📞 050-3470-4265 受付 9:00-20:00(日・祝休)
無料お見積り ›
ニュースで聞くイラン情勢が招く『2026年「コメ」の異変』をやさしく解説、また高くなるかもしれない3つの理由と農家さんが辞めていく本当の理由
📚 やさしく解説シリーズ|2026年7月版

ニュースで聞くイラン情勢が招く『2026年「コメ」の異変』をやさしく解説、
また高くなるかもしれない3つの理由と、農家さんが辞めていく本当の理由

スーパーのお米、たしかに前より安くなりましたよね。でも今、農業の現場では、あまり報道されない大きな変化が同時に進んでいます。専門用語をかみ砕いて、順にお話しします。
プラスチックパレット株式会社 公開・最終更新:
📌
ご一読の前に(本記事の注意書き) 本記事は2026年7月3日時点で確認できた一次情報・公的機関・業界各社の公式データをもとに構成しています。価格・在庫・作柄・政策・気象は日々変動する可能性があり、数値は速報値を含み確定値と異なる場合があります。本記事は投資判断・購買判断を推奨するものではありません。実際のご判断は最新情報および専門家の助言を得た上で行ってください。出典URLは末尾のエビデンス一覧をご参照ください。
この記事を一言で

2026年7月時点、お米5kg 3,691円まで下がりました。でも同時に、また高くなるかもしれない3つの理由と、農家さんが5年で25%も減っているという静かな危機が進行中です。イラン情勢由来のナフサ問題は落ち着いてきましたが、今年の秋のお米(令和8年産)に潜む猛暑リスクが最大の変数です。

この記事でわかる4つのこと
  1. 令和のコメ騒動〜現在までの経緯と価格推移表を、月別データでおさらい
  2. 今、お米はいくら?スーパーで起きている変化のお話
  3. なぜまた高くなるかも?3つの理由をやさしく解説
  4. 農家さんが辞めていく本当の理由を、数字で見てみます
今のお米5kg
3,691円
1月の4,416円から約725円下落
農家さんの減少(5年で)
▲25.1%
136万人→102万人(農林業センサス)
この夏の高温確率
60%
気象庁6-8月予報(平年より高い)

🕐 ここまでの経緯——令和のコメ騒動から現在までの価格推移

まず、ここ2年半で何が起きたのかを振り返ります。

2024年の夏、突然スーパーの棚からお米が消えた——覚えている方も多いでしょう。あれから2年、お米の値段は乱高下しました。この記事の本題(3つの理由と農家さんの現実)に入る前に、まずは何が起きたのかを、月別の平均価格でおさらいします。

お米の平均価格・月別推移(2024年2月〜2026年7月)
時期 5kg平均 そのとき起きたこと
2024/2 約2,000円 通常価格。5kgで2,000円前後という状態が長く続いていました。
2024/7 約2,600円 2023年の猛暑で品質が低下しており、じりじりと値上がり始めていました。
2024/8 2,871円 8/8 南海トラフ地震臨時情報発表——買いだめが発生し、スーパーの棚が空に。「令和のコメ騒動」の始まり。
2024/9 3,285円 新米(2024年産)が出回り始めたのに、品薄と価格上昇が止まらず。前年比1.42倍。
2024/10 3,787円 農水省は「流通の目詰まり」と説明するも、価格上昇が続きます。
2024/11 3,985円 JAが2024年産の概算金を前年比2割以上引き上げ。原価上昇が転嫁されていきます。
2024/12 4,018円 ついに4,000円台へ突入。家計にじわじわ影響が広がります。
2025/1 4,000円台 江藤農水相が備蓄米放出の方針を表明(1/24)。しかし価格は下がらず。
2025/3 4,077円 農水省POS集計で初の5kg 4,000円超えを公式に記録。10週連続の値上がり。
2025/5 4,200円前後 江藤農相「コメは買ったことがない」発言で辞任。後任に小泉進次郎氏。
2025/夏 4,000〜4,300円 小泉農相が備蓄米を随意契約で大量放出。品薄感は改善しますが価格は高止まり。
2025/11 約5,002円 総務省小売物価統計でピーク。品目により5,000円台のお米も。「令和のコメ騒動」の頂点。
2025/12 4,337円 高市政権発足(10月)、令和8年産の生産目安を711万トン(▲5%)に設定。
2026/1 4,416円 POS集計以来の最高値を更新。年末年始(12/29〜1/4)に記録。
2026/3 4,013円 4週連続下落。集計開始以来、初の前年同時期割れ。転換点が訪れます。
2026/5 3,796円 令和7年産の増産(+66万トン)で在庫が積み上がり、業者の損切り販売が広がる。
2026/7 3,691円 今ここ。ピーク(4,416円)から約725円下落。輸入米と並ぶ棚に。
通常
上昇局面
ピーク
下落局面
現在
わずか1年半で、5kg 2,000円が5,000円までジェットコースターのように駆け上がり、そして半年で3,691円まで下りてきた——これが「令和のコメ騒動」の全体像です。ピーク時、通常より年間3〜4万円も家計負担が増えたご家庭もあるはずです。
農水大臣が3人交代した、政策の右往左往

