イラン情勢とLLDPE原料
(ストレッチフィルムの原材料)
2026年4月 最新動静
0 ホルムズ海峡危機 タイムライン(2月〜4月 修正確定版)
複数の一次ソース(Al Jazeera、CNN、NBC News、英国議会図書館、Bloomberg、Britannica)をもとに経緯を確定版として整理します。
米国・イスラエルがイランへの大規模空爆を開始。最高指導者ハメネイ師が暗殺され、イランが報復としてホルムズ海峡を事実上封鎖。Maersk・CMA CGM・Hapag-Lloydなど主要コンテナ船社が通峡を停止。(Britannica確認)
シンガポールPCSが全顧客にフォースマジュールを正式発令(公式プレスリリース)。インドネシアChandra Asri(3/3)、韓国YNCC(3/4)もすでに発令済み。アジア石化メーカーへの連鎖が本格化。
SABICがジュベイル拠点から出荷するMMA・MEG・DEG・スチレン・メタノールの5製品にフォースマジュールを発令。(ICIS、Chemical Week確認)
Sadara Chemical(アラムコ・Dow合弁、ジュベイル)が全生産を一時停止。エチレン150万トン/年・ポリエチレン75万トン/年以上が喪失。「再稼働時期は未定」とTadawul(サウジ証券取引所)に提出。
IRGCがジュベイル工業都市のSABIC複合施設・ExxonMobil施設等を弾道ミサイル・自爆ドローンで攻撃。サウジは11発のミサイルを全弾迎撃したが、撃墜された弾頭の残骸がSABIC施設に落下し火災が発生。(Reuters、AFPが映像で確認)
パキスタン仲介による2週間停戦が成立。合意条件にはホルムズ海峡の「管理された通過(coordinated passage)の再開」が含まれていた。ただし4月9日時点でADNOCのCEOが「海峡はまだ開いていない」と表明し、230隻の満載タンカーが湾内で待機したままだった。イランが通過船に要求した通行料(100万ドル超/隻)が実質的な障壁となり、正常化には至らなかった。(Al Jazeera, CNN, ABC News確認)
米副大統領バンスがイスラムバード会談で合意できず決裂を発表。トランプ大統領が即座に海上封鎖を宣言、4月13日14時GMT発効。「双重封鎖」状態へ:米海軍がイラン港湾着発船を封鎖、IRGCがその他船舶を引き続き脅迫。(英国議会図書館、CENTCOM公式声明確認)
イラン外相アラグチ氏が「停戦中は全商業船に開放」とX(旧Twitter)で宣言(Bloomberg 2026/4/17)。向かったタンカーの多くが通航許可を得られず引き返す(Kpler確認)。翌18日にIRGCが「海峡は従前の状態に戻った」と再封鎖を宣言。インド籍船2隻が砲撃を受けインド外務省が大使を召喚。(Bloomberg 2026/4/19、global-scm.com確認)
通峡タンカーは1日平均4〜5隻程度(Vortexa)にとどまり正常化には程遠い状態が継続。ホルムズ海峡には機雷が敷設されており、イランが自ら追跡困難と複数報道が伝えており、たとえ政治合意があっても物理的に完全開放できない可能性がある。
1 主要メーカーの生産・出荷状況(4月修正版)
🇸🇬 シンガポール:PCSフォースマジュール継続危機継続
PCS(シンガポール石油化学):3月5日のフォースマジュールは4月時点でも解除されておらず(ICIS確認)、LLDPEを含む誘導品の供給は極めて限定的。PCSのクラッカー2基(合計エチレン110万トン/年)が低稼働または一部停止。PCSのオレフィン供給を受けていたTPC(The Polyolefins Company)も3月9日にフォースマジュールを発令し複数の生産ラインが停止(Argus Media, 2026/3/13)。
ExxonMobil(エクソンモービル):ジュロン島の旧型スチームクラッカー(2002年稼働、エチレン90万トン/年)の閉鎖が3月に開始され、6月までに完全停止予定(Industrial Info Resources, Reuters複数筋確認)。残る1基(2013年稼働、110万トン/年)は継続運転予定だが、ナフサ調達難が制約となる。詳細はセクション6を参照。
🇸🇦 サウジアラビア:複合的ダメージで輸出困難深刻
