「エンジンオイルが買えない」をやさしく解説
──ニュースの本当の意味を、暮らしの言葉に翻訳して
戦争前水準到達
7月回復めど
(6/5成立)
支援額(1世帯)
ニュースで聞く「エンジンオイル危機」を、専門用語をかみ砕いて暮らし・物流・電気代の話に翻訳してお伝えします。6月17日ベルサイユで米・イラン戦闘終結覚書に署名、7月2日Brent 71.5ドルで戦争前水準到達、日本の原油調達7月10割回復、3.1兆円補正予算成立と7〜9月電気ガス1世帯5000円支援まで、7月時点の情報でご説明します。
6月24日更新の内容から、さらに大きな進展がありました。2026年6月17日、トランプ米大統領とイランのペゼシュキアン大統領がフランス・ベルサイユ宮殿で戦闘終結の暫定覚書に署名、6月19日にスイスで正式署名式が行われました。覚書には次の重要事項が盛り込まれています。
- 米軍による海上封鎖の即時解除(覚書発効から30日以内)
- ホルムズ海峡の通航料なしでの開放
- 60日間の交渉期間でイランの核問題・制裁緩和を協議
- 石油輸出再開に向けた措置
7月2日時点でBrent原油は1バレル71.5〜72ドルまで反落し、戦争前の水準(2月末以来の最低)に到達しました(TradingEconomics)。ホルムズ海峡通過量は日量1000万バレル超まで回復、サウジ原油輸出は戦争前水準の約90%、UAEはパイプライン迂回で戦争前水準まで回復しています。日本の原油調達も経産省6月11日資料で「7月は前年比約10割回復めど」と公表され、米国からは前年比10倍以上の調達確保見通しに。
暮らしへの追い風として、6月10日に経産省の潤滑油直接販売スキームが稼働し、6月29日には出光ダフニーが一部潤滑油製品の受注制限を解除するなど、下流の業界にも落ち着きの兆しが広がっています。ただし6月27-28日にはイラン「愚かな停戦違反」でバーレーン・クウェートの米海軍基地・商船に無人機攻撃が発生、トランプ大統領が本格戦闘再開を警告する場面もあり、覚書履行の不確実性は残ります。7月1日にカタール・ドーハで米イラン間接協議が継続合意、7月4日以降のハメネイ元最高指導者国葬関連行事後の次回協議が焦点となっています。
2026年7月現在、状況は3つの相反する潮流が同時に進んでいます。
①明るい潮流(外交・原油):6月17日ベルサイユで米・イラン戦闘終結覚書に署名、7月2日にBrent原油が戦争前水準まで反落、日本の原油調達も7月に前年比10割回復めどが立ちました(本文第4・8章)。
②政府の支援が本格化:6月3日に3.1兆円補正予算が閣議決定・6月5日成立、7〜9月の電気ガス料金5000円支援、6月10日から潤滑油の直販スキームが稼働しています(本文第6・7章)。
③でも足元では価格圧力継続:Pearl GTLの修復には約1年、Group III基油の世界供給網の本格回復には数か月、7〜8月にも追加の価格改定波が予告されています(本文第2・3・8章)。
「危機の始まり」と「7月時点の落ち着き」の両面を、順を追ってやさしくご説明していきます。
エンジンオイルが「お金を出しても買えない」時代に
2026年4月以降、いつもどおりカー用品店やガソリンスタンドにエンジンオイル交換に行ったら、「指定の銘柄が品切れです」と言われた──そんな経験をした方が一気に増えています。整備工場や運送会社の現場では、もっと深刻な現象が起きています。「お金を出しても買えない」「順番待ちで何週間も先になる」「うちのトラック分のオイルだけ確保するのに精一杯」。プロの現場でこんな声が日常になっているのが、いま2026年の日本です。
これは単なる一時的な品薄ではありません。エンジンオイルを作っている日本の主要メーカー──ENEOS、出光興産(ダフニー)、シェル、コスモ石油、モービル(ExxonMobil)、カストロール、新日本油脂工業、日本工作油、スギムラ化学、港北油化、MORESCO、日本メカケミカルなど──のほぼ全社が、「前年と同じ量しか売らない(前年同月同量)」というルールに切り替わっています。新しいお客様からの注文は、原則として受け付けられない状態です。
ただし、7月時点では明るい変化も出てきています。6月17日にフランス・ベルサイユ宮殿で米・イラン戦闘終結覚書が署名され、6月19日にスイスで正式署名式が行われ、原油市場は落ち着きを取り戻しつつあります。また6月10日から経済産業省が潤滑油の直接販売スキームを稼働させ、6月29日には出光ダフニーが一部潤滑油製品の受注制限を解除するなど、下流の業界にも徐々に落ち着きが戻ってきています。この記事では、この「危機の始まり」と「7月時点の正常化シフト」の両面を、順を追ってご説明します。
ガソリンスタンドや整備工場で起きていること
業界の代理店各社が連日更新している最新動向では、次のような状況が報告されています。
- ENEOS:月内の潤滑油オーダーは全て出荷停止。スーパーハイランド32・46(建機などに使う作動油)、DH2 CF4(10W-30、15W-40)といったディーゼル油が欠品中。受注停止品目は48商品も追加されています。7月3日時点で新たな緩和シグナルはまだ出ていません。
- 出光ダフニー:4月8日10時から受注停止となっていましたが、6月29日(月)10時から一部潤滑油製品の受注制限を解除しました。これは今回の危機で最初の明確な緩和シグナルの1つで、業界の注目を集めています。
- コスモ石油:エンジン油・トランス油を除く全油種が受注停止。新規配送先の登録は原則受付不可。既存のお客様も「前年同月実績まで」という量の制限があります。
- モービル:3月16日からサーチャージ値上げ、4月15日出荷分から自動車用・輸送用・工業用・舶用潤滑油の大幅値上げ、6月1日からも追加の価格改定が実施されています。
- カストロール:納期回答に1週間程度かかる状態で、過去出荷実績がある商品しか注文できません。
- 東洋化学商会:6月22日受注分から出荷制限を一時解除しました。出光ダフニーに続く緩和シグナルです。
つまり、エンジンオイルを売っている側は「売りたくても売れる量がない」、買う側は「いつもの取引先以外からは買えない」という、二重の構造ができ上がっているのが4〜6月の状況でした。7月時点では出光・東洋化学商会など緩和シグナルを出し始めるメーカーが出てきており、局面はゆっくりと「危機ピーク」から「新しい正常状態へ」移り始めています。ただし、7月〜8月にはマコト産業(7/1)、森田研磨材工業(7/1)、ゾーンケミカル(7/15)、プロセスイノベーション(8/1)、リューベ(8/3)などの追加価格改定が予告されており、値段の面では引き続き上昇圧力が残ります。
「いつも行っているお米屋さんが、突然『今月から、これまで買ってくれていた量と同じ分しか売れません。新しいお客様は受付できません』と言い始めた」──そんな状態がいま日本中のエンジンオイル業界で起きています。お米と違うのは、エンジンオイルは家庭よりも、宅配便のトラック・救急車・ゴミ収集車・建設現場の重機・路線バスなど、私たちの暮らしを動かす車両が大量に使っているという点です。7月時点では、そのお米屋さんの一部が「新規のお客様、少しずつ受付を再開しました」と言い始めた、そんなイメージが近い状態です。
なぜここまで深刻になったのか ── 3つの要因が同時発生
今回の危機が「いつもの値上げ」と決定的に違うのは、原因が一つではなく3つの大きな要因が複合的に絡み合っていることです。
- 原料そのものの不足:エンジンオイルの主原料「ベースオイル」を作る中東の巨大製油所が、2026年3月以降、戦争や攻撃で次々と停止しました。
- 運ぶルートの遮断:オイルを世界に運び出す海の入口「ホルムズ海峡」が、イラン軍によって事実上閉鎖されました。タンカーはアフリカの南端を回る遠回りルートを取らざるを得ませんでした。
- 添加剤の輸送遅延:オイルの性能を決める「添加剤」と呼ばれる素材は欧米から運ばれてきますが、これも輸送ルートが遠回りになり、納期が2週間以上遅れています。
この3つが重なった結果、世界のエンジンオイル業界は「歴史上最大のエネルギー安全保障の危機」と国際エネルギー機関(IEA)が評価する事態になりました。CNBCは2026年5月1日付の報道で、Group IIIと呼ばれる高性能ベースオイルの北欧価格が、イラン戦争開始以来約100%上昇したと伝えています。値段が倍になったという、近年では類を見ない動きです。
ただし、7月時点ではこの3つの要因のうち、少なくとも「運ぶルートの遮断」については、覚書合意によって大きな正常化シフトが起こっています。ホルムズ海峡の通過量は日量1000万バレル超まで回復し、サウジやUAEの輸出はほぼ戦争前水準に戻りつつあります。詳しくは第8章の追記セクションで解説します。
・2026年4月以降、日本では主要オイルメーカーが軒並み「前年同月同量」販売に切り替わり、新規取引が事実上できない状態になりました。
・原因は単一ではなく、原料不足・輸送遮断・添加剤遅延の3つが複合的に絡み合っています。
・7月時点では6月17日ベルサイユ覚書署名の影響で原油市場に落ち着きが戻り、出光ダフニー6月29日一部受注制限解除・東洋化学商会6月22日出荷制限一時解除など、業界にも緩和シグナルが出始めています。ただし、7-8月に追加の価格改定波が予告されており、値段の上昇圧力は残ります。
エンジンオイルの「中身」を知ろう ── ベースオイルって何?
