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エネルギー戦略|経営トップ発言分析

原油調達は9月分めど・ナフサ調達は改善基調、ENEOS副社長・化学メーカー4社社長コメントから読み解く2026年7月時点の調達現実と価格転嫁の壁

2026年7月3日、ENEOS田中副社長がロイターに「原油代替調達は9月分までめどが立ち、だいぶ安定してきた」と語った。旭化成・住友化学・三井化学・信越化学の経営トップコメントを時系列で並べ、ナフサ調達の改善基調、稼働率68.1%の過去最低、倍近い価格高騰、価格転嫁の困難という2026年7月時点の実像を経営トップの肉声で読み解く。

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2026年7月3日、ENEOS田中副社長がロイターに、原油代替調達が9月分までめどが立ち「だいぶ安定してきた」と語った。化学メーカー4社(旭化成・住友化学・三井化学・信越化学)の社長コメントからは、ナフサ調達めど立ちも価格は倍近く高騰し、エチレン稼働率は68.1%と過去最低。原油調達安定化とナフサ・クライシスの二極分化が経営トップ発言で鮮明になった。

1. ENEOS田中副社長のインタビュー全景、原油代替調達9月分めどの実相

2026年7月3日、ENEOSホールディングスの田中聡一郎副社長兼CFOがロイターのインタビューに応じ、中東情勢に伴う原油の代替調達について9月分までの調達にめどが立ったと明らかにした。取材は7月2日に実施されたもので、日本の石油元売り最大手のトップから、5月分速報の中東依存度73.9%という歴史的低水準に続く2026年7〜9月分の調達見通しが公に語られた瞬間である。

「だいぶ安定してきた。コンスタントに取れている。今の状況が続けば備蓄を取り崩す必要もないくらい確保できている。ただ今後、また混乱するかどうかによって変わってはくるだろう」 ENEOSホールディングス 田中聡一郎副社長兼CFO(ロイター、2026年7月3日)

田中氏が挙げた主な調達先は米国で、これに加えて紅海ルートなどを通じたホルムズ海峡以外の中東からの調達、そしてアゼルバイジャンからも少量を確保しているという。アゼルバイジャンはカスピ海の産油国で、BTCパイプライン(バクー・トビリシ・ジェイハン)経由でジェイハン港(トルコ)から地中海積み出しが可能な国であり、日本の元売各社がこれまで大規模には手掛けてこなかった調達先である。

ただし田中氏は、中東情勢について「いったん少し落ち着いているが、完全に霧が晴れた状態にはなっていない」と慎重な見方も示した。中長期的な調達先多様化については、「状況をにらみつつ、中長期的にどういうふうに(調達先の)多様化が実現できるのか、政府と歩調を合わせながら、経済性と両立する形で実現できるかをこれから探っていく」と述べ、中長期的な中東依存度の引き下げについては「リスクヘッジや国のエネルギー安全保障の観点からそうした方が良いのは間違いない」と話した。

2. 化学メーカー4社社長の「めど期間」時系列、4月から7月へ延伸の軌跡

ENEOSの原油調達めどが9月まで延びた背景を化学メーカー側で並べ直すと、めど期間が時系列で段階的に延伸してきた構図が浮かび上がる。旭化成の工藤幸四郎社長が最初に「6月末めど」を表明した2026年4月15日から、ENEOSの田中副社長が「9月分めど」を表明した7月3日までの約2ヶ月半で、業界全体の見通し確保能力が着実に伸びてきた。

発表日 経営トップ めど期間・調達状況
2026年4月15日 旭化成 工藤幸四郎社長 ナフサ「6月中旬〜6月末までのめど」/AMEC水島も6月中旬まで稼働めど
2026年5月13日 三井化学 吉田修CFO 「2カ月先まで確保の見通し」/改善傾向/北米・アフリカ・南米
2026年5月14日 住友化学 水戸信彰社長 「おおむね6月までめどが立った」/お金を出せば確保可能
2026年5月27日 三井化学 市村聡社長 「7月以降クラッカー稼働率は8割超えが見通せる」
2026年7月3日 ENEOS 田中聡一郎副社長 原油「9月分までめどが立った」/備蓄取り崩し不要