この価格の乱高下は、政策の迷走とも密接に結びついています。この期間に農林水産大臣が3人交代しました。

〜2025年5月
江藤 拓 氏
「新米が出れば下がる」の説明を繰り返し、対応遅れを批判される。「コメは買ったことがない」発言で辞任。
2025年5月〜9月
小泉 進次郎 氏
備蓄米を随意契約で大量放出、品薄感を改善。増産方針を掲げるも政権交代で退任。
2025年10月〜
鈴木 憲和 氏
高市政権で「価格にコミットしない」姿勢。令和8年産を711万トン(▲5%)に減産方針転換。
用語解説:この記事によく出てくる言葉

概算金(がいさんきん):農家がJAにお米を渡すときに「先に受け取るお金」のこと。9月ごろにJAが「今年は1俵いくらで買います」と提示します。2024年産は前年より2割以上高く提示されました。

仮渡し金:概算金と同じような意味で使われます。JA新潟中央会が「8月お盆すぎに提示できるよう進めたい」と言っているのはこれです。

最低保証額:「田植え前に、最低これくらいの値段で買いますよ」と農家に約束する保証。JA新潟中央会は2025年に春先に提示しましたが、2026年産は見送ることになりました。

備蓄米:政府が不作に備えて100万トン程度をストックしているお米。急な不足時に放出して市場を落ち着かせる仕組み。2025年の令和のコメ騒動で大量放出されました。

作況指数:その年の稲の出来具合を数字で表したもの。100が平年並み、90を下回ると不作、110以上で豊作とされます。

🛒 今、お米はいくら?スーパーで起きている変化のお話

Q1. どこまで下がったのか、何が売られているのか。

2026年1月にピーク(5kg 4,416円)をつけたお米の値段は、7月には3,691円まで下がりました(時事通信7/2報道)。約半年で約725円、率にして16%の値下がりです。全国のスーパー約1,000店舗のレジデータ(POSデータ)を農林水産省が毎週集めて発表している数字なので、実際の店頭感覚に近い平均です。

スーパーで週に一度お米を買う4人家族なら、月々2,600円ほど、年間で約3万円の節約になる計算です。ピーク時と比べれば、家計への負担はずいぶん軽くなりました。
スーパーの棚に「アメリカ産」「台湾産」が並ぶ時代に

最近スーパーで、こんな棚を見かけませんか?——全農パールライス3,480円、台湾米3,400円、アメリカ産カルローズ3,500円が横並びに置かれている光景。実はこれ、2026年の「新しい風景」なのです。輸入米が正面から国産米に価格で対抗するのは、令和のコメ騒動(2024〜2025年の急騰)で消費者が「銘柄より価格」を意識するようになった結果です。カルローズも台湾米も、日本のお米に近いジャポニカ種で、粒が短くもちもちしています。丼物・カレー・チャーハンなら、違いを感じにくいという声も多いです。