そもそもエンジンオイルとは何でできているのでしょうか。普段はあまり気にしませんが、今回の危機を理解する鍵は「中身」にあります。
エンジンオイルは、大きく分けて「ベースオイル」と「添加剤」という2つの素材を混ぜて作られています。比率は概ね、ベースオイルが全体の約80%、添加剤が約20%です。
エンジンオイルを「ラーメンのスープ」にたとえると、ベースオイルが「だし(ガラスープ・鶏白湯・煮干だしなど)」、添加剤が「塩・しょうゆ・みそ・香辛料」のような味付け・調味料に当たります。だしの種類が違えば味が変わるように、ベースオイルにも複数のグレードがあり、それぞれ性質が違います。そして、ベースオイルがなければラーメンスープが作れないのと同じように、ベースオイルが不足するとエンジンオイル自体が作れません。
ベースオイルは原油の「派生品」の一つ
ベースオイルは、原油(石油)を蒸留・精製してつくられる「派生品」の一つです。原油を加熱して蒸留すると、軽い順にガス(プロパンなど)、ガソリン、灯油、軽油、重油などに分かれていきます。ベースオイルは、その中でも比較的重い部分(残油や潤滑油留分)からさらに処理を加えてつくられる、ちょっと特殊な留分です。
つまりエンジンオイルというのは、原油という大きな素材から、特定の部分を取り出して、さらに磨き上げて作られているものなのです。だから、原油の供給が不安定になると、ガソリンや軽油より少し遅れて、ベースオイルにも影響が出てきます。
ベースオイルには「グレード」がある
ベースオイルにはAPI(米国石油協会)が定めた5つのグループ分類があります。グレードと呼ばれるもので、性能と用途が異なります。
| 分類 | 性質・主な用途 | 2026年7月の状況 |
|---|---|---|
| Group I | 従来型の標準品。日本の大型トラック向け「DH-2」規格の原料に多用 | DH-2が深刻不足、輸入代替が事実上不可 |
| Group II | 中性能・幅広い用途。一般的なエンジン油の主流 | Group III代替需要が急増中 |
| Group III | 高性能。省燃費車(0W-20指定など)の「100%化学合成油」の中身 | 欧州価格が約100%上昇、中東3拠点が同時停止 |
| Group IV (PAO) | 最高グレードの一つ。レーシングカー・高級車・SUV向け | 高級車市場で影響が顕在化(CNBC報道) |
| GTL | 天然ガスを液体に変換した最高品質。プレミアム合成油 | Pearl GTL片トレイン損傷、Shell/QatarEnergy公式「約1年で修復」 |
「100%化学合成油」って実は…
カー用品店で「100%化学合成油」と書かれた、ちょっとお高めのエンジンオイルを見かけたことがあるかと思います。「化学合成」と聞くと特別な化学プラントで作っているように感じますが、実はその多くはGroup IIIと呼ばれる、原油から精製した高性能ベースオイルが使われています。一部、本当に天然ガスから合成する「GTL」や、特殊な分子構造を持つ「PAO(Group IV)」もありますが、市場の多くを占めているのはGroup IIIです。
そして、いまこのGroup IIIの世界供給が壊滅的に止まっているのです。中東に集中していた主要3拠点(カタールのPearl GTL、アブダビのルワイス製油所、バーレーンのシトラ製油所)が並行して停止しました。世界最大級の生産国である韓国(SK Enmove)はまだ稼働していますが、需要が一気に集中したため、韓国政府は「国内優先」として石油製品の輸出にキャップ(上限)を設けています。ただし、7月時点ではサウジのLuberef(ルベレフ)が当初2026年半ばに閉鎖予定だったJeddah工場について新原料契約で継続稼働を決定し、地域唯一のGroup I・II・III全対応サプライヤーとなる見通しになるなど、供給側にも前向きな変化が出てきています。
添加剤は「性能を決めるレシピ」
もう一つの主要素材である「添加剤」は、エンジンオイルにさまざまな性能を与える調味料の役割を果たしています。代表的なものを挙げると:
- 清浄分散剤:エンジン内の汚れ(スラッジ)を分散させ、こびりつきを防ぐ
- 酸化防止剤:高温で酸化しオイルが劣化するのを防ぐ
- 耐摩耗剤:金属同士の擦れによる摩耗を抑える
- 粘度指数向上剤:冷えていても温かくても適度な粘度を保つ
- 消泡剤:オイルが泡立つのを抑える
これらの添加剤は、欧米の専門メーカーが世界の供給を握っています。代表的なのはルーブリゾール(Lubrizol、米国)、インフィニアム(Infineum、英米合弁)、アフトンケミカル(Afton Chemical、米国)といった会社です。日本国内では日本ルーブリゾール(衣浦事業所)、インフィニアムジャパン、シェブロンジャパンなどが販売を担っています。これらの添加剤は通常、中東経由で日本に運ばれていました。ところがホルムズ海峡封鎖により、いまはアフリカの南端を回る遠回りルートになり、通常より2週間以上余分な輸送期間がかかっています。ただし7月時点ではホルムズ通過量が日量1000万バレル超まで回復しているため、8月以降は輸送期間の正常化が段階的に進む見込みです。
・エンジンオイル=ベースオイル(80%)+添加剤(20%)の組み合わせ。ベースオイルがスープのだし、添加剤が調味料に相当します。
・ベースオイルは原油から作られる「派生品」で、性能別にGroup I〜IV、GTLという5分類があります。
・特にGroup IIIは省燃費車の高性能オイルに使われており、いま世界的に深刻な不足状態。中東の主要3拠点が並行停止しています。ただし、Luberef Jeddahの継続稼働決定など、供給側にも前向きな変化が7月に入って出てきています。
・添加剤は欧米製で、ホルムズ封鎖により喜望峰回りで2週間以上遅れて運ばれている状況でしたが、7月2日にはホルムズ通過量が日量1000万バレル超まで回復、8月以降は輸送期間の正常化が進む見込みです。
中東で何が起きた? ── Pearl GTL・サウジ製油所・フジャイラ攻撃
「中東で戦争が起きると、なぜ日本のエンジンオイルが止まるのか」──この問いに答えるため、2026年に中東で何が起きたかを時系列で順に見ていきましょう。地名や施設名は耳慣れないかもしれませんが、世界のエンジンオイルが集中して作られていた場所だと考えてください。
2026年2月28日:戦争の始まり
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランの軍事施設や政府施設に対する攻撃を開始しました(米議会調査局や英国議会図書館の一次資料で確認できます)。これに対しイランは反撃を表明、湾岸地域全体で軍事的緊張が一気に高まりました。海事情報企業Windwardの分析では、開戦後1週間でホルムズ海峡を通過するタンカーが97%減少したと報じられています。タンカーがほぼ「ゼロに近い」状態になったわけです。
3月2〜4日:ホルムズ海峡の段階的封鎖
3月2日からイランは段階的に海峡を封鎖、3月4日に「完全支配」を宣言しました。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約20%が通る要衝で、ここが止まったということは世界の石油供給のおよそ5分の1が一夜にして遮断されたことを意味します。これは1970年代の石油ショックを上回る規模で、国際エネルギー機関(IEA)は3月だけで世界の石油供給が日量800万バレル減少したと推計しています。
ホルムズ海峡は中東の「ペルシャ湾」と「オマーン湾(インド洋)」をつなぐ、幅わずか33kmほどの狭い水路です。サウジアラビア・UAE・カタール・バーレーン・クウェート・イラク・イランといった世界有数の産油国は、すべてペルシャ湾の中に位置しており、原油やLNG(液化天然ガス)、ベースオイル、添加剤などを世界に輸出するには、このホルムズ海峡を必ず通らなければなりません。ここが閉じてしまうと、産油国は「巨大な袋小路」に閉じ込められた形になります。
3月19日:Pearl GTLとサウジ製油所への同日攻撃
その後の中で、エンジンオイル供給にとっておそらく最も衝撃だったのが、2026年3月19日に起きた同日攻撃です。この日、カタール(ラスラファン工業地区)の「Pearl GTL」プラントにイランのミサイルが直撃しました。同時にサウジアラビアのヤンブー港にあるSAMREF精製所もドローン攻撃を受け、港湾には弾道ミサイルが飛来しました(迎撃成功)。
Pearl GTLは聞き慣れない名前かもしれませんが、世界のオイル業界では非常に有名な施設です。これは英国・オランダ系の石油メジャー「シェル(Royal Dutch Shell)」とカタールの国営エネルギー会社「QatarEnergy」の合弁で運営される、世界最大の「天然ガスを液体燃料に変換する(GTL)」プラントです。日量最大140,000バレルのガスオイル・灯油・高性能ベースオイル・石油化学原料を生産する戦略的拠点で、日本車にも使われる最高品質のオイル原料を供給していました。
Pearl GTL修復期間は「約1年」で見通しが立っている
Pearl GTLの修復期間については、事件発生直後の速報段階で「3〜5年かかる」との憶測も業界内で流れました。しかしシェルおよびカタール・エナジーCEO Saad al-Kaabi氏の公式声明(2026年3月19-20日)で「約1年(approximately one year)」との見通しが示されています。しかも2つあるトレイン(同型の生産ライン)のうち損傷したのは片方だけで、もう1つのトレインは無傷のまま残っています。損傷したトレインの修復が完了すれば、Pearl GTLは元の生産体制に戻れる見通しです(Industrylinqs・JobbersWorld・Argus Media整理)。