SABIC(サビック):ホルムズ封鎖によるジュベイル港からの輸出停滞に加え、3月26〜27日に主要5化学製品のフォースマジュールを発令(Chemical Week確認)。4月7日にはジュベイルのSABIC複合施設がミサイル残骸で火災(Reuters, AFP, TRT World)。SABICのLLDPE生産・輸出の詳細はセクション6を参照。
代替輸出ルート:ヤンブー港経由の紅海ルートへの一部振り替えを検討しているが(C&EN)、フーシ派によるレッドシー攻撃リスクも残り、安全とは言い切れない状況。
🇨🇳 中国:バランサー役に浮上余剰・輸出攻勢
2026年は中国PE産業の「第二次拡大サイクル」ピーク。SunSirsはLLDPEだけで約19%の新規能力増を予測。ただし新規能力は2026年下半期集中稼働のため、4月現在はまだ現物不足が続いている。ExxonMobil恵州(160万トン/年クラッカー、2026年稼働)の新規LLDPE・mLLDPE生産も本格化しており、年末にかけて供給圧力が高まる見込み(Argus Media, 2025確認)。
🇺🇸 アメリカ本土:需要集中で価格高騰逼迫・価格高騰
シェールガス由来エタンを使用するため原油高の直接影響を受けず生産継続。世界中からの買い付け集中でFOB Texas価格が急騰。4月3日時点のナフサスポットは1,190ドル/MT(封鎖前600ドル台から92%上昇)に達している(logi-today.com確認)。北米メーカーはフル生産を継続(Syntex America確認)。
🇹🇼 台湾フォルモサ・プラスチックスフォースマジュール
3月9日にMailiao工場(エチレン293万トン/年)でフォースマジュールを発令。エチレン・プロピレンの主要原料不足とホルムズ封鎖による輸送遅延が直撃。ストレッチフィルム・PPバンドの主要メーカーが全面的なアロケーション(割当供給)体制へ移行(Bitget News, 2026/3/13確認)。
2 日本国内市場の現状(4月最新)
ストレッチフィルム・PPバンドは完全な供給不足状態。輸入品が途絶し、わずかな国内生産分のみでアロケーションが続いています。
4月1日出荷分から大手化学メーカーが一斉値上げを実施しました:
国内化学メーカーの主要値上げ事例(2026年4月確認済み)
プライムポリマー(三井化学・出光興産共同出資):4月1日納入分からPE・PP全品目を1kg当たり90円以上値上げ(note.com/Miyano Hiroki記事確認)。
三菱ケミカル:食品ラップ・ストレッチフィルム用「ダイアラップ」を15%値上げ。C4誘導品は1kg当たり125〜165円以上。「3桁円/kgの値上げは過去のトレンドから極めて異例」(同上)。
旭化成:4月1日出荷分からPEを1kg当たり120円以上緊急値上げ(logi-today.com確認)。
PE4社・PP1社:4月1日出荷分から一斉に+80〜120円/kg。食品トレー・シュリンクフィルム・ストレッチフィルムの原価に直結(logi-today.com)。
積水化学工業:塩ビ管・ポリエチレン管について「中東情勢の不安により石油・ナフサ由来の原料調達環境が急速に悪化」として2026年5月7日出荷分からさらなる値上げを発表(同社プレスリリース, 2026年4月)。
「汎用合成樹脂(プラスチック)の取引価格は3月に比べ3割上昇し、食品包装などに値上げが波及する。夏にかけて小売物価にも反映され家計にも影響が及ぶ恐れがある。TOPPANホールディングスは21日以降、包装材の値上げを顧客の食品や日用品メーカーに打診する。包装資材の仕入れ値が2〜3割増えているため。」
国内ナフサ在庫はわずか20日分まで低下(logi-today.com確認)。三菱ケミカル鹿島(年産485,000トン)は5月から定期修理が予定されており、5月の供給はさらに減少する見通しがある(logi-today.com報道)。石油化学工業協会の工藤会長は3月24日に「4月は稼働維持が可能だが、5月以降が焦点だ」と発言。
3 アジア各国の最新入荷・供給状況(2026年4月)
| 国名 | ステータス | 詳細状況 |
|---|---|---|
| 日本 | 深刻な逼迫 | 国内ナフサ在庫は約20日分(logi-today.com確認)。PE4社・PP1社が4月1日から一斉値上げ(+80〜120円/kg超)。マレーシア・タイ・インドネシアから日本向けLLDPE輸出枠が段階的削減開始。5月は三菱ケミカル鹿島の定修が重なり供給がさらに絞られる見通し。 |