この時系列が示すのは、ホルムズ海峡問題発生(2026年2月末)から約5か月をかけて、日本の元売・化学メーカー各社が中東域外調達の実務ルートを段階的に確立してきたという事実である。特に住友化学の水戸社長が5月14日に「6月まで」と表明した時点から、三井化学の市村社長が5月27日に「7月以降8割超え」と表明するまでのわずか2週間で、業界の見通しが1か月分前進した点は注目に値する。ENEOSの田中副社長が7月3日に語った「9月まで」は、この延伸トレンドの延長線上に位置する。

3. 各社の調達先多角化戦略、米国主・中南米・アフリカ・中央アジア・アゼルバイジャン

経営トップ発言を横断的に見ると、日本の原油・ナフサ調達先の多角化が地政学的にどう広がっているかが明確に浮かび上がる。従来の中東一極集中から、大西洋・太平洋・カスピ海圏を含む地理的分散が実装段階に入った。

企業 主要調達先(発言ベース) 備考
ENEOS 米国主、紅海ルート経由の中東、アゼルバイジャン少量 田中副社長発言(原油)
三井化学 北米品比率上げ、アフリカ、南米 吉田CFO発言(ナフサ)
旭化成 米国、中南米、一部アフリカ、中央アジア 工藤社長発言(ナフサ、政府情報活用)
住友化学 調達先詳細非公表(全社一丸で安定調達) 水戸社長発言(ナフサ)
信越化学 米国シェールガス由来エタン(従来から自律設計) 斉藤社長発言、ナフサ依存が構造的に低い

経済産業省の細川副局長は、日経ビジュアルデータの取材で、中東域外からのナフサ調達を月間45万kl→90万kl(倍増)にまで引き上げていると説明した。政府接触リストにはアルジェリア・オーストラリア・インド・ペルー・ナイジェリア・アンゴラが含まれ、化学メーカー各社の「政府との連携」発言はこの動きに直接呼応するものである。旭化成の工藤社長も4月15日、政府からの情報をもとに購入したナフサがあると明かしている。

4. 数字が示す不都合な現実、稼働率68.1%・価格倍近く・営業利益150億円減

経営トップが表明した「めどは立った」の裏側には、経営数字で表現される厳しい現実がある。ナフサ調達の量的な確保と、事業の収益性・稼働率の維持は別問題である点を、各社の発言から具体的な数字で拾い出してみる。

エチレン設備稼働率
68.1%
2026年5月・過去最低水準
90%割れ連続月数
43〜44か月
損益分岐目安を4年連続下回り
中東外ナフサ価格
約2
旭化成・工藤社長「通常の倍近い」
三井化学 中東影響
-150億円
2026年度コア営業利益減見込み

三井化学の吉田修CFOは2026年5月13日の決算説明会で、通期のナフサ価格前提を1キロリットル当たり9万5,000円としつつ、期初は足元並みの12万円程度からスタートし、下期に10万円程度に下がる前提だと説明した。「ナフサクラッカーの稼働率については、依然として減産を継続せざるを得ない状況で、70%を切る水準での減産や減販、エネルギーコストの悪化などを織り込んで、2026年度業績予想において中東情勢の影響でコア営業利益が150億円減と見込んでいる」と述べた。

「われわれの使命は原材料を安定的に確実に供給すること。そのためには、高騰している原料分については価格転嫁をお願いせざるを得ない。安定供給のために、理解をいただきながら進めていきたい」 三井化学 吉田修常務執行役員CFO(決算説明会、2026年5月13日)

5. 旭化成・工藤社長「極めて日本的」な目詰まり構造、業界共通の構造課題

2026年4月15日の旭化成・工藤幸四郎社長の経営説明会発言は、今回のナフサ・クライシスの本質を突いたものとして業界内で広く共有された。特に「目詰まりの起こり方が、極めて日本的」という指摘は、量的な調達確保と実際の供給不足感が乖離する日本特有の現象を捉えた分析である。

