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7月の食品値上げ2566品目、「中東情勢」要因が24.7%に達した2026年の構造変化
Geopolitics & Consumer Price Index

7月の食品値上げ2566品目、「中東情勢」要因が24.7%に達した2026年の構造変化

帝国データバンクの最新調査が初めて新設した「中東情勢」分類項目。年内1.5万品目のうち2割超を占め、ホルムズ海峡の混乱が日本の食卓へ伝播する実像が一次データで可視化された。

初版公開:2026年6月30日 最終更新:
帝国データバンクの2026年6月30日発表の価格改定動向調査によれば、7月の食品値上げは2566品目、平均値上げ率は11%に達した。同調査で今回新設された「中東情勢」要因は値上げ全体の24.7%を占め、ナフサ高による包装資材コスト上昇が前年同月から10.5ポイント急伸。年間値上げ品目は前年並みの2万品目ペースで推移している。

2026年7月、なぜ単月2566品目もの値上げが起きたのか

単月2566品目は7月単月としては2023年に次ぐ歴史的水準。背景は中東情勢の悪化による原油・ナフサ高と、トレー・フィルムの資材価格上昇の同時進行である。

3カ月ぶりの2千品目超え、平均値上げ率は11%

帝国データバンクが2026年6月30日に発表した「食品主要195社」価格改定動向調査によれば、2026年7月の飲食料品値上げは合計2566品目に達した。単月で2千品目を超えるのは同年4月(2838品目)以来3カ月ぶりで、7月単月としては2023年(3595品目)に次ぐ高い水準である。値上げ1回あたりの平均値上げ率は11%で、家計・調達現場の双方に直接の負担となる。

分野はパンと加工食品に集中、生活必需性カテゴリーが直撃

分野別では、即席めん・缶詰製品を中心とした「加工食品」が1084品目、食パン・菓子パン・総菜パンを大手メーカー一斉で値上げした「パン」が1078品目と、生活必需性の高いカテゴリーに集中している。ナフサクライシスの構造が、今までは「川中の樹脂・包装材メーカー」に留まっていた局面から、いよいよ食卓への本格波及局面に入ったことを示す数字と言える。

2,566品目
2026年7月の食品値上げ品目数
24.7%
「中東情勢」を要因とする値上げの比率(新設項目)
+10.5pt
包装・資材要因の前年同月比上昇幅
14,902品目
2026年通年(1〜11月判明分)の値上げ累計

値上げ要因の構造変化、「中東情勢」が独立項目として新設された意味

帝国データバンクが初めて「中東情勢」を独立した値上げ要因として新設し、初回集計で24.7%が計上された。これは同調査が始まった2022年以降にない構造変化である。

新設項目「中東情勢」が値上げ要因の24.7%を占めた

今回の調査で注目すべきは、帝国データバンクが値上げ要因の集計項目に「中東情勢」を新たに加えた点である。同要因による値上げは年内1.5万品目のうち6月末時点で2割を超え、24.7%に達した。「原材料高」(92.5%)、「物流費」(71.9%)、「包装・資材」(69.8%)、「エネルギー」(61.1%)、「人件費」(58.6%)といった既存の値上げ要因と並んで集計されているが、これらは互いに重複する(複数選択)構造であり、中東情勢は原材料高・物流費・包装資材・エネルギーの4要因と多重に絡んでいる。

包装・資材だけが前年比+10.5ptと逆行して急上昇

象徴的なのは「包装・資材」要因が前年同月の59.3%から69.8%へと、わずか1年で10.5ポイント上昇している点である。物流費(80.0%→71.9%)や原材料高(97.2%→92.5%)が前年から低下傾向にあるなかで、包装資材だけが逆行して急上昇した。これは、ホルムズ海峡の通航制約に伴うナフサ供給の不安定化が、食品包装材という特定カテゴリーに集中的・遅延的な影響を及ぼしていることを示唆する。

