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梱包用・包装用テープ供給不足2026|OPPテープ・養生テープ・クラフトテープ・布テープのナフサショック影響と調達戦略(6月24日更新)
SPECIAL REPORT ── 梱包資材危機
🚨 緊急レポート 2026年6月24日 最新更新

梱包用・包装用テープ供給不足2026

— OPPテープ・養生テープ・クラフトテープ・布テープのナフサショック影響と調達戦略 —
公開 / 最終更新
【結論・6月24日時点】

ナフサは5/16$1,043→6月中旬700ドル台半ばへ約26%急落も、テープ値上げは継続加速。「価格軟化と現物逼迫の二重構造」が定着、下落は需要破壊が主因で供給回復ではない。ダイヤテックス6/9追加改定、グンゼ6/22出荷分9%発効、エフピコチューパ・東京インキ6/1から30%超。エチレン4月稼働率67.3%、第二供給ルート確保が急務。

CHAPTER 01 ── INTRODUCTION

2026年3月、物流現場を襲う「見えない封鎖」

2026年2月28日のイスラエル・米国によるイラン軍事施設攻撃から約4か月。米イラン間の停戦は2026年6月時点でも維持されているものの、ホルムズ海峡の商業通航は戦前比95%減の極めて低い水準が続き、国産ナフサ価格指標は5月1日時点で125,103円/㎘の歴史的高値に到達した。ホルムズ海峡を巡る緊張は、単なるエネルギー問題に留まらず、私たちの足元にある「梱包テープ」や「ストレッチフィルム」「PPバンド」といった物流の生命線にまで影響を及ぼしている。20年以上の業界経験に照らし合わせても、これほどまでに原材料の「物理的逼迫」と「価格の急激な変動」が同時に進行する事態は類を見ない。

本レポートでは、現場の最前線から届くエビデンスに基づき、テープ4種(OPPテープ・養生テープ・クラフトテープ・布テープ)について何が起きているのかを詳述する。ナフサショックの全体像と他産業への波及については「2026年ナフサショック|ホルムズ海峡封鎖が引き起こす供給網危機の全貌」で詳述している。

📌 2026年6月24日 最新情報をお探しの方へ:ダイヤテックス6/9追加価格改定、グンゼ6/22 9%正式発効、ナフサ価格軟化と「価格軟化と現物逼迫の二重構造」、ホルムズ情勢の最新動向、EC市場の変化など、6月7日以降の最新エビデンスは第7章「2026年6月24日アップデート」に集約しています。

CHAPTER 02 ── STRUCTURAL VULNERABILITY

なぜ「テープ」が消えるのか:ナフサ供給の構造的脆弱性

OPPテープや養生テープの主原料は、中東産原油から精製されるナフサ(粗製ガソリン)由来の合成樹脂と粘着剤である。この構造的依存が、テープ供給網の脆弱性の根本にある。

125,103
国産ナフサ指標
円/㎘の歴史的高値
(2026年5月1日時点)
95%減
ホルムズ商業通航
戦前比減少水準
(停戦下も継続)
76製品
Metoree登録OPP
3月139→5月76製品
へほぼ半減
+40%以上
養生テープ
国産品実勢値上げ
(輸入PB+60%以上)

ナフサ依存の構造

日本の石油化学原料の約73%以上を中東に依存している(2026年3月時点)。さらに国内のナフサ備蓄は、原油(約200日分)に比べて極端に短く、わずか20日分程度に留まる。3月以降、ホルムズ海峡の事実上の封鎖リスクにより、新規のナフサ積載船の入港が激減し、国内化学メーカー各社はエチレン・プロピレンといった樹脂の基礎原料の減産に踏み切っている。2026年5月時点でも停戦下の商業通航は戦前比95%減水準が続いており、国産ナフサ価格指標は5月1日に125,103円/㎘という歴史的高値に到達。原料調達コストの高止まりが構造化している。

テープ各種の原料経路

テープの製造は「基材フィルム+粘着剤+ホットメルト系接着剤」の三層構造で成り立つ。それぞれの原料がナフサ起点の石油化学品に依存しており、ナフサ調達制約はテープ供給に三重の影響を与える。

テープ構成要素 主な原料 ナフサショック影響経路
基材フィルム PP(OPP)/PE(養生)/PET(布) プロピレン・エチレン減産で直接逼迫
アクリル系粘着剤 アクリル酸エステル等 アクリル酸モノマー逼迫
ゴム系粘着剤 スチレン系原料 DIC連続値上げ(3/24・5/29)
ホットメルト剤 EVA/SIS等 エチレン・スチレン双方の影響
溶剤・希釈剤 シンナー・トルエン等 日本ペイント75%値上げ・関西ペイント50%値上げ
CHAPTER 03 ── 4 TYPES COMPARISON

4種類のテープ別 供給リスクとエビデンスの徹底比較

梱包・包装現場で使用されるテープ4種について、それぞれの供給リスクをエビデンスベースで整理する。

① OPPテープ(延伸ポリプロピレン)
リスク:極めて高い
基材原料
ポリプロピレン(PP)── ナフサ分解で得られるプロピレンが主原料、100%石油由来
影響度
情勢の影響を最もダイレクトに受ける、Metoree公表データで前年比15〜30%値上がり、登録製品数は3月139→5月76製品へ半減
市場動向
海外生産品では海上保険料(戦争保険)の高騰による輸入コストの逆転が発生

OPPテープの主要原料であるプロピレンは、信越化学による塩ビ2度目値上げや、エチレン製造の国内大手減産が示すとおり、化学大手の減産が相次いでおり調達がしにくくなっている(2026年4月、日経新聞報道)。Metoreeに登録されているOPPテープ139製品の2026年3月18日時点での価格データを見ると、標準品全体で前年比15〜30%程度の値上がりが発生している。さらに2026年5月22日時点でMetoree登録製品数は76製品へとほぼ半減し、製造休止・出荷停止が広範に進行していることが裏付けられた。グンゼも2026年4月21日出荷分から、プラスチックカンパニーが販売する包装用OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムの1次価格改定を実施(6月22日出荷分から2次値上げの正式発効については第7章で詳述)。積水化学工業もOPPテープ製品ラインナップ全般での価格見直しが進行中である。

② 養生テープ(ポリエチレンクロス)
リスク:極めて高い
基材原料
ポリエチレン(PE)── ナフサ由来、パレット材・ストレッチフィルムと同じ樹脂
影響度
樹脂メーカー内での原料争奪戦が激化、PE製品横断での値上げ
関連動向
旭化成は3月31日にPE全品を1キロあたり120円超引き上げ発表/日本ポリエチレン5/25納入分値上げ