消費者の買い方も変わってきました

2026年5月の調査では、41%が「銘柄にこだわらなくなった」、32%が「特売の時に買うようになった」と回答(くらしのコンパス調査)。お米の家庭内消費量は2024年4〜11月で8ヶ月連続で前年より減り、11月には▲11.7%まで縮小しました。「これから安くなる」との期待から、10kgをまとめ買いせず、2〜5kgの少量パックを繰り返し買う人が増えています。

スーパーで並ぶお米、比べてみました

「カルローズや台湾米って、日本の銘柄米とどう違うの?」——気になる方も多いと思います。主要3タイプを比較してみます。

お米の種類 5kg価格 特徴・向いている料理
国産銘柄米
(コシヒカリ等)
4,000〜4,500円 甘み・粘り・つやが強い日本の代表格。冷めても美味しく、おにぎり・寿司・普段のごはんに。値段はやや高めですが、品質は安定しています。
国産ブレンド米
(複数原料米)
3,500〜3,900円 複数銘柄・複数産年をブレンドしたお米。日常使いには十分な品質で、コスパ重視の方に。裏面表示に「複数原料米」と記載。
アメリカ産
カルローズ
3,000〜3,500円 カリフォルニア州産のジャポニカ種。粒はやや長め、あっさりした食感。丼物・カレー・チャーハンに向きます。関税341円/kgを含んでもこの価格帯。
台湾産
ジャポニカ米
3,300〜3,500円 台湾産の短粒種。日本のお米に食感が近く、和食にも合わせやすい。SBS方式や生協・大手量販店経由で流通。
政府備蓄米 2,000〜3,000円 精米後1年以内の政府備蓄。品質は十分と感じる方も多く、価格の安さが最大の魅力。随意契約で市場に流通中。
味の違いは、実際に食べ比べるのが一番です。まずは少量パックで試してから、家族の好みに合うものを見つけるのがおすすめ。カルローズや台湾米は、カレーや炒飯なら国産銘柄米との違いを感じにくい、という声も多いですよ。

📈 なぜまた高くなるかも?3つの理由をやさしく解説

Q2. 「安さ」はいつまで続くのか。

「今の安さがずっと続けばいいな」——多くの方の実感だと思います。でも、業界の中を見ると、また高くなるかもしれない兆しが3つ、同時に見えてきています。順にお話しします。

01
政府が「作りすぎ」を止めようとしている

2025年10月、高市政権は「2026年秋に収穫するお米(令和8年産)を、前年より約5%少ない711万トンに抑えます」と決めました(東京新聞・時事通信)。前は「もっと作ろう」だったのに、方針が180度変わったのです。理由は「作りすぎるとお米が余って値段が下がりすぎるから」ですが、逆に言えば「価格を下げすぎない」ように動いた、ということでもあります。鈴木農水相は「価格にコミットしない」と発言し、備蓄米も一部買い戻す方向で検討中です。

02
JA新潟中央会が「これで買います」と言えなくなった

2026年6月29日、JA新潟中央会の伊藤能徳会長が会見で「2026年産の最低保証額の提示を見送る」と発表しました。最低保証額とは「田植え前の農家さんに、最低これくらいの値段で買いますよ」と約束する数字のことで、令和のコメ騒動を受けて2025年は春先に示していました。それが今年は「今の需給状況で最低保証額は出せず苦慮している」とのこと。集荷段階でも先が読めない——これは異例の事態です。

03
安いから売れる → 在庫が予定より早くなくなるかも

お米の値段が下がったことで、販売数量は前年同時期比で21.7%増と大きく伸びました(3月時点・農水省POS)。「安ければ売れる」——市場の反応は明確です。今、業者さんが抱えている令和7年産のお米(民間在庫229万トン・過去最大級)が予定より早くなくなれば、秋の新米の出回り時期に「棚が薄くなる」ことが起きる可能性があります。そうなれば値段は反転します。

JA新潟中央会・伊藤能徳会長 2026年6月29日会見(UX新潟テレビ21報道)
いまの需給状況で最低保証額は出せず苦慮している
JAは2025年『令和のコメ騒動』を受け、例年8月後半に示す『最低保証額』を春先に示し集荷を強化した経緯があります。2026年も田植え前に提示する方針でしたが、在庫が積み上がり新米の価格が見通せないため見送るとのこと。
では、どこまで戻るの?