値上げ要因2026年6月末2025年6月末2025年通年2024年通年
原材料高92.5%97.2%96.1%92.2%
中東情勢(新設)24.7%
エネルギー61.1%66.4%63.8%60.6%
包装・資材69.8%59.3%62.7%68.5%
物流費71.9%80.0%78.6%68.1%
円安(為替変動)9.1%12.3%12.4%28.1%
人件費58.6%53.9%50.3%26.5%

出所:帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年6月30日発表)。値上げ要因には一部重複を含む。

ナフサから食卓までの伝播メカニズム

中東情勢悪化がなぜ食品の値上げに直結するのか。原油→ナフサ→樹脂→包装→食品という3段階の伝播経路を、具体的なメーカー名と金額で追う。

STAGE 01

原油・ナフサの調達コスト急騰、$1,000突破

2026年2月28日に始まった米イスラエルによるイラン攻撃以降、ホルムズ海峡の通航が制約され、シンガポールのナフサスポット価格は3月25日に1トン1,000ドル台に到達した。5月16日には1,043ドルでピークをつけたあと、米国産ナフサの代替輸入増などで6月上旬には767ドルまで急落するなど、短期的なボラティリティが続いている(大景化学業界整理)。価格が落ち着いても、四半期ごとに改定される国産ナフサの基準価格は4〜6月期に大きく上昇し、川下への影響は時差を伴って広がっている。

STAGE 02

樹脂・包装資材メーカーが価格改定を一斉発表

日本経済新聞(2026年4月15日)によれば、汎用合成樹脂の取引価格は3月比3割上昇し、TOPPANホールディングスは包装資材の仕入れ値が2〜3割増加しているとして、顧客の食品・日用品メーカーへの値上げ打診を4月21日以降に開始した。グンゼは4月8日に食品包装用ナイロンフィルム・ナイロンチューブ・ラベル用収縮フィルム・工業用オレフィンシートの4種類を値上げすると発表し、東洋紡はLLDPE系フィルムの値上げを4月21日納入分から実施。プライムポリマー・日本ポリエチレンは3月時点で取引先に供給制約を通知し、東ソーがLLDPE系で1kgあたり90円以上、旭化成が120円以上の値上げを表明している(logi-today、2026年4月5日報道)。

STAGE 03

食品メーカーが価格転嫁、食卓へ到達

第三段階が食品メーカーによる価格転嫁である。山崎製パン、東洋水産、伊藤ハム米久HDなどが2026年4月以降に発表した7月値上げのリリースには、いずれも「包装材価格の高騰」「包材費の上昇」「国際情勢の緊迫化」など、これまでにない明示的な言及が並んだ(具体的な品目・価格・改定率は次セクションで詳述)。包装材の値上げが、ナショナルブランドの生活必需品の価格決定に明示的に組み込まれたのは2022年以降の値上げサイクルでも特異な点であり、ここに2026年の構造変化の本質がある。

7月値上げの具体例、メーカー別の品目・価格・改定率

2026年7月の値上げは、生活密着型の主要ナショナルブランドが一斉に動いた点で2024〜2025年の値上げ局面と質的に異なる。カテゴリー別に、品目数・改定率・代表商品まで具体的に整理する。

パン分野(1078品目)、大手4社の一斉改定

パン分野では、山崎製パン、敷島製パン(Pasco)、第一屋製パン、オイシスの大手4社が7月1日出荷分で価格改定を揃え、合計1078品目に達した。1社あたりの規模・対象範囲とも、家庭の食卓に直結する商品が中心となる。

