2026年のJA全農配合飼料値上げ、酪農・繁殖・肥育の3業態別に見る畜産経営の現在地
JA全農配合飼料は3期連続値上げで累計+10.6%。この負担は酪農・繁殖・肥育で異なる原価インパクトを及ぼす。乳価据え置き・生乳3年ぶり減産・和子牛67万円(+34%)という日本の畜産経営の現在地を分析する。
JA全農配合飼料は令和8年1〜3月期に4四半期ぶり値上げ後、4〜6月期+1,250円、7〜9月期+3,700円と3期連続上昇し累計約+9,150円(+10.6%)に達した。この負担は酪農・繁殖・肥育の3業態で異なる原価インパクトを及ぼす。乳価は2026年度据え置きで生乳は3年ぶり減産、和子牛は67万円(+34%)の最高値圏で推移する。
令和8年7〜9月期値上げ
2026年6月19日発表
25年10-12月期→令和8年7-9月期
3期分累計
2025年10月・黒毛和種
(前年比+34%)
3年ぶり減産
2026年1月・前年比98.2%
時系列サマリー:2024年後半〜2026年7月の飼料価格改定
2024年後半から続くコメ・肥料・原油市況の変動と並行して、畜産経営の根幹である配合飼料は、2025年12月のJA全農価格改定を起点として3四半期連続値上げの局面に入った。円安、シカゴ定期でのとうもろこし・大豆粕相場上昇、中東情勢による原油高と海上運賃上昇が複合要因となっている。時系列で全体像を整理する。
| 時期 | 出来事 | 影響 |
|---|---|---|
| 2025年10〜12月期 | JA全農配合飼料の基準期。前期比据え置きで推移 | 全国全畜種総平均は約8万1,850円/tを基準として推移 |
| 2025年10月 | 先行指標黒毛和種の和子牛価格が全国平均67万482円(前年同月比+34%)を記録 | 母牛減少による子牛供給不足で急上昇。最近5年間で最も高い上昇率、繁殖農家の離農加速が背景 |
| 2025年11月 | 肥育農家の間で「26年3月までは高止まりが続く」との見方が拡大 | 枝肉相場低迷(1kg2,500円程度)と素牛高騰の逆行で肥育経営が圧迫される構造が顕在化 |
| 2025年12月19日 | 起点JA全農が令和8年1〜3月期の配合飼料供給価格を+4,200円/t(4四半期ぶり値上げ)と発表 | 新価格は全畜種平均で8万6,050円程度。円安(156円→159円)とトウモロコシ・大豆粕相場上昇が主因 |
| 2026年1月23日 | 関東生乳販連が明治・森永乳業・雪印メグミルクとの交渉で2026年度飲用・発酵乳向け乳価を据え置きで決着 | 25年乳価引き上げ後の需要低迷と脱脂粉乳在庫(前年比+62%見通し)が据え置きの主因 |
| 2026年1月28日 | ホクレンが2026年度加工用・集団除く飲用乳価を据え置き、集団飲用(学校給食等)のみ+4円/kg(+3.1%) | 集団飲用乳価は130円前後に。脱脂粉乳の在庫調整と需要減退警戒が背景 |
| 2026年1月30日 | Jミルクが2026年度生乳生産見通し全国7,258千㌧(前年比98.2%、3年ぶり減産)を公表 | 都府県は5年連続減産、北海道も3年ぶり減産。搾乳牛頭数・妊娠頭数の減少が構造的要因 |
| 2026年3月19日 | JA全農が令和8年4〜6月期配合飼料供給価格を+1,250円/t(+1.5%)と発表、約2年ぶりの高値 | 新価格は約8万7,300円/t。とうもろこし460セント/ブッシェル前後、大豆粕350ドル/t前後で推移 |
| 2026年4月 | 米国中西部の天候不順によりとうもろこし相場が上昇、5月上旬に480セント/ブッシェル前後まで到達 | 作付遅延懸念と中東情勢による原油高が同時に発生、飼料原料相場を押し上げ |
| 2026年6月19日 | 3期連続JA全農が令和8年7〜9月期配合飼料供給価格を+3,700円/tと発表 | 3期累計値上げ幅は約+9,150円/t(+10.6%)。中東情勢による原油高と円安が長期化影響 |
| 2026年6月 | 肉用子牛取引価格が半年で3割急上昇、最高値圏で推移。2026年度の和牛肉生産は10年ぶりに減る見込み | 物価高による牛肉消費低迷を受けた繁殖農家の離農加速。生産基盤の縮小が懸念される |
| 2026年6月26日 | 東京食肉市場の相場:和牛225頭、交雑46頭上場、いずれも保合〜弱保合 | 枝肉相場は横ばいで推移、素牛高騰との差が肥育経営を圧迫する構図が定着 |
| 2026年7月4日 | 第28回全農肉牛枝肉共励会で栃木の生産者が1kg当たり1万4,000円の歴代最高を記録 | 最上級品質の和牛は歴代最高値の一方、東京市場A5等級去勢は2,500円/kg程度で低調、二極化が定着 |
2025年12月のJA全農配合飼料価格改定を起点として、3四半期連続の値上げが続き累計約+9,150円/t(+10.6%)に達した一方、乳価は2026年度据え置き、生乳は3年ぶり減産、和子牛は最高値圏で推移する。原料市況の上昇(円安・シカゴ定期高・原油高)が農家原価に転嫁される一方、乳価・枝肉相場・小売価格への転嫁は限定的で、畜産経営の圧迫が3業態それぞれで異なる形で顕在化している。この構造は次章以降で詳細に分析する。
配合飼料の価格推移と主要原料市況
JA全農配合飼料の3期連続値上げの背景を、シカゴ定期の主要原料相場(とうもろこし・大豆粕)、為替、海上運賃の4視点で整理する。原料の80%以上を輸入に依存する構造下で、円安と国際相場の同時上昇が価格改定の主要因となった。
JA全農配合飼料 3期連続値上げの推移
令和8年1〜3月期
4四半期ぶり値上げ
+4,200円/t