「目詰まり(供給不足)の起こり方が、極めて日本的であるという風に感じている。7月以降はまだ分からない、あるいは少し不安があるというのがサプライチェーンの中で伝わることで『今まで通り販売すると、いつか足りなくなる可能性があるから少し販売を抑えよう』という意識が広がった結果、目詰まりが起こっていると理解している」 旭化成 工藤幸四郎社長(経営説明会、2026年4月15日)

工藤社長はさらに、「ナフサクラッカーの稼働率は、中東問題が起こる以前から最低の水準に近かった。ぎりぎりの状態で稼働していたという状況は業界内では常識とされていたが、今回の中東問題をきっかけに日本全体に知れ渡った」とも述べており、日本の石油化学産業がもともと抱える構造課題が今回顕在化したという認識を示している。石油化学工業協会の統計によれば、2026年2月のエチレン生産設備稼働率は75.7%(速報ベース)、5月は68.1%と、好不況の目安とされる90%を43〜44カ月連続で下回っている。工藤社長は「5月以降も楽観はできないが、われわれは歯を食いしばって生産を継続する」とも表明した。

ナフサ供給構造データ:日本のナフサ「4:4:2」構造の実像

日本の月間ナフサ需要は約283万kl、そのうち4割が国産(国内製油所での精製)、4割超が中東からの輸入、残る2割弱がその他地域からの輸入という構造である。ただし国産ナフサの原料となる原油の9割超が中東由来であるため、実質的な中東依存度は8割にのぼる。加えて原油には国家備蓄250日分以上が整備されているのに対し、ナフサには国家備蓄制度が存在せず、民間在庫はわずか20日分にとどまる。この非対称な備蓄構造が、原油の急減には備蓄で対応できてもナフサの急減には即座に稼働率低下として顕在化する構図の根本原因である。ナフサの中東割合は2022年のウクライナ危機を境に5〜6割から7割以上に上昇し、輸入先の国の数も減ってきており、調達先の集中が進んでいた。

「川上価格転嫁進むも川下は困難」の3段階構造

工藤社長は「川上は比較的価格転嫁が進むが、川下になるほど難しい。事態が長期化すれば、供給する販売量を買ってもらえる経済状況になるのかが問題」と指摘し、政府や金融機関などの支援の必要性にも言及した。倍近く高騰したナフサ調達コストを川上のポリエチレン・ポリプロピレン等の中間財では価格転嫁できても、最終消費者に近い川下では価格転嫁がとどこおるため、業界全体で吸収しきれないコスト増が積み上がる構造である。旭化成の子会社が手掛ける住宅ブランドヘーベルハウス事業でも「受注を抑える必要性は感じていない」としつつも、部品コスト増を転嫁するかハイエンドビジネスに転換するかの検討が進んでいる。

6. 信越化学の逆張り経営、5,400億円塩ビ投資と原料自律設計

他の化学メーカーがナフサ確保に奔走する2026年3月上旬、信越化学工業の斉藤恭彦社長は塩ビ事業に約5,400億円の投資を発表し、他社と真逆の攻めの姿勢を示した。今週の2026年3月期通期決算説明会でも、斉藤社長は「(イラン戦争による)生産への支障は一切出ていない。前期(2025年度)は減益だったが、今期(2026年度)は反転させる」と成長への自信を語った。

信越化学がこうした逆張り経営を可能にしている背景には、日本の他化学メーカーとは異なる原料調達設計がある。日本企業の多くが戦後の石油化学コンビナート体制で高価なナフサに依存し続けているのに対し、信越化学は早くから米国に生産拠点を移し、シェールガス由来の安価なエタンを活用してきた。原料から最終製品までの一貫生産体制を構築し、設備も最新鋭に保つことで、市況低迷下でも営業利益率24.7%という驚異的な収益性を実現している。

