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ニュースで聞くイラン情勢が招く「2026年アドブルー危機」をやさしく解説、物流トラックが走れなくなる本当の理由
📘 やさしく解説シリーズ

ニュースで聞くイラン情勢が招く「2026年アドブルー危機」をやさしく解説、
物流トラックが走れなくなる本当の理由

📅 公開: 🔄 更新: ✍️ プラスチックパレット株式会社
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ニュースで「アドブルーが足りない」「ディーゼル車が走れなくなる」という言葉を聞いたことはありませんか?普段の暮らしではあまり馴染みのない名前ですが、実はこの「青い液体」が、私たちの暮らしを支える物流トラック・バスの大半に必須の存在です。2026年の春から、アドブルーの値段が一斉に上がり始め、メーカー3社が公式に価格改定を発表しました。5〜6月には価格が反落し、供給局面も落ち着きを取り戻しましたが、7月12日にホルムズ海峡が再び閉鎖されるという事態が発生し、再び不安要素が浮上しています。原因は、ニュースで耳にする「イラン情勢」と「ホルムズ海峡」。物流トラックが止まれば、スーパーの棚も、ネット通販の配送も、薬局の薬も、暮らしの隅々まで影響が及びます。政府の対応、代替調達先の希望、暮らしへの影響と私たちにできる工夫を、暮らし目線でやさしくお伝えします。

CHAPTER 01

そもそも「アドブルー」って何ですか?

まず最初に、「アドブルー」が一体何なのかから始めましょう。アドブルー(AdBlue®)とは、ディーゼルエンジンを積んだトラック・バス・大型乗用車などに必須の「高品位尿素水」です。簡単に言えば、「真水と尿素を混ぜた、無色透明(実際は青みがかった)の液体」。この液体が、ディーゼル車の排気ガスをきれいにする装置で使われています。

日本では2010年以降の大型ディーゼル車のほとんどに、SCRシステム(エスシーアールシステム=選択還元触媒)という装置が搭載されています。この装置は、エンジンから出る排気ガスに含まれる有害な窒素酸化物(NOx=ノックス)を、無害な窒素と水に分解する役目を担っています。そして、その分解反応に必要なのがアドブルー。アドブルーがなければ、現代のディーゼル車は法律で走れません

💡 やさしく例えると

アドブルーは「ディーゼル車版のガソリン」のような存在

想像してみてください。ガソリン車にガソリンが入っていないと走れないように、現代のディーゼル車もアドブルーが入っていないと走れません。違いは、アドブルーは「燃料」ではなく「排気ガスをきれいにする液体」だということ。

車にはアドブルー専用のタンクがあり、燃料とは別に補充が必要です。トラックの場合、満タンで1〜2か月走れる程度の量が入っています。つまりトラックの運行は、ディーゼル燃料とアドブルーの「2本柱」で成り立っているのです。アドブルーが切れたら、トラックは止まります。

日本国内で動いているトラックやバスのうち、ディーゼル車は8割以上を占めると言われています。宅配便のトラック、スーパーへの配送トラック、長距離輸送の大型トレーラー、観光バス、路線バス、ゴミ収集車、消防車、救急車——私たちが「物流」「公共交通」「ライフライン」と呼んでいるものの大半が、ディーゼル+アドブルーで動いているのです。

CHAPTER 02

なぜアドブルーが値上がりしているの?

ここからが本題です。「アドブルーと中東の情勢って、関係あるの?」と思った方は、鋭いです。実は、深い関係があります。

アドブルーの主原料は「尿素(にょうそ)」と呼ばれる物質です。尿素は天然ガスから作られています。そして、日本は尿素のほぼ全量を輸入に頼っています。農林水産省のデータによれば、日本の尿素輸入先はマレーシア74%・ベトナム10%・サウジアラビア約5%が中心。「あれ、中東は5%だけ?」と思うかもしれませんが、ここに落とし穴があります。

2026年3月、イスラエル・米国とイランの衝突が起きました。イランはそれに対して「ホルムズ海峡」という大事な海の通り道を閉鎖する措置を実施。同じ3月に、カタール・ラスラファンの主要な化学プラントで「不可抗力(フォースマジュール)」が宣言され、世界の尿素・アンモニアの生産が物理的に停滞しました。

💡 やさしく例えると

「日本は中東から買っていない」のに、なぜ影響が?

