【2026年5月最新】国内大手化学メーカーの値上げ動静──
「キロ90円」から「累計165円/kg」へ。
国産ナフサ125千円超想定が引き起こす「段階的連鎖値上げ」の全貌
2026年3月「キロ90円」から5月後半「累計90〜165円/kg」へ、ウクライナ危機時の2-3倍水準。日本ポリエチレン・日本ポリプロ5/18発表(5/25納入分・国産ナフサ125千円/KL超想定)、プライムポリマー4/21追加+30円/kgで累計+120円/kg。エチレン稼働率3月68.6%過去最低、12基中6基減産。PCR・PIR・容リ材活用が戦略的解。
3/17発表時の起点水準
ウクライナ危機時の2-3倍水準
5/18プレスリリース
フル稼働3基のみ
本体樹脂のみ、再生材で抑制可能
第1章:国内主要メーカーによる「2026年3月〜5月」価格改定の完全マッピング
2026年3月17日から5月18日にかけて、国内石油化学大手各社が発表した改定内容は、過去のオイルショック時を凌ぐ異例の規模となりました。本稿執筆時点(3月24日)の「キロ90円値上げ」は、わずか2ヶ月後の5月後半に累計90〜165円/kg規模へと拡大。「2026年5月ナフサ・サーチャージ|『後決め』慣習が崩壊する日」で詳述したとおり、これは1982年通産省指針から44年続いた「四半期後決め」慣習の終焉を意味する歴史的転換点です。
1-1. バージン樹脂(PP・PE)の値上げ詳細──3月発表分
ポリオレフィン各社が示した具体的な改定幅は以下の通りです。3月発表段階で既に従来のウクライナ危機時水準(+60円/kg)を大きく上回る歴史的水準でした。
| メーカー名 | 対象製品 | 3月発表時の改定幅 | 実施時期 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| プライムポリマー 3月 | HDPE / LLDPE / PP全品目 | +90円以上/kg | 2026年4月1日納入分〜 | 三井化学65%・出光興産35%出資。日経2026/3/17 |
| 日本ポリエチレン 3月 | PE全製品(HDPE、LDPE、LLDPE等) | +90円以上/kg | 2026年4月1日納入分〜 | 三菱ケミカル系。日経2026/3/19 |
| 日本ポリプロ 3月 | PP全製品 | +80円以上/kg | 2026年4月1日納入分〜 | 三菱ケミカル系。日経2026/3/19 |
| 東ソー 3月 | ポリエチレン樹脂全製品 | +90円以上/kg | 2026年4月1日納入分〜 | 四日市プラント定修中 |
| 旭化成 3月 | PE全製品(サンテックLD/HD/EVA、クレオレックス、サンファイン) | +120円以上/kg | 2026年4月1日出荷分〜 | 市況ベースで3割超の引き上げ。日経2026/3/31 |
| 信越化学工業 3月 | 塩ビ樹脂 | 先行発表 | 2026年3月16日〜 | 業界の値上げ先陣 |
| カネカ 3月 | 塩ビ・発泡ポリオレフィン等8製品群 | 塩ビ+35円以上/kg、発泡ポリオレフィン+150円/kg | 2026年4月1日〜 | 日経2026/3/19 |
1-2. エラストマー・関連樹脂の値上げ──3月発表分
パレットの滑り止めや部品に使用されるエラストマー、繊維原料も、ベース樹脂や副原料の高騰により異例の価格改定が進行しました。
| メーカー名 | 対象製品 | 改定幅 | 実施時期 |
|---|---|---|---|
| ダウ・ケミカル日本 | ポリオレフィンエラストマー(ENGAGE等) | +25円以上/kg | 2026年4月1日納入分〜 |
| 三菱ケミカル | 酢酸ビニルモノマー(VAM:エラストマー原料) | +40円以上/kg | 2026年3月18日出荷分〜 |
| 東レ(合成繊維) 4月 | ナイロン6長繊維/ナイロン66/ポリエステル/アクリル短繊維 | +20〜110円以上/kg | 2026年4月出荷分〜 |
| 東レ(サーチャージ制) 3/27導入 | 樹脂・炭素繊維・衣料向け繊維 | 最短1カ月で価格に反映 | 2026年3月27日〜稼働中 |
