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ナフサ価格の推移2026まとめ、国産・スポット・通関の最新チャート

2026年7月19日 公開最終更新 (数字は10月23日時点)次回更新目安 2026年11月上旬統括記事 66本読む時間 約30分

この記事の答え

何が起きた
2月末のホルムズ海峡の封鎖で、ナフサは3月に急に上がりました。3つの値段はどれも山を越え、国産ナフサ基準価格は4〜6月期の118,900円/kLが過去最高です。
樹脂・資材の値段への影響
樹脂メーカーは国産ナフサ基準価格をもとに値段を決めます。7〜9月期は104,800円、10〜12月期は95,900円と下がる見込みですが、どちらもまだ確定していません。
確かめておくこと
その数字が3つの値段のどれかです。「ナフサが2.5倍になった」も「6月に衝突前を下回った」も、種類がちがうだけで、どちらも本当です。
次に見るところ
国産ナフサの7〜9月期の確定値です。10月23日の時点ではまだ出ていません。出たら第3章と第6章の表に入れます。
この記事のあとの動き(2026年10月23日の更新:9月の原油の輸入と企業物価、国産ナフサの7〜9月期は確定前)
  • 財務省が10月21日に公表した9月の貿易統計(速報)では、原油・粗油の輸入額が1兆1,102億円(前年同月比+51.1%)、輸入量が11,166千キロリットル(同+3.1%)でした。中東からの輸入量は6,921千キロリットル(同▲30.0%)で、平均の為替は1ドル157.43円です。
  • 日本銀行の9月の企業物価指数(速報、10月13日)は、国内企業物価が前年同月比+6.8%(前月比▲0.3%)、化学製品が同+13.3%、プラスチック製品が同+12.8%、石油・石炭製品が同+11.5%でした。
  • 国産ナフサの7〜9月期の確定値は、10月23日時点でまだ公表されていません。
  • ガソリンなどの補助(燃料油価格定額引下げ措置)は、10月22日以降の支給単価がガソリン1リットルあたり42.8円です。
  • 10月29日には、石油化学工業協会が9月のエチレン設備の稼働率70.2%を公表しました(8月は73.5%)。財務省も同じ日に9月分の貿易統計(輸出確報・輸入9桁速報)を出し、揮発油の輸入は数量1,774千キロリットル、金額1,821.4億円でした。くわしくは第2章の10月をご覧ください。

国産ナフサの7〜9月期の確定値が出たら、第3章・第6章の表に反映します。次回の更新は2026年11月上旬の予定です。

国産ナフサ基準価格のピーク(2026年4〜6月期)118,900円/kL確定値。前四半期比+53,200円、水準・上げ幅とも過去最高(化学工業日報、2026年7月31日)
アジアスポットのピーク(2026年3月末)1,200ドル超1トンあたり・5月前半到着分(化学工業日報、2026年4月30日)
系列間の時差(スポット→通関CIF)2ヶ月3月末のスポットの最高値が、5月16日の通関CIFのピークに表れた

ナフサの値段には3つの種類(スポット・CIF・基準価格)があります。この記事は、当社の関連記事66本(9つの分野)をまとめたものです。2026年10月26日に、出来事を月の順に並べ直しました。くわしい内容は、それぞれの記事で読めます。

こんな方へ、まず読むところ立場ごとの入口

種類ごとのくわしい内容は、下の「このまとめの記事を探す」から、それぞれの記事で読めます。

ナフサとは何か:値段は3種類あり、測るものと動く時期がちがいます

ナフサは原油からとれる、プラスチックのもとになる液体です。その値段には3つの種類があり、同じ値上がりでも、種類ごとに約2ヶ月ずつおくれて届きます。

ナフサは、プラスチックのもとです

原油を熱して蒸留すると、軽いものから順に、いくつもの成分に分かれます。この成分を「留分」といいます。ナフサは、その中の軽い留分の1つです。

ナフサを分解炉という大きな装置で分けると、エチレンやプロピレンなどができます。そこから、樹脂・フィルム・接着剤・溶剤などが作られます。日本のナフサは、ほとんどが輸入品です。

値段は3種類あります

ニュースで「ナフサの値段」と言うとき、実は次の3つのどれかを指しています。種類がちがえば、水準も、いちばん高くなった時期もちがいます。

「ナフサが2.5倍になった」と「ナフサは6月に衝突前を下回った」は、どちらも本当です。前の話はスポット、後の話は通関(輸入)の値段です。

この記事では、この値段の種類のことを「系列」とも呼びます。①②③の番号は、下の表と同じです。

① アジアスポット市況
(MOPJ等)

何を測るか市場で日々取引される価格。単位はドル/トン
更新頻度日次
上流からの時差なし(最も速い)
主な参照先化学工業日報、日本経済新聞、業界紙

② 輸入CIF価格
(通関統計)

何を測るか日本に到着し通関した価格。運賃・保険料・為替を含む
更新頻度月次(速報・確定)
上流からの時差約2ヶ月
主な参照先財務省貿易統計、大景化学 ナフサ価格推移表

③ 国産ナフサ基準価格

何を測るか樹脂メーカーの値決めに使われる指標。単位は円/kL
更新頻度四半期
上流からの時差約4ヶ月
主な参照先化学工業日報、三協化学 国産ナフサ価格推移表

なぜ2ヶ月ずれるのか

値段が決まってから、船に積み、海を渡り、港に入り、税関を通るまでに、約2ヶ月かかります。化学工業日報は2026年4月30日の記事で、3月末に1トン1,200ドル超をつけた値段を「5月前半到着分」と書いています。

国産ナフサ基準価格は、さらにおそく決まります。たとえば1〜3月期の値は、2025年11月後半から2026年2月前半の相場を、日本に着いたときの為替で円に直して決まります。相場が動いてから確定するまで、4ヶ月ぐらいかかる計算です。

仕事で使うときのポイント

樹脂メーカーの値上げ・値下げは、多くの場合、③の国産ナフサ基準価格に合わせて決まります。そのため、①のスポットが下がっても、製品の値上げは数ヶ月あとまで続きます。2026年6月25日に輸入ナフサ価格が衝突前の水準を下回ったあとも、7月1日からの建材各社の値上げが予定どおり行われたのは、このためです。

換算の目安

1トンは約1.41キロリットルです。1トンあたりのドルの値段を1.41で割り、為替をかけると、1キロリットルあたりの円の値段の目安になります。ただし、輸入CIFには運賃と保険料が入っているので、スポットから計算した値とはぴったり合いません。

為替も大きく効きます。化学工業日報は、2026年1〜3月期の基準価格がほぼ変わらなかった理由を、原油・ナフサが安くなった分を円安が打ち消したためだと説明しています。

日本銀行の輸入物価指数では、2026年6月の前年同月比が、契約した通貨で17.8%高、円にすると29.7%高でした。その差は11.9ポイントです(円安はナフサ高を上乗せし、ナフサ安を打ち消す、日銀の輸入物価指数が示す2026年の二重負担)。2ヶ月のずれはいつ届くかの話で、為替は届いたときにいくらになっているかの話です。