| 中国 | 余剰・輸出攻勢 | 国内PE増産サイクルにより自給達成・輸出余力あり。ただし新規能力は下半期集中稼働のため現物は4月時点でも完全解消には至らず。m-LLDPEはタイト継続。 |
| 韓国 | 不安定 | LG化学がYeosu No.2クラッカー(エチレン120万トン/年)を3月23日に停止(原料確保改善まで)。中東原料への依存度が高く減産検討が継続。日本向けナフサ輸出も禁止措置を発動(5ヶ月間、3月27日発動。logi-today.com報道)。 |
| タイ | ややタイト | PTT等の国内生産背景があるが、日本向けLLDPE輸出枠を段階的削減中。輸出余力が縮小。 |
| マレーシア | タイト・輸出削減 | 日本向けLLDPE輸出枠を段階的削減開始。シンガポール供給停止の影響で域内需要が集中し在庫が急速に減少中。 |
| ベトナム | 深刻な不足 | 自給率が低く輸入依存度が極めて高い。フィルム工場の稼働率低下・一時閉鎖が報告。 |
4 再生LLDPE市況(2026年4月)
バージン材(新材)のPE・PP価格が前月比3割超上昇したことを受け、再生材(リサイクルLLDPE)の価値がかつてないほど高まっています。Argus Media等の調査では、ホルムズ封鎖後にリサイクルポリマーの価格はバージン材ほど上昇しておらず、バージン材との価格差(スプレッド)が拡大したことで、コスト削減を狙うフィルムメーカーからの引き合いが急増しています。「長い間、安価なバージン材に収益性を圧迫されてきたリサイクル業者が、今回の危機でマージン改善を狙いつつある」(Argus Media系調査)という状況です。透明度が高く臭いの少ない高品質な再生LLDPEはアジア全域で争奪戦となっており、在庫確保が困難な状況です。
5 シミュレーション(修正版):現在の状況から平常化するまでの予測
ベースケース(停戦が5月中に実質的に機能し始めた場合):物流リードタイム復元に1〜1.5ヶ月、在庫補充に2〜3ヶ月、価格の粘着性(下げ遅れ)を考慮すると、価格・供給の本格的な平常化は2026年第4四半期(10〜12月)以降。ただし中国産の大規模増産(Q3〜Q4集中稼働)が年末にかけての価格抑制要因になりうる。
長期化ケース(停戦が6月以降にずれ込む場合):三菱ケミカル鹿島の5月定修・国内在庫の底打ちが重なり、5〜6月が最も需給の逼迫するピークとなる可能性がある。この場合の平常化は2027年前半にずれ込む恐れ。
重要な物理的リスク:ホルムズ海峡には機雷が敷設されており、IRGCは自ら追跡が困難な状態と複数メディアが報道している。政治的に開放が決定されても物理的に完全開放できない可能性があり、これが危機長期化の最大リスクファクター。S&P GlobalのCERA部門は「海峡が4月末までに再開した場合でも、ローディングが即時正常化することはなく、損傷を受けたインフラの回復に時間が必要」と指摘。
6 【深掘り】ストレッチフィルム主原料・ExxonMobil&SABICのLLDPE供給状況
日本のストレッチフィルム市場において最も重要な供給源の一つが、シンガポールのExxonMobil(エクソンモービル)と、サウジアラビアのSABIC(サビック)が供給するLLDPEです。両社とも日本・アジア市場向けに特化した高品質なLLDPEグレードを持ち、ストレッチフィルムの伸び・強度・透明性を担保する物性の根幹を形成してきました。2026年の危機がこの2つの供給源に与えた影響を詳しく分析します。
🇸🇬 ExxonMobil シンガポール Chemical Plant(SCP)
施設概要と日本市場への役割
ExxonMobilのシンガポール・ケミカル・プラント(SCP)は、592,000バレル/日の製油所と完全統合された世界規模の石化コンプレックスです。稼働開始は2001年、2012〜13年に大規模増設され、その際にPEプラント2基・PPプラント・メタロセン系エラストマーユニットが追加され、アジア太平洋地域で初めてExxonMobil独自のメタロセン系PE(Enable mPE・Exceed mPE)を生産する拠点となりました(ExxonMobil公式プレスリリース, 2013確認)。
| 項目 | 旧型クラッカー(閉鎖中) | 新型クラッカー(継続運転) |
|---|---|---|
| 稼働開始 | 2002年 | 2013年 |
| エチレン能力 | 90万トン/年 | 110万トン/年 |
| 閉鎖状況 | 2026年3月より閉鎖開始、6月完全停止予定 | 継続運転(ナフサ調達難あり) |