スーパーで考えてみてください。あなたがいつも買う「A店のお米」が値上がりしたとします。あなたは「私はB店のお米を買っているから関係ない」と思うかもしれません。しかし、A店のお客さんがB店に流れてきて、B店のお米も品薄になり、結局B店も値上げ——。これがいま、世界の尿素市場で起きていることです。

中東から尿素を買っていた国々(インド、ヨーロッパ等)が、突然中東から買えなくなり、マレーシア・ベトナム・サウジアラビアといった日本の主要調達先に殺到。日本が「直接買っていない」中東の問題が、世界市場を通じて日本に届く構造です。ホルムズ海峡周辺の混乱により1か月で約300〜400万トンの肥料貿易が滞ったと指摘されています。

その結果、世界銀行5月発表データによれば、代表的な尿素肥料の4月国際価格は1トン857ドルに達しました。3月の前月比+54%上昇に続き、4月は前月比+18%上昇。農水省4/28発表でも、3月の尿素輸入通関価格は1トン93,070円(前月比+17.5%)。原料の尿素そのものがこれだけ値上がりすれば、それを使って作るアドブルーも当然値上がりします。

7月12日、ホルムズ海峡が再び閉鎖された

「もう危機は落ち着いたのでは?」と感じられた方もいるかもしれません。実は5〜6月には尿素の国際価格は反落し、5月8日には547.50ドル/トン、6月26日には366.50ドル/トンまで下がっていました。ところが2026年7月12日、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡再閉鎖を宣言し、米中央軍がイラン核関連施設140目標を空爆という新しい事態が発生。国際市場では原油ブレント価格が一時4%高となり、尿素の再上昇圧力が生じています。

ただし7月14日には、共同通信の報道により日本関係の原油タンカー12隻すべてがホルムズ海峡を通過してペルシャ湾外へ退出完了したことが明らかになりました。商船三井系のタンカーなどが7月14日までに通過し、湾内残存は原油タンカー以外の日本関係船舶4隻のみ。IRGCの「宣言」と実際の航行実態は必ずしも一致せず、日本政府の退避オペレーションが機能したことで、当面の物理的な供給ストップは回避されています。

CHAPTER 03

「3社連続値上げ」の中身を見てみよう

2026年3月以降、アドブルーを供給する大手3社が公式に価格改定を発表しました。弊社が直接入手した「値上げ通知書(一次資料)」の内容を整理します。

📌 公式発表が相次ぐ

2026年4〜6月 アドブルー価格改定3社の動き

三井物産プラスチック
+10円/L
2026年4月20日 出荷分〜
伊藤忠エネクス
+5〜7円/L
2026年5月1日〜
新日本化成
+8円/L
2026年6月1日 納入分〜

3社の改定幅は5〜10円/Lとバラつきがありますが、いずれも「中東情勢と原料・燃料コストの複合上昇」を主な理由としています。とくに新日本化成は通知書の中で「自社努力で吸収できる限界を遥かに超えている」「今後の状況次第では再度の価格改定もあり得る」と明示しており、業界の厳しさを物語っています。

「青い液体」が止まる、もう一つの原因

実はアドブルー危機には、「液体そのもの」とは別の問題もあります。それが「容器」の問題です。アドブルーを運ぶ容器、たとえば家庭サイズの5L・10L・20Lの「バッグインボックス(BIB)」と呼ばれる箱型容器の内袋は、ナフサ由来のプラスチック(LDPE/LLDPE)でできています。原油・ナフサ市況の急変動で、この容器の調達も難しくなっているのです。

2026年5月22日、業界紙トラックニュースがアドブルー製造大手4社(三井化学・新日本化成・日産化学・三菱ケミカル)にヒアリングしたところ、興味深い結果が得られました。液体そのものは「フル稼働で供給確保・容器も現状では不足なし」と4社が回答。ただし日産化学は「容器メーカーからは、今後、出荷調整がある可能性があるとの連絡」と明示しており、容器側のリスクは依然残っています。

💡 やさしく例えると

「中身は十分、でも容器が足りない」状態

想像してみてください。ペットボトル飲料を作る工場で、中身のジュースは十分にあるのに、ペットボトル容器が足りないせいで出荷できない状況。これが2026年春のアドブルーで起きていたことです。

そのため、「中身(アドブルー本体)」を箱詰めせず、大型のドラム缶(200L)やタンクローリーで運ぶ販売方法では流通の目詰まりが発生していないと整理されています。家庭の小さなボトル買いより、トラック運送会社や整備工場で「まとめ買い」する形のほうが影響を受けにくい構造です。