  • 山崎製パン(306品目):食パン62品目を平均6.6%(「ロイヤルブレッド」「ダブルソフト」「超芳醇」など)、菓子パン126品目を平均5%(「薄皮つぶあんぱん」「ミニスナックゴールド」「チョコチップスナック」など)、和洋菓子118品目を平均6.4%(「串だんご」「北海道チーズ蒸しケーキ」「まるごとバナナ」「豆大福」など)、全体平均5.6%。同社の値上げは2025年1月以来、1年半ぶり。値上げ理由として「主要原料の小麦粉や、包装材価格の高騰など」を明示し、時事通信は「中東情勢悪化に伴う包装材の価格上昇も反映」と報じた。
  • 敷島製パン(Pasco)、第一屋製パン、オイシス:山崎製パンと同時期の改定で、パン分野全体としての値上げ品目数が3桁に達した。食パン・菓子パンを中心とした構成で、改定率も山崎製パンと近い水準とみられている。

即席麺分野、3社の主要ブランドが一斉改定

即席麺カテゴリーでは、東洋水産・サンヨー食品・エースコックが7月1日納品分で改定を実施。日清食品(4月実施)・明星食品と合わせ、大手主要メーカーの改定が出揃った。

  • 東洋水産(120品目):希望小売価格を4〜11%、一部オープン価格商品では出荷価格の10%引き上げ。「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」のレギュラーサイズは税抜236円→248円(+12円、約5.1%)、「推しの一杯」シリーズは税抜333円→368円(+35円、約10.5%)、即席ワンタンの「ワンタンシリーズ」は142円→148円。同社の大規模値上げは2023年6月1日以来、約3年ぶり。値上げ理由として「原材料費の高騰に加え、包材費の上昇、さらには物流費・燃料費等の上昇」を挙げ、「自助努力だけでは現行価格での安定した商品供給が困難な状況」と説明した。
  • サンヨー食品・エースコック:両社とも7月1日改定。スーパーカップ1.5倍シリーズなど主要ブランドが対象に含まれる。

ハム・ソーセージ分野、伊藤ハム米久HDが大規模改定

伊藤ハム米久ホールディングスは2026年5月22日に発表、7月1日出荷分から段階的に伊藤ハム220品、米久70品を値上げ。改定率はいずれも約5〜30%と幅が広い。同社の値上げは2025年5月以来、1年2カ月ぶり。

  • 伊藤ハム(220品目):家庭用ハム・ソーセージ110品(「朝のフレッシュ ハーフベーコン」など)、家庭用調理加工50品、業務用商品60品。値上げ理由として、2025年秋にスペインで発生したアフリカ豚熱(ASF)による同国産豚肉製品の輸入一時停止と、中東情勢の緊迫化による原材料費・ユーティリティコスト・物流費の高騰を併記している。家畜疾病と地政学リスクのダブルパンチという、過去にない値上げ構造となった。
  • 米久(70品目):家庭用ハム・ソーセージ20品、家庭用調理加工20品、業務用商品30品。伊藤ハムと同じ理由・同じタイミングでの改定。
  • 丸大食品(約200品目):ハム・ソーセージなど約200品目を7月1日出荷分から順次値上げ。伊藤ハム・プリマハムと並ぶ業界大手3社のうち、丸大も7月改定組に加わった。

その他カテゴリー、清涼飲料・スナック・乳酸菌飲料・酒類も改定

カテゴリーをまたいだ7月改定の主な事例として、湖池屋のスナック菓子、伊藤園の麦茶リーフ商品、日清ヨークの「ピルクル」(乳酸菌飲料)、霧島酒造の本格焼酎などが報じられている。明治も6月から「ザバス」プロテイン21品目を値上げしており、6〜7月にかけて健康・嗜好品カテゴリーにも値上げが広がっている。

業務用ルートでも動きが広がる。オタフクソースは一部の業務用商品の販売を一時休止し、需要そのものを絞る対応に踏み切った。ドン・キホーテはプライベートブランド商品でパッケージを白黒印刷化してインクコストを抑える新商品を投入(水500mlで40円)し、包装の簡素化で価格を維持する戦略を明示している。イトーヨーカ堂はプラスチック容器の価格上昇を受けて総菜販売の容器構成を見直す方針を打ち出し、小売各社は中東情勢を受けて配送回数を削減する動きにも踏み切っている。これらは単純な値上げ対応ではなく、「値上げに耐えられない需要を切る/簡素化で対応する/物流頻度を下げる」という供給側の新しい選択肢が顕在化したことを示す。