1-3. 【5月最新】「キロ90円」を超える追加値上げの連鎖発動
3月発表分は「1回の値上げで決着」という従来の暗黙ルールに従ったものでした。しかし4月から5月にかけて、メーカーは次々と「追加値上げ」を発動。これは日本の樹脂取引慣習の根本的な変質を意味します。
| メーカー名 | 対象製品 | 追加改定幅 | 実施時期 | 累計値上げ幅 |
|---|---|---|---|---|
| プライムポリマー 追加 | HDPE / LLDPE / PP全製品 | +30円以上/kg追加 | 2026年5月1日納入分〜 | +120円以上/kg |
| 日本ポリエチレン 5/18発表 | PE全製品 | 追加価格改定 | 2026年5月25日納入分〜 | +90〜165円/kg規模 |
| 日本ポリプロ 5/18発表 | PP全製品 | 追加価格改定 | 2026年5月25日納入分〜 | +80〜155円/kg規模 |
| 旭化成建材 5/7 | 断熱材「ネオマフォーム」等 | 概ね+20%特別調整金 | 2026年5月7日出荷分〜 | — |
| 住友化学TPC FM | ポリオレフィン(シンガポール) | フォースマジュール宣言(不可抗力) | 2026年3月9日〜継続中 | — |
第2章:未曾有のインフレを引き起こした「4つの構造的要因」
3/24時点で挙げた「3つの構造的要因」(①ホルムズ封鎖、②物流コスト激増、③円安)に、5月後半時点では「④商慣習崩壊」を加えた4つの構造的要因が同時進行しています。それぞれを最新エビデンスで深掘りします。
2-1. ホルムズ海峡の封鎖と「ナフサ危機」の深刻化
2026年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃を機に、3月2日にイランがホルムズ海峡封鎖を宣言。日本のナフサ調達は中東ルート(日本のナフサ輸入の約70-82%)に依存しており、国内のエチレン製造設備では減産が相次いでいます。Bloomberg 2026年5月18日報道では、イラン関連でない石油・LPG運搬船が少なくとも19隻ホルムズ海峡を通過したものの、紛争前に湾内に入った約100隻が依然として攻撃を懸念して足止め状態。CNN報道では約1,600隻・乗組員約23,000人(87カ国)がペルシャ湾内で立ち往生継続。通常時1日あたり135〜140隻が通航する海峡で、現在は極めて低水準が続いています。
- エチレン稼働率3月68.6%、過去最低水準──国内12基中6基減産・フル稼働3基のみの異常事態。三菱ケミカル鹿島(年産48.5万t・国内能力の8%)は3/6減産開始、5月から2か月の定期修理に突入。AMEC水島は3/11減産、6月下旬まで原料確保。三井化学千葉・大阪も3/10減産、6月中まで原料確保。出光興産千葉・徳山も減産継続。東ソー四日市は4/25に再稼働、6月中まで原料確保。
- 住友化学TPC(シンガポール)のフォースマジュール継続──3/9に住友化学70%・QatarEnergy+Shell合弁30%出資のTPCがポリオレフィン生産でFM宣言。原料調達先企業がすでに不可抗力宣言したため波及。5月後半も継続中。
- 石化協・工藤幸四郎会長(旭化成社長)の3/24発言──「4月は維持できる」「5月の連休明けに(稼働を)つなげられるように各社努力している」。4/15には「ポリエチレンやポリプロピレンなどの中間財については価格転嫁はマスト」と発言し、業界全体の方針として価格転嫁不可避を表明。
2-2. 物流コストの激増──戦時リスク附加運賃と喜望峰迂回
戦時リスク附加運賃(War Risk Premium)の発生に加え、喜望峰回りの迂回ルート選択による輸送日数の増加が、そのまま原料価格に転嫁されています。輸送日数は通常比+14日、燃料コストは1.5倍に跳ね上がっており(global-scm.com 2026/4/3)、この輸送期間延長が在庫回転率の低下とキャッシュフロー圧迫を招いています。
2-3. 円安進行による輸入コスト増大
