保を公表する一方、川中では「目詰まり」が深刻化。ナフサ価格は3月比+83%急騰(5月115,164円/kL)。国内12基のエチレン設備のうち6基が減産・フル稼働3基のみ(4月初旬)。に旭化成・三井化学・三菱ケミカルが西日本エチレンJV出資比率を正式合意(三井45%・三菱45%・旭化成10%)し、2030年集約が確定。断熱材40%・シンナー75%値上げ、住宅ローン変動金利が15年ぶり1%超え——「ナフサはある、しかし届かない」構造的矛盾が住宅産業を直撃している。

、高市早苗首相はSNSにて「ナフサの供給が6月には枯渇する」という懸念を否定。内閣府がに示した「化学品全体の国内需要の約4ヶ月分を確保済み」を根拠に挙げた。しかしその後、経済産業省がに公表した対応方針案が示した実態は、「備蓄はある、しかし届かない」という構造的矛盾だった。

政府は需要の4ヶ月分の確保を繰り返し強調しながら、同時に「一部に供給の偏りや目詰まりが発生している」ことも認めた。その後、ナフサ価格は5月15日時点で115,164円/kL(大景化学確認)と3月比+83%へ急騰。国内ナフサクラッカー12基中6基が減産、フル稼働は3基のみという深刻な状況に悪化している。本稿は一次ソースの精査を通じ、その実態を章ごとに検証する。

石油備蓄(原油)
230日分
代替調達50%前提・ナフサ等含む供給継続前提(速報値)
ナフサ民間在庫
〜20日分
ナフサは備蓄義務対象外。民間在庫のみ約20日分
ナフサ価格(速報)
115,164円/kL
3月比+83%急騰(国産換算約125,103円/kL)。為替:157.93円/ドル(大景化学・5/15時点)
減産中エチレン設備
6基減産
国内12基のうち6基が減産。フル稼働は3基のみ(4月初旬時点)。稼働率90%損益分岐を44ヶ月連続で下回り直近70%台(旭化成社長5/12発言)
01
CHAPTER 1 — STRUCTURAL ANALYSIS
「ナフサはある」が「製品はない」—
物理的・技術的矛盾の実態

政府が主張する4ヶ月分の内訳は、輸入ナフサと国内精製分(2ヶ月分)および川中製品在庫(2ヶ月分)の合算だ。この数字は一次ソースで確認できるが、実務上の致命的欠落がある。

確認済み — 経産省「対応方針案」(・内閣官房公表)
「既に調達済みの輸入ナフサと国内での精製との2ヶ月分と、川中製品の在庫2ヶ月分(ナフサ精製が仮にゼロであっても需要を満たす供給ができる期間)で、少なくとも国内需要4ヶ月分を確保。」さらに中東以外からのナフサ輸入を約45万→90万kL/月に拡大し、在庫を活用できる期間を半年以上に延伸するとしている。
1-1. 川中で起きる「目詰まり」——NRI分析で確認

政府は付の対応方針案で、TOTOが以降の受注を「納期未定」として事実上の受注制限を実施したことを認め、目詰まり解消に取り組んだことを明記している。NRI(野村総合研究所)の木内登英氏は付コラムで、この「目詰まり」の構造を4つの要因に整理した。

確認済み — NRI 木内登英コラム(
目詰まりの4要因:①マクロとミクロの乖離(ナフサの量は足りても成分・用途が合わない)、②ナフサ価格高騰によるエチレン減産(作れば赤字になる構造)、③買い急ぎ・過剰確保による偏在、④代替調達の持続性への不安。「政府が対応を進めるとまた別の目詰まりが生じる、といった繰り返し」と指摘している。
1-2. グレードの壁——代替ナフサは「今すぐ使える原料」ではない

NRI分析が指摘するように、ナフサの量が全体として確保されていても、個々の企業が必要とする種類のナフサでなければ既存設備では製品を作れない。中東産ナフサに最適化された老朽炉に代替産地のナフサを投入すると、熱分解炉内部でのコーキング(炭素付着)速度が変化し、配管閉塞や炉の損傷リスクが生じる。副産物(プロピレン・ブタジエン等)の生成比率も変動し、精製系全体のバランスが崩れるおそれがある。この「切り替え不能」リスクは、「ホルムズ海峡の船舶運航が正常化し、企業が中東の輸入先から再び調達できるまで続く」(NRI)とされる。