山崎製パンは28日、パンや和洋菓子など306品を7月1日出荷分から値上げすると発表した。油脂、小麦粉といった原材料価格や輸送費の高騰に加え、中東情勢悪化に伴う包装材の価格上昇も反映し、出荷価格を平均5.6%引き上げる。 時事通信「山崎製パン、306品値上げ 7月から、中東影響も」2026年4月28日
分野メーカー品目数改定率主な対象商品
パン山崎製パン306品平均5.6%(食パン6.6%)ロイヤルブレッド、ダブルソフト、薄皮つぶあんぱん
パン敷島製パン・第一屋・オイシス合計約770品各社平均5〜7%食パン・菓子パン各種
即席麺東洋水産120品4〜11%赤いきつね(236→248円)、緑のたぬき、推しの一杯
即席麺サンヨー食品・エースコック非公表非公表サッポロ一番、スーパーカップ1.5倍
ハム・ソーセージ伊藤ハム米久HD290品5〜30%朝のフレッシュ ハーフベーコンなど
ハム・ソーセージ丸大食品約200品非公表ハム・ソーセージ各種
清涼飲料・乳製品伊藤園・日清ヨーク・明治非公表非公表麦茶リーフ、ピルクル、ザバス
菓子・酒類湖池屋・霧島酒造非公表非公表スナック菓子、本格焼酎

夏以降の値上げ可能性、8月・9月・10月に何が起きるか

8月1898品目、9月3029品目(年内最多)、10月の酒税法改正というほぼ毎月の連続改定が控えている。月別に主要メーカーの値上げ予定を具体的に整理する。

帝国データバンクは7月以降も値上げラッシュが続くと見ている。8月は1898品目、9月は3029品目に達し、2025年10月(3161品目)以来11カ月ぶりに単月3千品目を超える見通しである。10月以降は1715品目、1〜11月までの累計で1万4902品目と判明しており、年間では前年並みの2万品目台での着地が想定される。調査を開始した2022年以降、5年連続で年間1万品目超となるほか、2024年(1万2520品目)を既に上回っている。

8月、ニチレイフーズとプリマハムが「中東情勢」を明示して大規模改定

2026年5月29日、冷凍食品大手と食肉加工大手から、中東情勢を理由として明示した8月値上げの発表が相次いだ。同日付の発表は単一日として2026年最大級の値上げニュースとなり、夏以降の本格化を象徴する転機となった。

  • ニチレイフーズ(家庭用ほぼ全品+業務用9割超):8月1日納品分から、家庭用の冷凍・常温食品をほぼ全品(家庭用の約9割)値上げ。改定率は約5〜20%。代表商品は「本格炒め炒飯」「特から」など。業務用の冷凍・常温食品も9割超を約5〜17%引き上げる。一部商品は価格据え置きで内容量を減らす実質値上げで対応。値上げ理由として「中東情勢の緊迫化による原材料や燃料費の上昇」を公式に明示しており、これは食品メーカーが中東情勢を主理由として公式リリースで明記した稀少な事例である。
  • プリマハム(約250品目):8月1日納品分から、家庭向け・業務用のハム・ソーセージなど約250品目を5〜35%値上げ。代表商品は「香薫あらびきポーク」など。同社は値上げ理由として「中東情勢の緊迫化に伴う石油関連資材の価格高騰」を明示しており、伊藤ハム米久HDの「家畜疾病+中東情勢」とは異なる「石油関連資材」という切り口を採用している点が示唆的である。値上げは2025年4月以来。