| 主な下流製品 | PE・PP各種(供給停止中) | LLDPE・Enable mPE・Exceed mPE等 |
| 根拠ソース | Industrial Info Resources (2025/12)、Reuters複数筋、Egypt Oil & Gas (2025/12) | |
旧型クラッカー閉鎖の真の背景:構造問題+地政学の複合
旧型クラッカーの閉鎖はイラン危機とは独立した構造的な意思決定でした。主因は中国の大規模増産(ExxonMobil自身が恵州に160万トン/年クラッカーを2026年稼働)による過剰供給で、エチレン収益性は2018年比で30%以上低下していました(S&P Global)。2024年のSCP向けナフサ輸入は約250万トンでしたが、2025年1〜11月は約150万トンと既に40%減少しており(Kpler調査)、閉鎖前から計画的に稼働を絞っていたことがわかります。
ただし、閉鎖のタイミング(2026年3月)とイラン危機(2月28日〜)が完全に重なったことは日本市場にとって最悪のダブルパンチとなりました。もし閉鎖が半年遅れていれば、中東品の不達を部分的に補う能力があったはずです。
ExxonMobil SCPのLLDPE製品群とストレッチフィルムへの影響
SCPが日本・アジア市場に供給してきたLLDPEには主に以下の製品群があります:
- 汎用ブテン系LLDPE(C4-LLDPE):手巻きストレッチフィルムや農業フィルムに広く使用される量産グレード
- Exceed mPE(メタロセンLLDPE):高伸展性・高保持力が求められる機械巻きストレッチフィルムに最適。高透明性・薄膜化(ダウンゲージング)が可能で、日本の高品質ストレッチフィルム市場で特に需要が高い
- Enable mPE(メタロセンPE):LDPEラインでも加工可能なメタロセン系で、加工エネルギー削減とバブル安定性に優れる(ExxonMobil Chemical公式資料確認)
旧型クラッカーの閉鎖とナフサ調達難により、これらの製品全グレードについて4月以降の日本向け供給が事実上停止または極めて限定的になっています。特にExceed mPEなどのmLLDPEは中東・中国産で代替が難しく(スペック差・認証差が大きい)、フィルムメーカーにとって最も調達難易度の高い品目となっています。
なお、ExxonMobilは恵州(中国)で2026年からLLDPE・mLLDPEを本格生産開始しており、下半期以降に中国発のExceed mPE等が一部代替供給源となりうる見込みです(Argus Media, 2025/2確認)。ただし日本への配送・納期・スペック適合の観点から、シンガポール品の完全代替には時間がかかります。
4月25日時点の供給見通し
- 旧型クラッカーは閉鎖プロセス継続中。日本向け出荷は事実上ゼロ
- 残る新型クラッカー(110万トン/年)はナフサ調達難のもとで低稼働が続いており、アジア向けスポット出荷は大幅に制限
- mLLDPE(Exceed・Enable)の代替調達は中国恵州産・米国産が選択肢だが、いずれも価格急騰かつリードタイム延長
🇸🇦 SABIC(サウジ基礎産業公社)
SABICのLLDPE生産能力と日本市場での位置づけ
SABICはサウジアラビア・ジュベイル工業都市を中心にポリエチレン合計401万トン/年の生産能力を持ち、中東ポリエチレン市場の約39.35%を占める世界最大規模のPEメーカーのひとつです(Mordor Intelligence, 2026/1確認)。LLDPE製品群としては、標準ブテン系LLDPE(SABIC® LLDPE 218WJ等)からメタロセン系(SUPEER™ mLLDPE)まで幅広いグレードを揃え、特にSABIC® LLDPE 218WJはアジアのストレッチフィルム・農業フィルム市場で極めて高いシェアを持つ主力品です(Syntex America, C&EN確認)。
| 製品グレード | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| SABIC® LLDPE 218WJ | ストレッチフィルム・農業フィルム | ブテン系、汎用性が高くアジアでの標準品。日本・ベトナム・タイへの主要輸入品 |
| SABIC® LLDPE 218B | ストレッチフィルム・包装フィルム | 透明性・強度のバランスに優れる |