25年10〜12月期比+4,200円/t、新価格は約8万6,050円/t。前年後半までの4四半期は据え置きが続いたが、円安進行と原料相場上昇を反映し値上げに転換。2025年12月19日発表。
令和8年4〜6月期
2期連続・約2年ぶり高値
+1,250円/t(+1.5%)
1〜3月期比+1,250円/t、新価格は約8万7,300円/t。とうもろこし460セント/ブッシェル、大豆粕350ドル/t、円安159円前後で推移。2026年3月19日発表。
令和8年7〜9月期
3期連続値上げ
+3,700円/t
4〜6月期比+3,700円/t、新価格は約9万1,000円/t水準。3期累計は約+9,150円/t(+10.6%)。中東情勢による原油高、海上運賃上昇が押し上げ要因。2026年6月19日発表。
シカゴ定期・主要原料相場
| 時期 | とうもろこし(セント/ブッシェル) | 大豆粕(ドル/トン) |
|---|---|---|
| 2025年8〜9月 | 380台(3.8ドル) | 290台(米中貿易協議難航) |
| 2025年10〜12月 | 440前後(生育後期の乾燥) | 330前後(米中首脳会談で購買合意) |
| 2026年1〜2月 | 420〜430(米農務省需給見通しで下落) | 320〜340 |
| 2026年3〜4月 | 460前後(中東情勢緊迫化) | 350〜360(原油高・輸出需要増) |
| 2026年5月上旬 | 480前後(米国天候不順で急上昇) | 350台 |
| 2026年6月現在 | 420前後(産地天候改善で下落) | 330台 |
為替と海上運賃
外国為替は、2025年12月上旬に156円前後で推移していたが、衆議院解散報道を受けた積極財政政策への期待から2026年1月中旬に一時159円台まで円安が進行した。その後、日米当局による為替介入観測で2月中旬に153円前後まで戻ったものの、日銀利上げ観測の後退と中東情勢の緊迫化により、3月上旬から再び円安基調となり、現在は159円前後で推移している。円安1円で配合飼料コストは押し上げ圧力を受ける構造にある。
米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、2026年2月には50ドル/トン台前半で推移していたが、原油高の影響を受けて上昇局面に入った。米国の寒波による物流混乱も加わり、内陸産地からの集荷コストも上昇している。
配合飼料価格を決定する要因は、(1)シカゴ定期の穀物相場、(2)円ドル為替、(3)海上運賃、(4)国内物流費・製造諸経費の4層構造にある。2026年は(1)〜(3)がすべて上昇局面にあり、それが3期連続値上げの背景となっている。中東情勢と原油市況が(3)海上運賃に、円安が(2)為替に、米国産地の天候と輸出需要が(1)穀物相場にそれぞれ影響を及ぼす。単一要因の変動だけでは説明できない、複合的な上昇局面と言える。
構造分析:JA全農の配合飼料価格決定メカニズムと補助制度
JA全農は日本の配合飼料流通において最大手であり、その四半期ごとの価格改定は業界基準となる。価格決定の仕組みと、農家の急激な価格変動を緩和する補助制度(配合飼料価格安定制度)を整理する。
四半期改定のサイクル
JA全農の配合飼料供給価格は、原則として四半期ごとに改定される。1〜3月期・4〜6月期・7〜9月期・10〜12月期の4区分で、各期の直前月(通常は前月19日前後)に、次期の全国全畜種総平均トン当たり改定額と主要原料相場の見通しを公表する。改定額は地域別・畜種別・銘柄別に異なる。
価格決定に影響する主要因は次の4つである。第1に、シカゴ定期でのとうもろこし・大豆粕の相場動向。第2に、円ドル為替レート。第3に、米国ガルフ・日本間の海上運賃(パナマックス型)。第4に、国内物流費・製造諸経費(労務費・エネルギー費)である。特に配合飼料の主原料であるとうもろこしは輸入依存度が高いため、シカゴ定期と為替の変動が価格に直接反映される。
配合飼料価格安定制度(通常補塡・異常補塡)
配合飼料価格の急激な上昇から畜産経営を守るため、農林水産省・農家・配合飼料メーカーが共同で運営する配合飼料価格安定制度がある。この制度は通常補塡と異常補塡の2階建て構造で、農家が事前に積立を行い、価格上昇時に補塡金を受け取る仕組みである。通常補塡は、直近1年間の平均価格に対して価格が上昇した分の一定割合を補塡し、異常補塡は通常補塡でカバーしきれない急激な価格上昇時に発動される。2022年のロシア侵攻による飼料原料価格急騰時には異常補塡が発動された実績がある。畜産物生産費統計における「農家負担額ベース」の飼料費は、この補塡金を控除・積立金を加算した後の水準となる。
関連する支援制度(畜産経営安定対策)
| 制度名 | 対象 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 加工原料乳生産者補給金 | 酪農 | 飲用乳に比べ乳価の低い加工原料乳(バター・脱脂粉乳等の原料)の再生産を後押しするため、政府が交付単価を毎年度決定。直近の生産費変動を反映 |
| 肉用子牛生産者補給金制度 | 繁殖 | 子牛の全国平均売価が保証基準価格(現在57万4,000円)を下回った場合に政府が差額を補助 |
| 優良和子牛生産推進緊急支援事業 | 繁殖 | 24年度に1頭最大3万円、25年度にさらに1万円(離島は5万円)を追加した補助事業 |
| 肉用牛肥育経営安定交付金 (牛マルキン) |
肥育 | 肥育牛1頭当たりの標準的販売価格が標準的生産費を下回った場合、差額の8割を国と生産者が補塡 |
| 畜産クラスター事業 | 全業態 | 地域単位で機械導入・施設整備を支援、飼料増産優先枠を拡充 |
| 配合飼料価格安定制度 | 全業態 | 通常補塡と異常補塡の2階建て、原料価格の急上昇時に補塡金を交付 |