養生テープの基材であるPEは、ストレッチフィルム・PPバンド・アドブルー容器BIB内袋などと原料が共通しており、樹脂メーカー内で同じ原料を使う製品同士の争奪戦が起きている。建材業界でも建設・リフォーム需要との競合が進んでおり、特定サイズや特殊色から段階的に生産調整が進む可能性が高い。実勢値上げは国産品+40%以上、輸入PB品+60%以上という水準で進行しており、各社の対応も具体化している。ダイヤテックス(パイオラン)は20〜30%値上げ+アロケーション寺岡製作所(P-カット)は+100円/巻以上(2026年4月1日付卸値改定)萩原工業は2026年3月30日発表で出荷制限・20〜30%値上げ日東電工は養生用PEテープ No.395を810円→870円(税抜)に主要カタログ価格改定(2026年4月1日〜)光洋化学はアロケーション導入・バラ売り制限といった措置が並行し、新規大口発注の回答停止が定着している(2026年6月9日のダイヤテックス追加価格改定など、6月以降の第2波の値上げ動向は第7章で詳述)。

③ クラフトテープ
リスク:高い
基材原料
紙(クラフト紙)+表面ラミネート(PE)+ホットメルト粘着剤
影響度
基材の紙はナフサ影響軽微だが、PEラミネート層と粘着剤は直撃
業界傾向
過去実績ベースの「割当供給」の厳格化が進む傾向

クラフトテープは紙基材のため一見ナフサショックの影響を受けにくいように見えるが、実際には表面のPEラミネートと、接着を担うホットメルト粘着剤が石油由来であり、複合的な影響を受ける。価格改定通知の動向は、ストレッチフィルム・PPバンドと連動して進行する可能性が高い。

④ 布テープ
リスク:中〜高
基材原料
芯材PETフィルム+クロス(綿・レーヨン)+ゴム系粘着剤
影響度
PET芯材+ゴム系粘着剤の石油依存、製造コスト増
物流側影響
物流サーチャージの転嫁が4月以降に確実視

布テープは基材構造が他のテープと異なるが、PET芯材とゴム系粘着剤の双方がナフサ起点の石油化学品である。さらに製造コスト増に加え、原油高による配送燃料コスト上昇の影響で、4月以降は物流サーチャージの転嫁が進む見込み。

EC市場 実勢価格モニター(2026年6月7日時点・参考値)

各テープ4種について、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングの3大EC、ならびにモノタロウ・アスクル・コメリ等BtoB系プラットフォームの実勢価格・在庫状況を観測した結果を整理する。「市場の実勢」と「メーカー公式の値上げ通知」を併読することで、調達現場の意思決定の精度が高まる。なお、本観測は2026年6月7日時点のものであり、6月24日時点での追加観測(モノタロウ公式お知らせの常態化、アスクル「現場のチカラ」復活特別価格出現、ダイヤテックス バイオマスPP配合品リニューアル等)は第7章「2026年6月24日アップデート」で詳述する。

品目 実勢価格帯(税込・巻単価) 主要取扱EC・BtoB 在庫・出荷状況の観測
OPPテープ
(48mm幅・50m前後)
¥219〜¥1,538
PB品〜重梱包用
モノタロウ(梱包テープ1,598件)
楽天「OPPテープ激安」8,033件
Amazon・jp.rs-online
モノタロウブランド品は当日出荷可。RS PRO品(¥771税抜)は在庫あり・追加分入荷待ち混在。製品ラインナップは全体的に縮小(Metoree 3月139→5月76製品、6月以降も同水準推移と業界実勢)
養生テープ
(パイオラン50mm・25m)
¥649〜¥714
国産メイン品
モノタロウ(パイオラン31件)
楽天市場・Amazon
アスクル・コメリ
ダイヤテックス パイオラン Y-09-GR は当日出荷可能だが、アロケーション継続中で大口の納期回答停止が定着。寺岡製作所製造のモノタロウ限定品は強粘着・弱粘着両タイプが在庫安定。
クラフトテープ
(50mm幅・50m前後)
¥219〜¥1,538
PB〜日東電工 No.820
モノタロウ(38件)
アスクル・コメリ
楽天市場
⚠️ モノタロウ商品ページに「※昨今の国際情勢の影響により販売価格が予告無く変更となる場合や、一時的に販売数量の制限、または欠品となる場合があります」と明示注記。EC側が国際情勢由来の供給リスクを公式に認知。
布テープ
(50mm幅・25m)
¥398〜¥4,288
軽梱包用〜糸入りCH
モノタロウ・楽天
Amazon・アスクル
コメリ
軽梱包用(ニチバン布粘着テープ¥398〜)は在庫安定。重梱包用の糸入り布テープ(富士工業ガムテープ糸入りCH 税抜¥25,980等)はメーカー欠品傾向、アスクルでも変動。寺岡製作所オリーブテープNo.141は11バリエーション展開。
📌 EC観測から見える3つの読み解き

1. クラフトテープの「公式注記」は最強の品薄シグナル:モノタロウのような国内大手BtoB ECが商品ページに「国際情勢の影響で価格変更・販売数量制限・欠品の可能性」と公式に明示するのは異例。これは、EC流通側が個別商品レベルで供給リスクを認知し始めたことを意味する。クラフトテープは紙基材で一見影響軽微に見えるが、PEラミネート・ホットメルト粘着剤を通じてナフサショックの影響を確実に受けている。

2. 養生テープは「在庫あり」でも「アロケーション体制」:パイオラン等の主要養生テープはEC上「当日出荷可」表示だが、これは個別ロット販売の話。法人での大口発注はメーカー直販ルートでアロケーション継続中で、新規取引が事実上不可。「EC在庫あり」と「業務調達正常」は別物として読む必要がある。

3. 重梱包用布テープの欠品が静かに進行:軽梱包向け布テープは在庫安定だが、輸出梱包・重量物固定で使われる糸入り布テープ(オリーブテープNo.141等)は欠品傾向。出荷現場で「いつも使っているグレード」が手に入らない事象は、軽梱包品から重梱包品へシフトしている

観測条件:2026年6月7日 午前時点の各プラットフォーム検索結果上位の価格・在庫表記を観測。出典:Amazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピング、モノタロウ(monotaro.com)、アスクル(askul.co.jp)、コメリ・ドットコム(komeri.com)、jp.rs-online.com。価格は税込・参考値であり、ご購入数量・地域・時期により変動します。本欄は調達検討の参考情報であり、特定商品の推奨ではありません。

CHAPTER 04 ── ADHESIVE CHAIN

「粘着剤」サプライチェーン逼迫 ── 業界全体の連鎖

テープの機能を決定づける「粘着剤」の供給状況は、テープ供給ボトルネックの一つとなっている。粘着剤の原料を巡る業界全体の動きを以下に整理する。

アクリル系粘着剤の原料動向

アクリル系粘着剤に不可欠な「アクリル酸エステル」や溶剤の在庫が、国内メーカーの一部で危険水域に達している拠点がある(2026年3月28日業界指標)。アクリル酸モノマーはプロピレンを酸化して製造されるため、ナフサショックの直撃を受ける構造にある。

