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BREAKING · 2026.06.19 FOOD INDUSTRY × PRICE REVISION ANALYSIS

湖池屋が2026年8月から19品目を値上げ、じゃがいも・物流費・人件費の三重苦と『実質値上げ』に走るスナック菓子業界の構造変化

2026年6月19日、湖池屋はポテトチップス・スコーンなど19品目について、2026年8月1日納入分から最大8%の値上げと内容量縮小(実質値上げ幅3〜8%)を発表した。直接の原因はじゃがいも・配送費・人件費の高騰だが、同社は「中東情勢の影響は今回含まれていない、ただし包装資材インク材料は今後も注視」と明言。カルビーも9月から値上げを表明し、スナック菓子業界に走る価格改定の連鎖を、一次情報・湖池屋公式発表に基づき検証する。

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湖池屋は2026年6月19日、ポテチ・スコーンなど19品目の値上げ・実質値上げを発表(8月1日納入分から、最大8%・実質改定3〜8%)。「5個パックのり塩」442→453円、Largeサイズは内容量も4g減。じゃがいも・物流費・人件費の三重苦が背景。中東情勢の直接影響はないが包装資材インク材料は今後注視と明言。カルビーも9月値上げ、業界構造変化を読む。

1. 速報、湖池屋19品目の値上げと実質値上げが2026年8月1日納入分から

株式会社湖池屋(社長:佐藤章)は2026年6月19日、ポテトチップス・スコーンなど主力スナック菓子の値上げと内容量縮小を発表した。FNNプライムオンラインの同日報道によれば、対象は19品目、実施時期は2026年8月1日納入分から順次である。時事通信の同日報道では、値上げ対象10商品の実質値上げ幅は3〜8%程度、khb東日本放送の報道では値上げ対象12品の最大値上げ幅は8%と整理されている。媒体ごとに対象範囲の数え方が異なるため、19品目という総数の中に「明示的な価格改定品」と「内容量縮小による実質値上げ品」が含まれる構造である。

主要な対象品目には、定番の「5個パック ポテトチップス のり塩」、「サービスバッグ ポテトチップス のり塩」、「サービスバッグ カラムーチョチップス ホットチリ味」、ロングセラー商品の「Largeサイズ スコーン やみつきバーベキュー」などが含まれる。価格改定の具体例は時事通信が報じており、「5個パック ポテトチップス のり塩」が参考小売価格442円から453円へ(約2.5%増)、「Largeサイズ 湖池屋ポテトチップス のり塩」が313円から324円へ(約3.5%増)と同時に内容量も4グラム削減される。

値上げ・実質値上げ対象
19品目
FNNプライムオンライン報道
最大値上げ幅
8%
明示価格改定対象12品
実質値上げ幅
3〜8%
10商品の容量込み実質改定率
実施開始
8月〜
2026年8月1日納入分から順次

2. 値上げの三重苦、じゃがいも・物流費・人件費の構造

湖池屋が公表する値上げの理由は、主原料のじゃがいもをはじめとする原材料費の高騰、配送費の上昇、人件費の上昇という三つである。同社はこれまで段階的に価格改定を実施してきたが、「自助努力だけでは度重なるコスト増加を吸収できない」状況が続いていると説明している。FNNプライムオンラインは「主な原料のじゃがいもなど原材料の高騰や物流費、人件費のコスト上昇が続いていることが要因」とまとめている。

2-1. じゃがいも高騰、北海道産依存の構造リスク

日本のポテトチップス市場は、原料の約8割を北海道産じゃがいもに依存している。2024年から2025年にかけての北海道での天候不順・収穫減により、業務用じゃがいもの相場は上昇基調が続き、ポテトチップス各社の調達コストを押し上げている。湖池屋の2024年10月値上げ(27品最大14%)、2024年11月公式リリースでの追加価格・規格改定(想定改定率3〜11%程度)、2025年4月値上げ(17品7月21日実施)、2025年11月値上げ(23商品4〜11%、2026年2月実施)と、約2年で5回目の価格改定となる今回の発表は、じゃがいも調達コストが構造的に高止まりしている現実を反映している。湖池屋公式ニュースリリースで佐藤章社長は「自助努力だけでは度重なるコスト増加を吸収できないとの判断に至り」とコメントしており、企業努力での吸収限界に達した状況が明文化されている。