原油からは、いくつもの製品が同時にできます

ナフサは原油の一部にすぎません。原油を蒸留すると、ナフサ・灯油・軽油・重油・アスファルトなどが同時にとれます。1つの工程から複数の製品が同時にできることを「連産品」といいます。

2026年は、原油からとれるすべての留分が同時に値上がりしました。そのため、値上がりは特定の品目だけにとどまりませんでした。

ナフサ
(軽い留分)

主な用途石油化学原料。分解炉でエチレン・プロピレン・ブタジエン・BTXになる
影響が及んだ資材ストレッチフィルム、PPバンド、OPPテープ、塩ビ管、断熱材、樹脂サッシ、塗料用シンナー、シーリング材、接着剤、包装材

灯油・軽油
(中間留分)

主な用途燃料
影響が及んだ資材製造工場の稼働燃料、輸送費。石膏ボードなど非石油化学製品にもエネルギーと物流を通じて波及

重油・潤滑油基油

主な用途燃料、エンジンオイル
影響が及んだ資材エンジンオイル、油圧作動油

アスファルト
(最も重い残渣)

主な用途道路舗装、防水材
影響が及んだ資材アスファルト合材、アスファルトルーフィング、アスファルトシングル

「影響が及んだ資材」は2026年に影響が及んだ資材です。

ナフサの分解炉を動かすと、エチレン・プロピレン・ブタジエン・BTXが同時にできます。ほしい製品だけを増やすことはできません。

当社は総論の記事で、この広がりを4つの波に分けています。燃料(第1波)、日用品・タイヤ(第2波)、衣料・家電(第3波)、建材・医療機器・機能性化学品(第4波)です。影響は、日本標準産業分類の21の中分類に及んでいます。

原油も同じです。中東以外から買っても、4つのことが同時に効きます。運賃、OSPプレミアム(産油国の公式販売価格の上乗せ分)、品質のちがい、歩留まり(とれる量)の差です。そのため、ガソリンからアスファルト・潤滑油の基油まで、すべての留分が値上がりします。

2026年は、材料を切り替えて値上がりをさけることもむずかしい年でした。断熱材は石油系から鉱物系への切り替えが考えられましたが、鉱物系も上がりました。石膏ボードは原料が鉱物と紙なのに、エネルギーと物流を通じて上がりました。道路舗装のアスファルトも過去最高値を更新しています。

作る力にも限りがありました

値段だけでなく、作る力にも制約がありました。石油化学工業協会の集計では、2026年4月のエチレン設備稼働率は67.3%です(8月は73.5%、第2章)。

国内のエチレン12基のうち、6基が生産を減らし続けた時期がありました。旭化成は2026年5月12日、水島事業所のスチレンモノマー・低密度ポリエチレン・高密度ポリエチレンを2030年に生産終了する計画を発表しました。

同時に、三井化学45%・三菱ケミカル45%・旭化成10%の出資で、西日本エチレンJVをつくることで基本合意しました。今の95.1万トン体制を45.5万トン体制へ小さくする再編が動き出しています。

2026年の動きを月ごとに:2月末の封鎖から10月まで

2026年2月末にホルムズ海峡が封鎖され、ナフサのスポットは3月末に山をむかえました。その後は下がりましたが、7月の再閉鎖と9月の円安で、ふたたび上がる場面がありました。

封鎖の前から10月までの主な出来事を、月の順に並べました。種類のちがう数字には、出どころと種類を書いています。

封鎖の前(2025年11月〜2026年2月)

2025-11〜2026-02
アジアスポットは1トン565〜590ドル、ブレント原油は1バレル60ドル台から68ドル台後半でした。この時期の相場が、2026年1〜3月期の国産ナフサ基準価格65,700円/kLのもとになります。

ホルムズ海峡の封鎖(2026年2月)

2026-02-28
ホルムズ海峡が実質的に封鎖されました。このときのアジアスポットは、1トン600ドルに届かない水準でした。

スポットが2倍に(3月)

2026-03-06
アジアスポットが1トン776ドルになりました。石油化学アナリストの川上正則氏は、その1週間後に1,000ドルを突破したと記録しています(米国化学会C&EN/2026年3月17日)。
2026-03-18
化学工業日報によると、スポットは2月末の600ドル台後半から、2週間あまりで1,100ドル前後になりました。同じころ、プライムポリマーがポリオレフィンを4月1日納入分から1kgあたり90円以上値上げすると発表しました。ナフサが1kLあたり11万円をこえたら、さらに見直す可能性も示しています。
2026-03-31
アジアスポットが1トン1,200ドル超になりました。5月前半に日本へ着く分の値段です(種類ごとの全記録は第6章)。同じころ、旭化成がポリエチレンを1kgあたり120円以上値上げすると発表しました。相場で見て3割をこえる値上げです。

工場の稼働が下がり、樹脂が3割上がる(4月)

2026-04
4月のエチレン設備稼働率は67.3%でした(石油化学工業協会/2026年5月21日公表)。汎用の合成樹脂の取引価格は3月より3割上がり、食品の包装材を中心に値上げが広がりました。
2026-04-30
化学工業日報が、2026年1〜3月期の国産ナフサ基準価格を1kLあたり65,700円と報じました。前の期より100円高いだけです。あわせて、4〜6月期は金額も上げ幅も過去最高を大きく更新しそうだと伝えました。ブレント原油は2月末より4割近く高く、1バレル100ドル前後でした。

輸入の値段が山をむかえる(5月)

2026-05-14
東ソーがポリエチレン樹脂を、5月21日納入分から1kgあたり45円以上値上げすると発表しました。4月1日に続く2回目です。
2026-05-16
輸入CIFが1トン1,043ドルになりました。輸入の値段では2026年の最高値です。3月末のスポットの最高値(5月前半に着く分)が、ここで輸入の値段に表れました。
2026-05-20
輸入CIFは1,005ドル、国産ナフサ価格指標は113,092円/kLでした。プライムポリマーが見直しの目安にした11万円/kLをこえる水準です。

輸入の値段が衝突前を下回る(6月)

2026-06-03
輸入CIFが767ドルまで下がりました。5月16日の1,043ドルから約26%の下落です。ただ、このときも6月前半に着く分のスポットは、1,000ドル前後で取引されていました。
2026-06-25
輸入CIFが627ドルまで下がり、衝突前の632ドルを一時下回りました。ただし、樹脂や建材のメーカーが値上げを取り消したり、幅を小さくしたりした発表は見つかっていません。

再閉鎖でふたたび上がり、4〜6月期は過去最高で確定(7月)