02
CHAPTER 2 — ECONOMIC ANALYSIS
「高ければ作らない」—
エチレン減産と補助金の非対称性

NRIコラムが指摘する目詰まりの第2要因——ナフサ価格高騰によるエチレン減産——は、日経新聞の一次報道で裏付けられる。

確認済み — 日本経済新聞(
三菱ケミカルグループと旭化成は、水島コンビナート(岡山県倉敷市)の共同運営エチレン設備の稼働率をから引き下げたと発表。理由は「原料となるナフサの国内調達や中東からの輸入の減少を見込むため」。同日、丸善石油化学と住友化学も定期修理後の再稼働を以降に延期。国内エチレン設備12基のうち少なくとも4基が減産対応した。

その後、減産は加速した。には三菱ケミカル旭化成エチレン(AMEC)が原料調達難を理由に稼働を縮小。4月初旬時点で12基中6基が減産体制に入り、フル稼働を維持できているのはわずか3基という異常事態となった(actibook.cloudcircus.jp、2026年5月確認)。の旭化成記者会見で工藤社長は「ナフサクラッカーは損益分岐となる90%稼働を44ヶ月連続で下回り、直近は70%台にとどまっている」と発言している。

補助金政策の非対称性も深刻だ。政府はからガソリンを170円/L程度に抑制する激変緩和措置を開始。しかしナフサや石油化学誘導品への直接補助は「大手企業への補助金支給には慎重な姿勢」(NRI)であり、川下の中小メーカーへのコスト転嫁が困難な構造が続いている。

アジア全域に連鎖するフォースマジュール

日本だけの問題ではない。台湾・タイ・ベトナムではそれぞれ独自の供給制限が発動されており、日本が代替調達先としてきたアジア域内からの輸入にも制約がかかっている。

確認済み — 各国政府・企業発表(
台湾:中東からのナフサ到着がから遅延。4月契約分よりポリエチレン・ポリプロピレン等でフォースマジュール(不可抗力宣言)を順次発動。 / タイ:大手レイヨン・オレフィンズがナフサ入手困難を理由にプラント操業を一時停止。 / ベトナム:に「決議第55号/NQ-CP」を施行、石油元売各社に国内供給最優先を義務付け。樹脂原料・石油製品の国外流出を制限。
03
CHAPTER 3 — STRUCTURAL DEFEAT
日本の石化産業の構造的敗北—
エチレンプラント再編の全貌

ナフサ在庫という「マクロな数字」が製品供給に直結しない最大の構造的要因は、国内エチレン設備の急速な廃止・縮小だ。の基本契約から一歩進み、、旭化成・三井化学・三菱ケミカルの3社は西日本エチレン統合JVの出資比率を三井45%・三菱45%・旭化成10%とすることで正式合意した(旭化成プレスリリース、2026年5月12日)。2030年に水島のAMECクラッカーを停止し、大阪・高石市のOPC(大阪石油化学)クラッカーへ集約する方針が確定した。

確認済み — 三井化学 公式ニュースリリース(
旭化成・三井化学・三菱ケミカルの3社は、三菱ケミカル旭化成エチレン(AMEC)水島工場のエチレン製造設備を「2030年度を目途に停止」し、大阪石油化学(OPC)泉北工業所へ集約。3社の西日本エチレン年間生産能力は95.1万トンから45.5万トン(定期修繕実施年)へ半減。投資規模212億円のうち104億円を補助金で賄う。水島工場(1964年操業)の跡地はグリーン化用途で活用を検討。

【5月12日 最新確認】旭化成プレスリリース(2026年5月12日)により、3社がJV出資比率を三井化学45%・三菱ケミカル45%・旭化成10%とすることで正式合意。2030年の水島AMEC停止・大阪OPC集約の方針が確定した。さらに2034年からは旭化成の「Revolefin™」技術を用いてバイオエタノール由来の低炭素エチレン・プロピレンを共同商業生産することも確定している。
千葉地区でも廃止ドミノ——丸善石油化学

千葉地区でも廃止の連鎖が確認されている。丸善石油化学(コスモエネルギーHD子会社)は、自社エチレン製造装置(年産能力48万トン、1969年稼働)を2026年度を目途に停止し、住友化学との合弁会社・京葉エチレンに集約すると正式発表した(コスモエネルギーHD・住友化学の各公式NR)。同日、出光興産も三井化学と共同で千葉地区エチレン設備の集約を進めており、千葉・西日本合わせて日本のエチレン生産能力の十数%以上が削減される計算となる。

