【緊急レポート】2026年4月、アジア同時樹脂危機:ナフサ高騰・減産及びプラント停止の連鎖も
第1章:アジア版――中東危機が直撃する「原料断絶」とFMの連鎖
アジア市場は中東産ナフサへの依存度が極めて高く、地政学リスクが「価格」と「供給」の両面にダイレクトに波及しています。
1-1. 【表解】主要国の樹脂供給ステータス(2026年4月展望)
日本市場へ影響を及ぼすアジア各国の供給不安と、その主な要因と市場への影響の表になります。
| 国・地域 | 主要メーカー | 供給ステータス | 具体的エビデンス(2026年3月末時点の事実) |
| 台湾 | Formosa Plastics | 出荷制限 / FM準備 | 中東紛争に伴う原料ナフサの未着により、4月以降の樹脂契約分において「フォースマジュール(不可抗力宣言)」を順次発動。 |
| 韓国 | ロッテ・LG化学等 | 戦略的減産 (60%台) | 政府がナフサを「緊急経済安保品目」に指定。ロシア産代替ナフサ検討によるコスト増を背景に、日本向け輸出を厳格に制限中。 |
| インドネシア | Chandra Asri | フォースマジュール | 2026年3月2日、公式にFMを宣言。 ホルムズ海峡の緊張による原料調達断絶が主因であり、復旧の目処は立っていない。 |
| 中国 | 中石化(Sinopec)等 | 石化製品の輸出停止 | 中国商務部が3月中旬、国内備蓄優先のため石油化学製品の緊急輸出一時停止を決定。アジア市場の在庫を一気に消失させた。 |
| マレーシア | PRefChem | 50%の大幅減産 | ジョホール州の複合施設にてRFCC(流動接触分解装置)1基が設備故障により停止。4月も供給能力が半減する見通し。 |
| ベトナム | Nghi Son / BSR | 流通・価格統制 | 政府決議(第55号/NQ-CP)により、石油製品の国内供給を最優先。輸出枠が事実上凍結され、自国在庫の囲い込みを徹底。 |
| タイ | PTT / SCG | 戦略的低稼働 | 原料高(110k超)による採算悪化を避けるため、メーカー側が意図的な操業停止・減産を選択。供給量を絞り価格を維持。 |
1-2. エビデンス補足(裏付け資料)
- 台湾:【原料不足による不可抗力宣言】 中東情勢(ホルムズ海峡の緊張)により、3月初旬から原料ナフサの到着が遅延。4月契約分よりポリエチレン・ポリプロピレン等の樹脂製品で「フォースマジュール(不可抗力宣言)」を順次発動中。
- 韓国:【ホルムズ海峡封鎖に伴うナフサ調達難】 2026年3月20日、韓国政府はホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、原油の7割を依存する中東ルートの代替策を緊急協議。ナフサを含む石油製品の国内在庫を優先するため、メーカー各社に対して「輸出用原材料の国内転用(実質的な輸出制限)」を要請。ロッテ・LG等の主要クラッカーは、採算悪化により稼働率を6割台まで落としている。
- インドネシア:【地政学リスクによる供給停止】 2026年3月2日、公式にフォースマジュールを宣言。 イラン紛争によるホルムズ海峡封鎖の影響で中東からの原料供給が途絶。稼働率を大幅に下げており、復旧の目処は「極めて不透明」と公式レターで発表。
- 中国:【石油製品の禁輸措置】 3月中旬、中国政府は国内エネルギー備蓄を優先するため、石油化学製品の緊急的な輸出一時停止を決定。これにより、アジア全域への供給余力が急減。
- マレーシア:【基幹設備の故障による50%減産】 2026年2月上旬、ジョホール州ペンゲランの複合施設内にあるRFCC(流動接触分解装置)2基のうち1基が予期せぬ不具合で停止。修理が4月までずれ込む見通しとなり、リファイナリー全体の稼働率が50%まで低下。ガソリンや樹脂原料の輸出が大幅にカットされている。
- ベトナム:【決議第36号/NQ-CPによる価格・流通統制】 2026年3月19日、ベトナム政府は「決議第36号/NQ-CP」を改正(第55号/NQ-CP)。ガソリン・石油製品のベース価格が15%以上急騰したことを受け、エネルギー安全保障の観点から石油元売り各社に対し国内供給の最優先を義務付け。これにより、ベトナムからの樹脂原料や石油製品の流出が厳格に制限されている。
- タイ:【採算重視の操業停止】 タイの大手レイヨン・オレフィンズは3月、原料ナフサが入手困難なことからプラント操業の一時停止を発表。無理な高値買いを避ける利益優先の構え。
第2章:日本版――国産ナフサ11万円突破と国内減産の衝撃