2026-07-05
OPEC+の7カ国が会合を開き、8月の生産枠を日量18万8千バレル増やすことで合意しました。増やした分の合計は日量94万バレルで、世界の需要の約1%にあたります。UAEは5月1日にOPECを抜けています。
2026-07-08〜09
三協化学が国産ナフサ価格推移表を更新し、中東情勢による注文・出荷の調整をやめると発表しました。7月9日のMOPJナフサは702ドル/トン、国産ナフサ価格指標は81,146円/kLでした。
2026-07-12〜16
イラン革命防衛隊が、ホルムズ海峡をふたたび閉鎖しました。7月12日に通航が確認された船は6隻で、過去5週間でいちばん少ない数でした。輸入CIFは7月15日に808ドル・国産93,169円/kL、7月16日に842ドル・国産96,965円/kLへ戻りました。6月25日より34%高い値です。
2026-07-24
輸入CIFは982ドルになり、6月25日の627ドルより57%高くなりました。為替は7月16日の1ドル162.28円から163.32円へ、円安が進みました。国産ナフサ価格指標は、7月16日の96,965円/キロリットルから113,464円/キロリットルへ、8日間で約17%上がりました(大景化学 ナフサ価格推移表)。
2026-07-31
化学工業日報が、2026年4〜6月期の国産ナフサ基準価格を1kLあたり118,900円と報じました。前の期より53,200円高く、水準も上げ幅も過去最高です。4月30日の「前の期の2倍弱」という見通しは、1.81倍に落ち着きました。

スポットは底をつけ、原油は上がる(8月)

三協化学が載せるMOPJ(アジアのナフサの値段の目安)は、8月に829.00ドルで底をつけました(第3章)。

エチレンの稼働率は、7月の69.8%から8月は73.5%に上がりました(石油化学工業協会の2026年8月実績概要、9月17日公表)。4月の67.3%と同じ指標で、4月より高いものの、前の年の同じ月の80.2%には届いていません。8月のエチレン生産量は389,400トンで、前の年の同じ月より6.9%少なくなりました。

原油は上がりました。世界銀行のPink Sheet(2026年9月号)では、8月のブレント原油の月平均は90.9ドル/バレルでした。米国エネルギー情報局(EIA)の9月9日の短期見通しも、8月の世界の原油価格を平均91ドル、7月より7ドル高いとしています。世界の石油在庫は、年の初めから約4億バレル減ったと見ています。EIAの現物価格の月平均は次のとおりです(ドル/バレル)。

月ブレント(現物)WTI(現物)
2026年7月83.76ドル80.46ドル
2026年8月91.08ドル83.90ドル

日本の輸入額にも表れました。8月の原粗油の輸入額は1兆1,905億円で、前の年の同じ月より58.7%増えました。量は1,159万キロリットルで3.6%増です(財務省貿易統計の速報、ジェトロ9月18日)。量の伸び(3.6%)より、金額の伸び(58.7%)がずっと大きくなっています。

円安で、輸入の値段が円で見ると上がる(9月)

大景化学のナフサ価格推移表(もとのデータは財務省貿易統計)では、2026年9月26日の指標は次のとおりでした。9月10日の値と並べています。

時点ドル/トン国産指標為替
2026年9月10日900ドル97,783円/kL153.13円/ドル
2026年9月26日914ドル101,884円/kL157.24円/ドル
変化(当社計算)+1.56%+4.19%円安

「国産指標」は国産ナフサ価格指標です。

ドルで見た上げ幅は1.56%なのに、円で見ると4.19%上がりました(どちらも当社計算)。7月16日〜9月10日は円高が値上がりを打ち消しましたが(第6章の②)、9月後半は153.13円から157.24円への円安が、逆に上げ幅を大きくしました。

なお、財務省の通関統計にもとづく8月の月の値は、大景化学(9月26日時点)も新電力ネット(9月4日更新)も7月分までの掲載で、8月分は確認できていません。

アジアのスポットは、Trading Economicsで9月11日に855.28ドル、9月25日に811.83ドル/トン(前の日の838.56ドルから3.19%安)でした。同社の表示では月間+9.05%です。ただし同社の値段はOTC・CFD(取引所を通さない取引や差金決済の商品)にもとづく参考値で、MOPJや化学工業日報の相場とはしくみがちがいます。目安としてご覧ください。

原油では、9月上旬にホルムズ海峡で米国とイランの攻撃の応酬がはげしくなったと報じられました。直近10日間の商船の通航は、1日平均10隻にとどまったと伝えられています(Al Jazeera、9月7日)。

9月28日には、トランプ米大統領が、海峡の再開と引きかえに制裁解除などを求めるイランの提案を受け入れられないと表明しました。ブレント先物(11月限)は107.35ドルで取引されました。9月21〜27日の海峡の通航は132回で、戦争前の1日およそ130回には遠く及びません(Al Jazeera、9月28日)。

第3章にある9月11日のブレント104.42ドル(Trading Economics)と、上のブレント先物107.35ドルは、先物をもとにした値です。世界銀行やEIAの現物の月平均とは種類がちがうため、同じ線で比べないようご注意ください。9月の原油の日々の動きは、集計元によって値の差が大きいため、ここでは載せていません。

国産ナフサ基準価格は、9月28日までに当社が見た範囲では三協化学の9月1日更新分が最新で、7〜9月期104,800円/kL・10〜12月期95,900円/kLという見込みは変わっていません。

  • 樹脂メーカー:ポリエチレン・ポリプロピレンをつくるプライムポリマーの2026年のニュース一覧では、価格改定の発表は4月21日が最後で、9月28日までに新しい改定の発表はありませんでした。ほかの樹脂メーカーの8〜9月の改定は、当社では確認できていません。
  • 国:資源エネルギー庁の中東情勢への対応ページは、4月24日(国家備蓄原油の第2弾の放出)のあと、新しい掲載は確認できませんでした(9月29日に当社が閲覧)。

9月の数字の読み方

輸入ナフサの指標は、9月後半に円安で、円で見た値段が上がりました。一方、国産ナフサ基準価格の見込み(7〜9月期104,800円、10〜12月期95,900円)は、2〜4ヶ月前の相場をもとにしたものです。10〜12月期の見込みは、MOPJが底をつけた8月から始まる期間を映しています(第3章)。上流の数字は上がり、見込みの値は下がる、という食いちがいが9月後半も続いています。このまとめでは予測は加えず、7〜9月期の確定値が出てから更新します。

まだ出ていない7〜9月期の確定値(10月)

9月29日から10月18日までに公表された一次資料から、ナフサと原油の新しい数字をまとめました(10月18日に当社が確認)。10月21日以降の動きは、冒頭の「この記事のあとの動き」にあります。

ナフサの国際価格(9月24日)

内容(出典・公表日)838.56ドル/トン。2月27日の588.28ドル/トンから+42%(内閣官房タスクフォース第5回 経済産業省資料、10月2日)

国内の川中在庫

内容(出典・公表日)取り崩しがなくなり、平時の水準(2か月分)に戻ったとしています(同上)

揮発油(主にナフサ)の輸入(8月)

内容(出典・公表日)数量1,906千kL(前年同月比−22.3%)、金額1,797.7億円(同+11.3%)(財務省 貿易統計 8月分確報、9月29日)。1kLあたり約94,300円(当社計算)

原油の輸入(8月)

内容(出典・公表日)数量11,594千kL(前年同月比+3.6%)、金額1兆1,905億円(同+58.7%)(同上)。1kLあたり約102,700円(当社計算)

ブレント原油の9月の月平均

内容(出典・公表日)世界銀行の月次統計で116.8ドル(Pink Sheet 10月号、10月2日)。米エネルギー情報局は114ドル(短期エネルギー見通し、10月6日)