グリーン転換の商用化は2034年——現在の危機には間に合わない

水島跡地では旭化成が開発中のバイオエタノール由来エチレン技術「Revolefin™」を活用した初期生産設備を設置し、に3社共同での商用生産開始を目指す(三井化学NR)。つまり今次の危機にグリーン代替技術は現実的な解ではなく、国内製造能力の縮小は中期的に不可逆だ。

中国が原油から直接化学品を製造するCOTC(Crude to Chemicals)型の最新鋭大規模プラントを相次いで稼働させ、自給率を劇的に引き上げたことが廃止連鎖の根本にある。かつて日本の主要輸出先だった中国が「供給国」へと転じたことで、日本のプラントは輸出での稼働率維持が不可能となり、「設備を潰す」以外の選択肢が消えた。

04
CHAPTER 4 — HOUSING CRISIS
「住まいの危機」最前線—
建材高騰と住宅ローン金利のダブルパンチ

ナフサ不足の影響は石油化学業界に留まらない。断熱材・塩ビ管・サッシなど住宅建材の供給制限が建築現場を直撃し、同時に住宅ローン金利の急上昇が家計を圧迫している。

4-1. 住宅建材への直撃——「値上げ」ではなく「物理的消失」

住宅1棟に使われる素材のほぼ全域がナフサと直結している。断熱材のポリスチレン・ウレタン、配管の塩化ビニル、塗料のシンナー類、防水シート、接着剤、シーリング材——これらはすべてナフサ由来だ。のウッドショックは「木材」という特定資材に限られていたが、今回は石油由来素材の全域が同時多発的に影響を受けており、代替策を立てにくい構造になっている。

建材メーカー各社は、相次いで大幅な価格改定と受注制限を公表した。値上げ率は従来の「5〜10%」の次元を超え、断熱材で最大40%、塗料では75%超に達するケースも出ている。さらに深刻なのは「値上げではなく、物理的に受注できない」という事態の多発だ。

確認済み — 各建材メーカー公式発表・時事通信・テイガク(
【断熱材】カネカ:住宅用断熱材をより40%値上げ。デュポン・スタイロ:より40%値上げ。旭化成建材:より10〜15%値上げ。アキレス:硬質ウレタンボード類を出荷分より40%値上げ・出荷制限。旭ファイバーグラス:グラスウール製品をより数量制限・納期調整。マグ・イゾベール:出荷分より25%以上値上げ・実績レベルでの受注制限。 【塗料・溶剤】日本ペイント:建築用シンナー製品を75%程度値上げ(担当者は「原材料価格が急激に上昇し、物流コストも上昇」と説明)。エスケー化研:より最大30%値上げ(溶剤系はに前倒し)。シャープ化学工業:溶剤系製品40%以上、その他20%以上の値上げ。 【配管・塩ビ管】信越化学・積水化学:塩化ビニル樹脂を1kgあたり30〜55円以上値上げ。積水化学工業:出荷分より塩ビ・ポリ管等12〜20%以上値上げ、出荷分より雨とい・配管材等を大幅値上げ。 【防水・シーリング】田島ルーフィング:より受注停止(「積み上がった受注残対応終了次第、段階的に受注再開の見込み」)。日新工業:アスファルトルーフィング類をから出荷停止。フクビ:屋根下地材エコランバー等が受注停止。サンスター技研:シーリング材・接着剤を30%以上値上げ。

住宅設備についても同様だ。TOTOのユニットバス受注停止は、壁や床に貼るフィルム接着剤・浴槽コーティング剤に含まれる有機溶剤など、ナフサ由来原材料の不足が直接の原因だ(時事通信)。LIXILも樹脂の供給制限・コスト上昇の影響で、製品の生産・出荷・受注に制限がかかる可能性があるとして正式発表した。

不動産協会の吉田淳一理事長(三菱地所会長)はの記者団取材で「さまざまな資材の原料が石油由来なので、じわりじわりと影響が出始めている」と警戒感を示した(時事通信、)。

現場の声——「努力ではどうにもならない」
埼玉県拠点の工務店広報担当者は「2025年4月の法改正は私たちの努力でカバーできた。しかし2026年のナフサショックは違う。私たちの努力や熱意とは無関係に、物理的にモノが届かない。昨日まで当たり前に引けた資材が、今日から現場に届かなくなった」と述べる(髙橋秀樹・note記事、)。断熱材だけでなく、接着剤・防水ルーフィングまでもが受注制限のリストに名を連ねており、現場では「足場を設置したまま必要な資材を確保できず工事が進められない」事例も報告されている(テイガク、更新)。
4-2. 住宅ローン金利——ウッドショックにはなかった「もう一本の矢」