大景化学株式会社のナフサ価格推移表によれば、2026年5月20日時点でナフサスポット価格1,005ドル/MT、為替159.05円/$、国産ナフサ価格指標113,092円/kL。日本ポリエチレン・日本ポリプロが想定する「125千円/KL超」まで残り約12,000円の上昇余地があります。ドル建ての原料価格上昇に加え、為替相場の円安推移が輸入コストをさらに押し上げており、国内メーカーにとって「自助努力」での吸収範囲を完全に超えています。
2-4. 【新規追加】44年続いた「後決め」商慣習の崩壊
本記事核心の「キロ90円」値上げが「歴史的衝撃」と言われる最大の理由は、これが単なる価格改定ではなく、1982年通産省「石油化学原料用ナフサ対策について」から44年続いた日本独自の「後決め(レトロスペクティブ・プライシング)」商慣習の崩壊を意味することです。これまで多くの国内取引では、四半期(3カ月)終了後に平均ナフサ価格を算出し改めて価格決定する「後決め」が標準でしたが、ナフサスポット価格が2週間で60%変動する状況では、メーカーが「3カ月肩代わり」する財務的余裕がもはやありません。
この一文が示すのは、「いつでも追加値上げする権利の留保」であり、従来の「2-3年に1度の大型改定」から「毎月の小刻みな調整」へと標準が転換した瞬間です。詳しくは「2026年5月ナフサ・サーチャージ|『後決め』慣習が崩壊する日」を参照ください。
第3章:製造コストへの直撃──パレット1枚・コンテナ1個の実勢インパクト深掘り
プラスチックパレット・コンテナ等の製造業者にとって、今回の値上げは収益構造を根本から揺るがすものです。ただしパレット・コンテナメーカーは年間数千トン規模で原料を大量仕入れする立場にあり、メーカー公表の値上げ幅(+90〜165円/kg)がそのまま転嫁されるわけではなく、商社経由のボリュームディスカウントや長期契約により、実勢の値上げ幅は公表値より安価に抑えられるのが業界実態です。本章では仮に「公表値の半額」だった場合のシミュレーションを実行します。この半額仮定でも事業へのインパクトは決して小さくありません。
3-1. プラスチックパレット1枚(20kg規格)の実勢コスト増
「半額で済む」とはいえ、パレット1枚あたり+1,550〜2,250円のコスト増は、従来単価が3,000〜5,000円帯のリサイクル系パレットにおいては製品単価の3割〜5割の上昇に相当する規模です。メーカー側はこれを単なる「値上げ通知」として顧客にそのまま転嫁するのではなく、後述する3つの努力(過去在庫活用・OG品採用・高品質再生材活用)でできる限り吸収する努力を続けています。
3-2. 折りたたみコンテナ1個(PP・2kg)の実勢コスト増
折りたたみコンテナ(PP製・約2kg)も同じく大量仕入れ品のため、メーカー公表値(+165円/kg)の実勢は半額(+82円/kg)程度に圧縮されます。同様のロジックで再計算します。
1ロット1,000個の発注では+15〜21万円の購買コスト増加、1万個ロットなら+150〜215万円のインパクト。実勢ベースでも事業継続に十分影響を与える規模です。さらにエチレンガスを使うバナナ追熟、PE製ストレッチフィルム、PP製バンドなど周辺資材も連鎖値上げ中で、「ストレッチフィルム・PPバンド・OPPテープ供給危機レポート」に詳述しています。
3-3. 3年間累計の経営インパクト試算(実勢ベース)
仮にパレット年間調達数5,000枚の中堅物流企業の場合、実勢ベースでも3年累計で1,900〜2,000万円規模のコスト増となります。
- 1年目(2026年):5,000枚 × 1,650円(実勢ベース最大)= 約825万円のコスト増
- 2年目(2027年):高止まり継続シナリオで 約700万円程度のコスト増(一部緩和想定)
- 3年目(2028年):新規ナフサ供給源(米国シェールガス由来エタン等)と西日本エチレンJV効果で 約400〜500万円程度に低下する可能性
- 3年累計:従来比 約1,900〜2,000万円のコスト増(再生材導入なしの場合)
3-4. 【重要】メーカーがコストアップ抑制のために実施している3つの最善努力
パレット・コンテナメーカーは「公表値上げ幅をそのまま顧客に転嫁する」という単純な選択を取りません。製造業として顧客との長期関係維持のため、以下3つの企業努力でコストアップ吸収に最善を尽くしています。