2-2. 物流費・人件費、2024年問題後の継続的圧力

2024年4月のいわゆる「物流2024年問題」(トラックドライバーの時間外労働上限規制)以降、食品配送コストは構造的な上昇局面に入った。これに加え、2024〜2025年の春闘で大手企業の賃上げ率が3〜5%台に達したことが、製造業の人件費負担を継続的に押し上げている。スナック菓子は単価が低く、製造・配送効率が利益率を大きく左右するセグメントのため、人件費・物流費の上昇は薄利の事業構造を直撃する。

3. 「中東情勢の影響は今回含まれていない、ただし包装資材インク材料は今後注視」

今回の発表で特に注目すべきは、湖池屋が中東情勢との関係について明確に言及した点である。FNNプライムオンラインの報道によれば、同社は「今回の値上げに中東情勢による影響は含まれていない」と説明する一方、「包装資材に使うインク材料などについては今後も注視していく」と明言した。これは2026年下期の食品業界の値上げ動向を読み解く上で極めて重要なシグナルである。

▶ 包装資材インク材料の中東情勢経由リスク
2026年2月末の米イスラエルによるイラン攻撃以降、中東6カ国に渡航中止勧告レベル3が発出され、ホルムズ海峡経由の原油・石化原料輸送には長期化リスクが残る。包装資材に使用される印刷インクは、顔料・溶剤・樹脂などの石化由来原料を多く含み、原油・ナフサ価格の変動が直接コストに反映される構造を持つ。湖池屋の今回の発表は、現時点ではインク材料の値上げを織り込んでいないが、第二弾の価格改定要因として残されている可能性を示唆している。

包装資材は、ポテトチップス・スナック菓子のような大量消費の食品では、製造原価に占める比率が無視できない規模となる。とくに窒素ガス充填のアルミ蒸着フィルム袋は印刷面積も大きく、インク使用量が多い。中東情勢の長期化が原油価格を押し上げれば、PPフィルム・PETフィルムなどの基材コストとインクコストの双方が上昇し、湖池屋を含む食品メーカー全体の包装資材コストに連鎖する経路が存在する。

3-1. 包装資材コストが食品価格に波及する3つの経路

包装資材コスト上昇が食品メーカーの値上げ判断に波及する経路は概ね三つに整理できる。第一に、PP・PE系フィルムの基材コスト(ナフサ価格連動)。第二に、グラビア・フレキソ印刷のインク・溶剤コスト(顔料・樹脂の石化原料連動)。第三に、段ボール・トレー・キャップ等の二次包装材コスト(原油・パルプ価格連動)。今回の湖池屋発表は第二の経路に明示的に言及した点で、業界内でも踏み込んだ表現と受け止められる。

4. 「実質値上げ」(シュリンクフレーション)の業界戦略

今回の改定では、明示的な価格上昇と内容量縮小の両方が併用されている。日本では「実質値上げ」「シュリンクフレーション」と呼ばれるこの手法は、参考小売価格を維持したまま内容量のみを縮小することで、店頭表示価格の上昇による消費者の心理的抵抗を回避する狙いを持つ。

4-1. 湖池屋ポテトチップスのり塩の容量推移、25年で約39%減

「ポテトチップス のり塩」レギュラーサイズの容量推移は、ステルス値上げの歴史を象徴する。2001年時点で90gだったレギュラーサイズは、その後段階的に縮小され、2004年頃に70g、2007年に65g、2010年に60gとなり、2025年7月の改定で60gから55gに縮小された。25年間でじゃがいもの絶対量は約39%減少(90g→55g)した計算となる。今回の改定で「Largeサイズ ポテトチップス のり塩」も内容量が4g減るため、容量縮小の流れは今後も続く可能性が高い。