「Shell confirms QatarEnergy's statement that the full repair of Pearl GTL will take about a year.(シェルはカタール・エナジーの声明を確認:Pearl GTLの完全修復には約1年を要する)」「One of the two lines was damaged by an Iranian air strike on Ras Laffan in Qatar.(2つあるラインの1つがカタール・ラスラファンへのイラン空爆で損傷した)」── 同社声明。カタールから米・欧・アジアへのベースオイル出荷は2025年に170万トン超と過去6年以上で最高水準に達しており、米国のGroup III+輸入の28%以上がカタール産だったため、修復期間中の代替供給確保が業界の課題となっています。
サウジSAMREF・Luberef:もう一つの被害
同じ3月19日にはサウジアラビアのヤンブー港にあるSAMREF精製所もドローン攻撃を受けています。SAMREFはサウジ国営石油会社「アラムコ」とアメリカの石油メジャー「ExxonMobil」の合弁で運営される、日量400,000バレルの大型精製施設です。当日の油積み出し作業は通常通り継続されたという報道もありますが(Al Arabiya)、港湾全体の稼働状況は流動的になりました。
同じくサウジのLuberef(ルベレフ)はベースオイル製造の大手で、ホルムズ海峡封鎖を受けて出荷拠点をペルシャ湾側から紅海側のヤンブー港にシフトしていました。ところが、シフト先のヤンブー港自体が攻撃の標的になってしまったわけです。7月時点では、Luberefは新原料契約でJeddah工場の継続稼働を決定し(Lubes'N'Greases 5月12日)、Yanbu Growth-II完成で合計153万トン/年の生産能力へ拡大、地域唯一のGroup I・II・III全対応サプライヤーとなる見通しになるなど、危機のなかでもポジティブな動きが出ています。
5月3〜4日:UAEフジャイラ攻撃
5月に入ると、新たな攻撃の波が来ました。2026年5月3〜4日、UAE(アラブ首長国連邦)のフジャイラにある主要石油関連施設にイランのドローン攻撃が行われ、火災が発生。同時にホルムズ海峡では複数のタンカーが攻撃を受けたとの報告が相次ぎました(Bloomberg報道)。Brent原油は5%余り上昇し、1バレル114ドル超まで再急騰。アナリストは「海峡が近く再開するとの見方は乏しい」とコメントしました。
フジャイラはホルムズ海峡の「出口」にあたる港湾都市で、世界のエネルギーハブの一つです。ここが攻撃されたことで、すでに細っていた中東からの石油・オイル輸出はさらに不安定化しました。
Group III中東3拠点の同時機能停止
業界関係者の整理によれば、高性能オイル製造に必要なGroup IIIベースオイルの中東主要生産3拠点が、2026年5月時点で並行して停止状態になっていました。
| 施設・場所 | 停止理由・状況 | 7月時点の見通し |
|---|---|---|
| アブダビ(UAE) ルワイス製油所 |
ドローン攻撃を受け停止 | ベースオイルユニット自体は無傷、稼働率を落として運用継続 |
| バーレーン パブコ社シトラ製油所 |
フォースマジュール(不可抗力)を宣言し契約不履行 | 状況継続中 |
| カタール Pearl GTL(Shell運営) |
3月19日ミサイル攻撃で片トレイン損傷、全面停止 | Shell公式で「約1年で修復」、無傷トレインあり |
結果として、北欧のGroup III価格はイラン戦争開始以来約100%上昇(CNBC 2026年5月1日報道)、米国ではGroup IIIの生産能力が約44%失われた(Gas-Price-Check 5月分析)と報告されています。トヨタや日産は米国でディーラー向けの「配給制レター」を発出する事態にまでなりました。米AOCUSA・Highline Warrenは5月22日にGroup II製品+$2.40/gal、Group III製品+$3.00/galの卸価格改定を実施、これで過去2か月で4回連続の卸価格改定波となりました。Highline WarrenはCostcoやWalmartの受託製造元でもあるため、大衆向け消費者ブランドの価格にも直接波及する構図です。
・2026年2月28日に米・イスラエルがイランを攻撃し、ホルムズ海峡が3月初旬に封鎖されました。
・3月19日にカタールのPearl GTL(世界最大のGTLプラント)とサウジのSAMREF精製所が同日に攻撃を受け、Pearl GTLは片トレインが損傷しました。修復期間は当初「3〜5年」との憶測もありましたが、Shell/QatarEnergyの公式声明で「約1年」に修正されており、無傷トレインも残っています。
・5月3〜4日にはUAEフジャイラの石油施設も攻撃され、Brent原油は114ドル超に再急騰しました。
・中東のGroup IIIベースオイル主要3拠点(UAE・バーレーン・カタール)が並行停止状態にあり、これが2026年前半の世界的オイル不足の核心です。ただし7月時点ではSaudi Luberef Jeddahの継続稼働決定など、供給側にも前向きな動きが出てきました。
なぜ日本までオイルが届かないのか ── 喜望峰回りと添加剤の壁
中東で施設が止まったとはいえ、世界には他にも産油国があります。アメリカ、ロシア、ノルウェー、ブラジル、ナイジェリア、ベネズエラ、アンゴラ──たくさんの国が原油を作っています。にもかかわらず、なぜ日本のエンジンオイルがここまで深刻な不足になっているのでしょうか。理由は3つあります。
理由1:日本のオイル工場は「中東産前提」で設計されている
あまり知られていませんが、日本の石油化学コンビナートや潤滑油プラントは、もともと中東産の原油を加工することを前提に設計されています。原油には産地ごとに性質の違いがあり、サウジ産・UAE産・カタール産の原油から取れる派生品の比率と、米国産(ライトナフサが多い)や西アフリカ産から取れる派生品の比率は、微妙に違うのです。
つまり、急に米国産の原油に切り替えても、ベースオイル原料に向く部分の取れ方が変わってしまい、同じ量の原油を仕入れても、同じ量のエンジンオイルが作れない、という事態が起きます。これは設計上の制約で、短期間では解消できません。
ただし、政府と業界の努力で、7月時点では原油の代替調達がかなり進みました。経産省の6月11日資料によれば、日本の原油代替調達(ホルムズ海峡を経由しない)は5月は前年比65%、6月は前年比8割程度、そして7月は想定需要日量224万バレルを上回り前年比約10割回復のめどが立っています。特に米国からは前年比10倍以上(5月調達分から3倍以上)が確保見通しになりました。これは危機の入り口では想像もできなかった、大きな進展です。
理由2:タンカーが「喜望峰回り」になり輸送日数+14日
中東の原油や石油製品を日本に運ぶ通常ルートは、ペルシャ湾→ホルムズ海峡→インド洋→マラッカ海峡→日本、というものです。これがホルムズ海峡封鎖により使えなくなりました。代替ルートはアフリカ大陸の南端、「喜望峰」を回るルートです。これは大航海時代に使われた、古典的な航路ですね。
ペルシャ湾から日本まで、通常ルート(ホルムズ海峡→マラッカ海峡経由)だと約12,000kmです。これが喜望峰回りになると、アフリカ大陸を南へ下って南端を回り、インド洋を東へ進むため、距離が約18,000〜20,000kmに膨らみます。距離が約1.5倍になり、輸送日数も2週間以上余分にかかります。タンカーの運航コストも当然上がります。さらに紅海航行に伴う戦争保険料の追加コストも乗ってきます。
日本の三大邦船会社(商船三井、日本郵船、川崎汽船)は、ペルシャ湾通航を原則停止していました。5月26日には商船三井などが共同保有するバハマ船籍LNGタンカー「FUWAIRIT」がホルムズ海峡を通過し、通算6隻目となりました(TBS NEWS DIG報道)。当時ペルシャ湾内で待機していた日本関連船舶は38隻、乗組員約900人(日本人船員3人含む)でしたが、6月17日のベルサイユ覚書署名以降は選別的通過から段階的通過再開へと局面が転換し、7月2日時点でホルムズ海峡の総流量は日量1000万バレル超まで回復しています。
理由3:添加剤メーカーも喜望峰回りに
第2章でお伝えしたとおり、エンジンオイルの性能を決める添加剤の多くは欧米製です。米国のルーブリゾール、英米合弁のインフィニアム、米国のアフトンケミカルといった専門メーカーが、世界の添加剤供給を握っています。
これらの添加剤は通常、欧州や米国から中東経由で日本に運ばれていました。ホルムズ海峡封鎖により、添加剤を運ぶタンカーも喜望峰回りを取らざるを得なくなり、2週間以上の輸送遅延が常態化していました。さらに、東南アジアの一部工場ではサイバー攻撃が発生し、添加剤の生産そのものが止まったとの報告もあります(プロトリオス調査)。7月時点ではホルムズ通過量の回復に伴い、輸送期間の正常化が段階的に進む見込みです。
理由4:「お金を出せば買える」という前提の崩壊
これら3つに加え、もう一つ忘れてはならない大きな変化があります。それは「お金を出せば買える」というこれまでの当たり前が崩れたということです。
世界的にベースオイルそのものが足りない期間、各国の主要供給メーカーは「既存のお客様優先」の販売体制に切り替えました。韓国のSK Enmove(世界最大級のGroup IIIメーカー)は、韓国政府による輸出キャップ(上限規制)の対象になり、海外向け出荷数量が抑制されました。バーレーンとUAEの生産者は「フォースマジュール(不可抗力)」を宣言し、契約相手への供給責任すら一時的に解除しました。
つまり、これまで「価格を上げれば回せた」「先払いすれば確保できた」というやり方が通用しなくなり、「在庫がある場所を探し続ける」という時代に入っていました。7月時点では原油調達の正常化により、この状況も徐々に緩和方向に向かい始めています。
「在庫がある場所を探す」状態、
そして「新しい正常状態を設計する」局面へ — 2026年前半から7月にかけての国内エンジンオイル市場の変遷
業界全体の「3拠点同時停止+輸送+14日+お金が効かない」からの回復シフト