9月、ニッスイ・コカコーラ「コカ・コーラ」が220円台へ

9月は単月で3029品目と年内最多。家庭用冷凍食品・加工食品、清涼飲料、酒類が同時多発的に改定される。

  • ニッスイ(家庭用冷食+家庭用加工食品全品+業務用冷食):2026年6月1日発表、9月1日納品分から3カテゴリーを同時改定。家庭用冷凍食品の調理冷凍食品・農産品冷凍食品の一部は約2〜17%(「わが家の麺自慢 ちゃんぽん」「ほしいぶんだけ かにクリームコロッケ」など)、家庭用加工食品はちくわ・かに風味かまぼこ・フィッシュソーセージ・パウチ商品・その他練り製品の全品を約5〜17%(「活ちくわ」「おさかなのソーセージ」など)、業務用冷凍食品の一部は約2〜30%。値上げ理由は「原材料の価格高騰、国内外での人件費の増加、燃料・包装資材費および物流費の上昇」と説明している。練り製品の家庭用全品改定は同社にとって象徴的な決断である。
  • コカ・コーラ ボトラーズジャパン(165品目):9月1日出荷分から165品目を値上げ。500ml PETボトルは現行200円から220円へ。同社は2025年10月にも217品目の改定を実施しており、わずか1年弱で2回連続の改定となる。2024〜2026年の2年間で500mlは160円→220円と約37.5%値上がりした計算で、歴史的にみても異例のペースである。値上げ理由として中東情勢の影響を挙げており、ナフサ高に伴うPETボトル原料・キャップ・ラベルのコスト上昇が背景にある。

10月、酒税法改正による「ねじれ価格改定」

2026年10月1日に施行される酒税法改正は、ビール類の税率を一本化する構造改革である。ビールは1klあたり26,000円の減税、発泡酒・新ジャンル(発泡酒②)は同20,750円の増税、缶チューハイなどRTDは同20,000円の増税となる。350ml換算では、ビール・発泡酒・新ジャンルが一律54.25円に統一される。これにより、価格構造の根本が変わる。

  • アサヒビール:2026年5月29日、酒税改正に伴う生産者価格の改定を発表。減税対象のビール(スーパードライ、マルエフなど)は値下げ、増税対象の発泡酒(スタイルフリー)・新ジャンル(クリアアサヒ、アサヒオフなど)・RTDは値上げと、同一企業のなかで値上げと値下げが同時に発生する珍しい局面となる。
  • 新ジャンルからビールへの品目変更:アサヒビールはサントリーの「金麦」に続き、新ジャンル主力商品の「ビール」品目への切り替えを進めており、キリンビールも「本麒麟」を2026年下期にビール品目に変更する。新ジャンルカテゴリーは段階的に縮小し、ビール品目への一斉移行が起きる構造である。これは値上げ・値下げの単純な比較ではなく、商品カテゴリーそのものの再編が起きる、酒類カテゴリーの歴史的転換点とも言える。
  • 宝酒造(183品目):「焼酎ハイボール」など183品目を10月から値上げ。RTD増税の影響を直接受ける。

11月・12月、年内の値上げピーク後の見通し

帝国データバンクの集計では、10月1715品目、11月201品目と、9月のピーク後は徐々に沈静化する見通しだが、累計では年間2万品目台での着地が想定される。前年(2025年通年20,609品目)を超えるかどうかは、夏以降の追加発表に依存する。中東情勢が長引けば、現時点で未公表の追加値上げが秋〜冬にかけて発表される可能性も残る。

実施月メーカー品目数改定率主な対象・特徴
8月ニチレイフーズ家庭用ほぼ全品5〜20%本格炒め炒飯、特から(中東情勢を理由に明示)
8月プリマハム約250品5〜35%香薫あらびきポーク(石油関連資材高を理由に明示)
9月ニッスイ家庭用加工食品全品+冷食2〜30%活ちくわ、おさかなのソーセージ、麺自慢シリーズ
9月コカ・コーラBJ165品500ml→220円1年弱で2回連続改定
10月アサヒビール主要全カテゴリー増減税混在酒税法改正(ビール減税、発泡酒・新ジャンル・RTD増税)
10月宝酒造183品増税分上乗せ焼酎ハイボールなどRTD