出典:三菱ケミカル株式会社プレスリリース/日本経済新聞 2026年3月26日

三菱ケミカルは2026年4月1日出荷分から(日本国内販売分)、アクリル酸製品(アクリル酸・アクリル酸ブチル・アクリル酸2エチルヘキシル・アクリル酸メチル・アクリル酸イソブチル)を+40円/kg以上値上げすることを発表。同社のオキソ製品(2-エチルヘキサノール・ノルマルブタノール等)も同時に+25円/kg以上の値上げを実施した。さらに4月10日出荷分からはアクリロニトリル製品(アクリロニトリル・アクリルアマイド50%水溶液)を+40円/kg以上値上げ。中東情勢緊迫化を発端としたナフサ調達環境の悪化、クラッカーおよび当該プラントの稼働減、副原料価格上昇による製造コスト大幅上昇が理由とされる。

三菱ケミカルはさらに2026年5月15日、主力アクリル樹脂のPMMAとその原料MMAモノマー、塗料や接着剤などに使われるメタクリル酸(MAA)とメタクリル酸エステル類を3月以降2度目の値上げとして発表(日本経済新聞報道)。同社のアクリル系粘着剤「コーポニール」はラベル・シール、各種テープ、両面テープ、発泡体、保護フィルムなど幅広い用途に使われる代表的なアクリル酸エステル主体共重合樹脂であり、原料モノマー価格上昇が粘着剤メーカーを通じてテープ製造コストに直接波及する構造になっている。

ゴム系粘着剤の値上げドミノ

ゴム系粘着剤はスチレン系原料を使用しており、DICがスチレン系原料を2026年3月24日に100円/kg以上値上げ実施(後述5/29第2回値上げに継続)。ゴム系粘着剤を採用したOPPテープ(日東電工ベースマテリアル製品など)の粘着剤コストが累積上昇している。日東電工ベースマテリアル(Nittoグループ)はゴム系粘着剤タイプのOPPテープを複数ラインナップしており、Metoreeの2026年2月OPPテープ注目ランキングで第3位に入るなど高い市場認知度を持つ。

🆕 JUNE 7 ADDITION ── DIC第2回値上げ
📌 DIC 5/29付プレスリリース:ポリスチレン製品およびスチレン系製品の価格改定(6/1納入分から)

DIC株式会社は2026年5月29日付のニュースリリース(社長執行役員:池田尚志)で、ポリスチレン製品およびスチレン系製品について、2026年6月1日納入分より価格を改定すると発表。3/24付の100円/kg以上の値上げに続く第2回値上げとなる。改定理由として「昨今の中東情勢の変化に伴い、原油・ナフサをはじめとする石油化学原料の調達環境が悪化。その影響により、スチレンモノマーをはじめとするポリスチレンの原料価格が大幅に上昇」「徹底した合理化やコスト削減に継続して取り組んでまいりましたが、これらのコスト上昇分を、自助努力のみで吸収することは極めて困難な状況」と明記。

これはゴム系粘着剤(スチレン系原料使用)に直接的なコスト上昇圧力をかける動きであり、OPPテープ・布テープのゴム系粘着剤タイプは累積的なコスト負担増を抱えることになる。3/24・5/29の連続値上げは「中東情勢が長期化すれば追加値上げもあり得る」業界共通シグナルでもある。

あわせてDICグラフィックス株式会社も2026年4月2日発表で、グラビア・フレキソインキ、接着剤、製缶用塗料、金属インキを2026年4月21日納入分より価格改定と発表。テープ・包装材と原料を共有する印刷インキ・接着剤も同時に値上げが進行している。

シンナー・溶剤の連鎖値上げ(一次情報)

出典:日本経済新聞 2026年3月25日/日本ペイント発表

日本ペイントは2026年3月25日、塗料の希釈剤として使われるシンナー製品全般について75%値上げを実施。シンナーはナフサ由来の溶剤で、ホルムズ海峡封鎖を受けて原料調達が極めて困難になっていることを理由としている。粘着剤・接着剤の希釈にも使われるため、テープ製造コストにも波及する。

関西ペイントも2026年4月13日出荷分から、シンナー製品を50%以上値上げと出荷制限を発表(同社公式)。テープの粘着剤・接着剤系は、これら塗料系メーカーの溶剤と原料供給網を共有しているため、塗料・接着剤・粘着剤の3系統で同時に供給逼迫が進行している。

東南アジア化学プラントのフォースマジュール連鎖

東南アジアの化学プラント数社が、原料未着を理由に「供給義務の免除(フォースマジュール)」を宣言した動きが報告されている。日本国内のテープメーカー向けの原料供給が一方的にカットされる事例も発生しており、原料調達経路の多角化が急務となっている。

関連市況の変化(6月7日追加)── ナフサ急落でも値上げ撤回はない

🆕 JUNE 7 ADDITION ── 関連市況
📈 ナフサ価格急落と「ワニの口」現象

シンガポール・ナフサスポット価格は5月16日の$1,043/MT(ピーク)から6月3日には$767/MTへ、約3週間で26%下落(業界整理データ)。背景は①Kplerデータで米国産ナフサの日本向け輸入が通常の5倍水準、②ホルムズ海峡通過量の増加、③需要破壊と買い控えの広がり、の3要因。日経新聞(5月30日)はガソリン109.8とナフサ128.3の価格逆転現象「ワニの口」を報じ、製造業の購買抑制が顕在化していることを示した。

ただし、メーカー各社の値上げは「累積コスト反映」型で直近スポット市況に連動せず、DIC 5/29第2回値上げが示すとおり短期市況の好転では撤回されない。AnswerBlockで述べた「短期市況は反落、価格改定は確定」の二重構造で、6月以降のテープ取引は動いていく(6月24日時点の最新動向は第7章を参照)。

CHAPTER 05 ── INDUSTRY TRENDS

メーカーの対応傾向と業界動向

2026年3〜5月時点で、国内テープメーカー各社の対応傾向は以下のように集約される。具体的な値上げ幅・受注制限内容は各社・各取引先によって異なるため、最新情報は各メーカー公式の発表内容をご確認いただきたい。

📌 業界全体の対応傾向(2026年3〜5月)

1. 緊急価格改定:各社で2026年4月以降の出荷分について段階的な価格改定が進行中。原材料・物流費・副資材の価格高騰、合成樹脂原料・製品価格の値上げ、電力料金の値上げ、人件費上昇、物流運賃の大幅値上げが理由。

2. 過去実績ベースの割当供給:新規顧客の受注を制限し、既存顧客への過去実績(月平均購入量)に基づく割当供給を厳格化する傾向。

3. 売れ筋標準品への原料集中:不採算サイズ・特殊色の製造休止により、標準品の安定供給を優先する傾向。

4. 緊急燃料・物流サーチャージの導入:原油高・配送コスト上昇分を別建てサーチャージで転嫁する動き。納期回答の原則保留も増加。

業界顧客向け説明文(包装資材専門卸の例)

出典:包装資材専門卸 顧客向け価格改定通知(2022年以降の連続的価格改定通知)