1. 中東の主要ベースオイル拠点が並行停止し、原料そのものが減った。
2. 残った供給ルートも喜望峰回りで2週間以上余分にかかった。
3. 添加剤も同様に遅れ、性能を決める部分が揃わない状況が続いた。
4. 価格を上げても「既存顧客優先」「輸出キャップ」「フォースマジュール」で、買えるとは限らない状態だった。
この4つが同時に起きていたのが、2026年前半の日本のエンジンオイル市場の実態です。7月時点では①の中東拠点はまだ完全復旧に至らずPearl GTLは約1年修復期間中ですが、②のホルムズ通過は日量1000万バレル超まで回復、③の添加剤も輸送正常化の入口へ、④の「お金が効かない」状態も出光ダフニー緩和シグナルなど段階的な緩和が始まっています。1970年代の石油ショックは「価格が一気に上がった」ことが主な特徴でしたが、今回は「価格+量+ルート+取引条件」が同時に崩れ、そして同時に少しずつ回復しつつある、より構造的な事態といえます。
・日本の潤滑油プラントは中東産原油前提で設計されており、他産地への切替は短期では難しい構造です。ただし7月時点では日本の原油調達は前年比約10割回復のめどが立ちました。
・タンカーは喜望峰回りで距離1.5倍・輸送日数+14日以上になっていましたが、7月2日時点でホルムズ通過量は日量1000万バレル超まで回復しています。
・添加剤も同様に遅延し、サイバー攻撃で生産停止する工場もありました。ホルムズ回復に伴い正常化見込みです。
・「お金を出せば買える」前提が崩れ、「在庫がある場所を探し続ける」時代になりましたが、7月時点では業界緩和シグナルが出始めています。
トラック輸送が止まりかける本当の理由 ── DH-2問題
ここまで世界のエンジンオイル市場を見てきましたが、日本にはもう一つ、独自の重大な問題があります。それが「DH-2問題」です。これは聞き慣れない言葉だと思いますので、丁寧にご説明します。
DH-2とは「日本独自の大型トラック用ディーゼル油」
DH-2は、日本独自の規格で、主に大型トラックや建設機械のディーゼルエンジンに使われるエンジンオイルです。「DH」は「Diesel Heavy duty(重負荷ディーゼル)」の略で、「2」はその第2世代規格を意味します。日本自動車工業会と石油連盟が共同で定めた、日本独自の品質規格です。
このDH-2は、宅配便の10トン車・トレーラー、コンビニや食品スーパーへの配送車、ゴミ収集車、路線バス、観光バス、ダンプカー、ショベルカー、クレーン車、農業用トラクターなど、私たちの暮らしを物理的に支えている大型車両のほとんどに使われています。これがいま、業界で最も深刻に不足している油種なのです。
なぜDH-2はこんなに深刻なのか ── 3つの理由
業界専門サイト「ミカド商事ブログ」(2026年5月2日付)が「DH-2の不足と受注停止について 私見」という記事で整理した3つの理由を、やさしい言葉でご紹介します。
| No. | 理由 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | Group Iベースオイル製造元売りに集中 | DH-2は主にGroup I(標準グレード)のベースオイルから作られます。Group Iを日本で大量に作っているのは、ENEOSなど一部の大手元売り(製造販売元)に限られています。その元売りが軒並み出荷停止状態にあるため、原料そのものが供給されていません。 |
| 2 | 日本独自規格で輸入代替がほぼ不可能 | DH-2は日本の規格なので、海外メーカーがほとんど作っていません。一部、韓国製でDH-2合格品が少量輸入されているという情報はありますが、性能や信頼性は不明です。つまり「海外から買ってくる」という解決策がほぼ取れません。 |
| 3 | 暮らしを支える車両に集中して使われる | 大型・中型トラック、建設機械、物流インフラ車両で広範に使用されているため、需要が集中しています。物流2024年問題でただでさえドライバー不足が続いていた業界に、オイル不足が追い打ちをかける形になっています。 |
7月時点の追加情報:DH-2製造量は前年並みを確保、業界は「過剰発注抑制が急務」と発信
ここに、6月以降の追加情報が重要な視点をもたらしました。トラックニュース(2026年6月3日付)が報じたところによれば、DH-2の製造量自体は前年並みを確保しているとのことです。「DH-2が世の中から消えた」のではなく、不安が広がって発注が殺到し需要が一気に膨らんだ結果として、混乱が起きている面もあるということです。トラックニュースは「過剰発注の抑制が急務」というコメントを業界から得たと報じています。
2020年の春、新型コロナでマスクが品切れになったとき、実は途中から「マスクの製造量は増えていたのに、不安で買いだめが続いたために店頭から消える」という現象が起きていました。今回のエンジンオイルも、原料不足の本当の問題は残っていますが、それと並んで「不安による過剰発注で需給の波が大きくなっている」面があります。落ち着いて必要な量だけ注文することが、結果的に業界全体の安定を早める力になります。
具体的に欠品しているDH-2系製品
業界代理店の2026年7月3日付情報では、次のような銘柄が継続的に欠品中と報告されています。
- ENEOS スーパーハイランド32・46:建機・大型機械の作動油
- ENEOS ディーゼルDH2 CF4(10W-30、15W-40):大型トラック用ディーゼル油
- コスモ石油 コスモニューマイティスーパー68:油圧作動油
- コスモ石油 コスモオルパス68:作動油
- 各社エンジンオイル系:粘度別に幅広く欠品
物流2024年問題+オイル不足のダブル危機
物流業界はすでに2024年4月から「働き方改革関連法によるトラックドライバーの時間外労働上限規制(物流2024年問題)」に対応してきました。ドライバーの労働時間が制限され、長距離輸送が難しくなる中、トラック会社は人手不足・運賃上昇・荷主との交渉という三重苦に直面していました。
そこに2026年4月以降のDH-2不足が重なりました。オイル交換ができないと、エンジンの摩耗が進み、最悪の場合エンジンの寿命が短くなります。整備に出してもオイル待ちで車両が動かせない、新しい大型トラックを買おうにも納車時の試運転に必要なオイルが手に入らない──そんな話が業界内では珍しくなくなっています。
大手運送会社や食品物流会社の整備部門では、いま「DH-2を確保すること」が最優先業務になっています。普段はオイル交換は2〜3万km走行ごとが目安ですが、車両ごとに走行距離・エンジン状態を細かく管理し、「本当に交換が必要な車両を厳選して、限られたオイルを回す」運用が始まっています。なかには代替オイル(Group II使用品やCF-4規格など)への切り替えを検討する企業も。これらは正規のメーカー保証では認められないケースもありますが、業界団体が90日間の緊急暫定措置として、Group III不足に対するGroup II代替使用を条件付きで承認しています。
建設・農業・救急にも波及
大型ディーゼル油の不足は、トラック輸送だけの問題ではありません。建設現場のショベルカー・クレーン車・ブルドーザー、農業現場のトラクター・コンバイン、消防車・救急車・自衛隊車両など、社会インフラを支えるあらゆる重機械が同じDH-2系のオイルを使っています。建設工事の遅延、農作業の遅れ、災害時の緊急対応への影響まで、波及範囲は広いのです。
・DH-2は日本独自の大型トラック・建機用ディーゼル油規格で、暮らしを支える大型車両のほぼ全てに使われています。
・Group Iベースオイル製造元売りに集中/日本独自規格で輸入代替不可/需要集中、の3つの理由で特に深刻不足でした。
・物流2024年問題と重なり、トラック輸送・建設・農業・救急まで波及するダブル危機の様相を呈していました。
・ただし7月時点では、DH-2の製造量自体は前年並みを確保しており、業界からは「過剰発注抑制が急務」との声が出ています。マスク不足のときと同じで、落ち着いた発注が業界全体の安定回復を早めます。
あなたの暮らしに来る影響 ── 車検、宅配、電気代、食品
ここまでは中東・物流業界・潤滑油メーカーといった「遠い場所」の話が中心でした。この章では、その話が私たち一般の生活者にどうつながってくるのかを、具体的に整理します。「ニュースの話」が「自分の家計の話」に変わる瞬間を、見ていきましょう。
影響1:マイカーの車検・オイル交換費用が上がる
まず、車を持っている方に最も身近なのが車検整備・オイル交換費用の上昇です。整備工場やガソリンスタンドでは、これまで在庫していた銘柄が品切れになるケースが増えています。指定銘柄が入荷しない場合、店員さんから「今ある銘柄でよろしいですか」「粘度を変更してもよろしいですか」と提案されることが多くなりました。
具体的な値段の動きとしては、5月1日からカストロールが全製品大幅値上げ、4月15日からモービルが「自動車用潤滑油は大幅値上げ、航空用潤滑油はさらに大幅値上げ」を実施。6月1日には新日本油脂工業・スギムラ化学・港北油化・日本工作油・MORESCO・協同油脂・豊栄産業・カータージル・バンストラッテン・ADEKAケミカルサプライの複数社が同時に全製品価格改定をしています。7月〜8月にはマコト産業(7/1)、森田研磨材工業(7/1)、クレトイシ(7月)、ゾーンケミカル(7/15)、プロセスイノベーション(8/1)、リューベ(8/3)などの追加改定波も予告されており、整備工場やカー用品店の店頭価格も、これに連動して順次上がっていく見通しです。
・指定銘柄にこだわらず、整備士さんと相談して代替銘柄・代替粘度(例:0W-20→5W-30)を柔軟に受け入れる準備をしておきましょう。
・車検のタイミングを大幅に前倒しする必要はありません。7月時点では業界にも落ち着きの兆しが出ているので、慌てて買いだめする必要もありません。次回のオイル交換時期が近づいたら、いつもの整備工場に在庫確認+予約を早めに入れておくと安心です。
・省燃費車(0W-20指定のハイブリッド車など)は、特にGroup III不足の影響を受けやすいので、複数の整備拠点で在庫を確認するのが有効です。