中興の祖・金川千尋氏が唱えた「常在戦場」の精神のもと、平時に最悪シナリオを想定してサプライチェーンを設計しておく重要性を長年実践してきた結果である。塩化ビニル樹脂・シリコンウエハー・合成石英・合成フェロモンで世界シェア首位、キャッシュ1兆6,000億円超という盤石な土台があるからこそ、他社が縮小する不況時に巨額投資でシェアを奪う「勝つべくして勝つ逆張り」が成立する構図だ。ナフサだけに依存しない原料調達設計を持つ企業と、ナフサ一本足構造の企業との差が、今回のクライシスで残酷なほど鮮明になった。

7. 業界再編の加速、西日本エチレン統合JVとエチレン基数12→8基

ナフサ・クライシスは業界再編を加速させた。2026年5月12日、旭化成・三井化学・三菱ケミカルの3社は西日本エチレン製造設備統合JVの出資比率について正式合意した。出資比率は三井化学45%・三菱ケミカル45%・旭化成10%で、2030年に水島AMECクラッカーを停止し、三井化学が大阪府に持つ大阪OPC設備に生産を集約する。三菱ケミカル岡山事業所が稼働したのは1964年の東京オリンピック開催時であり、60年を超える歴史を持つ水島コンビナートの一部が大きな転換点を迎える。

業界全体では、日本のエチレン基数は2026年から2030年にかけて12基から8基へと約3分の1が削減される見通しである。丸善石油化学・出光興産・ENEOS・AMEC水島の閉鎖・統合スケジュールが並行して進む見込みで、合計約175万トン/年の生産能力が消失する。中東問題以前から続いた稼働率90%割れの構造的な赤字体質に加え、中東依存構造の脆弱性がクライシスで顕在化したことが、再編加速の背中を押した。

「中東情勢の不透明化によってナフサ不足に直面し、サプライチェーンの脆弱性が改めて浮き彫りになった。石化事業の分社化や業界再編を進めるうえで、ナフサの共同調達を含めた、もう一段踏み込んだ検討が必要になった」 三井化学 市村聡社長(経営概況説明会、2026年5月27日)

市村社長のこの発言は、単なる設備集約を超えて、業界横断のナフサ共同調達という新たな枠組みを提案するものである。日本化学工業協会の岩田会長も2026年3月27日に「キーはナフサ調達」と明言しており、個社ごとの中東域外調達から、業界全体で調達交渉力を集約する方向へと経営者の意識が転換しつつある。

8. 三井化学・市村社長「元の世界には戻らない」、中長期の中東依存度引き下げ論

2026年5月28日、三井化学の市村聡社長は日経のインタビューで、ナフサの中東依存が顕在化した現状を「中長期では中東依存度を下げないといけない」と強調した。市村社長は米国など中東外からの長期調達の検討を示唆しており、これまでの中東域外調達がスポット中心だった実務を、中長期契約に移行させる意向を明らかにしている。

「2月末の攻撃開始直後は4月以降、ナフサが確保できるか分からなかった。仮に4月にホルムズ海峡の通航が可能になったとしても5月もナフサは入ってこないという状況で、中東依存度を意識的に変えないと、(構造的に中東比率が)高くなる」 三井化学 市村聡社長(日経インタビュー、2026年5月28日)

この「元の世界には戻らない」という市村社長の総括は、NewsPicksの取材でも語られており、ホルムズ海峡問題が仮に完全解決したとしても、以前の中東9割依存構造には戻さないという経営意思の表明である。ただし現状では、中東域外からのナフサ調達の多くは長期契約ではなく単発のスポット購入にとどまっており、緊急事態の一時的な補填としては有効でも、中長期的な安定調達とは言いがたい。かつナフサの相場高騰でスポット購入の価格も2倍などに上昇しており、コストがかさむ。市村社長の言う「長期調達の検討」がどのタイムラインで具体化するかは、今後の焦点となる。