表1:湖池屋ポテトチップスのり塩レギュラーサイズの容量推移(参考)
容量 前期間からの変化 当初比削減率
2001年時点 90g 基準
2004年頃 70g ▲20g ▲22.2%
2007年頃 65g ▲5g ▲27.8%
2010年頃 60g ▲5g ▲33.3%
2025年7月 55g ▲5g ▲38.9%

出典:neage.jp集計の市販パッケージ表示の経年比較、湖池屋ニュースリリース(2025年4月4日付)。25年間で約4割のじゃがいも絶対量削減は、ステルス値上げの累積効果を象徴する。

4-2. 戦略的意義、価格据え置き型と価格改定型の併用

湖池屋は今回、明示的な価格改定(10商品)と内容量縮小(一部商品で併用)の両アプローチを組み合わせている。コンビニ限定商品など特定流通チャネル向けには「価格据え置き・内容量縮小」のパターンが2024年10月の改定でも採用されており、今回も同様の戦略が踏襲される可能性が高い。明示的な値上げと実質値上げを組み合わせることで、消費者・小売店・自社の三者間の心理的・商務的バランスを取りつつ、平均価格改定率を実現する戦略である。

5. 業界波及、カルビー・PB・輸入を含むスナック菓子市場の全方位的値上げ

湖池屋の今回の発表は、スナック菓子業界における2026年下期の値上げラッシュの一端である。最大手カルビーから二大ブランドのプリングルズ・チップスター、スーパー・コンビニのPB(プライベートブランド)、UAE製を含む輸入ポテトチップスまで、北海道産じゃがいも・原油・物流費・人件費の四つの圧力下で、市場全体が同期的な価格改定局面に入っている。本章では一次情報に基づき、業界横断の構造を整理する。

5-1. カルビー2026年9月、25品値上げの詳細

スナック菓子最大手のカルビーは2026年5月14日、「ポテトチップス」と「じゃがりこ」を中心とする25品(ポテトチップス7品+じゃがりこ18品)を2026年9月1日納品分から値上げすると発表した。日本経済新聞・読売新聞オンライン・FptRendyの一次情報を統合すると、店頭想定改定率はポテトチップスで5〜10%、じゃがりこで3〜10%。コンビニ限定サイズの「ポテトチップス うすしお味」(70g)と「じゃがりこ サラダ」(57g)はそれぞれ約180円→約190円に値上げされる。また「ポテトチップス Lサイズ BAG」など3品は価格据え置きで内容量を8グラム減らす実質値上げとして発表された。

注目すべきは、カルビーが今回の値上げについて湖池屋と同様に「じゃがいもの仕入れ価格や物流費の高騰によるもので、中東情勢は関係ない」と明言した点である。両社が同時期に同じ説明で価格改定を実施する構図は、市場全体の価格水準が一段引き上げられることを意味し、消費者は実質的に「逃げ場のない価格改定」に直面する。また、カルビーにとって今回は2026年内3回目の改定(2月・6月・9月)となり、ポテトチップス業界の構造的なコスト圧力の高止まりを象徴している。

表2:湖池屋・カルビーの2026年下期値上げ比較
項目 湖池屋 カルビー
発表日 2026年6月19日 2026年5月14日
実施開始 2026年8月1日納入分から 2026年9月1日納品分から
対象品目数 19品目(値上げ・実質値上げ含む) 25品(ポテチ7品+じゃがりこ18品)+実質値上げ3品
改定率 最大8%/実質改定3〜8% ポテチ5〜10%/じゃがりこ3〜10%
中東情勢への言及 「直接影響なし、包装資材インク材料は今後注視 「関係ない」と明言
2026年内の改定回数 年内2回目(2月実施・8月実施) 年内3回目(2月・6月・9月)