影響2:宅配便・コンビニ配送の納期が延びる可能性
第5章でお伝えしたDH-2不足は、大型トラックの稼働率に直接影響します。すぐにストップするわけではありませんが、整備頻度を抑えるために輸送便数を減らす、長距離便を統合する、といった調整が物流各社で始まっています。具体的な現れ方としては:
- 宅配便のお届け日が、これまでより1日程度延びるケースの増加
- コンビニや食品スーパーへの配送便の本数が減り、棚の補充頻度が下がる
- 地方への発送料・取扱手数料が値上げされる
- 緊急便・即日便の受付枠が縮小される
すでに2025年から続いている物流コストの上昇傾向に、この夏以降オイル不足由来のコスト上昇が加わる見通しです。ネット通販を頻繁にご利用の方は、お急ぎ便の料金や到着日表示の変化に注目していると、市場の動きが見えてきます。ただし、DH-2の製造量は前年並みを確保しているという情報もあるので、極端な物流破綻の心配は必要ないでしょう。
影響3:電気・ガス料金の上昇 ── 7〜9月は政府支援で5000円軽減
意外と忘れられがちですが、原油価格上昇は電気代・ガス代にも直接効いてきます。火力発電の燃料費が上がり、LNG(液化天然ガス)の輸入価格も上がるためです。すでに2026年6月時点で「燃料価格の上昇が電気料金に反映されていく」と高市総理が会見で明言していました。
これに対応するため、政府は2026年5月25日に補正予算編成を表明し、6月3日に3.1兆円の補正予算を閣議決定・6月5日に国会成立させ、2026年7月〜9月の3か月間、電気・ガス料金を1世帯あたり計5000円程度支援することを決めました。具体的には:
| 月 | 家庭用電気料金支援額 | 備考 |
|---|---|---|
| 2026年7月 | 3.5円/kWh | 3.1兆円補正予算・中東情勢等対応予備費から |
| 2026年8月 | 4.5円/kWh | 夏のピーク需要に配慮 |
| 2026年9月 | 3.5円/kWh | 実施後の料金水準は昨年夏を下回る見通し |
これに加えて、LPガス利用者向けの「重点支援地方交付金」、大規模工場で使われる特別高圧電力への支援、ガソリン補助金の継続も決まっています。ガソリン補助金の原資となる基金は6月中に枯渇見込みだったため、「中東情勢等対応予備費」も活用しながらの継続対応となっています。ガソリン全国平均170円程度(Gas7カ国最安水準)、軽油160円程度、灯油140円程度の水準を維持する方針です。
朗報として、7月2日時点でBrent原油が71.5〜72ドルまで反落しています。これが継続すれば、3〜6か月後にはガソリン・軽油・灯油・電気・ガス・プラスチック原料の値段が落ち着いていく方向に動く可能性があります。すぐに店頭価格が下がるわけではありませんが、「これ以上の値上げの波」は一旦小休止に入る可能性が出てきました。
影響4:食品・日用品の値段にじわじわと
食品・日用品の値段にもじわじわと影響が出てきます。直接的な原因は物流コスト・包装資材コスト・原料コスト・電気代の同時上昇です。
- 物流コスト:トラック輸送が上がれば、スーパー・コンビニ・卸の配送費が上がる
- 包装資材コスト:プラスチック原料(ナフサ由来)が高騰しており、ペットボトル・包装フィルムの値段が上がる
- 原料コスト:パスタやサラダ油など海外からの輸入品は、海上輸送費・戦争保険料・為替の影響で値上がり
- 店舗の電気代:スーパーマーケットや飲食店の冷蔵冷凍コスト、照明コストが上がる
日本経済新聞(2026年5月30日付)は「食品値上げの要因は、包装資材コスト要因が7割を占める」と分析しています。つまり、エンジンオイル不足の話と、食品スーパーで値上げシールが増えている話は、根っこのところでつながっているのです。
影響5:建設・住宅工事の遅延
建設工事の遅延もすでに広範に始まっています。建設機械のオイル不足、建設資材(塩ビ管・断熱材・ルーフィング・塗料・接着剤など)のナフサ由来品の供給不安、ドライバー不足による資材搬入の遅れが重なっています。住宅の引き渡しが予定より1〜2か月遅れる、リフォーム工事の着工時期がずれる、といったケースが各地で報告されています。
ただし政府は6月10日から潤滑油の直接販売スキーム、6月23日からシンナー・塗料の直販スキームを稼働させ、6月26日時点で計155件の目詰まりを解消しています。建設資材・住宅建材の目詰まりも徐々に解消方向にあります。
影響6:観光バス・路線バス・タクシーの運行
観光バスや路線バスもDH-2系の大型ディーゼル油を使う車両です。観光業界・公共交通機関では、本格的な運休にはなっていないものの、メンテナンス間隔の調整、車両運用の最適化、緊急時の代替手段の検討が進んでいます。今夏の旅行や帰省での公共交通利用、特に地方の路線バスは、念のため運行ダイヤを事前確認しておくと安心です。
暮らしへの影響を整理すると、次の6つが現実的に想定される範囲です。
- マイカーの車検・オイル交換費用が上昇(7-8月に追加改定波あり)
- 宅配便・コンビニ配送の遅延・送料上昇(DH-2製造量は前年並み確保)
- 電気・ガス料金の上昇(7-9月は政府支援で1世帯計5000円軽減)
- 食品・日用品のじわじわとした値上げ
- 建設・住宅工事の遅延(直販スキームで155件解消中)
- 観光・路線バス・タクシーの運行調整
すべて「明日突然」起きる話ではありません。7月時点ではBrent原油が戦争前水準まで反落しており、追加の値上げの波は一旦小休止に入る可能性もあります。冷静に、できる範囲で備えることが大切です。
政府は何をしているのか ── 3.1兆円補正予算成立と潤滑油直販スキーム
「政府は何かしてくれているの?」──こう感じている方も多いと思います。実は、2026年の中東情勢に対する日本政府の対応は、過去の石油危機と比べてもかなり機動的・継続的に進んでいます。この章ではその全体像をやさしく整理します。
中東情勢に関する関係閣僚会議 ── 約3か月で11回開催
政府は2026年3月24日に「中東情勢に関する関係閣僚会議」を立ち上げました。総理大臣を議長とし、官房長官、経済産業大臣、財務大臣、国土交通大臣、農林水産大臣、外務大臣などが参加する横断的な会議体です。6月26日までに第11回が開催されており、約3か月で11回というハイペースの開催は、政府が中東対応をいかに継続的優先課題として位置付けているかを示しています。
| 開催日 | 主な決定・議論内容 |
|---|---|
| 第1回 3/24 | 政府の総合的対応体制の立ち上げ |
| 第3回 4/10 | 高市総理「供給の目詰まり解消」指示。国家備蓄第2弾(20日分)追加放出方針を表明 |
| 第6回 4/30 | ナフサ由来石油製品「年を越えて供給継続が可能」と高市総理発言 |
| 第7回 5/12 | 高市総理ベトナム・豪州訪問報告。「パワー・アジア」展開で地域エネルギー安全保障協議 |
| 第8回 5/21 | 中東情勢関連対策の進捗報告。農林水産業・食品産業関連資材確保の取組状況提示 |
| 第9回 6/2 | 農林水産分野での化学肥料・飼料・農業資材等の安定供給確保策を継続議論 |
| 第10回 6/11 | 7月調達10割回復めど公表、6月調達前年比8割、米国から前年比10倍以上 |
| 第11回 6/26 | 累計155件の目詰まり解消、207団体・企業が「目詰まり・偏り解消協力ネット」に参加 |
6月3日 閣議決定・6月5日成立 ── 3.1兆円補正予算
政府対応の大きな転機となったのが、2026年5月25日の高市早苗総理による記者会見での「3兆円規模の補正予算編成」表明でした。そして6月3日、令和8年度補正予算(総額3.1兆円)が閣議決定、6月5日に国会成立しました(第一生命経済研究所レポート)。全額を新規国債発行(赤字国債)で賄い、内訳は次のとおりです。
| 支援メニュー | 内容・対象 |
|---|---|
| 中東情勢等対応予備費 2.5兆円 |
コロナ禍やウクライナ情勢悪化時と同様の目的別予備費。中東情勢に伴うエネルギー価格高騰など、国際情勢の変化に伴う影響への対応に使用可能 |
| 一般予備費復元 0.5兆円 |
電気・ガス料金負担軽減の予備費使用分と同額を補充、一般会計予備費は元の1.0兆円に復元 |
| 重点支援地方交付金 0.1兆円 |
地方の事業者の特別高圧電力・LPガス負担軽減。地域の実情に応じた支援を強化 |
| 財源 | 特例公債追加発行。令和7年度分の特例公債うち3兆円分が発行不要見通しのため、国債市中発行総額は増やさず対応 |
過去のロシア・ウクライナ危機時の2022年度第1次補正(2.7兆円)と規模・内容が類似する既視感のある枠組みで、金利上昇への配慮も打ち出されています。第一生命経済研究所の分析では「岸田前首相が将来の更なる財政出動を打ち出し拡張財政色を前面に出したのに対し、高市首相は財政規律を前面に打ち出し、金利上昇への配慮に腐心している」との差異が指摘されています。
電気・ガス料金支援 ── 7-9月に1世帯計5000円
3.1兆円補正予算に紐付いて、電気・ガス料金への支援が7月から実施されます。家庭用電気料金は1kWh当たり7月3.5円、8月4.5円、9月3.5円を支援、標準的な家庭で3か月で5,000円程度の負担引き下げ効果を実現、所要額は約0.5兆円(2026年度予算予備費から)。特別高圧電力・LPガス(プロパンガス)についても重点支援地方交付金の追加措置で対応。ガソリン補助金は継続され、ガソリン全国平均170円程度(Gas7カ国最安水準)、軽油160円程度、灯油140円程度の水準を維持します(首相官邸6/26公表)。
(6/3閣議決定・6/5成立)
予備費
(世帯当たり総額)
目詰まり解消件数
★6月10日 潤滑油の直接販売スキーム稼働 ── 全業種対象で目詰まり解消