これらの補助制度は、いずれも短期的な価格変動の緩衝を目的としており、長期的な原価上昇に対応するには限界がある。特に飼料費の構造的上昇(3期累計+10.6%)に対しては、補塡金による緩和は一定効果があるものの、農家の可処分所得の縮小や離農加速を完全に食い止めることは困難である。中長期的には、飼料自給率向上、規模拡大、TMR活用、耕畜連携等の構造改革が並行して進められている。
独自切り口:酪農・繁殖・肥育の3業態別コスト構造
配合飼料+10.6%(3期累計)が同じ幅で進行しても、酪農・繁殖・肥育の3業態それぞれで経営インパクトは大きく異なる。飼料費の経営費に占める比率、主な収益源、価格転嫁の余地、飼育期間の3つの軸で3業態を分解すると、2026年の畜産経営の実相が可視化される。
🥛 酪農(乳牛・搾乳)
飼料費比率 30〜50%2026年の圧迫要因:配合飼料+10.6%の負担増を、飲用・加工用ともに据え置きとなった乳価では吸収できない構造。生乳生産見通しは2026年度で全国7,258千㌧(-1.8%、3年ぶり減産)となり、都府県は5年連続の減産局面に入る。加工原料乳生産者補給金が緩衝機能を持つが、脱脂粉乳在庫が前年比+62%に膨らむ需給悪化下では、加工用需要そのものが縮小する構造的リスクを抱える。北海道・都府県ともに搾乳牛頭数・妊娠頭数の減少が中長期的に生産基盤を規定する。
🐄 繁殖(母牛→子牛出荷)
飼料費比率 20〜30%2026年の圧迫要因:配合飼料+10.6%の負担は他業態より相対的に軽いが、母牛の飼育期間(子牛生産まで数年)が長く、投資回収に時間を要する。ただし2025年10月の黒毛和種子牛価格が全国平均67万482円/頭(前年比+34%)と最高値圏に達し、保証基準価格57万4,000円を大幅に上回る水準で推移していることから、子牛市場価格への転嫁は他業態より進んだ状態にある。一方、離農加速で繁殖農家戸数は減少傾向にあり、2026年度の和牛肉生産は10年ぶりに減る見込みとなっており、生産基盤の縮小が懸念される。優良和子牛生産推進緊急支援事業(1頭最大3万円+1万円追加)も投入されている。
🥩 肥育(素牛→出荷体重まで飼育)
飼料費比率 40〜60%2026年の圧迫要因:3業態で最も飼料費比率が高く、配合飼料+10.6%の負担が最も大きい。加えて素牛(和子牛)仕入価格が67万円台(+34%)に上昇、乳雄初生牛も過去に例をみないほど高騰(156,591円/頭、前年差+70,256円)している。乳用牛から生産した子牛は肥育農家の重要な素牛供給源であり、令和4年度時点で酪農経営で生産された和子牛は6.4万頭(和子牛全体の11%)に達する。ただし乳用種精液に占める性選別精液の割合が35%まで拡大し、乳用種の出生頭数に占める雌の割合が6割を超えるようになった結果、乳雄初生牛の絶対数減少が肥育経営を圧迫している。一方、国内牛肉消費は物価高で低迷し、枝肉相場は2,500円/kg程度で横ばい。素牛高値と枝肉低調の板挟みで経営環境が最も厳しい業態と言える。全農肉牛枝肉共励会2026年7月4日で最上級品質が1kg1万4,000円の歴代最高を記録した一方、一般消費者向けの中間ランクは低迷という二極化が定着している。牛マルキン制度が緩衝機能を持つが、素牛価格上昇分の吸収には限界がある。
配合飼料+10.6%という同じ幅の負担増でも、3業態それぞれで異なる形で経営を圧迫する。酪農は乳価据え置き+生乳減産、繁殖は子牛価格転嫁は進んだが飼育期間の長さと母牛減少、肥育は素牛高騰と枝肉低調の板挟みという構図となる。この3業態別の実相は、単一の「配合飼料値上げの影響」として括ることができない多層的な構造を持つ。畜産経営の持続可能性を議論する上で、業態別に異なる政策対応が求められる局面と言える。
依存度マップ:飼料原料の供給構造と地政学リスク
日本の飼料自給率は全体で26%(令和4年度概算)と、先進国の中でも低い水準にある。濃厚飼料の自給率はわずか13%で、大半を米国・ブラジル・カナダ等からの輸入に依存している。原料別・供給国別の依存構造を整理する。
飼料自給率の内訳と目標
粗飼料自給率
令和4年度概算
78%
牧草・青刈りとうもろこし・稲WCS等の粗飼料は、国内草地と水田を活用した生産で自給率が比較的高い。ただし北海道と都府県で偏在。
濃厚飼料自給率
令和4年度概算
13%
とうもろこし・大豆粕・魚粉等の濃厚飼料はほぼ全量が輸入。飼料用米の拡大とエコフィードが自給率向上策として推進中。
飼料全体自給率
令和4年度概算
26%
令和12年度に34%の目標を掲げ、粗飼料は草地生産性向上、濃厚飼料はエコフィード・飼料用米で対応中。
主要原料の供給国別依存構造
| 原料 | 主要供給国 | 特徴・リスク |
|---|---|---|
| とうもろこし | 米国、ブラジル、アルゼンチン | 配合飼料の主原料。シカゴ定期の相場が価格に直結。米国天候・輸出需要・南米作柄が変動要因 |
| 大豆粕 | 米国、ブラジル | タンパク源の主要原料。米中貿易協議、南米豊作期待、中国追加購買が価格を左右 |
| 魚粉 | ペルー、チリ、ノルウェー | 養殖・養鶏用の高タンパク飼料。エルニーニョ現象による南米沖漁獲変動が価格に影響 |
| 大麦・小麦(飼料用) | 豪州、ウクライナ、カナダ、米国 | とうもろこしの代替原料。ウクライナ情勢と豪州作柄が供給を規定 |
| 粗飼料(乾牧草・チモシー) | 米国、カナダ、豪州 | 乳牛用の輸入乾牧草。海上運賃と円安が価格に大きく影響 |
物流・地政学リスクの3要因
- 米国依存の集中リスク:とうもろこし・大豆粕の供給を米国に大きく依存。米国産地の天候不順、寒波、輸出需要動向が同時に配合飼料価格に影響を及ぼす