下がる方向:6〜7月に3,500円台まで下がる見方もあります(米穀機構)。

上がる方向:令和8年産の生産者からの買取価格は1俵(60kg)あたり20,000〜25,000円が「農家さんが続けられる水準」で、店頭では5kg 3,000〜3,500円に落ち着く計算です(マイナビ農業)。

上限の抑え:アメリカ産カルローズ・台湾米が3,000円台前半で並んだため、2024年のような5,000円台への急騰は起きにくいと見られています。

🌾 「米不足」って本当にあり得るの?——猛暑リスクのお話

Q3. 「令和のコメ騒動」は本当に終わったのか。

「在庫がいっぱいあるから米不足なんて起きない」——普通はそう思いますよね。でも、実は令和8年産(2026年秋に収穫するお米)には、これまでで最も大きな「気候リスク」が待っています。

気象庁の予報:この夏、60%の確率で暑くなります

気象庁が2026年5月19日に発表した6〜8月の3か月予報では、日本全体で60%の確率で平年より気温が高くなる見通しです。日本気象協会は「2023〜2025年に匹敵する猛暑」を予測し、40℃以上の「酷暑日」(気象庁が2026年から使い始めた新しい予報用語)が全国で延べ7〜14地点で観測されると分析しています。

稲は「出穂期(しゅっすいき)」というタイミング——稲穂が出て花が咲く7月下旬〜8月上旬——に高温や水不足に遭うと、お米の粒が白く濁ったり(白未熟粒)、割れやすくなったり(胴割粒)します。人でいえば、大事な受験本番の一週間にインフルエンザになったようなもので、それまで頑張ってきた成果が一気に台無しになるのです。
2023年の教訓:新潟コシヒカリの1等米比率が「4.7%」に

実際に何が起きたのか、過去の例で見てみましょう。2023年産のコメでは、全国1等米比率が60.9%と過去最低を記録しました。特に新潟県では、県産全体で1等米比率14.8%、コシヒカリはわずか4.7%までしか1等米にならなかったのです(新潟県令和5年産米研究会報告書)。夏の高温と、フェーンと呼ばれる乾燥した熱風が3回吹き荒れ、渇水と海水温度過去最高が重なった結果です。

新潟県上越市 山間部の70代コメ農家 2025年8月・時事通信報道
ずっと専業のコメ農家としてやってきたが、今年は最悪の年。収穫量は通常の半分に届くかどうかだ
2025年夏、大きな川のない中山間地の水田では既に稲が枯れ始め、地面に網の目状のひび割れも発生しました。上越市は31年ぶりに渇水・高温対策本部を設置。この状況が2026年に再び起こる可能性は否定できません。
「見えない米不足」が起きる仕組み

仮に令和8年産が名目上711万トン近く採れても、猛暑で1等米比率が下がると、市場に「1等米」として出回るお米は減ります。銘柄米(コシヒカリ・あきたこまち等)は棚から早く消え、代わりにブレンド米や輸入米が増える——2024年のような「物理的な品薄」ではなく、「良いお米が選べない」タイプの米不足が起きる可能性があります。

👨‍🌾 農家さんが辞めていく本当の理由——数字で見る静かな危機

Q4. なぜ、米価が下がっているのに離農が加速するのか。

「お米が安くなって嬉しい」の裏で、実は日本のコメの生産基盤が静かに、しかし確実に、失われつつあります。ここでは3つの視点でお話しします。

担い手はこの5年で「4人に1人」が辞めた

農林水産省が2025年11月に公表した「2025年農林業センサス」(概数値)によると、日本の基幹的農業従事者(普段仕事として農業をしている方)は102万人まで減りました。5年前の2020年は136万人だったので、34万人減少・▲25.1%——なんと4人に1人が辞めた計算です(日本経済新聞2026/2/21)。