- ① 過去在庫の戦略的活用:2026年2月以前に調達した「ナフサ高騰前在庫」を計画的に消化することで、新規調達コストを後ろ倒し。先入先出(FIFO)から戦略的在庫管理への転換が進んでおり、調達担当者は1〜3か月先までの在庫需給を緻密に管理しています。
- ② オフグレード(OG)品の積極採用:樹脂メーカー側で発生する規格外品・色違い品・グレード変更時の中間品等を、品質基準を満たす範囲で積極採用することで原料単価を抑制。バージン正規品より10〜30%程度安価で調達可能なケースがあり、パレット・コンテナのような「色や微細な物性差が許容される製品」と相性が良好です。
- ③ バージン材へバージン物性に近い高品質再生材を添加:近年の再生材技術の進歩により、PIR材(工場端材由来)や高度選別・洗浄を経たPCR材(市場回収材)の中にはバージン材とほぼ同等の物性を発揮する高品質グレードが市場に出回るようになりました。メーカーはバージン材をベースとしつつ、そこに高品質再生材を一定比率で添加する処方へと見直し、製品の物性・強度・耐久性を維持しながら原料コストを抑えています。バージンを完全に置き換えるのではなく「バージン+添加材」の発想です。詳しくは第4章で深掘りします。
第4章:戦略的代替案としての「再生材」活用──PCR材・PIR材・容リ材の3区分と価格スプレッド
新材価格が記録的な高値を更新し続けるなか、コスト抑制の切り札となるのが国内の再生材市場です。本章では3/24時点では概括的に触れた再生材活用を、5月後半時点の最新マーケット動向で深掘りします。
4-1. 再生材3種類の特徴と調達ルート
再生材は調達ルートと法的位置づけにより3種類に分類されます。それぞれの特徴とコスト構造を理解することが戦略的選択の前提です。
| 区分 | 正式名称 | 出所 | 品質特性 | 用途適性 |
|---|---|---|---|---|
| PCR材 | Post-Consumer Recycled (市場回収材) |
家庭・事業所から排出された使用済プラスチックを再資源化 | 品質は処理プロセスで決定。高度な選別・洗浄技術が前提 | パレット・コンテナ・物流資材全般 |
| PIR材 | Post-Industrial Recycled (工場端材) |
製造工程で発生するロス・端材・規格外品を循環 | 樹脂組成が安定、バージン材に近い品質 | 高機能パレット・精密成形品 |
| 容リ材 | 容器包装リサイクル法ルート材 | 容器包装リサイクル法に基づき市町村が回収・選別したPET/PP/PE等 | 法定ルートでトレーサビリティ確保 | 容リパレット(R-1、OBPなど)、リサイクル認定製品 |
4-2. BCP(事業継続計画)の観点での「地産地消の安定性」
再生材活用は単なるコスト対策にとどまりません。海外情勢に左右されない「国内資源」としての再生材は、今やBCP(事業継続計画)の柱となっています。具体的なメリットは以下のとおりです。
- 調達リスクの分散:中東依存からの脱却、ホルムズ海峡封鎖等の地政学リスクの影響を受けにくい
- 為替変動リスクの低減:円安進行(5/20時点159.05円/$)の影響を直接受けない
- 環境価値の獲得:顧客企業の2030年カーボンニュートラル目標への直接的な回答(CO2排出量削減・サーキュラーエコノミー対応)
- 輸送距離の短縮:国内回収・国内再資源化のため、海上輸送依存度ゼロ
- サプライチェーン短縮化:長距離輸送・関税・為替変動・通関手続きを介さない短いサプライチェーン
4-3. 再生材を活用した具体的な弊社製品ラインアップ
当社では中東情勢に左右されない再生材ベースのパレット・コンテナを多数取り扱っております。主要シリーズは以下のとおりです。
- 容器包装リサイクルパレット──容リ法ルート材100%使用、コスト最強水準
- R-1パレット──最安値宣言の容リパレット、年間万単位の量産実績
- OBPパレット──海洋プラスチック由来材、ESG対応に最適
- リサイクルコンテナシリーズ──20L〜100Lの折りたたみコンテナ全サイズ展開
- プラスチック再生原料──国内・海外の廃プラ案件を多数取扱、原料調達のご相談可