- 海上運賃リスク:米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は原油市況と連動。中東情勢による原油高が飼料原料の輸入コストを押し上げる構造
- 為替リスク:円安1円で配合飼料コストは相応の押し上げ圧力。2026年前半は156〜159円で推移し、飼料価格上昇の一因
日本の畜産業は、濃厚飼料の87%を輸入に依存する構造であり、その大半が米国・ブラジル・アルゼンチン等の穀物大国から調達される。この構造は、産出国が偏在する肥料(尿素・りん安・塩化加里)とは異なり、複数国からの供給が可能な一方、海上輸送コストと為替に対する脆弱性を持つ。中東情勢の緊迫化は肥料と原油の価格上昇を通じて、間接的に飼料コストも押し上げる連鎖構造にある。
技術解説:飼料自給率34%目標と6つの実装技術
飼料自給率34%(令和12年度目標)に向けて、農林水産省は複数の代替技術・自給飼料の普及を推進している。TMR、稲WCS、飼料用米、エコフィード、放牧、青刈りとうもろこし、イアコーンサイレージ等の主要技術を整理する。
TMR(Total Mixed Ration)と TMRセンター
TMRとは、粗飼料と濃厚飼料を栄養バランスを考慮して混合した牛用の飼料である。乳牛の泌乳量増加、飼料調製にかかる労働力軽減、新規参入の容易化といった効果があり、TMRセンターは地域単位でTMRを製造して農家に供給する施設である。農水省は畜産クラスター事業の一環でTMRセンターの整備を支援している。
国産粗飼料の拡大(稲WCS・飼料用米・青刈りとうもろこし)
| 作物 | 令和5年産作付面積 | 特徴 |
|---|---|---|
| 稲WCS (ホールクロップサイレージ) |
約5.3万ha | 稲の穂と茎葉を丸ごと乳酸発酵させた粗飼料。水田で生産可能で耕種農家と畜産農家の双方にメリット |
| 飼料用米 | 約14.2万ha(令和4年産) | とうもろこしとほぼ同等の栄養価。水田活用の直接支払交付金(5.5〜10.5万円/10a)が支援 |
| 青刈りとうもろこし | 約9.6万ha(令和3年産) | 高栄養価な粗飼料で濃厚飼料の低減にも寄与。酪農経営で重要。関東以西では二期作も可能 |
なお弊社は、韓国のサイレージフィルムメーカーの営業サポートを担い、日本の代理店を通じて北関東エリアで稲WCS用サイレージ作りの現場にフィルムを供給している。実際の生産現場に近い立場から、飼料自給率向上と耕畜連携の実装を側面から支えている。
エコフィードと国産濃厚飼料の取組
エコフィードは、食品残さ等を原料として製造された飼料である。食品ロス削減と飼料自給率向上を同時に実現する仕組みで、豚・鶏を中心に活用が広がっている。加えて、イアコーンサイレージ(北海道で平成20年頃から生産開始)や子実とうもろこし(水田・畑での輪作体系に組み込むことで排水性改善・地力改善・連作障害回避が可能)など、国産濃厚飼料の生産拡大に向けた取り組みも進んでいる。
放牧の推進
放牧は、飼料の生産・給与や家畜排せつ物処理の省力化が可能な飼養管理方法である。全国で放牧される牛は、乳用牛(酪農)で約26万頭(総飼養頭数の約20%)、肉用牛(繁殖)で約11万頭(同約18%)である。農水省は放牧に必要な牧柵・簡易施設の整備、放牧技術の導入、生産性の高い草地への転換を支援している。
耕畜連携と地域単位の取組
耕種農家が生産した国産飼料(稲WCS・飼料用米・青刈りとうもろこし・稲わら)を畜産農家が利用し、家畜排せつ物由来の堆肥を農地に還元する「耕畜連携」が、飼料自給率向上の中核的な仕組みとして推進されている。農水省HPには国産稲わら販売者や飼料用米・稲WCS・青刈りとうもろこしの需要者情報が掲載されており、耕種側と畜産側のマッチングを促進している。
飼料自給率34%目標(令和12年度)に向けた技術体系は既に整備されているが、実装度合いには地域差と業態差がある。TMRセンターは北海道と一部都府県で展開が進む一方、稲WCS・飼料用米は令和5年産で5.3万ha・14.2万haと拡大局面にあるが、輸入濃厚飼料の代替として十分な規模には至っていない。エコフィードは豚・鶏で普及が進むが、牛への活用は限定的である。中長期的な自給率向上には、耕畜連携の面的拡大と、農家の技術習熟が並行して求められる。
企業影響:JA全農・畜産経営者・食肉加工の動向
配合飼料価格の3期連続値上げは、JA全農(飼料最大手)、指定生乳生産者団体(ホクレン・関東生乳販連)、乳業3社(明治・森永乳業・雪印メグミルク)、食肉市場、農畜産業振興機構等の各主体に異なる形で影響を及ぼす。
JA全農の役割と価格決定要因
JA全農は配合飼料の全国最大手として、四半期ごとの価格改定が業界基準となる。令和8年1〜3月期(+4,200円/t)、4〜6月期(+1,250円/t)、7〜9月期(+3,700円/t)の3期連続値上げは、原料市況・為替・海上運賃・国内物流費の複合要因を反映した結果である。JA全農は同時に、農水省の飼料原料備蓄対策事業に参画し、産出国が偏在する原料の国内備蓄も担っている。
指定生乳生産者団体と乳価交渉
乳価は、指定生乳生産者団体と乳業メーカーの交渉によって決定される。加工用乳価は取扱量が多いホクレン(北海道)の価格、飲用乳価は関東生乳販連の価格が全国基準となる。
- 関東生乳販連:2026年1月23日、明治・森永乳業・雪印メグミルクとの交渉で2026年度飲用・発酵乳向け乳価を据え置きで決着(対象は関東圏約2,200戸の酪農家)
- ホクレン:2026年1月28日、加工用・集団除く飲用乳価を据え置き、集団飲用(学校給食等)のみ4月1日から+4円/kg(+3.1%)で130円前後に