CHAPTER 04

最悪期は通過、でも7月の再閉鎖で再び不安

2026年6月時点で、業界の状況は明確に転換していました。3〜4月のひっ迫局面から、5月後半以降は「価格改定は確定済みだが、生産・供給は正常化方向」という新しいフェーズに入りました。新日本化成は5月22日のトラックニュース取材で「3月〜4月にかけて問い合わせが多くあったが、5月から問い合わせは落ち着きつつある」と回答。国際尿素価格も5月547.50ドル→6月26日366.50ドル/トンへと26%近く下落しました。

しかし2026年7月12日のホルムズ海峡再閉鎖宣言と米中央軍の空爆で、状況は再び不透明になりました。国際市場では尿素の再上昇圧力が発生しており、これが日本の輸入コストに反映されるまでには通常1〜3か月のタイムラグがあります。「6月時点の反落は本当に一時的だったのか」「7月の再閉鎖は長引くのか」が、これから注視すべきポイントです。

「あ、じゃあアドブルーがまた高くなるの?」と心配になった方もいるかもしれません。ここで大事なポイントを整理します。まず、4〜6月に確定した国内3社の価格改定は、原料市況の短期変動では撤回されません。「値上げは早く、値下げは遅い」という法則が働きます。

💡 やさしく例えると

「値上げは早く、値下げは遅い」という法則

ガソリンスタンドを思い出してください。原油価格が上がると、翌週にはガソリン価格が上がる。でも原油価格が下がっても、ガソリン価格はなかなか下がらない——こんな経験ありませんか?

理由は3つあります。①「累積コスト」の問題:メーカーの値上げは「2025年後半から積み上がったコストの累積反映」で、直近の市況には連動しない。②契約の確定:原料の値上げ(尿素+10円/kg)は2026年1月以降納品分ですでに契約確定済み。③「自社努力の限界」:新日本化成の通知書が示すとおり、メーカーは限界まで価格上昇を吸収してから値上げに踏み切っているため、短期市況の好転では撤回されません。

つまり「液体本体の供給は落ち着いてきたけれど、価格改定は確定した」──これが2026年7月時点のアドブルー業界の姿です。

CHAPTER 05

政府と業界はどう対応しているの?

「政府は何かしているの?」と気になる方もいるかもしれません。実は2026年3月から、政府は本格的な対応体制を構築しています。中心にいるのが、赤澤亮正 経済産業大臣です。

🏛️ 政府対応の中心

赤澤経済産業大臣「中東情勢に伴う重要物資安定確保担当」

2026年3月、高市早苗内閣は赤澤亮正 経済産業大臣に対し、通常の経産大臣所管業務に加えて「中東情勢に伴う重要物資安定確保担当」を兼務指定しました。これにより、アドブルー原料の尿素を含む中東発の輸入依存が高い重要物資について、経済産業省が政府全体の実務対応を統括する体制が確立されました。

具体的な対応として、赤澤大臣主催で「重要物資の安定的な供給確保のためのタスクフォース」を4月から開催(第1回4/2、第2回4/9)。事業者向けの情報集約サイト「中東情勢関連対策ワンストップポータル」(https://www.meti.go.jp/chuto_josei/)を運営しています。運送事業者から荷主への適切な価格転嫁を政府として後押しする体制も整備されており、金子国土交通大臣は6月4日に「トラック・物流Gメンに中東情勢の影響の重点調査、公正取引委員会と連携した価格転嫁」を指示しました。

さらに「中東情勢に関する関係閣僚会議」が3月24日の第1回から7月14日時点までに11回開催されており、政府横断で情報共有と対応調整を進めています。特に6月11日の第10回会議では、高市早苗総理が原油の代替調達について画期的な発表を行いました。

💡 やさしく例えると

「同じことを尿素でも」──原油分野での成功モデル

日本の原油は従来、ホルムズ海峡経由で9割以上を中東から輸入していました。しかし2026年6月11日、高市総理は「新たにカナダからの輸入が決まり、7月にはメキシコから初めて原油が届く」「米国からは前年平月比で10倍以上調達できる見通し」「原油のホルムズ依存度が9割を超えていた我が国が、全量ホルムズ外から調達できるようになった」と表明しました。

わずか3か月で原油の全量ホルムズ外調達を達成したこの実績は、尿素・アドブルー分野でも同じことができる可能性を示しています。政府と業界が本気で取り組めば、単一の海峡や地域に依存する脆さは、改善していけるという希望のモデルです。