9. 住友化学・水戸社長「お金を出せば確保できる、問題は価格」、価格転嫁の限界

2026年5月14日、住友化学の水戸信彰社長は都内で、ナフサ調達について「おおむね6月までメドが立った」と話しつつ、価格上昇への懸念を明確に示した。「お金を出せばなんとか確保はできる、問題はどのくらいの価格で確保できるのか」という水戸社長の発言は、量的確保が可能でも収益性が犠牲になる構造を端的に表現したものである。

「お金を出せばなんとか確保はできる。問題はどのくらいの価格で確保できるのか。合理化・効率化を徹底的に進め、それでも自社で吸収しきれない部分は、価格への反映を含めて対応していく」 住友化学 水戸信彰社長(2026年5月14日)

住友化学は2024年3月期の最終赤字3,000億円超から25年3月期に黒字転換を果たした直後にクライシスに直面した企業である。水戸社長は石化事業を「ライセンス展開による事業モデルに変えていく」と話しており、設備投資が重荷だった石化事業を、技術ライセンスで対価を得る事業モデルに転換する構想を持つ。25〜27年度の中期経営計画期間での投資額は減価償却費の範囲内の4,500億円に抑え、成長事業への集中投資を優先する方針である。

川下では既に価格転嫁の実務が本格化している。日本ペイントのシンナー価格75%値上げ、カネカ住宅用断熱材4割値上げ、TOTOシステムバス新規受注停止、日鉱化学工業の樹脂・塗料原料値上げなど、経営トップ発言が指摘した「川下ほど価格転嫁が困難」という構造課題が、現場では販売現場での見積・受注の実務に直接影響している状況である。

10. 今後の焦点、ENEOS田中副社長の「経済性と両立する形での多様化」の困難さ

経営トップ発言を横断的に整理すると、2026年7月時点で日本の原油・ナフサ調達には3つの大きな論点が残されている。

第一に、めど期間の一段の延伸が実現するかどうか。ENEOSの田中副社長が語った「9月分まで」を化学メーカーが追随できるかが問われる。7月末公表予定の6月分速報、8月末公表予定の7月分速報、そして化学メーカー各社の四半期決算発表が、この論点の答えを段階的に出していく。

第二に、価格転嫁とコスト吸収の均衡点。倍近く高騰したナフサ調達コストと稼働率70%割れの二重負担が、化学メーカーの収益性を直撃している。三井化学は中東影響でコア営業利益150億円減を織り込んだが、下期にナフサ価格が10万円程度に下がる前提が実現するかは不透明である。「川下ほど価格転嫁が困難」という構造が長期化すれば、業界の吸収能力が試されることになる。

第三に、田中副社長の言う「経済性と両立する形での多様化」の困難さ。代替調達には輸送距離長期化・海上保険料上昇・スポット比率上昇によるコスト増、原油品質の適合、受入設備の制約という4つの論点が残る。三井化学の市村社長が提案した「ナフサ共同調達」が具体的な業界枠組みとして実装されるかが、この論点の答えとなる。

ENEOSの原油代替調達が9月分までめどが立ち、化学メーカー各社のナフサ調達も改善基調にあるという2026年7月時点の状況は、日本の産業界が総力を挙げた5か月の対応の産物である。ただしそこに至った代償として、稼働率過去最低・価格倍近く・営業利益150億円減という数字が残る。信越化学のような原料自律設計を持つ企業と、ナフサ一本足構造の企業との差は、クライシス後も広がっていく可能性が高い。当社では引き続き、経営トップの肉声を追跡し、調達現実の変化を実務目線で読み解く記事を公開する予定である。

本記事に関する留意事項

  1. 本記事は2026年7月4日時点の情報に基づき執筆したものです。
  2. 経営者発言の引用は各出典元の報道時点のものであり、その後の情勢変化により実態が変わっている可能性があります。
  3. 本記事は特定の投資判断・調達判断を推奨するものではありません。ビジネス上の判断は一次資料と専門家の助言に基づき行ってください。
  4. 海外資料の日本語訳出は当社の独自解釈を含みます。翻訳精度についてはご容赦ください。
  5. 引用元記事の内容は各出典元の著作権に帰属します。当社は出典を明記のうえ、要約と分析を提示しています。