7月版で最も重要な政府政策の追加が、この「潤滑油の直接販売スキーム」です。経済産業省は2026年6月10日、潤滑油サプライチェーンに目詰まりが発生していることを受け、潤滑油メーカーが需要家に直接販売する新スキームを稼働させました(電子デバイス産業新聞、トラックニュース、首相官邸6/26資料)。従来の卸売事業者や商社を介さず、ENEOS・出光興産などの主要潤滑油メーカーが自動車整備事業者・製造業などに直接販売可能となる仕組みで、自動車用エンジンオイルも対象です。
「潤滑油について、供給の偏り・目詰まりを解消し、事業に必要な量の潤滑油を事業者に供給すべく、6月10日から主要潤滑油メーカーからの直接販売スキームを稼働。直販スキームの開始以降、同スキームによる製造業・自動車整備業の需要家への供給が6件成約済。6月下旬以降、供給を進めていく」── 経産省6/26資料
「直販スキームおよび前年同月比同量の要請を元に、燃料・A重油等を含め累計155件の目詰まりを解消」── 同資料
6月23日にはシンナー・塗料の直販スキームも追加開設、既に30件・1,040リットルの申込があり、6月26日から順次発送を開始しました。潤滑油相談件数も減少傾向にあり、経産省6/11資料によれば5月18-24日の週102件から、6月1-7日の週79件へと減少しています。
「目詰まり・偏り解消協力ネットワーク」に207団体・企業が参加
首相官邸6月26日の第11回閣僚会議資料によれば、「目詰まり・偏り解消協力団体・企業ネットワーク」に6月25日時点で90団体・117社の合計207団体・企業が参加を表明しました。ENEOS、興和、全国コイルセンター工業組合、全国自治体病院協議会、中外油化学工業、日本ゼオン、テルモ、電機・電子・情報通信産業経営者連盟、全国訪問看護事業協会など、業種横断のネットワークが形成されており、政府の目詰まり解消の取組の横展開を担う公的な枠組みとして機能しています。
「来年春まで」から「来年度末まで」へ ── 政府の供給見通し更新
5月25日の高市総理会見時点では「石油供給は来年春まで安定供給を確保できる」との認識でしたが、6月11日の経産省資料では「代替調達率がさらに引き上がれば、来年(2027年)年末を越えて来年度末まで石油の安定供給が可能」と、供給見通しが大幅に前倒しで改善しています。仮に保守的に「前年平月比75%の調達が継続するケース」を想定しても、現時点で保有する備蓄量の活用で来年度末までカバー可能との評価です。
国家備蓄石油の放出 ── 第2弾20日分が5月以降
もう一つ、地味ですが重要な対応が国家備蓄石油の放出です。日本は石油備蓄法に基づき、国家備蓄・民間備蓄・産油国共同備蓄の3層構造で、合計約240日分前後の石油を備蓄しています。今回の中東情勢を受けて、政府は段階的に備蓄を市場放出することを決めました。第1弾は2026年3月以降、第2弾は2026年5月1日以降、約20日分が放出されています(ジュンツウネット2026年5月13日報道)。6月についても第3弾の国家備蓄放出決定は行われず、民間備蓄義務水準55日も維持されています。
「パワー・アジア」── 海外への調達多角化
政府はあわせて「パワー・アジア」という海外調達多角化の動きも進めています。高市総理は5月1〜5日にベトナム・オーストラリアを訪問し、ベトナム最大の製油所「ニソン製油所」への原油調達金融支援、オーストラリアのアルバニージー首相との地域エネルギー安全保障協議を実施。茂木大臣はアフリカのアンゴラ産原油取引参画を後押し、赤澤大臣はサウジ・UAE訪問で原油供給拡大合意、鈴木大臣はマレーシアで尿素・ナフサ・原油の安定供給確約を獲得しました。
経産省「中東情勢関連対策ワンストップポータル」
経済産業省は中東情勢関連対策ワンストップポータル(https://www.meti.go.jp/chuto_josei/)を開設しています。ここに内閣官房、経産省、資源エネルギー庁、国土交通省、厚生労働省、中小企業庁、農林水産省の対策窓口が集約されているので、事業者の方も一般の方も、最新の支援策にアクセスしやすくなっています。
個人として確実に恩恵を受けられるのは、2026年7〜9月の電気・ガス料金支援(1世帯計5000円程度)と、継続中のガソリン補助金(全国平均170円水準の維持)です。事業者の方は、LPガス重点支援地方交付金、特別高圧電力支援、そして6月10日稼働の潤滑油直接販売スキーム(自動車整備業・製造業などが利用可能)が使えます。経産省ワンストップポータルから最新の各種支援制度をチェックできます。
・政府は3月24日以降、約3か月で第11回まで関係閣僚会議を開催している継続的対応体制。
・6月3日に3.1兆円補正予算を閣議決定、6月5日に国会成立。中東情勢等対応予備費2.5兆円を柱に設置しました。
・電気・ガス料金は7〜9月で1世帯計5000円支援、ガソリン補助金も継続、LPガス・特別高圧電力にも支援。
・6月10日から潤滑油の直接販売スキームが稼働、6月23日にはシンナー塗料も、6月26日時点で計155件の目詰まりを解消、207団体・企業が協力ネットに参加しています。
・国家備蓄石油第2弾20日分は5月から放出中、海外調達も多角化で進めており、7月調達は前年比約10割回復のめどが立ちました。
・経産省ワンストップポータル(https://www.meti.go.jp/chuto_josei/)で最新情報を一元入手できます。
これから半年、私たちはどう備えるか
最後の章では、ここまでお伝えしてきた内容を踏まえて、「これから半年、私たちは何を意識して暮らしていけばよいか」を整理します。
市場の見通し ── 7月時点の位置と今後のシナリオ
7月時点でのBrent原油は71.5〜72ドルまで反落しており、これは2月末の戦争前水準まで戻ったことを意味します。EIA(米エネルギー情報局)短期エネルギー見通しでは2026年通年95ドル、2027年79ドルと予測していましたが、実勢価格はこの予測を大きく下回っています。今後のシナリオを3つに分けて整理すると、次のようになります。
| シナリオ | Brent価格 | 想定展開 |
|---|---|---|
| 正常化定着 (7月現在到達) |
$70〜$85 | 7月2日Brent 71.5〜72ドルで既に下限到達。覚書履行が段階的に進展、9-10月以降Group III価格も段階的に軟化。潤滑油元売りは秋以降追加緩和・場合により価格反転。 |
| 不安定共存 | $85〜$110 | 覚書は名目上維持されるが、6/27-28型の断続的攻撃・料金徴収攻防が継続。Group III価格は高止まり継続。 |
| 再燃・破局 | $110〜$150+ | 覚書履行破綻、ホルムズ再封鎖・イラン核協議破綻の複合ショック。政府中東情勢等対応予備費2.5兆円が本格発動フェーズへ。 |
7月2日時点でBrentが71.5〜72ドルまで反落していることは、市場が「短期的な正常化」を強く織り込んでいることを示しています。ホルムズ海峡の通過量も日量1000万バレル超まで回復し、サウジ90%・UAEも戦争前水準まで回復しました。ただ、これが本格的な正常化なのか、束の間の小休止なのかは、まだ誰にもわかりません。
「いつ元に戻るか」を待つのではなく、「新しい正常状態」として備える
業界関係者の間で共通している認識は、「いつ元に戻るか」を待つのではなく、「新しい正常状態」として備えるという考え方です。
Luberef・SAMREFなど複合プラントの再起動には数か月、Pearl GTLの修復には約1年(Shell/QatarEnergy公式)、貿易ルートの再編には数年かかる可能性があると言われています。米国シェブロンは2026年第4四半期からPascagoula工場でGroup III+「NEXBASE 4 XP」の生産を開始予定(Argus Media報道)、PetronasとSK Enmoveに続く3社目のグローバルサプライヤーとなる見込みです。世界の供給網は、確かに少しずつ立て直しが始まっています。
ただ、いずれにせよ、2026年初頭の「中東依存・お金を出せば買える」状態に完全に戻る日は来ないというのが、業界の現実的な見方です。
私たちの暮らしレベルでの備え
| No. | 行動 | 具体的な内容 |
|---|---|---|
| 1 | マイカーオイル交換の早めの予約 | 次回オイル交換の時期が近い方は、いつもの整備工場に在庫確認+予約を早めに。指定銘柄にこだわらず、整備士さんと相談して代替品を受け入れる柔軟さを準備。7月時点では業界にも落ち着きの兆しがあるので、慌てて買いだめする必要はありません |
| 2 | 電気・ガスの夏支援を確実に受ける | 2026年7〜9月の電気・ガス料金支援(1世帯計5000円程度)は、自動的に料金から差し引かれる形での適用が基本。請求書の支援額表示を確認しておきましょう |
| 3 | 節電・節ガスの基本に立ち返る | 支援額があるとはいえ、電気料金の単価そのものは上昇基調。エアコン設定温度の見直し、LED照明、待機電力カット、こまめな消灯など基本の節電を見直す |
| 4 | ネット通販はお急ぎ便を控えめに | 宅配便・物流は徐々にひっ迫していきます。お急ぎ便・即日便を多用するとコストにも環境にも負担。通常便を選ぶ習慣を |
| 5 | 食品・日用品は計画的に | 包装資材コスト上昇で食品値上げは今後も続く見通し。ただし7月にBrentが戦争前水準に反落したため、追加値上げの波は当面小休止の可能性も。買いだめは賞味期限内で必要量に |
| 6 | 夏の移動・旅行は事前確認 | 路線バス・観光バスの運行に影響が出る地域も。お盆・夏休みの帰省や旅行は、運行ダイヤや代替交通手段の事前確認を |
| 7 | 正確な情報源をチェックする習慣 | SNSの噂やデマに惑わされず、政府公式(首相官邸・経産省・資源エネルギー庁)、業界団体、主要報道機関の一次情報を確認する習慣を。経産省ワンストップポータルは便利 |
事業者として向き合う方向け