税関長公示レート

内容(出典・公表日)1ドル158.03円(10月18日〜24日の適用分、税関)

揮発油(主にナフサ)の輸入(9月)

内容(出典・公表日)数量1,774千kL(前年同月比−30.7%)、金額1,821.4億円(同+8.6%)(財務省 貿易統計 9月分 輸出確報・輸入9桁速報、10月29日)。1kLあたり約102,700円(当社計算)

エチレン設備の稼働率(9月)

内容(出典・公表日)稼働プラントの実質稼働率の試算で70.2%(前月は73.5%、前年同月は77.5%)。エチレンの生産量は371,400トンで、前年同月比13.7%減(石油化学工業協会 2026年9月実績概要、10月29日公表)

財務省の統計の品名は「揮発油」で、ナフサだけの数字ではありません。石油化学工業協会の9月の実績は、10月18日時点では公表前です。

国産ナフサの7〜9月期の確定値は、10月23日の時点ではまだ公表されていません。

いまの位置:3つの値段はどれも山を越え、いちばん上流だけが9月に上向きました

国産ナフサ基準価格は4〜6月期の118,900円/kLが過去最高です。7〜9月期104,800円、10〜12月期95,900円と、2期続けて下がる見込みです。山からは23,000円、率にして19.34%の下落です(当社計算)。ただし、どちらもまだ確定値ではありません。

当社は2026年のナフサの値段について、66本の記事を公開してきました。読み返すと、同じ「ナフサ価格」という言葉で、ちがう種類の数字を指している所があります。このまとめの出発点はここです。

山を越えた3つの値段(2026年9月12日時点)

3つの値段は、どれも山を越えました。山の時期はそれぞれちがい、下流の値段ほどおそく山が来ています。9月12日より後の数字は、第2章の9月・10月にあります。

単位は、①がドル/トン、②が千円/kL(石化用)、③が円/kL です。年はいずれも2026年で、②と③の変化率は当社の計算です。

系列ピーク直近変化
① スポット3月末
1,200超
855.28
9月11日
9月に
反転
② 輸入CIF5月
123.91
104.33
7月
−15.80%
③ 国産基準4〜6月期
118,900
95,900
10〜12月期
−19.34%
見込み

①の直近はTrading Economics(2026年9月12日に当社が参照)、②は新電力ネット(原データは財務省貿易統計、2026年9月4日更新)、③は三協化学(2026年9月1日更新)によります。①のピーク1,200ドル超は化学工業日報(2026年4月30日)です。②の月次と①の日次は単位も集計方法も違うため、水準をそのまま並べて比べることはできません。①は8月に底を打ったあと9月に反転しており、月間では15%以上の上昇にあたります。

③の新しい2期は、まだ「確定値」ではありません

国産ナフサ基準価格は、3ヶ月分の輸入の実績がそろってから確定します。4〜6月期が確定したのは2026年7月31日で、7〜9月期は10月下旬に出る見込みです。104,800円/kLと95,900円/kLは、どちらも見込みとして扱います。三協化学の値が確定か想定かを当社が見分けられなかった理由は、第6章の③の注記に書きました。

どれも本当の、3つの数字

2026年のナフサについて、次の記述はどれも一次資料にもとづいています。

2026年3月末に1トン1,200ドル超に達した

系列アジアスポット市況
使いどころ相場の方向を最も早くつかめます。日次で動きます
出典化学工業日報/2026年4月30日

2026年5月16日に1トン1,043ドルのピークをつけた

系列輸入CIF(通関統計)
使いどころ実際に日本へ入った価格です。スポットの約2ヶ月後に動きます
出典大景化学 ナフサ価格推移表

2026年第1四半期は65,700円/kLでほぼ横ばいだった

系列国産ナフサ基準価格
使いどころ樹脂の値決めはこれに連動します。社内資料に使うならこの系列です
出典化学工業日報/2026年4月30日

2026年第2四半期は118,900円/kLで確定した(前四半期比+53,200円)

系列国産ナフサ基準価格
使いどころ2026年後半の値決めの基準です。9月28日時点で確定している最新の値です
出典化学工業日報/2026年7月31日

食いちがって見えますが、それぞれ種類がちがう数字です。アジアスポットは、市場で毎日取引される値段です。輸入CIF(運賃と保険料を含む、日本に着いた時点の値段)は、実際に日本に着いて税関を通った値段です。国産ナフサ基準価格は、樹脂メーカーが値段を決めるときに使う、3ヶ月ごとの指標です。

重ねると見える、3つの値段のずれ

① アジアスポット市況

ピーク時期2026年3月末
ピーク水準1,200ドル超
9月12日時点8月に底を打ち、9月11日は855.28ドル。反転している

② 輸入ナフサ価格(通関)

ピーク時期2026年5月16日
ピーク水準1,043ドル
9月12日時点9月10日は900ドル・97,783円/kL。ドル建ては上昇、円建てはほぼ横ばい

③ 国産ナフサ基準価格

ピーク時期2026年4〜6月期
ピーク水準118,900円/kL(前期比1.81倍)
9月12日時点7〜9月期104,800円、10〜12月期95,900円。下降中・いずれも見込み

「9月12日時点」は2026年9月12日時点の状況です。

この表から読み取れること

同じ値上がりが、種類ごとに約2ヶ月ずつおくれて下流へ伝わっています。化学工業日報は3月末の相場を「5月前半到着分」と書いており、この2ヶ月が、運んで税関を通るまでの時間にあたります。スポットが3月末、輸入が5月、値決めに使う基準価格が4〜6月期という順番です。上流が下がったのを見て「もう値上げは終わる」と考えると、実務では読みちがえます。

山を越えたあと、上流ではもう上向きが始まっています

ここまでは上り坂の記録です。3つの値段はどれも山を越え、いちばん上流の①だけが、9月12日の時点ですでに上向いていました。三協化学が載せるMOPJ(アジアのナフサの値段の目安)の動きは次のとおりです。

時点MOPJ(ドル/トン)前月比
2026年5月1,139.84―
2026年6月1,107.69−2.82%
2026年7月924.83−16.51%
2026年8月829.00−10.36%(底)
2026年9月840.00+1.33%
2026年10月849.00+1.07%
2026年11〜12月855.00+0.71%

出典は三協化学(2026年9月1日更新)で、前月比は当社の計算です。9月以降の値は同社が置いている想定とみられますが、確定・速報・想定を区別する色分けが当社の取得ツールでは読めなかったため、断定できません。なお実勢として、Trading Economicsのナフサは2026年9月11日に855.28ドル/トンをつけています。MOPJとは価格評価の仕組みが違うため直接は比べられませんが、水準としては同社が11〜12月に置く値にすでに並んでいました。

下り坂では、ずれの意味が逆になります

10〜12月期の国産基準価格95,900円/kLという見込みは、2026年8月後半から11月前半の相場を映すものです。その入口の8月は、MOPJが829ドルで底をつけた月でした。つまりこの見込みは、いちばん安かった時期をもとに作られています。9月に入ってからの上向きは、まだこの数字に入っていません。