「ナフサ・ベンゼン等石化原料価格の高騰、合成樹脂原料・製品価格の値上げ、電力料金の値上げ、人手不足による人件費上昇、物流運賃の大幅値上げが重なり、企業努力だけで吸収することは極めて困難である」

建材・物流資材を含む2026年5月1日出荷分からの値上げ動向については「建設・物流・包装資材30社一覧」で網羅的に整理している。塩ビでは信越化学が2026年4月時点で2度目の値上げを発表(日経新聞報道)するなど、樹脂全般で連鎖値上げが進行中だ。積水化学工業は2026年4月14日に建材製品群の価格改定を発表し、5月20日出荷分から雨どい・バルコニー向けデッキ材等を15%以上値上げ。塩化ビニル管も5月7日出荷分から12%以上、ポリエチレン管は20%以上値上げを実施しており、テープ・包装材と原料を共有するPVC・PE系製品が同時連鎖で値上がりしている。さらに6月1日出荷分からは「2026年6月1日値上げ製品主要30品目一覧」に整理した通り、食品・タイヤ・医薬品まで全産業に波及した第2波値上げが進行している。

テープ業界に直接関連する動きとして、グンゼグループの連鎖値上げも注目される。グンゼ本体のOPPフィルム値上げ(4月21日出荷分1次)に加え、連結子会社のグンゼ包装システムも収縮製品・ロールラベル製品を5月1日出荷分から価格改定を実施。あわせて取引先に早期引き取りや必要最小限の発注、納期・数量調整への協力を要請している(LOGISTICS TODAY)。OPPフィルムはOPPテープの主要基材であり、グンゼグループの一連の値上げは、OPPテープ・収縮包装・ラベル印刷を含む包装資材全体のコスト構造に直接波及する(6月22日出荷分の2次値上げ正式発効、6月1日出荷分のエフピコチューパ・東京インキ値上げなど、6月以降の追加動向は第7章で詳述)。

CHAPTER 06 ── ACTION GUIDE

調達担当者向け 物流を止めないための5つの対応策

この未曾有の状況を乗り越えるため、荷主企業および物流担当者は以下の対策を即座に講じるべきである。同様の調達戦略はストレッチフィルム・PPバンドにも適用可能であり、「ストレッチフィルム・PPバンド・OPPテープ供給危機と価格急騰の全貌レポート Vol.1」で詳述している。

✔ 事業者として今すぐすべき5つの対応

1. 「在庫基準」の根本的見直し:安定供給が前提の「ジャスト・イン・タイム」を一時凍結し、重要資材(テープ、フィルム、PPバンド)は少なくとも1.5〜2ヶ月分のストック確保を推奨。

2. 既存取引先との関係維持を最優先:割当通知が来たら24〜48時間以内に確定発注。アロケーション体制下では既存実績がない新規発注は事実上不可。

3. 見積有効期限の短縮化:原材料価格が週単位で変動する現在、見積の有効期間を「1週間」程度に短縮、あるいは市場連動型の価格合意を検討する。

4. 代替品(中国産輸入・国内再生材・他素材)の積極導入:石油依存度の低い国内再生樹脂、または中国産輸入テープ・フィルムの導入を、現場テストを通じて準備しておく。OPPテープ・養生テープも中国産代替品の取扱が業界で広がりつつあるため、品質特性(粘着力・基材強度・低温適合性)の検証と並行して調達ルートを開拓する。

5. 価格スライド条項を顧客契約に組み込む:原料価格が一定以上変動した場合に半年ごとに見直す条項を追加。サーチャージ体系の整備も並行する。BIB(バッグインボックス)形式など特定の納品形態に依存している場合は、代替形態の確保も検討する。

📌 2026年6月の「価格軟化と現物逼迫の二重構造」局面における追加の3つの判断軸(現物在庫日数・取引先アロケーション状況・反落持続性リスク)については、第7章「2026年6月24日アップデート」で詳述しています。

関連資材の同時調達を意識する(中国製・第二供給ルート)

OPPテープと同時に必要となるストレッチフィルム・PPバンドも同じくナフサ起点の石油化学品で、同時に逼迫している。国内メーカーがアロケーション体制を継続するなか、当社では中国製バージン原料品の直輸入ルートを新たに確保し、PPバンドとストレッチフィルムの2品目で2026年6月上旬〜初旬デリバリーの予約を受付中である。

⚡ PRE-ORDER ── 予約受付中
中国製バージン原料PPバンド 直輸入販売|9mm 5,350円・15.5mm 5,500円(運賃込・税別)

国内PPバンドがアロケーション(割当配給)で新規取引が困難な2026年。当社が中国製バージン原料品の直輸入ルートを確保し、MOQ50巻からの法人販売を開始。引張強度1,300N以上(15.5mm品)、紙管内寸200mmで既存バンド機にそのまま適合、5色展開(赤・黄・青・白黒・透明)。2026年6月上旬デリバリー、現在予約受付中・先着順。

9mm × 4,000m(軽梱包・小箱結束・EC出荷向け):5,350円/巻(1m=1.34円、段ボール1箱2.4円)
15.5mm × 2,500m(パレット・重量物・輸出梱包向け):5,500円/巻(1m=2.20円、引張強度1,300N以上)
12mm・16mmは要見積/MOQ:50巻〜/運賃元払い・税別/2巻入り
▶ PPバンド 中国直輸入販売 詳細・予約はこちら
⚡ PRE-ORDER ── 2026年6月初旬出荷
中国製ストレッチフィルム 18μ×500mm×300m|1本1,500円・10箱単位

国内ストレッチフィルムがアロケーション継続中の局面で、当社が新規開拓した中国生産ルートにより、18μ×500mm×300mの手巻き用フィルムを1本1,500円(税別)で提供開始。10箱単位(60本)からの法人ロット販売、関東近県は運賃元払い、2026年6月初旬出荷予定。物流拠点の備蓄資材として、または日々の安定稼働を支えるメイン資材として活用可能。

規格:厚さ18μ × 幅500mm × 長さ300m/素材:LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)手巻き用・透明
紙管径:3インチ/入数:1箱6本入り/販売単位:10箱単位(計60本)
価格:1本1,500円(税別)・1箱9,000円・10箱90,000円(税別)/関東近県運賃元払い
▶ 中国製ストレッチフィルム 詳細・予約はこちら

OPPテープの代替素材検討と並行して、PPバンドとストレッチフィルムを「第二供給ルート」として確保することは、ナフサショック長期化下の物流継続性を確保する実務的な手段である。「いつ国内供給が正常化するか」を待つのではなく、「今のうちに代替ルートを開拓しておく」ことが、2026年下期の出荷リスクを下げる最善策となる。