2020年
136万人
基幹的農業従事者
2025年
102万人
▲25.1%(5年で34万人減)

平均年齢は67.6歳と、1995年以降で初めて「わずかに低下」しました。ただしこれは「若い人が入ってきた」からではなく、「70代・80代の方が引退した」ことで平均が下がっただけです。世代交代と担い手不足が、同時に進んでいます。

コメ農家の廃業は「引退」——8割が60代以上

帝国データバンクの調査(2025年1月発表)によると、2024年に廃業したコメ農家(倒産・休廃業・解散の合計)は42件と過去最多を更新(前年比+20%)。しかも廃業した代表者の年齢は「70代以上が6割超、60代を含めると約8割」を占めます。つまりコメ農家の廃業の大半は「経営破綻」ではなく、後継者がいなくて、体力的にも限界だから引退するという静かな幕引きなのです。

水面下の「予備軍」は10倍規模との見方も

統計に出てくる42件は氷山の一角です。米作農業の2023年度の業績を見ると、赤字25.8%・減益29.4%で、合計55.2%が業績悪化に転落しています。日本農業新聞は「予備軍は10倍」との業界の見方を紹介しています(2025年1月)。JA新潟中央会の最低保証額提示見送り(6/29)は、この水面下の疲弊が、集荷を担うJAの現場まで達したことのシグナルです。

お米屋さんは儲かり、農家さんは疲弊——「価格転嫁の非対称性」

同じお米業界のなかで、実は流通側(お米屋さん)と生産側(農家さん)で大きな差が生まれています。帝国データバンクの2026年5月11日の発表では、2025年度のお米屋さんは8割が増益、営業利益率5.0%と過去20年で最も良い業績になりました。米価高騰による在庫の「予期しない利益」が押し上げた結果です。一方、同じ期間にコメ農家の倒産・廃業は過去最多を更新——流通は儲かり、生産は疲弊するという歪みが鮮明になっているのです。

農家さんが1俵(60kg)のお米を作るのに必要なコストの「底板」は13,000〜17,000円ほど。それより安く買われたら、農家さんは自分の労働時間を無料で提供している状態になります。肥料は2020年比で1.5倍、燃料も1.2倍、農業薬剤1.1倍と資材はどんどん値上がりしているのに、お米だけ安く買われたら——続けられないですよね。
中山間地の田んぼは、一度荒れると戻せない

大規模な平野の農家さんは、まだ規模拡大で乗り切れる余地があります。でも中山間地(川の上流・山あいの水田)の高齢農家さんは、撤退の判断が加速しています。中山間地の水田は水路・畦畔(あぜ)・排水の管理コストが高く、いったん耕作放棄されると水稲用地としての復元は極めて困難です。日本の水田面積の約4割は中山間地にあります。ここが失われると、2027〜2028年の作付面積調査で「あれ、こんなに減っていたの」と初めて数字に現れます。それはもう「戻せない」段階なのです。

🧴 ちなみにナフサ・食品パッケージの話は、ひとまず落ち着いてきました

補足:4月版でお伝えした話の続報です。

この記事の初稿(2026年4月4日)では、イラン情勢によるナフサ(プラスチックや包装フィルムの原料)の供給不安を中心にお伝えしました。あれから3か月、状況は大きく変わりました。ナフサ現物価格はピークの$1,043/MT(5月16日)から$662/MT(7月1日)へ36%も下落(大景化学)——米国からの輸入が5倍に増え、サウジアラビアが紅海側からの積出しを増やし、供給ルートが多元化した結果です。TOTOも6月9日にユニットバスの全面受注再開を発表し、資材の受注制限は段階的に解除されました。