のウッドショック時には、住宅ローン金利は事実上ゼロ水準で安定していた。施主は「資材は高くなったが、金利は安い」という条件のもとで決断できた。2026年のナフサショックは、それとは根本的に異なる。資材価格の急騰と住宅ローン金利の急上昇が同時に進行する「ダブルパンチ」構造だ。

確認済み — Business Insider Japan()・モゲチェック・センチュリー21スタイリッシュホーム(
変動金利:大手5行の変動金利(最優遇金利)の平均がについに1%の大台を超えた。みずほ銀行は1.025%、三井住友銀行は1.275%に引き上げ。メガバンクの店頭金利は時点で年3.125%と、半年前の2.875%から0.25%上昇した。15年ぶりの変動金利1%超えとなる。なお、既存借入者への反映は多くの金融機関で返済分から。 固定金利:フラット35(買取型)はに前月比+0.24%の2.490%となり史上最高値を更新。長期プライムレートはの2.30%から時点で2.80%へ上昇。10年固定の店頭金利は大手行で5.750%。主要13行のうち11行が引き上げ。 金利差:変動と固定の金利差は依然として約2%あるが、「変動金利自体の上昇ペースが加速しており、当初の金利差メリットをいつまで享受できるか、という視点が重要になっている」(センチュリー21スタイリッシュホーム)。
確認済み — モゲチェック「住宅ローン利用者1,000人調査」(実施)
モゲチェックが25〜54歳の住宅ローン利用者1,000名を対象に実施した意識調査()によれば、直近1年以内の借入者の約7割が「変動金利は最終的に2%以上まで上がる」と予想している。SNS上では「変動から固定に借り換えるべきか」「繰上返済すべきか」という相談が急増。ブルームバーグによるエコノミスト調査では約9割が「(6〜7月)までに次回利上げを実施」と見込んでおり、政策金利は年内に1.0%水準へ向かう可能性が指摘されている。
4-3. 施主を直撃する「タイムラグの罠」——契約後に積み上がる損失

住宅建築は契約から着工・完工まで半年〜1年超のタイムラグがある。後半〜初頭に契約を結んだ施主の多くは、当時の資材価格・金利水準で資金計画を組んでいる。だが着工・完工時には、断熱材単体でも+約50万円(プライシー試算)という価格上昇が発生しており、複数建材の累積では契約時の予算を大幅に超過するケースが続出している。

増改築.com(ハイウィル)の分析によれば、施主が今最も注意すべきリスクは「契約したのに資材が届かず、工事が数ヶ月単位でストップする」事態だ。この状況下では、大手ハウスメーカーや大規模公共事業と中小工務店が限られた資材を取り合う構図になっており、調達力の弱い中小工務店・リフォーム会社が後回しにされやすい。

施主が直面する3つの具体的リスク
【リスク①:追加融資の壁】当初の住宅ローン枠で契約後の増額分をカバーできない場合、追加融資の再審査が必要になる。しかし返済比率(DTI)の上限や、すでに上昇した変動金利を前提とした審査基準により、追加融資が通らないケースが報告されている。 【リスク②:着工停止・工期延長】資材が届かなければ工事は止まる。工期延長は施主にとって仮住まいコストの追加発生を意味し、賃貸と住宅ローンの「二重払い」期間が発生する。 【リスク③:変動金利の時間差炸裂】既存借入者への変動金利引き上げ反映は多くの金融機関で返済分から。資材高騰の負担を抱えたタイミングで、毎月の返済額も増加するという「二重の打撃」が夏以降に集中する構造となっている。

のウッドショックについては「じきに落ち着く」と言われながら2年かかったという経緯がある(プライシー)。ナフサショックはウッドショック以上に供給源が広範で代替が難しく、「値下がりを待ってから建てよう」という判断が必ずしも有効でない局面にある。施主・工務店・金融機関の三者が、かつて経験したことのない複合リスクに同時に晒されている状況だ。

05
CHAPTER 5 — POLICY RECOMMENDATIONS
提言——川中・川下への直接介入が
「実務的枯渇」を防ぐ

川上(ナフサ在庫)の充実を川下(製品・消費者)への供給安定に変換するには、流通の多層構造全体に介入が必要だ。NRI分析も「ナフサの価格安定化補助金が政府の有力な選択肢」と明示している。