📌 中長期見通し

2026年6月時点、米イラン停戦は維持されているものの、ホルムズ海峡の商業通航は戦前比95%減水準が続いており、停戦合意が成立したとしても、機雷の除去・通航許可制度の廃止・War Risk保険条件の正常化・各船社の独自運航再開判断には数週間〜数カ月のラグが生じる。業界共通認識は「停戦合意=正常化ではない、物理的タイトネスは封鎖解除後も少なくとも3ヶ月以上継続」というもの。「いつ元に戻るか」を待つのではなく、「新しい正常状態」として在庫水準・価格水準・契約条件を組み直す姿勢が求められる(6月7日以降の最新動向は第7章を参照)。

CHAPTER 07 ── JUNE 24 UPDATE

🆕 2026年6月24日アップデート ── 新たな局面と追加観測

6月7日更新版から約2週間が経過した2026年6月24日時点で、テープ4種の供給・価格動向は新たな局面に入った。本章では、6月7日以降に確認された主要エビデンスと、調達担当者向けの追加判断軸を集約する。

🆕 6月の最大の特徴
📊 「価格軟化と現物逼迫の二重構造」が鮮明化

2026年6月の最大の特徴は、市場価格指標が下がっても、製造現場で必要な「現物」が思うように手に入らない状態が続いていることだ。これは2026年5月までの「価格上昇+現物逼迫」のシンプルな構造から、「価格軟化+現物逼迫」というより複雑な構造への移行を意味する。これは「危機の収束」ではなく、「市場参加者が値上げに耐えられず取引そのものから離脱し始めた」という、別種の深刻さを示す局面である。

7-1. ナフサ価格と市況の変化 ── 「ワニの口」現象の継続

シンガポール・ナフサスポット価格は2026年5月16日の$1,043/MT(ピーク)から6月3日には$767/MTへ、約3週間で26%下落(業界整理データ)。さらに6月中旬には輸入ナフサ価格(東京オープンスペック)が1トン700ドル台半ばで定着し、5月下旬から約250ドル下落(下げ幅2割超)、クラックスプレッド(ナフサと原油の価格差)はピークの4分の1に縮小した(ごりお氏 note 6/14)。背景は①Kplerデータで米国産ナフサの日本向け輸入が通常の5倍水準、②ホルムズ海峡通過量の増加、③需要破壊(demand destruction)と買い控えの広がり、の3要因。

日経新聞(5月30日)はガソリン109.8とナフサ128.3の価格逆転現象「ワニの口」を報じ、製造業の購買抑制が顕在化していることを示した。ただし、メーカー各社の値上げは「累積コスト反映」型で直近スポット市況に連動せず、短期市況の好転では撤回されない。「短期市況は反落、価格改定は確定」の二重構造で、6月以降のテープ取引は動いていく。

業界統計では、石油化学工業協会が2026年5月21日に発表したエチレン4月稼働率は67.3%と過去最低水準まで落ち込み、業界の損益分岐ライン90%を44ヶ月連続(約3年8ヶ月)で下回る異常事態が続いている。日本倉庫協会(日倉協)が2026年3月30日〜4月10日に会員498社を対象に実施したアンケートでは、約7割が中東情勢の影響を受けていると回答し、5月には自民党の物流倉庫振興推進議員連盟へ要望を提出している(海事プレス社 4/27)。

7-2. テープ4種の値上げ第3波 ── 6月以降の新規価格改定

6月以降のテープ・包装材関連の新規値上げ実施は、5月1日の第1波・6月1日の第2波に続く「第3波」として整理できる。

メーカー 改定日 改定内容と背景
ダイヤテックス 2026年6月9日付 パイオラン養生テープ(Y-09シリーズ等)の追加価格改定を実施。ベストパーツ社等の卸経由通知で「価格改定のお知らせ【ダイヤテックス パイオラン養生テープ】」として6/9に通知。4/1の20〜30%値上げ+アロケーションに続く第2波。業界実勢では年初比+50%超の水準に達する見込み。
グンゼ 2026年6月22日 出荷分から 包装用OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムの2次価格改定が正式発効。1連(500mm幅×1000m=500㎡)あたり500円引き上げ、値上げ率約9%。「原材料の値上げがあれば、今後も価格転嫁していく方針」とコメント。OPPテープの主要基材であり、業界全体のコスト構造に直接波及。
エフピコチューパ 2026年6月1日 出荷分から 規格OPP防曇フィルム35%以上、OPPロール35%以上、サンバッグシリーズ25%以上、おにぎり・サンドイッチフィルム30%以上の価格改定を実施。食品包装業界全体への影響が大きい。
東京インキ 2026年6月1日 出荷分から グラビアインキ関連製品全般について30%以上の価格改定を実施。原油・ナフサ供給逼迫、顔料・樹脂・添加剤・溶剤など主要原材料価格の上昇が背景。テープ・包装材と原料を共有する印刷インキも同時値上げ。
📌 なぜナフサ軟化下でも値上げは撤回されないのか ── 構造論

1. 累積コスト反映型のフォーミュラ価格制度(3〜6ヶ月のラグ):樹脂・粘着剤の価格はナフサ価格に連動するが、四半期ベースの算定式で動くため、5月までの高値ナフサが今夏以降の製品価格に「遅れて」反映される。直近スポット市況の急落は短期では効かない。

2. 高値原料在庫の消化期間:メーカー各社は4〜5月の高値ナフサで原料を確保済み。この在庫を消化するまでは「原料コストが下がった」状況にならず、値下げ余地が生じない。

3. アロケーション体制下では値下げ交渉力が弱い:新規発注が事実上停止し、既存取引先への割当供給が続く局面では、需要家側が「値下げ」を要求できる力学が働かない。

4. 次の上昇局面への備えとして値上げ枠を確保する戦略:業界共通認識は「停戦合意=正常化ではない、物理的タイトネスは封鎖解除後も少なくとも3ヶ月以上継続」というもの。再エスカレーションリスクが残るなか、メーカーは「値上げ撤回」より「コスト変動への耐性向上」を選ぶ。

これらの構造により、ナフサ価格の軟化が製品レベルに反映されるには3ヶ月以上のラグがあり、テープ業界では2026年9〜10月以降にようやく軟化効果が見え始める見通しとなっている。

7-3. ホルムズ情勢の最新動向 ── 6月の再エスカレーションと協議再開

6月のホルムズ情勢は再エスカレーションと協議再開の両極で揺れている。2026年6月7日にイランがイスラエルへ弾道ミサイルを発射(4月停戦以降初の対イスラエル直接攻撃、global-scm.com 6/8更新)、6/8にはトランプ氏が「イラン・イスラエルが即時停戦を目指している」と発言。6/20にはNHKが「米特使とイラン外相がスイスへ」と報じ、協議実現が焦点となっている。封鎖解消の見通しは依然立たない。

制裁面では、米財務省OFACが2026年4月28日にFAQ 1249を発出、ホルムズ海峡の安全通航を目的としたイラン政府・IRGCへの直接・間接の支払いは米国制裁上認められないと確認。5月1日にはイランによるホルムズ海峡通航要求の制裁リスクに関するアラートを公表。イランが5月に新設したとされるPGSA(Persian Gulf Strait Authority)への通航料支払い(報道では1航海約200万ドル中国人民元決済の事例)が制裁審査の論点となっている。テープ業界の調達担当者は、価格軟化の継続シナリオと再エスカレーションシナリオの両方を念頭に、第二供給ルートの確保を進める必要がある。