第5章:結びに──「容リ材(PCR材)」と「PIR材」が切り拓く物流の未来
2026年の「プラスチック・ショック」は、3/24時点で予感されていた「単なる一過性のコスト増」を超え、5月後半時点で素材そのものの価値基準を根本から変える歴史的転換点であることが確定しました。かつて「安価な消耗品」と見なされることもあったプラスチックパレットやコンテナは、今や高度な地政学リスクと環境価値を内包した「戦略的資産」へと昇華しています。
5-1. 5月後半時点の「変化の本質」──3つのパラダイムシフト
- ① 価格構造の常態的変動化:従来の四半期固定価格から、月次・週次の変動価格へ。日本ポリエチレン・日本ポリプロの5/18プレスリリースが明文化した「想定ナフサ価格変動時の修正条項」は、もはや例外措置ではなく標準仕様となりつつあります。
- ② 商慣習の構造的変化:1982年通産省指針から44年続いた「後決め」慣習が崩壊。東レは2026年3月27日にサーチャージ制を導入、各社は段階的・追加値上げを常態化させており、欧米型のフォーミュラ・スポット連動への強制コンバージョンが進行中です。
- ③ 産業構造の長期再編:2026年5月12日の三井化学・三菱ケミカル・旭化成3社による西日本エチレンJV出資比率確定(三井45%・三菱45%・旭化成10%)、2030年AMEC水島停止→OPC泉北集約、2034年Revolefin™商用化計画は、危機を契機に日本石化産業が新時代の体制構築を加速していることを示しています。
5-2. 製造業・物流業界が今すぐ取るべき5つの戦略
物流の要(かなめ)である資材の供給が滞ることは、社会インフラの停止を意味します。この未曾有の難局において、製造業・物流業界の経営者・調達担当者が今すぐ取るべき戦略を5つに整理します。
- ① 価格スライド条項の契約組み込み:顧客との契約に「ナフサ価格○○円超で△△円自動転嫁」のスライド条項を組み込み、毎月の交渉負荷を構造化する。
- ② サーチャージ体系の整備:東レ方式のサーチャージ制度を参考に、自社の販売価格にもサーチャージ概念を導入する。
- ③ 複数調達先・代替航路の事前確保:米国シェールガス由来材、中南米・アフリカ調達材、再生材を含む複数調達ポートフォリオを構築する。
- ④ 再生材比率の戦略的引き上げ:PCR材・PIR材・容リ材を主軸に据えた製品設計・調達計画を策定する。価格スプレッド100〜200円/kgを最大限活かす。
- ⑤ 在庫管理の高度化:従来の経済発注量(EOQ)から、リスク調整型在庫モデルへ転換。GWの崖・第3波値上げ警告に備える。
5-3. 「2030年カーボンニュートラル」と「サプライチェーンレジリエンス」の同時実現
家庭から排出されるプラスチックを高度な技術で再資源化したPCR材、製造工程のロスを無駄なく循環させるPIR材、そして容器包装リサイクル法ルートの容リ材。これらを高度に配合した「高付加価値リサイクルパレット・コンテナ」の開発・販売を促進することは、コスト抑制のみならず、顧客企業の2030年カーボンニュートラル目標への直接的な回答となります。
5月12日に発表された西日本エチレンJVのRevolefin™(バイオエタノール由来のエチレン・プロピレン)が2034年に商用化を目指していることも、再生材・バイオ材への需要シフトが構造的に確定したことを示しています。化石燃料由来のバージン材依存からの脱却は、もはやSDGsスローガンではなく経営戦略の核心となりました。
📌 まとめ:「キロ90円」から「累計165円/kg」へ──再生材活用で生き残る
2026年3月「キロ90円値上げ」の衝撃から、わずか2ヶ月後の5月後半「累計90〜165円/kg規模」へと拡大したこの歴史的連鎖値上げは、日本の樹脂取引慣習を根本から変革する歴史的転換点です。日本ポリエチレン・日本ポリプロは5/18プレスリリースで国産ナフサ125千円/KL超を想定、プライムポリマーは1ヶ月で2回値上げを発動、旭化成は3割超の引き上げ、東レはサーチャージ制を導入、カネカ・信越化学・三菱ケミカルが連鎖。エチレン稼働率は3月68.6%と過去最低で、12基中6基減産・フル稼働3基のみ。「キロ90円という冷徹な数字に向き合い、確実な価格転嫁を進めると同時に、容リ材・PCR材・PIR材を主軸に据えた『攻めの製品開発』へ舵を切る」──これがパレット1枚のコストに向き合う本質であり、日本のサプライチェーン全体のレジリエンス(復元力)を問い直すことに他なりません。再生材活用の知見を最大の武器に、素材の制約を「循環型ビジネス」への飛躍の機会へと変え、持続可能な物流の未来を共に切り拓いていきましょう。