5-2. PB商品への波及、トップバリュ=湖池屋OEMの構造

2026年下期のスナック菓子市場で見落とせないのが、プライベートブランド(PB)への波及である。物価高でPB商品への需要は急増しており、イオンの「トップバリュ」のPB売上高は2024年度で1兆983億円(前年比8.3%増、9年連続増)、セブン&アイの「セブンプレミアム」も初の1兆5,000億円(同3.4%増)と過去最高を更新している(出典:日本食糧新聞)。

注目すべきは、「トップバリュ ベストプライス ポテトチップス」(60g・約95円)の製造元が湖池屋であるという業界構造である(出典:プライシー)。同商品はカルビー・湖池屋ブランド品の約半額〜6割の価格水準を維持しており、コスパ志向の消費者の受け皿となってきた。湖池屋本体の値上げと包装資材コスト上昇が継続すれば、PB商品の価格水準にも遅れて波及するリスクは構造的に高い。「セブンプレミアム ポテトチップス」(60g・約108円)も同様に、コンビニPBチャネルでの値上げ圧力下に置かれている。

PB市場の構造的位置づけ

PB商品は「値頃感」を最大の競争力とするため、メーカーブランド(NB)よりも価格据え置き・実質値上げ(内容量縮小)の手法が採用されやすい傾向がある。OEM供給を行う湖池屋・カルビーのコスト負担増は、NB値上げの後追いでPBの実質値上げに反映される構造のため、消費者は「NBもPBも両方値上がりする」二段階の家計負担増に直面する可能性が高い。

5-3. プリングルズ・チップスターの先行値上げと2026年下期の現状

輸入系・成型ポテトチップスのカテゴリでは、すでに先行的な価格改定が一巡している。日本ケロッグの「プリングルズ」は2024年9月2日出荷分から定番6品(サワークリーム&オニオン、うましお、Hi! CHEESE!)を約15%値上げ済みで、同時に小容量3商品の容器サイズを縮小し資材コストを低減する施策も実施した(出典:日本経済新聞、食品産業新聞社)。日本ケロッグは現時点(2026年6月時点)で追加の新規値上げを発表していないが、原油・ナフサ・物流費の継続圧力下では再改定の可能性が残る。

同じ成型ポテトチップスカテゴリのヤマザキビスケット「チップスター」も、2023年3月にLサイズを115g→105gに減量し参考小売価格を引き上げる改定を実施済みで、現時点で2026年下期の新規発表はない(出典:neage.jp、ヤマザキビスケット公式)。プリングルズ・チップスターの双方とも、湖池屋・カルビー型ポテトチップスとは原料構成(ジャガイモ粉末・小麦粉)が異なるため、北海道産じゃがいも相場との連動性は薄いものの、印刷インク・包装材・物流費の共通圧力下にあることに変わりはない。

5-4. 輸入ポテトチップスへの影響経路

輸入系ポテトチップスでは、3つの異なる影響経路が存在する。第一に、「Lay's(レイズ)」はペプシコ・フリトレー社の主力ブランドで、日本ではジャパンフリトレー(カルビー傘下)がマスターフランチャイズ方式で展開している(出典:ジャパンフリトレー公式、株式会社ABC商会)。国内製造分と輸入分の両方を含み、カルビーグループの調達コスト連動とドル円相場の双方の影響を受ける構造で、円安局面では純国内ブランドより値上げ圧力が大きい。第二に、「ハンターズ」はUAE・ドバイ発の高級ポテトチップスブランドで(出典:ev-fry.com「輸入ポテトチップスの世界ランキング9選」2026年5月3日付)、中東情勢の直接影響を最も受ける可能性のある輸入カテゴリである。原産地の物流リスク・空域リスクの双方が運賃・調達期間に直接反映される構造を持つ。第三に、台湾・韓国・東南アジアの現地ブランドLay's等は個人輸入経路で流通しており、関税は16,666円以下なら免税のため、為替・現地物価の影響を受けながらニッチ市場を形成している。