ただし、食品包装の値上げは秋にかけて出てくる可能性あり

帝国データバンクは2026年5月時点で「早ければ今夏以降、ナフサ不足を要因とした値上げラッシュの可能性がある」との見方を維持しています。原料の値段が下がってから製品価格に反映されるまでには3〜6か月のタイムラグがあるので、精米袋・食品パッケージ・農業資材の値上げは秋にかけて出てくる可能性があります。私たちの食卓に届くお米も、包装コストの影響を受けます。

💭 まとめ:私たちにできることを考えてみます

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。ポイントをおさらいします。

この記事のまとめ

① お米は今、5kg 3,691円まで下がっている(1月比▲16%)が、②「また高くなるかもしれない3つの理由」(減産回帰・JA新潟の異例対応・在庫解消後の反転)が同時進行中。③今年の秋のお米(令和8年産)には気象庁6-8月60%高温確率の「猛暑リスク」が控えている。④そして、これが最も見えにくいのですが、農家さんは5年で25%減り、廃業の8割は60代以上の後継者不在による「静かな引退」——お米の生産基盤が確実に失われつつあります。

では、消費者として何ができるでしょうか?

「農家さんを応援したい」と思っても、何をすればいいのか分かりにくいですよね。今日からできる具体的なアクションを5つご紹介します。

🛍️
① 「顔の見えるお米」を月に1回だけでも試してみる

農家さん直販・道の駅・産地直送サイトなど、生産者から直接買えるルートで、月に1回・少量からでも試してみるのがおすすめ。中間業者を通さない分、農家さんの手取りが増えます。値段は多少高くても、月1回なら家計への影響は小さいはずです。

🎁
② ふるさと納税でお米を選ぶ

ふるさと納税は、自己負担2,000円で自治体を応援できる制度です。返礼品にお米を選べば、実質的に「税金の一部で農家さんを応援」できます。米どころの自治体(新潟・秋田・山形・北海道など)は、ふるさと納税収入を農業振興にも使っています。

📅
③ 「新米シーズン」に旬のお米を楽しむ

9月〜11月は令和8年産の新米シーズン。この時期は各農家さん・産地の一番の勝負どころです。特売でまとめ買いするのも、新米だけは銘柄米を選ぶのも、応援の一つの形です。

🌾
④ 産地を訪ねてみる(旅行の目的地に)

米どころ(新潟・秋田・山形など)を旅行の目的地に加えてみるのも一つの方法です。田んぼの風景を実際に見て、地元のお米を食べ、道の駅で購入する——観光と農業の両方を応援できる、無理のない方法です。

📚
⑤ 「知り続ける」ことも立派な応援です

こういう記事を読んで「今、日本のコメ農業はどうなっているのか」を知り続けること自体が、大切な応援です。次にニュースで「お米が高い」「農家が辞めている」と聞いたとき、その背景を思い出していただければ、家族や友人に説明することもできます。

おこめ券・支援制度も、賢く活用

2025年11月に閣議決定された総合経済対策には「おこめ券」の配布推奨が盛り込まれました。対象は自治体によって異なりますが、低所得世帯・子育て世帯に向けた支援策として、順次配布が進んでいます。お住まいの自治体のウェブサイトで確認してみてください。また高市総理は2025年5月に3兆円規模の補正予算を打ち出しており、7〜9月には電気・ガス代の1世帯5,000円支援も実施予定です。生活費全体で見て、賢く制度を活用しましょう。

お米は日本人にとって、単なる主食ではなく「文化」でもあります。田んぼは自然のダムとして洪水を防ぎ、四季の風景を作り、地域の伝統行事を支えてきました。農家さんが辞めていくということは、それらの機能もまた失われる、ということです。「お米を選ぶ」という日々の小さな選択が、実は日本のコメ農業の未来を支える一票になっています。

次に「お米が高い」ニュースが出た時、その裏側にいる農家さんの現実を思い出していただければ幸いです。そして「今、お米が安いから買っておこう」と店頭でカートを押しながら、少しだけ農家さんに思いを馳せていただければ——このやさしく解説シリーズを書いた甲斐があります。