- 日本ポリエチレン株式会社「ポリエチレンの価格改定について」(プレスリリース2026年5月18日)🆕 5/21追加 ── 2026年5月25日納入分よりPE全製品価格改定実施、国産ナフサ価格125千円/KL超水準を想定、社長:安田孝、本社:東京都千代田区。日経新聞2026/5/18配信。
- 日本ポリプロ株式会社「ポリプロピレンの価格改定について」(プレスリリース2026年5月18日)🆕 5/21追加 ── 2026年5月25日納入分よりPP価格改定実施、国産ナフサ価格125千円/KL超水準想定、社長:飯島要、本社:東京都千代田区。
- プライムポリマー「PE・PP追加価格改定について」(2026年4月21日発表、ゴムタイムス2026/4/22)🆕 5/21追加 ── 3月17日付公表のPE・PP価格改定について追加+30円/kg以上、2026年5月1日納入分から実施。対象はHDPE、LLDPE、PP全製品。累計+120円/kg以上。
- 三井化学株式会社「西日本におけるエチレン製造設備の統合に向けた共同事業体の出資比率について」(プレスリリース2026年5月12日)🆕 5/21追加 ── 三井化学45%・三菱ケミカル45%・旭化成10%の出資比率確定、2030年度AMEC水島停止→OPC泉北集約、2034年度3社共同Revolefin™グリーン基礎化学品商用生産開始予定。
- 旭化成建材「ネオマフォーム等への特別調整金上乗せ」(2026年4月16日発表、スムタノ2026/5)🆕 5/21追加 ── 断熱材ネオマフォーム等に2026年5月7日出荷分から概ね20%の特別調整金を上乗せ。
- 旭化成 工藤幸四郎社長発言(2026年4月15日)🆕 5/21追加 ── ナフサ調達は6月中旬〜下旬まで一定の見通し、ポリエチレン・ポリプロピレンの中間財については「価格転嫁はマスト」。石化協会長兼務。
- 大景化学株式会社「ナフサ価格推移表」(2026年5月20日時点)🆕 5/21追加 ── ナフサ$1,005/MT、為替159.05円/$、国産ナフサ価格指標113,092円/kL(出典:財務省貿易統計)。
- 日本経済新聞「エチレン設備稼働率、3月68.6%で最低 原料調達の多様化で稼働継続」(2026年4月後半)🆕 5/21追加 ── エチレン稼働率3月68.6%過去最低、12基中6基減産、三菱ケミカル・三井化学・東ソーが6月分まで原料調達のめど。
- 石油化学工業協会工藤幸四郎会長(旭化成社長)発言(2026年3月24日)🆕 5/21追加 ── 「4月は維持できる」「5月の連休明けに(稼働を)つなげられるように各社努力している」。
- Bloomberg「イラン戦争下でもホルムズ海峡通航続く-進入タンカーは相次ぎ湾外へ」(2026年5月18日)🆕 5/21追加 ── イラン関連でない石油・LPG運搬船少なくとも19隻が海峡通過、紛争前湾内に入った約100隻はなお足止め継続。
- 1982年4月7日 通商産業省(現・経済産業省)「石油化学原料用ナフサ対策について」🆕 5/21追加 ── 日本の「四半期後決め」慣習の制度的起点。本記事で参照する「後決め慣習崩壊」の歴史的文脈の根拠。
- 住友化学TPC(シンガポール)フォースマジュール宣言(2026年3月9日、日経2026/03/10)🆕 5/21追加 ── シンガポールでポリオレフィン生産するTPCがFM宣言、住友化学70%・カタール・エナジー+英シェル合弁30%出資。5月後半時点で継続中。
- 東レ「樹脂や炭素繊維にサーチャージ制 原料高転嫁を最短1カ月で」(日経新聞2026/03/27、時事通信2026/03/27)── 樹脂・炭素繊維・衣料向け繊維サーチャージ制を「暫定的な緊急措置」として導入。