▶ 輸入系における中東情勢の直接影響リスク
ハンターズはUAE・ドバイで製造される高級ポテトチップスで、日本市場では一部の高級スーパー・成城石井系チャネルや通販で流通している。中東情勢の長期化・ホルムズ海峡の物流リスク・ドバイ国際空港の運用混乱(2026年3月の渡航中止勧告レベル3発出時)は、こうした中東原産の食品輸入カテゴリにも直接的なコスト・調達期間の影響を及ぼす。湖池屋・カルビーの「中東情勢は関係ない」明言とは対照的に、輸入カテゴリの一部は「中東情勢は直接関係する」局面にある。

5-5. 帝国データバンク統計、2026年通年9,361品目・年間1万品目突破見通し

マクロ視点での業界全体の値上げ動向を見ると、帝国データバンクが2026年5月29日に公表した「食品主要195社」価格改定動向調査では、2026年6月の飲食料品値上げは1,078品目に達し、2026年通年の値上げ品目総数は1〜10月までの判明分で9,361品目、6月中にも調査開始(2022年)から5年連続となる年間1万品目突破が判明する見通しと分析している。同調査は「中東情勢の悪化を背景に、飲食料品では今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる」と明言しており、政府による輸入小麦の売り渡し価格引き上げ、1ドル160円に迫る円安水準の長期化、物流・人件費の「粘着的」値上げ圧力に加え、中東情勢が新たな構造要因として加わっている構図を示している。

この帝国データバンクのマクロ分析は、湖池屋・カルビーの個別発表を業界全体のトレンドとして位置づける重要なエビデンスである。スナック菓子セグメントは2026年の値上げ品目数全体の中では一部に過ぎないが、消費者の購買頻度が高く、家計に与える心理的影響は大きい。2026年下期は、湖池屋・カルビーに続く第二、第三のスナック菓子メーカーや、PB商品の追随改定が予想される局面である。

6. 消費者・小売・物流業界への波及

湖池屋19品目の値上げは、消費者・小売業・物流業界それぞれに異なる経路で影響を及ぼす。消費者は「店頭価格の上昇」と「実質容量の減少」という二重の負担を経験するが、グラム単価ベースで計算しない限り、家計簿レベルでは見えにくいインフレが進行する。スーパー・コンビニなど小売は、納入価格の引き上げを店頭価格にどこまで転嫁するか、PB商品との価格バランスをどう取るかの判断を迫られる。

物流業界では、納入価格改定に伴う棚卸資産の評価替え、配送ロットの最適化、保管期間の調整など、卸・物流現場での実務対応が必要となる。とくに2026年8月1日納入分という具体的な区切りがあるため、7月下旬の駆け込み発注と8月以降の発注パターンの変化が予想される。包装資材を扱う商社・卸では、湖池屋のような大手食品メーカーが「インク材料を今後注視」と公言した意味を重く受け止め、第二弾の包装資材コスト改定リスクを織り込んだ中長期契約・備蓄計画・代替調達ルートの再評価が、2026年下期の現実的な調達戦略となる。中東情勢の長期化シナリオ下では、原油・ナフサ価格の高止まりが包装資材原料へ波及する経路を継続的にモニタリングする体制構築が、食品流通・容器包装商社の双方にとって経営課題の中核に据えられる局面である。

▶ 中東情勢が国内産業全般・インバウンドに与える影響については、当社専門版分析記事もご参照ください:イラン情勢と訪日ビザ手数料5倍引き上げが同時に効く2026年下期、インバウンド需要に走る複合の構造変化

7. よくあるご質問(FAQ)