提言① ナフサ・樹脂製品への直接価格補填

住宅建設に不可欠な特定樹脂製品(塩ビ管・断熱材等)について、政府がメーカーに補助金を出し卸売価格を一定水準以下に固定する。中間製品(樹脂ペレット)メーカーへの「価格抑制を条件とした直接補助」が川中の経済的停波を防ぐ。

提言② 住宅ローン利用者への資材高騰特例措置

予期せぬ資材高騰による増額分について、政府系金融機関が低利・簡易審査で追加融資を保証する制度の創設。インフレによる家計圧迫を相殺する住宅ローン減税の一時的拡充も有効だ。

提言③ 国内リサイクル原料の「準・国産資源」化

バージン材の大量生産に特化した海外メガプラントに対し、日本は国内の工場端材(PIR)・使用済みプラスチック(PCR)を「ナフサ依存しない準・国産原料」として位置づける。再生樹脂対応ラインへの設備投資に対する直接補助・即時償却の税制優遇が必要だ。

提言④ 調達多様化と「原料切り替え対応」設備の支援

代替ナフサ(米国産等)の調達拡大は5月に前年比4倍を目指すが、「異なる産地の原料でも製品を作れる柔軟性を設備に組み込む技術」(NRI)への支援が中長期的に不可欠だ。原料多様化対応設備への補助を体系化することで、次の地政学リスクへの耐性を高める。