代替調達先の希望 ── 「マレーシア以外」の選択肢を増やす

日本のアドブルー用尿素は現在、マレーシア74%への一極集中が続いています。この構造を段階的に見直し、複数の調達先に分散させることが「次の危機への備え」として重要視されています。既存の輸入国(マレーシア・中国・中東)以外で、今後の代替調達先として現実性のある候補が浮上しています。

候補国 中核メーカー 日本にとっての希望
インドネシア
(最有力候補)
Pupuk Indonesia社 東南アジア最大級の尿素供給力。2026年5月に豪州向け輸出を開始しており、日本行き輸出への転換可能性が高い。
ブルネイ Brunei Fertilizer Industries 日本を含む14カ国への輸出実績あり。中東より圧倒的に物流距離が短い(東南アジア域内は2〜4日)。
ナイジェリア Dangote/Indorama アフリカ最大級の供給能力。中東紛争と物流経路が独立。近年、急拡大投資中。
カナダ Nutrien/CF Industries G7・OECD構成国で政治安定。原油分野で既に日加政府間対話の実績あり。

いずれもすぐに完全な代替になるわけではありませんが、マレーシア74%依存を段階的に圧縮し、複数の調達源に分散させるという方向で、政府と業界が動き始めていることは、消費者にとっての希望材料です。次のホルムズ再閉鎖や中東の混乱が起きても、影響を吸収できる強さのある物流網に、少しずつ変わっていくことが期待されます。政府対応の最新情報が気になる方は、経済産業省の「中東情勢関連対策ワンストップポータル」(https://www.meti.go.jp/chuto_josei/)で事業者向けの情報が一元的に整理されており、消費者にとっても参考になります。

DAILY IMPACT
物流が止まったら、暮らしはどうなる?
CHAPTER 06

アドブルー危機が暮らしに届く「6つの経路」

個人がアドブルーを直接使うことはほぼありません(ディーゼルの自家用車オーナーを除けば)。それでも、アドブルー危機は私たちの暮らしに確実に届きます。なぜなら、私たちが目にするほぼすべての商品の「最後の運び手」がトラックだからです。

暮らしへの6つの経路

影響を受ける場面 どう届くか
スーパー・コンビニの
商品棚
物流コスト上昇が小売価格に転嫁され、食料品・日用品の値上げとして家計を直撃。特に物流コスト比率の高い生鮮品・日配品(牛乳・パン・野菜など)が真っ先に影響。
ネット通販の
配送料
「送料無料」が縮小・配送料の値上げ。配送業者の運賃改定で大手ECモール・宅配便の利用料が上がる流れ。再配達削減のお願いがより強くなる。
建設・工事現場への
資材搬入
建設資材を運ぶダンプ・ミキサー車などへの影響で、住宅建築費・リフォーム費に間接的に転嫁。マンションの大規模修繕費にも影響。
医薬品・
医療物資の配送
薬局・病院への配送遅延リスク。すでに薬不足・医療物資ひっ迫が進行している中で、物流の負荷が追加されると影響は大きい。
宅配便・引越し・
家具配送
個人向けの宅配サービス全般の値上げ。引越し料金の値上げ・配送日延長。家具・家電の購入時の組立配送料も上昇傾向。
地方・離島の
生活インフラ
長距離輸送依存度が高い地域ほど影響が大きい。離島・山間部の生活物資の値上げ・配送遅延が顕在化する可能性。

個人ドライバー(ディーゼル車オーナー)への影響

ディーゼル車を所有している方(ハイラックスやランドクルーザー、デリカD:5、CX-5/CX-8のディーゼル仕様など)は、より直接的な影響を受けます。ガソリンスタンドのアドブルー販売は完全には止まっていませんが、3〜4月の局面では一部スタンドで売り切れ・購入制限が発生しました。EC市場では2026年3〜4月頃に20Lで18,000円超の異常値も観測されていました。7月時点ではネット通販・ホームセンター・カー用品店・ガソリンスタンドの在庫は概ね回復していますが、正規ルートからの購入が安心です。参考までに、2026年7月時点の個人向け実売相場は5L 1,500〜2,300円・10L 1,800〜3,000円・20L BIB 2,500〜5,000円が中心です。