| SUPEER™ mLLDPE | 高機能フィルム・医療包装 | メタロセン触媒、薄膜化・高強度化対応 |
| 根拠ソース | SABIC公式製品情報、Syntex America市場分析(2026/3)、C&EN | |
2026年危機によるSABIC LLDPEへの影響:三段階のエスカレーション
第1段階(3月上旬):輸送遮断によるアロケーション
ホルムズ海峡封鎖によりジュベイル港からの船積みが事実上停止。ペルシャ湾側港湾から出荷できる代替がなく、在庫がタンクキャパシティの上限に達し始めた。アジア向け契約分は「ロールオーバー(納期未定)」状態に。S&P Global CERAによると3月のナフサ対Brentクラックスプレッドはアジアで190ドル/MTに急騰(2月の68ドル/MTから2倍以上)。
第2段階(3月26〜27日):フォースマジュール宣言
SABICはジュベイル拠点からのMMA・MEG・DEG・スチレン・メタノールの5製品にフォースマジュールを発令(ICIS・Chemical Week確認)。なおこの時点でLLDPE・HDPE等のポリオレフィン類はフォースマジュールの対象外とされており、SABICはポリオレフィンについては引き続き「出荷努力継続」としていたが、輸送手段の確保が実質的な障壁であった(Chemical Week, 2026/3/30〜4/6号)。一方、ヤンブー(紅海側)工場からの代替輸出の可能性が検討されたが(C&EN)、フーシ派のレッドシー攻撃リスクが残るため限定的にとどまった。
第3段階(4月7日):物理的な施設被害
IRGCがジュベイル工業都市を弾道ミサイル・自爆ドローンで攻撃。サウジは11発を全弾迎撃したが、撃墜された弾頭の残骸がSABICコンプレックスに落下し火災が発生(Reuters・AFP・TRT World確認)。ミサイル本体は着弾しなかったが、残骸だけで施設火災が起きたことは、ポイントディフェンスでは施設を守れないという脆弱性を露呈した(House of Saud分析記事)。なお同時攻撃対象にはSadaraコンプレックス(アラムコ・Dow合弁)とExxonMobil関連施設も含まれていた。
SABICのLLDPE供給停止が日本市場に与える特殊な影響
SABICのLLDPEは単なる「原料」にとどまらず、日本のストレッチフィルムメーカーにとって長期にわたり品質・物性の基準として組み込まれてきた原料です。具体的には以下の問題が生じます:
- グレード互換性の問題:SABICの218WJ等は特定のMFI(メルトフローインデックス)・密度・コモノマー組成を持ち、これに合わせてフィルム配合・成形条件が最適化されている。中国産や米国産への切り替えには物性再評価・試験フィルム作成・顧客承認が必要で、最短でも1〜3ヶ月を要する
- 認証・仕様書の問題:食品包装向けのSABIC LLDPE製品は食品衛生法上の適合確認済みが多く、代替品の使用には食品接触材料としての確認書類を再取得する必要がある
- 価格転嫁の難しさ:従来のSABIC品は長期契約ベースで安定供給されていたため、スポット市場経由の代替調達は単価が大幅に上昇。フィルムメーカーの採算悪化が深刻化している
SABICのLLDPE復旧見通し
物理的な施設被害については「損傷評価中」(Tadawul開示)であり、復旧時期の公式発表はない。ホルムズ封鎖が解除されれば輸送面は比較的速く回復しうるが、施設が損傷を受けた場合、重厚長大な石化設備の修繕・再稼働には通常3〜12ヶ月を要する。4月25日時点では、SABICのジュベイル拠点からの日本向けLLDPE供給再開は「少なくとも2026年後半まで困難」と業界では見込まれています。
ExxonMobil(シンガポール)は旧クラッカー閉鎖(構造要因)+ナフサ調達難(地政学要因)の複合で事実上の供給停止。特にExceed mPE等のmLLDPEは代替が最も難しいグレード。
SABIC(サウジアラビア)はホルムズ封鎖による輸送遮断に加え、施設への物理的被害という二重の打撃を受けており、復旧には最長2026年後半以降がかかる見通し。
両者からの供給喪失は合算すると日本のストレッチフィルム向けLLDPE輸入の相当な割合を占めており、米国産・中国産・インド産への代替切り替えは避けられないが、グレード適合・物流・価格の三つのハードルが存在する。
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