湖池屋の値上げ・実質値上げの対象品目と実施時期は。
湖池屋は2026年6月19日、ポテトチップスやスコーンなど19品目について、2026年8月1日納入分から順次値上げまたは内容量を縮小する「実質値上げ」を実施すると発表しました。価格改定対象は10商品で、最大の値上げ幅は8%。一部は価格据え置きで内容量のみを縮小し、実質値上げ幅は3〜8%程度となります。対象には「5個パック ポテトチップス のり塩」(442円→453円)、「Largeサイズ 湖池屋ポテトチップス のり塩」(313円→324円・内容量4g減)、「サービスバッグ ポテトチップス のり塩」「サービスバッグ カラムーチョチップス ホットチリ味」「Largeサイズ スコーン やみつきバーベキュー」などが含まれます。
なぜ今回の値上げが必要となったのか、その背景は。
湖池屋は値上げの理由として、主原料のじゃがいもをはじめとする原材料費の高騰、配送費の上昇、人件費の上昇という三つの要因を挙げています。同社はこれまで段階的に価格改定を実施してきましたが、「自助努力だけでは度重なるコスト増加を吸収できない」状況が続いているとしています。直近では2024年10月(27品最大14%)、2024年11月公式リリースでの追加価格・規格改定(3〜11%程度)、2025年4月(17品7月21日実施)、2025年11月(23商品4〜11%、2026年2月実施)と短期間に複数回の改定を重ねており、今回が2024年以降5回目の価格改定となります。
中東情勢やイラン情勢の影響は今回の値上げに含まれているのか。
湖池屋は今回の値上げに中東情勢による影響は含まれていないと明言しています。一方で、包装資材に使用するインク材料などについては「今後も注視していく」と説明しており、第二弾の値上げ要因として残されている可能性を示唆しました。原油・ナフサ価格の上昇はPPフィルムやインク溶剤の調達コストを押し上げる経路があり、中東情勢の長期化はスナック菓子のみならず食品全般の包装資材コストに波及する潜在リスクを抱えています。2026年下期はこの「包装資材経由の二次波及」が業界共通の観察ポイントとなります。
実質値上げ(シュリンクフレーション)はなぜ多用されるのか。
実質値上げは、参考小売価格を維持したまま内容量のみを縮小することで、店頭表示価格の上昇による消費者の心理的抵抗を回避する手法です。湖池屋ポテトチップスのり塩レギュラーサイズは2001年時点で90g、その後段階的に縮小され、2010年に60g、2025年7月に60g→55gと推移しており、過去四半世紀でじゃがいもの絶対量は約39%減少しています。コンビニ限定商品など特定流通向けには価格据え置き・内容量縮小のパターンも採用されており、今回の改定でもLargeサイズ「ポテトチップス のり塩」が内容量4g減(縮小率は容量比約2〜3%)となっています。明示的な値上げと併用することで、平均価格改定率を抑制しつつコスト転嫁を実現する戦略です。
他のスナック菓子メーカー・PB・輸入商品への波及と消費者影響は。
スナック菓子最大手のカルビーは2026年5月14日、ポテトチップス7品+じゃがりこ18品の計25品を9月1日納品分から3〜10%値上げすると発表しており(年内3回目の改定)、湖池屋と同様に「中東情勢は関係ない」と明言しています。PB商品では「トップバリュ ベストプライス ポテトチップス」(60g・約95円)の製造元が湖池屋であるため、本体値上げの遅れての波及リスクが構造的にあります。プリングルズ(日本ケロッグ)は2024年9月に約15%値上げ済み、チップスター(ヤマザキビスケット)は2023年3月減量改定済みで現時点での追加発表はありません。輸入系ではUAE製の「ハンターズ」が中東情勢の直接影響を受ける可能性のあるカテゴリです。帝国データバンクの2026年5月29日調査では、2026年通年値上げ品目総数が9,361品目(1〜10月判明分)に達し5年連続の年間1万品目突破見通しで、「中東情勢の悪化を背景に、今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる」と分析しています。