7-4. EC市場の変化 ── 「公式お知らせ常態化」と「復活特別価格」

2026年6月24日時点で各プラットフォームを追加観測した結果、6月7日時点で確認した供給リスクシグナルが「一時的な注記」から「常態化した運用」へと移行している。

プラットフォーム 6月24日時点の主要観測 意味
モノタロウ
公式お知らせ
「中東情勢の影響による商品の供給状況や販売価格に関するお知らせ」を2026年4月8日付で公式掲載、6月時点も継続表示中 EC側が国際情勢由来の供給リスクを「個別商品ページの注記」から「全社的公式お知らせ」へ格上げ。業界横断の値上げ・欠品リスクが「継続中の運用前提」として認知。
アスクル
パイオラン
ダイヤテックス パイオラン梱包用テープ K-10-WH 50mm×50m 1巻 ¥1,031(税込)・在庫あり表示/Y-09-GR 塗装・建築養生用も販売継続 4/1値上げ+6/9追加価格改定が反映された価格帯で個別ロット販売は安定供給に転じている。ただし大口・特殊サイズはアロケーション体制継続。
アスクル
「現場のチカラ」
「【復活特別価格】現場のチカラ 養生テープ 幅50mm×長さ25m 150巻入」など複数アイテムで【復活特別価格】表示が出現 4〜5月に欠品・取扱停止していたPB商品が6月時点で在庫復活。EC側の代替誘導が結果として供給を取り戻したシグナル。
ダイヤテックス
パイオラン
「バイオマスプラスチック配合の環境配慮型へリニューアル」と告知。新旧パッケージ混在出荷中 値上げと並行して、メーカー側の製品仕様変更(バイオマスPP配合への切替)が進行。原料調達多様化の一環で、ナフサ依存からの段階的脱却の動き。
クラフトテープ
モノタロウ注記
6/7時点の個別商品ページ注記「国際情勢の影響により販売価格が予告無く変更/販売数量制限/欠品の可能性」が6月24日時点でも継続表示 個別商品レベルの供給リスク注記が2ヶ月超にわたって維持されている。クラフトテープの供給安定化は当面見込まれない強いシグナル。

📌 EC観測から見える3つの読み解き:

1. EC側の供給リスク認知が「一時的注記」から「全社的運用」へ:モノタロウが2026年4月8日付の公式お知らせを6月24日時点でも掲載し続けていることは、業界横断の値上げ・欠品が「危機ニュース」ではなく「日常運用前提」へ格上げされたことを示す。調達担当者はEC公式お知らせをルーチンでチェックする運用が新標準となる。

2. 個別ロット販売は安定化、大口・特殊サイズは依然アロケーション:アスクルでパイオラン梱包用テープが「在庫あり」表示で出ているのは、4月の値上げが価格に反映された結果、EC側の個別ロット需要が落ち着いたためと推測される。一方、ダイヤテックス6/9追加価格改定が示すようにメーカー直販・卸の大口ラインでは値上げ・アロケーション継続。「EC在庫あり ≠ 業務調達正常」の構造は変わっていない。

3. 「製品仕様変更」という新しい対応策:パイオランのバイオマスPP配合品リニューアルは、原料調達リスクの構造的対応として注目に値する。従来仕様との品質互換性検証が今後の調達実務の新たな論点になる。中国産代替品の品質確認と並んで、国内メーカーの仕様変更品も「事前テスト」の対象となる。

6/24追加観測条件:2026年6月24日午前時点の各プラットフォーム公式ページ表記を観測。出典:モノタロウ(monotaro.com/お知らせページ・商品ランキング)、アスクル(askul.co.jp/パイオラン・現場のチカラ商品ページ)、ダイヤテックス株式会社製品ページ表記。

7-5. 6/24時点の調達戦略の論点 ── 二重構造下の3つの判断軸

2026年6月の「価格軟化と現物逼迫の二重構造」局面で「待つべきか・買うべきか」の判断軸:

① 現物在庫日数:自社在庫が30日分未満なら反落待ちは禁物。アロケーション継続下では現物確保を優先。30〜60日分あれば価格動向を見極めながら段階発注。60日以上あれば反落待ちも選択肢。

② 取引先のアロケーション状況:取引先メーカーが「枠内供給は確保」と明言しているなら現物リスクは低く、価格軟化メリット享受待ちが妥当。「枠そのものが縮小傾向」なら反落待ちより現物確保。ダイヤテックス6/9追加値上げのような追加改定が連続する場合は、後者の判断が必要。

③ ナフサ反落の持続性リスク:6/7イラン弾道ミサイルのような再エスカレーション、OPEC+減産再開、中国景気回復のいずれかが起これば、ナフサは再び上昇局面に転じる。価格軟化を「定着」と見るか「一時的」と見るかで判断が真逆になる。

同時に、ナフサ価格の軟化に伴う「高値在庫リスク」も警戒が必要。「割高な原料を抱え込むと、後で価格が下がったときに高値で買った在庫が経営を圧迫する」というジレンマがある。スポット調達と契約調達のバランス、在庫回転の最適化が四半期管理のポイントとなる。テープ業界での価格軟化反映時期の目安(2026年9〜10月以降)を踏まえ、半年程度の中期見通しで調達計画を立てることが推奨される。