運送業・建設業・整備業・農業など、業務でエンジンオイルを大量に使う事業者の方は、より構造的な対応が必要です。要点だけお伝えすると、①経産省の潤滑油直販スキーム(6月10日稼働)を活用し、目詰まり発生時は中東情勢関連対策ワンストップポータルへ相談、②既存取引先との関係維持と過剰発注の抑制を両立、③DH-2・作動油など物流必須油種の早期手当てと緩和シグナル(出光ダフニー6/29解除、東洋化学商会6/22解除)のモニタリングを並行、の3つが優先事項です。より詳細な業界動向・メーカー別状況・7-8月追加改定波への備えは、専門記事「エンジンオイル危機2026|6月17日米イラン覚書と7月原油調達10割回復、Pearl GTL 1年修復下の潤滑油市場正常化シフト」にまとめています。
不安に振り回されず、冷静に
ニュースで毎日のように原油価格や中東情勢の話題が流れ、SNSではさまざまな噂や予測が拡散します。なかには事実と異なる情報、極端な悲観論、買い占めを煽る情報もあります。
ですが、ここまでお読みいただいたあなたは、もう「何が起きているのか」の構造を理解されているはずです。原料・輸送・添加剤の3つが同時に詰まったこと、日本独自のDH-2問題、政府の3.1兆円補正予算成立と6月10日潤滑油直販スキーム稼働、6月17日ベルサイユ覚書署名と7月Brent戦争前水準到達、Pearl GTL約1年修復見通し──。これらを踏まえれば、極端な行動を取る必要はありません。冷静に、できる範囲で備える。これがいま、私たちにできる最善のことです。
そして、暮らしの中で冷静に行動する力へ。
・市場の見通しは3シナリオ(正常化定着$70-85/不安定共存$85-110/再燃$110-150+)で、7月2日時点でBrentは既に正常化定着シナリオの下限に到達しています。
・業界は「元に戻るのを待つ」のではなく「新しい正常状態」として向き合う段階に入りました。Pearl GTL修復には約1年(Shell/QatarEnergy公式)、ベースオイル供給網の本格回復には数か月かかります。
・暮らしレベルでは早めのオイル交換予約、7-9月の電気ガス支援活用、節電節ガス、ネット通販の使い方見直しなど、できる備えはたくさんあります。
・正確な情報源をチェックし、SNSの噂に振り回されないことが、結果的に家計を守る最善策です。
【7月更新】6月17日以降の動き ── 覚書署名と7月時点の到達点
この記事は6月5日に初回公開後、6月24日に一度アップデートし、この7月5日更新版で大幅刷新しました。6月17日のベルサイユ宮殿での覚書署名、6月19日のスイス正式署名式、そして7月時点で観測される「正常化シフト」は、記事本編でお伝えした「危機の構造」と対比しながら整理することで理解が深まります。この章では、6月中旬以降に起きた変化を、時系列で丁寧にご紹介します。
6月14〜17日:ベルサイユ宮殿での覚書署名
6月14日、トランプ米大統領がSNSで「イランとの合意が成立した」と発表しました。「ホルムズ海峡の通航料なしの開放と、米海軍による封鎖の即時解除を承認する。世界の船はエンジンを始動し、石油を流そう」との書き込みでした。時事通信と日本経済新聞が同日詳報。イラン最高安全保障委員会も覚書合意を発表し、パキスタンのシャリフ首相が仲介役として「レバノン含む全戦線での軍事行動を即時かつ恒久的に停止」と発表しました。
その3日後、2026年6月17日にフランス・パリ郊外のベルサイユ宮殿で、トランプ大統領とイランのペゼシュキアン大統領が戦闘終結の暫定合意覚書に署名しました。これが本記事で「ベルサイユ覚書」と呼んでいる合意です。トランプ氏は「このまま戦闘が続けば世界経済は大惨事になっていた」と記者団に発言。バンス副大統領はFOXニュースで「イランが核兵器を保有せず、開発や調達をしない確約が覚書に盛り込まれている」と説明しました。
米イラン双方は60日間の交渉期間を設け、最終合意を目指して協議することが決まりました。この覚書には以下が盛り込まれています。
- 米軍によるイラン港湾の海上封鎖の即時解除
- ホルムズ海峡の通航料なしでの開放(30日以内)
- 60日間の交渉期間でイランの核問題・制裁緩和を協議
- 石油輸出再開に向けた措置
- レバノン含む全前線での軍事行動の即時かつ恒久的な停止
イラン外務省報道官は6月15日、海峡通過船舶からの料金徴収の考えを改めて示しており、実務レベルでの詰めは残っています。
6月19日:スイスで正式署名式
ベルサイユでの暫定署名から2日後の6月19日、スイスで正式署名式が開催されました(日経、時事通信)。米イラン双方が正式に覚書に署名し、覚書が発効。ホルムズ海峡は30日以内に封鎖解除、米軍はイラン港湾に対する海上封鎖を解除することになりました。両国とも合意内容の履行は署名後に始まるとの認識で一致しています。
6月20〜21日:スイスで米イラン初協議
覚書署名後、初の米イラン協議がスイスで開催されました(NHKニュース6月21日)。ただしイランは「レバノンでの停戦違反」を訴え、ホルムズ海峡の再封鎖を主張。覚書履行の初期段階から不確実性が現れました。今後、協議が順調に進むかが焦点となっています。
6月26日:第11回中東情勢関係閣僚会議
首相官邸で第11回の中東情勢関係閣僚会議が開催され、経産省資料が公表されました。直販スキームおよび前年同月比同量の要請を元に、燃料・A重油等を含め累計155件の目詰まりを解消、潤滑油直販スキーム経由の製造業・自動車整備業への供給が6件成約済、6月下旬以降順次供給進展。207団体・企業が「目詰まり・偏り解消協力ネットワーク」に参加を表明しました。政府の対応継続度がハイペースで進展していることを示す会議となりました。
★6月29日:出光ダフニー、一部潤滑油製品の受注制限解除
業界にとっての最初の明確な緩和シグナルが、6月29日に出光興産から発信されました。業界代理店の2026年7月3日付情報によれば、出光興産ダフニー製品の一部潤滑油について、6月29日(月)10時から受注制限を解除したことが公表されました。4月8日以降続いてきた全油種対象の出荷制限が段階的に緩和局面へ移行したことになります。同時に7月〜価格改定も予告されています。危機の入り口で最も早く受注停止に踏み切った出光の緩和シフトは、市場全体の正常化トリガーの1つとして業界内で注目されています。
6月27〜28日:イラン「愚かな停戦違反」で湾岸再攻撃
ただし6月17日の覚書署名から2週間経たない6月27-28日、覚書履行の不確実性が現実化しました。米国がイラン行きの空のタンカーを攻撃した後、イランが「愚かな停戦違反」でバーレーン・クウェートの米海軍基地・商船に対して無人機攻撃を実施、紛争が湾岸諸国にも波及しました(TradingEconomics、時事通信)。トランプ大統領は「本格戦闘再開」を警告する場面もあり、イスラエルとレバノン(ヒズボラ)の間でも6月27日に和平枠組み合意が成立したものの、ヒズボラが反発し実効性は不透明な状況となりました。
7月1日:ドーハで米イラン間接協議 ── 協議継続で合意
湾岸再攻撃の緊張が続くなか、カタール外務省は7月1日、ドーハで行われた米国とイランの戦闘終結覚書に基づく間接協議で、双方が協議継続で合意したと発表しました(時事通信、AFP)。声明で「前向きな進展があった」と強調。7月4日から来週にかけてイランで執り行われる前最高指導者アリ・ハメネイ師の国葬関連行事が終了した後、「できるだけ早い時期」に次回協議、との仲介国パキスタン発表となっています。
★7月2日:Brent原油71.5〜72ドルで戦争前水準到達
そして7月2日、原油市場に象徴的な出来事が起きました。ブレント原油先物が1バレル71.5〜72ドルで安定推移し、2月末に中東紛争が勃発する前に最後に見られた水準に近い状態まで到達したのです(TradingEconomics)。米原油在庫は12週連続減少で2025年3月以来の最低水準となり、茂木外相はサウジ外相と電話会談で「イランから追加的費用を徴収されない形で自由で安全な航行を回復するため、国際社会が一致して声を上げることが重要」と共有しました。
戦争前水準到達
日量バレル超
戦争前水準比
回復めど
ホルムズ海峡の劇的回復
覚書履行の進展と外交合意により、ホルムズ海峡通航は劇的な回復局面に入っています。ホルムズ海峡の総流量は日々1000万バレルを超え、UAEは日々の輸出を390万バレル以上に回復させ(パイプライン迂回とホルムズ通過の併用)、サウジアラビア原油輸出は戦争前の水準の約90%まで回復しました。過去2週間で水路を通る交通量は明確に増加し、一部の船舶は米軍と連携している報告もあります。
日本の原油調達 ── 5月65% → 6月80% → 7月約10割回復
経産省6月11日資料(第10回中東情勢関係閣僚会議)によれば、日本の原油代替調達(ホルムズ海峡を経由しない)は劇的に回復しています:4月:前年比2割超、5月:前年比65%(過半)、6月:前年平月比8割程度、7月:想定需要日量224万バレルを上回り前年平月比約10割の調達回復に目途。特に米国からは前年平月比10倍以上(5月調達分から3倍以上)の見通しです。原油調達先の多角化が進展(中東・米国に加え、アジア太平洋・中南米・中央アジア・アフリカ)、日本には約8か月分(約200日分)の石油備蓄があり、6月についても第3弾国家備蓄放出決定は行われず、民間備蓄義務水準55日も維持されています。
ベースオイル業界の緩和シグナル
下流の潤滑油業界にも徐々に緩和シグナルが広がっています。
- 出光ダフニー:6月29日一部潤滑油製品の受注制限解除・7月価格改定
- 東洋化学商会:6月22日出荷制限一時解除
- Luberef Jeddah工場:新原料契約で継続稼働決定、地域唯一のGroup I/II/III全対応サプライヤーへ
- Pearl GTL:Shell/QatarEnergy公式で約1年修復見通し、無傷トレインあり
ただし、下流の追加コスト圧力は継続します。米AOCUSA・Highline Warrenは5月22日にGroup II製品+$2.40/gal、Group III製品+$3.00/galの卸価格改定第4波を実施、Costco「Kirkland Signature」・Walmart「SuperTech」の受託製造にも直接波及しました。日本国内でも7月〜8月にマコト産業(7/1)、森田研磨材工業(7/1)、クレトイシ(7月)、ゾーンケミカル(7/15)、プロセスイノベーション(8/1)、リューベ(8/3)の追加価格改定波が予告されています。