主な情報源・エビデンス一覧

  • FNNプライムオンライン(フジテレビ系)「湖池屋『ポテトチップス』『スコーン』も値上げ じゃがいもや物流費の高騰など 19品目で内容量減らす『実質値上げ』も」2026年6月19日付(Yahoo!ニュース配信)。19品目対象、8月から順次実施、対象商品と中東情勢への言及(「今回の値上げに中東情勢による影響は含まれていないが、包装資材に使うインク材料などについては今後も注視していく」)を報道。
  • 時事通信「湖池屋、ポテチなど値上げ」2026年6月19日付(Yahoo!ニュース配信)。10商品の価格改定・実質値上げ幅3〜8%、8月1日納入分から順次実施、「5個パック ポテトチップス のり塩」442円→453円・「Largeサイズ 湖池屋ポテトチップス のり塩」313円→324円・内容量4g減を具体的に報道。
  • khb東日本放送「湖池屋 ポテトチップスなど値上げ 8月出荷分から」2026年6月19日付。12品対象、最大8%値上げ、「サービスバッグ ポテトチップス のり塩」「サービスバッグ カラムーチョチップス ホットチリ味」を含む対象商品リストを報道。
  • 湖池屋公式ニュースリリース「一部製品の価格改定に関するお知らせ」koikeya.co.jp掲載。「原材料・配送費・人件費の高騰に伴い、製品の価格・規格改定を段階的に実施致しましたが、依然として各種コストの上昇は継続しており、弊社の事業運営に大きな影響を及ぼす状況となっております」「自助努力だけでは度重なるコスト増加を吸収できないとの判断に至り」との社長コメントを発表。
  • 日本経済新聞「湖池屋、ポテトチップスなど4〜11%値上げ」2025年11月21日付。23商品4〜11%値上げ、2026年2月出荷分から実施、「ポテトチップス のり塩」参考小売価格162円から170円、「カラムーチョチップス ホットチリ味」170円から183円への改定を報道。
  • 日本経済新聞「湖池屋、ポテトチップスなど17品値上げ 7月から」2025年4月4日付。17品7月21日値上げ、16品は実質値上げ、「ポテトチップス のり塩」内容量60g→55g、「小袋 スティックカラムーチョ ホットチリ味」33g→30g・81円→86円への改定を報道。
  • 日本経済新聞「湖池屋、ポテトチップス値上げ 10月から最大14%」2024年7月12日付。27品10月値上げ、容量減少を含めた価格改定率約4〜14%、うち10品で内容量縮小、「Largeサイズ ポテトチップス のり塩」126g→122gへの改定を報道。
  • neage.jp「湖池屋 ポテトチップスの値上げ・ステルス値上げ情報」「湖池屋 スコーンの値上げ・ステルス値上げ情報」。2001年から現在までの容量・価格推移の経年データを集計。「のり塩」レギュラーサイズが2001年の90gから2025年の55gへ約39%減少した経緯を整理。
  • FNNプライムオンライン(フジテレビ系)「カルビー、9月から順次値上げ」2026年6月18日付。スナック菓子最大手のカルビーが9月から順次、ポテトチップス・じゃがりこなどを値上げすることを業界波及の参考情報として報道。
  • 日本経済新聞「カルビー、『じゃがりこ』など25品目3〜10%値上げ 物流費高騰」2026年5月14日付。カルビーのポテトチップス7品+じゃがりこ18品の計25品、9月1日納品分から、店頭想定改定率3〜10%、コンビニ限定「ポテトチップス うすしお味」70g・「じゃがりこ サラダ」57gをそれぞれ180円前後から190円前後に値上げと報道。中東情勢は関係ないと明言。
  • 読売新聞オンライン「カルビーが『ポテトチップス』『じゃがりこ』の一部を値上げへ…中東情勢の影響ではないと説明」2026年5月14日付。ポテトチップスの「うすしお味」「コンソメWパンチ」、じゃがりこの「サラダ」「チーズ」味などが対象、「LサイズBAGうすしお味」など3商品は価格据え置き・内容量8g減で実質値上げ。