免責事項・編集方針:本記事は2026年7月3日時点で取得した一次情報・公的機関・業界各社の公式情報を独自に収集・整理し、一般読者向けにわかりやすく再構成したものです。①執筆時点の価格・数量・政策は今後変動する可能性があります、②数値は速報値を含み確定値と異なる場合があります、③本記事は投資判断・作付判断・調達判断・購買判断を推奨するものではありません、④翻訳・要約に伴う内容の完全一致は保証しません、⑤具体的な出典URLは末尾の参照エビデンス一覧で明示しています。実際の経営判断・投資判断・契約判断等は、必ず最新情報および専門家の助言を得た上で行ってください。専門家・事業者向けの詳細解説は当社サイトの専門記事「イラン情勢とコメ供給不足の可能性(2026年7月3日更新)」も併せてご参照ください。

よくあるご質問(FAQ)
お米の値段は下がっているのに、なぜ「また高くなる」と言われているのですか?
3つの理由があります。①政府が2026年秋のお米(令和8年産)を前年より約5%減らす方針(生産目安711万トン)を打ち出したこと、②JA新潟中央会が6月29日会見で2026年産の最低保証額の提示見送りを発表したこと、③値下がりでお米の販売数量が前年比21.7%も伸び、消費回復で在庫が予定より早くなくなる可能性があること——この3つが同時に起きています。ただし輸入米(カルローズ・台湾米)が3,000円台前半で棚に並ぶため、2024年のような5,000円台への急騰は起きにくいとみられています。
令和8年産のお米が心配される「猛暑リスク」とは、どういうことですか?
気象庁が2026年5月19日に発表した3か月予報では、6〜8月は日本全体で60%の確率で平年より気温が高くなる見通しです。日本気象協会は2023〜2025年に匹敵する猛暑と、40℃以上の「酷暑日」が全国で7〜14地点観測されると予測しています。稲は7月下旬〜8月上旬の出穂期に高温や水不足に遭うと、お米の粒が白く濁ったり割れやすくなったりして1等米比率が急落します。過去には2023年産の新潟コシヒカリで1等米比率が4.7%まで低下しました。2025年夏も新潟県上越市の農家さんが「最悪の年、収穫量は通常の半分に届くかどうか」と語っています。
農家さんはなぜ辞めていくのですか?
3つの理由が重なっています。①担い手の絶対数が急減(2025年農林業センサスで基幹的農業従事者102万人、5年前比▲25.1%)、②生産コスト上昇(2020年比で肥料1.5倍・燃料1.2倍・農業薬剤1.1倍)、③価格転嫁の非対称性——2025年度のお米屋さんは8割が増益・営業利益率5.0%(過去20年最良)となる一方、コメ農家の倒産・廃業は2024年に42件と過去最多を更新しました。廃業する農家さんの8割が60代以上で、後継者不在による「静かな引退」が全国で進行しています。
スーパーで見かける「カルローズ」や「台湾米」は買っても大丈夫ですか?
はい、どちらも日本の消費者に受け入れられやすいジャポニカ種のお米です。カルローズはアメリカ・カリフォルニア州産で5kg 3,000円台前半〜3,500円、台湾米は台湾産のジャポニカ米で5kg 3,400円前後で流通しています。粒が短めでもちもちした食感が日本のお米に近く、丼物・カレー・チャーハンに向いています。ただし国産の銘柄米と食味を比べると違いを感じる方もいらっしゃるので、まずは少量パックで試すのがおすすめです。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか?
私たちプラスチックパレット株式会社(千葉県我孫子市)は、25年以上にわたって新品プラスチックパレット・再生プラスチック原料・折りたたみコンテナ・PPバンド・ストレッチフィルムなど、食品や農業を含む幅広い産業の物流資材を全国のお客様に販売してきました。お米が田んぼで育てられ、精米工場で袋詰めされ、トラックで運ばれ、スーパーに並ぶまで——その全工程で私たちが扱う資材が使われています。だからこそ、お米の価格や供給、農家さんの経営、そして包装コストの変化を、当事者の一人として注視する立場にあります。ニュースの断片ではなく、一次データと現場の声をもとに、生活者の皆様が「何が起きているのか」を理解できるようにお届けするのが、このやさしく解説シリーズの目的です。