EVIDENCE & SOURCES

参照エビデンス一覧

  1. Metoree(業界比較プラットフォーム)── OPPテープ139製品 2026年3月18日時点の価格データ、標準品全体で前年比15〜30%値上がり、ゴム系粘着剤タイプはアクリル系よりさらに上昇率が大きい傾向。
  2. 日本経済新聞「日本ペイント、シンナー製品で75%値上げ ホルムズ封鎖受け」(2026年3月25日)── 塗料の希釈剤として使われるシンナー製品全般の値上げ、ナフサ供給逼迫が原因。
  3. 関西ペイント株式会社公式発表(2026年4月13日出荷分から)── シンナー製品50%以上値上げ・出荷制限。
  4. 日本経済新聞「信越化学、塩ビを2度目の値上げ 中東情勢影響続く」(2026年4月)── ホルムズ海峡封鎖によるナフサ調達困難、化学大手の減産相次ぐ。
  5. 日本経済新聞「TOTO、ユニットバスの受注を停止 ホルムズ封鎖で材料ナフサ不足」(2026年4月13日)/「TOTO、ユニットバスの受注を4月20日から再開へ」(4月20日)── ナフサ由来溶剤不足によるユニットバス受注停止と再開。
  6. 旭化成株式会社公式発表(2026年3月31日)── ポリエチレン全品1キロあたり120円超引き上げ、エチレン12拠点中6拠点減産。
  7. DIC株式会社公式発表── スチレン系原料を100円/kg以上値上げ、ゴム系粘着剤コスト上昇に直結。
  8. 経済産業省「石油化学製品需給動向調査」── 日本の石油化学原料の中東依存度約73%、ナフサ備蓄約20日分(原油約200日に対し)。
  9. 包装資材専門卸顧客向け価格改定通知(2022年以降の連続的価格改定通知)── ナフサ・ベンゼン等石化原料価格の高騰、企業努力だけで吸収困難の業界共通声明。
  10. 新建ハウジング「塩ビ関連製品、メーカー各社が相次ぎ値上げ表明 中東情勢鑑み」(2026年4月)── 積水化学工業の塩化ビニル管・コンパウンド値上げ、4月1日出荷分から55円/kg以上、5月7日からさらに12〜20%値上げ。
  11. Reuters・AP・BBC・NHK等の主要メディア国際報道(2026年2月28日〜)── 米・イスラエルによるイラン軍事施設攻撃、ホルムズ海峡情勢の悪化。
  12. Metoree(業界比較プラットフォーム)OPPテープページ 2026年5月22日時点 ── 登録製品数76製品。2026年3月18日時点139製品から約半数に減少し、製造休止・出荷停止の広範な進行を示す。
  13. グンゼ株式会社プレスリリース(2026年4月6日発表)/日本経済新聞 ── 包装用OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムの価格改定、2026年4月21日出荷分から実施、中東情勢緊迫化が理由。
  14. 三菱ケミカル株式会社プレスリリース「オキソ製品・アクリル酸製品の価格改定について」(2026年3月26日発表)/日本経済新聞 ── アクリル酸製品(アクリル酸・アクリル酸ブチル・アクリル酸2エチルヘキシル・アクリル酸メチル・アクリル酸イソブチル)+40円/kg以上、オキソ製品+25円/kg以上、2026年4月1日出荷分から実施(日本国内販売分)。中東情勢緊迫化を発端としたナフサ調達環境悪化が理由。
  15. 三菱ケミカル株式会社プレスリリース(2026年4月9日発表)/ゴムタイムス ── アクリロニトリル製品(アクリロニトリル・アクリルアマイド50%水溶液)+40円/kg以上、2026年4月10日出荷分から実施。
  16. 三菱ケミカルグループ主力アクリル樹脂値上げ(日本経済新聞 2026年5月15日報道/2026年3月19日報道)── 主力アクリル樹脂PMMA、MMAモノマー、メタクリル酸(MAA)、メタクリル酸エステル類の3月以降2度目の値上げ。ホルムズ封鎖による原料ナフサ価格高騰が理由。
  17. 積水化学工業株式会社プレスリリース「建材製品群の価格改定について」(2026年4月14日発表)/日本経済新聞 ── 雨どいやバルコニー向けデッキ材等を15%以上値上げ、2026年5月20日出荷分から実施。住宅・ビル建材の汎用樹脂PVC・PE製品が対象、エチレン減産による原料高騰が理由。
  18. プラスチックパレット株式会社「2026年5月1日値上げ完全版|建設・物流・包装資材30社一覧」(2026年5月公開)── 国産ナフサ価格指標2026年5月1日時点125,103円/㎘の歴史的高値、建設・物流・包装資材30社超の一斉値上げ実態を一次情報で網羅。
  19. 米国防長官ヘグセス会見(2026年5月5日、日本経済新聞報道)/JETROビジネス短信(2026年5月8日)── 米イラン停戦は維持。米国は1ページ14項目の覚書を提示、ウラン濃縮一時停止と制裁解除・ホルムズ通航制限の相互解除を盛り込む。トランプ大統領は5月6日にホルムズ海峡船舶通航支援作戦(Project Freedom)の一時停止を表明。
  20. global-scm.com「ホルムズ海峡危機:情勢と実務リスク」(2026年5月7日更新/2026年4月28日更新)── 商業通航は戦前比約95%減という極めて低い水準が継続、Project Freedom停止後も1,600隻超の船舶がペルシャ湾内で立ち往生、機雷除去・PGSA許可制度廃止・War Risk保険正常化に数週間〜数カ月のラグ。
  21. 寺岡製作所卸値改定通知(2026年4月1日付)── P-カットテープ+100円/巻以上の引き上げ。萩原工業株式会社2026年3月30日発表 ── 海外コンテナ遅延を背景とした出荷制限・20〜30%値上げ。日東電工株式会社主要カタログ価格改定(2026年4月1日〜)── 養生用PEテープ No.395 810円→870円(税抜)等。光洋化学株式会社アロケーション導入・価格改定(2026年4月1日〜)── バラ売り制限・ケース発注の納期要相談。ダイヤテックス株式会社(パイオラン)── 2026年4月時点20〜30%値上げ+アロケーション体制。
  22. JUNDIC株式会社ニュースリリース「ポリスチレン製品およびスチレン系製品の価格改定について」(2026年5月29日発表、社長執行役員:池田尚志)── 2026年6月1日納入分より価格を改定。3/24付の100円/kg以上値上げに続く第2回値上げ。スチレンモノマーをはじめとするポリスチレンの原料価格が大幅に上昇、自助努力での吸収困難。URL: https://www.dic-global.com/ja/news/2026/products/20260528182350.html
  23. JUNDICグラフィックス株式会社「グラビア・フレキソインキ、接着剤、製缶用塗料、金属インキの価格改定について」(2026年4月2日発表)── パッケージ印刷向けグラビア・フレキソインキ、接着剤、製缶用塗料、金属インキを2026年4月21日納入分より価格改定。原油・ナフサ調達環境悪化、アジア各国のエチレンプラント停止・減産が理由。今後の追加価格改定・供給調整の可能性も示唆。
  24. JUN業界整理データ(大景化学)── シンガポール・ナフサスポット価格は2026年5月16日に$1,043/MTのピークを記録した後、6月3日には$767/MTまで急落、約3週間で26%下落。背景はKplerデータの米国産ナフサ日本向け輸入が通常の5倍水準、ホルムズ海峡通過量増加、需要破壊・買い控え。
  25. JUN日本経済新聞「ガソリン109.8とナフサ128.3の価格逆転現象『ワニの口』」(2026年5月30日)── 製造業の購買抑制が顕在化していることを示す。