上り坂では「上流が下がっても製品の値段は下がらない」という形で、ずれが効きました。下り坂では逆に、下がり続ける見込みの値と、すでに上がり始めた相場が同時にあるという、読みにくい状態になります。社内資料に③を使うときは、その数字が2〜3ヶ月前の相場を映していることを書き添えておく必要があります。

原油も同じ向きでした。2026年9月11日の終値は、ブレントが104.42ドル/バレル、WTIが99.99ドルでした。どちらも1週間で9%前後上がっており、ナフサだけが戻していたわけではありません。8月以降の原油の動きは、第2章の8月・9月にまとめました。

当社が2026年9月11日に記録したブレントは107.248ドルでした。ところが翌日に同じページを開くと、9月11日の値は104.42ドルと表示されており、同じページ内に104.610ドルという別の表示もありました。このまとめは、同社が9月11日の値として本文に書いている104.42ドルを採っています。ただしTrading Economicsは、載せている原油価格について「公式のベンチマークを示すものではない」と明記しており、CFD・OTCベースの値段です。公式の決済価格が必要な場合は、EIA・CME/NYMEX・ICEの公表値をご覧ください。

情勢そのものの動きはイラン情勢まとめ2026、なぜガソリンや食品の値段に響くのかを時系列で整理|米国・湾岸4カ国でまとめています。このまとめは、価格の系列と調達の仕組みに絞っています。

これから見ておきたい5つの数字:予測は加えず、確かめ方を示します

「ナフサが下がったから値上げは終わる」と考えてよいかは、どの値段を見ているかで変わります。

値段の向きを決める材料を整理しました。見方は2026年7月26日時点でまとめたもので、9月までに分かったことは第2章に書いています。予測は加えず、確かめられる事実と、これから判断の材料になる数字を示します。

分かれ目と見ていたこと(7月時点)

当社の総論の記事は、8月中旬の60日期限を分かれ目と見ていました。

イスラマバード覚書は、2026年6月14日に合意され、6月18日に正式に発効しました。三菱総合研究所は6月19日、これは和平ではなく、対立をいったん止めたものだと評価しました。7月12日のホルムズ海峡の再閉鎖は、この評価と合っています。9月も、ホルムズ海峡の通航は戦争前の水準に戻っていません(第2章)。

経済産業省は2026年4月10日、ナフサからできる製品について、輸入と国内の精製で2ヶ月分、川中の製品の在庫で2ヶ月分、合わせて4ヶ月分を確保できるとしました。報道される備蓄日数は燃料油の分です。ナフサなどへの供給分は、その計算に入っていません(ナフサは石油備蓄法の「石油」に含まれるのに備蓄日数の算定には入らない、2026年に見えた制度と実態のずれ)。

見ておきたい5つの数字

アジアスポット市況

確認先化学工業日報、日本経済新聞
頻度日次
着眼点最も速く動きます。方向をつかむのに使います

輸入ナフサ価格・国産ナフサ価格指標

確認先大景化学 ナフサ価格推移表
頻度随時更新
着眼点約2ヶ月前のスポットが反映されます

国産ナフサ基準価格

確認先三協化学、化学工業日報
頻度四半期
着眼点樹脂メーカーの値決めに直結します

エチレン設備稼働率

確認先石油化学工業協会
頻度月次
着眼点2026年4月は67.3%、8月は73.5%(第2章)。供給能力の制約を示します

ホルムズ海峡の通航状況

確認先報道、船舶追跡情報
頻度随時
着眼点7月12日の通航確認は6隻と過去5週間で最少。9月21〜27日は132回(報道、第2章)

種類によって、見通しの意味が変わります

「ナフサが下がったから値上げは終わる」と考えてよいかは、どの値段を見ているかで変わります。仕入れの実務では③、相場の向きをつかむには①と、目的によって使い分けてください。

立場別:どの値段を見ればよいかは、立場によって変わります

同じナフサの値段でも、立場によって見るべき種類と読み方が変わります。

立場ごとに、まず確かめたい種類と読み方を整理しました。表の「系列」は値段の種類のことです。

樹脂・化学品の需要家
(成形加工・包材)

優先して見る系列系列③ 国産ナフサ基準価格
読み方の要点仕入価格の改定は基準価格に連動します。スポットの下落から実際の値下げまで数ヶ月かかるため、四半期ごとの確定値を確認します

物流資材の調達担当
(パレット・フィルム・バンド)

優先して見る系列系列②+系列③
読み方の要点通関ベースの月次推移で方向を、基準価格で改定時期を読みます。国内の再生材のルートは別の系列で動きます

建設・工事の見積担当

優先して見る系列系列③+改定発表
読み方の要点基準価格の四半期ごとの変動が、2〜3ヶ月遅れでメーカーの改定になります。見積の有効期間の決め方に直結します

自動車・部品メーカー

優先して見る系列系列①+在庫水準
読み方の要点スポットの変動が調達計画に効きます。在庫を数ヶ月分持つ運用が広がっています

石油化学メーカー

優先して見る系列系列①+エチレン稼働率
読み方の要点市況と実際の購入価格の差を確認します。フォーミュラ・輸送費・保険料・為替・得率の上乗せがあります

暮らしの視点

優先して見る系列系列③
読み方の要点店頭価格に届くのは最も遅く、上流が下がっても身近な商品はすぐには安くなりません

どの立場でも、相場の指標と実際に買う値段は一致しません。4つの上乗せがあるためです。フォーミュラ価格へのプレミアム、海上輸送費と戦争保険料、円安、軽質ナフサの得率(とれる製品の割合)のずれです。

ナフサ価格の全記録:3つの値段を、種類ごとの表で残します

2026年のナフサの値段を、種類ごとに表で残しています。細かい数字は、開くと見られる形にしました。

ほかのまとめ記事から参照される、基準のデータです。いまの位置は第3章、月ごとの動きは第2章にあります。

① アジアスポット市況ドル/トン・毎日動く

市場で日々取引される価格で、単位はドル/トンです。報道で「ナフサ価格」として最も多く登場する系列にあたります。

2025年11月後半〜2026年2月前半

水準565〜590ドル
出典化学工業日報/2026年4月30日

2026年2月末

水準600ドル未満
出典化学工業日報/2026年4月30日

2026年3月6日

水準776ドル
出典米国化学会C&EN/2026年3月17日(石油化学アナリスト川上正則氏)

2026年3月中旬

水準1,100ドル前後(2月末の600ドル台後半から約2週間余りで到達)
出典化学工業日報/2026年3月18日

2026年3月末

水準1,200ドル超(5月前半到着分)
出典化学工業日報/2026年4月30日

2026年6月前半到着分

水準1,000ドル前後
出典化学工業日報/2026年4月30日

2026年9月10日

水準871.17ドル
出典Trading Economics

2026年9月11日

水準855.28ドル(前日比 −1.82%/月間 +15%以上)
出典Trading Economics

2026年9月の2行はTrading Economicsによるもので、化学工業日報が報じる市況とは価格評価の仕組みが違います。水準の目安として並べており、上の各行と直接つなげて増減を読むことはできません。同社のページは上部の表示と本文の記述で月間・年間の変化率が食い違っており(月間15.08%と16.91%、年間51.51%と52.42%)、このまとめでは「15%以上」と幅で書きました。なお同社は、掲載する原油価格について「公式のベンチマークを示すものではない」と明記しており、CFD・OTCベースの価格です。公式の決済価格が必要な場合は、EIA・CME/NYMEX・ICEの公表値をご覧ください。
このまとめで確認できる範囲では、2026年3月末の1,200ドル超がスポット系列の最高値で、「5月前半到着分」の価格として報じられています。