- 据え置きの主因:25年乳価引き上げ後の牛乳需要低迷、脱脂粉乳在庫が25年度末に前年比+62%の8万トン超に膨らむ需給悪化の懸念
子牛市場と繁殖農家
肉用子牛の取引は、農畜産業振興機構が全国平均価格を集計・公表している。2025年10月の黒毛和種子牛は全国平均67万482円/頭(前年比+34%)と最近5年間で最も高い上昇率を記録した。栃木県鹿沼市で和牛肥育を手がける町井一貴氏は、子牛は高くてもオス・メス平均60万円程度で仕入れないと将来の利益が見込めない旨を語っており、肥育経営が厳しい局面にあることを示している。
乳雄初生牛(乳用種雄子牛)の価格も過去に例をみないほど高騰しており、北海道主要7市場では平均156,591円/頭(前月差+38,366円、前年差+70,256円、税抜き)で推移している。頭数減少による資源確保の必要性が背景にある。
食肉市場・共励会・肥育経営
東京食肉市場では、2026年6月26日時点で和牛225頭、交雑46頭が上場し、和牛は「めす保合・去勢保合」の相場動向となった。全農肉牛枝肉共励会(第28回、2026年7月4日)では、栃木の生産者が1kg当たり1万4,000円の歴代最高値を記録した。一方、東京市場での枝肉相場は近年2,500円/kg程度(去勢A5等級)で推移し、ピーク時(2016-2018年)の約2,800円/kgと比較すると低調である。
配合飼料価格改定→農家原価上昇→乳価・子牛価格・枝肉価格の各交渉→補塡制度による緩衝、という連鎖の中で、2026年は乳価据え置きと枝肉相場の低調が農家の可処分所得を圧迫している。JA全農の集荷・販売機能、指定団体の交渉力、農畜産業振興機構による補塡制度の運用が、畜産経営の持続可能性を規定する主要因となる。
波及:牛乳・和牛・豚肉・鶏肉の小売価格への影響
配合飼料値上げは、生産者→中間流通→小売の段階を経て、家庭の食卓に届く畜産物の価格に反映される。牛乳・乳製品、和牛、豚肉、鶏肉、卵の各カテゴリーで、価格転嫁の進度と消費者行動への影響を整理する。
牛乳・乳製品への影響
2026年度乳価据え置きは短期的には牛乳・ヨーグルト等の小売価格上昇を抑える効果があるが、生産者側の飼料原価上昇(配合飼料+10.6%)と収益悪化を背景に、生乳生産量は2026年度で全国前年比98.2%(3年ぶり減産)となる見込みである。都府県では5年連続の減産となり、飲用牛乳の中長期的な供給不安につながる可能性がある。
脱脂粉乳の需給悪化は加工原料乳生産者補給金制度による緩衝がある一方、酪農経営の中長期的な持続可能性に影を落とす。バター・チーズ需要は乳脂肪の観点で相対的に堅調だが、脱脂粉乳を含む乳製品全体の需給均衡が2026年後半の焦点となる。
和牛への影響と二極化
和牛の小売価格は、高級品(A5等級)と中間ランク(A3・A4等級)で明確な二極化が進んでいる。全農肉牛枝肉共励会2026年7月4日では最上級品質が歴代最高値を記録した一方、東京市場のA5等級去勢の相場は約2,500円/kgで推移している。輸出は順調に伸びているが、国内では物価高による消費低迷で、中間ランクの需要が振るわない。
2026年度の和牛肉生産は10年ぶりに減る見込みとなっており、繁殖農家の離農加速による子牛供給の縮小が、中長期的な和牛供給不安につながる。年末年始の需要ピーク期(すき焼き・しゃぶしゃぶ用)の価格動向が、2026-2027年の消費者行動を規定する試金石となる。
豚肉・鶏肉・卵への影響
豚・鶏は濃厚飼料中心の飼育で、飼料費比率が経営コストの60〜70%と3業態の中で最も高い。配合飼料+10.6%の負担増は、豚肉・鶏肉・卵の生産コストに直接的に転嫁される。ただし、これらは牛肉に比べ短い飼育サイクルで市場に届くため、価格転嫁の速度が速く、小売価格への反映も比較的早い。消費者の購買選択の変化(牛→豚・鶏、豚→鶏への価格帯シフト)も並行して進む可能性がある。
外食・給食・学校給食への影響
学校給食の集団飲用向け乳価は4月1日から+4円/kg(+3.1%)で130円前後となった。これは自治体・給食センターの調達コストに直接反映される。外食業界では、牛丼・焼肉・和牛料理店などで、原価上昇の吸収が難しい業態から順次価格改定が進む可能性がある。すき焼き・しゃぶしゃぶを提供する専門店は、年末年始の需要ピーク時期の価格戦略が焦点となる。
配合飼料値上げの小売段階への転嫁は、乳価据え置きにより牛乳・乳製品では抑制される一方、豚肉・鶏肉・卵では比較的迅速に反映される見通しである。和牛は輸出堅調と国内消費低迷の二極化下で、中間ランクの相場低迷が続く。消費者の代替行動と、生産基盤の中長期的な縮小がどこで均衡するかが、2026年後半から2027年前半にかけての焦点となる。物流資材の観点では、牛乳・和牛・豚肉・鶏肉の小売段階での包装形態変化(大容量→少量パック等)が、パレット・段ボール・ストレッチフィルム需要に影響する。
日本含意:食料自給率・畜産の持続可能性・後継者問題
配合飼料値上げと3業態別の経営圧迫は、日本の畜産業が抱える構造的課題を改めて浮き彫りにした。飼料自給率、農家の高齢化・後継者問題、地域偏在、政策対応が交差する局面である。中長期的な視点で日本畜産の含意を整理する。
食料安全保障と飼料自給率
日本の飼料自給率は26%(令和4年度概算)、うち濃厚飼料は13%と極めて低い水準にある。畜産物の生産量は輸入飼料に大きく依存する構造であり、原料調達リスク(米国の天候・輸出需要、南米作柄、中東情勢による原油高、円安)が同時に発生した2026年前半は、この構造的脆弱性を露呈した。令和12年度目標34%への到達には、粗飼料の草地生産性向上、濃厚飼料のエコフィード・飼料用米活用、耕畜連携の面的拡大が必須である。