  26. JUNEC市場実勢価格観測(2026年6月7日午前時点)── モノタロウ(梱包テープ1,598件・2026/06/03更新/パイオラン養生テープ31件/クラフトテープ38件)、楽天市場(OPPテープ激安8,033件、ガムテープ布 検索)、Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピング、アスクル、コメリ・ドットコム、jp.rs-online.com(RS PRO品 ¥771税抜・在庫あり)の各プラットフォーム検索結果上位の価格・在庫表記を観測。
  27. JUNモノタロウ クラフトテープ商品ページ公式注記(2026年6月7日確認)── 「※昨今の国際情勢の影響により販売価格が予告無く変更となる場合や、一時的に販売数量の制限、または欠品となる場合があります」と明示。EC流通側が国際情勢由来の供給リスクを公式に認知。
  28. JUN24ダイヤテックス株式会社パイオラン養生テープ追加価格改定(2026年6月9日付)── ベストパーツ社「価格改定のお知らせ【ダイヤテックス パイオラン養生テープ】」(2026年6月9日)等の卸経由通知より、メーカー価格改定が実施される。4/1の20〜30%値上げ+アロケーション体制に続く第2波の値上げで、業界実勢では年初比+50%超の水準に達する見込み。
  29. JUN24グンゼ株式会社「包装用OPPフィルムの価格改定について(2次)」(プレスリリース2026年5月28日)/日本経済新聞「グンゼ、野菜などの包装用フィルムを再値上げ 6月22日出荷分から9%」── 2026年6月22日出荷分より2次価格改定を正式発効。1連(500mm幅×1000m=500㎡)あたり500円引き上げ、値上げ率約9%。「原材料の値上げがあれば、今後も価格転嫁していく方針だ」とコメント。
  30. JUN24グンゼ包装システム株式会社(グンゼ連結子会社)── 収縮製品とロールラベル製品について2026年5月1日出荷分から価格改定を実施。安定供給維持に向けて取引先に早期引き取りや必要最小限の発注、納期・数量調整への協力を要請(LOGISTICS TODAY)。グンゼ本体のOPPフィルム値上げ(4/21・6/22)と連動し、テープ周辺の包装資材全体で値上げ連鎖が進行している。
  31. JUN24エフピコチューパ株式会社価格改定発表(2026年6月1日出荷分から)── 規格OPP防曇フィルム35%以上、OPPロール35%以上、サンバッグシリーズ25%以上、おにぎり・サンドイッチフィルム30%以上の価格改定を実施。食品包装業界全体への影響大。
  32. JUN24東京インキ株式会社価格改定発表(2026年6月1日出荷分から)── グラビアインキ関連製品全般について30%以上の価格改定を実施。原油・ナフサ供給逼迫、顔料・樹脂・添加剤・溶剤など主要原材料価格の上昇が背景。テープ・包装材と原料を共有する印刷インキも同時値上げ。
  33. JUN24石油化学工業協会統計発表(2026年5月21日)── 日本のエチレン4月稼働率は67.3%と過去最低水準まで落ち込み、業界の損益分岐ライン90%を44ヶ月連続(約3年8ヶ月)で下回る。工藤幸四郎会長(旭化成社長)「中期的には価格が非常に大きな問題」「価格高騰による需要減退に懸念」と発言。
  34. JUN24日本ポリエチレン株式会社「ポリエチレンの価格改定について」(プレスリリース2026年5月18日)/日本ポリプロ株式会社「ポリプロピレンの価格改定について」(プレスリリース2026年5月18日)── 2026年5月25日納入分よりPE・PP全製品を値上げ。「中東情勢緊迫化による原油価格の高止まり、更なるナフサ価格上昇により国産ナフサ価格は125千円/kL超の水準に上昇する事が見込まれる」と明示。テープ基材・粘着剤コストへ波及。
  35. JUN24ごりお【化学業界解説】「ナフサ価格が急落【6/8~12週間振り返り】」note記事(2026年6月14日)── 指標となる輸入ナフサ価格(東京オープンスペック)は1トン700ドル台半ばと、5月下旬から約250ドル下落。下げ幅は2割を超え、原油価格の下落よりも大きい。クラックスプレッド(ナフサと原油の価格差)はピークの4分の1に縮小。背景は調達難への懸念後退(米国産・サウジ紅海側からの代替調達)、需要破壊。
  36. JUN24global-scm.com「ホルムズ海峡危機:情勢と実務リスク(2026年6月8日更新)」── 「停戦の建前は続くものの、軍事的応酬・海上封鎖・制裁・凍結資産・イスラエル=レバノン戦線が一体化し、交渉が再び不安定化している」局面。6/7のイラン対イスラエル弾道ミサイル発射(4月停戦以降初)、米財務省の凍結資産湾岸復興転用案、イラン側拒否を整理。
  37. JUN24米財務省OFAC「FAQ 1249」(2026年4月28日発出)および「イランによるホルムズ海峡通航要求の制裁リスク」アラート(2026年5月1日)── ホルムズ海峡の安全通航を目的としたイラン政府・IRGCへの直接・間接の支払いは米国制裁上認められないと確認。非米国人にも重大な制裁エクスポージャーが生じ得るとされる。PGSA(Persian Gulf Strait Authority)への通航料支払い(1航海約200万ドル中国人民元決済の事例)が制裁審査の論点。
  38. JUN24NHKニュース「"米特使とイラン外相がスイスへ"報道 協議の実現が焦点」(2026年6月20日)── ホルムズ海峡の封鎖について、いつ安全に航行できるようになるのか、国際部解説。封鎖解消の見通しは依然立たず。
  39. JUN24日本倉庫協会(日倉協)会員企業アンケート(2026年3月30日〜4月10日実施・498社回答)/海事プレス社Daily Cargo(2026年4月27日)── 約7割が中東情勢の影響を「受けている」と回答。「資材費の上昇」「資材の調達困難」が多く挙げられた。4月21日に経産省「石油由来の化学品、製品等に関する情報提供フォーム」へストレッチフィルム不足を報告。5月、自民党の物流倉庫振興推進議員連盟に要望提出。物流会社関係者の「コロナ禍にもなかった『在庫危機』だ」という証言を掲載。
  40. JUN24プラスチックパレット株式会社「2026年6月1日値上げ製品主要30品目一覧|ナフサショック第二波が直撃した食品・建材・タイヤ・医薬品の一斉価格改定マップ」(2026年5月31日公開)── 6月1日出荷分の価格改定30品目を一次情報のみで完全マップ化。改定幅は最大40%(第一三共ヘルスケア・市販薬)・35%超(クレハ/日本ペイント溶剤系)・30%(カルビーJagabee)など過去最大水準。
  41. JUN24日本食糧新聞「ストレッチフィルム、品不足深刻に 輸入減で2〜5割高 食品物流の負荷増大」(2026年4月下旬)── テープ4種そのものではないが、ナフサショック下のPE系包装資材の値上げ実態として参考。中東情勢前と比べて最大5割上昇との現場報告を掲載し、養生テープ(PE基材)の値上げ動向と原料コスト構造を共有している。

免責事項・編集方針
本記事は2026年3月29日初回公開・2026年6月24日最終更新時点で取得した一次情報・公的機関・業界各社の公式情報を独自に収集・整理したものです。価格・供給状況は日々変動しており、実際の調達条件は取引先・数量・地域・契約内容等により異なります。本記事の情報に基づく調達判断・投資判断等については、必ず最新情報・専門家の助言を得た上で行ってください。

公開 / 最終更新
© 2026 プラスチックパレット株式会社|本記事はエビデンスに基づく調査・分析記事です
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