参照エビデンス一覧(2026年7月3日現在)
  • 農林水産省「米の相対取引価格・数量、集荷・契約・販売状況、民間在庫の推移等」・「スーパーでの販売数量・価格の推移(POSデータ)」— 令和7年産米の相対取引価格、5kg平均価格の週次推移、6月末民間在庫229万トン見込み。
  • 時事通信「コメ5キロ平均3,691円に」(2026/7/2)— 農水省POSデータに基づく最新の5kg平均価格。
  • 日本経済新聞「令和のコメ騒動とは 価格2倍に、背景に生産抑制政策」(2025/9/12)・「令和のコメ騒動はなぜ起きたのか 増産を阻む構造的な課題」(2025/11/22)— 令和のコメ騒動の経緯と政策的背景の整理。
  • 三菱総合研究所コラム「令和のコメ騒動」シリーズ(2025/1・3)— 2024年8月〜12月の月別価格推移(東京都区部小売価格)、農水省の対応遅れの分析、需給ギャップの構造解説。
  • 東洋経済オンライン「歴史的高騰のコメ、今秋には一転コメ余りか」(2025/2)・「令和のコメ騒動の元凶は農水省にあり」(2025/6)— 農水省相対取引価格の推移、江藤農水相答弁、備蓄米放出の経緯。
  • 米穀安定供給確保支援機構「コメ価格見通し指数」(2026/5/11発表)— 向こう3ヶ月見通し指数28(7ヶ月連続で「安くなる」)。
  • 東京新聞デジタル「コメ政策転換、26年は減産 高値継続か、供給過剰を懸念」(2025/10/22)— 令和8年産主食用米の生産目安を711万トン(前年比▲5%)に設定。
  • JA新潟中央会・伊藤能徳会長会見(2026/6/29)— 2026年産『最低保証額』の提示見送り方針表明。UX新潟テレビ21が報道。
  • 気象庁3か月予報(2026/5/19発表)— 6〜8月は全国的に60%の確率で平年より高温。
  • 日本気象協会「2026年夏の猛暑予想」(2026/4/9更新)— 2023〜2025年に匹敵する猛暑の可能性、酷暑日全国延べ7〜14地点予測。
  • 新潟県令和5年産米に関する研究会報告書(2023/12)— 令和5年産新潟県産全体1等米比率14.8%、コシヒカリ4.7%まで低下。
  • 時事通信「高温少雨、米どころ直撃 山地の生産者最悪の年」(2025/8/1)— 新潟県上越市の70代農家「収穫量は通常の半分に届くかどうか」との証言。
  • 農林水産省「2025年農林業センサス(概数値)」(2025/11公表)・日本経済新聞「農家の年齢、初の低下」(2026/2/21)— 基幹的農業従事者102万人(2020年比▲25.1%)、平均年齢67.6歳。
  • 帝国データバンク「『米作農業』の倒産・休廃業解散動向(2024年)」(2025/1/12発表)— 2024年廃業42件(過去最多)、廃業農家の8割が60代以上。
  • 帝国データバンク「『米穀店(米屋)』の休廃業・解散動向(2025年度)」(2026/5/11発表)— 2025年度米屋の8割が増益、営業利益率5.0%(過去20年最良)——生産と流通の非対称性。
  • ノウキナビブログ「スーパーのお米が過去最高4,416円」(2026/1/23)— 2025年11月〜2026年1月のPOS価格推移(4,337円→4,416円)、高市政権の政策転換分析。
  • ソラミドごはん「お米が値下がりした理由」(2026年)— 民間在庫の推移(2024年6月末156万トン→2026年6月末230万トン超)、農水省マンスリーレポートに基づく分析。
  • 大景化学「ナフサ価格推移表」(2026/7/1時点)— シンガポールナフサ$662/MT、5/16 $1,043から約36%下落。
Back to top