畜産の後継者問題と生産基盤の縮小
畜産農家の高齢化と後継者不在は、業態を問わず継続する構造的課題である。特に繁殖農家の減少は、和子牛供給の縮小を通じて肥育農家の経営環境をさらに悪化させる連鎖構造にある。2025年10月の和子牛価格が前年比+34%と急上昇したのは、母牛減少による供給不足が主因である。2026年度の和牛肉生産が10年ぶりに減る見込みとなっており、生産基盤の縮小が現実化しつつある。酪農では、担い手の高齢化や後継者不足を背景に毎年一定数の経営離脱が続いており、法人化・新規就農の推進や、後継者による継承や新規就農のための飼養管理技術習得・投資負担軽減対策が実施されている。
地域偏在と主要産地
畜産産出額を都道府県別に見ると、1,000億円以上の11道県(北海道、青森、岩手、茨城、栃木、群馬、千葉、愛知、熊本、宮崎、鹿児島)で全国の約67%を占める。地域単位の産地形成が畜産業の基盤であり、これらの地域での生産基盤の維持・強化が食料安全保障上の課題となる。北海道は酪農・畜産の中心地で、生乳生産の約59%を占める。九州(宮崎・鹿児島・熊本)は和牛・養豚・養鶏の集中産地として、全国有数の畜産集積を形成している。栃木は全農肉牛枝肉共励会2026年7月4日で歴代最高1kg1万4,000円を出した和牛産地としても知られ、地域固有の産地ブランドが確立されている。
制度対応と中長期の政策方向性
加工原料乳生産者補給金制度、肉用子牛生産者補給金制度、牛マルキン(肉用牛肥育経営安定交付金)、配合飼料価格安定制度、優良和子牛生産推進緊急支援事業、畜産クラスター事業といった補助制度は、短期的な価格変動の緩衝機能を持つ。ただし、飼料費の構造的上昇(3期累計+10.6%)に対しては、単年の補塡だけでは対応困難であり、飼料自給率向上と生産基盤強化の中長期政策との組み合わせが不可欠である。
物流資材業界への含意
畜産・飼料の流通構造変化は、物流資材業界に畜産特有の3つの影響を及ぼす。第1に、配合飼料の輸送では、大袋(20kg・25kg)向けのPPバンド、フレコンバッグ、バラ荷役用パレットの需要が飼料工場〜農家間で発生し、3期連続値上げで飼料流通量が変動する中で調達パターンが変化する。第2に、TMRセンターの整備拡大に伴い、地域内配送用のパレット・保冷資材の新規需要が発生する。第3に、輸入粗飼料(乾牧草・チモシー)の受入と生乳・食肉の流通では、冷蔵・冷凍対応のパレット・段ボール・ストレッチフィルムの需要が変化する。畜産業の集約化と地域偏在(北海道の酪農・九州の和牛養豚養鶏)に応じて、物流資材の需要構造も変化していく。
2026年の配合飼料値上げと3業態別の経営圧迫は、日本畜産の構造的課題を可視化した。飼料自給率、農家の高齢化・後継者、地域偏在、生産基盤の縮小、政策対応、消費者行動という6つの論点が絡み合っている。これらは2026年後半から2027年にかけて、乳価改定の再交渉、和牛肉生産の縮小規模、繁殖農家の離農動向、令和8年10〜12月期以降の配合飼料改定を通じて、順次答えが出てくる。プラスチックパレット業界としては、農業・飼料・畜産のサプライチェーン全体の構造変化を継続的に観測し、物流資材需要の変化に対応する必要がある。
用語集
本記事で用いた専門用語を、配合飼料関連・畜産経営関連・補助制度関連の3カテゴリで整理する。
- 配合飼料
- とうもろこし・大豆粕・魚粉等の複数の飼料原料を、家畜の栄養バランスを考慮して混合した飼料。JA全農が全国最大手として四半期ごとに供給価格を改定する。
- 粗飼料
- 牧草・青刈りとうもろこし・稲WCS等の繊維質を多く含む飼料。牛の反芻に必要で、粗飼料自給率は78%(令和4年度概算)。
- 濃厚飼料
- とうもろこし・大豆粕・魚粉等の栄養価が高い飼料。輸入依存度が高く、濃厚飼料自給率は13%(令和4年度概算)に留まる。
- TMR(Total Mixed Ration)
- 粗飼料と濃厚飼料を栄養バランスを考慮して混合した牛用の飼料。乳牛の泌乳量増加、労働力軽減、新規参入の容易化に寄与する。
- TMRセンター
- 地域単位でTMRを製造して農家に供給する施設。畜産クラスター事業の一環で整備が進む。
- エコフィード
- 食品残さ等を原料として製造された飼料。食品ロス削減と飼料自給率向上を同時に実現する仕組みで、豚・鶏で活用が広がる。
- 稲WCS
(ホールクロップサイレージ) - 稲の穂と茎葉を丸ごと乳酸発酵させた粗飼料。水田で生産可能で耕種農家と畜産農家の双方にメリット。令和5年産作付面積は約5.3万ha。
- 飼料用米
- とうもろこしとほぼ同等の栄養価を持つ水田生産の飼料用穀物。水田活用の直接支払交付金(5.5〜10.5万円/10a)が支援。令和4年産作付面積は約14.2万ha。
- プール乳価
- 指定団体が用途別乳価の加重平均から共販経費を差し引いた金額として酪農家に支払う乳価。飲用・加工用の需給バランスで変動する。
- 加工原料乳
- 飲用向けに比べて価格が安いバターや脱脂粉乳などの乳製品の原料となる生乳。政府は加工原料乳生産者補給金を交付して再生産を後押しする。
- 指定生乳生産者団体
- 酪農家から生乳を集めて乳業メーカーに販売する事業者。関東生乳販連(飲用乳価の全国基準)、ホクレン(加工用乳価の全国基準)が代表的。一元集荷多元販売で交渉力を確保。
- 保証基準価格
- 肉用子牛生産者補給金制度で用いる基準価格。子牛の全国平均売価が保証基準価格を下回った場合、政府が差額を補助する。現在は57万4,000円。
- 牛マルキン