日本市場は、アジア全体の高騰に加え、国内独自の構造的な供給不安が重なり、より深刻な局面に立たされています。
2-1. 【表解】日本樹脂価格急騰のメカニズム
現在の記録的なナフサ高騰と、国内供給体制の逼迫状況を以下の通りまとめた。
| 期間 (2026年) | 国産ナフサ基準価格 (目安) | 前月比 | 国内主要プラント平均稼働率 | 主な市場要因 |
| 1月 (実績) | 70,000円 /kL | - | 75% | 年始の需要低迷・安定推移 |
| 2月 (実績) | 75,000円 /kL | +5,000 | 83% | 地政学リスクに伴う原料高の兆し |
| 3月 (推定) | 85,000円 /kL | +10,000 | 72% | 需給逼迫による供給絞り込み |
| 3月末 (基準) | 110,000円 /kL | +25,000 | - | 【確定値】 月次価格交渉の妥結額 |
| 4月 (予測) | 112,000円 /kL ※ | +2,000 | 68% | 【予測値】 円安進行と輸入コスト増 |
2-2. エビデンス補足(裏付け資料)
1. 国産ナフサ価格(112k予測)の根拠※
- 為替影響: 1月(156円)から足元(159円)への円安進行により、ナフサ価格には理論上 +1,500円/kL の押し上げ要因が確定しています。
- 中東情勢: 地政学リスクに伴う輸送保険料や迂回ルートのコスト増が、輸入原価をさらに +500円 程度押し上げる見通しです。
- 結論: 3月末の確定値(110k)にこれらを積算すると、4月は 112,000円(112k) 到達の可能性が極めて高い状況です。
2. プラント稼働率(68%予測)の根拠
- 大手メーカーによる戦略的減産: 三菱ケミカルや旭化成をはじめとする国内大手各社は、ナフサ11万円超えという異常事態を受け、採算悪化(逆ざや)を回避するため、汎用樹脂ラインの稼働を厳格に制限しています。
- 構造的供給抑制: 業界全体が「作れば作るほど赤字」という局面に立たされており、各社横並びで供給を絞る「縮小均衡」の状態にあります。これが4月の予測値 68%(過去最低水準) の正体です。
結論:バージン材依存からの脱却と「国内資源」への戦略的転換
本レポートのデータが示す通り、海外の原油価格や地政学リスクに依存し続ける「バージン材至上主義」は、もはや経営上の最大のリスクです。
仮に今すぐ停戦が合意されたとしても、プラントの再稼働、物流網の正常化、そして枯渇した世界在庫の回復には、最短でも半年から1年の歳月を要します。
1. 「待つ」ことは経営リスクそのもの
「通常状態に戻るのを待つ」という選択は、今後1年間にわたる「価格高騰」と「納期遅延」という二重苦を無策で受け入れることを意味します。自社ではコントロール不能な地政学リスクに紐付いている以上、バージン材への依存度を根本から引き下げること以外に、この危機を脱する術はありません。
2. 今、経営者が決断すべき「真の代替手段」
唯一の現実的な解は、外部環境の影響を受けにくい、「日本国内で完結する原料調達」への構造転換です。
- 国内再生材による即時代替: 国内の製造工程から発生する高品質なリサイクル材への切り替えを、可能な限り前倒しで断行すべきです。
- 供給限界を見据えた「国内資源」の最大活用: バージン材の減産に伴い、今後は再生材も世界的な争奪戦となることが予想されます。その先を見据え、日本国内に豊富に存在する「独自の循環型資源」をいかに活用し、安定供給体制を築くか。この「国内資源の活用能力」こそが、2026年以降の勝敗を分ける鍵となります。
【今後の展望:継続的な市場監視と情報提供】
現在進行中の中東危機、およびアジア・日本国内のサプライチェーン断絶は、刻一刻と状況が変化しています。本リポートで示した通り、原料価格の動向(ナフサ11万円突破)や主要プラントの稼働状況は、今後数ヶ月にわたり予断を許さない局面が続くと予想されます。
弊社では、引き続きグローバルな一次情報(ICIS、Argus Media等)および国内の石化メーカー・官公庁の動向を注視し、貴社の経営判断に資する客観的なデータを提供し続けます。
今後の需給バランスの変化や、新たな不可抗力(FM)宣言、価格改定の動向など、続報が入り次第、改めて詳細なリポートを作成・配信いたします。
安定供給の確保とコスト最適化に向けた次なる一手として、本リポートのデータを社内検討や顧客説明の資料としてご活用ください。
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