検証エビデンス一覧

  • [1]
    経済産業省「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保及び重要物資の安定的な供給確保のための対応方針(案)」
    令和8年 内閣官房公表。ナフサ4ヶ月分の内訳・ガソリン補助の数値・備蓄230日分・国家備蓄追加放出20日分・代替調達拡大計画(米国産5月に前年比4倍)を一次確認。
    URL: https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chyutoujyousei/dai3/pdf/siryou2.pdf
  • [2]
    野村総合研究所 木内登英「石油製品の流通の目詰まりはなぜ生じたのか」
    。目詰まりの4要因(マクロ・ミクロ乖離、価格高騰による減産、買い急ぎ、代替調達不安)・ナフサ補助金を政府の有力選択肢とする提言を直接確認。
    URL: https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi/20260420_2.html
  • [3]
    三井化学株式会社 公式ニュースリリース「西日本エチレン生産体制のグリーン化推進に向けた基本契約締結」
    。旭化成・三井化学・三菱ケミカルの3社による水島プラント停止(2030年度目途)・西日本生産能力半減(95.1万→45.5万トン)・投資規模212億円(補助104億円上限)・Revolefin™技術の2034年商用化目標を直接確認。
    URL: https://jp.mitsuichemicals.com/jp/release/2026/2026_0127_2/index.htm
  • [4]
    日本経済新聞「三菱ケミカルG・旭化成、水島でエチレン減産 ナフサ調達難見据え」
    。水島プラント稼働率引き下げ(から)、国内12基のうち少なくとも4基が減産対応した事実を確認。同日の丸善石油化学・住友化学の再稼働延期(定修後)も同紙で確認。
  • [5]
    コスモエネルギーHD・丸善石油化学・住友化学「千葉地区エチレン生産最適化に関するお知らせ」
    (住友化学公式NR / コスモエネルギーHD公式NR)。丸善石油化学が2026年度を目途に自社エチレン製造装置(年産能力48万トン)を停止し、合弁・京葉エチレンへ集約することを正式発表。
    URL: https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/detail/20250401_3.html
  • [6]
    モゲチェック「住宅ローン金利2026年4月最新動向」/Business Insider Japan「主要銀行の住宅ローン、2026年4月の金利はどうなった?」/センチュリー21スタイリッシュホーム「変動金利1%超え時代の住宅ローン」
    変動金利15年ぶりの大手5行平均1%超え(みずほ1.025%、三井住友1.275%等)、フラット35史上最高値(2.490%、前月比+0.24%)、長期プライムレートの上昇(2.30%→2.80%)、ブルームバーグ調査での「までに次回利上げ」予測(約9割)を確認。モゲチェック1,000人調査(実施)で約7割が変動2%以上を覚悟していることも確認。
    URL: https://mogecheck.jp/articles/show/51rzNy7XEJ5o4mQ6ZkVv
  • [7]
    TOTO株式会社・LIXIL 公式サイト(付)/時事通信「ナフサ危機、住宅に波及 資材値上げ、受注停止も」(
    TOTOのユニットバス受注停止の原因がフィルム接着剤・浴槽コーティング剤等ナフサ由来原材料の不足にあることを時事通信が確認。日本ペイントのシンナー75%値上げ、カネカの断熱材40%値上げ、積水化学工業の塩ビ管価格改定も同記事で確認。不動産協会・吉田理事長の警戒発言()も同記事より確認。
    URL: https://www.jiji.com/jc/article?k=2026041401021&g=eco
  • [8]
    髙橋秀樹「2026年4月最新 ナフサショックによる建材受注制限・値上げ情報まとめ」(note, )/テイガク「建材資材の値上げと受注停止の影響」(更新)
    各建材メーカーの値上げ率・受注停止日程を網羅的に確認。アキレス(硬質ウレタン40%値上げ・出荷制限)、旭ファイバーグラス(グラスウール数量制限)、マグ・イゾベール(25%以上・受注制限)、田島ルーフィング(受注停止)、日新工業(出荷停止)、フクビ(受注停止)、サンスター技研(30%以上値上げ)等を確認。足場設置後に資材確保できず工事停止となる事例も報告。
    URL: https://note.com/h_takahashi1110/n/n6f212500fc97https://yanekabeya.com/201086/
  • [9]
    プライシー「2026年最新 断熱材値上げの理由と住宅費への影響・対策」/Make House「ナフサショックが住宅業界に与える影響」/増改築.com「2026年イラン情勢による建築資材高騰と供給危機の全貌」
    カネカ・デュポン・スタイロ40%、旭化成建材10〜15%の断熱材値上げ(時点)を確認。断熱材単体での費用増加目安・約50万円の試算を確認。ウッドショックとの比較(影響範囲・代替困難性)、「調達力弱い中小工務店が後回しにされやすい」構造を確認。信越化学・積水化学の塩ビ樹脂1kgあたり30〜55円以上値上げも確認。
    URL: https://www.pricey.jp/web/articles/2343https://makehouse.co.jp/labo/knowhow-cost-reduction/naphtha-shock/
  • [10]
    各国政府・企業公表(フォースマジュール関連)
    台湾のフォースマジュール発動、タイ・レイヨン・オレフィンズの操業停止、ベトナムの決議第55号/NQ-CP(国内供給優先義務付け)はプラスチックパレット株式会社「アジア・日本 2026年4月樹脂供給展望」での情報をもとに確認。
  • [11]
    大景化学「ナフサ価格推移表」(現在)/増改築.com「2026年ナフサショック完全解説」(2026年5月)
    大景化学(出典:財務省貿易統計)確認:ナフサ国産ナフサ価格指標115,164円/kL(5月15日時点)、ナフサスポット価格$1,031/MT、為替157.93円/$。国産換算約125,103円/kLと3月比+83%急騰を確認。増改築.com「ナフサショック完全解説」にて5月の国産ナフサ価格約2倍(125,103円/kL)、石油備蓄放出合計・約65日分(2026年5月時点)、米国産ナフサ輸入5月以降3倍規模を確認。
    URL: https://www.daikeikagaku.co.jp/naphtha/https://www.zoukaichiku.com/news/2026-iran-naphthacrisis-report
  • [12]
    プラスチックパレット株式会社「ナフサ・クライシス2026 エネルギー・素材・産業専門レポート」(最終更新)
    4月15日時点でエチレン12基中6基が減産・通常稼働3基のみ(残3基は定期修理中)を確認。三菱ケミカルが3月6日から鹿島事業所・水島AMECでエチレン減産開始(Argus Media 2026/3/12)。旭化成・工藤社長(5/12)「90%損益分岐を44ヶ月連続下回り直近70%台」発言を確認。旭化成・三井化学・三菱ケミカルの3社が西日本エチレン統合JV出資比率を三井45%・三菱45%・旭化成10%で正式合意(旭化成プレスリリース2026/5/12)を確認。
    URL: https://plastic-pallet.co.jp/naphtha-crisis-20260415/
  • [13]
    日本経済新聞「ナフサやエチレンの複雑な供給網、中東情勢どう影響?」(
    中東外からのナフサ調達拡大計画:4月は倍増、5月以降は3倍程度を見込むと確認(米国・アルジェリア・オーストラリアから調達拡大)。ただし「イラン軍事衝突前と同水準の調達総量を確保するのは難しく、国内のエチレン生産設備の多くが減産することで稼働維持を図っている」と同記事が確認。国内エチレン設備年間生産能力616万トンの構造的脆弱性(原料95%ナフサ依存)を確認。
    URL: https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/naphtha-supply/
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