  • FptRendy「カルビー、ポテトチップスも再値上げへ|年内3回目の価格改定と食品高」2026年5月15日付。2026年内3回目の改定(2月・6月・9月)として位置づけ。帝国データバンク調査の引用含む。
  • プライシー「【2026年最新】カルビー値上げ|いつから・いくら・対象商品まとめ」「【2026年最新】ポテチの値段はいくら?メーカー・店舗別に比較」2026年。トップバリュ ベストプライス ポテトチップス(60g・約95円)の製造元が湖池屋であること、セブンプレミアム ポテトチップス(60g・約108円)の価格水準を解説。
  • 日本食糧新聞・電子版「イオンとセブン&アイ、PB売上げ過去最高 インフレで存在感増す」2025年4月17日付。トップバリュPB売上1兆983億円(前年比8.3%増、9年連続増)、セブンプレミアム1兆5,000億円(同3.4%増)を報道。
  • ダイヤモンド・チェーンストアオンライン「【PB相関図2026】新ブランド開発、外部供給拡大……乱戦模様の『PB市場』」2026年4月15日号。「トップバリュ」2026年2月期売上高1兆2,000億円超見通し、「セブンプレミアム」25年2月期1兆5,000億円到達を解説。
  • 食品産業新聞社ニュースWEB「『プリングルズ』値上げ 改定率約15%、内容量変わらず ショート缶容器はよりコンパクトに、9月2日出荷分から/日本ケロッグ」2024年7月5日付。プリングルズ全6商品の9月2日出荷分からの約15%値上げ、3品で容器サイズ縮小を報道。
  • 日本経済新聞「『プリングルズ』15%値上げ、日本ケロッグが9月から」2024年7月5日付。日本ケロッグの「サワークリーム&オニオン」「うましお」「Hi! CHEESE!」6品の値上げを報道、容器サイズ縮小による資材コスト低減施策にも言及。
  • ヤマザキビスケット公式「新製品情報」yamazaki-biscuits.co.jp。チップスターの新商品展開情報を継続発信。
  • neage.jp「ヤマザキビスケット チップスターSの値上げ・ステルス値上げ情報」「チップスターLの値上げ・ステルス値上げ情報」。チップスターLサイズの2023年3月115g→105g減量と価格改定を含む経年データを集計。
  • ジャパンフリトレー公式「海外取扱いブランド」fritolay.co.jp。ペプシコ・フリトレー社のLay's・ラッフルズの日本市場向け展開(マスターフランチャイズ方式・国内製造分と輸入分を含む)を担当することを明示。
  • 株式会社ABC商会「Lay's|レイズ ポテトチップス」abcshokai.co.jp。Lay's しお味・サワークリーム&オニオン味の輸入販売情報。
  • ev-fry.com「輸入ポテトチップスの世界ランキング9選!どこで売ってるかも解説」2026年5月3日付。UAE・ドバイ発「ハンターズ ポテトチップス」、スペイン発「イベリカ」など、海外輸入ポテトチップスブランドの流通実態と入手経路を解説。
  • 帝国データバンク(TDB)「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年6月」2026年5月29日公表。2026年6月の飲食料品値上げ1,078品目、通年値上げ品目総数(1〜10月判明分)9,361品目、5年連続年間1万品目突破見通し。「中東情勢の悪化を背景に、飲食料品では今夏以降に広範囲な値上げラッシュが続くとみられる」と明言。
  • 国土交通省・厚生労働省「物流2024年問題に関する公表資料」。トラックドライバーの時間外労働上限規制(2024年4月施行)に伴う物流費の構造的上昇を解説する公的資料。
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