分野別の通年累計では、加工食品が5780品目、調味料3467品目、酒類・飲料2913品目、パン1078品目、菓子959品目、原材料606品目、乳製品99品目となる。加工食品については前年通年実績(4791品目)を既に上回っており、即席麺・缶詰・冷凍食品といった生活必需性の高いカテゴリーを中心に値上げ圧力が継続する見込みである。

注目点:2026年通年では「為替(円安)」要因が28.1%(2024年)→12.4%(2025年)→9.1%(2026年6月末)と一貫して低下している。代わりに台頭してきたのが中東情勢を起点とする包装資材・物流費・エネルギーの複合的な押し上げである。値上げの「主役」が為替から地政学リスクに交代した、2026年特有の構造変化として読み取れる。さらに8月のニチレイ・プリマハム、9月のニッスイ・コカ・コーラと、メーカーが公式リリースに「中東情勢」を明記する動きが広がりつつあり、これは経営判断の透明性確保とともに、消費者・取引先への「やむを得ない事情の説明」という性格を強めている。

「ワニの口」現象、ナフサ価格と需要の乖離が示すもの

2026年5月、ガソリンとナフサの価格逆転が起きた。製造業の購買抑制が顕在化し、停戦合意イコール正常化ではないという業界の警告が現実味を帯びる。

ガソリン109.8 vs ナフサ128.3、本来の価格序列が逆転

日本経済新聞(2026年5月30日)は、ガソリン109.8と国産ナフサ128.3(指数)の価格逆転現象を「ワニの口」と表現して報じた。本来ガソリンより安いはずのナフサが、製品市場の弱含みでガソリンより高く張り付くという異常な状態が続いている。これは需要破壊(demand destruction)の兆候とも言える。製造業の購買抑制が顕在化し、ICISのアナリストKojo Orgle氏は「停戦合意=正常化ではない、物理的タイトネスは封鎖解除後も少なくとも3カ月以上継続する」と警告している。

値上げ品目が減っても「包装由来」比率は過去最高、新パターン出現

2026年5月の食品値上げ品目数が単月70品目(小売段階、別調査)と4カ月ぶりに100品目を下回るなど、需要側でも値上げ吸収力の限界が見え始めている。値上げの数自体が一時的に減っても、値上げ理由に占める「包装由来」の比率が過去最高水準に達したという、2026年特有のパターンが現れている。

調達担当者・購買担当者が取るべき行動

本記事を読まれる調達担当者・購買担当者にとって、2026年7月以降の局面で取り得る行動は大きく三つに整理できる。それぞれを実務目線で具体化する。

ACTION 01

包装資材の調達先複線化と長期契約の見直し

ストレッチフィルム・PPバンド・OPPテープ・トレーといった物流・包装の必需品は、ナフサ由来素材であるため価格・供給の両面で不確実性が高い。梱包資材危機の詳細リポートで示したように、国内代替生産は実質困難な品目もあり、輸入比率の高い品目では発注タイミングの戦略的見直しが鍵となる。

ACTION 02

代替素材への切り替え検討、紙系包装の実用範囲拡大

プラスチック包装から紙系包装への切り替えは、機能紙の進化により食品包装でも実用範囲が広がっている。紙も値上げを免れないものの、原料サプライチェーンが石油由来ではないため、供給途絶リスクは構造的に低い。外装・緩衝材など切り替えやすい部分から段階的に減プラを進めるアプローチは、複数の包装資材メーカーがすでに提案を始めている。

ACTION 03

価格改定通知の早期受領体制の整備

グンゼ・東洋紡・東ソーなど主要素材メーカーの値上げ通知は4月時点で集中し、TOPPANのような大手包装メーカーが顧客打診を始めた4月21日以降から食品メーカーへの転嫁が本格化した。価格改定情報を早期に把握し、自社の年間予算・調達計画に反映できる体制の有無が、2026年下半期の利益率に直結する。