7月時点の3シナリオ ── 正常化定着シナリオの下限到達
本記事第8章で示した3シナリオ(正常化定着$70-85/不安定共存$85-110/再燃$110-150+)の枠組みに照らすと、7月2日時点でBrentは既に「正常化定着」シナリオの下限($70-85)に到達しています。市場は「短期的正常化」を強く織り込む展開に転じました。ただし6月27-28日のイラン停戦違反による湾岸再攻撃、イラン外務省報道官の海峡通過料徴収発言、Pearl GTL約1年修復期間中のGroup III/GTL供給タイトネス継続など、複数の不確実性が残存し、8月以降に「不安定共存」または「再燃」シナリオに逆戻りする可能性も排除できません。
「新しい正常状態」への静かな移行
2026年7月時点で観測される最も重要な変化は、業界と政府が「危機対応モード」から「新しい正常状態への設計モード」に静かに移行しつつあることです。政府の3.1兆円補正予算は、この「新しい正常状態」を1〜1.5年単位で支える財政的な覚悟を示したものと読めます。6月10日の潤滑油直販スキーム稼働と207団体・企業の協力ネットワークは、危機対応の枠組みが恒常的な政策インフラとして定着しつつあることを示しています。
「いつ元に戻るか」を待つのではなく、「新しい正常状態」として在庫水準・価格水準・契約条件・生活様式を組み直していく──それが2026年7月時点で私たちに求められている姿勢です。ニュースの動きを冷静に読み解きながら、日々の暮らしと事業を組み立てていきましょう。
・6月17日にフランス・ベルサイユ宮殿でトランプ・ペゼシュキアン両大統領が戦闘終結覚書に署名、6月19日にスイスで正式署名式が実施されました。
・6月20-21日スイス初協議、6月26日第11回閣僚会議、6月27-28日イラン「愚かな停戦違反」で湾岸再攻撃、7月1日ドーハ協議継続合意、7月4日以降ハメネイ元最高指導者国葬関連行事──覚書履行は不確実性を含みながらも進展中です。
・7月2日、Brent原油は71.5〜72ドルで戦争前水準に到達、ホルムズ通過量は日量1000万バレル超、サウジ90%・UAEも戦争前水準まで回復しました。
・6月29日出光ダフニー一部受注制限解除、6月22日東洋化学商会出荷制限一時解除など、下流業界にも緩和シグナルが出始めています。
・政府対応の成熟化(6/3補正予算3.1兆円成立、6/10潤滑油直販スキーム稼働、207団体協力ネット)で、新しい正常状態への静かな移行が進んでいます。
よくある質問
参照エビデンス一覧
- 首相官邸「米・イラン双方が戦闘終結などに関する覚書に合意した旨発表したこと等についての会見」(2026年6月15日)
- 首相官邸「中東情勢を踏まえた令和8年度補正予算等についての会見」(2026年5月25日)
- 首相官邸「中東情勢に関する関係閣僚会議(第1回〜第11回)」(2026年3月24日〜6月26日)
- 内閣官房「中東情勢に関する対応」ポータルサイト
- 経済産業省・内閣官房「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保及び重要物資の安定的な供給確保の対応状況」(第10回関係閣僚会議資料、2026年6月11日)
- 経済産業省・内閣官房「同上」(第11回関係閣僚会議資料、2026年6月26日)
- METI「赤澤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要」(2026年4月17日)
- METI「中東情勢関連対策ワンストップポータル」(https://www.meti.go.jp/chuto_josei/)
- 日本経済新聞「米イラン、戦闘終結の覚書で合意 トランプ氏『ホルムズ海峡開放を承認』」(2026年6月15日)
- 日本経済新聞「米イラン覚書が発効 ホルムズ海峡、30日以内に封鎖解除」(2026年6月19日)
- 日本経済新聞「食品値上げの要因は、包装資材コスト要因が7割」(2026年5月30日)
- 時事通信「米イラン、戦闘終結で合意 19日署名後、ホルムズ開放へ―通航再開焦点、核協議難航も」(2026年6月15日)
- 時事通信「米イラン間接協議、双方が協議継続で合意 ドーハで『前向きな進展』」(2026年7月1日)
- 時事通信【データで見る】ホルムズ海峡の状況2026年(AXSマリン社AIS追跡データ)
- NHKニュース「イラン情勢 6月21日の動き アメリカ イラン覚書署名後初の協議スイスで イランはホルムズ海峡再封鎖を主張」(2026年6月21日)
- TBS NEWS DIG「商船三井関連のLNGタンカー1隻がホルムズ海峡通過 日本関連船舶の通過は6隻目」(2026年5月28日)
- TradingEconomics「ブレント原油 - 価格チャート」(2026年7月2日更新)
- Reuters「Brent crude oil futures」(2026年4月2日)
- Bloomberg「原油は上昇、ホルムズ海峡の緊張再燃で-ブレント114ドル台」(2026年5月3日・4日)
- Bloomberg「高市首相、国家備蓄石油20日分を5月上旬以降に追加放出へ」(2026年4月10日)
- IEEJ(日本エネルギー経済研究所)「『冷静さ』保つ国際原油市場」(2026年5月11日)
- 新電力ネット「EIA短期エネルギー見通し」(2026年5月12日発表)
- IEA Oil Market Report(2026年3月)
- 第一生命経済研究所「2026年度補正予算案のポイント〜イラン情勢悪化に伴う物価高対策、ウクライナ時との共通点と相違点〜」(2026年6月3日)
- 電子デバイス産業新聞「政府、エンジンオイルなど潤滑油の直接販売スキームを構築」(2026年6月11日)
- トラックニュース「経済産業省/目詰まり回避で、6月10日から全業種対象『潤滑油の直接販売スキーム』開始」(2026年6月12日)
- トラックニュース「DH-2の製造量は前年並みを確保、業界は過剰発注抑制が急務」(2026年6月3日)
- Shell/QatarEnergy公式声明(2026年3月19-20日)
- Industrylinqs「Shell: recovery Pearl GTL in Qatar after air strike takes about a year」(2026年3月)
- JobbersWorld「Qatar Supply Disruptions Hit Pearl GTL」(2026年3月20日)
- Argus Media(baseoilnews.com)「Qatar Pearl GTL Halt Tightens Global Group III Base Oils Supply」(2026年3月19日)
- Argus Media「Chevron to produce Group III+ base oils in US」(2025年3月)
- Lubes'N'Greases「Weekly Asia Base Oil Price Report」(2026年5月12日)
- Gas-Price-Check「The 2026 Motor Oil Squeeze: Group III Supply Constraints Behind Automaker Rationing」(2026年5月16日公表・5月20日更新)
- Axios「Group III base oil supply 44% loss report」(2026年5月15日)
- CNBC「Strait of Hormuz: A base oils shortage threatens luxury auto giants」(2026年5月1日)
- S&P Global Energy「FACTBOX: Volley of attacks on Gulf energy sites sends prices soaring」(2026年3月19日)
- 業界代理店情報「中東情勢影響による油剤メーカー各社動向(2026-07-03版)」(日立工油等)
- ミカド商事ブログ「中東情勢によるオイル供給不足と価格高騰について」(2026年4月10日・5月15日・5月20日追記)
- ミカド商事ブログ「DH-2の不足と受注停止について 私見」(2026年5月2日)
- プロトリオス(msrweb)「中東情勢に伴う資材の価格高騰・供給不足に関する実態調査」(2026年5月13日)
- ジュンツウネットニュース「経済産業省が国家備蓄石油約20日分の放出開始」(2026年5月13日)
- ジュンツウネット21 添加剤メーカーガイド
- Windward ホルムズ海峡通航タンカー分析(2026年3月)
- CRS(米議会調査局)/英国議会図書館/Britannica等の一次ソース
免責事項・編集方針
本記事は2026年6月5日初回公開・2026年7月5日最終更新時点で取得した一次情報・公的機関・業界各社の公式情報を独自に収集・整理し、専門用語をやさしくかみ砕いて一般読者向けに解説したものです。価格・供給状況は日々変動しており、実際の調達条件は取引先・数量・地域・契約内容等により異なります。米イラン戦闘終結覚書の履行状況は7月時点で流動的であり、6月27-28日イラン停戦違反による湾岸再攻撃、7月4日以降のハメネイ元最高指導者国葬関連行事後の米イラン協議など、情勢は正常化と再燃の両可能性を含みます。本記事の情報に基づく個別の調達判断・整備判断・投資判断等については、必ず最新情報・専門家(整備工場・修理事業者・法律・税務・投資の専門家等)の助言を得た上で行ってください。業界代理店各社の動向情報は連日更新されており、最新版はそれぞれの公式サイトでご確認ください。より詳細な業界動向・専門的な分析については、当社の専門記事「エンジンオイル危機2026|6月17日米イラン覚書と7月原油調達10割回復、Pearl GTL 1年修復下の潤滑油市場正常化シフト」もご参照ください。