(肉用牛肥育経営安定交付金) - 肥育牛1頭当たりの標準的販売価格が標準的生産費を下回った場合、差額の8割を国と生産者が補塡する制度。肥育経営の安定を図る。
- 配合飼料価格安定制度
- 農林水産省・農家・配合飼料メーカーが共同で運営する価格変動緩和制度。通常補塡と異常補塡の2階建てで、原料価格の急上昇時に補塡金を交付。
- 肉用子牛生産者補給金制度
- 子牛の全国平均売価が保証基準価格を下回った場合に政府が差額を補助する制度。優良和子牛生産推進緊急支援事業(1頭最大3万円+1万円追加)と併用可能。
- 畜産クラスター事業
- 地域単位で機械導入・施設整備を支援する農水省の畜産振興事業。飼料増産優先枠の拡充、TMRセンターの整備、耕畜連携などが対象。
- シカゴ定期
- 米シカゴ商品取引所(CBOT)で取引されるとうもろこし・大豆粕の先物価格。国際的な穀物相場の代表指標で、JA全農配合飼料の価格改定にも直結する。
- パナマックス
- パナマ運河を通航できる最大サイズの船舶。米国ガルフ・日本間の穀物輸送に多く使用され、その海上運賃が配合飼料の輸入コストに直接影響する。
出典・エビデンス一覧
本記事で参照した一次ソース・二次ソースを、政府機関・業界団体・指定団体・主要メディアの順に整理する。数値・日付・固有名詞はすべて以下の出典に基づいている。
-
JA全農(全国農業協同組合連合会)「令和8年7〜9月期の配合飼料供給価格改定について」2026年6月19日。前期比+3,700円/t、シカゴ相場・為替・海上運賃の情勢分析を含む。
https://www.zennoh.or.jp/press/release/2026/109780.html -
JA全農「令和8年4〜6月期の配合飼料供給価格改定について」2026年3月19日。前期比+1,250円/t、2年ぶり高値の一次情報。
https://www.zennoh.or.jp/press/release/2026/108705.html - JA全農「令和8年1〜3月期の配合飼料供給価格改定」2025年12月19日。前期比+4,200円/t、4四半期ぶり値上げの一次情報。
-
JACCネット(JA全農飼料畜産事業本部)「配合飼料供給価格 令和8年4〜6月期」2026年3月19日。詳細な情勢分析(とうもろこし・大豆粕・為替)を含む。
https://jaccnet.zennoh.or.jp/product/haigou/2026/p2603.html -
農林水産省 畜産局飼料課「飼料をめぐる情勢」(令和5年11月版・令和6年5月版)。飼料自給率、経営コスト構成、稲WCS・飼料用米の作付面積、放牧頭数の一次データ。
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/ -
農林水産省「畜産物生産費統計」および「営農類型別経営統計」。畜種別の飼料費比率と経営コスト構造の一次データ。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/seisanhi_tikusan/ - 農林水産省「畜産・酪農をめぐる情勢」令和7年1月・令和6年5月。生乳生産、牛肉需給、和子牛価格の推移データ。
-
農畜産業振興機構(ALIC)「肉用子牛取引情報」2026年6月22日最終更新。黒毛和種・交雑種・ホルスタイン種の月別全国平均価格の一次データ。
https://www.alic.go.jp/operation/livestock/calf-report.html -
農畜産業振興機構「加工原料乳生産者補給金制度の交付要綱等」2026年4月2日最終更新。補給金・集送乳調整金の制度概要と交付単価。
https://www.alic.go.jp/r-keiei/raku03_000066.html -
Jミルク(一般社団法人日本乳業協会)「2025年度・2026年度の生乳および牛乳乳製品の需給見通しと課題について」2026年1月30日。生乳生産7,258千㌧、脱脂粉乳在庫見通しの一次情報。
https://www.maff.go.jp/j/chikusan/gyunyu/attach/pdf/antei_kyokyu-113.pdf - ホクレン農業協同組合連合会「2026年度乳価改定発表」2026年1月28日。加工用・集団除く飲用乳価据え置き、集団飲用+4円/kgの一次情報。
- 関東生乳販売農業協同組合連合会「2026年度飲用・発酵乳向け乳価据え置き決着」2026年1月23日。明治・森永乳業・雪印メグミルクとの交渉結果。
- 日本経済新聞「配合飼料が2年ぶり高値 JA全農の4~6月、トウモロコシ高が直撃」2026年3月20日。1〜3月期比+1,250円(+1.5%)、8万7,300円/tの報道。
- 日本経済新聞「肉用の子牛価格、3割急騰で最高値圏 消費低迷で『和牛つくれない』」2026年6月10日。子牛価格半年で3割急上昇、2026年度和牛肉生産10年ぶり減の一次情報。
- 日本経済新聞「ホクレン、26年度の加工用・集団除く飲用乳価据え置き 需要減退を懸念」2026年1月28日。脱脂粉乳在庫+62%の背景分析。
- 日本経済新聞「和牛の子牛価格10月34%高、上昇に拍車 枝肉相場低迷も不足感強く」2025年11月18日。町井一貴氏の証言、保証基準価格57万4,000円、枝肉相場2,500円/kgの一次情報。
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日本農業新聞「全農1〜3月期 配合飼料1トン4200円上げ 原料価格が高騰」2025年12月20日。1年ぶり値上げの速報。
https://www.agrinews.co.jp/news/index/352365 -