- 東レ繊維値上げ(繊維ニュース2026/04/02)── ナイロン6長繊維+100円以上、ナイロン66+20円以上、ポリエステル+50円以上、アクリル短繊維+110円以上。
- 日本経済新聞「旭化成、汎用樹脂のポリエチレンを3割超値上げ 中東影響で」(2026/03/31)── PE全製品(サンテックLD/HD/EVA、クレオレックス、サンファイン)を1kg 120円以上値上げ、市況ベースで3割超の引き上げに相当。
- 日本経済新聞「カネカなど、汎用樹脂で値上げ ホルムズ封鎖影響し原料エチレン減産」(2026/03/19)── 信越化学が3/16に塩ビ値上げ先行発表、カネカは塩ビ35円以上/kg、発泡ポリオレフィン150円/kgなど8製品群を4/1値上げ。日本ポリエチレン+90円・日本ポリプロ+80円。
- 日本経済新聞「三井化学系、汎用樹脂値上げ ホルムズ封鎖で原料の市場価格高騰受け」(2026/03/17)── プライムポリマーPE・PP全品目1kg 90円以上値上げ、ウクライナ危機時(60円)を上回る水準。
- 化学工業日報「石化製品が相次ぎ値上げ ナフサ混乱、誘導品に波及」(2026/03/18)── 2月末1トン当たり600ドル台後半→2週間余りで1,100ドル前後、4〜6月の国産ナフサ基準価格は過去最高額を大幅に更新する10万円超に届く勢い。
- 三菱ケミカルVAM(酢酸ビニルモノマー)値上げ(2026年3月18日出荷分)── エラストマー原料、+40円以上/kg。
- ダウ・ケミカル日本ポリオレフィンエラストマー(ENGAGE等)値上げ(2026年4月1日納入分)── +25円以上/kg、パレット滑り止め部品の主原料。
- 東ソーポリエチレン樹脂全製品値上げ(2026年4月1日納入分)── +90円以上/kg、四日市プラント4/25再稼働。
- actibook.cloudcircus.jp「2026年『ナフサ不足』の影響と実態」(2026年5月)🆕 5/21追加 ── IEAホルムズ経由日量400万バレル超記録、ナフサ日量120万バレル供給途絶、東アジア石化稼働率削減・FM宣言、豆腐パック1.6円値上げ、プリン販売休止検討、卸業者10〜40%値上げ通告。
- 宮野宏樹note「プラ3割高騰の衝撃 ナフサ・ショックが家計を揺さぶる2026年春」(2026年5月)🆕 5/21追加 ── 値上げ幅90〜165円/kg規模、ウクライナ危機時(60円)の2-3倍水準。
- 住むを楽しむ「スムタノ」「ナフサショックが住宅設備業界へ与える影響」(2026年5月)🆕 5/21追加 ── 旭化成社長4/15発言、旭化成建材ネオマフォーム+20%特別調整金(5/7出荷分〜)の整理。
- 造改築「ナフサショック完全解説2026」(2026年5月)🆕 5/21追加 ── 5月からの国産ナフサ価格約2倍(125,103円/kL)、日本建材・住宅設備産業協会「6月以降は第3波の値上げ」警告。
- 首相官邸「中東情勢に関する関係閣僚会議(第7回)」(2026年5月12日)🆕 5/21追加 ── 高市総理ベトナム・豪州訪問報告、鈴木大臣マレーシア訪問成果(尿素・ナフサ・原油安定供給確約)。
- 三協化学株式会社「国内のエチレン生産設備の状況とイラン情勢の影響【4/23日現在】」🆕 5/21追加 ── 三菱ケミカルG鹿島3/6、AMEC水島3/11、三井化学千葉・大阪3/10減産開始、東ソー4/25再稼働。
- 容器包装リサイクル法関連資料・各種PCR/PIR材市況データ統合 ── 第4章再生材戦略の根拠データ。
- global-scm.com「ホルムズ海峡危機:情勢と実務リスク」(2026年5月7日更新)── 邦船3社(商船三井・日本郵船・川崎汽船)通航停止、喜望峰回り通常比+14日・燃料コスト1.5倍、AIS停止による迂回行動の常態化。
- 笹川平和財団・資源エネルギー庁── 日本原油輸入の中東依存度94〜95%、うちホルムズ海峡経由9割、ナフサ輸入の約70-82%が中東経由の構造分析。
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