よくあるご質問(FAQ)

ENEOS田中副社長が2026年7月3日に語った「9月分までめど」の具体的な内容は何ですか。

ENEOSホールディングスの田中聡一郎副社長兼CFOは、ロイターのインタビュー(2026年7月2日実施、同3日公開)で、中東情勢を受けた原油の代替調達について9月分までの調達にめどが立ったと明らかにしました。主な調達先は米国、紅海ルートなどを通じたホルムズ海峡以外の中東、アゼルバイジャンで、「今の状況が続けば備蓄を取り崩す必要もないくらい確保できている」と述べています。中東情勢については「いったん少し落ち着いているが、完全に霧が晴れた状態にはなっていない」とし、中長期的な調達先多様化を「政府と歩調を合わせながら、経済性と両立する形で」探る姿勢を示しました。

化学メーカー各社の「ナフサ調達めど期間」が時系列で違うのはなぜですか。

見通しめど期間は発表時期に応じて延伸してきました。旭化成の工藤幸四郎社長は2026年4月15日に「6月中旬〜6月末まで」、住友化学の水戸信彰社長は5月14日に「おおむね6月まで」、三井化学の吉田修CFOは5月13日の決算説明会で「2カ月先まで確保の見通し、改善傾向」、市村聡社長は5月27日に「7月以降クラッカー稼働率は8割超えが見通せる」と、順次めどを表明しました。各社の中東外調達(米国・中南米・アフリカ・中央アジア)と経産省の情報連携が進むにつれ、確保できる先が段階的に延びた構図です。

ナフサクラッカー稼働率68.1%の意味と、旭化成社長の「極めて日本的」発言の含意は何ですか。

2026年5月のエチレン生産設備稼働率68.1%は、損益分岐の目安とされる90%を43〜44カ月連続で下回った過去最低水準です。旭化成の工藤社長は2026年4月15日の経営説明会で、供給不足の目詰まりが「極めて日本的」と指摘しました。含意は、「7月以降はまだ分からない」というサプライチェーンの先行き不安が伝わることで「今まで通り販売するといつか足りなくなる可能性があるから少し販売を抑えよう」という意識が広がり、結果として実際の在庫よりも早く目詰まりが起きるという日本特有の現象を捉えたものです。中東問題以前から日本の石化産業が抱える構造課題が今回顕在化したと言えます。

信越化学が「生産に支障は一切出ていない」と言えた理由は何ですか。

信越化学工業の斉藤恭彦社長は、2026年3月上旬に塩ビ事業に約5,400億円の投資を発表し、他社が苦しむイラン戦争のさなかに「生産への支障は一切出ていない」と明言しました。背景には長年築いてきた原料自律設計があります。日本の多くの化学メーカーが戦後の石油化学コンビナート体制で高価なナフサに依存し続けているのに対し、信越化学は早くから米国に生産拠点を移し、シェールガス由来の安価なエタンを活用してきました。中興の祖・金川千尋氏の「常在戦場」の精神のもと、平時に最悪シナリオを想定した原料調達設計を積み上げ、営業利益率24.7%・キャッシュ1兆6,000億円超という盤石な土台を築いた結果です。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか。

当社は千葉県我孫子市に本社を構え、全国のお客様にプラスチックパレット・再生樹脂原料・物流資材をお届けしています。原油とナフサは合成樹脂の川上原料であり、ENEOS副社長・化学メーカー各社の社長発言に示された調達めど期間の推移・価格転嫁の実像・稼働率の実態は、当社が取り扱う樹脂原料の需給と価格に直結する情報です。経営トップの肉声を一次資料に基づき体系的に記録することは、お取扱い先の調達判断・購買計画に資すると考え、本サイトで継続的に記事を公開しています。

主な情報源

プラスチックパレット株式会社 千葉県我孫子市に本社、全国にお届け
プラスチックパレット・再生樹脂原料・物流資材のお取扱い
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