参考までに、2022年(前回のアドブルー危機)は中国の輸出停止1本が原因でしたが、2026年は「中東情勢+7月ホルムズ再閉鎖+容器問題」の複合構造という違いがあります。2022年当時はSNSで「アドブルー難民」という言葉が生まれるほど全国のスタンドで売り切れが続出しましたが、2026年7月時点では、政府対応の速度(赤澤大臣・タスクフォース)と業界の対応力の向上により、その時ほどの完全な品薄には至っていないのが大きな違いです。ただし価格面での負担増は確実で、20L入りBIBで前年比+200〜400円の値上げが消費者価格にも反映されつつあります。

CHAPTER 07

暮らしの中でできる5つの工夫

個人の力でアドブルーの価格を下げることはできません。しかし、暮らし方の少しの工夫で、家計への負担を和らげ、社会全体の物流負荷の軽減にも貢献できます。どれも今日から始められる、無理のない工夫です。

  1. ディーゼル車オーナーは「行きつけの整備工場」で計画的にチャージ:個人でガソリンスタンドを巡るより、整備工場や運送会社のルートでの定期チャージが確実です。一回あたりの単価も安定しやすく、品質も信頼できます。「次回の車検でアドブルー満タンお願いします」と一声かけるだけで、緊急時の品薄リスクを避けられます。
  2. ネット通販の異常値段品には手を出さない:20L 10,000円超といった通常の数倍の価格で出品されているアドブルーには、JIS規格外品の流通リスクがあります。品質基準を満たさない製品はSCRシステムの故障を招き、最悪の場合10〜30万円の修理費がかかることも。正規ルート(Amazon・楽天・Yahoo!の主要販売元、カインズ・コメリ等のホームセンター、オートバックス等のカー用品店、ガソリンスタンド、整備工場)から購入を維持しましょう。
  3. まとめ買い・冷凍備蓄で買い物頻度を減らす:物流コスト上昇は最終的に小売価格に転嫁されます。週1回のまとめ買いに切り替え、冷凍野菜・冷凍肉・冷凍パンなどを活用して家庭内備蓄を増やせば、買い物頻度を減らせます。これは家計の節約にもなり、同時に小売店・配送業者の負荷軽減にも貢献します。
  4. 地元密着スーパーや地産地消を活用する:物流距離が短い「近場の生産者」「地元密着スーパー」は、長距離輸送依存度が低いため、物流コスト上昇の影響を受けにくい傾向があります。直売所・道の駅・産直アプリなど、生産者と消費者の距離が近いチャネルを生活に取り入れると、家計にも環境にもやさしい選択になります。
  5. 再配達削減で物流負荷を減らす:宅配便の再配達は、物流業界にとって大きな負担になっています。置き配・宅配ボックス・コンビニ受取の活用、配達時間の指定など、ちょっとした工夫で再配達を減らせます。これは配送業者の負担を減らし、アドブルー消費量を抑えることにもつながり、最終的に運賃の安定化に貢献します。
IN CLOSING
最後に ── 物流は「あって当たり前」ではない

毎朝、コンビニのおにぎりが棚に並んでいる。注文した本が翌日届く。スーパーに季節の野菜が揃っている。これらは「あって当たり前」のように感じますが、その裏ではアドブルーを満タンにしたトラック・バスが、夜通し走り続けています。アドブルーという「青い液体」が止まれば、その「当たり前」は静かに崩れていきます。

2026年のアドブルー危機は、私たちの暮らしがどれほど世界の出来事と密接につながっているかを教えてくれました。中東カタールの工場の不可抗力宣言が、東京の家庭の冷蔵庫の中身にまで届く。グローバル化した現代の供給網は、それほど繊細で、それほど人間関係に似ています。

振り返ってみると、アドブルーの値段が上がっている本当の理由は「中東で起きたこと → 世界の尿素需給の変化 → 日本のメーカーの値上げ → 物流コスト上昇 → 私たちの暮らしへの転嫁」という長い連鎖です。一つひとつの段階では誰かが「自社努力で吸収できる限界を遥かに超えている」と苦しみながら判断しており、最後の「私たちの暮らし」も無関係ではいられません。

ただし、明るい変化もあります。政府は赤澤経済産業大臣を中心に本格的な対応体制を構築し、原油分野では3か月で全量ホルムズ外調達を達成しました。尿素・アドブルー分野でも、インドネシアを最有力候補、ブルネイ・ナイジェリア・カナダを追加候補とする代替調達源の多元化が動き始めています。次のホルムズ再閉鎖や中東の混乱が起きても、影響を吸収できる強さのある物流網に、少しずつ変わっていくことが期待されます。