② 輸入ナフサ価格(通関ベース)ドル/トン・円/kL

実際に日本へ着いて通関した価格です。大景化学のナフサ価格推移表は財務省貿易統計を出典としており、運賃・保険料・為替を含みます。国産ナフサ価格指標は円/キロリットルで示されます。

時点ドル/トン国産指標為替
2026年5月15日1,031ドル115,164円/kL157.93円/ドル
2026年5月16日1,043ドル――
2026年5月20日1,005ドル113,092円/kL―
2026年6月3日767ドル(5月16日比 約26%減)――
2026年6月25日627ドル(衝突前632ドルを下回る)――
2026年7月9日702ドル81,146円/kL―
2026年7月15日808ドル93,169円/kL162.35円/ドル
2026年7月16日842ドル(6月25日比 +34%)96,965円/kL162.28円/ドル
2026年9月10日900ドル(7月16日比 +6.89%)97,783円/kL(同 +0.84%)153.13円/ドル

「国産指標」は国産ナフサ価格指標です。2026年9月10日の行に、この系列の性質がはっきり表れています。ドル建てでは7月16日から6.89%上がったのに、円建ての指標は0.84%しか上がっていません。差の6.04ポイントが、162.28円から153.13円への円高で打ち消された分にあたります(いずれも当社の計算)。ドル建てで見るか円建てで見るかで、上昇幅の印象がまったく変わります。9月26日の値は第2章の9月に載せました。
当社の過去記事では、この系列の数値を「シンガポールナフサスポット価格」と書いた箇所があります。出典元は財務省貿易統計にもとづく通関ベースの推移表で、系列①のスポット市況とは違います。このまとめの整理を正とし、該当記事は順次直します。

③ 国産ナフサ基準価格円/kL・3ヶ月ごと

樹脂メーカーの値決めに使われる四半期ごとの指標です。系列②の3ヶ月平均金額に2,000円/kLを足し、10の位を四捨五入して計算されます。

2025年10〜12月
基準価格65,600円/kL(第1四半期の前四半期)
反映される市況の期間―
2026年1〜3月
基準価格65,700円/kL(前四半期比 +100円)
反映される市況の期間2025年11月後半〜2026年2月前半
2026年4〜6月
基準価格118,900円/kL(前四半期比 +53,200円/1.81倍)
反映される市況の期間2026年2月後半〜5月前半
2026年7〜9月
基準価格104,800円/kL(前四半期比 −14,100円/−11.86%)※確定値ではない
反映される市況の期間2026年5月後半〜8月前半
2026年10〜12月
基準価格95,900円/kL(前四半期比 −8,900円/−8.49%)※確定値ではない
反映される市況の期間2026年8月後半〜11月前半

2026年7〜9月期の104,800円/kLと10〜12月期の95,900円/kLは、三協化学が2026年9月1日更新分として掲載している値です。どちらも確定値ではありません。4〜6月期が確定したのは2026年7月31日で、7〜9月期の確定は10月下旬の公表が見込まれます。大景化学の四半期平均は7〜9月期が空欄で、7月単月の104,331円/kLが速報として載っているだけです。前四半期比と変化率は当社の計算です。「反映される市況の期間」は、この系列が通関実績の3ヶ月平均に2,000円/kLを足して計算されることから、当社が機械的に2ヶ月ずらして書いたもので、報道が明示した期間ではありません。
2025年10〜12月期の65,600円/kLは、2026年第1四半期が前四半期比100円高という報道からの逆算値で、化学工業日報が直接示した数値ではありません。三協化学は黒字と青字で確定・速報と想定を区別していますが、当社の取得ツールでは色の情報が失われるため、104,800円/kLと95,900円/kLがどちらにあたるかを判別できませんでした。

分野別の記事:66本を9つの分野に分けてご案内します

66本の記事を9つの分野に分け、要点を2〜3行にまとめました。

くわしい内容は、各分野の最後にあるリンク先で読めます。言葉で探したいときは、ページ上の「このまとめの記事を探す」を使うと早く見つかります。

分野A / ナフサ相場

ナフサの市況と供給(総論・目詰まり・調達の実情)

2026年2月28日のホルムズ海峡の封鎖から、ナフサの値段と供給がどう動いたかを追う、中心の分野です。経済産業省は4月14日、日本全体では量は足りており、流通のつまりを解消するのが課題だと表明しました。

当社はこのつまりを、5つの層に分けて分析しています。物・お金・流通の3つの層に、需要が減ったことと覚書の合意という2つの変化を加えたものです。日本のナフサの需要は1ヶ月に約283万kLです。国産ナフサの原料になる原油の9割超が中東から来るため、実際の中東への頼り具合は8割にのぼります。

分野B / 原油の調達

原油調達の組み替え(中東以外からの代替・多角化の恒久化・地政学)

日本の原油の輸入は、中東に95%を頼っていました。そこから約4ヶ月で、ほぼすべてを中東以外から買うようになり、政府はこの多角化を続ける方針です。ただし、ほかから買っても安くはなりません。運賃・OSPプレミアム・品質のちがい・歩留まりの差という4つの壁が、同時に効くためです。

LPGは、中東への頼り具合を2011年度の86.6%から2023年度に4.7%まで下げていました。それでも2026年4月の輸入の単価は1トン115,660円と、過去最高の水準になりました。代わりの調達先のオーストラリアの事情も扱っています。同じころのナフサは1トン933ドルで、前の年より70%高でした(2026年4月24日時点)。

分野C / 産油国とOPECプラス

産油国とOPEC+(増産の力学・中東のインフラ)

OPEC+の7カ国は2026年7月5日の会合で、8月の生産枠を日量18万8千バレル増やすことで合意しました。産油国の収入は「量×値段」で決まります。そのため、値段が下がるほど、量を増やそうとする力が働きます。

中東の製油所と海水淡水化プラントを元にもどすには、5年から7年かかると当社は見ています。供給の制約は、すぐにはなくなりません。

分野D / 業界への影響

産業への広がりとアジアの石油化学の再編

トヨタ系の一次部品メーカー(Tier1)各社の2026年4月の決算では、「ナフサ6月懸念」が共通の話題になりました。在庫を数ヶ月分持つ考え方が広がりつつあります。

2026年5月に福岡で開かれたアジア石油化学工業会議では、国ごとの対応のちがいが確かめられました。日本が選んだのは、作る能力を減らすこと、ナフサを使う方式を続けること、バイオエタノールの3つの組み合わせです。国内では三井化学・三菱ケミカル・旭化成の3社が、西日本エチレンJVをつくることで基本合意しています。