まとめ、2026年は「為替インフレ」から「地政学インフレ」へ

2022〜2023年の主役だった円安インフレから、2026年は地政学リスクを起点とした包装資材インフレへ。値上げの構造そのものがシフトしている。

帝国データバンクの2026年7月価格改定動向調査が示したのは、二つの新しい現実である。値上げ要因の集計項目として「中東情勢」が初めて独立に設けられ、為替(円安)が低下する一方で包装・資材コストが逆行して急上昇するという、2022年以降にない構造の変化が起きた。

本記事で整理したように、7月のパン1078品目・即席麺120品目・ハム290品目、8月のニチレイ・プリマハム、9月のニッスイ・コカ・コーラ、10月の酒税法改正と、ほぼ毎月、構造の異なる値上げが波状的に押し寄せる。とくにニチレイ・プリマハム・伊藤ハム米久HDといった大手食品メーカーが、公式リリースで「中東情勢」を理由として明示し始めた点は、価格改定の正当性確保と取引先・消費者への説明責任という新しいスタンダードを示すものでもある。

米イラン覚書(6月17日正式発効)と6月19日のホルムズ海峡通過再開という短期的な改善はあるものの、三菱総合研究所は「対立の一時停止・60日後への先送り」と評価しており、業界では「物理的タイトネスは封鎖解除後も少なくとも3カ月以上継続」との見方が共有されている。10月の酒税改正という制度要因も同時に重なるため、調達担当者にとっては8〜10月の3カ月間が一年で最も重要な意思決定期間となるだろう。本記事で示した3つのACTION(複線調達・代替素材・早期受領体制)を参考に、現場での対応を進めていただきたい。本記事の家庭向けやさしく解説版もご用意した。家族・取引先と背景を共有する際の参考にしていただきたい。

よくある質問

2026年7月の食品値上げはなぜこれほど多いのですか。

帝国データバンクの調査によると、2026年7月の値上げは2566品目で、2023年7月(3595品目)に次ぐ高水準です。中東情勢の悪化による原油・ナフサ高がトレーやフィルムなどの包装資材価格を押し上げ、合わせて原材料高・物流費・人件費が同時に重なったことが大きな要因です。

「中東情勢」要因が24.7%とは何を意味しますか。

帝国データバンクが今回の調査で新設した分類項目で、6月末時点の年内累計1万4902品目のうち約4分の1が中東情勢の悪化を要因として挙げていることを意味します。同社では2026年内の値上げ予定1.5万品目のうち6月末時点で2割超に達し、今後さらに増える可能性が高いとしています。

包装資材要因が前年比10.5ポイント上昇しているのはなぜですか。

トレー・フィルムなど食品包装材の多くがナフサ由来の樹脂(PE、PP、PS、PETなど)を原料としており、ホルムズ海峡の通航制約でナフサ価格が一時1トン1,000ドルを超えるなど急騰したためです。汎用合成樹脂の取引価格が3月比3割上昇したことも報じられており、メーカーは企業努力で吸収できる範囲を超えたと判断しています。

今後の見通しはどうなりますか。

帝国データバンクは8月1898品目、9月3029品目と単月で2千品目超・3千品目超の値上げが続き、年間では前年並みの2万品目台での着地を見込んでいます。8月はニチレイフーズが家庭用ほぼ全品を5〜20%値上げ、プリマハムが約250品目を5〜35%値上げ。9月はニッスイが家庭用加工食品全品+冷食を2〜30%、コカ・コーラ ボトラーズジャパンが165品目(500ml→220円)を改定予定です。

2026年10月の酒税法改正で何が変わりますか。

ビール・発泡酒・新ジャンルの税率が一律54.25円(350ml換算)に統一されます。ビールは1klあたり26,000円の減税、発泡酒・新ジャンル(発泡酒②)は20,750円の増税、RTDは20,000円の増税となります。アサヒビールは2026年5月29日に酒税改正に伴う生産者価格の改定を発表しており、同一企業のなかで値上げと値下げが同時に発生する珍しい局面となります。アサヒ「金麦」、キリン「本麒麟」など主力新ジャンルがビール品目へ切り替わる動きも進んでいます。