日本農業新聞「配合飼料供給価格 トン約1250円値上げ 4〜6月期、JA全農」2026年4月3日。全国全畜種総平均改定の詳細。
https://shinbun.nca.or.jp/news-lists/45daf74b-67ac-49a4-b592-700a17ec7f34 -
JAcom 農業協同組合新聞「配合飼料供給価格 トン当たり約4200円値上げ 2026年1〜3月期 JA全農」2025年12月22日。原料相場動向と改定の詳細。
https://www.jacom.or.jp/niku/news/2025/12/251222-86479.php -
JACCネット「素牛相場」2026年最新更新。乳雄初生牛の北海道主要7市場取引平均156,591円/頭、前月差+38,366円の一次データ。
https://jaccnet.zennoh.or.jp/motoushi/ -
東京食肉市場株式会社「牛肉相場日報」2026年6月26日。和牛・交雑・乳牛の上場頭数と相場動向。
https://ssl.tmmc.co.jp/trader/market/cattle/ - NHK「肥料の主原料『尿素』の輸入価格17%上昇 イラン情勢影響で」2026年4月28日。中東情勢による原料輸入価格上昇の一般報道。
FAQ
本記事の主要論点について、読者から想定される6つの質問への回答を整理する。JSON-LD FAQPageと同期している。
JA全農の配合飼料価格が3四半期連続で値上げされた要因は何ですか
JA全農の説明によれば、円安基調(156〜159円で推移)、シカゴ定期でのとうもろこし相場上昇(460セント/ブッシェル前後)、大豆粕相場上昇(350ドル/トン前後)が主要因です。加えて米国産とうもろこしの輸出需要増、中東情勢の緊迫化による原油高、米国の寒波・天候不順による物流混乱と単収低下懸念、海上運賃の上昇が複合的に作用しました。3四半期累計で1トン当たり約9,150円(+10.6%)の値上げとなり、25年10〜12月期と比べた新価格は9万1,000円程度と想定されます。
酪農・繁殖・肥育の3業態で配合飼料値上げの影響が異なる理由は何ですか
経営費に占める飼料費比率と、価格転嫁の余地が業態で異なるためです。酪農は濃厚飼料依存が高く飼料費比率30-50%、乳価は2026年度据え置きのため価格転嫁の余地が乏しく収益直撃です。繁殖は粗飼料主体で飼料費比率20-30%と相対的に低いですが、飼育期間が長く母牛の減少で子牛価格に転嫁されています。肥育は濃厚飼料集中投入で飼料費比率40-60%と最も高く、素牛仕入価格の上昇(+34%)と国内消費低迷が同時進行し、経営環境が最も厳しい業態です。
和子牛価格が67万円と最高値圏で推移している理由は何ですか
農畜産業振興機構の集計によれば、2025年10月の黒毛和種子牛価格は全国平均で67万482円/頭となり、前年同月比+34%と最近5年間で最も高い上昇率でした。要因は牛肉消費低迷を受けた繁殖農家の離農・母牛減少による子牛供給不足です。2026年度の和牛肉生産は10年ぶりに減る見込みとなっており、繁殖農家の減少がさらに続く懸念から相場が押し上げられています。保証基準価格57万4,000円を大きく上回る水準です。
乳価が2026年度に据え置きとなった背景は何ですか
関東生乳販連は2026年1月23日に明治・森永乳業・雪印メグミルクと交渉し、2026年度の飲用・発酵乳向け乳価を据え置きで決着させました。ホクレンも同様に加工用・集団除く飲用乳価を据え置きとし、学校給食などの集団飲用向けのみ4月1日から+4円/kg(+3.1%)としました。据え置きの主因は、25年の乳価引き上げ後の牛乳需要低迷と、25年度末の脱脂粉乳在庫が前年度比+62%の8万トン超まで膨らむ見通しとなる需給悪化への警戒です。
飼料自給率26%の日本で今後どのような対応が進みますか
農林水産省は令和12年度に飼料自給率34%を目標としており、TMR(Total Mixed Ration)センターの整備、稲発酵粗飼料(稲WCS)や飼料用米の作付拡大、青刈りとうもろこしなどの自給粗飼料の増産、エコフィード(食品残さ由来飼料)の活用、放牧の推進などを通じて自給率向上を図っています。畜産クラスター事業による地域単位の生産基盤強化、耕畜連携の推進、飼料用米へのマッチング促進、稲WCSの作付面積拡大(令和5年産約5.3万ha)といった具体施策が進行しています。
なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか
弊社はプラスチックパレット・再生樹脂材料・PPバンド・ストレッチフィルム等の物流資材を全国に供給する専門商社として、畜産・飼料の輸送や食肉流通のパレット・梱包材需要と密接に関わっています。配合飼料の輸送、飼料工場での荷役、畜産物の物流など、農業サプライチェーン全体の構造変化を継続的に観測し記事として発信しています。
- 本記事は、JA全農・農林水産省・農畜産業振興機構・Jミルク・主要メディアの公表情報を基に、記事公開時点で入手可能な情報を整理・分析したものです。
- 配合飼料の供給価格、原料相場、乳価、和子牛・枝肉価格、生乳生産見通し等の数値は、記事公開後に変動する可能性があります。取引・投資・調達判断は最新の一次情報および専門家のご相談に基づいてください。
- 本記事は特定の畜産物・投資商品の売買や、特定の畜産経営判断を推奨するものではありません。JA全農・農水省・農畜産業振興機構・Jミルク・その他の政府機関・業界団体の公式見解を代表するものでもありません。
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