分野E / ロシアとウクライナ

ロシア・ウクライナ要因(もう1つの供給制約)

中東とは別の、もう1つの供給の制約です。ウクライナ保安庁のドローンは、ロシアの製油所を年に194回攻撃し、精製の能力の42.7%が失われました(損害額135億ドル)。ロシアの原油の輸出量が過去最高なのに財政赤字が広がる理由は、やさしく解説版で扱っています。

分野G / 国別の樹脂

国別に見る樹脂と原料(アジア・中東・米州)

同じホルムズ海峡の封鎖でも、国によって効き方がまったくちがいます。中国・韓国・台湾・シンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・ベトナム・サウジ、そして北米と中南米を取り上げています。それぞれの国の統計や報道から、樹脂と原料の生産・在庫・値段を国ごとに追った記事です。

分野H / 日本の樹脂と化学メーカー

日本の樹脂原料と化学メーカー(価格・稼働率・値上げ)

国産ナフサの基準価格は、2026年4〜6月期に1kLあたり118,900円と過去最高になりました。エチレン設備の稼働率は、8月に73.5%まで戻りました。国内の化学メーカーの値上げや、ナフサ・サーチャージ(上乗せ料金)、PP・LLDPEの原料の事情を扱う記事です。

分野I / キシレン・トルエン

キシレン・トルエン(溶剤・インキ)

キシレンとトルエンはナフサから作る溶剤で、粘着テープ・シンナー・印刷インキの原料です。トルエンの生産42%減・出荷67%減の影響や、ポテトチップスの袋が白黒になった理由など、溶剤が足りないことがどこに響いたかを扱う記事です。

用語集

このまとめで使う主な用語を14項目にまとめました。

ナフサ

原油を蒸留してとれる、軽い留分の1つです。石油化学のいちばんもとになる原料です。分解炉でエチレン・プロピレン・ブタジエン・BTXに分けられ、そこから樹脂・接着剤・溶剤・フィルムなどが作られます。日本のナフサは大部分が輸入品です。

アジアスポット市況

市場で毎日取引されるナフサの値段です。単位はドル/トン。ニュースで「ナフサ価格」としていちばんよく出てくる種類です。2026年は3月末に1トン1,200ドル超になりました。

MOPJ

Mean of Platts Japan の略です。日本向けナフサのスポットの値段の目安の1つで、アジアの代表的な目安として使われます。

CIF価格

Cost, Insurance and Freight の略です。商品の代金に運賃と保険料を足した値段で、輸入品が日本に着いた時点の値段にあたります。財務省の貿易統計にもとづく通関の数字が、これにあたります。

国産ナフサ基準価格

樹脂メーカーが値段を決めるときに使う、3ヶ月ごとの指標です。単位は円/キロリットル。輸入ナフサの値段の3ヶ月平均金額に2,000円/kLを足し、10の位を四捨五入して計算します。2026年第1四半期(1〜3月)は65,700円/kL、第2四半期(4〜6月)は118,900円/kLでした。

留分

蒸留で、沸点(ふっとうする温度)の範囲ごとに分けた成分です。軽い順に石油ガス・ナフサ・灯油・軽油ととり出され、最後に残る重い成分がアスファルトの原料になります。

連産品

1つの工程から、いくつもの製品が同時にできるしくみです。ナフサの分解炉を動かすと、エチレン・プロピレン・ブタジエン・BTXが同時にできるため、ほしい製品だけを増やすことはできません。

エチレン設備稼働率

ナフサの分解炉がどれだけ動いているかを示す数字で、石油化学工業協会が毎月公表しています。2026年4月は67.3%で、損益分岐(もうけが出るかどうかの境目)とされる90%を大きく下回りました。8月は73.5%でした。

OSP

Official Selling Price の略です。産油国が公表する原油の公式の販売価格で、基準の原油との差を、上乗せ(プレミアム)か割引(ディスカウント)として決めます。中東産の原油では、この上乗せが上がりました。

OPEC+

石油輸出国機構(OPEC)の加盟国に、ロシアなど加盟していない産油国を加えた集まりです。生産枠の調整を話し合います。UAEは2026年5月1日にOPECを抜けました。

財政均衡油価

産油国の国の収入と支出が、ちょうど釣り合う原油の値段です。これを下回ると赤字になるため、値段が下がったときは、量を増やして収入を確保しようとする力が働きます。

フォースマジュール

不可抗力(さけられない事情)で、契約を守れないことを知らせる宣言です。原料が手に入らないなどで、約束した量を出せないときに出されます。2026年はアジア各国の石油化学メーカーで相次ぎました。

需要破壊

値段が上がりすぎて、買う量そのものが減ることです。買い控えや、ほかの物への切り替えが進みます。2026年5月から6月にかけて相場が急に下がった理由の1つとされています。

現物(スポット)価格と先物価格

現物価格はその時点で受け渡す原油やナフサの値段、先物価格は先の受け渡し月を決めて取引する値段です。同じブレント原油でも、米国エネルギー情報局(EIA)の現物価格と先物をもとにした価格は、値がちがうことがあります。1本の線にして比べないようにします。

よくあるご質問

「ナフサが2.5倍」と「ナフサは衝突前を下回った」はどちらが正しいのですか

どちらも正しく、見ている値段の種類がちがいます。「2.5倍」はアジアスポット市況の話で、2026年3月末に1トン1,200ドル超をつけたときのことです。「衝突前を下回った」は輸入ナフサ価格(通関ベース)の話で、2026年6月25日に627ドルとなり、衝突前の632ドルを一時下回ったときのことです。同じ「ナフサ価格」という言葉でも、指している数字がちがいます。第6章に3つの値段の全記録を、第3章に重ねた表を載せています。

なぜスポットが下がったのに製品の値上げが続くのですか

樹脂メーカーが、スポットではなく、3ヶ月ごとの国産ナフサ基準価格をもとに値段を決めているためです。基準価格は、輸入ナフサの値段の3ヶ月平均に2,000円/kLを足して計算します。その輸入の値段も、スポットより約2ヶ月おくれて動きます。たとえば2026年第1四半期(1〜3月)の基準価格は、2025年11月後半から2026年2月前半の相場で決まりました。上流の動きが値決めに届くまで、4ヶ月ぐらいかかります。2026年6月25日に輸入ナフサ価格が衝突前を下回ったあとも、7月1日発効の改定が予定どおり行われたのは、この時間差のためです。

中東以外から原油を買えば価格は下がりますか

当社の分析では下がりません。4つのことが同時に効くためです。1つ目は、遠くから運ぶための運賃の上昇です。2つ目は、中東の原油のOSPプレミアム(上乗せ分)そのものの上昇です。3つ目は、軽質スイート原油と国内の製油所の設備が合わないことです。4つ目は、連産品の留分の割合と、国内で必要な割合のずれです。日本は中東依存95%から約4ヶ月で代替調達率がほぼ10割に達しました。ただしこれは安くするためではなく、量を確保するための切り替えでした。政府は多角化を続ける方針を示しています。