この記事が、ニュースで聞く「アドブルー不足」「ナフサ危機」という言葉を、少しでも身近に感じるきっかけになれば嬉しいです。私たちにできることは小さなことばかりですが、「物流が動いていることへの感謝」と「ちょっとした暮らしの工夫」が、目に見えない場所で誰かを支える力になります。コンビニで「ありがとう」と一言、配達員さんに「お疲れさまです」と一声——そんな小さな積み重ねが、回り回って物流業界の励みになり、私たちの「当たり前の暮らし」を支えることにつながっていきます。アドブルーという「青い液体」の向こうには、毎日働いている運転手さん、整備士さん、メーカーの人たちがいる──それを少しでも意識できるようになれば、この記事を書いた甲斐があります。

主な情報源

  • 三井物産プラスチック「三井のAdBlue® 価格改定のお願い」(2026年3月付) ── 一次資料:全荷姿+10円/L、改定日2026年4月20日出荷分から。
  • 伊藤忠エネクス「アドブルー価格改定のお知らせ」(令和8年3月吉日付) ── 巡回給水+5円/L・BIB+7円/L、改定日2026年5月1日。
  • 新日本化成「AdBlue®製品価格改定のお願い」(2026年4月吉日付) ── 全荷姿+8円/L、改定日2026年6月1日、「自社努力で吸収できる限界を遥かに超えている」と明示。
  • トラックニュース「アドブルー/メーカー各社、増産やフル稼働で供給確保」(2026年5月22日) ── 主要4社(三井化学・新日本化成・日産化学・三菱ケミカル)ヒアリング結果、新日本化成「5月から問い合わせは落ち着きつつある」。
  • 共同通信「日本関係の原油タンカー全て通過 ホルムズ海峡、残り4隻」(2026年7月14日) ── 12隻の日本関係船舶の原油タンカーがすべて通過完了、商船三井系タンカー含む。
  • AFP・CNN.co.jp・日本経済新聞「イラン革命防衛隊、ホルムズ海峡再閉鎖を宣言/米中央軍140目標空爆」(2026年7月12日) ── IRGC海軍の再閉鎖宣言、原油ブレント一時4%高。
  • 首相官邸「第2次高市内閣 閣僚等名簿」/経済産業省「経済産業大臣 赤澤亮正」 ── 赤澤大臣が「中東情勢に伴う重要物資安定確保担当」を兼務指定(2026年3月)。
  • 内閣官房「中東情勢に関する関係閣僚会議 第1回〜第11回議事」(令和8年3月24日〜6月26日) ── 全11回開催、6月11日第10回で高市総理「全量ホルムズ外調達」達成表明。
  • 経済産業省「中東情勢関連対策ワンストップポータル」(https://www.meti.go.jp/chuto_josei/) ── 事業者向け一次情報の集約サイト。
  • Pupuk Kaltim・ANTARA News・Tempo.co(2026年5〜6月) ── インドネシアPupuk Indonesia社の豪州向け47,250トン初回輸出(ボンタン→ブリスベン)、プラボウォ政権5年で7新工場計画。
  • 日本経済新聞「続く肥料高/ホルムズ危機で国際価格さらに2割高」(2026年5月5日) ── 世界銀行集計、代表的尿素肥料の4月国際価格は1トン857ドル、前月比+18%。
  • NHKニュース「尿素輸入価格17%上昇 イラン情勢影響」(2026年4月28日) ── 農水省発表:3月尿素輸入通関価格は1トン93,070円、前月比+17.5%。
  • 農林水産省「肥料の価格情報」(令和8年5月15日更新) ── 日本の尿素輸入先:マレーシア74%・ベトナム10%・サウジアラビア約5%。
  • トラックニュース「国土交通省/金子大臣『トラック・物流Gメンに中東情勢の影響の重点調査、公取委と連携した価格転嫁』指示」(2026年6月4日) ── 運送事業者から荷主への適切な価格転嫁を政府として後押しする体制を整備。
  • Trading Economics「尿素価格チャート」 ── 5月8日547.50ドル/トン、6月26日366.50ドル/トンへ反落、7月ホルムズ再閉鎖で再上昇圧力。
注記:本記事は2026年6月7日初回公開・2026年7月22日最終更新時点の公開情報・各社公式発表・業界報道をもとに、暮らし目線で分かりやすくお伝えするために作成しました。価格・数値は実勢の参考値であり、商品・地域・業者・時期により変動します。中東情勢は数時間単位で変動するため、最終的な判断は最新の一次情報を参照してください。本記事は情報提供を目的とし、特定の商品・業者を推奨するものではありません。
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