8月以降にメーカーが「中東情勢」を公式に値上げ理由として明示する事例は増えていますか。

増えています。ニチレイフーズは8月値上げ発表(2026年5月29日)で「中東情勢の緊迫化による原材料や燃料費の上昇」を明示。プリマハムは「中東情勢の緊迫化に伴う石油関連資材の価格高騰」、伊藤ハム米久HDは「家畜疾病+国際情勢の緊迫化」と理由を明記しました。経営判断の透明性確保と、取引先・消費者への説明責任の観点から、公式リリースに地政学要因を盛り込む動きが広がっています。

調達担当者・購買担当者はどう備えるべきですか。

包装資材については複数の調達先と長期契約の見直し、代替素材(紙系包装等)の検討、出荷数量・納期の早期確定が有効です。原材料については輸入小麦の政府売り渡し価格改定や為替動向、食用油の国際市況など複合要因を継続的に追う必要があります。値上げ通知の早期受領体制の整備も実務上は重要です。

主な情報源

  1. 帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年7月(2026年6月30日発表)
  2. 帝国データバンク プレスリリース「飲食料品値上げ、7月は2566品目 年間2万品目ペース」2026年6月30日
  3. 日本経済新聞「山崎製パンが306品目値上げ 食パン類は平均6.6%、7月出荷分から」2026年4月28日
  4. 時事通信「山崎製パン、306品値上げ 7月から、中東影響も」2026年4月28日
  5. 日本経済新聞「東洋水産、『赤いきつね』『緑のたぬき』など120品値上げ 7月から」2026年3月26日
  6. 食品新聞「伊藤ハム米久HD 7月から値上げ 1年2か月ぶり」2026年5月28日
  7. 伊藤ハム公式リリース「価格改定のお知らせ」2026年5月22日
  8. 日本経済新聞「ニチレイ、家庭用食品5〜20%値上げ 8月からチャーハンなどほぼ全品」2026年5月29日
  9. 時事通信「ニチレイ、冷食ほぼ全品値上げ プリマハムは『香薫』など250品」2026年5月29日
  10. 共同通信「プリマハム、最大35%値上げへ ニチレイフーズや丸大食品も」2026年5月29日
  11. ニッスイ公式リリース「家庭用冷凍食品・家庭用加工食品・業務用冷凍食品の一部商品の出荷価格改定」2026年6月1日
  12. 日本経済新聞「『コカ・コーラ』が1本220円に、9月から165品を値上げ」2026年5月25日
  13. アサヒビール公式リリース「酒税改正に伴う商品の価格改定について」2026年5月29日
  14. 日本経済新聞「ナフサ急騰でプラ3割高、食品包装など値上げ」2026年4月15日
  15. 日本経済新聞「食品値上げラッシュ、ナフサ不足で6月にも再燃」2026年5月30日
  16. logi-today「食品トレー原料PS、在庫2か月」2026年4月5日
  17. 流通ニュース「グンゼ/食品包装用ナイロンフィルムなどプラスチック製品値上げ」2026年4月8日
  18. パックタイムス「食品包装資材メーカーの値上げ・供給情報まとめ【2026年版】」2026年6月2日更新
  19. nippon.com「中東情勢影響し値上げラッシュの兆し―6月・7月で3347品目」2026年5月

本記事のご利用にあたって

  1. 本記事は2026年6月30日時点で確認できる公開情報をもとに作成しており、将来の市況・政策変更を保証するものではありません。
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  3. 本記事は特定の取引や投資判断を推奨するものではありません。実際の調達・取引にあたっては最新の一次情報をご確認ください。
  4. 企業名・商品名は公開報道に基づくものであり、各社の販売戦略は変更される可能性があります。
  5. 本記事の内容に関するご質問・お取扱いに関するお問い合わせは、プラスチックパレット株式会社までご連絡ください。
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