自社の調達では、どの系列を見ればよいですか

目的によって使い分けます。仕入れの値段がいつ変わるかを読むなら国産ナフサ基準価格(3ヶ月ごと)、相場の向きをつかむならアジアスポット市況(毎日)、その間の動きを確かめるなら輸入ナフサ価格(大景化学の推移表)が向いています。ただし、どの値段も、実際に買う値段とは差があります。フォーミュラ価格へのプレミアム、海上輸送費と戦争保険料、為替、軽質ナフサの得率ミスマッチという上乗せがあるためです。第5章に立場別の整理を載せています。

2026年9月時点で、ナフサ価格はどうなっていますか

種類によって動きがちがいます。国産ナフサ基準価格は、7〜9月期104,800円/kL・10〜12月期95,900円/kLと下がる見込みのままで、どちらも確定値ではありません。一方、大景化学の国産ナフサ価格指標は9月26日に101,884円/kLで、9月10日の97,783円/kLから、円安もあって上がりました。アジアのスポットは9月25日に811.83ドル/トン(Trading Economics)でした。原油は、8月のブレントの月平均が90.9ドル(世界銀行)で、7月より上がりました。くわしくは第2章の9月・10月をご覧ください。

なぜプラスチックパレット株式会社がこの記事を書いているのですか

当社は千葉県我孫子市に本社を置き、プラスチックパレット・再生樹脂材料・PPバンド・ストレッチフィルムなどの物流資材を全国のお客様にお届けする専門商社です。当社が扱う資材は、どれもナフサから作られる石油化学製品です。値段と供給の変化を、毎日の仕入れで直接受けています。どの種類の数字を見て仕入れと販売を決めるかは、当社自身の課題でもあります。そこで確かめている一次情報を、同じしくみの影響を受けるみなさまにも役立てていただけるよう、記事にして公開しています。

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このまとめは、上流の値段と調達のしくみを扱っています。

それぞれの産業への広がりは、カテゴリごとのまとめにあります。次の1本目が、すべてのカテゴリの親になるまとめです。

このまとめの数値は、表と本文に書いた時点の値です。第3章の3つの値段の表と「山を越えたあと、上流ではもう上向きが始まっています」は、2026年9月12日時点です。第2章の8月〜10月は、2026年10月18日までに当社が確認した資料です。冒頭の「この記事のあとの動き」は10月23日時点です。そのほかの説明は主に2026年7月26日時点のもので、時点を書いたうえで記録として残しています。

ホルムズ海峡の情勢と原油・ナフサの相場は、数日で動きます。次回の更新は2026年11月上旬の予定です。第3四半期(7〜9月期)の確定値は、2026年10月下旬に公表される見込みです。

第7章の各分野の紹介文はあらましです。くわしい内容は、各記事の本文をご覧ください。

出典・エビデンス一覧42件(公的機関19・報道や企業23)

出典は、価格の一次データ、2026年9月の更新で参照したもの、報道・業界媒体、官庁・業界団体などに分けて載せています。個別の詳しい出典は各記事に載せています。

価格の一次データ

2026年9月の更新で参照したもの

  • ナフサ・ブレント原油・WTI原油・米ドル/円の各相場(2026年9月11日の終値)/Trading Economics/2026年9月12日に当社が直接参照した。同ページは上部の表示と本文の記述で値や変化率が食い違う箇所があり、本まとめでは日付と整合する本文側の終値を採用している
  • 国産ナフサ価格・MOPJ・輸入ナフサ価格の推移/三協化学株式会社/2026年9月1日更新分を2026年9月12日に当社が直接参照した。確定・速報・想定を示す色分けは当社の取得ツールでは読めなかった
  • ナフサ価格推移表(2026年9月10日現在の指標を含む)/大景化学/2026年9月12日に当社が直接参照した。7〜9月期の四半期平均は空欄であることを確認した
  • ナフサの価格推移(通関統計・石化用/その他)/新電力ネット(原データは財務省貿易統計)/2026年9月4日更新分を2026年9月12日に当社が直接参照した

2026年9月29日の更新(第3章)で参照したもの

報道・業界媒体

  • 「国産ナフサ価格、過去最高へ 1~3月は横ばい」(2026年第1四半期65,700円/kL、前四半期比100円高。2月末に600ドル未満だった市況が3月末=5月前半到着分に1,200ドル超、6月前半到着分は1,000ドル前後)/化学工業日報/2026年4月30日
  • 「4~6月の国産ナフサ11・8万円 上げ幅含め最高」(2026年第2四半期118,900円/kL、前四半期比53,200円高。水準・上げ幅とも過去最高)/化学工業日報/2026年7月31日/2026年8月26日に記事本文を直接参照した
  • ナフサスポット価格の推移に関する報道(2月末600ドル台後半から約2週間余りで1,100ドル前後)/化学工業日報/2026年3月18日
  • ナフサ価格に関する報道(3月6日776ドルから1週間後に1,000ドル突破。石油化学アナリスト川上正則氏)/米国化学会 C&EN/2026年3月17日
  • 「デンソーや豊田合成『ナフサ6月から懸念』 トヨタ系部品に中東リスク」/日本経済新聞/2026年4月29日
  • 汎用合成樹脂の取引価格および値上げ幅に関する報道/日本経済新聞/2026年3月17日・3月31日・4月15日
  • 東ソーのポリエチレン樹脂値上げ(5月21日納入分から45円/kg以上)/日本経済新聞/2026年5月14日
  • ガソリン市況とナフサ市況の逆転および食品値上げの包装資材要因に関する報道/日本経済新聞/2026年5月30日
  • 「日本の原油タンカー、全てホルムズ海峡通過」/日本経済新聞/2026年7月13日
  • OPEC+7カ国の8月生産枠に関する報道(日量18万8千バレル増、7月5日会合)/ジェトロ

官庁・業界団体

  • エチレン設備稼働率(2026年4月67.3%)/石油化学工業協会/2026年5月21日公表
  • 「中東情勢を踏まえた燃料油・石油製品の安定供給確保及び重要物資の安定的な供給確保のための対応方針(案)」/経済産業省/2026年4月10日
  • ナフサ供給に関する表明(日本全体として量は確保、流通の目詰まり解消が課題)/経済産業省/2026年4月14日
  • ナフサ供給に関する見解(川上の原料は維持、個別製品では偏り)/日本化学工業協会/2026年5月15日
  • イスラマバード覚書に関する評価(和平ではなく対立の一時停止)/三菱総合研究所/2026年6月19日
  • 中東情勢に伴う一部製品の新規受付再開・出荷納期に関する案内/三協化学株式会社/2026年6月2日

当社の関連まとめ

  • 「イラン情勢まとめ2026、なぜガソリンや食品の値段に響くのかを時系列で整理|米国・湾岸4カ国」(親ハブ)
  • 「建設資材の値上げ一覧2026、工事の費用がなぜ上がるのかを品目別に|養生テープ・断熱材・TOTO・LIXIL」
  • 「農業・肥料まとめ2026、コメや野菜の値段がなぜ上がるのかを4つの経路で|JA全農・尿素」
  • 本記事が統括するナフサ・原油関連66本(第7章に一覧を掲載)

文:プラスチックパレット株式会社 編集部

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